(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来のステップオン型の重量計やスイッチ動作型の重量計は、必ずしも測定対象が載置部に載る直前にゼロ点が更新がされるものでない。したがって、最後にゼロ点を取得した後、測定対象が載置部に載って測定されるまでの間に、設置角度、温度等の測定環境が変わったような場合には、少なからず測定結果である重量値に不正確な影響を及ぼす。また、そのような時に、より正確な測定結果を求めるのであれば、再度測定をしなければならず、手間を要した。
そこで、本発明は、正確な測定結果を手間を要さずに利用者に伝えることができる重量測定装置、生体測定装置及び重量測定プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【0006】
・第1の発明は、荷重負荷部(3)への荷重を検出する荷重検出部(50)と、ゼロ点を予め記憶する記憶部(53)と、前記荷重検出部の出力に基づいて、前記荷重負荷部への荷重に対応した荷重信号から荷重算出値を算出する制御部(54)と、前記荷重算出値を表示する表示部(20)とを備え、前記制御部(54)は、前記荷重負荷部に荷重が加わった負荷状態では、前記負荷状態での荷重信号と前記記憶部の前記ゼロ点に基づいて算出される荷重算出値である負荷状態荷重算出値を算出する負荷状態測定処理(S10,S11)と、前記負荷状態の後、前記荷重負荷部から前記荷重が取り除かれた無負荷状態では(S12:YES)、前記負荷状態及び前記無負荷状態での荷重信号に基づいて算出される荷重算出値である無負荷状態荷重算出値を算出し(S22)、前記表示部に表示する無負荷状態測定処理(S24,S324)とを行うこと、を特徴とする重量測定装置である。
・第2の発明は、第1の発明の重量測定装置において、前記制御部(54)は、前記負荷状態測定処理において、前記負荷状態荷重算出値を前記表示部に表示し(S11)、前記無負荷状態測定処理において、前記無負荷状態荷重算出値を前記表示部に再表示(S24)すること、を特徴とする重量測定装置である。
・第3の発明は、第2の発明の重量測定装置において、前記表示部(20)は、前記荷重算出値を数値表示するものであり、前記制御部(54)は、前記負荷状態荷重算出値として前記表示部に表示すべき数値(21)と、前記無負荷状態荷重算出値として前記表示部に表示すべき数値(21)とが異なる場合に、前記無負荷状態測定処理において、前記無負荷状態荷重算出値を前記表示部に再表示すること、を特徴とする重量測定装置である。
・第4の発明は、第2の発明の重量測定装置において、前記表示部(20)は、前記荷重算出値を数値表示するものであり、前記制御部(54)は、前記負荷状態荷重算出値として前記表示部に表示すべき数値(21)と、前記無負荷状態荷重算出値として前記表示部に表示すべき数値(21)とが異なり、かつ、前記負荷状態荷重算出値として前記表示部に表示すべき数値と、前記無負荷状態荷重算出値として前記表示部に表示すべき数値との差異が所定の閾値以上である場合に、前記無負荷状態測定処理において、前記無負荷状態荷重算出値を前記表示部に再表示すること、を特徴とする重量測定装置である。
・第5の発明は、第2の発明の重量測定装置において、前記制御部(54)は、前記記憶部に予め記憶されたゼロ点(A31)と、前記無負荷状態のゼロ点(A32)との差(d32)の判定結果に応じて、前記無負荷状態測定処理において、前記無負荷状態荷重算出値を前記表示部に再表示するか否かを決定すること、を特徴とする重量測定装置である。
・第6の発明は、第2の発明の重量測定装置において、前記制御部(54)は、前記負荷状態荷重算出値(C21)と前記無負荷状態荷重算出値(C22)との差(d22)の判定結果に応じて、前記無負荷状態測定処理において、前記無負荷状態荷重算出値を前記表示部に再表示するか否かを決定すること、を特徴とする重量測定装置である。
・第7の発明は、第2から第6のいずれかの発明の重量測定装置において、利用者に対する報知を行う報知部(30)を備え、前記制御部(54)は、前記無負荷状態測定処理において、前記無負荷状態荷重算出値を前記表示部(20)に再表示する場合に、前記報知部を駆動する(S25)こと、を特徴とする重量測定装置である。
・第8の発明は、第1から第7のいずれかの発明の重量測定装置において、前記制御部(54)は、前記記憶部(53)に予め記憶されたゼロ点を前記無負荷状態のゼロ点に更新して記憶させること(S21)、を特徴とする重量測定装置である。
・第9の発明は、第1から第8のいずれかの発明の重量測定装置において、前記制御部(54)は、この重量測定装置が使用されていない待機状態において、所定の条件を満たした場合に、前記待機状態での荷重信号に基づいて、前記記憶部に予め記憶されたゼロ点を前記待機状態のゼロ点に更新して記憶させること(S3)、を特徴とする重量測定装置である。
・第10の発明は、第9の発明の重量測定装置において、前記制御部(54)は、所定時間経過した場合、この重量測定装置の設置角度が基準値以下になった場合、周辺の温度差が基準値以上になった場合の少なくとも1つの場合に、前記所定の条件を満たしたと判断すること(S3)、を特徴とする重量測定装置である。
・第11の発明は、第1から第10のいずれかの発明の重量測定装置において、前記記憶部は、荷重算出値と、利用者識別情報とを対応付けた利用者情報を記憶する利用者情報記憶部を備え、前記制御部は、前記負荷状態測定処理において、前記負荷状態荷重算出値に近似の前記荷重算出値に対応付けられた前記利用者識別情報を、前記利用者情報記憶部に基づいて特定し、前記無負荷状態測定処理において、前記無負荷状態荷重算出値と、前記負荷状態荷重算出値とが異なり、かつ、前記無負荷状態荷重算出値と、前記負荷状態荷重算出値との差が所定の閾値以上である場合に、前記無負荷状態荷重算出値に近似の前記荷重算出値に対応付けられた前記利用者識別情報を、前記利用者情報記憶部に基づいて特定し、最新に特定された前記利用者識別情報を、前記表示部に表示する利用者表示処理を行うこと、を特徴とする重量測定装置である。
・第12の発明は、第11の発明の重量測定装置において、前記制御部は、前記利用者情報記憶部に記憶され、最新に特定された利用者識別情報に対応する前記荷重算出値を、前記無負荷状態荷重算出値に更新して記憶させること、を特徴とする重量測定装置である。
