(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記充電制御部は、前記定電流充電動作に対応する電流指令値、前記定電力充電動作に対応する電力指令値、及び前記定電圧充電動作に対応する電圧指令値のうち、前記2種類以上の充電動作に対応する指令値を前記電力変換部に出力することで前記複数の電力変換部の充電動作を制御し、
前記複数の電力変換部のそれぞれは、前記充電制御部からの前記電流指令値と自己の出力電流値とに基づき前記出力電流値が前記電流指令値に一致するように充電動作を制御する定電流制御部、前記充電制御部からの前記電力指令値と自己の出力電流値及び出力電圧値とに基づき自己の出力電力値が前記電力指令値に一致するように充電動作を制御する定電力制御部、及び前記充電制御部からの前記電圧指令値と自己の出力電圧値とに基づき前記出力電圧値が前記電圧指令値に一致するように充電動作を制御する定電圧制御部のうち、前記2種類以上の充電動作に対応する制御部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のバッテリ充電装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
(構成)
図1に示すように、第1実施形態のバッテリ充電装置1は、並列接続された第1〜第n電力変換装置10_1〜10_n(nは2以上の自然数)と、充電制御装置20と、第1〜第n電流検出回路CS1〜CSnと、充電電流検出回路CtSと、電圧検出回路VcSとを含んで構成される。なお、
図1の例では、電力変換装置が3台以上となる構成としているが、第1〜第2電力変換装置10_1〜10_2の2台構成としてもよい。このバッテリ充電装置1は、充電制御装置20によって、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nの充電動作を制御して、出力端子に接続されたバッテリ100を充電する。また、図示省略しているが、入力端子Tinには、電源が接続される。また、第1実施形態において、バッテリ100は、リチウムイオンバッテリである。
【0017】
第1〜第n電流検出回路CS1〜CSnは、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nと、これらの出力線の他の電力変換装置の出力線との合流部との間に介挿され、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nの出力電流Io1〜Ionを検出する回路である。
例えば、第1電流検出回路CS1であれば、第1電力変換装置10_1と、この出力線の第2〜第n電力変換装置10_2〜10_nの出力線との合流部との間に介挿される。
また、第1〜第n電流検出回路CS1〜CSnは、例えば、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nと、これらの出力線の合流部との間に個別に介挿された微小抵抗値のシャント抵抗と、このシャント抵抗の両端にかかる電圧を計測して各電力変換装置の出力電流を検出する電流検出回路とから構成される。また、シャント抵抗を用いる構成に限らず、例えば、DCカレント・トランス(DCCT)等のホール素子を用いる構成等、他の構成としてもよい。
【0018】
充電電流検出回路CtSは、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nの出力線の合流部とバッテリ100との間に介挿され、バッテリ100の充電電流Iot(Iot=Io1+Io2+・・・+Ion)を検出する回路である。
充電電流検出回路CtSは、例えば、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nの出力線の合流部とバッテリ100との間に介挿された微小抵抗値のシャント抵抗と、このシャント抵抗の両端にかかる電圧を計測して充電電流を検出する電流検出回路とから構成される。また、シャント抵抗を用いる構成に限らず、例えば、DCカレント・トランス(DCCT)等のホール素子を用いる構成等、他の構成としてもよい。
【0019】
電圧検出回路VcSは、充電電流検出回路CtSと、バッテリ100との間に介挿され、各電力変換装置の出力電圧(充電電圧)Voutを検出する回路である。
第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nは、入力端子Tinを介して電源から入力される電源電力を電力変換する電力変換回路を含んで構成される。この電力変換回路は、入力端子Tinに接続される電源の種別に応じて構成が異なる。例えば、電源が交流電源であれば、交流電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータから構成され、電源が直流電源であれば直流電力を直流電力に変換するDC/DCコンバータから構成される。
【0020】
第1実施形態では、電源は交流電源(例えば、商用電源)であり、電力変換回路はAC/DCコンバータであることとする。
また、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nは、充電制御装置20からの電流指令値Iref、電力指令値Pref、電圧指令値Vref、及び駆動指令値fdに基づき、定電流充電動作、定電力充電動作及び定電圧充電動作を実施して、バッテリ100を充電する。
充電制御装置20は、電圧検出回路VcSで検出される出力電圧Voutを監視し、出力電圧Voutの大きさに応じて充電動作の種類を適宜切り換えることで、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nによるバッテリ100の充電動作を制御する。
【0021】
第1実施形態において、充電制御装置20は、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nに、定電流充電動作、定電力充電動作及び定電圧充電動作の3種類の充電動作を実施させるようになっている。
そのため、充電制御装置20は、定電流充電動作の実施時は電流指令値Irefを、定電力充電動作の実施時は電力指令値Prefを、定電圧充電動作の実施時は電圧指令値Vrefを、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nのうち予め設定した電力変換装置に出力する。
【0022】
