(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記レペティションレバーの回動中心と前記ジャックが前記レペティションレバーと交差する部位とを結ぶ延長線上に、前記ジャック延設部における前記第2当接部が配置される、請求項3に記載のサポートアセンブリ。
前記レペティションレバーは延設部を有し、前記延設部の一端に前記第1の当接部が含まれ、前記ジャックは、ジャック延設部を有し、前記ジャック延設部に前記第2当接部が含まれる、請求項1に記載のサポートアセンブリ。
前記第1当接部と前記第2当接部とが、前記レペティションレバー及び前記ジャックの回動を規制するレギュレーティング部の同一面に当接する、請求項1に記載のサポートアセンブリ。
前記サポートの回動中心と、前記レペティションレバー及び前記ジャックの回動を規制するレギュレーティング部を結ぶ半径上に、前記第1当接部と前記第2当接部が配置されている、請求項1に記載のサポートアセンブリ。
前記レペティションレバーと前記ジャックとは、少なくとも前記第1当接部と前記第2当接部が重なるように設けられた部位において、一方が他方を挟むように設けられている、請求項1に記載のサポートアセンブリ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態におけるサポートアセンブリを含む鍵盤装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、B等を付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率(各構成間の比率、縦横高さ方向の比率等)は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。
【0020】
<第1実施形態>
[鍵盤装置1の構成]
本発明の第1実施形態における鍵盤装置1は、本発明に係るサポートアセンブリの一例を電子ピアノに適用した例である。この電子ピアノは、鍵の操作時にグランドピアノに近いタッチ感を得るために、グランドピアノが備えているサポートアセンブリに近い構成を備えている。
図1を用いて、本発明の第1実施形態に係る鍵盤装置1の概要を説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る鍵盤装置1の機械構成を示す側面図である。
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る鍵盤装置1は、複数の鍵110(この例では88鍵)及び鍵110の各々に対応したアクション機構を備える。アクション機構は、サポートアセンブリ20a、ハンマシャンク310、ハンマ320及びハンマストッパ410を備える。なお、
図1では、鍵110が白鍵である場合を示しているが、黒鍵であっても同様である。また、以下の説明において、演奏者手前側、演奏者奥側、上方、下方、側方等の向きを表す用語は、鍵盤装置を演奏者側から見た場合の向きとして定義される。例えば、
図1で示す例において、サポートアセンブリ20aは、ハンマ320から見て演奏者手前側に配置され、鍵110から見て上方に配置されている。側方は、鍵110が配列される方向に対応する。
【0022】
鍵110は、バランスレール910によって回動可能に支持されている。鍵110は、
図1に示すレスト位置からエンド位置までの範囲で回動する。鍵110は、キャプスタンスクリュー120を備えている。サポートアセンブリ20aは、サポートフレンジ290に回動可能に接続され、キャプスタンスクリュー120上に載置されている。サポートフレンジ290は、サポートレール920に固定されている。サポートアセンブリ20の詳細の構成は後述する。なお、サポートフレンジ290およびサポートレール920は、サポートアセンブリ20の回動の基準となるフレームの一例である。フレームは、サポートフレンジ290およびサポートレール920のように複数の部材で形成されていてもよいし、一つ部材で形成されていてもよい。フレームは、サポートレール920のように鍵110の配列方向に長手を有するレール状の部材であってもよいし、サポートフレンジ290のように鍵110毎に独立した部材であってもよい。
【0023】
