特許第6160652号(P6160652)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6160652
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】ケース、および時計
(51)【国際特許分類】
   G04B 37/05 20060101AFI20170703BHJP
【FI】
   G04B37/05 F
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-90945(P2015-90945)
(22)【出願日】2015年4月28日
(62)【分割の表示】特願2012-272929(P2012-272929)の分割
【原出願日】2012年12月14日
(65)【公開番号】特開2015-163898(P2015-163898A)
(43)【公開日】2015年9月10日
【審査請求日】2015年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 和真
(72)【発明者】
【氏名】横尾 一将
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 順一
【審査官】 櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−047791(JP,U)
【文献】 実開平02−133697(JP,U)
【文献】 実開昭61−122586(JP,U)
【文献】 実開昭60−122880(JP,U)
【文献】 実開昭59−082882(JP,U)
【文献】 実開昭56−110368(JP,U)
【文献】 実開昭55−062972(JP,U)
【文献】 米国特許第05237546(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 37/05
37/18
19/00
G04C 3/00
G04G 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能モジュールが組み込まれ、突起部を備えた見切り板が取り付けられるケースであって、
挿入部が設けられた上部ケースと
前記上部ケースの下部に配置される下部ケースと
前記下部ケースの内側かつ前記機能モジュールの外側に配置され、かつ上面の前記挿入部に対応する位置に凹部が設けられた中枠と、
前記中枠の前記凹部は、前記上部ケースに前記見切り板が取り付けられた状態において、前記挿入部から前記見切り板の前記突起部が突出する長以上に設定されている、
ことを特徴とするケース。
【請求項2】
前記上部ケースは内周に鍔状に突起した鍔状突起部を備え、
前記上部ケースの鍔状突起部は、前記上部ケースに前記見切り板が取り付けられた状態において、前記見切り部材の下部に配置され、
前記挿入部は、前記上部ケースの鍔状突起部に設けられている、
ことを特徴とする請求項に記載のケース。
【請求項3】
記上部ケースの鍔状突起部は、前記上部ケースに前記見切り板が取り付けられた状態において、前記中枠の上部に配置される、
とを特徴とする請求項2に記載のケース。
【請求項4】
請求項1乃至の何れか一項に記載のケースと、
時計表示機能を有するモジュールと、
を備えていることを特徴とする時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ケース、および計に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、腕時計においては、特許文献1に記載されているように、腕時計ケースの内周面に鍔状の突起部を時計モジュールと同じ高さ位置で腕時計ケースの内側に向けて突出させて設け、この突起部の上側に見切り板を位置決めして配置すると共に、この鍔状の突起部の下側に中枠を位置決めして配置し、この中枠内に時計モジュールを位置決めすることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−61687号公報
【0004】
このような腕時計は、腕時計ケース内に見切り板および中枠を位置決めするために、腕時計ケースに設けられた鍔状の突起部に位置決め孔を上下に貫通させて設け、この位置決め孔に見切り板の位置決め突起を上方から挿入すると共に、中枠の位置決め突起を下側から挿入することにより、腕時計ケース内に見切り板および中枠を位置決めするように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような腕時計における内装部品の位置決め構造では、腕時計ケース
の突起部に設けられた同一の位置決め孔に見切り板の位置決め突起と中枠の位置決め突起
とを挿入させて、見切り板と中枠とを腕時計ケースに対して位置決めしているので、見切
り板の位置決め突起と中枠の位置決め突起とを位置決め孔を介して位置決めしているため