また、充電制御装置20は、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nの駆動状態を制御するための駆動指令値fdを、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nに出力する。
ここで、駆動指令値fdは、「0」のときに電力変換装置を駆動させ、「1」のときに電力変換装置の駆動を停止するように設定された指令値である。
すなわち、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nは、値「0」の駆動指令値fdが入力されたときは、駆動状態となって指令値に応じた充電動作を実施し、値「1」の駆動指令値fdが入力されたときは、停止状態となって充電動作を休止する。
【0023】
(電力変換装置の構成)
次に、
図2(a)及び(b)に基づき、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nの具体的な構成を説明する。
以下、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nを、区別する必要が無い場合に、単に「電力変換装置10」と称する場合がある。同様に、第1〜第n電流検出回路CS1〜CSnを「電流検出回路CS」と称する場合がある。同様に、第1〜第n電流検出回路CS1〜CSnの検出電流Io1〜Ionを「出力電流Io」と称する場合がある。
電力変換装置10は、
図2(a)に示すように、演算制御装置11と、電力変換回路12と、出力遮断回路13とを含んで構成される。
演算制御装置11は、充電制御装置20から入力された、電流指令値Iref、電力指令値Pref及び電圧指令値Vrefのうちいずれか1つと、駆動指令値fdとに基づき、電力変換回路12を、定電流充電動作、定電力充電動作又は定電圧充電動作させるための駆動信号を生成する。そして、生成した駆動信号を、電力変換回路12に出力する。
【0024】
また、演算制御装置11は、充電制御装置20からの駆動指令値fdに基づき、駆動指令値fdが「0」であれば、電力変換回路12に対して各充電動作に応じた駆動信号を出力する。一方、駆動指令値fdが「1」であれば、電力変換回路12に対して、その駆動を停止する駆動信号を出力する。
第1実施形態の電力変換回路12は、AC/DCコンバータを含んで構成される。このAC/DCコンバータは、入力端子Tinに接続された交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換する整流回路と、整流回路からの直流入力を電力変換して直流出力を得る例えば絶縁型のDC/DCコンバータとを備えている。このDC/DCコンバータは、例えば、フルブリッジのインバータ回路と、このインバータ回路の交流出力が入力されるトランスと、このトランスの交流出力を整流する整流回路とを含んで構成される。
【0025】
かかる構成によって、電力変換回路12は、演算制御装置11からの駆動信号によって、インバータ回路を構成するスイッチング素子(例えば、電界効果トランジスタ)が駆動制御される。これにより、入力側の整流回路から供給される直流電力を、駆動信号に基づく駆動内容に応じた交流電力へと変換し、この交流電力を出力側の整流回路で整流してバッテリ100の充電電力(直流電力)へと変換する。すなわち、電力変換回路12は、演算制御装置11からの駆動信号によって駆動制御され、定電流充電動作、定電力充電動作又は定電圧充電動作の動作条件を満たす直流電力を出力する。
【0026】
出力遮断回路13は、電力変換回路12と出力端子Toutとの間に介挿され、遮断動作時に電力変換回路12と出力端子Toutに接続されたバッテリ100との電気的な接続を遮断する。また、出力遮断回路13は、例えば、電界効果トランジスタから構成される。なお、出力遮断回路13は、電界効果トランジスタを用いた半導体リレーに限らず、他の半導体素子を用いた構成としてもよいし、半導体リレーに限らず、機械式リレー、ハイブリッドリレー等から構成してもよい。
【0027】
演算制御装置11は、
図2(b)に示すように、マイクロコンピュータ11a(以下、「マイコン11a」と称す)と、駆動回路11bとを含んで構成される。
マイコン11aは、図示省略するが、A/D変換器と、プロセッサと、各種データを格納するメモリとを含んで構成され、各種センサからのアナログ入力信号をA/D変換器でデジタル信号へと変換し、このデジタル信号の示すデジタル値をプロセッサで演算処理して各種制御指令値を算出する。そして、算出した制御指令値を、駆動回路11bに出力する。
具体的に、マイコン11aには、充電制御装置20からのデジタル信号である電流指令値Iref、電力指令値Pref、電圧指令値Vref及び駆動指令値fdが入力される。加えて、電流検出回路CSからのアナログ信号である出力電流Ioと、電圧検出回路VcSからのアナログ信号である出力電圧Voutとが入力される。
【0028】
マイコン11aは、アナログの出力電流値Io及び出力電圧値Voutを、A/D変換器を介して、デジタルの出力電流値Io及び出力電圧値Voutへと変換する。そして、これら出力電流値Io及び出力電圧値Voutと、充電制御装置20からの電流指令値Iref、電力指令値Pref、電圧指令値Pref及び駆動指令値fdとに基づき、各種充電動作に対応する制御指令値を演算する。
また、マイコン11aは、各種充電動作に対応する制御指令値を生成するための機能構成部として、
図2(b)に示すように、定電流制御部110と、定電力制御部111と、定電圧制御部112と、駆動制御部113とを備える。ここで、これら機能構成部の各機能は、プロセッサにおいて、予めメモリに格納されたプログラムを実行することで実現される。
【0029】
すなわち、マイコン11aは、電流指令値Irefの入力に応じて、定電流制御部110の処理を実行し、電力指令値Prefの入力に応じて、定電力制御部111の処理を実行し、電圧指令値Vrefの入力に応じて、定電圧制御部112の処理を実行する。また、駆動指令値fdの入力に応じて、駆動制御部113の処理を実行する。
定電流制御部110は、電流指令値Iref及び出力電流値Ioに基づき、例えばPI制御演算又はPID制御演算を行って、電力変換回路12の出力電流値Ioが電流指令値Irefに一致するように電力変換回路12を駆動制御するための制御指令値I
*を演算する。そして、演算した制御指令値I
*を駆動回路11bに出力する。
【0030】
定電力制御部111は、まず、出力電圧値Voutと出力電流値Ioとを乗算して出力電力値Poutを演算する。次に、この出力電力値Pout及び電力指令値Prefに基づき、例えばPI制御演算又はPID制御演算を行って、電力変換回路12の出力電力Poutが、電力指令値Prefに一致するように電力変換回路12を駆動制御するための制御指令値P