【0007】
・第13の発明は、荷重負荷部への荷重を検出する荷重検出部(50)と、利用者に接触可能に配置される複数の電極部材(405,406)と、ゼロ点を予め記憶するゼロ点記憶部(453b)と、荷重算出値と、生体インピーダンスと、利用者識別情報とを対応付けた利用者情報を記憶する利用者情報記憶部(453c)と、前記荷重検出部の出力に基づいて、前記荷重負荷部への荷重に対応した荷重信号から荷重算出値を算出する制御部(454)と、前記荷重算出値を表示する表示部(20)と、を備え、前記制御部(454)は、前記荷重負荷部に荷重が加わった負荷状態において、前記負荷状態での荷重信号と前記ゼロ点記憶部の前記ゼロ点に基づいて算出される荷重算出値である負荷状態荷重算出値を算出する負荷状態測定処理(S410)と、前記利用者に接触した状態で前記電極部材に通電することで、測定生体インピーダンスを算出する生体インピーダンス測定処理(S410a)と、前記測定生体インピーダンス及び前記負荷状態荷重算出値に基づいて、近似の前記生体インピーダンス及び前記荷重算出値に対応付けられた前記利用者識別情報を、前記利用者情報記憶部に基づいて特定する負荷状態利用者特定処理(S410b)と、を行い、前記負荷状態の後、前記荷重負荷部から前記荷重が取り除かれた無負荷状態において(S412:YES)、前記負荷状態及び前記無負荷状態での荷重信号に基づいて算出される荷重算出値である無負荷状態荷重算出値を算出する無負荷状態測定処理(S422)と、前記無負荷状態荷重算出値と、前記負荷状態荷重算出値とが異なり、かつ、前記無負荷状態荷重算出値と、前記負荷状態荷重算出値との差が所定の閾値以上である場合(S423a:YES)に、前記測定生体インピーダンス及び前記無負荷状態荷重算出値に基づいて、近似の前記生体インピーダンス及び前記荷重算出値に対応付けられた前記利用者識別情報を、前記利用者情報記憶部に基づいて特定する無負荷状態利用者特定処理(S423b)と、前記無負荷状態荷重算出値及び最新に特定された前記利用者識別情報を、前記表示部に表示する表示処理(S424,S524)と、を行うこと、を特徴とする生体測定装置である。
・第14の発明は、第13の発明の生体測定装置において、前記制御部(454)は、前記負荷状態測定処理において、前記負荷状態荷重算出値を前記表示部に表示し(S411)、前記表示処理において、前記無負荷状態荷重算出値を前記表示部に再表示すること(S424)、を特徴とする生体測定装置である。
・第15の発明は、第13又は第14の発明の生体測定装置において、前記利用者情報記憶部(453c)は、前記利用者の身体データを、前記利用者識別情報に対応付けて記憶しており、前記制御部(454)は、前記負荷状態利用者特定処理において、前記利用者識別情報に対応する前記身体データと、前記測定生体インピーダンスと、前記負荷状態荷重算出値とから身体組成に関するデータを算出し(S410c)、前記無負荷状態利用者特定処理において、前記利用者識別情報に対応する前記身体データと、前記測定生体インピーダンスと、前記無負荷状態荷重算出値とから身体組成に関するデータを算出し(S423c)、前記表示処理において、最新に算出した前記身体組成に関するデータを、前記表示部に表示すること(S424,S524)、を特徴とする生体測定装置である。
【0008】
・第16の発明は、ゼロ点を予め記憶する記憶部を備えるコンピュータ(1)の重量測定プログラム(53a)であって、前記コンピュータを、荷重負荷部(3)への荷重に対応した荷重信号から、荷重算出値を算出する制御手段(54)として機能させ、前記制御手段を、前記荷重負荷部に荷重が加わった負荷状態では、前記負荷状態での荷重信号と前記記憶部の前記ゼロ点に基づいて、算出される荷重算出値である負荷状態荷重算出値を算出する負荷状態測定処理(S10,S11)と、前記負荷状態の後、前記荷重負荷部から前記荷重が取り除かれた無負荷状態では、前記負荷状態及び前記無負荷状態での荷重信号に基づいて算出される荷重算出値である無負荷状態荷重算出値を算出し(S22)、表示部に表示する(S24,S324)無負荷状態測定処理とを行うように機能させること、を特徴とする重量測定プログラムである。
・第17の発明は、第16の発明の重量測定プログラムにおいて、前記制御手段(54)を、前記負荷状態測定処理において、前記負荷状態荷重算出値を前記表示部に表示させ(S11)、前記無負荷状態測定処理において、前記無負荷状態荷重算出値を前記表示部に再表示させる(S24)ように機能させること、を特徴とする重量測定プログラムである。
・第18の発明は、第16又は第17の発明の重量測定プログラムにおいて、前記コンピュータの前記記憶部は、荷重算出値と、利用者識別情報とを対応付けた利用者情報を記憶する利用者情報記憶部を備え、前記制御手段を、前記負荷状態測定処理において、前記負荷状態荷重算出値に近似の前記荷重算出値に対応付けられた前記利用者識別情報を、前記利用者情報記憶部に基づいて特定させ、前記無負荷状態測定処理において、前記無負荷状態荷重算出値と、前記負荷状態荷重算出値とが異なり、かつ、前記無負荷状態荷重算出値と、前記負荷状態荷重算出値との差が所定の閾値以上である場合に、前記無負荷状態荷重算出値に近似の前記荷重算出値に対応付けられた前記利用者識別情報を、前記利用者情報記憶部に基づいて特定させ、最新に特定された前記利用者識別情報を、前記表示部に表示する利用者表示処理を行うように機能させること、を特徴とする重量測定プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
・第1、第16の発明は、負荷状態から無負荷状態に移行した場合に、負荷状態及び無負荷状態の出力に基づいて荷重を算出して、無負荷状態の出力に基づいて算出された荷重を表示するので、より正確な荷重を、利用者に伝えることができる。
・第2、第17の発明は、負荷状態では、記憶部のゼロ点に基づいて算出した荷重を表示するので、使用してすぐに、荷重を利用者に伝えることができるとともに、無負荷状態の出力に基づいて算出した荷重を再表示するので、より正確な荷重も利用者に伝えることができる。この場合、利用者は、再測定するためのスイッチ操作等の手間を要することなく、より正確な荷重を得ることができる。