ハンマシャンク310は、シャンクフレンジ390に回動可能に接続されている。ハンマシャンク310は、ハンマローラ315を備えている。ハンマシャンク310は、ハンマローラ315を介して、サポートアセンブリ20a上に載置されている。シャンクフレンジ390は、シャンクレール930に固定されている。ハンマ320は、ハンマシャンク310の端部に固定されている。レギュレーティング部360は、サポートアセンブリ20aの一部と当接面が当接するように、シャンクレール930に固定されている。レギュレーティング部360はアジャスターにより、サポートアセンブリ20aが当接面する位置(高さ)を調節できるようになっている。ハンマストッパ410は、ハンマストッパレール940に固定されて、ハンマシャンク310の回動を規制する位置に配置されている。
【0024】
センサ510は、ハンマシャンク310の位置及び移動速度(特にハンマシャンク310がハンマストッパ410に衝突する直前の速度)を測定するためのセンサである。センサ510は、センサレール950に固定されている。この例では、センサ510はフォトインタラプタである。ハンマシャンク310に固定された遮蔽板520がフォトインタラプタの光軸を遮蔽する量に応じて、センサ510からの出力値が変化する。この出力値に基づいて、ハンマシャンク310の位置及び移動速度を測定することができる。なお、センサ510に代えて、またはセンサ510と共に、鍵110の操作状態を測定するためのセンサが設けられてもよい。
【0025】
上述したサポートレール920、シャンクレール930、ハンマストッパレール940及びセンサレール950は、ブラケット900に支持されている。
【0026】
[サポートアセンブリ20aの構成]
図2は、本発明の第1実施形態におけるサポートアセンブリ20aの構成を示す側面図である。
図3は、本発明の第1実施形態におけるサポートアセンブリを分解した一部の構成を示す側面図である。各構成要素の特徴がわかりやすくなるように、
図3(a)はサポートアセンブリ20aからジャック250及びねじりコイルスプリング280を除外した図であり、
図3(b)はジャック250のみを示した図である。
【0027】
サポートアセンブリ20aは、サポート210、レペティションレバー240、ジャック250、ねじりコイルスプリング280を備える。サポート210とレペティションレバー240とは、可撓部220を介して結合している。可撓部220によって、レペティションレバー240は、サポート210に対して回動可能に支持されている。
【0028】
なお、サポート210とレペティションレバー240との結合は、可撓部220として例示される薄板状のものに限定されず、蝶番のような回動可能な部材で代替されていてもよい。サポート210とレペティションレバー240との結合に関しては、例えば、従来のサポートアセンブリで用いられるレペティションフレンジによるものであってもよい。
【0029】
サポート210及びレペティションレバー240は、ねじりコイルスプリング280及び他の部材と衝突する部分に設けられたゴム材以外は、射出成形などによって製造された樹脂製の構造体であってもよい。この例では、サポート210及びレペティションレバー240は一体形成されている。なお、サポート210及びレペティションレバー240を個別の部品として形成し、それらを接着又は接合させてもよい。
【0030】
サポート210は、一端側に貫通孔2109が形成され、他端側にジャック支持部2105が形成されている。サポート210は、貫通孔2109とジャック支持部2105との間において、下方に突出するサポートヒール212及び上方に突出するスプリング支持部218を備える。貫通孔2109は、サポートフレンジ290に支持される軸が通される。これによって、サポート210は、サポートフレンジ290及びサポートレール920に対して回動可能に配置される。サポートヒール212は、その下面において、上述したキャプスタンスクリュー120と接触する。スプリング支持部218は、ねじりコイルスプリング280を支持する。ジャック支持部2105は、ジャック250を回動可能に支持する。
【0031】
貫通孔2109とジャック支持部2105との間には、サポートヒール212よりジャック支持部2105側において空間SPが存在する。説明の便宜上、サポート210が、貫通孔2109側から第1本体部2101、屈曲部2102、第2本体部2103の各領域に区分する。この場合、第1本体部2101と第2本体部2103とを結合する屈曲部2102によって、第2本体部2103は第1本体部2101よりも鍵110に近い側(下方)に配置される。ジャック支持部2105が第2本体部2103から上方に突出する。この区分によれば、上記の空間SPは、第2本体部2103の上方において、屈曲部2102とジャック支持部2105と挟まれた領域に対応する。また、サポート210の端部(第2本体部2103側の端部)には、ストッパ216が結合している。
【0032】
