(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
パターン変形手段は、前記走査パターンを変形するか否かを判定するための基準領域を設定し、前記基準領域に対する前記走査パターンの位置関係に基づいて前記走査パターンを変形する請求項1の眼科撮影装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜
図12は本実施形態の実施例に係る図である。
【0012】
<概要>
眼科撮影装置10は、予め設定された走査パターンにて、OCT光学系100からの測定光(試料光ともいう)を被検眼上で横断方向に走査する。本装置は、測定光の横断位置に関する断層画像を取得する。本装置は、走査パターンの位置に応じて、走査パターンを変形する。
【0013】
<全体構成>
本装置は、OCT光学系100と、観察光学系200と、制御部70と、を主に備える(
図1参照)。OCT光学系100は、光スキャナ108を有し、被検眼の断層画像を生成するために用いられる。光スキャナ108は、測定光源から発せられた測定光を、被検物上で横断方向に走査するための走査手段として用いられる。観察光学系200は、被検眼の正面画像を生成するために用いられる。
【0014】
制御部70は、例えば、検者からの指示を受け付ける指示受付部として用いられる。そこで、制御部70は、タッチパネル、マウス、キーボードなどのユーザインターフェース(操作入力部)からの操作信号を受け付けてもよい。
【0015】
制御部70は、例えば、表示制御部として用いられる。そこで、制御部70は、観察光学系200によって生成された正面画像を表示部75に表示してもよい(
図2参照)。また、制御部70は、走査位置を設定するための走査パターンを、指示受付部によって受け付けられた指示信号に応じて正面画像上の任意の位置に表示してもよい。指示受付部は、走査パターンを正面画像上の任意の位置に表示させるための検者からの指示を受け付ける。
【0016】
この場合、制御部70は、走査パターンを、正面画像上に重畳表示してもよい。制御部70は、検者からの指示信号に応じて走査ラインの位置を正面画像上で移動してもよい。指示受付部は、表示部に表示された走査ラインの位置を移動させるための検者からの指示を受け付ける。
【0017】
制御部70は、例えば、走査制御部として用いられる。そこで、制御部70は、光スキャナ108の駆動を制御し、正面画像上の走査パターンに対応する走査位置に、測定光を走査させてもよい。
【0018】
詳細には、制御部70は、走査パターンを形成する各走査ラインの位置に応じて走査位置を設定する。そして、制御部70は、光スキャナ108の駆動を制御することにより、前述のように設定された走査位置に測定光を走査させる。この場合、制御部70は、走査ラインの位置に応じて測定光の走査位置を設定する設定部として機能を有する。
【0019】
制御部70は、例えば、正面画像上における走査パターンの位置に応じて、走査パターンを変形するパターン変形部として用いられる(
図3〜
図7、
図10〜
図12参照)。これにより、変形された走査パターンに対応する断層画像を取得できる。したがって、例えば、撮影画角等によって規定される移動限界の制約を受けることなく、走査位置を設定できる。
【0020】
なお、走査パターンの位置に応じて変形する場合、制御部70は、正面画像上の走査パターンの位置を、走査パターンの表示位置から直接的でもよい。制御部70は、走査パターンを介して設定される測定光の走査位置から間接的に求めてもよい。間接的に求める場合、例えば、光スキャナ108の駆動位置が用いられる。
【0021】
<変形される走査パターン>
変形される走査パターンとしては、例えば、複数の走査ラインが互いに交差するクロス状のパターンが用いられる。本装置は、各走査ラインに関する断層画像を取得できる。例えば、本装置は、本走査パターンを用いて、ある交点に関して異なる走査方向の断層画像を取得できる。したがって、単一の走査ラインでの断層画像に比べて、複数の方向から被検物の断層画像を観察できる。
【0022】
詳細には、複数の走査ラインが縦横に直交する十字パターン(
図2)、複数の走査ラインがX字状に交差するX字パターン(
図12)複数の走査ラインが放射状に配列されたラジアルパターン、の少なくともいずれが用いられる。なお、走査パターンは、第1方向に関して平行な1又は複数の第1走査ラインと、第1の方向とは異なる第2方向に関して平行な複数の第2ラインとが、互いに交差するパターンであってもよい。
【0023】
なお、走査パターンは、上記に限定されず、サークル状のパターンであってもよい。走査パターンは、形状が異なる複数の走査パターンの組み合わせであってもよく、例えば、矩形内に測定光をラスターするマップスキャンと、上記スキャンとの複合スキャンであってもよい。
【0024】
また、走査パターンとしては、例えば、縦横方向に関してそれぞれ走査ラインを持つ走査パターンであれば、本実施形態の技術の適用は可能である。
【0025】
走査パターンとしては、例えば、同一方向に関して複数の走査ラインを持つ走査パターンであっても、本実施形態の技術の適用は可能である(
図13参照)。
【0026】
<走査位置と走査パターンの変形について(
図4、
図5参照)>
制御部70は、例えば、走査パターンの走査中心(例えば、交点K)が正面画像の周辺部に移動できるように、走査パターンの位置に応じて走査パターンを変形してもよい。これにより、例えば、正面画像の周辺部に表示された目標部位に関する断層画像を容易に取得できる。なお、正面画像の周辺部とは、例えば、正面画像上において、初めに設定された走査パターンの移動可能領域より外側の周辺領域として規定される。