、位置合わせの精度を高くすることができないという問題がある。
【0006】
また、腕時計ケースの内周面に鍔状の突起部を時計モジュールと同じ高さ位置で腕時計
ケースの内側に向けて突出させて設けているため、時計モジュールの外径が制限されてし
まうという問題がある。
【0007】
この発明が解決しようとする課題は、モジュールの外径が制限されずに、見切り部材を内装部品に対して位置合わせすることができるケース、および時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、機能モジュールが組み込まれ、突起部を備えた見切り板が取り付けられるケースであって、
挿入部が設けられた上部ケースと
前記上部ケースの下部に配置される下部ケースと
前記下部ケースの内側かつ前記機能モジュールの外側に配置され、かつ上面の前記挿入部に対応する位置に凹部が設けられた中枠と、
前記中枠の前記凹部は、前記上部ケースに前記見切り板が取り付けられた状態において、前記挿入部から前記見切り板の前記突起部が突出する長以上に設定されている、
ことを特徴とするケース。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、見切り部材を内装部品に対して正確に位置決めすることができる
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明を指針式の腕時計に適用した一実施形態を示した拡大正面図である 。
図2図1に示された腕時計のA−A矢視における要部の拡大断面図である。
図3図2に示された腕時計を分解して示した拡大斜視図である。
図4図2に示された腕時計のB−B矢視における要部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1図4を参照して、この発明を指針式の腕時計に適用した一実施形態につい
て説明する。
この腕時計は、図1および図2に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時
計ケース1は、上部ケース2と下部ケース3とを有し、この上部ケース2と下部ケース3
とが防水パッキン4を介して上下に接合された構成になっている。
【0012】
この腕時計ケース1の上部開口部、つまり上部ケース2の上部開口部には、図1図3
に示すように、時計ガラス5がパッキン5aを介して取り付けられている。この腕時計ケ
ース1の上部ケース2内における時計ガラス5の下面には、見切り板6が配置されている
。また、この腕時計ケース1の下部ケース3の下部には、裏蓋7が防水リング7aを介し
て取り付けられている。
【0013】
さらに、この腕時計ケース1の3時側に位置する側部には、図1および図3に示すよう
に、押釦スイッチ8が設けられている。この腕時計ケース1の12時側および6時側に位
置する側部には、バンド取付部9がそれぞれ設けられている。また、この腕時計ケース1
の内部、つまり下部ケース1の内部には、図2および図3に示すように、時計モジュール
10が中枠11を介して設けられている。時計モジュール10は、合成樹脂製のハウジン
グ12を備えている。
【0014】
このハウジング12の上面には、図2および図3に示すように、文字板13が配置され
ている。また、このハウジング12には、指針10aを運針させて時刻を指示する時計ム
ーブメントなどの時計機能に必要な各種の部品(いずれも図示せず)が組み込まれている
。この場合、時計ムーブメントは、指針軸10bが文字板13の貫通孔13aを通して上
方に突出し、この突出した指針軸10bの上部に指針10aが取り付けられ、この状態で
指針10aが運針するように構成されている。
【0015】
また、中枠11は、図2および図3に示すように、全体が円筒状に形成され、下部ケー
ス3内にその内周面に沿って配置されるように構成されている。この中枠11内には、時
計モジュール10が位置決めされて配置されている。すなわち、中枠11の内周面におけ
る対角線上に位置する個所には、図2図4に示すように、位置決め凸部11aがそれぞ
れ中枠11の内部に向けて突出して設けられている。
【0016】
この位置決め凸部11aは、図2図4に示すように、それぞれ半円柱状に形成され、
中枠11の内周面における下部にその上下方向に沿って設けられている。また、時計モジ
ュール10の外周面、つまりハウジング12の外周面における対角線上に位置する個所に
は、中枠11の位置決め凸部11aが嵌合する位置決め凹部12aがそれぞれ設けられて
いる。
【0017】
この位置決め凹部12aは、図2図4に示すように、それぞれ半円柱状の溝であり、
ハウジング12の外周面における下部にその上下方向に沿って設けられている。これによ
り、時計モジュール10と中枠11とは、時計モジュール10を中枠11内に上方から挿
入させる際に、時計モジュール10のハウジング12に設けられた位置決め凹部12aに