レペティションレバー240には、スプリング接触部242及び延設部244が結合されている。スプリング接触部242及び延設部244はレペティションレバー240からサポート210側へ延びている。スプリング接触部242は、ねじりコイルスプリング280の第1アーム2802と接触する。レペティションレバー240及び延設部244は、ジャック250の両側面の側から挟み込む2枚の板状の部材を含む。この例では、この2枚の板状の部材によって挟まれた空間の少なくとも一部において、延設部244とジャック250とが摺接している。
【0033】
延設部244は、内側部2441、外側部2442、結合部2443及びストッパ接触部2444を含む。内側部2441は、レペティションレバー240においてジャック大2502よりも演奏者奥側(可撓部220側)に結合されている。内側部2441とレペティションレバー240とが結合されている部分にはリブ246が設けられている。内側部2441は、ジャック大2502を挟み込んで交差し、ジャック大2502よりも演奏者手前側(可撓部220とは反対側)まで延在している。つまり、延設部244はジャック250と交差している、ということもできる。内側部2441は、ジャック大2502を挟み込む部分において、ジャック大2502側に突出する線形状の突起部P1を備える(
図3(a−1)A−A’断面参照)。
【0034】
外側部2442は、レペティションレバー240においてジャック250(ジャック大2502)よりも演奏者手前側(可撓部220とは反対側)に結合されている。内側部2441と外側部2442とは、結合部2443において結合されている。結合部2443は、ジャック小2504を挟み込んでいる。ストッパ接触部2444は、結合部2443に結合し、ストッパ216の下方から接触する。これによれば、ストッパ216はレペティションレバー240とサポート210とが拡がる方向(上方)へのレペティションレバー240の回動範囲を規制する。換言すると、延設部244はレペティションレバー240の回動中心からジャック250側においてレペティションレバー240に接続され、ストッパ216に対してストッパ216の下方から接触する。ここで、ストッパ216はジャック250の回動中心よりも下方において、サポート210に接続されている。
【0035】
ジャック250は、ジャック大2502、ジャック小2504及び突出部256を備える。ジャック大2502とジャック小2504との間において、ジャック支持部2105に回動可能に支持されるためのサポート接続部2505が形成されている。サポート接続部2505は、ジャック支持部2105の一部を囲む形状であり、ジャック250の回動範囲を規制する。また、サポート接続部2505の形状とその素材の弾性変形により、ジャック250は、ジャック支持部2105の上方から嵌めることができる。突出部256は、ジャック大2502からジャック小2504とは反対側に突出し、ジャック250と共に回動する。突出部256は、その側面にスプリング接触部2562を備える。スプリング接触部2562は、ねじりコイルスプリング280の第2アーム2804と接触する。
【0036】
ジャック大2502は、両側面から突出する線形状の突起部P2を備える(
図3(b−1)B−B’断面参照)。突起部P2は、上述した内側部2441の突起部P1と摺接する。ジャック小2504は、両側面から突出する円形状の突起部P3を備える(
図3(b−2)C−C’断面参照)。突起部P3は、上述した結合部2443の内面と摺接する。このように突起部P1、P2、P3を介してジャック250と延設部244とが摺接することで、接触面積を減らしている。なお、
図3(c)に示すように、複数の突起部P2によって溝部V2を形成することにより、グリス溜りを形成してもよい。また、
図3(d)に示すように、ジャック大2502の側面形状において、突起部P2または溝部V2を有するようにしてもよい。
【0037】
内側部2441の突起部P1とジャック大2502の突起部P2とが摺接することで、延設部2442とジャック大2502が相互に干渉してレペティションレバー240の横振れが抑制される。このとき、突起部P1と突起部P2が、レペティションレバー240とジャック250の回動範囲内で摺接するように線状に延びる形状を有していることで、サポートアセンブリ20の動作が安定化する。
【0038】
