(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エンジン(E)を搭載する機体フレーム(1)の下方に配置された走行装置(2)と、該機体フレーム(1)の前方に配置された刈取装置(4)と、該刈取装置(4)の後方に配置された操縦席(6)と、該操縦席(6)の下方に配置されたエンジンルーム(8)を備えたコンバインにおいて、前記エンジン(E)の駆動力を変速して走行装置(2)を駆動する走行用油圧式無段変速装置(70)とトランスミッション(74)を設け、前記刈取装置(4)の後部に備えられた左右方向の支軸(55)を機体フレーム(1)上に架設する懸架台(56A,56B)を設け、前記エンジンルーム(8)におけるエンジン(E)よりも外側の部位にラジエータ(80)を設け、前記エンジン(E)とラジエータ(80)の間の部位にファン(40)を設け、該ファン(40)の回転軸(41)をベアリングを介して軸支する支持部(45)の両端部(45A,45B)を2つのフレーム(43,44)に固着し、該2つのフレーム(43,44)の下側端部(43A,44A)を、シュラウド(81)の後部下側における該シュラウド(81)の開口部(81A)の近傍の部位に固着し、前記2つのフレーム(43,44)の上側端部(43B,44B)は、シュラウド(81)の前部上側における該シュラウド(81)の開口部(81A)の近傍の部位に固着し、前記ファン(40)の軸心方向視において、前記エンジン(E)の駆動力を変速してファン(40)を駆動する正逆転出力可能なファン用油圧式無段変速装置(30)をファン(40)の外周部よりも外側に設け、前記トランスミッション(74)または前記走行用油圧式無段変速装置(70)に下部を固着した第1支持フレーム(37)の上部と、前記懸架台(56A)に下部を固着した第2支持フレーム(38)の上部とによって前記ファン用油圧式無段変速装置(30)を支持し、該ファン用油圧式無段変速装置(30)からファン(40)側へ向かって延出する出力軸(33)の延出端部に装着された出力プーリ(34)と、前記ファン(40)の回転軸(41)に装着された入力プーリ(42)にベルト(35)を巻回し、前記エンジン(E)の駆動出力軸(21)に装着された第1プーリ(22)と走行用油圧式無段変速装置(70)の第1入力軸(71)に装着された第2プーリ(72)とに巻回した第1ベルト(23)の張力を調整する第1テンションアーム(23A)と、前記第2プーリ(72)とファン用油圧式無段変速装置(30)の第2入力軸(31)に装着された第3プーリ(32)とに巻回した第2ベルト(73)の張力を調整する第2テンションアーム(73A)とを備え、前記第1テンションアーム(23A)を支持する第1支軸(23D)と、第2テンションアーム(73A)を支持する第2支軸(73D)とを、前記第1支持フレーム(37)に設けたことを特徴とするコンバイン。
前記第1支持フレーム(37)の上部を、ファン用油圧式無段変速装置(30)の左右方向の中央部であって、該ファン用油圧式無段変速装置(30)の出力軸(33)よりも前方下側の部位に固着し、前記第2支持フレーム(38)の上部を、ファン用油圧式無段変速装置(30)の左右方向の中央部であって、ファン用油圧式無段変速装置(30)の第2入力軸(31)よりも後方下側の部位に固着した請求項1記載のコンバイン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されたコンバインは、ファン用油圧式無段変速装置の駆動中に発生する振動、騒音が操縦席に伝播することにより操縦席の操作環境が悪化する虞があった。
【0005】
また、エンジンの駆動力をファン用油圧式無段変速装置に伝動するベルトの張力を調整するテンションアームの組立作業に時間が掛かるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明の主たる課題は、かかる問題点を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
【0008】