*を演算する。そして、演算した制御指令値P
*を駆動回路11bに出力する。
定電圧制御部112は、電圧指令値Vref及び出力電圧値Voutに基づき、例えばPI制御演算又はPID制御演算を行って、電力変換回路12の出力電圧値Voutが電圧指令値Vrefに一致するように電力変換回路12を駆動制御するための制御指令値V
*を演算する。そして、演算した制御指令値V
*を駆動回路11bに出力する。
駆動制御部113は、入力された駆動指令値fdが「0」であると判定すると、電力変換回路12を通常制御させるための制御指令値D
*を駆動回路11bに出力する。一方、入力された駆動指令値fdが「1」であると判定すると、電力変換回路12を停止させるための制御指令値D
*を駆動回路11bに出力する。
【0031】
ここで、第1実施形態において、電力変換回路12のインバータ回路を構成するスイッチング素子は、電界効果トランジスタであり、フルブリッジ構成のインバータ回路は、直列接続された2つの電界効果トランジスタからなるスイッチングアームを2つ並列に接続した構成である。そして、このような構成のインバータ回路を、例えば、位相シフト方式やパルス幅変調(PWM)方式等の予め設定した駆動方式に対応するゲート駆動信号によって駆動する。
また、制御指令値I
*、P
*、V
*及びD
*は、いずれもキャリア信号からゲート駆動信号を形成するための電圧指令値となる。
【0032】
駆動回路11bは、図示省略するが、三角波のキャリア信号を発生する信号発生回路と、制御指令値とキャリア信号とに基づきインバータ回路および出力遮断回路13のゲート駆動信号を形成する駆動信号形成回路とを備える。
駆動回路11bは、制御指令値I
*、P
*及びV
*のうちいずれか1つと、制御指令値D
*とが入力されると、制御指令値D
*が通常制御させるための値(例えば「0」)である場合に、通常制御時の駆動信号を形成する。
具体的に、駆動信号形成回路において、入力された制御指令値I
*、P
*及びV
*のうちいずれか1つとキャリア信号とをもとに4つのゲート駆動信号を形成する。そして、形成した4つのゲート駆動信号を、電力変換回路12のインバータ回路に出力する。更に、値「0」の制御指令値D
*の入力に応じて、駆動信号形成回路において、出力遮断回路13を通電状態とする1つのゲート駆動信号(ハイレベルのゲート駆動信号)を形成する。そして、形成した1つのハイレベルのゲート駆動信号を出力遮断回路13に出力する。
【0033】
一方、駆動回路11bは、電力変換回路12を停止させるための値(例えば「1」)が設定された制御指令値D
*が入力された場合、他の制御指令値の入力に関係なく、駆動信号形成回路において、ローレベルの4つのゲート駆動信号を形成し、形成した4つのローレベルのゲート駆動信号をインバータ回路に出力する。更に、駆動信号形成回路において、出力遮断回路13を遮断状態とする1つのゲート駆動信号(ローレベルのゲート駆動信号)を形成する。そして、形成した1つのローレベルのゲート駆動信号を出力遮断回路13に出力する。これにより、インバータ回路の駆動を停止すると共に、電力変換回路12とバッテリ100との電気的な接続を遮断する。
【0034】
(充電制御装置の構成)
次に、
図3に基づき、充電制御装置20の具体的な構成を説明する。
充電制御装置20は、
図3に示すように、充電制御部21と、メモリ22と、タイマ23とを含んで構成される。
充電制御部21は、マイクロコンピュータを含んで構成され、電圧検出回路VcSからの出力電圧Voutと、充電電流検出回路CtSからの充電電流Iotとに基づき、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nによるバッテリ100の充電動作を制御する。
なお、充電制御部21は、A/D変換器を備えており、アナログの出力電圧値Vout及び充電電流値Iotを、デジタルの出力電圧値Vout及び充電電流値Iotへと変換する。そして、変換後のデジタル値に基づき充電動作制御処理を実行する。
【0035】
具体的に、充電制御部21は、充電初期は、比較的大きな充電電流(例えば、供給可能な最大電流)で充電を行うため、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nを、定電流充電動作で並列動作させる。更に、充電中期からは、比較的大きな充電電力(例えば、供給可能な最大電力)で充電を行うため、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nを定電力充電動作で並列動作させる。更に、充電終期は、必要な充電電力が小さくて済むため、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nのうちのいずれか1台を定電圧充電動作で単独動作させる。
【0036】
また、充電制御部21は、定電流充電動作の実施時は、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nに対して、電流指令値Irefを出力すると共に、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nに対して、値「0」の駆動指令値fdを出力する。また、定電力充電動作の実施時は、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nに対して電力指令値Prefを出力すると共に、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nに対して、値「0」の駆動指令値fdを出力する。
ここで、充電制御装置20は、定電流充電動作及び定電力充電動作の実施時に、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nを並列動作させる際、バッテリ100への充電電流の供給を、各電力変換装置に均等に負担させるようになっている。そのため、例えば、定電流充電動作であれば、目標とする定充電電流値Itの1/nとなる電流指令値Iref(=It/n)を第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nに出力する。同様に、定電力充電動作であれば、目標とする定充電電力値Ptの1/nとなる電力指令値Pref(=Pt/n)を第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nに出力する。
【0037】
