(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6160844
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/648 20060101AFI20170703BHJP
H01R 24/40 20110101ALN20170703BHJP
【FI】
H01R13/648
!H01R24/40
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-78864(P2015-78864)
(22)【出願日】2015年4月8日
(65)【公開番号】特開2016-201193(P2016-201193A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2016年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089886
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 雅雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172096
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 理太
(72)【発明者】
【氏名】興津 大輔
(72)【発明者】
【氏名】義浦 康夫
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 良
【審査官】
前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−041797(JP,A)
【文献】
特開2012−074223(JP,A)
【文献】
特開2011−028851(JP,A)
【文献】
特開平08−306435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/648
H01R 24/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ接続方向に向けた1又は複数の信号端子と、該信号端子を保持する絶縁樹脂製の内インシュレータ部と、前記内インシュレータ部の外側を覆う導電金属製のスリーブと、該スリーブに接続させた導電金属製のシールド体とを備えているコネクタにおいて、
前記内インシュレータ部を一体に備えているモールド部材を備え、
該モールド部材には、前記内インシュレータ部の外側に形成され、その前面開口より前記スリーブが挿入されるスリーブ挿入部と、前記内インシュレータ部をコネクタ接続方向に貫通し、その後面開口より前記信号端子が挿入される端子挿通孔と、前記スリーブ挿入部の両側で該スリーブ挿入部と連通するよう上下に貫通した一対のシールド挿通部とを備え、
前記スリーブ挿入部は、挿入された前記スリーブと前記内インシュレータ部の外周との間に前記シールド体が接触した際の撓み代が形成され、
前記シールド体には、平板状の天板部と、該天板部の両側縁より下向きに延出した側板部と、前記天板部の後縁より下向きに延出した後端閉鎖板とを備え、
前記シールド体を前記モールド部材の上面側より組み込むことにより、前記側板部の下端が前記シール挿通部を通して前記モールド体下面に露出するとともに、前記側板部が前記スリーブの外周に接続され、且つ、前記端子挿通孔の後方が前記後端閉鎖板に覆われるようにしたことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記シールド体は、導電性金属板材を打ち抜き、それを折り曲げ加工することにより一体形成されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記側板部には、内向きに突出した接触凸部を一体に備えている請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記モールド部材は、モールド部材本体の前端に相手方コネクタが嵌合される絶縁樹脂製の嵌合案内部を一体に支持させ、前記シールド体は、前記モールド部材本体に組み込まれるようにした請求項1〜3の何れか1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記スリーブには、前方に向けて切り起こした抜け止め片を備え、その前縁が前記スリーブ挿入部の外側内周面部に形成された係合段部と係合するとともに、前記側板部の前縁部と接触するようしている請求項1〜4の何れか1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機器の内部配線やその他の電子機器間の接続等に使用される高速伝送コネクタ等のコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のカーナビゲーションシステム、カーオーディオ等の車載機器やその他の電子機器の通信速度の高速化に伴い、車載機器の内部配線や電子機器間の接続には、信号端子を金属部材で囲み、ノイズに強い構造とした高速伝送用のコネクタが使用されている。
【0003】
この種の高速伝送用のコネクタ50は、
図7に示すように、後端に下向きに延出させた基板接続部511を有する接続方向に向けた信号端子51と、各信号端子51を保持する絶縁樹脂からなる内インシュレータ52と、内インシュレータ52の外側を覆うスリーブ53を一体又は一体的に有する導電金属製のシールド体54とを備え、信号端子51を金属製のスリーブ53及びシールド体54で囲むようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