・第3の発明は、再表示の判定基準として、負荷状態の数値表示と、無負荷状態の数値表示とが異なることを基準にするので、表示部の表示を変更する場合にのみ、再表示すればよい。
・第4の発明は、負荷状態荷重算出値として表示すべき数値と、無負荷状態荷重算出値として表示すべき数値とが異なり、かつ、これらの数値の差が所定の閾値以上である場合に、無負荷状態荷重算出値を再表示する。これにより、例えば、高精度な測定が要求されない場面等に、適宜、再表示の処理を省くことができる。
・第5の発明は、予め設定されたゼロ点と、無負荷状態のゼロ点との差を判定して、荷重を再表示するので、再表示の判定基準として、これらの差を用いることができる。
・第6の発明は、負荷状態の荷重と、無負荷状態の荷重との差を判定して荷重を表示部に再表示するので、再表示の判定基準として、これらの差を用いることができる。
・第7の発明は、表示部に再表示する場合に、報知部を駆動するので、負荷状態の荷重と無負荷状態の荷重とが異なることを、利用者に報知できる。
・第8の発明は、記憶部のゼロ点を無負荷状態のゼロ点に更新するので、次回に利用者が利用する場合に負荷状態になったときに、荷重をより正確に測定できる。
・第9の発明は、重量測定装置を使用していない待機状態において、所定の条件に基づいてゼロ点を更新するので、ゼロ点をむやみに更新することを抑制できる。
・第10の発明は、待機状態において、所定時間経過した場合、この重量測定装置の設置角度が基準値以下になった場合、周辺の温度差が基準値以上になった場合に、ゼロ点を更新できる。
・第11、第18の発明は、利用者情報に、利用者識別情報とともに最新の荷重を記憶させておくことで、負荷状態及び無負荷状態の出力に基づいて算出した荷重から利用者を特定して表示できる。よって、測定前に利用者を特定するためのスイッチ操作等の手間を、利用者にさせることなく利用者を特定できる。
・第12の発明は、無負荷状態で算出した荷重を、最新の荷重として利用者識別情報に対応付けて記憶させるので、より正確な荷重を記憶できる。そして、その利用者が次回に利用する場合に、利用者を特定するための情報として使用できる。
・第13の発明は、利用者情報に、利用者識別情報とともに最新の荷重と生体インピーダンスとを記憶させておくことで、負荷状態及び無負荷状態の出力に基づいて算出した荷重及び測定した生体インピーダンスから、利用者を特定して表示できる。荷重だけでなく、生体インピーダンスを使用することで、より正確に利用者を特定できる。
・第14の発明は、負荷状態では、記憶部のゼロ点に基づいて算出した荷重を表示するので、使用してすぐに、荷重を利用者に伝えることができるとともに、無負荷状態の出力に基づいて算出した荷重を再表示するので、より正確な荷重も利用者に伝えることができる。
・第15の発明は、荷重及び生体インピーダンスから身体組成に関するデータを算出して表示できる。また、負荷状態及び無負荷状態の出力に基づいて算出した荷重が所定の閾値未満である場合には、負荷状態の荷重を測定したことに応じて算出した身体組成に関するデータを表示に用いるので、より早く利用者に示すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面等を参照して、本発明の測定対象の重量を測定する重量測定装置の一種であるところの、被測定者(被検者)の体重を測定する体重計について、実施形態として説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の体重計1を説明する図である。
図1(A)は、第1実施形態の体重計1の斜視図である。
図1(B)は、第1実施形態の表示部20の表示画面を示す図である。
体重計1は、利用者(被検者)の体重(荷重)を測定する重量測定装置である。
図1(A)に示すように、体重計1は、ベースと載置部3(荷重負荷部)を外体とし、載置部3の外面に、操作部2、表示部20、報知部30を備える。
操作部2は、利用者が操作する操作部材である。操作部2は、複数の押しボタンを備える。操作部2は、例えば、電源投入時の初期設定の操作等を受け付ける。
【0012】
載置部3は、測定時に利用者が乗る部分である。
表示部20は、液晶表示装置等である。表示部20は、載置部3に乗った利用者が視認できるように、載置部3に設けられている。
図1(B)に示すように、表示部20は、荷重表示21を数値で表示する。例えば、最小表示単位は、0.1(kg)であり、体重を0.1(kg)単位で表示できる。なお、体重計のような重量測定装置においては、最小表示単位を「目量」と称することが、一般的に知られている。
また、体重の表示「kg」は、一例であり、例えば、「st(stone)」、「oz(ounce)」等を用いてもよい。また、最小表示単位の数値「0.1」は、一例であり、例えば、「0.05」、「0.2」等を用いてもよい。
【0013】
報知部30は、荷重の再表示(後述する)を利用者に報知する装置である。報知部30は、発光装置31、音出力装置32を備える。
発光装置31は、ランプ等である。また、発光装置31として、表示部20のバックライト等を兼用してもよい。
音出力装置32は、メロディ、警告音等を出力するスピーカ、ブザー等である。
【0014】
図2は、第1実施形態の体重計1のブロック図である。
体重計1は、前述したハードウェアの他に、電源40、計時部41、荷重検出部50、荷重測定回路51、記憶部53、演算・制御部54を備える。
なお、本発明でいうコンピュータとは、記憶装置、制御装置等を備えた情報処理装置をいい、体重計1は、記憶部53、演算・制御部54等を備えた情報処理装置であり、本発明のコンピュータの概念に含まれる。
電源40は、電気系統各部に電力を供給する。本実施形態では、電源40として電池を用いるが、その他に、例えば、AC電源、太陽電池等を用いることができる。
計時部41は、時間を測定するカウンタ等を備える計時回路である。
【0015】
荷重検出部50は、載置部3に乗った利用者の体重を検出するロードセル等である。ロードセルを用いる場合には、荷重検出部50は、弾性体である起歪体、歪みゲージ等を備え、載置部3への荷重に対応した荷重信号を、荷重測定回路51(後述する)に出力する。
【0016】
荷重測定回路51は、荷重検出部50のアナログ信号である荷重信号を、デジタル信号に変換して、演算・制御部54に出力する。つまり、荷重検出部50の出力は、荷重測定回路51を介して、演算・制御部54に出力される。