一方、充電制御装置20は、定電圧充電動作の実施時は、バッテリ100への充電電流の供給を、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nのうちのいずれか1台の電力変換装置を単独動作させることで、この単独動作させた電力変換装置のみに負担させる。
すなわち、単独動作させる電力変換装置に対して目標とする定電圧値である電圧指令値Vrefを出力すると共に、この電力変換装置に対して値「0」の駆動指令値fdを出力する。加えて、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nのうち、単独動作させる電力変換装置を除く残りの電力変換装置に対して値「1」の駆動指令値fdを出力する。
【0038】
また、第1実施形態の充電制御装置20は、充電開始から充電完了(満充電)までの1回の充電期間における定電圧充電動作期間Tvにおいて、タイマ23によって、単独動作している電力変換装置の動作時間Tdを計測する。そして、この動作時間Tdが、予め設定した設定時間Ts以上になると、現在単独動作している電力変換装置の定電圧充電動作を、他の電力変換装置に交代させる。
すなわち、現在単独動作している電力変換装置に対して、値「1」の駆動指令値fdを出力し、次の順番に該当する電力変換装置に対して、電圧指令値Vrefを出力すると共に、この電力変換装置に対して値「0」の駆動指令値fdを出力する。
【0039】
なお、第1実施形態では、1回の定電圧充電動作期間Tvにおいて、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nを、予め設定した交代順で順番に単独動作させる。
この交代する順番は、順番情報として、各電力変換装置の識別情報に対応付けて予め設定されており、この順番情報は、メモリ22に記憶されている。
また、定電圧充電動作の実施時は、駆動中の電力変換装置の情報もメモリに記憶し、交代する毎に、駆動中の電力変換装置の情報を更新する。なお、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nが一巡するまでは、一度単独動作した電力変換装置が再び選択されないように通し順番が設定されている。
【0040】
また、充電制御部21は、出力電圧値Voutに基づき、バッテリ100の電圧(以下、「バッテリ電圧」と称す)が異常であるか否かを判定する。そして、バッテリ電圧が異常であると判定すると、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nの全てに対して値「1」の駆動指令値fdを出力する。
メモリ22は、充電制御部21で実行する充電制御処理に必要なプログラム及びデータが記憶されたROMと、プログラムの実行に必要な各種データを一時記憶する不揮発性のメモリとから構成される。
具体的に、ROMには、充電動作制御処理のためのプログラム、電流指令値Iref、電力指令値Pref、電圧指令値Vref、順番情報、設定時間Ts等が記憶されている。
また、不揮発性のメモリには、ROMに記憶された各種データを読み出して一時記憶すると共に、単独動作している電力変換装置の情報(動作情報)を記憶する。
【0041】
(充電動作制御処理)
次に、
図4に基づき、充電制御装置20で実行される充電動作制御処理の処理手順を説明する。
充電制御部21において、充電動作制御処理が実行されると、
図4に示すように、まず、ステップS100に移行する。
ステップS100では、充電制御部21において、定電流充電動作制御処理を実施して、ステップS102に移行する。
ここで、定電流充電動作制御処理は、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nに対して、電流指令値Iref及び値「0」の駆動指令値fdを出力する処理となる。これにより、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nが定電流充電動作を実施する。
【0042】
ステップS102では、充電制御部21において、定電力充電動作制御処理を実施して、ステップS104に移行する。
ここで、定電力充電動作制御処理は、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nに対して、電力指令値Pref及び値「0」の駆動指令値fdを出力する処理となる。これにより、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nが定電力充電動作を実施する。
ステップS104では、充電制御部21において、定電圧充電動作制御処理を実施して、ステップS106に移行する。
【0043】
ステップS106では、充電制御部21において、充電が終了したか否かを判定する。そして、充電が終了したと判定した場合(Yes)は、ステップS108に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、充電が終了するまで判定処理を繰り返す。
ステップS108に移行した場合は、充電制御部21において、充電終了処理を実施して、一連の処理を終了する。
具体的に、充電終了処理は、定電圧充電動作を実施している電力変換装置に対して、値「1」の駆動指令値fdを出力し、その他の電力変換装置に対する値「1」の駆動指令値fdの出力を継続する処理となる。
【0044】
(定電圧充電動作制御処理)
次に、
図5に基づき、ステップS104で実行される定電圧充電動作制御処理の処理手順を説明する。
ステップS104において、定電圧充電動作制御処理が実行されると、
図5に示すように、まず、ステップS200に移行する。
ステップS200では、充電制御部21において、第1〜第nの電力変換装置10_1〜10_nのうちのいずれか1台が、定電圧充電動作で単独動作中であるか否かを判定する。そして、単独動作中であると判定した場合(Yes)は、ステップS202に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS204に移行する。
ステップS202に移行した場合は、充電制御部21において、タイマ23のカウント値に基づき、定電圧充電動作の動作時間Tdが設定時間Ts以上になったか否かを判定する。そして、設定時間Ts以上になったと判定した場合(Yes)は、ステップS204に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
【0045】
ステップS204に移行した場合は、充電制御部21において、メモリ22から順番情報及び動作情報を読み出して、ステップS206に移行する。