請求項1に係る発明は、エンジン(E)を搭載する機体フレーム(1)の下方に配置された走行装置(2)と、該機体フレーム(1)の前方に配置された刈取装置(4)と、該刈取装置(4)の後方に配置された操縦席(6)と、該操縦席(6)の下方に配置されたエンジンルーム(8)を備えたコンバインにおいて、前記エンジン(E)の駆動力を変速して走行装置(2)を駆動する走行用油圧式無段変速装置(70)とトランスミッション(74)を設け、前記刈取装置(4)の後部に備えられた左右方向の支軸(55)を機体フレーム(1)上に架設する懸架台(56A,56B)を設け、前記エンジンルーム(8)におけるエンジン(E)よりも外側の部位にラジエータ(80)を設け、前記エンジン(E)とラジエータ(80)の間の部位にファン(40)を設け、該ファン(40)の回転軸(41)をベアリングを介して軸支する支持部(45)の両端部(45A,45B)を2つのフレーム(43,44)に固着し、該2つのフレーム(43,44)の下側端部(43A,44A)を、シュラウド(81)の後部下側における該シュラウド(81)の開口部(81A)の近傍の部位に固着し、前記2つのフレーム(43,44)の上側端部(43B,44B)は、シュラウド(81)の前部上側における該シュラウド(81)の開口部(81A)の近傍の部位に固着し、前記ファン(40)の軸心方向視において、前記エンジン(E)の駆動力を変速してファン(40)を駆動する正逆転出力可能なファン用油圧式無段変速装置(30)をファン(40)の外周部よりも外側に設け、前記トランスミッション(74)または前記走行用油圧式無段変速装置(70)に下部を固着した第1支持フレーム(37)の上部と、前記懸架台(56A)に下部を固着した第2支持フレーム(38)の上部とによって前記ファン用油圧式無段変速装置(30)を支持し、該ファン用油圧式無段変速装置(30)からファン(40)側へ向かって延出する出力軸(33)の延出端部に装着された出力プーリ(34)と、前記ファン(40)の回転軸(41)に装着された入力プーリ(42)にベルト(35)を巻回し、前記エンジン(E)の駆動出力軸(21)に装着された第1プーリ(22)と走行用油圧式無段変速装置(70)の第1入力軸(71)に装着された第2プーリ(72)とに巻回した第1ベルト(23)の張力を調整する第1テンションアーム(23A)と、前記第2プーリ(72)とファン用油圧式無段変速装置(30)の第2入力軸(31)に装着された第3プーリ(32)とに巻回した第2ベルト(73)の張力を調整する第2テンションアーム(73A)とを備え、前記第1テンションアーム(23A)を支持する第1支軸(23D)と、第2テンションアーム(73A)を支持する第2支軸(73D)とを、前記第1支持フレーム(37)に設けたことを特徴とするコンバインである。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記第1支持フレーム(37)の上部を、ファン用油圧式無段変速装置(30)の左右方向の中央部であって、該ファン用油圧式無段変速装置(30)の出力軸(33)よりも前方下側の部位に固着し、前記第2支持フレーム(38)の上部を、ファン用油圧式無段変速装置(30)の左右方向の中央部であって、ファン用油圧式無段変速装置(30)の第2入力軸(31)よりも後方下側の部位に固着した請求項1記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、エンジン(E)の駆動力を変速してファン(40)を駆動する正逆転出力可能なファン用油圧式無段変速装置(30)をファン(40)の外周部よりも外側に設け、トランスミッション(74)または走行用油圧式無段変速装置(70)に下部を固着した第1支持フレーム(37)の上部と、これらトランスミッション(74)や走行用油圧式無段変速装置(70)とは別の位置に配置する懸架台(56A)に下部を固着した第2支持フレーム(38)の上部によってファン用油圧式無段変速装置(30)を支持しているので、ファン用油圧式無段変速装置(30)駆動時に発生する振動が操縦席(6)に伝わりにくく、操縦席(6)における操作環境を良好に維持することができる。また、ファン用油圧式無段変速装置(30)がファン(40)の送風の障害になりにくく、エンジン(E)を効率良く冷却することができる。
【0011】