【0017】
記憶部53は、半導体メモリ等の記憶装置から成り、重量測定プログラム53a、体重計1の動作に必要な情報、利用者(被測定者)の測定値、測定履歴等を記憶する。
記憶部53は、重量測定プログラム53aを記憶する。重量測定プログラム53aは、後述する
図3、
図4の処理を行うためのプログラムである。
【0018】
演算・制御部54は、CPU(中央処理装置)等から成り、体重計1の機能に必要な演算処理をしたり、体重計1を統括的に制御したりする制御装置である。演算・制御部54は、記憶部53に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、操作部2、表示部20、報知部30、電源40、計時部41、荷重検出部50、荷重測定回路51、記憶部53と協働し、実施形態の各種機能を実現している。
演算・制御部54は、荷重信号に基づいて荷重(kgf)を算出し、表示部20に表示したりする(このように算出した荷重を、以下「荷重算出値」いう)。
本実施形態では、荷重信号とは、荷重検出部50の出力に基づいて得られる信号であって、載置部3にかかる荷重に対応した情報を示す信号をいう。荷重信号は、荷重検出部50の出力信号、その出力信号を荷重測定回路51が信号処理をした信号等を含む概念である。
【0019】
なお、一般的に、体重計は、演算・制御部の荷重算出値は、表示部の荷重の最小表示よりも、分解能が高い。
例えば、本実施形態の体重計1は、分解能が0.01(kgf)である。つまり、演算・制御部54は、0.01(kgf)単位で荷重検出部50の出力に基づいて荷重を算出する。一方で、前述したように、表示部20の最小表示(目量)は、0.1(kg)である。
このため、演算・制御部54は、荷重算出値の小数第2桁を四捨五入して、表示部20に表示する。例えば、表示部20の表示が「50.0」であれば、演算・制御部54の荷重算出値は、「49.95,49.96,・・・,50.04」のいずれかである。
演算・制御部54の詳細な処理は、
図3、
図4を参照しながら後述する。
【0020】
次に、体重計1の処理について説明する。
図3は、第1実施形態の体重計1の処理を示すフローチャートである。
図4は、第1実施形態の荷重算出を説明する図、表示部20の表示画面を説明する図である。
【0021】
最初に、ステップS(以下Sという)1において、利用者が電池を装填する等の電源投入操作をすることにより、演算・制御部54が一連の処理を開始する。
S2において、演算・制御部54は、初期設定の操作を受け付ける。初期設定では、例えば、日時の入力を受け付ける。
また、演算・制御部54は、荷重検出部50の出力に基づいて、最初のゼロ点を記憶部53に記憶する。
ゼロ点とは、載置部3が無負荷状態における荷重信号の値である。
【0022】
S3において、演算・制御部54は、待機状態の処理を行う。待機状態では、以下に説明するように、ゼロ点の更新処理、利用者が載置部3に乗ったかの判定処理を繰り返し行う。
(1)ゼロ点の更新処理
演算・制御部54は、規定時間(例えば1時間程度)間隔で、記憶部53のゼロ点更新を行う。ゼロ点更新とは、ゼロ点を校正することをいう。
つまり、演算・制御部54は、その時点で、荷重検出部50の出力に基づいて算出される荷重算出値が「0(kgf)」になるように、記憶部53のゼロ点を書き替える。
体重計1は、このように、無負荷状態でも規定時間間隔でゼロ点を更新するので、後述するS10〜S12において、正確に荷重測定できる。
なお、ゼロ点更新を行うか否かの判断は、例えば、温度計を設けて周辺の温度差が基準値以上になったり、水準器を設けて体重計1の設置角度が基準値以下になったりすることを、判定基準にしてもよい。
【0023】
(2)利用者が載置部3に乗ったかの判定処理
演算・制御部54は、例えば2秒間隔で、利用者が載置部3に乗った状態(ステップオン状態)であるか否かの判定処理を行う。演算・制御部54は、荷重検出部50の出力に基づいて、載置部3に規定荷重(例えば2(kgf))以上の負荷が加わっているか否かを判定することにより、利用者が載置部3に乗ったかの判定処理の判定を行う。
演算・制御部54は、利用者が載置部3に乗ったと判定した場合には、S10に進む。
【0024】
S10において、演算・制御部54は、荷重検出部50の出力に基づいて、記憶部53のゼロ点を基準として荷重算出値を算出する。以下、利用者が載置部3に乗った状態で算出される荷重算出値を、適宜「負荷状態荷重算出値」という。
S11において、演算・制御部54は、荷重表示21を表示部20に表示する。
このように、演算・制御部54は、記憶部53のゼロ点に基づいて、負荷状態荷重算出値を算出し表示するので、乗った後すぐに体重を利用者に伝えることができる。
【0025】
S12において、演算・制御部54は、無負荷状態になったか否かを判定する。演算・制御部54は、例えば、2秒間隔でこの判定処理を行う。
S12の無負荷状態は、載置部3に乗っていた利用者が載置部3から降りることにより、負荷状態での荷重が載置部3から取り除かれて、無負荷に移行した状態である。
演算・制御部54は、この判定を、例えば、荷重算出値が規定値(例えば2(kgf))以内になったか否かによって行う。また、体重計1の底面に電気接点を有するスイッチを設けて、演算・制御部54は、この判定を、このスイッチの出力に基づいて行ってもよい。この場合には、スイッチは、載置部3から降りた場合には底面から突出してオフとなり、一方、利用者が載置部3に乗った場合に突出量が小さくなりオンとなるように、付勢されていればよい。
演算・制御部54は、無負荷状態になったと判定した場合には(S12:YES)、S20に進む。一方、演算・制御部54は、無負荷状態ではないと判定した場合(S12:NO)、つまり、利用者が載置部3に継続して乗っている状態であると判定した場合には、S12の処理を繰り返す。
【0026】
S20において、演算・制御部54は、新ゼロ点を検出する。実施形態では、新ゼロ点とは、載置部3に乗っていた利用者が載置部3から降りることによって、無負荷状態になった場合のゼロ点をいう。
