特許第6160607号(P6160607)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6160607太陽光パネルユニット及び太陽光パネルユニットの設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6160607
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】太陽光パネルユニット及び太陽光パネルユニットの設置方法
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/32 20140101AFI20170703BHJP
【FI】
   H02S20/32
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-265405(P2014-265405)
(22)【出願日】2014年12月26日
(65)【公開番号】特開2016-127666(P2016-127666A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2015年11月18日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成25年度〜平成27年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「太陽光発電多用途化実証プロジェクト/太陽光発電多用途化実証事業/低コスト太陽光追尾システムの農地での有効性実証」に関する共同研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安井 義貴
(72)【発明者】
【氏名】松浦 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】酒井 利幸
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−116360(JP,A)
【文献】 特開2012−204471(JP,A)
【文献】 特開2014−037722(JP,A)
【文献】 特表2004−525596(JP,A)
【文献】 米国特許第04172739(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 20/00 − 30/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電パネル(11)と、該太陽光発電パネル(11)を水平方向に対して傾斜した姿勢で支持する支持架台(12)とを備えた太陽光パネルユニットであって、
前記支持架台(12)は、前記太陽光発電パネル(11)の傾斜方向に沿って延びる回転軸(S)周りに回動可能に構成され、
前記支持架台(12)における傾斜方向の下側と、該支持架台(12)傾斜方向に直交する幅方向において、該支持架台(12)に載置される前記太陽光発電パネル(11)の自重によって該支持架台(12)が前記回転軸(S)周りに傾くことで傾斜方向の下側となる位置には、前記太陽光発電パネル(11)の外縁部に当接するように突出して該太陽光発電パネル(11)の移動を規制する規制部(19)がそれぞれ設けられていることを特徴とする太陽光パネルユニット。
【請求項2】
太陽光発電パネル(11)と、該太陽光発電パネル(11)を水平方向に対して傾斜した姿勢で支持する支持架台(12)とを備えた太陽光パネルユニットであって、
前記支持架台(12)は、前記太陽光発電パネル(11)の傾斜方向に沿って延びる回転軸(S)周りに回動可能に構成され、
前記支持架台(12)における傾斜方向の下側と、該支持架台(12)における傾斜方向に直交する幅方向の少なくとも一方側には、前記太陽光発電パネル(11)の外縁部に当接するように突出して該太陽光発電パネル(11)の移動を規制する規制部(19)がそれぞれ設けられ、
前記太陽光発電パネル(11)を支持する前の前記支持架台(12)の重心は、幅方向に延びて該支持架台(12)の一部を構成する桟部材(15)が水平姿勢となるように前記回転軸(S)よりも下方に位置する一方、該太陽光発電パネル(11)を支持した後の該支持架台(12)の重心は、該回転軸(S)よりも上方に位置していることを特徴とする太陽光パネルユニット。
【請求項3】
太陽光発電パネル(11)と、該太陽光発電パネル(11)を水平方向に対して傾斜した姿勢で支持する支持架台(12)とを備え、
前記支持架台(12)は、前記太陽光発電パネル(11)の傾斜方向に沿って延びる回転軸(S)周りに回動可能に構成され、
前記支持架台(12)における傾斜方向の下側と、該支持架台(12)における傾斜方向に直交する幅方向の少なくとも一方側には、前記太陽光発電パネル(11)の外縁部に当接するように突出して該太陽光発電パネル(11)の移動を規制する規制部(19)がそれぞれ設けられた太陽光パネルユニットの設置方法であって、
前記支持架台(12)を所定の設置場所に設置する設置工程と、
前記支持架台(12)に前記太陽光発電パネル(11)を載置する載置工程と、
前記太陽光発電パネル(11)の自重によって前記回転軸(S)周りに前記支持架台(12)を傾けることで、該太陽光発電パネル(11)の外縁部を前記規制部(19)に当接させて仮保持する仮保持工程と、
前記仮保持工程で仮保持されている前記太陽光発電パネル(11)を前記支持架台(12)に取り付ける取付工程とを備えたことを特徴とする太陽光パネルユニットの設置方法。