【0027】
この場合、制御部70は、正面画像上の走査パターンの位置情報に基づいて、正面画像上における中心領域に走査中心が配置される場合、予め設定された走査パターンの形状とし、正面画像上における周辺領域に走査中心が配置される場合、走査パターンを変形してもよい。
【0028】
他の手法として、制御部70は、走査パターンを変形するか否かを判定するための基準領域を設定してもよい。この場合、制御部70は、走査パターンの一部が、基準領域Aを超えるように走査位置が設定される場合、走査パターンが基準領域内に収まるように、走査パターンを変形してもよい。走査位置が基準領域Aを超えるような場合には、例えば、走査パターンの端部のいずれかが基準領域Aに到達して、さらに、到達方向に走査パターンが移動される場合、又は、予め設定された走査パターンの一部が基準位置を超えてしまう場合などが考えられる(詳しくは、後述する)。
【0029】
なお、走査パターンの端部は、例えば、走査パターンを構成する走査ラインの走査端であって、始点、又は終点である。
【0030】
上記のような走査パターンの走査位置に基づく走査パターンの変形制御は、例えば、検者が、測定光の走査位置を、正面画像上で変更するときに作動される。これにより、検者は、変形された走査パターンにて走査位置を設定できる。
【0031】
なお、前述した各走査パターンの変形制御に関し、制御部70は、少なくともいずれかを選択できるようにしてもよい。
【0032】
<基準領域の設定(
図4、
図5参照)>
上述された基準領域Aは、例えば、観察光学系200の撮影可能範囲(撮影画角)又は表示部75上の正面画像の表示可能範囲に対応する。これにより、正面画像の周辺部に関する断層画像を好適に取得できる。この場合、走査パターンを変形するか否かを判定するための判定基準として、制御部70は、例えば、走査パターンの端部のいずれかが、前述の撮影可能範囲又は表示可能範囲の限界に達したか否かを判定するようにしてもよい。
【0033】
なお、基準領域Aは、これに限定されない。例えば、OCT光学系100の撮影可能範囲(撮影画角)であってもよい。あるいは、OCT光学系100又は観察光学系200の撮影可能範囲より小さい所定の範囲が、基準領域Aとして設定されてもよい。
【0034】
なお、基準領域Aの内側においても、走査パターンを変形させるようなモードを設けるようにしてもよい。例えば、正面画像の中心位置からの距離に応じて走査パターンを変形するようにしてもよい。
【0035】
なお、走査パターンの端部の位置を利用する手法に限定されず、走査パターンの位置が利用されればよい。例えば、制御部70は、クロス状パターンにおける交点位置を利用して走査パターンを変形するか否かを判定するようにしてもよい。この場合、交点位置に対応する基準領域が設定される。
【0036】
<複数の走査ラインを持つ走査パターン(例えば、クロス状パターン)の変形手法(
図6、
図7、
図10、
図12参照)>
走査パターンの位置に応じて走査パターンを変形させる場合、制御部70は、走査位置が基準領域Aを超える走査ラインの移動を禁止すると共に、移動が禁止されたラインに対して他の走査ラインを移動させるようにしてもよい。
【0037】
ここで、制御部70は、各走査ラインの走査幅(つまり、走査方向の長さ)を維持することにより、例えば、各方向の断層画像を当初の撮影範囲にて取得できる。
【0038】
より詳細には、制御部70は、予め設定された走査パターンが、基準領域A内に配置されるように走査位置が設定される場合、各走査ラインにおける始点から交点までの第1距離と、各走査ラインにおける終点から交点までの第2距離と、の比率を維持してもよい。
【0039】
制御部70は、予め設定された走査パターンの一部が、基準領域Aを超えるように走査位置が設定される場合、各走査ライン上における始点から交点Kまでの第1距離と、各走査ライン上における交点Kから終点までの第2距離と、の比率を変更してもよい。そこで、制御部70は、各走査ラインの走査幅を維持しつつ、走査パターンの一部が基準領域を超えた方向に関して、走査パターン上における交点Kの位置を変更する。これにより、交点Kは、正面画像の周辺部に配置された状態となる。
【0040】
また、走査パターンの位置に応じて走査パターンを変形させる場合、制御部70は、各走査ライン間の角度関係を維持すると共に、第1方向に関する第1走査ラインに対して、第2の方向(第1方向と交差する)に関する第2走査ラインを移動させるようにしてもよい。これにより、角度関係が維持された状態で、目標部位に関する複数の断層像を容易に取得できる。
【0041】
なお、クロス状パターンを変形させる場合、交点Kの位置の変更に限定されない。例えば、制御部70は、走査パターン25において基準領域Aを超えた部分について、光スキャナ108による走査をしないようにしてもよい(
図7参照)。また、制御部70は、走査パターン25の走査幅を狭くするようにしてもよい。
【0042】
なお、クロス状パターンを用いる場合、制御部70は、交点を中心とする各ラインの走査幅が縦横に対称な走査パターンを初期設定とし、クロス状パターンを変形させる場合、走査パターンにおける交点位置を偏心させるようにしてもよい。
【0043】
なお、前述した各クロス状パターンの変形制御に関し、制御部70は、少なくともいずれかを選択できるようにしてもよい。
【0044】
なお、複数の走査ラインを持つ走査パターンを変形する場合、制御部70は、走査角度、走査間隔の少なくともいずれかを維持するようにしてもよい。
【0045】
逆に、複数の走査ラインを持つ走査パターンを変形する場合、制御部70は、走査幅、スキャン角度、スキャン間隔の少なくともいずれかを変更するようにしてもよい。