なお、記憶部53のゼロ点と、新ゼロ点とは異なる場合がある。これは、測定直前に体重計1の設置環境が変化した場合には、S3の処理でゼロ点更新しても、測定直前にゼロ点更新がされないときがあるためである。設置環境のこのような変化は、例えば、体重計1を立て掛けて保管しておき測定直前に水平に設置された場合や、体重計1の周囲の温度が急激に変化した場合等に発生する。
【0027】
S21において、演算・制御部54は、記憶部53のゼロ点を新ゼロ点に更新する。
これにより、利用者が新たに体重を測定する場合には、S23:NO、又はS25で繰り返されるS3からの処理により正確に測定できる。
S22において、演算・制御部54は、新ゼロ点を基準として、荷重算出値を再算出する。以下、新ゼロ点に基づいて算出される荷重算出値を、適宜「無負荷状態荷重算出値」という。
【0028】
S23において、演算・制御部54は、表示部20の荷重表示21を再表示するか否かを判定する。演算・制御部54は、この判定処理を、表示部20の荷重表示21が変更されるか否かによって行う。つまり、演算・制御部54は、利用者が載置部3に乗った状態での負荷状態荷重算出値に基づく数値表示(S11参照)と、利用者が載置部3から降りた状態での無負荷状態荷重算出値に基づく数値表示(S12:YESから無負荷状態に移行した状態の数値表示)とが相違するか否かを判定する。
このような数値表示の相違は、前述したような設置環境にともなうゼロ点と新ゼロ点との相違が大きく起因する。さらに、体重計1は、以下の説明ように、数値表示を制御するようになっている。
【0029】
本実施形態の体重計1は、前述した通り、目量が0.1(kg)であるため、演算・制御部54が、例えば、小数第2桁を四捨五入する。
図4(A)に示すように、例えば、荷重表示21が「50.0」である場合は、負荷状態荷重算出値は、表示範囲B1に示すように、「49.95,49.96,・・・,50.04」のいずれかである。
このため、新ゼロ点での無負荷状態荷重算出値が表示範囲B1内であれば、荷重表示21の「50.0」は、変更する必要がないため、S23では再表示を行わない(NO)という判定になる。一方、表示範囲B2に示すように、新ゼロ点での無負荷状態荷重算出値が49.94以下であるとき、又は表示範囲B3に示すように、新ゼロ点での無負荷状態荷重算出値が50.05以上であるときには、荷重表示21は、変更する必要があるため、S23では再表示を行う(YES)という判定になる。
【0030】
例えば、
図4(A)に矢印E1で示すように、記憶部53のゼロ点での負荷状態荷重算出値が「50.04」であり、矢印E2で示すように新ゼロ点での無負荷状態荷重算出値が「49.95」であっても、荷重表示21は、「50.0」であり、変更する必要がないため、S23では再表示を行わない(NO)という判定になる。
一方、
図4(B)に矢印E3で示すように、新ゼロ点での無負荷状態荷重算出値が「50.05」である場合には、演算・制御部54は、これを四捨五入して、「50.1」として、表示部20の荷重表示21を変更する必要があるため、S23では再表示を行う(YES)という判定になる。
【0031】
このように、負荷状態荷重算出値として表示部20に表示すべき数値と、無負荷状態荷重算出値として表示部20に表示すべき数値とが異なるかどうかを、S23における再表示の判定の基準とすることができる。
【0032】
演算・制御部54は、荷重表示21を再表示すると判定した場合には(S23:YES)、S24に進む。一方、演算・制御部54は、再表示しないと判定した場合には(S23:NO)、表示部20の表示を数分経過後にオフにして、S3からの処理を繰り返す。
【0033】
前述の例では、負荷状態荷重算出値として表示部20に表示すべき数値と、無負荷状態荷重算出値として表示部20に表示すべき数値とが1目量分でも異なる場合には、S23において再表示するという判定を行うが、変形例として、所定の閾値を設け、負荷状態荷重算出値として表示部20に表示すべき数値と、無負荷状態荷重算出値として表示部20に表示すべき数値との差異が当該閾値以上である場合に、S23において再表示するという判定を行ってもよい。
【0034】
具体的には、例えば、
図4(A)に示すように荷重表示21が「50.0」であって、閾値を「2目量」に設定した場合には、新ゼロ点での無負荷状態荷重算出値が「49.85」以上「50.14」以下であっても、S23において再表示をしないという判定を行う。
新ゼロ点での無負荷状態荷重算出値が「49.95」以上「50.04」以下である場合に再表示をしないという判定を行う(S23においてNO)という処理は、前述の例と同じであるが、この変形例においては、新ゼロ点での無負荷状態荷重算出値が「49.85」以上「49.94」以下及び「50.05」以上「50.14」以下の場合においても、再表示をしないという判定を行う(S23においてNO)。すなわち、新ゼロ点での無負荷状態荷重算出値が「49.85」以上「49.94」以下の場合は、表示部20に表示すべき数値が49.9kgであり、「50.05」以上「50.14」以下の場合は、表示部20に表示すべき数値が50.1kgであるから、それぞれ、負荷状態荷重算出値として表示部20に表示すべき数値(50.0kg)との差異が0.1kg(=1目量)であり、設定された閾値(=2目量)未満であり、S23において再表示をしないという判定が行われることになる。
【0035】
一方、新ゼロ点での無負荷状態荷重算出値が「49.84」以下もしくは「50.15」以上の場合には、再表示をするという判定を行う(S23においてYES)。すなわち、新ゼロ点での無負荷状態荷重算出値が「49.84」以下の場合は、表示部20に表示すべき数値が49.8kg以下となり、「50.15」以上の場合は、表示部20に表示すべき数値が50.2kg以上となるから、それぞれ、負荷状態荷重算出値として表示部20に表示すべき数値(50.0kg)との差異が0.2kg(=2目量)以上であり、設定された閾値以上であるから、S23において再表示をするという判定が行われることになる。
なお、この変形例では、説明の便宜上、閾値を「2目量」に設定した場合のみを説明したが、閾値はこれに限られるものではなく、任意に設定できるものであることはいうまでもない。
このように、閾値を設定することにより、体重計1による再表示の処理を、適宜、省略することができる。
【0036】
S24において、
図4(B)に示すように、演算・制御部54は、再算出した無負荷状態荷重算出値に基づいて、荷重表示21を再表示する。