【請求項4】
太陽光発電パネル(11)と、該太陽光発電パネル(11)を水平方向に対して傾斜した姿勢で支持する支持架台(12)とを備え、
前記支持架台(12)は、前記太陽光発電パネル(11)の傾斜方向に沿って延びる回転軸(S)周りに回動可能に構成され、
前記支持架台(12)における傾斜方向の下側と、該支持架台(12)における傾斜方向に直交する幅方向の少なくとも一方側には、前記太陽光発電パネル(11)の外縁部に当接するように突出して該太陽光発電パネル(11)の移動を規制する規制部(19)がそれぞれ設けられた太陽光パネルユニットの設置方法であって、
前記支持架台(12)を所定の設置場所に設置する設置工程と
定治具(30)を用いて前記支持架台(12)を前記回転軸(S)周りに傾けた姿勢で固定する固定工程と、
前記固定工程で傾けられた前記支持架台(12)に前記太陽光発電パネル(11)を載置することで、該太陽光発電パネル(11)の外縁部を前記規制部(19)に当接させて仮保持する仮保持工程と、
前記仮保持工程で仮保持されている前記太陽光発電パネル(11)を前記支持架台(12)に取り付ける取付工程とを備えたことを特徴とする太陽光パネルユニットの設置方法。
【請求項5】
太陽光発電パネル(11)と、該太陽光発電パネル(11)を水平方向に対して傾斜した姿勢で支持する支持架台(12)とを備え、
前記支持架台(12)は、前記太陽光発電パネル(11)の傾斜方向に沿って延びる回転軸(S)周りに回動可能に構成され、
前記支持架台(12)における傾斜方向の下側と、該支持架台(12)における傾斜方向に直交する幅方向の少なくとも一方側には、前記太陽光発電パネル(11)の外縁部に当接するように突出して該太陽光発電パネル(11)の移動を規制する規制部(19)がそれぞれ設けられた太陽光パネルユニットを複数設置するための太陽光パネルユニットの設置方法であって、
前記複数の支持架台(12)のうち少なくとも1つには、該支持架台(12)を前記回転軸(S)周りに回動させる空気圧式のアクチュエータ(50)が設けられており、
前記複数の支持架台(12)を所定の設置場所に設置する設置工程と、
前記アクチュエータ(50)の動作に連動して前記複数の支持架台(12)が前記回転軸(S)周りに回動するように、連結ロッド(26)を用いて該支持架台(12)同士を連結する連結工程と、
前記アクチュエータ(50)の空気の給排口(51a,51b)を閉塞する閉塞工程と、
前記支持架台(12)に前記太陽光発電パネル(11)を載置することで、該太陽光発電パネル(11)の外縁部を前記規制部(19)に当接させて仮保持する仮保持工程と、
前記仮保持工程で仮保持されている前記太陽光発電パネル(11)を前記支持架台(12)に取り付ける取付工程とを備えたことを特徴とする太陽光パネルユニットの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネルユニット及び太陽光パネルユニットの設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、太陽パネルが揺動可能に支持された太陽パネルユニットが知られている。例えば、特許文献1の太陽パネルユニットは、設置部に固定される架台を有し、この架台の上端部に太陽パネルが支持されている。具体的に、太陽パネルの背面部と架台の上端部とは、軸部を介して互いに連結されている。これにより、太陽パネルは、軸部の軸心を中心として傾きが変更可能に架台に支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−117273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の太陽パネルユニットを設置現場に設置する場合には、以下のような手順で作業が行われていた。
【0005】
まず、工場等において、太陽パネルの背面部に軸部を介して架台を連結し、太陽パネルユニットを製造する。次に、この太陽パネルユニットを設置現場へ移送し、太陽パネルユニットを設置現場に固定する。なお、この架台には、例えば下端部にテーパ状の先端部が形成された杭が設けられる。このため、このような設置作業では、作業者が太陽パネルを支えた状態で、架台の下端部を地面に差し込む。これにより、設置現場に架台が固定され、この架台の上方に太陽パネルが支持されることになる。
【0006】
このように、従来例の太陽パネルユニットでは、設置作業において、太陽パネルを持ち上げながら架台を設置する必要がある。このため、このような設置作業が煩雑となり、作業工数が増えてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、太陽光発電パネルの設置作業を容易に行うことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、太陽光発電パネル(11)と、該太陽光発電パネル(11)を水平方向に対して傾斜した姿勢で支持する支持架台(12)とを備えた太陽光パネルユニットを対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0009】
すなわち、第1の発明は、前記支持架台(12)は、前記太陽光発電パネル(11)の傾斜方向に沿って延びる回転軸(S)周りに回動可能に構成され、