中枠11の位置決め凸部11aを嵌合させることにより、中枠11内に時計モジュール1
0が位置決めされるように構成されている。
【0018】
すなわち、時計モジュール10と中枠11とは、図2図4に示すように、中枠11の
位置決め凸部11aがハウジング12の位置決め凹部12aに下側から挿入して嵌合する
ことにより、中枠11に対するハウジング12の回転方向における位置が規制されると共
に、中枠11に対するハウジング12の上下方向における位置も規制されるように構成さ
れている。
【0019】
ところで、見切り板6は、図2および図3に示すように、時計ガラス5の下側に位置し
た状態で、腕時計ケース1の上部ケース2内における鍔状突起部14上に配置されるよう
に構成されている。この場合、上部ケース2は、その径方向の肉厚が下部ケース3の径方
向の肉厚よりも薄く形成され、かつ内径が下部ケース3の内径よりも大きく形成されてい
る。
【0020】
このため、鍔状突起部14は、図2に示すように、上部ケース2の内周面における下部
に位置した状態で、下部ケース3の上面から中枠11の上面を経て時計モジュール10の
ハウジング12の上面に亘って突出して設けられている。これにより、防水パッキン4は
、上部ケース2と鍔状突起部14との境界付近に位置する下面と下部ケース3の上面との
間に配置されている。
【0021】
また、見切り板6は、図2および図3に示すように、ステンレスなどの金属からなり、
全体がリング状に形成されている。すなわち、この見切り板6は、鍔状突起部14の上面
における外周側に位置する第1傾斜部6aと、鍔状突起部14の上面における内周側に位
置する平面部6bと、鍔状突起部14の上面から時計モジュール10の文字板13の上面
に向けて傾斜した状態で配置される第2傾斜部6cとを有している。
【0022】
この場合、第1傾斜部6aは、図2に示すように、その上端面が時計ガラス5の下面に
当接し、外周面が上部ケース2の内周面に沿って当接した状態で、下面が鍔状突起部14
の上面に配置されている。平面部6bは、第1傾斜部6aの内周端から鍔状突起部14の
上面に沿って配置されている。第2傾斜部6cは、平面部6bの内周端から文字板13の
上面に向けて傾斜した状態で配置されている。
【0023】
これにより、見切り板6は、図2に示すように、その第1傾斜部6aおよび平面部6b
が上部ケース2の鍔状突起部14上に配置された状態で、第2傾斜部6cの内周側に位置
する下端部が文字板13の上面に当接することにより、時計モジュール10を上方から押
えるように構成されている。
【0024】
また、この見切り板6には、図1および図3に示すように、時刻の時目盛や分目盛など
の目盛15が、平面部6bの上面から第2傾斜部6cの上面に亘って表示されている。
この場合、腕時計ケース1の上面、つまり上部ケース2の上面には、図1に示すように、
タッチメータなどの付属機能の目盛2aが見切り板6の目盛15に対応して表示されてい
る。
【0025】
さらに、この見切り板6は、図2および図3に示すように、中枠11に対して位置決め
されるように構成されている。すなわち、見切り板6の平面部6bの下面における対角線
上の2箇所には、それぞれ位置決めピン16が垂下されて設けられている。この位置決め
ピン16は、ステンレスなどの金属からなり、スポット溶接などの溶接によって見切り板
6の平面部6bに固着されている。
【0026】
一方、腕時計ケース1の鍔状突起部14には、図2および図3に示すように、見切り板
6の位置決めピン16がそれぞれ挿入して突出する挿入孔14aが上下に貫通して設けら
れている。中枠11の上面には、見切り板6の位置決めピン16がそれぞれ挿入して嵌合
する位置決め嵌合凹部17が設けられている。
【0027】
この場合、見切り板6の位置決めピン16は、図2に示すように、その上下方向の長さ
が鍔状突起部14の上下方向の厚みよりも十分に長く形成されている。鍔状突起部14の
挿入孔14aは、その内径が見切り板6の位置決めピン16の外径とほぼ同じ大きさに形
成されている。また、この挿入孔14aは、鍔状突起部14における見切り板6の位置決
めピン16にそれぞれ対応する箇所に設けられている。
【0028】
一方、中枠11の位置決め嵌合凹部17は、図2に示すように、見切り板6の位置決め
ピン16の外径とほぼ同じ大きさの穴部であり、中枠11の上面における見切り板6の位
置決めピン16にそれぞれ対応する箇所に設けられている。この位置決め嵌合凹部17は
、位置決めピン16が見切り板6の面方向にガタツクことなく挿入して嵌着するように構
成されている。
【0029】
これにより、見切り板6と中枠11とは、図2に示すように、見切り板6の位置決めピ
ン16が腕時計ケース1の鍔状突起部14の挿入孔14aを通して中枠11の位置決め嵌
合凹部17に刺し込まれて嵌着することにより、見切り板6が中枠11に対して位置決め