【0046】
<検者からの指示による走査パターンの変形>
なお、上記のように走査パターンを変形させる場合、走査位置に応じて変形する構成に限定されず、例えば、検者からの信号に基づいて変形するようにしてもよい。この場合、制御部70は、走査位置に関わらず、走査パターンを変形できる。
【0047】
<トラッキング(
図1参照)>
なお、制御部70は、観察光学系200によって取得されるライブ動画像に基づいて光スキャナ108の駆動を制御し、設定された被検眼上の横断位置に、変形された走査パターンにて測定光をトラッキングするようにしてもよい。そこで、制御部70は、変形された走査パターンにて走査される測定光の走査位置が補正されるように、観察光学系200によって取得されるライブ動画像に基づいて光スキャナ108の駆動を制御してもよい。
【0048】
例えば、制御部70は、走査パターン25の走査位置と、基準領域Aとの位置関係に関わらず、トラッキング作動前の走査パターン25の形状を維持する。これにより、トラッキング作動前に変形された走査パターン25にて断層画像を取得できる。また、同一の走査位置にて取得された複数の断層画像に基づいて加算平均画像を取得する場合に有利である。
【0049】
トラッキングを行う場合、例えば、制御部70は、観察光学系200によって取得されるライブ動画像と予め取得された静止画像との位置ずれを画像処理により検出し、検出結果に基づいて光スキャナ108の駆動を制御する。
【0050】
<フォローアップ>
なお、経過観察等、異なる日に再度同一位置での断層画像を得るため、制御部70は、変形された走査パターン(変形走査パターン)に対応する走査位置を不揮発メモリ72に記憶するようにしてもよい。次回の撮影の場合、制御部70は、不揮発メモリ72に記憶された変形走査パターンの走査位置にて、走査位置が設定され、測定光を走査する。例えば、フォローアップの場合、制御部70は、走査位置が変更されても、前回の変形走査パターン25の形状を維持してもよい。
【0051】
<走査ライン毎の記憶>
なお、設定された走査パターンが、複数の走査ラインから形成される走査パターンの場合、制御部70は、変形された走査パターンにて取得された各断層画像を、走査ラインに応じて分けて不揮発メモリ72に記憶するようにしてもよい。これにより、第1の走査ラインにて取得された断層画像と、第1の走査ラインに対応するライン表示が付された正面画像が、解析ソフト上で確認可能となる。これとは別に、第2の走査ラインにて取得された断層画像と、第2の走査ラインに対応するライン表示が付された正面画像が、解析ソフト上で確認可能となる。つまり、解析ソフト上で別々に表示可能となるように、各断層画像が走査ラインに応じて別々に保存される。
【0052】
<実施例>
以下、本実施形態に係る実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本実施例に係る眼科撮影装置の構成について説明する概略構成図である。以下の説明においては、眼科撮影装置として、被検眼の眼底撮影を行う眼底撮影装置を例に挙げて説明を行う。もちろん、眼科撮影装置としては、眼底撮影装置に限定されず、被検眼の前眼部撮影を行う前眼部撮影装置等が挙げられる。
【0053】
図1を参照して、本実施形態に係る眼科撮影装置10の概略構成について説明する。本実施形態の眼科撮影装置10は、OCT光学系100と、観察光学系200と、固視標投影ユニット300と、制御部70とを主に備える。
【0054】
<OCT光学系>
OCT光学系100は、被検眼Eの組織(例えば、眼底Ef)の断層画像を取得するための光干渉光学系であり、光断層干渉計(OCT:Optical Coherence Tomography)の構成を備える。具体的には、OCT光学系100は、測定光源102、カップラー(光分割器)104、測定光学系106、参照光学系110、および検出器(受光素子)120を主に備える。
【0055】
より詳細には、カップラー(光分割器)104は、測定光源102から出射された光を測定光学系106の光路と参照光学系110の光路に分割する。測定光学系106は、測定光を眼Eの眼底Efに導く。参照光学系110は、参照光を生成する。OCT光学系100は、眼底Efによって反射された測定光と,参照光を合成する。検出器120(受光素子)は、合成された光を受光する。
【0056】
OCT光学系100は、眼底Ef上の撮像位置を変更するため、眼底Ef上における測定光の照射位置を変更する照射位置変更ユニット(例えば、光スキャナ108、固視標投影ユニット300)を備える。制御部70は、設定された撮像位置情報に基づいて照射位置変更ユニットの動作を制御し、検出器120からの受光信号に基づいて断層像を取得する。
【0057】
検出器120(受光素子)は、測定光と参照光との干渉状態を検出する。フーリエドメインOCTの場合では、干渉光のスペクトル強度が検出器120によって検出され、スペクトル強度データに対するフーリエ変換によって所定範囲における深さプロファイル(Aスキャン信号)が取得される。眼科撮影装置10には、種々のOCTを採用できる。例えば、Spectral−domain OCT(SD−OCT)、Swept−source OCT(SS−OCT)、Time−domain OCT(TD−OCT)等のいずれを眼科撮影装置10に採用してもよい。
【0058】
光スキャナ108は、測定光源から発せられた光を被検眼眼底上で走査させる。例えば、光スキャナ108は、眼底上で二次元的(XY方向(横断方向))に測定光を走査させる。光スキャナ108は、瞳孔と略共役な位置に配置される。光スキャナ108は、例えば、2つのガルバノミラーであり、その反射角度が駆動機構50によって任意に調整される。