S25において、演算・制御部54は、発光装置31、音出力装置32を数秒間駆動する。演算・制御部54は、例えば、発光装置31を点滅し、また、音出力装置32から「ピー」といった警告音を出力する。
これにより、体重計1は、新ゼロ点に基づいて、荷重表示21が再表示されたことを、利用者に報知できる。
その後、演算・制御部54は、表示部20の表示を数分経過後にオフにして、S3からの処理を繰り返す。
【0037】
このS20〜S25の処理(無負荷状態測定処理)により、体重計1は、より正確な体重を利用者に伝えることができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の体重計1は、利用者が載置部3に乗った状態では、予め設定されたゼロ点に基づいて体重を利用者に伝え、その後、無負荷状態になった場合に、より正確な体重を利用者に伝えることができる。また、再度測定する手間を要することなく、より正確な測定結果を得ることができる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾(下2桁)に同一の符号を適宜付して、重複する説明を適宜省略する。
図5は、第2実施形態の荷重算出を説明する図である。
本実施形態は、表示部の荷重表示を再表示するか否かの判定処理(
図3に示すS23参照)のみが、第1実施形態とは異なる。
図5(A)に示すように、本実施形態の制御部(
図2に示す演算・制御部54参照)は、この判定処理を、記憶部(
図2に示す記憶部53参照)のゼロ点A21に基づく負荷状態荷重算出値C21(負荷状態の荷重)と、新ゼロ点A22に基づく無負荷状態荷重算出値C22(無負荷状態の荷重)との差d22に基づいて行う。
そして、差d22の絶対値が所定値以上の場合には、表示部の荷重表示を再表示し(
図3に示すS23:YES参照)、一方、所定値未満の場合には、表示部の荷重表示を再表示しない(
図3に示すS23:NO参照)。
【0040】
また、
図5(B)は、本実施形態のその他の例である。
図5(B)の例では、制御部は、表示部の荷重表示を再表示するか否かの判定処理を、記憶部のゼロ点A31と新ゼロ点A32との差d32の絶対値が所定値以上であるか否かを判定する。
【0041】
上記構成であっても、本実施形態の体重計は、第1実施形態と同様に、利用者が載置部に乗った負荷状態、利用者が載置部から降りた無負荷状態において、体重を利用者に伝えることができる。
【0042】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図6は、第3実施形態の体重計の処理を示すフローチャートである。
前述した第1及び第2の実施形態においては、記憶部53のゼロ点を基準として荷重算出値(負荷状態荷重算出値)を算出した後、表示部20に当該負荷状態荷重算出値を表示する(
図3のS11参照)が、本実施形態においては、負荷状態荷重算出値の算出直後の表示をスキップして、無負荷状態か否かの判定処理に移行する(
図6のS10からS12)。
また、本実施形態においては、再表示を行うかどうかの判定(
図3のS23参照)を行わずに、S22において無負荷状態でのゼロ点を基準に算出された荷重算出値(無負荷状態荷重算出値)を表示部20に表示する(S324)。この場合、一度表示された荷重算出値を再表示するわけではないので、ランプ、スピーカ等を駆動する(
図3のS25参照)ことによるユーザへの報知の必要性は比較的低いが、このような報知を行ってもよい。
【0043】
以上のように、利用者が載置部3から降りた後に、無負荷状態でのゼロ点を基準に算出された荷重算出値(無負荷状態荷重算出値)を表示部20に表示すれば十分であれば、上記のように負荷状態荷重算出値の算出直後の表示、及び再表示を行うかどうかの判定をスキップして、処理を簡素化してもよい。
【0044】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図7は、第4実施形態の体組成計401を説明する図である。
図8は、第4実施形態の体組成計401のブロック図及び利用者情報記憶部453cを説明する図である。
本実施形態は、利用者(被検者)の最新(前回)の測定値を記憶しておき、測定した体重(荷重)と生体インピーダンス(測定生体インピーダンス)とから利用者を特定するものである。
【0045】
図7(A)は、体組成計401(生体測定装置)の斜視図である。体組成計401は、例えば、
図7(B)に示すように、立てかけた状態での収納が可能である。
体組成計401は、操作部2、載置部3、表示部20、報知部30、右足載置部405及び左足載置部406を備える。
右足載置部405及び左足載置部406は、載置部3の外面に設けられ、利用者が左右の足をそれぞれ載せる部分である。右足載置部405及び左足載置部406は、それぞれ電流印加電極405a及び406a(電極部材)と、電圧測定電極405b及び406b(電極部材)とを備える。電流印加電極405a及び406aと、電圧測定電極405b及び406bとは、利用者が各々の足を載置部3の上に載置した状態で、利用者の足が接触する位置に配置されている。
電流印加電極405a,406aは、電流を印加する電極である。電圧測定電極405b,406bは、電圧を測定する電極であり、電圧測定値をアナログ信号で出力する。
【0046】
図8(A)に示すように、体組成計401は、前述したハードウェアの他に、電源40、計時部41、荷重検出部50、荷重測定回路51、記憶部453、演算・制御部454、生体インピーダンス測定回路460を備える。
なお、本発明でいうコンピュータとは、記憶装置、制御装置等を備えた情報処理装置をいい、体組成計401は、記憶部453、演算・制御部454等を備えた情報処理装置であり、本発明のコンピュータの概念に含まれる。
記憶部453は、半導体メモリ等の記憶装置から成り、体組成計401の動作に必要な情報等を記憶する。記憶部453は、重量測定プログラム453a、ゼロ点記憶部453b、利用者情報記憶部453c等を記憶する。
重量測定プログラム453aは、後述する
図9の処理を行うためのプログラムである。
ゼロ点記憶部453bは、ゼロ点を記憶する。
【0047】
利用者情報記憶部453cは、利用者ごとに番号(利用者識別情報)に対応付けて、利用者が指定した画像、名前、色等、及び、性別、誕生年、身長、生活強度等のデータ(身体データ)、最新の測定値等を記憶する。
