(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
包装体の美観は高いことが好ましい。美観を高める手段の1つとして、高い輝度を有するインキ剤を含む光沢層をシートに設けることが考えられる。光沢層に含まれるインキ剤としては、一般的にアルミペーストを含む金インキまたは銀インキが使用される。しかし、その光沢層を含む包装体が電子レンジで加熱される場合、光沢層に含まれるアルミペーストがマイクロ波に反応してスパークし、包装体が劣化するおそれがある。
【0005】
本発明の目的は美観が高く、電子レンジにより加熱された場合でも劣化しにくい包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1
)電子レンジで加熱される物体である被加熱物を収容可能な包装体であって、シートと、前記シートに設けられる
印刷層とを含み、前記
印刷層
はアルミペーストおよび希釈剤を
少なくとも含むインキ剤により構成され
る光沢層を含み、前記光沢層における前記アルミペーストの重量比が4.7〜37.2%の範囲に含まれる
、包装体。
【0007】
上記包装体は高い輝度を有するアルミペーストが含まれる光沢層を備えるため、高い美観を有する。本願発明者が実施した試験によれば、光沢層におけるアルミペーストの重量比が4.7〜37.2%の範囲に含まれる場合、包装体が電子レンジにより加熱されたときにスパークが発生しないことが確認された。このため、上記
(1
)の包装体は電子レンジにより加熱された場合でも劣化しにくい。
【0008】
(2
)前記光沢層における前記アルミペーストの重量比が18.6〜37.2%の範囲に含まれる
、(1)に記載の包装体。
本願発明者が実施した試験によれば、光沢層におけるアルミペーストの重量比が18.6〜37.2%の範囲に含まれる場合、より高い輝度がユーザーに与えられることが確認された。このため、上記
(2
)の包装体はより高い美観を有する。
【0009】
(3
)前記光沢層における前記インキ剤の塗布量が1.9〜5.2g/m
2の範囲に含まれる
、(2)に記載の包装体。
本願発明者が実施した試験によれば、光沢層におけるインキ剤の塗布量が1.9〜5.2g/m
2の範囲に含まれる場合、包装体が電子レンジにより加熱されたときにスパークが発生せず、より高い輝度がユーザーに与えられることが確認された。このため、上記
(3
)の包装体は電子レンジにより加熱された場合の劣化のしにくさと美観の高さとを両立する。
【0010】
(4
)前記光沢層における前記アルミペーストの重量比が14.0%以上かつ18.6%未満の範囲に含まれ、前記光沢層における前記インキ剤の塗布量が3.6〜5.2g/m
2の範囲に含まれる
、(1)に記載の包装体。
【0011】
本願発明者が実施した試験によれば、光沢層におけるアルミペーストの重量比が14.0%以上かつ18.6%未満の範囲に含まれ、光沢層におけるインキ剤の塗布量が3.6〜5.2g/m
2の範囲に含まれる場合、包装体が電子レンジにより加熱されたときにスパークが発生せず、より高い輝度がユーザーに与えられることが確認された。このため、上記
(4
)の包装体は電子レンジにより加熱された場合の劣化のしにくさと美観の高さとを両立する。また、光沢層におけるアルミペーストの重量比が比較的低いため、コストを低減できる。
【0012】
(5
)前記光沢層は前記シート内に設けられる
、(1)〜(4)のいずれか一項に記載の包装体。
上記包装体によれば、上記
(5
)のとおり光沢層が設けられるため、包装体の流通過程においてシートの表面と別の要素とが接触したときに擦れて光沢層が剥がれてしまうおそれがない。このため、光沢層が高い輝度を有する状態が維持される。
【0013】
(6
)前記光沢層の面積は前記光沢層が設けられる前記シートの面積の2分の1以上の範囲に含まれる
、(1)〜(5)のいずれか一項に記載の包装体。
本願発明者が実施した試験によれば、光沢層の面積がシートの面積の2分の1以上の範囲に含まれる場合、包装体が電子レンジにより加熱されたときにスパークが発生しない状態を維持しながら、一層高い輝度がユーザーに与えられることが確認された。このため、上記
(6
)の包装体は一層高い美観を有する。