【0059】
これにより、光源102から出射された光束はその反射(進行)方向が変化され、眼底上で任意の方向に走査される。これにより、眼底Ef上における撮像位置が変更される。光スキャナ108としては、光を偏向させる構成であればよい。例えば、反射ミラー(ガルバノミラー、ポリゴンミラー、レゾナントスキャナ)の他、光の進行(偏向)方向を変化させる音響光学素子(AOM)等が用いられる。
【0060】
参照光学系110は、参照光を生成する。前述したように、参照光は、眼底Efでの測定光の反射によって取得される反射光と合成される。参照光学系110は、マイケルソンタイプであってもよいし、マッハツェンダタイプであっても良い。参照光学系110は、例えば、反射光学系(例えば、参照ミラー)によって形成され、カップラー104からの光を反射光学系により反射することにより再度カップラー104に戻し、検出器120に導く。他の例としては、参照光学系110は、透過光学系(例えば、光ファイバー)によって形成され、カップラー104からの光を戻さず透過させることにより検出器120へと導く。
【0061】
参照光学系110は、参照光路中の光学部材を移動させることにより、測定光と参照光との光路長差を変更する構成を有する。例えば、参照ミラーが光軸方向に移動される。光路長差を変更するための構成は、測定光学系106の測定光路中に配置されてもよい。
【0062】
<正面観察光学系>
正面観察光学系(正面像観察デバイス)200は、眼底Efの正面画像を得るために設けられている。観察光学系200は、例えば、光源から発せられた測定光(例えば、赤外光)を眼底上で二次元的に走査させる光スキャナと、眼底と略共役位置に配置された共焦点開口を介して眼底反射光を受光する第2の受光素子と、を備え、いわゆる眼科用走査型レーザ検眼鏡(SLO)の装置構成を持つ。
【0063】
なお、観察光学系200の構成としては、いわゆる眼底カメラタイプの構成であってもよい。また、OCT光学系100は、観察光学系200を兼用してもよい。すなわち、正面画像は、二次元的に得られた断層像を形成するデータを用いて取得されるようにしてもよい(例えば、三次元断層像の深さ方向への積算画像、XY各位置でのスペクトルデータの積算値、ある一定の深さ方向におけるXY各位置での輝度データ、網膜表層画像、等)。
【0064】
<固視標投影ユニット>
固視標投影ユニット300は、眼Eの視線方向を誘導するための光学系を有する。投影ユニット300は、眼Eに呈示する固視標を有し、複数の方向に眼Eを誘導できる。
【0065】
例えば、固視標投影ユニット300は、可視光を発する可視光源を有し、視標の呈示位置を二次元的に変更させる。これにより、視線方向が変更され、結果的に撮像部位が変更される。例えば、撮影光軸と同方向から固視標が呈示されると、眼底の中心部が撮像部位として設定される。また、撮影光軸に対して固視標が上方に呈示されると、眼底の上部が撮像部位として設定される。すなわち、撮影光軸に対する視標の位置に応じて撮影部位が変更される。
【0066】
固視標投影ユニット300としては、例えば、マトリクス状に配列されたLEDの点灯位置により固視位置を調整する構成、光源からの光を光スキャナを用いて走査させ、光源の点灯制御により固視位置を調整する構成、等、種々の構成が考えられる。また、投影ユニット300は、内部固視灯タイプであってもよいし、外部固視灯タイプであってもよい。
【0067】
<制御部>
制御部70は、CPU(プロセッサ)、RAM、ROM等を備える。制御部70のCPUは、眼科撮影装置10の制御を司る。RAMは、各種情報を一時的に記憶する。制御部70のROMには、眼科撮影装置10の動作を制御するための各種プログラム、初期値等が記憶されている。
【0068】
制御部70には、不揮発性メモリ(以下、メモリに省略する)72、操作部74、および表示部75等が電気的に接続されている。メモリ72は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、および、眼科撮影装置10に着脱可能に装着されるUSBメモリ等をメモリ72として使用することができる。メモリ72には、眼科撮影装置10による正面画像および断層画像の撮影を制御するための撮影制御プログラムが記憶されている。また、メモリ72には、撮影された二次元の断層画像、三次元画像、正面画像、断層画像の撮影位置の情報等、撮影に関する各種情報が記憶される。操作部74には、検者による各種操作指示が入力される。
【0069】
操作部74は、入力された操作指示に応じた信号を制御部70に出力する。操作部74には、例えば、マウス、ジョイスティック、キーボード、タッチパネル等の少なくともいずれかを用いればよい。表示部75は、眼科撮影装置10の本体に搭載されたディスプレイであってもよいし、本体に接続されたディスプレイであってもよい。パーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)のディスプレイを用いてもよい。複数のディスプレイが併用されてもよい。表示部75には、眼科撮影装置10によって撮影された断層画像および正面画像を含む各種画像が表示される。
【0070】
なお、制御部70は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)によって構成されてもよい。例えば、PCに設けられた設定制御部と、OCT光学系100等の動作を制御する動作制御部とによって、眼科撮影装置10の制御部70が構成されてもよい。この場合、例えば、PCの設定制御部は、PCに接続された操作部の操作に基づいて断層画像の撮像位置等を設定し、設定した内容を動作制御部に指示すればよい。動作制御部は、設定制御部からの指示に従って、眼科撮影装置10の各構成による撮影動作を制御すればよい。また、受光信号に基づいて画像を生成(取得)する処理は、動作制御部および設定制御部のいずれで行ってもよい。