また、この種のコネクタ50では、シールド体54の前部に相手側コネクタが嵌合される絶縁樹脂製の嵌合案内部55を組み付け、この嵌合案内部55内に形成されたキー溝に相手方コネクタの外周に突設されたキーを案内させるようにしている。
【0005】
そして、シールド体54の本体部は、ダイキャスト造により後端及び下面に開口した収容部541を有する形状に形成され、コネクタ50は、シールド体54の前方より嵌合案内部55を組み付けるとともに、シールド体収容部541の後端開口より内インシュレータ52及び信号端子51,51...を挿入して組み込み、その後、収容部541の後端開口を金属製の閉鎖板56によって閉鎖することで組み立てられる構造になっている。
【0006】
また、この種のコネクタ50は、後方に配置されたシールド体54をダイキャスト製とすることで重心を後方に置くことができ、基板に対し前方部を縁部より外側に突出させた状態で実装される所謂ミッドマウントの場合であっても安定して基板上に載置でき、その状態で実装作業を行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3194472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の如き従来の技術では、シールド体の本体部又はシールド体全体をダイキャスト品で構成しており、ダイキャスト品はプレス加工品に比べて高価であることから、製品コスト低減を妨げる要因となっていた。
【0009】
また、従来のコネクタでは、内インシュレータと信号端子とをシールド体収容部の後方開口部から挿入する構造であるため、その後方開口部を閉鎖する導電性金属材からなる閉鎖板を必要とし、また、内インシュレータと嵌合案内部とをそれぞれ別個に成形する必要があった。
【0010】
従って、この種の従来のコネクタでは、少なくとも、内インシュレータ、嵌合案内部、信号端子、シールド体及び閉鎖板の5つの部品を必要とし、コネクタ全体の部品点数が増え、組み込み作業等も煩雑となることから、製品コスト低減を妨げる要因となっていた。
【0011】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、高いシールド性を確保しつつ、部品点数が少なく、組み立て作業が容易で安価な高速伝送コネクタ等のコネクタの提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明の特徴は、コネクタ接続方向に向けた1又は複数の信号端子と、該信号端子を保持する絶縁樹脂製の内インシュレータ部と、前記内インシュレータ部の外側を覆う導電金属製のスリーブと、該スリーブに接続させた導電金属製のシールド体とを備えているコネクタにおいて、前記内インシュレータ部を一体に備えているモールド部材を備え、該モールド部材には、前記内インシュレータ部の外側に形成され、その前面開口より前記スリーブが挿入されるスリーブ挿入部と、前記内インシュレータ部をコネクタ接続方向に貫通し、その後面開口より前記信号端子が挿入される端子挿通孔と、前記スリーブ挿入部の両側で該スリーブ挿入部と連通するよう上下に貫通した一対のシールド挿通部とを備え、
前記スリーブ挿入部は、挿入された前記スリーブと前記内インシュレータ部の外周との間に前記シールド体が接触した際の撓み代が形成され、前記シールド体には、平板状の天板部と、該天板部の両側縁より下向きに延出した側板部と、前記天板部の後縁より下向きに延出した後端閉鎖板とを備え、前記シールド体を前記モールド部材の上面側より組み込むことにより、
前記側板部の下端が前記シール挿通部を通して前記モールド体下面に露出するとともに、前記側板部が前記スリーブの外周に接続され、且つ、前記端子挿通孔の後方が前記後端閉鎖板に覆われるようにしたコネクタにある。
【0013】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記シールド体は、導電性金属板材を打ち抜き、それを折り曲げ加工することにより一体形成されていることにある。
【0014】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記側板部には、内向きに突出した接触凸部を一体に備えていることにある。
【0015】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1〜3の何れか1の構成に加え、前記モールド部材は、モールド部材本体の前端に相手方コネクタが嵌合される絶縁樹脂製の嵌合案内部を一体に支持させ、前記シールド体は、前記モールド部材本体に組み込まれるようにしたことにある。
【0016】
請求項5に記載の発明の特徴は、請求項1〜4の何れか1の構成に加え、前記スリーブには、前方に向けて切り起こした抜け止め片を備え、その前縁が前記スリーブ挿入部の外側内周面部に形成された係合段部と係合するとともに、前記側板部の前縁部と接触するようしていることにある。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るコネクタは、上述したように、コネクタ接続方向に向けた1又は複数の信号端子と、該信号端子を保持する絶縁樹脂製の内インシュレータ部と、前記内インシュレータ部の外側を覆う導電金属製のスリーブと、該スリーブに接続させた導電金属製のシールド体とを備えているコネクタにおいて、前記内インシュレータ部を一体に備えているモールド部材を備え、該モールド部材には、前記内インシュレータ部の外側に形成され、その前面開口より前記スリーブが挿入されるスリーブ挿入部と、前記内インシュレータ部をコネクタ接続方向に貫通し、その後面開口より前記信号端子が挿入される端子挿通孔と、前記スリーブ挿入部の両側で該スリーブ挿入部と連通するよう上下に貫通した一対のシールド挿通部とを備え、