前記支持架台(12)における傾斜方向の下側と、該支持架台(12)傾斜方向に直交する幅方向において、該支持架台(12)に載置される前記太陽光発電パネル(11)の自重によって該支持架台(12)が前記回転軸(S)周りに傾くことで傾斜方向の下側となる位置には、前記太陽光発電パネル(11)の外縁部に当接するように突出して該太陽光発電パネル(11)の移動を規制する規制部(19)がそれぞれ設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
第1の発明では、支持架台(12)における傾斜方向の下側と、支持架台(12)傾斜方向に直交する幅方向において支持架台(12)が回転軸(S)周りに傾くことで傾斜方向の下側となる位置とに規制部(19)が設けられる。規制部(19)は、太陽光発電パネル(11)の外縁部に当接するように突出している。
【0011】
このような構成とすれば、太陽光発電パネル(11)を支持架台(12)に載置したときに、太陽光発電パネル(11)の外縁部が規制部(19)に当接して移動が規制されるので、太陽光発電パネル(11)が支持架台(12)から滑り落ちないように作業者が常に支えておく必要が無く、設置作業を容易に行うことができる。
【0012】
第2の発明は、太陽光発電パネル(11)と、該太陽光発電パネル(11)を水平方向に対して傾斜した姿勢で支持する支持架台(12)とを備えた太陽光パネルユニットを対象とし、
前記支持架台(12)は、前記太陽光発電パネル(11)の傾斜方向に沿って延びる回転軸(S)周りに回動可能に構成され、
前記支持架台(12)における傾斜方向の下側と、該支持架台(12)における傾斜方向に直交する幅方向の少なくとも一方側には、前記太陽光発電パネル(11)の外縁部に当接するように突出して該太陽光発電パネル(11)の移動を規制する規制部(19)がそれぞれ設けられ、
前記太陽光発電パネル(11)を支持する前の前記支持架台(12)の重心は、幅方向に延びて該支持架台(12)の一部を構成する桟部材(15)が水平姿勢となるように前記回転軸(S)よりも下方に位置する一方、該太陽光発電パネル(11)を支持した後の該支持架台(12)の重心は、該回転軸(S)よりも上方に位置していることを特徴とするものである。
【0013】
第2の発明では、太陽光発電パネル(11)を支持する前の支持架台(12)の重心が回転軸(S)よりも下方に位置しているので、支持架台(12)を水平姿勢で安定させることができる。また、太陽光発電パネル(11)を支持した後の支持架台(12)の重心が回転軸(S)よりも上方に位置しているので、支持架台(12)を太陽光発電パネル(11)の自重で回動させて、太陽光発電パネル(11)の設置作業を行いやすい姿勢に支持架台(12)を維持することができる。
【0014】
第3の発明は、太陽光発電パネル(11)と、該太陽光発電パネル(11)を水平方向に対して傾斜した姿勢で支持する支持架台(12)とを備え、
前記支持架台(12)は、前記太陽光発電パネル(11)の傾斜方向に沿って延びる回転軸(S)周りに回動可能に構成され、
前記支持架台(12)における傾斜方向の下側と、該支持架台(12)における傾斜方向に直交する幅方向の少なくとも一方側には、前記太陽光発電パネル(11)の外縁部に当接するように突出して該太陽光発電パネル(11)の移動を規制する規制部(19)がそれぞれ設けられた太陽光パネルユニットの設置方法を対象とし、
前記支持架台(12)を所定の設置場所に設置する設置工程と、
前記支持架台(12)に前記太陽光発電パネル(11)を載置する載置工程と、
前記太陽光発電パネル(11)の自重によって前記回転軸(S)周りに前記支持架台(12)を傾けることで、該太陽光発電パネル(11)の外縁部を前記規制部(19)に当接させて仮保持する仮保持工程と、
前記仮保持工程で仮保持されている前記太陽光発電パネル(11)を前記支持架台(12)に取り付ける取付工程とを備えたことを特徴とするものである。
【0015】
第4の発明では、太陽光発電パネル(11)を支持架台(12)に載置させ、太陽光発電パネル(11)の自重によって支持架台(12)を傾けて規制部(19)に当接させることで仮保持した後で、太陽光発電パネル(11)を支持架台(12)に取り付けるようにしている。
【0016】
このような手順で太陽光発電パネル(11)を支持架台(12)に載置することで、太陽光発電パネル(11)の外縁部が規制部(19)に当接して移動が規制されるので、太陽光発電パネル(11)が支持架台(12)から滑り落ちないように作業者が常に支えておく必要が無く、設置作業を容易に行うことができる。
【0017】
の発明は、上述した太陽光パネルユニットの設置方法を対象とし、
前記支持架台(12)を所定の設置場所に設置する設置工程と
定治具(30)を用いて前記支持架台(12)を前記回転軸(S)周りに傾けた姿勢で固定する固定工程と、
前記固定工程で傾けられた前記支持架台(12)に前記太陽光発電パネル(11)を載置することで、該太陽光発電パネル(11)の外縁部を前記規制部(19)に当接させて仮保持する仮保持工程と、
前記仮保持工程で仮保持されている前記太陽光発電パネル(11)を前記支持架台(12)に取り付ける取付工程とを備えたことを特徴とするものである。
【0018】
の発明では、固定治具(30)を用いて支持架台(12)を傾けた姿勢で固定し、太陽光発電パネル(11)を支持架台(12)に載置させて規制部(19)に当接させることで仮保持した後で、太陽光発電パネル(11)を支持架台(12)に取り付けるようにしている。
【0019】