また、第1テンションアームを支持する第1支軸(23D)と、第2テンションアーム(73A)を支持する第2支軸(73D)とを、第1支持フレーム(37)に設けているので、第1テンションアーム(23A)および第2テンションアーム(73A)の組立作業を容易に行なうことができ、第1ベルト(23)および第2ベルト(73)の張力調整も容易に行なうことができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、第1支持フレーム(37)の上部を、ファン用油圧式無段変速装置(30)の左右方向の中央部であって、ファン用油圧式無段変速装置(30)の出力軸(33)よりも前方の部位の下側に固着し 、第2支持フレーム(38)の上部を、ファン用油圧式無段変速装置(30)の左右方向の中央部であって、ファン用油圧式無段変速装置(30)の第2入力軸(31)よりも後方下側の部位に固着しているので、エンジンルーム(8)におけるファン用油圧式無段変速装置(30)の下方に大きな空間を確保することができる。また、走行用油圧式無段変速装置(70)の変速時のベルトの張力変動に起因する振動も抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ詳説する。なお、理解を容易にするために便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
【0015】
コンバインは、
図1〜3に示すように、機体フレーム1の下方には、土壌面を走行するための左右一対のクローラからなる走行装置2が配置され、機体フレーム1の上方左側には、脱穀・選別を行う脱穀装置3が配置され、脱穀装置3の前方には、圃場の穀桿を収穫する刈取装置4が配置されている。脱穀装置3で脱穀・選別された穀粒は、脱穀装置3の右側に配置されたグレンタンク5に貯留され、貯留された穀粒は、排出筒7によって外部に排出される。
【0016】
機体フレーム1の上方右側には、操作者が搭乗する操作部を備えた操縦席6が配置され、操縦席6の下方には、エンジンルーム8が配置されている。また、エンジンルーム8の右側には、エンジンルーム8の保守・点検用のカバー11が装着されており、カバー11には、目抜き鉄板等から形成された濾過体12が取付けられている。
【0017】
なお、カバー11の濾過体12A、12B、12Cの目合いは、同一にすることもできるが、ファン40と対向する部位の上側に配置されている濾過体12Aの目合いを大きくし、ファン40と対向する部位に配置されている濾過体12B、12Cの目合いを小さくするのが好適である。
【0018】
エンジンルーム8の内側には、
図4に示すように、エンジンEが配置され、外気を吸入する上流側であるエンジンEの右側には、一定の間隔を隔ててエンジンEによって加熱された冷却水を冷却するラジエータ80が配置されている。なお、エンジンEは、エンジンEから発生する振動の伝達を防止するために、エンジンマウント24を介して機体フレーム1に取付けられている。
【0019】
ラジエータ80の下部は、支持部材を介して機体フレーム1に支持され、ラジエータ80の左側部位には、側面視において略四角形状に形成されたラジエータフレーム82が装着されている。また、ラジエータフレーム82の左側面には、ファン40の正転駆動状態時の外気の吸入効率と逆転駆動状態時の内気の排気効率を高めるために、ファン40と対向する部位に開口部81Aが形成され、ファン40の外周部を取囲むシュラウド81が着脱自在に取付けられている。
【0020】
エンジンEとラジエータ80の間には、ファン用油圧式無段変速装置30により正転駆動状態と逆転駆動状態に切換えられるファン40が配置されている。正転駆動状態時のファン40は、外気をエンジンルーム8の内側に向かって吸入し、逆転駆動状態時のファン40は、エンジンルーム8の内側の内気を外部に向かって排気し、濾過体12A、12B、12Cに付着した藁屑等の粉塵を除去する。
【0021】
また、ラジエータ80の右側には、一定の間隔を隔てて走行用ミッション等の駆動用オイルを冷却するオイルクーラ85と、エンジンEの燃焼用の混合気を冷却するインタークーラ90が配置されている。なお、オイルクーラ85とインタークーラ90は、ラジエータ80とエンジンルーム8のカバー11の間に配置されており、支持部材を介して機体フレーム1に支持されている。
【0022】
エンジンルーム8の上部には、
図11,12に示すように、エンジンEに供給する空気内の粉塵を除去するエアクリーナ50が配置されている。エンジンEで加熱されたエンジンルーム8内の内気をエアクリーナ50が吸気するのを防止するために、外気を吸入する上流側との反対側のエアクリーナ50の吸気口50Aの左側には、エンジンEで加熱されたエンジンルーム8内の内気の流れを遮断する遮風板51が設けられている。なお、遮風板51は、側面視において略直角三角形状に形成されており、エアクリーナ50側の遮風板51の下部は、エンジンEで加熱された内気の吸気を防止するために、エアクリーナ50の外周に沿うように円弧状の切欠き部51Aが形成されている。