【0014】
(7
)前記インキ剤の色は金または銀である
(1)〜(6)のいずれか一項に記載の包装体。
金または銀はより高い輝度をユーザーに与えやすい。このため、上記包装体は一層高い美観を有する。
【0015】
(8
)前記シートにより構成される袋と、前記袋の内部に収容される内容物とを備える
、(1)〜(7)のいずれか一項に記載の包装体。
【発明の効果】
【0016】
上記包装体は美観が高く、電子レンジにより加熱された場合でも劣化しにくい。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態)
図1は内容物100が収容されていない状態の包装体1の外観である。包装体1の形態はスタンディングパウチである。包装体1は袋10および光沢層50を含む。
図1および
図2に示されるハッチングは光沢層50である。
【0019】
袋10はシート11を含む。シート11は第1の袋シート11A、第2の袋シート11B、および、ガゼットシート11Cを含む。各シート11A〜11Cの縁が互いにシールされることにより袋10が構成されている。すなわち、シート11は袋10を構成する。袋10はさらに収容空間30を含む。収容空間30は内容物100(
図2参照)を収容可能な空間である。内容物100の一例は食品である。
【0020】
各袋シート11A、11Bは収容空間30を介して対向する。各袋シート11A、11Bの一方の側部は互いにシールされた第1の側部シール部21を含む。各袋シート11A、11Bの他方の側部は互いにシールされた第2の側部シール部22を含む。各袋シート11A、11Bの上部は互いにシールされた上部シール部23を含む(
図2参照)。各袋シート11A、11Bの底部およびガゼットシート11Cは互いにシールされた底部シール部24を含む。なお、
図1および
図2に示されるドットは袋10のうちのシールされた部分を示している。
【0021】
袋10は開口部12をさらに含む。開口部12は、内容物100を含む包装体1を製造する過程において利用される部分である。包装体1の製造過程では、収容空間30への内容物100の投入後に上部シール部23が形成され、開口部12が閉じられる(
図2参照)。この工程を経ることにより、
図2に示される内容物100を含む包装体1が構成される。
【0022】
袋10は一対のノッチ13および切取線14をさらに含む。一方のノッチ13は第1の側部シール部21の上部に設けられる。他方のノッチ13は第2の側部シール部22の上部に設けられる。切取線14は各ノッチ13と繋がるように上部シール部23の下部に設けられる。ノッチ13および切取線14に従って袋10の一部が切り取られることにより、上部シール部23が袋10から分離される。
【0023】
包装体1がエンドユーザーに使用される場合、上部シール部23が袋10から切り取られることにより開口部12が開口する。エンドユーザーは開口した開口部12を介して、収容空間30から内容物100を取り出すことができる。
【0024】
図3は第1の袋シート11Aの層構造の一例を示す。なお、
図3は第1の袋シート11Aのうちの光沢層50が設けられた部分の断面である。
第1の袋シート11Aは積層シートであり、例えば最外層41、中間層42、および、最内層43を含む。最外層41を構成する材料の一例は透明な材料である。透明な材料の一例はポリエチレンテレフタレートである。中間層42は例えば印刷層42A、第1接着層42B、延伸ナイロン層42C、および、第2接着層42Dを含む。印刷層42Aは最外層41の内側に設けられる。一例では、印刷層42Aの外面に絵柄および商品説明のテキスト等が印刷される。第1接着層42Bは印刷層42Aの内側に設けられる。延伸ナイロン層42Cは第1接着層42Bの内側に設けられる。第2接着層42Dは延伸ナイロン層42Cの内側に設けられる。各接着層42B、42Dを構成する材料の一例はドライラミネート接着剤である。最内層43は第2接着層42Dの内側に設けられる。最内層43を構成する材料の一例は無延伸ポリプロピレンである。なお、各シート11A〜11Cは実質的に同一の層構造を有する。
【0025】
光沢層50は第1の袋シート11Aに設けられる。光沢層50は第1の袋シート11Aの印刷層42Aに含まれ、最外層41により覆われる。すなわち、光沢層50は第1の袋シート11A内に設けられる。