ねじりコイルスプリング280は、スプリング支持部218を支点とし、第1アーム2802がスプリング接触部242と接触し、第2アーム2804がスプリング接触部2562と接触する。第1アーム2802は、レペティションレバー240の演奏者側を上方(サポート210から離れる方向)に移動するように、スプリング接触部242を介してレペティションレバー240に回動力を付与する弾性体として機能する。第2アーム2804は、突出部256が下方(サポート210に近づく方向)に移動するように、スプリング接触部2562を介してジャック250に回動力を付与する弾性体として機能する。
【0039】
レペティションレバー240に結合される延設部244は、第1当接部2445を含んでいる。第1当接部2445は結合部2443に配置され、レペティションレバー240が回動したとき、レギュレーティング部360と当接する位置に設けられている。レペティションレバー240は、延設部244の一端に第1当接部2445が設けられることにより、押鍵に伴う回動の動作範囲が規制される。
【0040】
ジャック250は第2当接部2506を含んでいる。第2当接部2506は、ジャック小2504に配置され、ジャック250が回動したとき、レギュレーティング部360と当接する位置に設けられている。第2当接部2506は、ハンマが打ち上げられたとき、ジャック250の上部がハンマローラ315から外れる動作を支援する。
【0041】
本実施形態において、ジャック小2504は、結合部2443によって両側から挟み込まれている。なお、本実施形態では、結合部2443がジャック小2504を挟み込む構造を例示するが、本発明はこの構造に限定されない。延設部244とジャック250との関係において、ジャック250が延設部244を挟む構造としてもよい。すなわち、ジャック小2504が結合部2443を挟む込む構造とされていてもよい。このように、一方の部材が他方の部材を挟み込む構造によって、第1当接部2445と第2当接部2506を重ねて設けることができる。
【0042】
第1当接部2445と第2当接部2506とは、双方が同じレギュレーティング部360に当接する。すなわち、従来のアクション機構において、レギュレーティングスクリュー及びレギュレーティングボタンの少なくとも二つの当接面が必要であったものが、本実施形態では一つに集約することができる。この場合、第1当接部2445と第2当接部2506とは、レギュレーティング部360の同一面に当接することが好ましい。それにより、レギュレーティング部360の当接面を小型化することができる。なお、第1当接部2445と第2当接部2506とが当接する箇所は、レギュレーティング部360の同一面内の同一箇所に限定されず相互にずれていてもよい。第1当接部2445と第2当接部2506とが当接する箇所は、レギュレーティング部360の同一面の一平面に限定されず、以下に述べるように、段差等を含む形状であってもよい。
【0043】
また、レギュレーティング部360が、第1当接部2445及び第2当接部2506と当接する面は平面であることが好ましい。それにより、レギュレーティング部360の構造は簡略化され、当接面の位置調整が容易となる。また、他の態様として、レギュレーティング部360の当接面は、第1当接部2445及び第2当接部2506が配置される位置やその形態に応じて、段差部を含む形状、曲面形状、傾斜面形状等を有していてもよい。サポートアセンブリにおける第1当接部2445及び第2当接部2506の配置される位置、形態に応じて、レギュレーティング部360の当接面の形態を適合させることで、サポートアセンブリに設計の自由度を与えることができる。いずれにしてもレギュレーティング部360は、第1当接部2445と第2当接部2506が当接する位置を同時に調整可能な形態であればよい。このようなレギュレーティング部360の態様は、第4実施形態及び第5実施形態においても例示されている。
【0044】
本実施形態において、サポートアセンブリの構造は、
図2で示すものに限定されない。例えば、
図4(a)で示すサポートアセンブリ20a_2のように、レペティションレバー240の延設部244において、外側部が省略されていてもよい。延設部244として、内側部2441の一端に結合部2443が結合され、当該結合部に第1当接部2445が含まれていればよい。この構造によっても、結合部2443における第1当接部2445と、ジャック小2504の第2当接部2506とが重なるように設けられていることで、
図2で示すサポートアセンブリ20aと同様の作用効果を奏する。
【0045】
また、
図4(b)で示すサポートアセンブリ20a_3のように、レペティションレバー240の延設部244において、内側部が省略されていてもよい。延設部244として、外側部2442の一端に結合部2443が結合され、当該結合部に第1当接部2445が含まれていれば、結合部2443における第1当接部2445と、ジャック小2504の第2当接部2506とが重なるように設けることができる。それにより、