このような手順で太陽光発電パネル(11)を支持架台(12)に載置することで、太陽光発電パネル(11)が支持架台(12)から滑り落ちないように作業者が常に支えておく必要が無く、設置作業を容易に行うことができる。
【0020】
の発明は、上述した太陽光パネルユニットを複数設置するための太陽光パネルユニットの設置方法を対象とし、
前記複数の支持架台(12)のうち少なくとも1つには、該支持架台(12)を前記回転軸(S)周りに回動させる空気圧式のアクチュエータ(50)が設けられており、
前記複数の支持架台(12)を所定の設置場所に設置する設置工程と、
前記アクチュエータ(50)の動作に連動して前記複数の支持架台(12)が前記回転軸(S)周りに回動するように、連結ロッド(26)を用いて該支持架台(12)同士を連結する連結工程と、
前記アクチュエータ(50)の空気の給排口(51a,51b)を閉塞する閉塞工程と、
前記支持架台(12)に前記太陽光発電パネル(11)を載置することで、該太陽光発電パネル(11)の外縁部を前記規制部(19)に当接させて仮保持する仮保持工程と、
前記仮保持工程で仮保持されている前記太陽光発電パネル(11)を前記支持架台(12)に取り付ける取付工程とを備えたことを特徴とするものである。
【0021】
の発明では、複数の太陽光パネルユニットを設置するのにあたって、まず、複数の支持架台(12)同士を連結ロッド(26)で連結させ、アクチュエータ(50)の空気の給排口(51a,51b)を閉塞させる。そして、太陽光発電パネル(11)を支持架台(12)に載置させて規制部(19)に当接させることで仮保持した後で、太陽光発電パネル(11)を支持架台(12)に取り付けるようにしている。
【0022】
このような手順で太陽光発電パネル(11)を支持架台(12)に載置することで、アクチュエータ(50)の空気バネ作用によって、支持架台(12)を水平姿勢に維持することができるとともに、太陽光発電パネル(11)が支持架台(12)から滑り落ちないように作業者が常に支えておく必要が無く、設置作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、太陽光発電パネル(11)を支持架台(12)に載置したときに、太陽光発電パネル(11)の外縁部が規制部(19)に当接するので、太陽光発電パネル(11)が支持架台(12)から滑り落ちないように作業者が常に支えておく必要が無く、設置作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本実施形態1に係る太陽光パネルユニットの構成を示す正面図である。
図2】支持架台を傾けた状態を示す正面図である。
図3】太陽光発電パネルを支持架台に載置した状態を示す正面図である。
図4】クランプ部材の構成を示す斜視図である。
図5】太陽光発電パネルをクランプ部材を用いて桟部材に固定した状態を示す斜視図である。
図6】支持架台を傾けて杭の上端に当接させた状態を示す正面図である。
図7】本実施形態2に係る太陽光パネルユニットにおいて、固定治具として重量部材を用いたときの正面図である。
図8】固定治具としてU字状部材を用いたときの正面図である。
図9】固定治具としてロープ部材を用いたときの正面図である。
図10】本実施形態3に係る太陽光パネルユニットの構成を示す正面図である。
図11】複数の太陽光パネルユニットを備えた太陽光発電システムの構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0026】
《実施形態1》
図1図3に示すように、太陽光パネルユニット(10)は、太陽光発電パネル(11)と、太陽光発電パネル(11)を回転軸(S)周りに回動自在に支持する支持架台(12)とを有している。
【0027】
太陽光発電パネル(11)は、略板状に形成され、上面が太陽光の受光面(11a)に構成されている。太陽光発電パネル(11)は、太陽光を受光面(11a)に受けることによって直流電力を発生するように構成されている。太陽光発電パネル(11)は、水平方向に対し、南北方向において北側ほど高くなるように傾斜した姿勢で、支持架台(12)に支持されている。
【0028】
支持架台(12)は、回動部材(13)と、支持部材(14)とを有する。太陽光発電パネル(11)は、回動部材(13)に固定されている。回動部材(13)は、太陽光発電パネル(11)の幅方向の中央部において南北方向に延びる回転軸(S)周りに回動自在に構成されている。
【0029】
具体的に、回動部材(13)は、太陽光発電パネル(11)に固定された2本の桟部材(15)と、桟部材(15)にそれぞれ固定された軸部材(16)と、2本の桟部材(15)同士を連結する2本の補強部材(17)と、補強部材(17)の下端部に設けられたリンク部材(25)とを有する。
【0030】
2本の桟部材(15)は、太陽光発電パネル(11)の受光面(11a)の裏面に固定され、裏面に沿って太陽光発電パネル(11)の幅方向(回転軸(S)に直交する方向)に延びている。2本の桟部材(15)は、平行に設けられている。2本の補強部材(17)は、太陽光発電パネル(11)の幅方向に間隔をあけて平行に設けられている。
【0031】
リンク部材(25)は、板状の部材によって形成されており、2本の補強部材(17)に跨がって立設した後述する板状の規制部(19)に固定される。リンク部材(25)の先端は、太陽光発電パネル(11)に対して概ね垂直に下向きに延びている。
【0032】
