【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
【0030】
標準例1、実施例1〜2および比較例1〜7
サンプルの調製
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練した後、混練物をミキサー外に放出させて質量冷却させ、同バンバリーミキサーにて加硫促進剤および硫黄を加えてさらに混練し、ゴム組成物を得た。次に得られたゴム組成物を所定の金型中で160℃、20分間プレス加硫して加硫ゴム試験片を得、以下に示す試験法で未加硫のゴム組成物および加硫ゴム試験片の物性を測定した。
【0031】
ムーニービス:JIS K6300に従い、100℃における未加硫ゴムの粘度を測定した。結果は標準例1の値を100として指数表示した。この値が低いほど粘度が低く、加工性が良好であることを示す。
ムーニースコーチ:JIS K6300に従い、125℃で試験した。結果は標準例1の値を100として指数表示した。この値が高いほど、ヤケ性に優れることを示す。
破断強度:JIS K 6251に従い、室温で試験した。結果は標準例1の値を100として指数表示した。この値が高いほど、補強性に優れることを示す。
破断伸び:JIS K 6251に従い、室温で試験した。結果は標準例1の値を100として指数表示した。この値が高いほど、耐摩耗性に優れることを示す。
結果を表1に併せて示す。
【0032】
【表1】
【0033】
*1:SBR(旭化成(株)製タフデン3830、油展量=SBR100質量部に対し37.5質量部)
*2:BR(日本ゼオン(株)製Nipol BR1220)
*3:シリカ(ローディア社製Zeosil 1165MP、窒素吸着比表面積(N
2SA)=165m
2/g)
*4:カーボンブラック(キャボットジャパン(株)製ショウブラックN339、窒素吸着比表面積(N
2SA)=90m
2/g))
*5:シランカップリング剤(エボニックデグッサ社製Si69、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
*6:アルキルトリエトキシシラン(信越化学(株)製KBE−3083、n−オクチルトリエトキシシラン)
*7:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*8:ステアリン酸(日油(株)製ステアリン酸YR)
*9:老化防止剤(Solutia Europe社製Santoflex 6PPD)
*10:プロセスオイル(昭和シェル石油(株)製エキストラクト4号S)
*11:化合物−1(シグマアルドリッチ社製モノステアリン酸グリセロール)
*12:化合物−2(シグマアルドリッチ社製モノオレイン酸グリセロール)
*13:化合物−3(シグマアルドリッチ社製グリセリン)
*14:化合物−4(シグマアルドリッチ社製トリステアリン酸グリセリン)
*15:硫黄(軽井沢精錬所社製油処理イオウ)
*16:加硫促進剤−1(大内新興化学工業(株)製ノクセラーCZ−G)
*17:加硫促進剤−2(Flexsys社製Perkacit DPG)
【0034】
上記の表1の結果から明らかなように、実施例1および2で得られたゴム組成物は、(A)ジエン系ゴムに対し、(B)シリカ、(C)硫黄含有シランカップリング剤、(D−1)アルキルトリエトキシシランおよび特定の(E)グリセリンモノ脂肪酸エステルを特定量でもって配合したので、前記(D)および(E)を配合していない標準例1に対し、(B)シリカの分散性が高まり、破断特性が向上し、硫黄のヤケの問題も防止されていることが分かる。
比較例1は、標準例1に記載のゴム組成物に、(D−1)アルキルトリエトキシシランを配合した例であるが、破断強度が悪化した。
比較例2は、標準例1に記載のゴム組成物に、(E)グリセリンモノ脂肪酸エステルを配合した例であるが、ムーニービスが悪化した。
比較例3は、標準例1に記載のゴム組成物における(C)硫黄含有シランカップリング剤を増量した例であるが、破断伸びおよびスコーチが悪化した。
比較例4は、(C)硫黄含有シランカップリング剤を配合していないので、破断強度およびムーニービスが悪化した。
比較例5は、(C)硫黄含有シランカップリング剤および(D−1)アルキルトリエトキシシランを配合せず、(E)グリセリンモノ脂肪酸エステルを増量した例であるので、破断強度およびムーニービスが悪化した。
比較例6は、(E)グリセリンモノ脂肪酸エステルを配合せず、その替わりにグリセリンを配合した例であるので、破断伸びおよびスコーチが悪化した。
比較例7は、(E)グリセリンモノ脂肪酸エステルを配合せず、その替わりにトリステアリン酸グリセリンを配合した例であるので、破断強度が悪化した。
【0035】
実施例3〜7および比較例8〜11
(B)シリカに対する(E)グリセリンモノ脂肪酸エステルの配合量を種々変更する以外は、上記例を繰り返した。結果を表2に示す。なお、前掲の標準例1、実施例1、比較例1の結果も併せて表2に記載した。
【0036】
実施例8〜9および比較例12
樹脂を添加した系において、(E)グリセリンモノ脂肪酸エステルの配合の効果を調べた。それ以外は、上記例を繰り返した。結果を表2に併せて示す。
【0037】
【表2】
【0038】
樹脂:(ヤスハラケミカル(株)製テルペンスチレン樹脂TO−125)
【0039】
表2の結果から、比較例1、8、10は、(E)グリセリンモノ脂肪酸エステルを配合していないか、配合量が本発明で規定する下限未満であるので、破断強度が悪化した。
これに対し、実施例3、5は、(E)グリセリンモノ脂肪酸エステルの配合量が本発明で規定する範囲内であるので、スコーチを悪化させずにムーニービスおよび破断伸びが向上している。実施例4、6、7は、(E)グリセリンモノ脂肪酸エステルの配合量を増加させた例であり、各物性がさらに向上している。
比較例9、11は、(E)グリセリンモノ脂肪酸エステルの配合量が本発明で規定する上限を超えているので、破断強度が悪化した。
比較例12は、(E)グリセリンモノ脂肪酸エステルを配合せずに、樹脂を配合した例であるが、破断伸びおよびムーニービスが悪化した。
これに対し、実施例8、9は、(E)グリセリンモノ脂肪酸エステルを本発明で規定する範囲内で配合したので、比較例12の結果に比べ、すべての物性が向上した。
【0040】
実施例10〜15および比較例13〜16
(D−1)アルキルトリエトキシシランに対する(E)グリセリンモノ脂肪酸エステルの配合量を種々変更する以外は、上記例を繰り返した。結果を表3に示す。なお、前掲の標準例1の結果も併せて表3に記載した。
【0041】
【表3】
【0042】
表3の結果から、実施例10〜15は、(E)グリセリンモノ脂肪酸エステルの配合量が、(D−1)アルキルトリエトキシシランに対して10〜1000質量%の範囲内であるので、各種物性が良化している。
比較例13、15は、(D−1)アルキルトリエトキシシランの配合量が本発明で規定する下限未満であるので、ムーニービスが悪化し、その他の物性も良化しなかった。
比較例14、16は、(E)グリセリンモノ脂肪酸エステルの配合量が本発明で規定する下限未満であり、(E)グリセリンモノ脂肪酸エステルの配合量が、(D−1)アルキルトリエトキシシランに対して約2質量%であるので、破断強度が悪化した。
なお、実施例9以外の実施例は参考例である。