【0023】
エンジンEによって加熱されたエンジンルーム8内の内気や、エンジンE等の駆動によって発生する騒音の操縦席6への影響を防止するために、
図13,14に示すように、操縦席6の下側に位置するエンジンルーム8の上側プレート14は、外側プレート14Aと内側プレート14Bを積層した2重構造に形成されている。
【0024】
同様に、操縦席6のステップ側に位置するエンジンルーム8の前側プレート13は、外側プレート13Aと内側プレート13Bを積層した2重構造に形成されている。もとは、2枚のプレートを積層した2重構造に形成されている。なお、外側プレート14Aと外側プレート13Aを折曲げ加工により一体形成され、同様に、内側プレート14Bと内側プレート13Bも折曲げ加工により一体形成されている。
【0025】
前側プレート13の略中央部には、エンジンルーム8内のベルト35、テンショナーム35Aに接続されたスプリング35Cの張力調整等の保守、点検作業を行なうために、開閉自在な点検窓15が設けられている。点検窓15は、外側プレート15Aと内側プレート15Bを積層した2重構造に形成されている。なお、エンジンEによって加熱されたエンジンルーム8内の内気や、エンジンE等の駆動によって発生する騒音の操縦席6への影響を防止するために、点検窓15の閉鎖時には、点検窓15の外側プレート15Aは、前側プレート13の外側プレート13Aに隣接して配置され、点検窓15の内側プレート15Bは、前側プレート13の内側プレート13Bに隣接して配置されている。
【0026】
エンジンEの回転は、
図5,6に示すように、クランク軸(請求項の「駆動出力軸」)21を介して、クランク軸21に装着されたプーリ22に伝動される。プーリ22に伝動された回転は、プーリ22と走行用油圧式無段変速装置70の入力軸(請求項の「第1入力軸」)71に装着されたプーリ72に巻回されたベルト(請求項の「第1ベルト」)23を介して、プーリ72に伝動される。なお、ベルト23の張力は、先端部にロール23Bを備えたテンションアーム23Aにより所定の張力に維持されている。
【0027】
プーリ72に伝動された回転は、プーリ72とファン用油圧式無段変速装置30の入力軸(請求項の「第2入力軸」)31に装着されたプーリ32に巻回されたベルト(請求項の「第2ベルト」)73を介して、プーリ32に伝動される。なお、ベルト73の張力は、先端部にロール73Bを備えたテンションアーム73Aにより所定の張力に維持されている。
【0028】
プーリ32に伝動された回転は、
図7〜9に示すように、入力軸31を介して、ファン用油圧式無段変速装置30に伝動される。ファン用油圧式無段変速装置30に伝動された回転は、ファン用油圧式無段変速装置30により回転の増減速、回転方向の正転・逆転方向への切換えが行なわれた後に、ファン用油圧式無段変速装置30からファン40側に向かって延出する出力軸33に出力される。出力軸33に出力された回転は、ファン40側の出力軸33の端部に装着されたプーリ(出力プーリ)34に伝動される。なお、ファン40の正転駆動状態時の外気の吸入効率と逆転駆動状態時の内気の排気効率を高めるために、プーリ34は、ファン40の外周部よりも外側の前側上部に配置されている。
【0029】
プーリ34に伝動された回転は、プーリ34とファン40の回転軸41に装着されたプーリ(入力プーリ)42に巻回されたベルト35を介して、プーリ42に伝動される。プーリ42に伝動された回転は、回転軸41を介して、ファン40に伝動されファン40を正転駆動状態または逆転駆動状態に回転させる。なお、ファン40の正転駆動状態時の外気の吸入効率と逆転駆動状態時の内気の排気効率を高めるために、プーリ42の外径は、ファン40の中心部40Bの外径よりも小さく形成されている。また、ベルト35の張力は、先端部にロール35Bを備えたテンションアーム35Aにより所定の張力に維持されている。
【0030】
<ファン及びファンの支持構造>
次に、ファン40及びファン40の支持構造について説明する。ファン40は、
図7〜9に示すように、羽根40Aと、羽根40Aの基部を支持する中心部40Bから形成され、中心部40Bは、回転軸41の右側端部に装着されている。
【0031】
回転軸41は、回転軸41における中心部40Bを装着した部位の左側近傍に並設した2個のベアリングを介して、支持部45に回転自在に軸支されている。支持部45は、