【0071】
例えば、制御部70は、OCT光学系100の検出器120から出力される受光信号に基づいて画像処理により断層像を取得すると共に、観察光学系200の受光素子から出力される受光信号に基づいて正面像を取得する。また、制御部70は、固視標投影ユニット300を制御して固視位置を変更する。
【0072】
例えば、制御部70は、表示部75の表示画面を制御する。取得された眼底像は、表示部75に静止画又は動画として出力される他、メモリ72に記憶される。制御部70は、操作部74から出力される操作信号に基づいて、OCT光学系100、観察光学系200、固視標投影ユニット300の各部材を制御する。
【0073】
<制御動作>
以上のような構成を備える装置において、その制御動作について説明する。検者は、固視標投影ユニット300の固視標を注視するように被検者に指示する。図示無き前眼部観察用カメラで撮影される前眼部観察像が、表示部75に表示される。そこで、検者は、前眼部の瞳孔中心に測定光軸が位置されるように、アライメント操作を行う。
【0074】
制御部70は、光スキャナ108の駆動を制御し、眼底上で測定光を所定方向に関して走査する。制御部70は、検出器120から出力される出力信号から所定の走査領域に対応する受光信号を取得することにより、断層画像を形成する。また、制御部70は、OCT光学系100を制御し、断層画像を取得すると共に、観察光学系200を制御し、眼底正面像を取得する。そして、制御部70は、OCT光学系100によって断層画像、観察光学系200によって眼底正面像を随時取得する。
【0075】
図2は、表示部75に表示される表示画面の一例を示す図である。制御部70は、表示部75上に、観察光学系200によって取得された正面画像20、指標25、断層画像30、を表示する。走査パターン25は、正面画像20上における断層画像の測定位置(取得位置)を表す指標である。走査パターン25は、表示部75上の正面画像上に電気的に表示される。
【0076】
制御部70は、ポインタ21(例えば、十字マーク、ドットマーク、ペンマーク等)を表示部75上に表示する。制御部70は、操作部74からの操作信号に基づいて、ポインタ21を移動させる。
【0077】
本実施例では、正面画像20上にポインタ21を合わせた状態で、操作部74が操作される(例えば、ドラッグ操作、クリック操作)ことにより、撮影条件の設定が可能な構成となっている。ポインタ21は、表示部75上における任意の位置を指定するために用いられる。
【0078】
<スキャンラインの設定>
以下、走査パターンとして、クロスパターンが設定された場合を例として説明する。なお、走査パターン25は、検者の操作に基づいて任意の形状に予め設定される。例えば、複数用意された走査パターンから選択される。
【0079】
断層画像及び正面画像が同一画面上に表示されたら、検者は、撮影したい断層画像の位置を表示部75上の正面画像から設定する。ここで、検者は、操作部74を用いて移動操作(例えば、ドラッグ操作)を行うことによって、正面画像に対して走査パターン25を移動させる。
【0080】
検者によって走査パターン25が正面画像20に対して移動されると、制御部70は、随時走査位置の設定を行う。そして、制御部70は、設定された位置に対応する走査位置における断層画像を取得する。そして、取得された断層画像を表示部75の表示画面上に随時表示する。また、制御部70は、操作部74から出力される操作信号に基づいて測定光の走査位置を変更すると共に、変更された走査位置に対応する表示位置に走査パターン25を表示する。このように、制御部70は、あるフレームレートにて走査位置の設定、及び断層画像の取得を連続的に実行することにより、断層画像の動画像を更新する。
【0081】
なお、初期段階において、走査パターン25は、交点Crを中心とする左右及び上下対称の十字の走査ライン(クロススキャン)からなる。
<走査位置に応じた走査パターン形状の変更>
図2は、走査位置を調整する前の表示画面を示す図である。走査位置は、初期設定として、例えば、正面画像の中心位置に設定される。なお、制御部70は、操作部74からの所定の操作信号に基づいて、走査パターンの回転角度、走査幅(スキャン長)を変更するようにしてもよい。
【0082】
制御部70は、正面画像上における走査パターンの位置に応じて、走査パターンを変形させる。
図3は、走査パターンを変形する際の例を示すフローチャートである。例えば、制御部70は、走査パターン25が移動された後の各走査ラインの座標を算出する。ここで、制御部70は、移動先の中心位置、回転角度、スキャン幅を用いる。そして、交差中心からのオフセット量は0とする。
【0083】
次に、制御部70は、正面画像の表示画面から走査ラインがはみ出るか否かを判定する。Yesと判定された場合、交差中心(交点K)からのオフセット量を算出する。つまり、制御部70は、はみ出した量と回転角度から、はみ出した走査ラインが、正面画像の表示画面内に収まるように算出する。
【0084】
次に、制御部70は、移動後の各走査ラインの座標を再計算する。つまり、制御部70は、移動後の交差中心の位置、初期の交差中心からのオフセット量、回転角度、スキャン幅を用いる。その後、制御部70は、中心位置及び走査ラインの座標を更新した後、光スキャナ108を用いた測定光の走査制御、及び断層画像の描画動作、を行う。