ステップS206では、充電制御部21において、ステップS204で取得した順番情報及び動作情報に基づき、第1〜第nの電力変換装置10_1〜10_nの中から、単独動作させる電力変換装置を決定する。そして、決定した1台の電力変換装置に対して、電圧指令値Vref及び値「0」の駆動指令値fdを出力する。また、現在単独動作中の電力変換装置がある場合、この電力変換装置に対して、値「1」の駆動指令値fdを出力する。その後、ステップS208に移行する。
【0046】
ここで、充電制御部21は、順番情報で決められた順番における、動作情報の示す電力変換装置の次の順番の電力変換装置を、単独動作させる電力変換装置に決定する。
ステップS208では、充電制御部21において、第1〜第nの電力変換装置10_1〜10_nのうち、ステップS206で決定した単独動作させる電力変換装置以外の残りの電力変換装置に対して、値「1」の駆動指令値fdを出力する。その後、ステップS210に移行する。
ステップS210では、充電制御部21において、メモリ22に記憶された単独動作中の電力変換装置の識別情報を更新し、更に、タイマ23による時間計測を開始(タイマ23をリセット)して、一連の処理を終了し元の処理に復帰する。
【0047】
(動作)
以下、
図1〜
図5及び
図10を参照しつつ、
図6に基づき、第1実施形態のバッテリ充電装置1の動作を説明する。
ここで、バッテリ100は車載用リチウムイオンバッテリであり、電源は家庭用の交流電源であるとする。車載用リチウムイオンバッテリは、リチウムイオンバッテリセル(例えば起電力約3.7[V])を、例えば、数十個並列に接続したバッテリブロックを、更に複数個(数十〜百個程度)直列に接続する等して構成される。
また、ここでは、電力変換装置の台数を第1〜第3電力変換装置10_1〜10_3の3台とする。
いま、入力端子Tinに、交流電源が接続されると、充電制御装置20において、充電動作制御処理が開始される。充電制御装置20は、まず、定電流充電動作制御処理を実施する(ステップS100)。
【0048】
ここで、目標とする定充電電流を30[A]として、充電制御装置20は、電流指令値Iref(30[A]/3台=10[A])及び値「0」の駆動指令値fdを、第1〜第3電力変換装置10_1〜10_3に出力する。
これにより、第1〜第3電力変換装置10_1〜10_3は、各自の出力電流Io1〜Io3が、電流指令値Iref(10[A])と一致するように電力変換回路12のインバータ回路を駆動制御する。すなわち、3台の電力変換装置の並列動作による定電流充電動作を実施する。従って、
図10の定電流充電動作期間に示すように、バッテリ100が、一定の電流値(30[A])で充電される。なお、第1〜第3電力変換装置10_1〜10_3は、各自が共通の出力電流(10[A])を出力するように駆動制御されるため、出力電流がバランスする。
【0049】
このようにして定電流充電動作が実施されると、
図10に示すように、充電電流を一定(30[A])に保ったまま充電が行われ、出力電圧Voutが時間の経過に伴って上昇していく。そして、充電制御装置20は、定電流充電動作制御処理が終了すると、次に、定電力充電動作制御処理を実施する(ステップS102)。
ここで、目標とする定充電電力を3[kW]として、充電制御装置20は、電力指令値Pref(=3[kW]/3台=1[kW])及び値「0」の駆動指令値fdを、第1〜第3電力変換装置10_1〜10_3に出力する。
【0050】
これにより、第1〜第3電力変換装置10_1〜10_3は、各自の出力電力Po1〜Po3が、電力指令値Pref(1[kW])と一致するように電力変換回路12のインバータ回路を駆動制御する。すなわち、3台の電力変換装置の並列動作による定電力充電動作を実施する。
具体的に、第1〜第3電力変換装置10_1〜10_3は、各自の出力電力Poが電力指令値Prefと一致するように、出力電圧Voutの上昇に応じて、各自の出力電流Io1〜Io3を制御する。これにより、バッテリ100が、一定の充電電力(3[kW])で充電される。なお、第1〜第3電力変換装置10_1〜10_3は、各自が共通の出力電圧Voutに対して共通の電力指令値Prefとなるように出力電流を制御するため、出力電流がバランスする。
【0051】
このようにして定電力充電動作が実施されると、充電電力を一定に保ったまま充電が行われ、
図10に示すように、出力電圧Voutが時間の経過に伴って上昇していくと共に、充電電流Iotが出力電圧Voutの上昇に伴って下降していく。そして、充電制御装置20は、定電力充電動作制御処理が終了すると、次に、定電圧充電動作制御処理を実施する(ステップS104)。
充電制御装置20は、定電圧充電動作制御処理が開始されると、現在は定電圧充電動作で単独動作している電力変換装置がないため(ステップS200のNo)、メモリ22から、順番情報及び動作情報を読み出す(ステップS204)。充電制御装置20は、動作情報から前回定電圧充電動作を行った電力変換装置を判別し、順番情報から、今回単独動作させる電力変換装置を決定する。ここで、順番情報は、
図6に示すように、1回の定電圧充電動作期間Tvを三等分して、最初の期間tv1を第1電力変換装置10_1が、次の期間tv2を第2電力変換装置10_2が、最後の期間tv3を第3電力変換装置10_3が単独動作を担当するように予め設定されている。
【0052】
ここでは、定電圧充電動作期間Tvを三等分したため、設定時間Tsは、「Ts=tv1=tv2=tv3」となる。また、定電圧充電動作期間Tvは、例えば、出力電圧Voutやバッテリ100から得られる他の情報等から予測して設定する。なお、定電圧充電動作期間Tvが等分できないような場合は、いずれか1台のみ設定時間を短く又は長くする。例えば、「Ts=tv1=tv2」として、tv3は、充電が完了するまでの時間とする。このような場合に、例えば、動作時間の異なる1台に対しても順番にローテーションするように動作順番を設定する構成としてもよい。
【0053】
今回の単独動作は、定電圧充電動作期間Tvの最初の1回目となるため、充電制御装置20は、第1電力変換装置10_1を今回単独動作させる装置に決定する。そして、第1電力変換装置10_1に対して、電圧指令値Vref(例えば、100[V])及び値「0」の駆動指令値fdを出力する(ステップS206)。加えて、第2及び第3電力変換装置10_2及び10_3に対して、値「1」の駆動指令値fdを出力する(ステップS208)。
また、充電制御装置20は、第1電力変換装置10_1の動作時間Tdの計測を開始すると共に、現在の動作情報(ここでは、単独動作中の電力変換装置の識別情報)を、第1電力変換装置10_1の識別情報へと更新する。