図7に示すように、略楕円形状に形成されており、長手方向の両端部45A,45Bは、それぞれフレーム43,44に固着されている。また、ファン40の正転駆動状態時の外気の吸入効率と逆転駆動状態時の内気の排気効率を高めるために、支持部45の中心部45Cの外径は、ファン40の中心部40Bの外径よりも小さく形成されている。
【0032】
フレーム43は、
図8,9に示すように、円弧状の上下端部43A,43Bと、上下端部43A,43Bを繋ぐ略直線状の中央部43Cから形成されている。下側端部43Aは、
図7に示すように、シュラウド81の後部下側における開口部81Aの近傍に固着され、上側端部43Bは、シュラウド81の前部上側における開口部81Aの近傍に固着され、中央部43Cは、ファン40の中心部40Bの上側を、シュラウド81の後部下側からシュラウド81の前部上側に向かって延在している。なお、フレーム43は、ファン40による外気または内気の送風抵抗を小さくするために、断面を円形状に形成するのが好適である。
【0033】
同様に、フレーム44は、円弧状の上下端部44A,44Bと、上下端部44A,44Bを繋ぐ略直線状の中央部44Cから形成されている。下側端部44Aは、
図7に示すように、シュラウド81の後部下側における開口部81Aの近傍に固着され、上側端部44Bは、シュラウド81の前部上側における開口部81Aの近傍に固着され、中央部44Cは、ファン40の中心部40Bの下側を、シュラウド81の後部下側からシュラウド81の前部上側に向かって延在している。なお、フレーム43は、ファン40による外気または内気の送風抵抗を小さくするために、断面を円形状に形成するのが好適である。
【0034】
フレーム43,44は、
図7に示すように、プーリ34とプーリ42に巻回されたベルト35の横引き荷重による回転軸41等の変形を防止するために、側面視においてプーリ34とプーリ42に巻回されたベルト35をフレーム43,44の間に配置するようにシュラウド81の後部下側から前部上側に向けて平行に延設している。
【0035】
また、フレーム43,44は、
図8,9に示すように、ベルト35等の保守・点検時の安全性を高めるために、プーリ34とプーリ42に巻回されたベルト35とフレーム43,44の中央部43C,44Cが略平行、すなわち、シュラウド81左面からベルト35と中央部43C,44Cが同一離間距離に配置されている。
【0036】
なお、ファン40の正転駆動状態時の外気の吸入効率と逆転駆動状態時の内気の排気効率を高めるために、フレーム43,44は、ファン40の中心部40Bを中心として上下方向に対称な位置に配置し、フレーム43,44の間隔をファン40の中心部40Bの外径よりもわずかに大きくするのが好適である。
【0037】
<プーリ側の出力軸の端部の支持構造>
次に、プーリ34側の出力軸33の端部の支持構造について説明する。プーリ34側の出力軸33の端部は、
図10に示すように、支持部材60により支持されている。支持部材60は、側面視においてシュラウド81の開口部81A側に台形形状の切欠き部61Aが形成された第1フレーム61と、側面視において第1フレーム61の切欠き部61Aと反対面に締結手段によって着脱自在に装着された第2フレーム62と、側面視において第1フレーム61の上側傾斜面に固着された第3フレームから構成されている。第1フレーム61の下側傾斜面には、ロール35Bと反対側のテンションアーム35Aの基部に接続された押圧を調整するスプリング35Cの下部を取付けるステー64が固着されている。
【0038】
ファン40の正転駆動状態時の外気の吸入効率と逆転駆動状態時の内気の排気効率を高めるために、第1フレーム61、第2フレーム62、第3フレーム、及びステー64は、ファン40の外周部よりも外側に配置されている。また、フレーム43,44の間隔の変動を防止するために、側面視において第3フレームの上側側部には、フレーム43の上側端部43Bが固着され、第1フレーム61の下側側部には、フレーム44の上側端部44Bが固着されている。
【0039】
第1フレーム61は、平面視において略逆L字形状に形成され、右端部はシュラウド81に固着され、右端部からプーリ34を装着した出力軸33の端部位よりも左側に延在した後に、後方に向かって延在している。また、正面視においても略逆L字形状に形成され、右端部はシュラウド81に固着され、右端部からプーリ34を装着した出力軸33の端部位よりも左側に延在した後に、上方に向かって延在している。
【0040】
テンションアーム35Aは、