軸部材(16)は、軸部(16a)と、軸部(16a)の基端部を支持する基台部(16b)とをそれぞれ有している。軸部(16a)は、略円柱形状に形成され、各桟部材(15)の対向する側面に沿って延びる基台部(16b)から基台部(16b)に略垂直な方向に突出している。
【0033】
基台部(16b)は、軸部(16a)の軸心が太陽光発電パネル(11)の幅方向の中央に位置するように、桟部材(15)に固定されている。本実施形態では、軸部材(16)の軸部(16a)の軸心が回転軸(S)となる。
【0034】
ここで、太陽光発電パネル(11)を支持する前の支持架台(12)の回動部材(13)の重心は、回転軸(S)よりも下方に位置している。これにより、支持架台(12)を水平姿勢で安定させることができる。
【0035】
一方、太陽光発電パネル(11)を支持した後の支持架台(12)の回動部材(13)の重心は、回転軸(S)よりも上方に位置している。これにより、回動部材(13)を太陽光発電パネル(11)の自重で回動させて、太陽光発電パネル(11)の設置作業を行いやすい姿勢に回動部材(13)を維持することができる。
【0036】
支持部材(14)は、上端部に設けられる支持台部(18)と、支持台部(18)の下端から下方に向かって延びる支柱(20)とを有している。支持台部(18)は、太陽光発電パネル(11)の傾斜方向に延びる鋼材であり、上面の両端から略垂直に上方に立ち上がる2つの起立部(18a)を有している。起立部(18a)は、2つの軸部材(16)の軸部(16a)を回転可能に支持している。これにより、太陽光発電パネル(11)が支持架台(12)に、回転軸(S)周りに回動自在に支持されている。
【0037】
支柱(20)は、支持台部(18)の下方に固定される円筒形状の鋼材であり、下端部が地中に埋設される。支持部材(14)は、支柱(20)の下端を、地中に埋設し、その周囲をモルタル等で固めることにより、位置が固定される。
【0038】
ここで、支持架台(12)を所定の設置場所に設置した後で、支持架台(12)に太陽光発電パネル(11)を載置させて固定するためには、太陽光発電パネル(11)が支持架台(12)から滑り落ちないように作業者が常に支えておく必要があり、設置作業が煩雑であるという問題がある。
【0039】
そこで、本実施形態では、支持架台(12)における傾斜方向の下側と、支持架台(12)における傾斜方向に直交する幅方向の両側とに、太陽光発電パネル(11)の外縁部に当接するように突出して太陽光発電パネル(11)の移動を規制する規制部(19)をそれぞれ設けるようにしている。
【0040】
具体的に、補強部材(17)の傾斜方向の下側には、2本の補強部材(17)に跨がって立設する板状の規制部(19)が設けられている。また、桟部材(15)の幅方向の両側には、桟部材(15)の端部を上方に折り曲げることで形成された規制部(19)がそれぞれ設けられている。
【0041】
このような構成とすれば、太陽光発電パネル(11)を支持架台(12)の回動部材(13)に載置したときに、太陽光発電パネル(11)の外縁部が規制部(19)に当接して移動が規制されるので、太陽光発電パネル(11)が支持架台(12)から滑り落ちないように作業者が常に支えておく必要が無く、設置作業を容易に行うことができる。
【0042】
(太陽光パネルユニットの設置方法)
太陽光パネルユニット(10)は、以下のような設置工程、載置工程、仮保持工程、及び取付工程を順に行うことによって、設置される。
【0043】
〈設置工程〉
設置工程では、図1に示すように、設置現場の地中に支柱(20)を埋設することで支持架台(12)を設置する。
【0044】
〈載置工程〉
載置工程では、設置工程で設置された支持架台(12)の桟部材(15)に太陽光発電パネル(11)を載置する。このとき、支持架台(12)の回転軸(S)は、南北方向において北側ほど高くなるように傾斜しているので、太陽光発電パネル(11)は、桟部材(15)に沿って傾斜方向の下側(南側)に移動する。これにより、太陽光発電パネル(11)の外縁部は、補強部材(17)の下端部に立設した規制部(19)に当接する。
【0045】
〈仮保持工程〉
仮保持工程では、図2及び図3に示すように、太陽光発電パネル(11)の自重によって回転軸(S)周りに支持架台(12)を傾ける。図2及び図3に示す例では、支持架台(12)の回動部材(13)を西側に傾けている。これにより、太陽光発電パネル(11)が桟部材(15)に沿って西側に移動し、太陽光発電パネル(11)の外縁部が桟部材(15)の西側(図2で左側)の規制部(19)に当接することで、太陽光発電パネル(11)を支持架台(12)に仮保持する。
【0046】
〈取付工程〉
取付工程では、仮保持工程で仮保持されている太陽光発電パネル(11)を支持架台(12)に取り付ける。具体的には、図4に示すクランプ部材(21)を用いる。
【0047】
クランプ部材(21)は、断面コ字状に折り曲げられた板状の部材で構成されている。そして、クランプ部材(21)の上側板(21a)の先端部には、締結ナット(22)が溶接固定されている。クランプ部材(21)の下側板(21b)の先端部には、締結ナット(22)に対応する位置に挿通孔(21c)が形成されている。
【0048】
図5に示すように、太陽光発電パネル(11)の下面の周縁部には、フレーム枠(23)が設けられている。フレーム枠(23)は、内周側が開口した断面コ字状の部材で構成されている。フレーム枠(23)には、挿通孔(図示省略)が形成されている。
【0049】