図2で示すサポートアセンブリ20aと同様の作用効果を奏することができる。
【0046】
[サポートアセンブリ20aの動作]
続いて、鍵110がレスト位置にある状態(
図1)からエンド位置に押下された場合において、サポートアセンブリ20aの動きを説明する。
【0047】
図5は、本発明の第1実施形態におけるサポートアセンブリの動きを説明するための側面図である。鍵110がエンド位置まで押下されると、キャプスタンスクリュー120がサポートヒール212を押し上げて、貫通孔2109の軸を回動中心としてサポート210を回動させる。サポート210が回動して上方に移動すると、ジャック大2502がハンマローラ315を押し上げて、ハンマシャンク310がハンマストッパ410に衝突する。なお、一般的なグランドピアノである場合には、この衝突は、ハンマによる打弦に相当する。
【0048】
このときの、サポートアセンブリ20aの動作を
図6(a)及び(b)に示す。
図6(a)は、鍵が押下される前の状態(レスト状態)の、サポート210、レペティションレバー240及びジャック250の状態を示す。この状態では、レペティションレバー240の延設部244におけるストッパ接触部2444は、サポート210のストッパ216と接して保持される。このとき、結合部2443の第1当接部2445と、ジャック小2504の第2当接部2506は、レギュレーション部360から離れている。
【0049】
図6(b)は、鍵が押下されるときの状態(動作状態)を示す。サポート210が回動し、手前側部分が上方に移動する。ハンマシャンク310がハンマストッパ410に衝突する直前に、ジャック小2504の第2当接部2506がレギュレーティング部360に当接し、上方への回動が規制されつつ、さらにサポート210(ジャック支持部2105)が上昇する。そのため、ジャック大2502は、ハンマローラ315から外れるように回動する。レペティションレバー240は、サポート210と共に回動し、結合部2443における第1当接部2445が、第2当接部2506と同じタイミングでレギュレーティング部360と当接する。これにより、レペティションレバー240は、上方への回動が規制されてサポート210に近づくように変位する。すなわち、これらの動作によって、ダブルエスケープメント機構が実現される。
図5は、この状態を示す図である。なお、鍵230をレスト位置に戻していくと、レペティションレバー240によってハンマローラ315が支えられ、ハンマローラ315の下方にジャック大2502が戻る。
【0050】
図6(a)及び(b)は、サポート210の貫通孔2109を回動中心として、当該回動中心とレギュレーティング部360を結ぶ直線R(図中に一点鎖線で示す直線R)を半径とする円周上に、第1当接部2445と第2当接部2506が配置されている態様を示す。第1当接部2445及び第2当接部2506は、サポートアセンブリ20aが回動するとき、この直線Rを半径とする円周に沿って移動する。このように、第1当接部2445と第2当接部2506が同じ円周上を動くようにすることで、レギュレーティング部360を一箇所に集約することができる。それにより、サポートアセンブリ20aの構造の簡略化を図ることが可能となる。
【0051】
本実施形態に係るサポートアセンブリは、レペティションレバー240の回動を制御するための第1当接部2445と、ジャック250の回動を制御するための第2当接部2506とが共に、レギュレーティング部360に当接する構成を有している。レペティションレバー240及びジャック250の双方は、レギュレーション部360の位置を調整することにより、押鍵時の動作範囲を規制することができる。すなわち、レペティションレバー240及びジャック250の二つの部品の動作を、レギュレーティング部360の一箇所で調節することができるので、サポートアセンブリの構造を簡略化しつつ、動作の安定性を高めることができる。また、レペティションレバー240とジャック250の2つの部材の回動を規制するレギュレーティング部360が1つに集約されるので、位置合わせの調整が簡略化され容易となる。
【0052】
また、ジャック250と延設部244とが摺接しているため、ジャック250がレペティションレバー240(及び延設部244)のガイド部としても機能する。そのため、レペティションレバー240が可撓部220に接続されていることに起因して、レペティションレバー240のヨーイング(横ずれ)及びローリング(捻れ)が生じやすくなっていたとしても、これらの現象の発生を抑制することができる。すなわち、ジャック250が回動する面に沿ってレペティションレバー240を回動させることを容易に実現することができる。また、サポート210が回動する面に沿ってジャック250が回動するようにしておけば、サポート210が回動する面に沿ってレペティションレバー240を回動させることも容易に実現することができる。