【0054】
これにより、第1電力変換装置10_1は、出力電圧Voutが、電圧指令値Vref(100[V])と一致するように電力変換回路12のインバータ回路を駆動制御する。
一方、第2及び第3電力変換装置10_2及び10_3は、値「1」の駆動指令値fdが入力されたことに応じて、ローレベルのゲート駆動信号を電力変換回路12のインバータ回路の全ての電界効果トランジスタに対して出力して、インバータ回路の駆動を停止する。加えて、ローレベルのゲート駆動信号を出力遮断回路13に対して出力して、電力変換回路12とバッテリ100との電気的接続を遮断する。
以上の駆動制御によって、第1電力変換装置10_1が、単独で定電圧充電動作を実施して、バッテリ100を充電する。
【0055】
これにより、
図10に示すように、出力電圧Voutを一定に保ったままバッテリ100が充電され、充電電流Iotが時間の経過に伴って下降していく。
引き続き、充電制御装置20は、第1電力変換装置10_1の動作時間Tdを監視し(ステップS200のYes)、動作時間Tdが、予め設定した設定時間Ts以上になったか否かを判定する(ステップS202)。そして、動作時間Tdが設定時間Ts以上になったと判定すると(ステップS202のYes)、メモリ22に記憶された順番情報及び動作情報に基づき、次に単独動作させる電力変換装置を決定する。
【0056】
充電制御装置20は、読み出した動作情報から、現在、第1電力変換装置10_1が単独動作していることが解るため、
図6に示す順番情報から、第2電力変換装置10_2を単独動作させる装置に決定する。そして、第2電力変換装置10_2に対して、電圧指令値Vref(例えば、100[V])及び値「0」の駆動指令値fdを出力する(ステップS206)。加えて、第1及び第3電力変換装置10_1及び10_3に対して、値「1」の駆動指令値fdを出力する(ステップS208)。
すなわち、充電制御装置20は、新たに、第1電力変換装置10_1に対して、値「1」の駆動指令値fdを出力し、第3電力変換装置10_3に対する、値「1」の駆動指令値fdの出力を継続する。
【0057】
また、充電制御装置20は、第2電力変換装置10_2の動作時間Tdの計測を開始すると共に、現在の動作情報(識別情報)を、第2電力変換装置10_2の識別情報へと更新する。
これにより、第2電力変換装置10_2は、出力電圧Voutが、電圧指令値Vref(100[V])と一致するように電力変換回路12のインバータ回路を駆動制御する。
一方、第1電力変換装置10_1は、値「1」の駆動指令値fdが入力されたことに応じて、ローレベルのゲート駆動信号を電力変換回路12のインバータ回路の全ての電界効果トランジスタに対して出力して、インバータ回路の駆動を停止する。加えて、ローレベルのゲート駆動信号を出力遮断回路13に対して出力して、電力変換回路12とバッテリ100との電気的接続を遮断する。また、第3電力変換装置10_3は、値「1」の駆動指令値fdが継続して入力されることによって、ローレベルのゲート駆動信号を継続してインバータ回路の全ての電界効果トランジスタ及び出力遮断回路13に対して出力する。
【0058】
これにより、第2電力変換装置10_2によって定電圧充電動作が引き継がれ、引き続き出力電圧Voutを一定に保ったまま充電が行われ、充電電流Iotが時間の経過に伴って下降していく。
引き続き、充電制御装置20は、第2電力変換装置10_2の動作時間Tdを監視し(ステップS200のYes)、動作時間Tdが、予め設定した設定時間Ts以上になったか否かを判定する(ステップS202)。そして、動作時間Tdが設定時間Ts以上になったと判定すると(ステップS202のYes)、充電制御装置20は、メモリ22に記憶された順番情報及び動作情報に基づき、次に単独動作させる電力変換装置を決定する。
【0059】
充電制御装置20は、読み出した動作情報から、現在、第2電力変換装置10_2が単独動作していることが解るため、
図6に示す順番情報から、第3電力変換装置10_3を単独動作させる装置に決定する。
そして、第3電力変換装置10_3に対して、電圧指令値Vref(100[V])及び値「0」の駆動指令値fdを出力する(ステップS206)。加えて、第1及び第2電力変換装置10_1及び10_2に対して、値「1」の駆動指令値fdを出力する(ステップS208)。
【0060】
すなわち、新たに、第2電力変換装置10_2に対して、値「1」の駆動指令値fdを出力し、第1電力変換装置10_1に対する値「1」の駆動指令値fdの出力を継続する。
また、充電制御装置20は、第3電力変換装置10_3が、単独動作させる最後の1台であることから、動作時間の計測は行わずに、現在の動作情報を、第3電力変換装置10_2の識別情報へと更新する。
これにより、第3電力変換装置10_3によって定電圧充電動作が引き継がれ、引き続き出力電圧Voutを一定に保ったまま充電が行われ、充電電流Iotが時間の経過に伴って下降していく。そして、充電制御装置20は、定電圧充電制御処理が終了すると(ステップS106のYes)、充電終了処理を実施する(ステップS108)。
【0061】
具体的に、充電制御装置20は、第3電力変換装置10_3に対して、値「1」の駆動指令値fdを出力し、第1及び第2電力変換装置10_1及び10_2に対する、値「1」の駆動指令値fdの出力を継続する。
以上、第1実施形態のバッテリ充電装置1は、定電流充電動作及び定電力充電動作の実施時は、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nを並列動作させ、定電圧充電動作の実施時は、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nのうち1台の電力変換装置を単独動作させることが可能である。
【0062】
これにより、複数台を並列動作させる構成と比較して、定電圧充電動作を実施時の電力損失を低減することが可能であると共に、定電圧充電動作を実施時の出力電流のバランス制御を不要とすることが可能となる。
また、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nのそれぞれが、出力電流値Ioが電流指令値Irefに一致するように充電動作を制御する定電流制御部110、出力電力値Poが電力指令値Prefに一致するように充電動作を制御する定電力制御部111を備える構成とした。
【0063】