図7に示すように、第1フレーム61に設けられた支軸35Dを中心に回転する。また、ファン40の正転駆動状態時の外気の吸入効率と逆転駆動状態時の内気の排気効率を高めるために、テンションアーム35Aの先端部に設けられたロール35Bは、第1フレーム61の切欠き部61Aに臨みなから移動する。
【0041】
第2フレーム62は、断面形状が略L形状に形成され、第1フレーム61と反対側の第2フレーム62の先端側は、側面視において半円弧状の切欠き部62Aが形成されており、出力軸33の端部に設けられたベアリングの外周枠に固着されている。また、第2フレーム62は、平面視において略長方形状に形成され、正面視においても略長方形状に形成されている。
【0042】
第3フレーム63は、板状のプレートから形成され、第3フレーム63の上部は、側面視においてラジエータ80の上部に接続されるゴム製のホースとベルト35の干渉を防止するために、ホースをプーリ34から離間した位置に案内するために、プーリ34とは反対側に円弧状に湾曲している。また、第3フレーム63は、平面視において略長方形状に形成され、ファン40を正転駆動状態から逆転駆動状態への切換え状態時に発生するベルト35の膨らみによる早期劣化を防止するために、正面視においては、プーリ34の後側に略長方形状に形成されている。
【0043】
<ファン用油圧式無段変速装置の支持構造>
次に、ファン用油圧式無段変速装置30の支持構造について説明する。ファン用油圧式無段変速装置30の駆動によって発生する振動、騒音の操縦席6への伝播を防止するために、ファン用油圧式無段変速装置30を搭載する載台30Aは、2本の前後支持フレーム37,38によって支持されている。なお、前後支持フレーム37,38は、機体フレーム1を介して、操縦席6を支持する支持フレーム6A,6Bと接続されているが、直接的には接続されていない。
【0044】
前側フレーム37の下部は、
図4に示すように、走行用油圧式無段変速装置70が装着されたトランスミッション74の上側部に設けられた接続フレーム75に固着され、前側フレーム37は、正面視において下部から上方に向かって直線状に延在して、前側フレーム37の上部は、ファン用油圧式無段変速装置30の左右方向の重心位置である載台30Aの左右方向の略中央部に固着されている。
【0045】
また、前側フレーム37は、
図5,6に示すように、左側面視において下部から上方に向かって直線状に延在した後に、後側に向かって略90度湾曲し、その後に後側に向かって延在して上部に至り、前側フレーム37の上部は、ファン用油圧式無段変速装置30を搭載する載台30Aの前後方向の前部に固着されている。
【0046】
後側フレーム38の下部は、
図4に示すように、刈取装置4の後部を支持する左右方向に延設する支軸55の両端部を支持する左右の懸架台56A,56Bの右側の懸架台56Aの側部に締結手段によって締結され、後側フレーム38は、正面視において下部から上方略11時の方向に向かって直線状に延在した後に、左側に向かって略90度湾曲し、その後に左側に向かって延在して上部に至り、後側フレーム38の上部は、ファン用油圧式無段変速装置30の左右方向の重心位置である載台30Aの左右方向の略中央部に固着されている。なお、後側フレーム38の上部は、前側フレーム37の上部よりも後側の載台30Aの後部に固着されている。
【0047】
また、後側フレーム38は、
図5,6に示すように、左側面視において下部から上方に向かって直線状に延在して上部に至り、後側フレーム38の上部は、ファン用油圧式無段変速装置30を搭載する載台30Aの前後方向の後部に固着されている。
【0048】
先端部にロール23Bを備えたテンションアーム23Aの組立作業を容易にするために、テンションアーム23Aを回転自在に支持する支軸(請求項の「第1支軸」)23Dを接続フレーム75に設け、ロール23Bとは反対側のテンションアーム23Aの基部に接続された押圧を調整するスプリング23Cの上部を取付けるステー37Aを前側支持フレーム37の湾曲部の左面に設けるのが好適である。
【0049】
また、先端部にロール73Bを備えたテンションアーム73Aの組立作業を容易にするために、テンションアーム73Aを回転自在に支持する支軸(請求項の「第2支軸」)73Dを前側支持フレーム37の湾曲部に設け、ロール73Bとは反対側のテンションアーム73Aの基部に接続された押圧を調整するスプリング73Cの上部を取付けるステー30Bをファン用油圧式無段変速装置30の左側面に設けるのが好適である。