図1に示されるとおり、光沢層50の面積は光沢層50が設けられる第1の袋シート11Aの面積よりも狭い。一例では、光沢層50の面積は第1の袋シート11Aの面積の2分の1以上である。
【0026】
光沢層50はインキ剤51により構成される。インキ剤51の色は金である。インキ剤51は少なくともアルミペーストおよび希釈剤を含む。一例では、インキ剤51は着色剤および溶剤をさらに含む。希釈剤の一例は樹脂である。光沢層50は第1の袋シート11Aの印刷層42Aに塗布されたインキ剤51により構成される塗膜である。
【0027】
光沢層50におけるアルミペーストの重量比は4.7〜37.2%の範囲に含まれる。光沢層50におけるアルミペーストの重量比が18.6〜37.2%の範囲に含まれる場合、光沢層50におけるインキ剤51の塗布量は例えば1.9〜5.2g/
m2の範囲に含まれることが好ましい。光沢層50におけるアルミペーストの重量比が14.0%以上かつ18.6%未満の範囲に含まれる場合、光沢層50におけるインキ剤の塗布量は例えば3.6〜5.2g/
m2の範囲に含まれることが好ましい。一例では、光沢層50におけるアルミペーストの重量比が37.2%であり、光沢層50におけるインキ剤51の塗布量が5.2g/
m2である。なお、光沢層50におけるアルミペーストの重量比は、塗布されたインキ剤51が塗膜を構成した状態におけるインキ剤51に含まれるアルミペーストの重量比である。インキ剤51が塗膜を構成した状態ではインキ剤51に含まれる溶剤は概ね揮発している。
【0028】
本願発明者は第1の評価試験および第2の評価試験を実施した。第1の評価試験の目的は、光沢層50におけるアルミペーストの重量比およびインキ剤の塗布量と電子レンジにより加熱された包装体1の品質との関係を評価することである。第2の評価試験の目的は、光沢層50におけるアルミペーストの重量比およびインキ剤の塗布量と光沢層50により得られる輝度との関係を評価することである。
【0029】
第1の評価試験の試験条件は以下のとおりである。
試料は包装体1の第1の袋シート11Aと同じ層構造を含む複数のサンプルシートである。複数のサンプルシートは光沢層50におけるアルミペーストの重量比およびインキ剤の塗布量の少なくとも一方が互いに異なる。サンプルシートの形状は長方形である。サンプルシートの短辺の寸法は30mmである。サンプルシートの長辺の寸法は100mmである。サンプルシートにおける光沢層50の位置はサンプルシートの中央である。光沢層50の形状は長方形である。光沢層50の短辺の寸法は30mmである。光沢層50の長辺の寸法は80mmである。
【0030】
サンプルシートを加熱する手段は電子レンジである。サンプルシートの両側部は加熱される前にスライドガラスにより電子レンジに固定される。サンプルシートの加熱時における電子レンジの出力は1800Wである。電子レンジによるサンプルシートの加熱時間は1分である。評価者は加熱が終了したサンプルシートの状態を目視により確認し、サンプルシートの品質を評価した。
【0031】
第2の評価試験の試験条件は以下のとおりである。
試料は第1の評価試験で用いた複数のサンプルシートと同様の構造を備える複数のサンプルシートである。サンプルシートの評価者の数は5人である。評価者は目視により輝度の高さを評価した。
【0032】
表1は第1の評価試験および第2の評価試験の結果である。
【0033】
【表1】
インキ剤51の印刷回数は光沢層50を形成するために第1の袋シート11Aの印刷層42Aにインキ剤51が塗布された回数である。このため、インキ剤51の印刷回数が2回の場合におけるインキ剤51の塗布量は、インキ剤51の印刷回数が1回の場合におけるインキ剤51の塗布量の実質的に2倍である。品質評価の項目における「A」は加熱後のサンプルシートの品質が高い場合の評価結果であり、「B」は加熱後のサンプルシートの品質が低い場合の評価結果である。輝度評価の結果は5人の評価者の評価結果の平均値である。
【0034】
第1の評価試験の結果について説明する。