【0085】
なお、Noと判定された場合、判定された走査ラインの座標を用いて、走査中心位置及び走査ラインの座標を更新した後、光スキャナ108を用いた測定光の走査制御、及び断層画像の描画動作、を行う。
【0086】
図4、
図5は、走査パターンの変形制御の一例について説明するための図である。
図4は走査パターン変形前を示し、
図5は走査パターン変形後を示す。正面画像上には、基準領域Aが設定される。基準領域Aに関して、本実施例では、観察光学系200の撮影可能範囲(撮影画角)に対応する。つまり、表示部75上においては、正面画像の表示領域に対応する。なお、基準領域Aは、例えば、上下左右方向に関して設定される。ただし、これに限定されず、少なくとも1方向に設定されていればよい。
【0087】
制御部70は、走査パターンと基準領域Aとの位置関係に基づいて、走査パターンを変形するようにしてもよい。制御部70は、走査パターンを変形するか否かの境界として基準領域Aを設定してもよい。この場合、基準領域Aは、矩形形状に限定されず、走査パターンを変形するか否かを規定する領域であればよい。例えば、円、楕円などであってもよい。また、制御部70は、設定された走査パターンに応じて、基準領域Aの形状を変形するようにしてもよい。
【0088】
より詳細には、制御部70は、走査パターンが基準領域Aに達しているか否かを判定する。
図4に示すように、走査パターン25の端点が基準領域Aに到達していない場合、すなわち走査パターン25の全体が基準領域Aより内側に位置している場合、制御部70は、走査パターン25の形状を変更しない(
図2参照)。
【0089】
制御部70は、基準領域Aより狭い中心領域B(点線領域)内において、初期の形状にて走査パターン25の交点Kを正面画像上で移動できる。中心領域Bは、例えば、基準領域Aに対し、走査パターン25の交点Kから端点までの距離分、各方向に関して狭い。つまり、初期の形状に設定された走査パターン25の交点Kは、中心領域B内を移動可能である。制御部70は、中心領域Bにおける眼底上の目標部位を中心とする複数の断層画像を取得可能となる。
【0090】
例えば、断層像を取得したい目標部位が、正面画像における中心領域にある場合、検者は、操作部74の操作によって、目標部位に向けて走査パターン25を移動させる。走査パターン25における縦ライン25aと横ライン25bの交点Kが目標部位に達すると、制御部70は、予め設定された走査パターン25にて、目標部位を中心とする複数の断層画像を取得可能となる。
【0091】
一方、走査パターン25の端点が基準領域Aに到達した後、さらに走査パターン25が到達方向に移動される場合、制御部70は、走査パターン25の形状を変更する(
図5、
図6参照)。
図6(a)〜
図6(c)は、走査パターンが変形された後の表示画面の一例を示す図である。
【0092】
制御部70は、中心領域Bから基準領域Aまでの周辺領域Cにおいて、形状が変更された走査パターン25を正面画像上で移動できる。つまり、変形された走査パターン25の交点Kは、中心領域Bから基準領域Aまでの周辺領域C内を移動可能である。制御部70は、その周辺領域における眼底上の目標部位を中心とする複数の断層画像を取得可能となる。これにより、異なる方向に関する複数の走査ラインから構成される走査パターンに関して、走査パターンの走査中心の移動範囲が拡大される。これにより、目標部位に関連する複数の断層画像を容易に取得できる。
【0093】
以下に、走査パターン25の形状を変更する際の制御についてより詳細に説明する。例えば、周辺領域Cに目標部位がある場合、検者は、操作部74の操作によって、走査パターン25を正面画像上の目標部位に向けて移動させる。
【0094】
例えば、縦ライン25aの上側端点が基準領域Aに達した後、さらに、走査パターン25が上方向に移動された場合、制御部70は、縦ライン25aの移動を禁止すると共に、横ライン25bを上方に移動させる(
図6(a))。つまり、制御部70は、移動が固定された状態の縦ライン25aに対し、横ライン25bを移動させる。この場合、横ライン25bの縦方向の移動は、基準領域Aに達した前後に関係なく、制御部70は、操作部74からの操作信号に基づいて横ライン25bを移動させればよい。
【0095】
この結果、走査パターン25における交点Kの位置が上方向に移動するため、走査パターンの形状が、初期の形状に対して変形した状態となる。これにより、交点Kが、周辺領域Cの上方エリアに配置可能となるため、上方エリアに表示された眼底の目標部位に関連する断層画像を容易に取得できる。さらに、走査パターンの形状が変化されても、縦ライン25aの走査幅は維持されるため、目標部位に関する縦方向の断層画像を、当初の撮影範囲にて取得できる。
【0096】
なお、走査パターン25の縦ライン25aが基準領域Aに達した後の動作の場合、制御部70は、逆に、縦ライン25aの移動を禁止すると共に、横ライン25bを下方に移動させればよい。
【0097】
また、横ライン25bの左側端点が基準領域Aに達した後、さらに、走査パターン25が左方向に移動された場合、制御部70は、横ライン25bの移動を禁止すると共に、縦ライン25aを左方に移動させる(
図6(b))。つまり、制御部70は、移動が固定された状態の横ライン25bに対し、縦ライン25aを移動させる。この場合、縦ライン25aの横方向の移動は、基準領域Aに達した前後に関係なく、制御部70は、操作部74からの操作信号に基づいて縦ライン25bを移動させればよい。
【0098】