図8(B)は、利用者情報記憶部453cの一例を示す。利用者は、初回測定前であって体組成計401の載置部3に乗る前に、操作部2を操作して番号、画像、名前、色等を指定し、性別、誕生年、身長、生活強度等の登録を行う。体重(荷重算出値)と生体インピーダンスとは、測定の後に最新の測定値を登録する。なお、利用者情報記憶部453cには、これらの情報の他に、測定結果の各種データや、利用者のニックネーム、画像、色、生活強度等を登録してもよい。
【0048】
演算・制御部454は、CPU等から成り、記憶部453に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、各種機能を実行する。
演算・制御部454は、荷重を算出して表示部20に表示する他、電圧測定電極405b,406bが生体インピーダンス測定回路460を介して出力した電圧測定値に基づいて生体インピーダンス(Ω)を算出する。そして、演算・制御部454は、測定値である荷重と生体インピーダンスとから、利用者情報記憶部453cに登録された利用者を特定する処理を行う。また、演算・制御部454は、測定値と、特定された利用者のデータ(利用者情報)とから、体脂肪率等の体組成データ(身体組成に関するデータ)を算出する。
生体インピーダンス測定回路460は、電流印加電極405a,406a間に特定の周波数の高周波電流を印加する。そして、生体インピーダンス測定回路460は、電圧測定電極405b,406b間の電圧、すなわち、利用者の両足間の生体インピーダンスに起因する電圧を測定し、電圧測定値のアナログ信号をデジタル信号に変換して、演算・制御部454に出力する。
【0049】
次に、体組成計401の処理について説明する。
図9は、第4実施形態の体組成計401の処理を示すフローチャートである。
S401からS410までの処理は、第1実施形態の
図3のS1からS10までの処理と同様である。なお、前述したように、S402において、初期設定として、演算・制御部454は、例えば、日時の入力の他に、利用者の番号、画像、名前、色等の指定と、性別、誕生年、身長、生活強度等の入力とを受け付ける。
S410aにおいて、演算・制御部454は、生体インピーダンス測定回路460に対して起動を指示することで、生体インピーダンス測定回路460が起動され、生体インピーダンスの測定を行う。
S410bにおいて、演算・制御部454は、測定された生体インピーダンス(測定生体インピーダンス)と、S410で算出された負荷状態荷重算出値とから、近似の体重及び生体インピーダンスが記憶されている利用者情報記憶部453cのレコードを特定する。近似とは、例えば、体重が±Xkg以内、生体インピーダンスが±YΩ以内(X,Yは、任意の数字であり、適宜設定できる。)の範囲をいう。なお、S402で利用者の初期設定後に初めて測定した場合には、利用者情報記憶部453cには体重及び生体インピーダンスが登録されていない。しかし、操作部2からの操作によって、利用者が特定されている。
S410cにおいて、演算・制御部454は、特定したレコードの性別、誕生年、身長、生活強度等のデータと、測定した負荷状態荷重算出値、生体インピーダンスとを用いて、体組成データを算出する。体組成データとは、例えば、BMI(Body Mass Index)、体脂肪率、筋肉量、骨量、基礎代謝量等をいう。
S411において、演算・制御部454は、負荷状態荷重算出値に基づいて、表示部20に荷重表示を行う。また、演算・制御部454は、利用者を特定する番号、画像、名前、色等と、負荷状態荷重算出値を用いて算出した体組成データとを、表示部20に表示する。
【0050】
S412、S420からS422までの処理は、第1実施形態の
図3のS12、S20からS22までの処理と同様である。なお、前述の
図7(B)のように、体組成計401を立てかけて保管している場合には、ゼロ点記憶部453bに記憶されたゼロ点と、新ゼロ点とは異なる可能性が高い。
S423aにおいて、演算・制御部454は、荷重の差が所定の閾値以上であるか否かを判断する。なお、所定の閾値とは、例えば、負荷状態荷重算出値として表示部20に表示すべき数値と、無負荷状態荷重算出値として表示部20に表示すべき数値とが異なる場合をいう。荷重の差が所定の閾値以上である場合(S423a:YES)には、演算・制御部454は、処理をS423bに移す。他方、荷重の差が所定の閾値以上ではない場合(S423a:NO)には、演算・制御部454は、処理をS424aに移す。
S423bにおいて、演算・制御部454は、測定された生体インピーダンスと、S422で算出された無負荷状態荷重算出値とから、近似の体重及び生体インピーダンスが記憶されている利用者情報記憶部453cのレコードを再度特定する。演算・制御部454は、本処理を行う間、利用者に待機してもらうために、表示部20に計算中である旨を通知してもよい。
S423cにおいて、演算・制御部454は、再特定したレコードの性別、誕生年、身長、生活強度等のデータと、測定した無負荷状態荷重算出値、生体インピーダンスとを用いて、体脂肪率等の体組成データを再度算出する。
【0051】
S424において、演算・制御部454は、無負荷状態荷重算出値に基づいて、表示部20に荷重表示を行う。また、演算・制御部454は、利用者を特定する番号、画像、名前、色等と、無負荷状態荷重算出値を用いて算出した体組成データとを、表示部20に表示する。
S424aにおいて、演算・制御部454は、利用者情報記憶部453cの特定されたレコードの体重と、生体インピーダンスとを、無負荷状態荷重算出値と、測定した生体インピーダンスとに更新する。
【0052】
このように、体組成計401を立てかけたり、物を載置したりして保管した等により、ゼロ点が正確な値を記憶していない場合であっても、体組成計401は、負荷状態から無負荷状態になった際にゼロ点を検出して、新ゼロ点で荷重を再算出する。よって、体組成計401は、その保管状態によらずに正確な荷重を測定できる。