光沢層50におけるアルミペーストの重量比が高い試料番号1〜4のサンプルシートが加熱された場合、光沢層50にスパークが発生した。このため、品質評価において「B」に該当すると評価されたと考えられる。光沢層50におけるアルミペーストの重量比が試料番号1〜4のサンプルシートよりも低い試料番号5〜20のサンプルシートが加熱された場合、光沢層50にスパークが発生していない。このため、品質評価において「A」に該当すると評価されたと考えられる。このように、第1の評価試験の結果によれば、光沢層50におけるアルミペーストの重量比が電子レンジにより加熱された後の包装体1の品質と高い相関を有することが確認できる。
【0035】
第2の評価試験の結果について説明する。
輝度評価の1.0は評価者が実質的に輝度を感じない場合を示す。全ての試料番号のサンプルシートの結果に示されるとおり、光沢層50におけるアルミペーストの重量比が4.7%以上の場合、輝度評価が1.0の場合よりも高い輝度が評価者に与えられる。
【0036】
試料番号3〜20の結果に示されるとおり、光沢層50におけるアルミペーストの重量比が同じであり、光沢層50におけるインキ剤51の塗布量が異なる場合、輝度評価の結果が異なる。これにより、光沢層50におけるインキ剤51の塗布量と光沢層50により得られる輝度とが高い相関を有することが確認できる。
【0037】
試料番号5および14の結果に示されるとおり、光沢層50におけるインキ剤51の塗布量が相対的に低い試料番号5の輝度評価の結果は光沢層50におけるインキ剤51の塗布量が相対的に高い試料番号14と同じ結果である。これにより、光沢層50におけるアルミペーストの重量比と光沢層50により得られる輝度とが高い相関を有することが確認できる。
【0038】
輝度評価の3.0〜5.0は評価者がより高い輝度を感じた場合を示す。光沢層50におけるアルミペーストの重量比が37.2%である場合においてインキ剤の塗布量が2.6g/
m2より少なくても3.0以上の輝度評価が得られる。試料番号13のサンプルシートにおける輝度評価が3.0であることからすると、アルミペーストの重量比がそのサンプルシートよりも高い37.2%であり、インキ剤の塗布量がそのサンプルシートと同じ1.9g/
m2の場合にも3.0以上の輝度評価が得られることが示唆される。
【0039】
光沢層50におけるアルミペーストの重量比が18.6%である場合においてインキ剤の塗布量が3.8g/
m2より多くても「A」の品質評価が得られる。試料番号6のサンプルシートにおける品質評価が「A」であることからすると、アルミペーストの重量比がそのサンプルシートよりも低い18.6%であり、インキ剤の塗布量がそのサンプルシートと同じ5.2g/
m2の場合にも「A」の品質評価が得られることが示唆される。なお、光沢層50におけるアルミペーストの重量比が14.0%である場合も同様に、インキ剤の塗布量が5.2g/
m2の場合にも「A」の品質評価が得られることが示唆される。
【0040】
実施形態の包装体1によれば、以下の効果が得られる。
(1)包装体1は高い輝度を有するアルミペーストを含む光沢層50を備える。この構成によれば、高い美観が得られる。本願発明者が実施した試験によれば、光沢層50におけるアルミペーストの重量比が4.7〜37.2%の範囲に含まれる場合、包装体1が電子レンジにより加熱されたときにスパークが発生しないことが確認された。包装体1によれば、光沢層50におけるアルミペーストの重量比が37.2%であるため、電子レンジにより加熱された場合でも劣化しにくい。
【0041】
(2)本願発明者が実施した試験によれば、光沢層50におけるアルミペーストの重量比が18.6〜37.2%の範囲に含まれる場合、より高い輝度がユーザーに与えられることが確認された。包装体1によれば、光沢層50におけるアルミペーストの重量比が37.2%であるため、より高い美観を有する。
【0042】
(3)本願発明者が実施した試験によれば、光沢層50におけるアルミペーストの重量比が18.6〜37.2%の範囲に含まれ、光沢層50におけるインキ剤51の塗布量が1.9〜5.2g/
m2の範囲に含まれる場合、包装体1が電子レンジにより加熱されたときにスパークが発生せず、より高い輝度がユーザーに与えられることが確認された。包装体1によれば、光沢層50におけるアルミペーストの重量比が37.2%であり、光沢層50におけるインキ剤51の塗布量が5.2g/