されると共に、腕時計ケース1に対しても位置決めされ、かつ中枠11に対して位置決め
された時計モジュール10に対しても位置決めされるように構成されている。
【0030】
次に、このような腕時計を組み立てる場合について説明する。
まず、上部ケース2と下部ケース3とをその両者の間に防水パッキン4を介して上下に
接合する。これにより、腕時計ケース1が形成される。そして、この腕時計ケース1内に
時計モジュール10を中枠11によって下側から装着すると共に、見切り板6を上側から
装着する。
【0031】
この場合、時計モジュール10は、予め、中枠11内に装着する。このときには、中枠
11内に時計モジュール10を上方から挿入する際に、時計モジュール10のハウジング
12の外周に設けられた位置決め凹部12aを中枠11の内周面に設けられた位置決め凸
部11aに対応させ、この状態で中枠11内に時計モジュール10を上方から挿入させて
、ハウジング12の位置決め凹部12aに中枠11の位置決め凸部11aを嵌合させる。
【0032】
これにより、時計モジュール10が中枠11に対して位置決めされる。このときには、
中枠11の位置決め凸部11aがハウジング12の位置決め凹部12aに嵌合しているこ
とにより、中枠11に対するハウジング12の回転方向における位置が規制されると共に
、中枠11に対するハウジング12の上下方向における位置も規制される。
【0033】
この状態で、中枠11を時計モジュール10と共に腕時計ケース1内に下側から挿入す
る。このときには、中枠11の上面に設けられた位置決め嵌合凹部17を腕時計ケース1
の上部ケース2の鍔状突起部14に設けられた挿入孔14aに対応させ、この状態で中枠
11を時計モジュール10と共に腕時計ケース1の下部ケース3内に下側から挿入して、
中枠11の上面を上部ケース2の鍔状突起部14の下面に当接させる。
【0034】
そして、見切り板6を腕時計ケース1の上部ケース2内に上方から挿入する。このとき
には、見切り板6の下面に設けられた位置決めピン16を上部ケース2の鍔状突起部14
の挿入孔14aに対応させ、この状態で見切り板6を上部ケース2内に上方から挿入する
。すると、見切り板6の位置決めピン16が鍔状突起部14の挿入孔14a内に挿入して
、中枠11の位置決め嵌合凹部17内に刺し込まれる。
【0035】
これにより、見切り板6の第1傾斜部6aが上部ケース2の内周面に沿って密接して配
置された状態で、見切り板6の平面部6bが上部ケース2の鍔状突起部14上に当接して
配置されると共に、見切り板6の第2傾斜部6cの下端部が時計モジュール10上の文字
板13の上面に当接して配置される。このため、文字板13が見切り板6の第2傾斜部6
cの下端部によって上方から押えられるので、時計モジュール10が中枠11内において
上下方向にガタツクことなく固定される。
【0036】
この状態では、見切り板6の位置決めピン16の下端部が、上部ケース2の鍔状突起部
14の挿入孔14aを通して下側に突出し、この突出した下端部が中枠11の位置決め嵌
合凹部17に嵌着する。これにより、見切り板6は中枠11に対して位置決めされると共
に、この中枠11に位置決めされた時計モジュール10に対しても位置決めされる。また
、見切り板6および中枠11は、位置決めピン16が上部ケース2の鍔状突起部14の挿
入孔14aに挿入していることにより、腕時計ケース1に対しても位置決めされる。
【0037】
これにより、組立公差による位置ずれが抑制されるので、見切り板6に表示されている
時目盛や分目盛などの目盛15と、上部ケース2の付属機能の目盛2aとが、正確に位置
合せされると共に、時計モジュール10の指針10aが見切り板6の目盛15および上部
ケース2の目盛2aに対して正確に位置合せされる。この後は、腕時計ケース1の上部ケ
ース2にパッキン5aを介して時計ガラス5を装着する。また、腕時計ケース1の下部に
防水リング7aを介して裏蓋7を取り付ける。これにより、腕時計が組み立てられる。
【0038】
このように、この腕時計によれば、腕時計ケース1と、この腕時計ケース1内に配置さ
れ、かつ上面に位置決め嵌合凹部17が設けられた中枠11と、この中枠11内に位置決
めされた状態で配置された時計モジュール10と、中枠11の上面に対向する下面に中枠
11の位置決め嵌合凹部17に嵌着して中枠11に対し位置決めするための位置決めピン
16が設けられた見切り板6とを備えていることにより、見切り板6を中枠11および時
計モジュール10に対して正確に位置合わせすることができる。
【0039】
すなわち、この腕時計によれば、腕時計ケース1内に配置される中枠11内に時計モジ
ュール10を位置決めして配置した状態で、中枠11の位置決め嵌合凹部17に見切り板
6の位置決めピン16を嵌着させることができるので、見切り板6を中枠11に対して正
確に位置決めすることができると共に、時計モジュール10に対しても正確に位置決めす