これにより、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nは、定電流充電動作及び定電力充電動作の実施時に、各自が他の出力電流値の比較等をすることなく出力電流Io1〜Ionをバランスすることが可能となる。
加えて、上記したように定電圧充電動作を実施時の出力電流のバランス制御が不要であるため、定電圧充電動作の実施時に出力電流をバランスするための専用の制御回路や専用の制御線を不要とすることが可能となり、コストアップの発生を抑えることが可能となる。
【0064】
また、1回の充電期間における定電圧充電動作の実施期間Tvにおいて、単独動作させる電力変換装置を、予め設定した設定時間Tsが経過する毎に他の電力変換装置へと順番に入れ替えることが可能である。
これにより、特定の電力変換装置にのみ負荷がかかるような事態を回避することが可能となり、装置劣化の不均一による電力損失等の発生を低減することが可能となる。
第1実施形態において、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nが、複数の電力変換部に対応し、充電制御装置20が、充電制御部に対応する。
【0065】
(第2実施形態)
(構成)
第2実施形態は、定電圧充電動作を実施時に単独動作させる電力変換装置の動作制御内容が上記第1実施形態と異なる。また、第2実施形態では、定電圧充電動作を実施時の電力変換装置の動作時間Tdを計測しないため、充電制御装置20がタイマ23を備えていない点も上記第1実施形態と異なる。これら以外の構成は、上記第1実施形態と同様となる。
以下、上記第1実施形態と同様の構成部については同じ符号を付して適宜説明を省略し、異なる部分を詳細に説明する。
【0066】
(充電制御装置20の構成)
第2実施形態の充電制御装置20は、
図7に示すように、上記第1実施形態の充電制御装置20からタイマ23を除去した構成となる。
第2実施形態の充電制御部21は、充電開始から充電完了(満充電)までの1回の充電期間毎に、定電圧充電動作期間Tvで単独動作させる電力変換装置を、予め設定した順番で他の電力変換装置と交代させる。すなわち、第2実施形態では、1回の充電期間毎における定電圧充電動作期間Tvの全期間を同じ電力変換装置に単独動作させる。
【0067】
なお、交代する順番は、順番情報として、各電力変換装置の識別情報に対応付けて予め設定されており、この順番情報は、メモリ22に記憶されている。
また、第2実施形態では、定電圧充電動作の実施時は、定電圧充電動作期間Tv毎に単独動作した電力変換装置の情報を動作履歴情報として、メモリ22の不揮発性のメモリに記憶する。なお、動作履歴情報は、交代する毎に更新してもよいし、時刻情報を付して過去の情報に追加で記憶するようにしてもよい。なお、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nが一巡するまでは、一度単独動作した電力変換装置が再び選択されないように通し順番が設定されている。
【0068】
第2実施形態のメモリ22は、充電制御部21で実行する充電制御処理に必要なプログラム及びデータが記憶されたROMと、プログラムの実行に必要な各種データを一時記憶する不揮発性のメモリとから構成される。
具体的に、ROMには、充電動作制御処理のためのプログラム、電流指令値Iref、電力指令値Pref、電圧指令値Vref、順番情報等が記憶される。
また、第2実施形態の不揮発性のメモリには、ROMに記憶された各種データを読み出して一時記憶すると共に、単独動作させた電力変換装置の情報(動作履歴情報)を記憶する。
【0069】
(定電圧充電動作制御処理)
次に、
図8に基づき、第2実施形態の定電圧充電動作制御処理の処理手順を説明する。
充電制御部21において、定電圧充電動作制御処理が実行されると、
図8に示すように、まず、ステップS300に移行する。
ステップS300では、充電制御部21において、メモリ22から順番情報及び動作履歴情報を読み出して、ステップS302に移行する。
ステップS302では、充電制御部21において、ステップS300で取得した順番情報及び動作履歴情報に基づき、第1〜第nの電力変換装置10_1〜10_nの中から、単独動作させる電力変換装置を決定する。そして、決定した1台の電力変換装置に対して、電圧指令値Vref及び値「0」の駆動指令値fdを出力する。その後、ステップS304に移行する。
【0070】
ここで、充電制御部21は、順番情報で決められた順番における、動作履歴情報の示す電力変換装置の次の順番の電力変換装置を、単独動作させる電力変換装置に決定する。
ステップS304では、充電制御部21において、第1〜第nの電力変換装置10_1〜10_nのうち、ステップS302で決定した単独動作させる電力変換装置以外の残りの電力変換装置に対して、値「1」の駆動指令値fdを出力する。その後、ステップS306に移行する。
ステップS306では、充電制御部21において、メモリ22に記憶された動作履歴情報を今回単独動作させた電力変換装置の識別情報に更新して、一連の処理を終了し元の処理に復帰する。
【0071】
(動作)
次に、
図7〜
図8及び
図10を参照しつつ、
図9に基づき、第2実施形態のバッテリ充電装置1の動作を説明する。
以下、定電圧充電動作制御処理の動作から説明する。
充電制御装置20は、定電圧充電動作制御処理が開始されると、メモリ22から、順番情報及び動作履歴情報を読み出す(ステップS300)。充電制御装置20は、動作履歴情報から前回定電圧充電動作を行った電力変換装置を認識し、順番情報から、今回単独動作させる電力変換装置を決定する。ここで、順番情報は、
図9に示すように、第1電力変換装置10_1→第2電力変換装置10_2→第3電力変換装置10_3の順番に設定されており、第3電力変換装置10_3の次は、再び第1電力変換装置10_1からの順番となる。
【0072】
ここで、動作履歴情報が、前回単独動作した電力変換装置の識別情報として、第1電力変換装置10_1の識別情報を含んでいるとする。この場合、充電制御装置20は、
図9の順番情報から、第2電力変換装置10_2を今回単独動作させる装置に決定する。そして、第2電力変換装置10_2に対して、電圧指令値Vref(例えば、100[V])及び値「0」の駆動指令値fdを出力する(ステップS302)。加えて、第1及び第3電力変換装置10_1及び10_3に対して、値「1」の駆動指令値fdを出力する(ステップS304)。
これにより、第2電力変換装置10_2は、出力電圧Voutが、電圧指令値Vref(100[V])と一致するように電力変換回路12のインバータ回路を駆動制御する。
【0073】