南側に配設されている桟部材(15)は、南側が開口した断面コ字状の部材で構成されている。桟部材(15)の上面には、フレーム枠(23)の挿通孔に対応する位置に挿通孔(図示省略)が形成されている。桟部材(15)の下面には、挿通孔に対応する位置に貫通孔(15a)が形成されている。
【0050】
そして、太陽光発電パネル(11)のフレーム枠(23)を桟部材(15)に載置させ、互いの挿通孔の位置を合わせた状態で、クランプ部材(21)によってフレーム枠(23)と桟部材(15)とを挟み込む。このとき、クランプ部材(21)の締結ナット(22)は、フレーム枠(23)側に隠れるように配置されている。
【0051】
さらに、桟部材(15)の貫通孔(15a)から締結ボルト(24)を差し込むことで、締結ボルト(24)を桟部材(15)及びフレーム枠(23)の挿通孔に挿通させて、クランプ部材(21)の締結ナット(22)に締結させる。これにより、太陽光発電パネル(11)が桟部材(15)に取り付けられる。なお、桟部材(15)の貫通孔(15a)は、締結ボルト(24)を差し込むためだけに形成された孔であるため、貫通孔(15a)を形成する代わりに、桟部材(15)の下面の一部を切り欠いた形状としてもよい。
【0052】
このような手順で太陽光発電パネル(11)を支持架台(12)に載置することで、太陽光発電パネル(11)が支持架台(12)から滑り落ちないように作業者が常に支えておく必要が無く、設置作業を容易に行うことができる。
【0053】
なお、本実施形態では、太陽光発電パネル(11)の自重によって支持架台(12)の回動部材(13)を最大角度まで回動させるようにしているが、図6に示すように、地中に予め別の杭(35)を打ち込んでおき、支持架台(12)が傾いたときに、杭(35)の上端に桟部材(15)を当接させるようにしてもよい。このようにすれば、杭(35)の高さを調整することで、作業者が設置作業を行いやすい角度となるように、支持架台(12)の傾斜角度を調整することができる。
【0054】
《実施形態2》
以下、前記実施形態1と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0055】
(太陽光パネルユニットの設置方法)
太陽光パネルユニット(10)は、以下のような設置工程、固定工程、仮保持工程、及び取付工程を順に行うことによって、設置される。
【0056】
〈設置工程〉
設置工程では、図7に示すように、設置現場の地中に支柱(20)を埋設することで支持架台(12)を設置する。
【0057】
〈固定工程〉
固定工程では、固定治具(30)を用いて支持架台(12)を回転軸(S)周りに傾けた姿勢で固定する。具体的に、固定治具(30)は、桟部材(15)の幅方向の一端部(図7に示す例では、西側の端部)に吊り下げられた重量部材(31)で構成されている。これにより、支持架台(12)の回動部材(13)は、西側に傾いた姿勢で固定される。
【0058】
〈仮保持工程〉
仮保持部では、固定工程で傾けられた支持架台(12)に太陽光発電パネル(11)を載置することで、太陽光発電パネル(11)が桟部材(15)に沿って西側に移動し、太陽光発電パネル(11)の外縁部が桟部材(15)の西側の規制部(19)に当接する。また、支持架台(12)の回転軸(S)は、南北方向において北側ほど高くなるように傾斜しているので、太陽光発電パネル(11)は、桟部材(15)に沿って傾斜方向の下側(南側)に移動し、太陽光発電パネル(11)の外縁部が補強部材(17)の下端部に立設した規制部(19)に当接する。これにより、太陽光発電パネル(11)を支持架台(12)に仮保持する。
【0059】
〈取付工程〉
取付工程では、仮保持工程で仮保持されている太陽光発電パネル(11)を支持架台(12)に取り付ける。具体的な取付構造については、前記実施形態1と同様である。
【0060】
このような手順で太陽光発電パネル(11)を支持架台(12)に載置することで、太陽光発電パネル(11)が支持架台(12)から滑り落ちないように作業者が常に支えておく必要が無く、設置作業を容易に行うことができる。
【0061】
なお、本実施形態では、固定治具(30)の一例として、重量部材(31)を桟部材(15)に吊り下げるようにした形態について説明したが、この形態に限定するものではない。
【0062】
例えば、図8に示すように、固定治具(30)として、下方が開口するように折り曲げられたU字状部材(32)を用意し、桟部材(15)の幅方向の端部にU字状部材(32)を引っ掛けるとともに、U字状部材(32)の先端部を地中に埋め込むことで、支持架台(12)を回転軸(S)周りに傾けた姿勢で固定するようにしてもよい。
【0063】
また、図9に示すように、固定治具(30)として、一端が桟部材(15)に巻き付けられ、他端が支柱(20)に巻き付けられたロープ部材(33)を用意し、ロープ部材(33)によって桟部材(15)を支柱(20)側に引っ張ることで、支持架台(12)を回転軸(S)周りに傾けた姿勢で固定するようにしてもよい。
【0064】
また、図6で説明したような別の杭(35)を予め地中に埋め込んでおき、桟部材(15)と杭(35)とを連結させることで、支持架台(12)を回転軸(S)周りに傾けた姿勢で固定するようにしてもよい。
【0065】
《実施形態3》
図10は、本実施形態3に係る太陽光パネルユニットの構成を示す正面図である。図10に示すように、太陽光パネルユニット(10)は、後述するアクチュエータ機構(40)が設けられてアクチュエータ(50)によって太陽光発電パネル(11)が回転軸(S)周りに回動するように駆動される。