ることができる。これにより、見切り板6を中枠11および時計モジュール10に対して
正確に位置合わせすることができる。
【0040】
この場合、腕時計ケース1の内周面には、中枠11と見切り板6との間に配置される鍔
状突起部14が設けられており、この鍔状突起部14には、見切り板6の位置決めピン1
6が挿入する挿入孔14aが設けられていることにより、見切り板6の位置決めピン16
を中枠11の位置決め嵌合凹部17に嵌着させる際に、見切り板6の位置決めピン16を
鍔状突起部14の挿入孔14aに挿入させることができるので、見切り板6および中枠1
1を腕時計ケース1に対しても位置決めすることができる。
【0041】
すなわち、見切り板6の位置決めピン16が鍔状突起部14の挿入孔14aに挿入する
ことにより、見切り板6の位置決めピン16が腕時計ケース1に対して位置決めされるの
で、見切り板6を腕時計ケース1に対して位置決めすることができると共に、この見切り
板6の位置決めピン16によって中枠11を腕時計ケース1に対しても位置決めすること
ができる。
【0042】
また、見切り板6の位置決めピン16が鍔状突起部14の挿入孔14aに挿入している
ことにより、位置決めピン16を鍔状突起部14によって確実にかつ良好に保護すること
ができ、これにより見切り板6を腕時計ケース1の鍔状突起部14上に確実にかつ良好に
固定することができる。このため、落下などによる衝撃を受けても、見切り板6および中
枠11が腕時計ケース1に対して回転方向に位置ずれするのを確実に防ぐことができる。
【0043】
さらに、見切り板6の位置決めピン16が鍔状突起部14の挿入孔14aに挿入するこ
とにより、見切り板6を腕時計ケース1の内面に接近させることができると共に、見切り
板6の位置決めピン16を時計モジュール10の外周よりも外側に配置することができ、
これにより時計モジュール10が位置決めピン16によって制約を受けることがないので
、腕時計全体における表示領域を大きくすることができる。
【0044】
また、この腕時計では、中枠11の内周面に位置決め凸部11aが設けられ、時計モジ
ュール10のハウジング12の外周面に位置決め凹部12aが設けられていることにより
、中枠11内に時計モジュール10を配置する際に、中枠11の位置決め凸部11aをハ
ウジング12の位置決め凹部12aに係合させることができる。これにより、中枠11内
に時計モジュール10を正確に位置合わせして配置することができるので、中枠11を介
して見切り板6を時計モジュール10に対して正確に位置合わせすることができる。
【0045】
この場合、中枠11の位置決め凸部11aは、中枠11の内周面における下部にその上
下方向に沿って半円柱状に設けられ、ハウジング12の位置決め凹部12aは、ハウジン
グ12の外周面における下部にその上下方向に沿って半円柱の溝状に設けられているので
、時計モジュール10を中枠11内に上方から挿入させて、ハウジング12の位置決め凹
部12aに中枠11の位置決め凸部11aを嵌合させることにより、中枠11内に時計モ
ジュール10を正確に位置合せすることができる。
【0046】
すなわち、時計モジュール10と中枠11とは、中枠11の位置決め凸部11aがハウ
ジング12の位置決め凹部12aに下側から挿入して嵌合することにより、中枠11に対
するハウジング12の回転方向における位置を正確に規制することができると共に、中枠
11に対するハウジング12の上下方向における位置も規制することができる。このため
、中枠11内に時計モジュール10を正確に位置合せすることができるので、この中枠1
1を介して見切り板6を時計モジュール10に対して正確に位置合わせすることができる
【0047】
さらに、この腕時計では、腕時計ケース1が上部ケース2と下部ケース3とを備え、上
部ケース2内に見切り板6が配置され、下部ケース3内に中枠11が配置されていること
により、腕時計ケース1を容易に製作することができると共に、組立て作業性の向上をも
図ることができる。すなわち、上部ケース2と下部ケース3とをその両者の間に防水パッ
キン4を介して上下に接合することにより、腕時計ケース1を構成することができるので
、腕時計ケース1が鍔状突起部14を有する複雑な形状であっても、容易に製作すること
ができ、生産性の向上を図ることができる。
【0048】
また、腕時計ケース1内に見切り板6を配置する際には、上部ケース2内に見切り板6
を上方から挿入させて見切り板6を上部ケース2の鍔状突起部14に当接させることによ
り、見切り板6を位置規制することができるので、見切り板6の組み付け作業が容易にで
きる。同様に、腕時計ケース1内に中枠11を配置する際には、下部ケース3内に中枠1
1を挿入させて中枠11の上面を上部ケース2の鍔状突起部14に当接させることにより
、中枠11を位置規制することができるので、中枠11の組み付け作業が容易にできる。
【0049】