【0053】
[鍵盤装置1の発音機構]
鍵盤装置1は、上述したように電子ピアノへの適用例であって、鍵110の操作をセンサ510によって測定し、測定結果に応じた音を出力する。
【0054】
図7は、本発明の第1実施形態における鍵盤装置の発音機構の構成を示すブロック図である。鍵盤装置1の発音機構50は、センサ510(88の鍵110に対応したセンサ510−1、510−2、・・・510−88)、信号変換部550、音源部560および出力部570を備える。信号変換部550は、センサ510から出力された電気信号を取得し、各鍵110における操作状態に応じた操作信号を生成して出力する。この例では、操作信号はMIDI形式の信号である。そのため、押鍵操作によってハンマシャンク310がハンマストッパ410に衝突したタイミングに対応して、信号変換部550はノートオンを出力する。このとき、88個の鍵110のいずれが操作されたかを示すキーナンバ、および衝突する直前の速度に対応するベロシティについてもノートオンに対応付けて出力される。一方、離鍵操作がされると、グランドピアノであればダンパによって弦の振動が止められるタイミングに対応して、信号変換部550はキーナンバとノートオフとを対応付けて出力する。信号変換部550には、ペダル等の他の操作に応じた信号が入力され、操作信号に反映されてもよい。音源部560は、信号変換部550から出力された操作信号に基づいて、音信号を生成する。出力部570は、音源部560によって生成された音信号を出力するスピーカまたは端子である。
【0055】
<第2実施形態>
図8は、本発明の第2実施形態におけるサポートアセンブリ20bの構成を示す側面図である。以下に、第1実施形態におけるものと相違する部分について説明する。
【0056】
ジャック250は、ジャック大2502と、ジャック大2502から延設されたジャック延設部2507を含んでいる。本実施形態において、ジャック延設部2507は、ジャック大2502からレペティションレバー240に向かって分岐している。ジャック延設部2507の端部には第2当接部2506が含まれている。
【0057】
レペティションレバー240には、延設部244が結合されている。延設部244は、レペティションレバー240から下方に分岐するように設けられている。延設部244の一端部はストッパ接触部2444と結合している。一方、レペティションレバー240は、第2レギュレーティング部362と当接する第1当接部2445を含んでいる。第2レギュレーティング部362は、レペティションレギュレーティングスクリューとも呼ばれており、
図1で示すようにジャックフレンジ390に設けられている。レペティションレバー240は、第1当接部2445が第2レギュレーティング部362に当接することで回動が制限される。ジャック大2502に設けられたジャック延設部2507は、第2当接部2506が第2レギュレーティング部362と当接するように設けられている。すなわち、本実施形態におけるサポートアセンブリ20bは、レペティションレバー240の第1当接部2445と、ジャック250における第2当接部2506とが、共に第2レギュレーティング部362と当接するように配置されている。
【0058】
サポート210の回動に伴ってレペティションレバー240は可撓部220を中心に回動する。
図8は、このレペティションレバー240の回動中心とジャック大2502がレペティションレバー240と交差する部位とを結ぶ直線M(図中に一点鎖線で示す直線M)上に第2当接部2506が配置されている一例を示す。第1当接部2445は、レペティションレバー240において、この直線M上に重なるように配置される。このような配置により、レペティションレバー240の回動に伴って、第1当接部2445及び第2当接部2506が、共に第2レギュレーティング部362と当接することができる。これにより、サポートアセンブリ20aの構造の簡略化を図ることが可能となる。
【0059】
本実施形態において、レペティションレバー240の第1当接部2445は、ジャック延設部2507の第2当接部2506を挟み、第1当接部2445と第2当接部2506とが重なるように配置されてもよい。また、その逆の構造として、ジャック延設部2507が、第2当接部2506を含む部位において、レペティションレバー240の第1当接部2445を挟むように配置されてもよい。