この結果、走査パターン25における交点Kの位置が横方向に移動するため、走査パターンの形状が、初期の形状に対して変形した状態となる。これにより、交点Kが、周辺領域Cの左側エリアに配置可能となるため、左側エリアに表示された眼底の目標部位に関連する断層画像を容易に取得できる。さらに、走査パターンの形状が変化されても、横ライン25bの走査幅は維持されるため、目標部位に関する横方向の断層画像を、当初の撮影範囲にて取得できる。
【0099】
なお、走査パターン25の横ライン25bが基準領域Aに達した後の動作の場合、制御部70は、逆に、横ライン25bの移動を禁止すると共に、横ライン25bを右方に移動させればよい。
【0100】
例えば、周辺領域Cにおける左上部分に目標部位がある場合、検者は、操作部74の操作によって、走査パターン25を正面画像の左上領域に向けて移動させる。上記制御手法を用いて、制御部70は、縦ライン25aの上側端点及び横ライン25bの左側端点の少なくともいずれかが基準領域Aに達した後、さらに、走査パターン25が到達方向に移動された場合、制御部70は、走査パターン25を変形すればよい(
図6(c))。これにより、交点Kが、周辺領域Cの左上部エリアに配置可能となるため、左上部エリアに表示された眼底の目標部位に関連する断層画像を容易に取得できる。さらに、走査パターンの形状が変化されても、縦ライン25a及び横ライン25bの走査幅は維持されるため、目標部位に関する各方向の断層画像を、当初の撮影範囲にて取得できる。なお、周辺領域Cの他のエリアに目標部位が存在する場合の制御方法については、説明を省略する。
【0101】
なお、正面画像上における走査位置の設定について、正面画像の動画像上で設定する構成であってもよいし、正面画像の静止画像上で設定する構成であってもよい(詳しくは、特願2012−047176号参照)。
【0102】
なお、基準領域Aは、上記に限定されない。例えば、OCT光学系100の撮影可能範囲(撮影画角)であってもよい。あるいは、OCT光学系100又は観察光学系200の撮影可能範囲より小さい所定の範囲が、基準領域Aとして設定されてもよい。
【0103】
なお、正面画像上で走査位置を設定する場合、走査パターン25の連続的な移動に限定されない。例えば、制御部70は、クリック操作により正面画像上で指定された位置に走査パターン25の走査中心(交点K)をジャンプするようにしてもよい。ここで、制御部70は、予め設定された形状における走査パターンの端点が基準領域Aを超過する場合、基準領域Aを超過する走査ラインについて、反対側の端点側に関して、超過分走査範囲を延伸させるようにしてもよい。これにより、走査パターン25のドラッグ移動における操作パターンの変形と同様の効果が得られる。
【0104】
なお、上記走査位置に基づいて走査パターンを変形する第1モードと、上記走査位置に基づいて走査パターンの変形しない第2モードと、を切換可能な構成であってもよい。制御部70は、第1モードと第2モードとの切換に応じて制御を切換える。
【0105】
<断層画像の取得>
以上のようにして、正面画像上の目標部位に関して走査位置が設定された後、制御部70は、正面画像20上で設定された走査位置に対応する断層画像を得る。制御部70は、走査パターン25の表示位置に基づいて、走査パターン25の位置に対応する眼底の断層画像が得られるように、眼底上において測定光を走査する。
【0106】
なお、走査パターン25の表示位置(モニタ上における座標位置)と光スキャナ108による測定光の走査位置との関係は、予め定まっているので、制御部70は、設定した走査パターン25の表示位置に対応する走査範囲に対して測定光が走査されるように、光スキャナ108の駆動を制御する。
【0107】
上記のように走査パターン25が変形された場合、制御部70は、変形された走査パターン25にて断層画像を得る。一方、走査パターン25が変形されなかった場合、制御部70は、予め設定された走査パターン25にて断層画像を得る。
【0108】
制御部70は、眼底上の目標部位に関して、縦ライン25aに対応する第1断層画像と、横ライン25bに対する第2断層画像とを取得する。制御部70は、第1断層画像と第2断層画像とを表示部75上に表示する。これにより、目標部位に関して異なる方向の断層画像がそれぞれ表示部75上に表示される。つまり、制御部70は、走査パターン25が複数の走査ラインを持つ場合、各走査ラインに関する断層画像を同時に表示するようにしてもよい。
【0109】
<トラッキング制御>
走査位置の設定後、断層画像を連続的に取得する場合、制御部70は、動画の正面画像が更新される毎に、走査位置の補正を行う。例えば、被検眼の固視微動等によって、正面画像が走査位置に対してずれた場合、走査位置を設定した位置と同一の位置の断層画像を取得するためには、走査位置を補正する必要がある。制御部70は、トラッキング制御を開始する。制御部70は、走査位置が設定されると、メモリ72に記憶された正面画像の静止画と走査位置情報を用いて走査位置の補正を行う。なお、正面画像の静止画としては、例えば、走査位置の設定が完了されたときの正面画像が用いられる。もちろん、これに限定されず、走査位置の設定に用いた静止画像を用いるようにしてもよい。
【0110】
例えば、制御部70は、正面画像の静止画と、現在の正面画像と、を比較して、正面画像の静止画に対する現在の正面画像の位置ずれの方向及び量を画像処理により検出(演算)する。例えば、制御部70は、メモリ72に記憶された正面画像の静止画データを基準画像とし、その基準画像とリアルタイムで取得される正面画像との位置ずれの方向及び量を算出する。これにより、静止画像に対する位置ずれ情報が得られる。
【0111】