m2であるため、電子レンジにより加熱された場合の劣化のしにくさと美観の高さとを両立する。
【0043】
(4)包装体1によれば、光沢層50が第1の袋シート11A内に設けられる。この構成によれば、包装体1の流通過程において第1の袋シート11Aの表面と別の要素とが接触したときに擦れて光沢層50が剥がれてしまうおそれがない。このため、光沢層50が高い輝度を有する状態が維持される。
【0044】
(5)光沢層50を構成するインキ剤51の色が金である。この構成によれば、一層高い美観が得られる。
(6)本願発明者が実施した試験によれば、光沢層50の面積が第1の袋シート11Aの面積の2分の1以上の範囲に含まれる場合、包装体1が電子レンジにより加熱されたときにスパークが発生しない状態を維持しながら、一層高い輝度がユーザーに与えられることが確認された。包装体1によれば、光沢層50の面積が第1の袋シート11Aの面積の2分の1以上であるため、一層高い美観を有する。
【0045】
(変形例)
上記実施形態に関する説明は本発明に従う包装体が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う包装体は上記実施形態以外に例えば以下に示される実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0046】
・インキ剤51の色は任意に変更可能である。第1の例では、インキ剤51の色は銀である。この変形例によれば、インキ剤51の色が金である場合と実質的に同じ効果が得られる。第2の例では、インキ剤51の色はパールである。第3の例では、インキ剤51の色は輝度を有するその他の色である。
【0047】
・光沢層50の面積と第1の袋シート11Aの面積との関係は任意に変更可能である。第1の例では、光沢層50の面積は第1の袋シート11Aの面積の2分の1未満の範囲に含まれる。第2の例では、光沢層50の面積は第1の袋シート11Aの面積の全部の範囲に含まれる。
【0048】
・シート11における光沢層50の形成範囲は任意に変更可能である。第1の例では、光沢層50は第1の袋シート11Aに代えてまたは加えて、第2の袋シート11Bおよびガゼットシート11Cの少なくとも一方に設けられる。第2の例では、光沢層50は複数の光沢層を含む。複数の光沢層は各シート11A〜11Cのうちの少なくとも1つのシートに設けられ、不連続である。第1の袋シート11Aに光沢層50が設けられる場合、光沢層50の面積は第1の袋シート11Aの面積の2分の1以上であることが好ましい。第1の袋シート11Aに設けられる光沢層50が複数の光沢層を含む場合、光沢層50の面積は複数の光沢層の面積の合計である。なお、第2の例における光沢層50の面積に関する事項は、第2の袋シート11Bまたはガゼットシート11Cに光沢層50が設けられる場合にも共通する。
【0049】
・光沢層50を含む第1の袋シート11Aの層構成は任意に変更可能である。第1の例では、光沢層50は第1の袋シート11Aの外側の表面に設けられる。すなわち、光沢層50は第1の袋シート11Aの最外層41上に設けられる。第2の例では、光沢層50は第1の袋シート11Aの内側の表面に設けられる。すなわち、光沢層50は第1の袋シート11Aの最内層43上に設けられる。
【0050】
・光沢層50におけるアルミペーストの重量比と光沢層50におけるインキ剤51の塗布量との関係は任意に変更可能である。第1の例では、光沢層50におけるアルミペーストの重量比が18.6〜37.2%の範囲に含まれ、光沢層50におけるインキ剤51の塗布量が1.9〜5.2g/
m2の範囲に含まれる。この例によれば、少なくとも上記(1)〜(3)の効果が得られる。
【0051】
第2の例では、光沢層50におけるアルミペーストの重量比が14.0%以上かつ18.6%未満の範囲に含まれ、光沢層50におけるインキ剤51の塗布量が3.6〜5.2g/
m2の範囲に含まれる。この例によれば、少なくとも上記(1)の効果が得られる。本願発明者が実施した試験によれば、光沢層50におけるアルミペーストの重量比が14.0以上かつ18.0%未満の範囲に含まれ、光沢層50におけるインキ剤の塗布量が3.6〜5.2g/