【0066】
そして、図11に示すように、アクチュエータ機構(40)が設けられた第1太陽光パネルユニット(10a)と、アクチュエータ機構(40)が設けられていない第2太陽光パネルユニット(10b)とが、連結ロッド(26)によって互いに連結されている。
【0067】
連結ロッド(26)は、それぞれのリンク部材(25)同士を連結する円管状の部材である。それぞれの連結ロッド(26)は、リンク部材(25)の下端付近に、回転自在にピン連結されている。第1太陽光パネルユニット(10a)において、太陽光発電パネル(11)が揺動すると、この太陽光発電パネル(11)とともに、リンク部材(25)が回転軸(S)周りに揺動し、連結ロッド(26)が東西方向に変位する。その結果、それぞれの第2太陽光パネルユニット(10b)においても太陽光発電パネル(11)が揺動する。
【0068】
なお、第1太陽光パネルユニット(10a)と第2太陽光パネルユニット(10b)とは、アクチュエータ(50)を含むアクチュエータ機構(40)を有するか否かを除いては実質的に同じように構成されている。
【0069】
複数の太陽光パネルユニット(10)は、東西方向に一直線上に並ぶ設置位置に、互いの太陽光発電パネル(11)の回転軸(S)が平行となるように設置されることで、所謂メガソーラーシステムと呼ばれる大規模な太陽光発電システム(1)が構築される。
【0070】
〈アクチュエータ機構〉
図10に示すように、アクチュエータ機構(40)は、アクチュエータ(50)と、アクチュエータ(50)の出力軸(55)の回転力を太陽光発電パネル(11)に伝達する伝達機構(43)とを有している。
【0071】
アクチュエータ(50)は、本実施形態では、回転式の空気圧アクチュエータによって構成されている。アクチュエータ(50)の詳細な構造については後述するが、空気圧によって出力軸(55)を回転させることによって回転力を出力するように構成されている。
【0072】
アクチュエータ(50)には、空気圧縮機(45)と、空気タンク(46)と、三方向切換弁(47)とが接続されている。三方向切換弁(47)の切り換え動作は、制御部(48)によって制御される。
【0073】
空気圧縮機(45)は、所定圧力の圧力空気を吐出するように構成されている。空気タンク(46)は、空気圧縮機(45)から吐出された圧力空気を貯留し、圧力空気を三方向切換弁(47)に供給している。
【0074】
三方向切換弁(47)は、制御部(48)による制御に応答して、アクチュエータ(50)と、空気タンク(46)又は大気との間の空気通路を切り換え可能に構成されている。
【0075】
伝達機構(43)は、基端がアクチュエータ(50)の出力軸(55)に連結された第1伝達部材(43a)と、第1伝達部材(43a)の先端に基端がピン部材によって連結され、先端が回動部材(13)の桟部材(15)にピン部材によって連結された第2伝達部材(43b)とを有している。
【0076】
アクチュエータ(50)が作動すると、第1伝達部材(43a)が出力軸(55)の回転に伴って出力軸(55)周りに回動し、これにより、第2伝達部材(43b)の基端が出力軸(55)周りに回動する。このような第2伝達部材(43b)により、太陽光発電パネル(11)の第2伝達部材(43b)の先端との連結部分が押し上げられる又は引き下げられる。
【0077】
このようにして、出力軸(55)の回転力が伝達機構(43)によって太陽光発電パネル(11)に伝達され、太陽光発電パネル(11)が回転軸(S)周りに回動する。
【0078】
〈アクチュエータの構造〉
アクチュエータ(50)は、シリンダ本体(51)と、シリンダ本体(51)内に摺動自在に嵌め込まれた左右一対のピストン(52)と、ピストン(52)の移動に伴って太陽光発電パネル(11)を揺動させる出力軸(55)とを有する。
【0079】
シリンダ本体(51)には、第1の給排口(51a)及び第2の給排口(51b)が形成されている。左右一対のピストン(52)は、シリンダ本体(51)の内部空間が3つの空間に区画されるように所定の間隔をあけて配置されている。これにより、シリンダ本体(51)の左側壁と左側のピストン(52)との間、及びシリンダ本体(51)の右側壁と右側のピストン(52)との間の2つの空間を一体とした第1のシリンダ室(56)が形成され、左右一対のピストン(52)の間に第2のシリンダ室(57)が形成される。
【0080】
第1の給排口(51a)は、第1のシリンダ室(56)に連通している。第2の給排口(51b)は、第2のシリンダ室(57)に連通している。
【0081】
第2のシリンダ室(57)には、左右一対の可動支持板(53)と、可動支持板(53)に取り付けられた係合ピン(53a)と、駆動板(54)とが配設されている。
【0082】
左右一対の可動支持板(53)は、細長の矩形板状に形成され、シリンダ本体(51)の幅方向において互いに対向するように配置されている。また、左右一対の可動支持板(53)の基端部は、左右一対のピストン(52)にそれぞれ固定されている。
【0083】
係合ピン(53a)は、左右一対の可動支持板(53)の先端部にそれぞれ立設されている。駆動板(54)は、細長の矩形板状に形成され、第2のシリンダ室(57)の中央部に配置されている。また、駆動板(54)の両端部には、係合ピン(53a)と係合可能な凹状の係合溝(54a)がそれぞれ形成されている。
【0084】