また、体組成計401は、利用者情報記憶部453cを用いて、荷重算出値と生体インピーダンスとから利用者を特定できる。その場合に、負荷状態荷重算出値と、無負荷状態荷重算出値とが所定の閾値未満であれば、利用者を特定する処理を再度行わずに済み、体組成計401は、荷重等の表示までの時間を短縮できる。なお、負荷状態荷重算出値と、無負荷状態荷重算出値との差が所定の閾値以上か否かについて、前述したのは一例であって、所定の閾値は、任意に設定できるものである。また、例えば、無負荷状態荷重算出値を用いて再度特定した利用者情報記憶部453cのレコードと、負荷状態で特定したレコードと異なるか否かを判断し、異なる場合には、体組成データを再度算出するものであってもよい。
【0053】
なお、演算・制御部454は、生体インピーダンスを、負荷状態測定処理にて測定するものとして説明したが、無負荷状態測定処理においても測定してもよい。但し、生体インピーダンスは荷重により変動するものではないので、負荷状態測定処理にて測定した値を使用する方が、表示するまでの処理を早くできる。
【0054】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
図10は、第5実施形態の体組成計の処理を示すフローチャートである。
前述した第4実施形態においては、ゼロ点記憶部453bのゼロ点を基準として荷重算出値(負荷状態荷重算出値)を算出した後、表示部20に当該負荷状態荷重算出値を表示したが(
図9のS411参照)、本実施形態においては、負荷状態荷重算出値の算出後の表示をスキップして、無負荷状態か否かの判定処理に移行する(
図10のS410cからS412)。
また、本実施形態においては、S422において無負荷状態でのゼロ点を基準に算出された荷重算出値(無負荷状態荷重算出値)を表示部20に表示する(S524)。そして、演算・制御部は、利用者を特定する番号、画像、名前、色等と、最新に算出した体組成データとを、表示部20に表示する(S524)。
【0055】
以上のように、利用者が載置部3から降りた後に、計測結果を表示部20に表示すれば十分であれば、上記のように負荷状態荷重算出値の算出直後の表示をスキップして、処理を簡素化してもよい。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0057】
(変形形態)
(1)実施形態において、重量測定装置は、体重計である例を示したが、これに限定されない。例えば、重量測定装置は、人以外の物体を測定してもよい。また、重量測定装置は、工場等で使用される産業用の装置であってもよい。
【0058】
(2)実施形態において、重量測定装置及び生体測定装置は、一体の構成である例を示したが、これに限定されない。例えば、重量測定装置及び生体測定装置は、荷重検出部等を有する検出部と、制御部等を有するコンピュータ(パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)とを別々に設けて、これらを有線、無線等で接続してもよい。この場合には、重量測定プログラム53a,453aは、例えば、サーバに設けて、インターネット等の通信網を介して、コンピュータにダウンロード等すればよい。
【0059】
(3)実施形態において、体重計は、体重のみを表示する例を示したが、これに限定されない。体重計は、体重の他に、体脂肪率やその他の身体組成に関する情報を求める機能を有してもよい。例えば、体脂肪を測定する場合には、体重計に電極等の検出部を設けて、制御部がこの検出部からの出力に基づいて生体インピーダンスを算出し、さらに、この生体インピーダンスと体重とから体脂肪を算出して、表示部に表示すればよい。
【0060】
(4)実施形態においては、荷重検出部50の出力に基づいて、載置部3に規定荷重(例えば2(kgf))以上の負荷が加わっているか否かを判定することにより、利用者が載置部3に乗ったかの判定処理の判定を行うことで、利用者が意識的に測定を開始するためのスイッチ操作をすることなく、載置部に載るだけで測定することができる、いわゆるステップオン型の体重計及び体組成計を例示したが、ステップオンの方式は、これに限られるものではない。例えば、体重計に電極等の検出部を設けて、制御部がこの検出部からの出力に基づいて生体インピーダンスを算出し、算出される生体インピーダンスの変化に基づいて、利用者が載置部3に乗ったかの判定処理の判定を行う等、種々の方式が採用され得る。また、ステップオン方式を必ずしも採用する必要はなく、利用者が意識的に測定を開始するためのスイッチを動作させて測定する重量計又は体重計、及び体組成計であって、不使用時に所定時間間隔ごとにゼロ点の更新を行うものでもよい。
【0061】
(5)実施形態において、体重計及び体組成計は、荷重(kgf)を体重(kg)の表示に用いる例を示したが、これに限定されない。体重を質量としてより正確に表示する場合には、制御部は、荷重検出部からの荷重の荷重信号(kgf、N等)を、質量(kg)に変換した数値である質量算出値を求めればよい。この場合には、制御部は、質量算出値に基づいて表示される質量表示に対して、実施形態の荷重表示に関して行った同様な処理を、行えばよい。この場合にも、実施形態と同様な効果を奏する。
(6)実施形態において、利用者を特定する体組成計を例に説明したが、利用者を特定する体重計であってもよい。その場合には、体重計の記憶部に利用者情報記憶部を記憶させ、荷重のみで利用者を特定すればよい。
【0062】
(7)実施形態において、体組成計は、最新の測定値を記憶した利用者情報記憶部を用いて利用者を特定する例を示したが、これに限定されない。例えば、利用者情報記憶部に、過去複数回分(例えば、5回分)の測定値を記憶しておき、それらを用いて利用者を特定してもよい。
(8)実施形態において、体組成計は、荷重と生体インピーダンスとから利用者を特定する例を示したが、これに限定されない。荷重と生体インピーダンスとを用いて算出される体組成データを用いて利用者を特定してもよい。
(9)実施形態において、体組成計は、利用者の足裏が接触する部分に設けられた電流印加電極と電圧測定電極とを用いて生体インピーダンスを測定するものを例に説明したが、これに限定されない。利用者の足の部分に限らず、利用者の少なくとも2部位間の生体インピーダンスを測定する体組成計であってもよい。
(10)実施形態3及び5において、負荷状態荷重算出値の算出直後に、当該算出値を「参考値」として表示し、その後、ステップS324(又はS524)において、無負荷状態荷重算出値を測定結果として表示するように構成することも可能である。