【0060】
なお、本実施形態において、第1当接部2445と第2当接部2506は、
図8で示す構造に限定されない。第1当接部2445及び第2当接部2506が、同じ第2レギュレーティング部362と当接可能な構造であればよく、例えば、第1当接部2445と第2当接部2506とが、前後又は上下にずれていてもよい。換言すると、第2レギュレーティング部362の位置を調節することにより、第1当接部2445と第2当接部2506の当接位置が制御され、レペティションレバー240とジャック250の回動を規制できる構造であればよい。
【0061】
本実施形態において、ジャック延設部2507は、両側面から突出する円形状の突起部P3が設けられていてもよい。突起部P3は、第1実施形態において
図3(c)で示すものと同様である。突起部P3は、レペティションレバー240の内面と摺接する。本実施形態においても、突起部P1、P2に加え、ジャック延設部2507が突起部P3を有することで、レペティションレバー240の内面と摺接する接触面積を減らしている。突起部P3の先端に凹溝を設け、グリス溜まりを設けてもよい。ジャック小2504に設けられた突起部P3が、レペティションレバー240の内側に接して挟まれることにより、レペティションレバー240の横振れを抑制することができる。
【0062】
本実施形態によれば、従来においてレギュレーティングクリュー及びレギュレーティングボタンの少なくとも二つの部材が必要であったものを、一つに集約することができる。本実施形態で示すサポートアセンブリの形態においても、第1当接部及び第2当接部が、第2レギュレーティング部に当接することにより、第1実施形態と同様の効果を奏するものとなる。
【0063】
<第3実施形態>
図9は、本発明の第3実施形態におけるサポートアセンブリ20cの構成を示す側面図である。以下に、第1実施形態におけるものと相違する部分について説明する。
【0064】
本実施形態において、ジャック250は、ジャック大2502とジャック延設部2507を有する。ジャック延設部2507は、ジャック大2502の長手方向と交差する方向に延び、先端領域に第2当接部2506を含む。ジャック延設部2507において、第2当接部2506は、ジャック250が回動したとき、レギュレーティング部360と当接する位置に設けられている。
【0065】
レペティションレバー240は延設部244と結合されている。延設部244は、内側部2441、外側部2442、結合部2443及びストッパ接触部2444を含む。レペティションレバー240に結合される延設部244は、第1当接部2445を含む。第1当接部2445は結合部2443に配置され、レペティションレバー240が回動したとき、レギュレーティング部360と当接する位置に設けられる。
【0066】
レペティションレバー240の延設部244に設けられる第1当接部2445と、ジャック延設部2507における第2当接部2506とは、少なくとも一部領域が重なるように設けられていてもよい。それにより、第1当接部2445と第2当接部2506とが、レギュレーティング部360の同じ当接面に当接させることができる。なお、
図9では、第1当接部2445が結合部2443に配置される態様を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。第1当接部2445は、レギュレーティング部360と当接可能な位置であれば、延設部244の任意の位置に取り付け可能であり、例えば、外側部2442の一部に配置されてもよい。
【0067】
なお、本実施形態においても、
図3(c)で説明したように、ジャック延設部2507は、両側面から突出する円形状の突起部P3が備えられていてもよい。ジャック延設部2507に突起部P3を設け、結合部2443の内面と摺接することで、接触面積を減らすと共に、レペティションレバー240の横ぶれを抑制することができる。
【0068】
本実施形態においても、第1当接部2445と第2当接部2506が重ねて設けられることで、双方は同じレギュレーティング部360に当接する。これにより、従来において、レギュレーティングクリュー及びレギュレーティングボタンの少なくとも二つの部材が必要であったものを、一つに集約することができ、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0069】
<第4実施形態>
図10は、本発明の第3実施形態におけるサポートアセンブリ20dの構成を示す側面図である。以下に、第1実施形態におけるものと相違する部分について説明する。