出力軸(55)は、その軸心が駆動板(54)に対して垂直となるように、シリンダ本体(51)を貫通して駆動板(54)の中央部に固定されている。出力軸(55)の一端部及び他端部は、シリンダ本体(51)の一端面及び他端面からそれぞれ突出するように延びている。
【0085】
第1の給排口(51a)が空気タンク(46)と連通し、第2の給排口(51b)が大気と連通すると、第1の給排口(51a)から第1のシリンダ室(56)内に圧力空気が供給され、第2のシリンダ室(57)から第2の給排口(51b)を経由して大気に圧力空気が排出される。
【0086】
これにより、左右一対のピストン(52)は、互いに近づく方向に移動する。このとき、左右一対の可動支持板(53)も互いに近づく方向に移動する。そして、可動支持板(53)の先端部に設けられた係合ピン(53a)と駆動板(54)の係合溝(54a)との係合により、駆動板(54)及び出力軸(55)が反時計回りに回転(揺動)する。
【0087】
一方、第1の給排口(51a)が大気と連通し、第2の給排口(51b)が空気タンク(46)と連通すると、空気タンク(46)から第2の給排口(51b)を経由して第2のシリンダ室(57)に圧力空気が供給され、第1のシリンダ室(56)から第1の給排口(51a)を経由して大気に圧力空気が排出される。
【0088】
これにより、左右一対のピストン(52)は、互いに離間する方向に移動する。このとき、左右一対の可動支持板(53)も互いに離間する方向に移動する。そして、可動支持板(53)の先端部に設けられた係合ピン(53a)と駆動板(54)の係合溝(54a)との係合により、駆動板(54)及び出力軸(55)が時計回りに回転(揺動)する。
【0089】
(太陽光パネルユニットの設置方法)
複数の太陽光パネルユニット(10)は、以下のような設置工程、連結工程、閉塞工程、仮保持工程、及び取付工程を順に行うことによって、設置される。
【0090】
〈設置工程〉
設置工程では、図11に示すように、設置現場の地中に支柱(20)を埋設することで、東西方向に一直線状に並ぶように複数の支持架台(12)を設置する。
【0091】
〈連結工程〉
連結工程では、複数の支持架台(12)同士を連結ロッド(26)を用いて連結する。これにより、アクチュエータ(50)の動作に連動して複数の支持架台(12)が回転軸(S)周りに回動する。また、連結ロッド(26)の重量が支持架台(12)の回動部材(13)に加わることにより、回動部材(13)の重心位置が低くなるので、回動部材(13)を水平姿勢で安定させることができる。
【0092】
〈閉塞工程〉
閉塞工程では、図10に示すように、アクチュエータ(50)の第1の給排口(51a)及び第2の給排口(51b)の両方が閉塞されるように、三方向切換弁(47)を切り換える。これにより、アクチュエータ(50)の空気バネ作用によって、支持架台(12)の回動部材(13)を水平姿勢に維持することができる。なお、閉塞工程を行う前に、アクチュエータ(50)によって、太陽光発電パネル(11)の設置作業を行いやすい姿勢に支持架台(12)を傾けておいてもよい。
【0093】
〈仮保持工程〉
仮保持工程では、図11に示すように、支持架台(12)の桟部材(15)に太陽光発電パネル(11)を載置する。このとき、支持架台(12)の回動部材(13)は、アクチュエータ(50)の空気バネ作用によって水平姿勢に維持される。そして、支持架台(12)の回転軸(S)は、南北方向において北側ほど高くなるように傾斜しているので、太陽光発電パネル(11)は、桟部材(15)に沿って傾斜方向の下側(南側)に移動する。これにより、太陽光発電パネル(11)の外縁部は、補強部材(17)の下端部に立設した規制部(19)に当接することで、太陽光発電パネル(11)を支持架台(12)に仮保持する。
【0094】
〈取付工程〉
取付工程では、仮保持工程で仮保持されている太陽光発電パネル(11)を支持架台(12)に取り付ける。具体的な取付構造については、前記実施形態1と同様である。
【0095】
このような手順で太陽光発電パネル(11)を支持架台(12)に載置することで、アクチュエータ(50)の空気バネ作用によって、支持架台(12)を水平姿勢に維持することができるとともに、太陽光発電パネル(11)が支持架台(12)から滑り落ちないように作業者が常に支えておく必要が無く、設置作業を容易に行うことができる。
【0096】
《その他の実施形態》
前記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0097】
本実施形態では、桟部材(15)の幅方向の両側に規制部(19)をそれぞれ設けているが、桟部材(15)の幅方向の一方側にのみ設けても構わない。この場合には、太陽光発電パネル(11)を支持架台(12)に載置させたときに、支持架台(12)の回動部材(13)を規制部(19)が設けられている側に傾けるようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上説明したように、本発明は、太陽光発電パネルの設置作業を容易に行うことができるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0099】
10 太陽光パネルユニット
11 太陽光発電パネル
12 支持架台
19 規制部
26 連結ロッド
30 固定治具
50 アクチュエータ
51a 第1の給排口
51b 第2の給排口
S 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11