この場合、上部ケース2の内周面における下部に鍔状突起部14が上部ケース2の内部
に向けて突出して設けられていることにより、上部ケース2の径方向の肉厚を下部ケース
3の径方向の肉厚よりも薄く形成することができると共に、上部ケース2の内径を下部ケ
ース3の内径よりも大きく形成することができる。このため、上部ケース2内に配置され
る見切り板6の外径を下部ケース3の内径よりも大きく形成することができるので、腕時
計におけるワイドフェイス化を図ることができる。
【0050】
なお、上述した実施形態では、中枠11の内周面に位置決め凸部11aを設け、時計モ
ジュール10のハウジング12の外周面に位置決め凹部12aを設けた場合について述べ
たが、これに限らず、例えば中枠11の内周面に位置決め凹部を設け、時計モジュール1
0のハウジング12の外周面に位置決め凸部を設けた構成であっても良い。
【0051】
また、上述した実施形態では、腕時計ケース1を上部ケース2と下部ケース3とで構成
した場合について述べたが、必ずしも腕時計ケース1を上部ケース2と下部ケース3とで
構成する必要はなく、例えば上部ケース部と下部ケース部とを一体に形成した構成であっ
ても良い。
【0052】
さらに、上述した実施形態では、指針式の腕時計に適用した場合について述べたが、必
ずしも指針式の腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き
時計、掛け時計などの各種の時計に適用することができるほか、必ずしも時計である必要
はなく、携帯電話機、携帯情報端末機見切り部とモジュールとの位置合せが必要な電子機
器に広く適用することができる。
【0053】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるもので
はなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0054】
(付記)
請求項1に記載の発明は、ケースと、このケース内に配置され、かつ上面に位置決め嵌
合凹部が設けられた中枠と、この中枠内に位置決めされた状態で配置されたモジュールと
、前記中枠の上面に対向する下面に前記中枠の前記位置決め嵌合凹部に嵌着して前記中枠
に対して位置決めするための位置決め突起が設けられた見切り部材とを備え、前記ケース
の内周面には、前記中枠と前記見切り部材との間に配置される鍔状突起部が前記モジュー
ルの上面よりも高い位置に設けられ、この鍔状突起部には、前記見切り部材の前記位置決
め突起が挿入して突出する挿入孔が設けられていることを特徴とする内装部品の位置決め
構造である。
【0055】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内装部品の位置決め構造において、前記中
枠の内周面と前記モジュールの外周面との一方には位置決め凸部が設けられ、他方には前
記位置決め凸部が係合する位置決め凹部が設けられていることを特徴する内装部品の位置
決め構造である。
【0056】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の内装部品の位置決め構造に
おいて、前記ケースは、前記鍔状突起部が設けられた上部ケースと、下部ケースとを備え
、前記上部ケース内に前記見切り部材が配置され、前記下部ケース内に前記中枠が配置さ
れていることを特徴する内装部品の位置決め構造である。
【0057】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の内装部品の位置決め構造において、前記上
部ケースは、その径方向の肉厚が前記下部ケースの径方向の肉厚よりも薄く形成され、か
つ内径が前記下部ケースの内径よりも大きく形成されていることを特徴する内装部品の位
置決め構造である。
【0058】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の内装部品の位置決め
構造を備えていることを特徴とする時計である。
【0059】
請求項6に記載の発明は、ケース内に配置された中枠とモジュールとを位置決めする位
置決め工程と、見切り部材の下面に設けられた位置決め突起を、前記中枠と前記見切り部
材との間の前記ケースの内周面の前記モジュールの上面より高い位置に設けられた鍔状突
起部の挿入孔を貫通させ、前記中枠の上面に設けられた位置決め嵌合凹部に嵌着する嵌着
工程と、を備えていることを特徴とする内装部品の位置決め方法である。
【符号の説明】
【0060】
1 腕時計ケース
2 上部ケース
2a 目盛
3 下部ケース
4 防水パッキン
6 見切り板
6a 第1傾斜部
6b 平面部
6c 第2傾斜部
10 時計モジュール
11 中枠
11a 位置決め凸部
12 ハウジング
12a 位置決め凹部
13 文字板
14 鍔状突起部
14a 挿入孔
15 目盛
16 位置決めピン
17 位置決め嵌合凹部
図1
図2
図3
図4