一方、第1及び第3電力変換装置10_1及び10_3は、値「1」の駆動指令値fdが入力されたことに応じて、ローレベルのゲート駆動信号を電力変換回路12のインバータ回路の全ての電界効果トランジスタに対して出力して、インバータ回路の駆動を停止する。加えて、ローレベルのゲート駆動信号を出力遮断回路13に対して出力して、電力変換回路12とバッテリ100との電気的接続を遮断する。
以上の駆動制御によって、第2電力変換装置10_2が、単独で定電圧充電動作を実施して、バッテリ100を充電する。
【0074】
これにより、
図10に示すように、出力電圧Voutを一定に保ったままバッテリ100が充電され、充電電流Iotが時間の経過に伴って下降していく。そして、充電制御装置20は、定電圧充電制御処理が終了すると(ステップS106のYes)、充電終了処理を実施する(ステップS108)。
以降は、新たな定電圧充電動作が実施される毎に、第3電力変換装置10_3→第1電力変換装置10_1→第2電力変換装置10_2→・・・の順番で単独動作させる電力変換装置を交代し、上記同様の動作制御を実施する。
【0075】
以上、第2実施形態のバッテリ充電装置1は、定電流充電動作及び定電力充電動作の実施時は、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nを並列動作させ、定電圧充電動作の実施時は、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nのうち1台の電力変換装置を単独動作させることが可能である。
これにより、複数台を並列動作させる構成と比較して、定電圧充電動作を実施時の電力損失を低減することが可能であると共に、定電圧充電動作を実施時の出力電流のバランス制御を不要とすることが可能となる。
【0076】
また、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nのそれぞれが、出力電流値Ioが電流指令値Irefに一致するように充電動作を制御する定電流制御部110、出力電力値Poが電力指令値Prefに一致するように充電動作を制御する定電力制御部111を備える構成とした。
これにより、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nは、定電流充電動作及び定電力充電動作の実施時に、各自が他の出力電流値の比較等をすることなく出力電流Io1〜Ionをバランスすることが可能となる。
【0077】
加えて、上記したように定電圧充電動作を実施時の出力電流のバランス制御が不要であるため、定電圧充電動作の実施時に出力電流をバランスするための専用の制御回路や専用の制御線を不要とすることが可能となり、コストアップの発生を抑えることが可能となる。
また、1回の充電期間毎に、単独動作させる電力変換装置を、他の電力変換装置へと順番に入れ替えることが可能である。
これにより、特定の電力変換装置にのみ負荷がかかるような事態を回避することが可能となり、装置劣化の不均一による電力損失等の発生を低減することが可能となる。
第2実施形態において、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nが、複数の電力変換部に対応し、充電制御装置20が、充電制御部に対応する。
【0078】
(変形例)
(1)上記第1実施形態では、1回の定電力充電期間Tvにおいて、第1〜第n電力変換装置10_1〜10_nを、予め設定した設定時間Ts毎に、単独動作させる電力変換装置を、順番に交代する構成とした。また、上記第2実施形態では、定電力充電期間毎に、単独動作させる電力変換装置を、順番に交代する構成とした。これらの構成に限らず、特定の電力変換装置に単独動作をさせる構成、劣化状態に応じて動作時間を代える構成、電力変換装置の台数が多い場合に、複数のグループに分けて、1回の定電力充電期間において、グループ毎に順番に交代する構成とするなど他の構成としてもよい。
【0079】
(2)上記各実施形態では、充電動作として、定電流充電動作、定電力充電動作及び定電圧充電動作の3種類の充電動作を実施する構成としたが、この構成に限らない。例えば、定電流充電動作及び定電圧充電動作の2種類の充電動作を実施する構成や、定電流充電動作の前に、突入電流を防ぐためにソフトスタート充電動作(例えば、比較的小さな定電流で充電する動作)を実施する構成など他の構成としてもよい。
(3)上記各実施形態では、充電対象のバッテリ100をリチウムイオンバッテリとしたが、この構成に限らず、少なくとも定電流充電動作及び定電圧充電動作を実施して充電を行うことが可能なバッテリであれば、他の種類のバッテリにも本発明を適用可能である。
【0080】
(4)上記各実施形態では、電力変換回路12とバッテリ100との電気的接続を遮断するための出力遮断回路13を備える構成としたが、この構成に限らず、電源と電力変換回路12との電気的接続を遮断する電源遮断回路を備える構成としてもよい。
(5)上記各実施形態では、電力変換装置の駆動を停止する際に、電力変換回路12のインバータ回路の駆動を停止すると共に、出力遮断回路13を遮断する構成としたが、この構成に限らない。例えば、出力遮断回路13のみを遮断動作させる構成としてもよいし、出力遮断回路13に加えて電源遮断回路を備えている場合は、出力遮断回路13と電源遮断回路のみを遮断する構成としてもよい。
【0081】
(6)上記各実施形態では、電力変換装置の駆動を停止する際に、電力変換回路12のインバータ回路の駆動を停止すると共に、出力遮断回路13によって、電力変換装置とバッテリ100との電気的接続を遮断する構成としたが、この構成に限らない。例えば、電力変換回路12のインバータ回路の駆動を停止するのみの構成として、出力遮断回路13を不要とする構成としてもよい。
(7)上記各実施形態では、演算制御装置11がマイコンを含み、プロセッサによってプログラムを実行することで各種演算処理を行う構成としたが、この構成に限らない。例えば、マイコンを含まず、各機能構成部を電子回路で構成するなど、他の構成としてもよい。
【0082】
また、上記実施形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、上記の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。また、上記の説明で用いる図面は、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺は実際のものとは異なる模式図である。また、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良、均等物等は本発明に含まれるものである。