m2の範囲に含まれる場合、包装体1が電子レンジにより加熱されたときにスパークが発生せず、より高い輝度がユーザーに与えられることが確認された。このため、この例の包装体1は電子レンジにより加熱された場合の劣化のしにくさと美観の高さとを両立する。さらに、光沢層50におけるアルミペーストの重量比が比較的低いため、コストを低減できる。
【0052】
第3の例では、光沢層50におけるアルミペーストの重量比が4.7%以上かつ14.0%未満の範囲に含まれ、光沢層50におけるインキ剤51の塗布量が1.6g/
m2以上かつ5.2g/
m2未満の範囲に含まれる。この例によれば、少なくとも上記(1)の効果が得られる。
【0053】
・第1の袋シート11Aの構造は任意に変更可能である。第1の例では、
図4に示されるとおり、絵柄および商品説明のテキスト等を含む絵柄層42Eが第1の袋シート11Aに設けられる。
図4に示される例によれば、光沢層50および絵柄層42Eが第1の袋シート11Aの印刷層42Aに含まれる。第2の例では、
図5に示されるとおり、第1の袋シート11Aの中間層42から延伸ナイロン層42Cおよび各接着層42B、42Dの一方が省略される。
図5に示される例によれば、中間層42は延伸ナイロン層42Cおよび第2接着層42Dを省略した形態を取り得る。第3の例では、第1の袋シート11Aを構成する各層のうちの少なくとも1つに代えてまたは加えて、バリア層が第1の袋シート11Aに設けられる。第4の例では、第1の袋シート11Aの最外層41を構成する材料は二軸延伸ポリプロピレンである。なお、第1〜第4の例において、第2の袋シート11Bおよびガゼットシート11Cの少なくとも一方の構造も同様に変更可能である。
【0054】
・袋10の構造は任意に変更可能である。一例では、1枚の袋シートが折り曲げられることにより第1の袋シート11Aおよび第2の袋シート11Bが形成され、それらの縁が互いにシールされることにより袋10が構成される。
【0055】
・包装体1を構成する要素の内容は任意に変更可能である。一例によれば、
図6に示されるとおり、袋10は開口部12(
図1参照)に代えて第1の開口部61および第2の開口部62を含む。第1の開口部61はエンドユーザーが利用するための部分である。製造された包装体1が使用される前の状態では、第1の開口部61が上部シール部23により閉じられている。第2の開口部62は内容物100(
図7参照)を含む包装体1を製造する過程において利用される部分である。包装体1の製造過程では、収容空間30への内容物100の投入後に第1の側部シール部21が形成され、第2の開口部62が閉じられる(
図7参照)。この工程を経ることにより、
図7に示される内容物100を含む包装体1が構成される。袋10はさらにファスナー63を含む。ファスナー63の機能は第1の開口部61を開放および閉鎖することである。ファスナー63は第1の側部シール部21から第2の側部シール部22までの範囲において上部シール部23に沿って各袋シート11A、11Bの内面に取り付けられる。
【0056】
包装体1がエンドユーザーに使用される場合、上部シール部23が袋10から切り取られ、ファスナー63が開封されることにより、第1の開口部61が開口する。エンドユーザーは開口した第1の開口部61から収容空間30に内容物100とは別の食品を投入すること、および、収容空間30から内容物100等を取り出すことができる。なお、この変形例の包装体1は第2の開口部62およびファスナー63の一方を省略した形態を取り得る。
【0057】
・包装体1の形態は任意に変更可能である。第1の例では、包装体1は平パウチである。第2の例では、包装体1はトレーおよびシート11を含むパッケージである。シート11はトレーの開口を覆うようにトレーに取り付けられる。包装体1は、トレーに内容物100が載せられた状態においてシート11によりトレーの開口が覆われた状態、または、トレーに内容物が載せられておらず、シート11をトレーに取り付け可能な状態を取り得る。第3の例では、包装体1はラップフィルムである。これは、第2の例におけるシート11と実質的に同一である。
【0058】
・包装体1の用途は任意に変更可能である。一例によれば、電子レンジによる加熱を必要としない食品、または、食品以外の内容物を収容するために包装体1が用いられる。