【0070】
レペティションレバー240は、延設部244を含み、その結合部2443に第1当接部2445が配置されている。ジャック250は、ジャック大2502とジャック小2504を含み、ジャック小2504に第2当接部2506が配置されている。ジャック小2504の先端は、結合部2443より外側に延びている。第2当接部2506は、ジャック小2504において、結合部2443から外側に出た一端に配置されている。すなわち、第1当接部2445と第2当接部2506とは、相互に離れて配置されている。
【0071】
これに対し、レギュレーティング部360bは、第1当接部2445及び第2当接部2506の双方と当接可能な形態を有し、かつ所定の位置に配置されている。例えば、レギュレーティング部360bは、離間して配置される第1当接部2445と第2当接部2506とが共に当接できるように、幅広の当接面を有している。
【0072】
サポートアセンブリ20dの動作は、第1実施形態で説明したものと同様である。レペティションレバー240における第1当接部2445と、ジャック250における第2当接部2506が、(演奏者から見て)前後方向にずれて配置されていても、双方の当接部が同じレギュレーティング部360bと当接する構造とすることで、第1実施形態と同様に、サポートアセンブリの構造を簡略化しつつ、動作の安定性を高めることができる。すなわち、レギュレーティング部360bの一箇所を調整するだけで、2つの当接部の位置合わせをすることができ、調整が簡略化され容易となる。また、レペティションレバー240とジャック250の2つの部材の回動を規制するレギュレーティング部360bが1つに集約されるので、位置合わせの調整が簡略化され容易となる。
【0073】
なお、レギュレーティング部360bが第1当接部2445及び第2当接部2506と当接する当接面は平坦な面に限定されない。例えば、第1当接部2445及び第2当接部2506に対応して、レギュレーティング部360bの当接面に段差部が含まれていてもよい。当該当接面は、他の形態として、テーパ状に傾斜していてもよい。レギュレーティング部360bの当接面の形態を変化させることにより、レペティションレバー240における第1当接部2445と、ジャック250における第2当接部2506の配置に対し、自由度を与えることができる。また、第1当接部2445と第2当接部2506の前後関係は、
図10に示すものと逆の関係を有していてもよい。
【0074】
<第5実施形態>
図11は、本発明の第3実施形態におけるサポートアセンブリ20eの構成を示す側面図である。以下に、第1実施形態におけるものと相違する部分について説明する。
【0075】
レペティションレバー240は、延設部244を含み、外側部2442に第1当接部2445が配置されている。ジャック250は、ジャック大2502とジャック小2504を含み、ジャック小2504に第2当接部2506が配置されている。
図11では、第1当接部2445が、第2当接部2506に対し上方に設けられている。なお、
図11は例示であり、第1当接部2445と第2当接部2506の上下関係は、逆の関係であってもよい。
【0076】
これに対し、レギュレーティング部360cは、第1当接部2445及び第2当接部2506の双方と当接可能な形態を有し、かつ所定の位置に配置されている。例えば、レギュレーティング部360cは、上下に離間して配置される第1当接部2445と第2当接部2506とが共に当接できるように、複数の当接面を有している。この場合において、レギュレーティング部360cは、複数の当接面が、実質的に一つの部材とみなせる態様に一体化されていることが好ましい。換言すると、レギュレーティング部360cは、第1当接部2445と当接する当接面と、第2当接部2506と当接する当接面とが、段差を介して設けられていても、双方の当接面の位置合わせが同時に可能となるように、一体化されていることが好ましい。
【0077】
サポートアセンブリ20dの動作は、第1実施形態で説明したものと同様であり、第1当接部2445と第2当接部2506の双方が、同じレギュレーティング部360cと当接する構造を有することで、第1実施形態と同様に、サポートアセンブリの構造を簡略化しつつ、動作の安定性を高めることができる。すなわち、レギュレーティング部360cの一箇所を調整するだけで、2つの当接部の位置合わせをすることができ、調整が簡略化され容易となる。また、レペティションレバー240とジャック250の2つの部材の回動を規制するレギュレーティング部360が1つに集約されるので、置合わせの調整が簡略化され容易となる。