上記のようにして、位置ずれ方向及び位置ずれ量が検出されると、制御部70は、走査位置のずれが補正されるように、光スキャナ108の2つのガルバノミラーを適宜駆動制御する。これによって、走査位置が補正される。また、制御部70は、走査位置を補正した場合、補正後の走査位置(走査パターン25)を正面画像上に表示する。以上のようにして、被検眼がずれた場合であっても、走査位置が補正され、常時、走査位置を設定した部位と同一の部位の断層画像が取得される。
【0112】
ここで、図示なき撮影開始スイッチ(レリーズスイッチ)が入力されると、制御部70は、断層画像の静止画像をキャプチャー(取込)し、メモリ72に記憶させる。また、取得された断層画像の静止画を表示部75に表示する。また、制御部70は、正面画像の静止画像をキャプチャー(取込)し、メモリ72に記憶してもよい。
【0113】
なお、制御部70は、縦ライン25aに対応する第1断層画像及び正面画像と、横ライン25bに対する第2断層画像及び正面画像と、を分けて保存するようにしてもよい。
【0114】
なお、上記のようなトラッキング制御の作動時において、制御部70は、走査パターン25の走査位置と、基準領域Aとの位置関係に関わらず、トラッキング作動前の走査パターン25の形状を維持する。つまり、眼を追尾することによって、走査パターン25の端点が基準領域Aに到達した後、さらに走査パターン25が到達方向に移動される場合であっても、制御部70は、走査パターン25を変形しない。もちろん、トラッキング作動前に走査パターンが変形された場合、制御部70は、トラッキング作動前に変形された走査パターンにてトラッキングを作動させる。ただし、眼の回旋に応じて走査パターンを回転させる制御はありうる。そして、制御部70は、形状を維持したまま走査パターンを回転させる。
【0115】
<変容例>
なお、上記制御において、制御部70は、操作部74からの操作信号に基づいて、スキャンパターンの交差中心(例えば、交点K)の位置をずらすようにしてもよい。すなわち、従来、クロス状スキャンは、交点Kに対して上下左右に対称なパターンのみであった。つまり、制御部70は、クロス状スキャンにおける各走査ラインの交点位置を始点と終点の中間位置から偏心可能(変更可能)とすることにより、目標部位の断層像(特に、正面画像上の周辺部位)を容易に取得できる。
【0116】
なお、上記説明においては、スキャンパターンの変形に関して、走査位置に応じてスキャンパターンの交差中心(例えば、交点K)の位置をずらす制御としたが、これに限定されない。例えば、制御部70は、走査パターン25において基準領域Aを超えた部分については、光スキャナ108による走査しないようにしてもよい(
図7参照)。つまり、制御部70は、光スキャナ108による走査領域を、走査パターン25において基準領域Aより内側に相当する部分に限定してもよい。この場合、表示部75上に断層画像を表示する場合、予め設定された走査幅より小さくなる。そこで、制御部70は、断層画像が取得された部分のみを表示部75上に表示するようにしてもよいし(
図8参照)、または、断層画像が取得されない部分を空白部分として表示するようにしてもよい(
図9参照)。つまり、制御部70は、不要部分を除去するマスクを施す画像処理を施すようにしてもよい。
【0117】
また、スキャンパターンの変形に関して、制御部70は、走査パターン25の端点が基準領域Aに到達した後、さらに走査パターン25が到達方向に移動される場合、走査パターン25の走査幅を狭くするようにしてもよい(
図10参照)。これによれば、取得されるOCT画像の中心に撮影部位の中心を移すことができる。この場合、制御部70は、一方向のみを縮小してもよいし、縦横の両方向を縮小してもよい。
【0118】
また、ラジアルスキャンにおいて、走査パターン25の端点が基準領域Aに到達した場合、基準領域Aに到達した走査ラインに関して交点からの走査幅を短くし、他の走査ラインに関しては交点からの走査幅を維持するようにしてもよい。これにより、中心比が維持される。
【0119】
なお、スキャンパターンの変形について、上記変形のいずれかを行う構成であってもよい。また、複数の変形方法から1つの変形方法を選択できる構成によれば、撮影目的に応じた変形方法を選択できるため、断層画像を取得する際の選択肢が広がる。
【0120】
なお、上記構成において、制御部70は、上記クロス状スキャンによる撮影と、マップ撮影(例えば、ラスタースキャン)と、を併用するようにしてもよい。例えば、制御部70は、クロス状スキャンによる縦横方向の走査範囲を含むように矩形上のラスタースキャンを実行するようにしてもよい(
図11のハッチング参照)。制御部70は、1回の撮影トリガに基づいて、クロス状スキャンによる撮影とマップ撮影とを連続的に行うようにしてもよい。
【0121】
なお、走査パターンとしてX字状スキャンが用いられる場合、制御部70は、各走査ラインの交差中心を移動させることなく、各ラインの交差角度を変更するようにしてもよい(
図12参照)。これにより、上下又は左右対称な画像を撮影できる。
【0122】
なお、走査パターンとして、同一方向に関して複数の走査ラインを持つ走査パターンが用いられる場合、制御部70は、少なくとも1本の走査ラインを他の走査ラインに対して走査方向にスライドさせるようにしてもよい(
図13参照)。このような手法は、走査ラインが斜め方向に設定された場合に有利である(例えば、画面の角に走査ラインが設定できる)。
【0123】
なお、走査パターンの走査位置情報を得る場合、正面画像上における走査パターンの座標位置を取得する他、制御部70は、光スキャナ108の走査位置を検出することにより走査位置情報を得るようにしてもよい。これは、通常、正面画像上における走査パターンの表示位置と光スキャナ108とが一対の関係に設定されるためである。