前記スリーブ挿入部は、挿入された前記スリーブと前記内インシュレータ部の外周との間に前記シールド体が接触した際の撓み代が形成され、前記シールド体には、平板状の天板部と、該天板部の両側縁より下向きに延出した側板部と、前記天板部の後縁より下向きに延出した後端閉鎖板とを備え、前記シールド体を前記モールド部材の上面側より組み込むことにより、
前記側板部の下端が前記シール挿通部を通して前記モールド体下面に露出するとともに、前記側板部が前記スリーブの外周に接続され、且つ、前記端子挿通孔の後方が前記後端閉鎖板に覆われるようにしたことにより、従来品に比べ、部品点数を少なくできるとともに、組み立て工程の削減を図ることができ、その分、製造コストを低減することができる。
【0018】
また、本発明において、前記シールド体は、導電性金属板材を打ち抜き、それを折り曲げ加工することにより一体形成されていることにより、従来のダイキャスト品に比べ、製造コストの低減を図ることができる。
【0019】
更に、本発明において、前記側板部には、内向きに突出した接触凸部を一体に備えていることにより、スリーブとシールド体とを適当な接触圧で接続させることができる。
【0020】
更にまた、本発明において、前記モールド部材は、モールド部材本体の前端に相手方コネクタが嵌合される絶縁樹脂製の嵌合案内部を一体に支持させ、前記シールド体は、前記モールド部材本体に組み込まれるようにしたことにより、絶縁樹脂製の内インシュレータ部と嵌合案内部とを一体に形成でき、従来品に比べて部品点数を減らすことができ、且つ、金属製で重量が大きいシールド体が後方のモールド部材本体に組み込まれるので、嵌合案内部を設けた場合であってもコネクタ全体の重心を後方に配置でき、基板に対し前方部を縁部より外側に突出させた状態で実装される所謂ミッドマウントの場合であっても安定して基板上に載置でき、その状態で実装作業を行える
【0021】
更にまた、本発明において、前記スリーブには、前方に向けて切り起こした抜け止め片を備え、その前縁が前記スリーブ挿入部の外側内周面部に形成された係合段部と係合するとともに、前記側板部の前縁部と接触するようしていることによって、スリーブのモールド部材からの抜け出しを防止するとともに、スリーブとシールド体との安定した接触状態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係るコネクタの一例を示す斜視図であって、(a)は正面上側から見た図、(b)は同背面下側から見た図である。
【
図3】(a)は同上の縦断面図、(b)は同横断面図である。
【
図4】(a)は
図1中のモールド部材を示す正面図、(b)は同背面図、(c)は同平面図である。
【
図6】(a)は
図1中のシールド体を示す正面図、(b)は同平面図、(c)は同縦断面図である。
【
図7】従来のコネクタの一例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明に係るコネクタの実施の態様を
図1〜
図6に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号Aはコネクタ、符号Bは実装基板である。
【0024】
コネクタAは、コネクタ接続方向に向けた複数の信号端子1,1...と、各信号端子1,1...を保持する絶縁樹脂製の内インシュレータ部21を一体に有するモールド部材22と、内インシュレータ部21の外側を覆う導電金属製のスリーブ3と、スリーブ3に接続させた導電金属製のシールド体4とを備え、信号端子1,1...の後端より下向きに延出した基板接続部11を実装基板Bに接続させるとともに、シールド体4を前記実装基板Bにグランド接続させるようにしている。
【0025】
各信号端子1,1...は、
図2に示すように、導電金属材により一体に形成され、コネクタ接続方向に向けた端子本体12と、端子本体12の後端より下向きに延出された基板接続部11とを備え、端子本体12が内インシュレータ部21に保持され、その状態で基板接続部11の下端がモールド部材2の下面より突出するようになっている。
【0026】
また、端子本体12の前端部には、本体より外径が小さいピン状に形成された先端接触部121が一体に備えられている。
【0027】
モールド部材2は、
図4に示すように、絶縁樹脂により一体成型され、信号端子1,1...を保持する内インシュレータ部21と、内インシュレータを一体に保持するモールド部材本体22と、相手方コネクタが嵌合される嵌合案内部23とを備えている。
【0028】
嵌合案内部23は、内周部に相手方コネクタの外周に形成された嵌合キーを案内するキー溝231,231...を有する筒状に形成され、モールド部材本体22の前端に一体に支持されている。
【0029】
内インシュレータ部21は、軸方向をコネクタ接続方向に向けた円柱状に形成され、モールド部材本体22の前面より、その前方部が嵌合案内部23内に突出した配置でモールド部材本体22と一体になっている。
【0030】
この内インシュレータ部21には、そのコネクタ接続方向に貫通した複数の端子挿通孔24,24...を備え、その後面開口よりそれぞれ信号端子1,1...が挿入されるようになっている。
【0031】
また、内インシュレータ部21の前端部には、前端面の周縁より前方に突出した複数の嵌合突起部に囲まれて嵌合凹部211が形成され、端子挿通孔24,24...に挿入された各信号端子1,1...の先端接触部121が前端面より嵌合凹部211内に突出し、この先端接触部121が相手方コネクタの信号端子と接続されるようになっている。
【0032】
モールド部材本体22は、直方体状に形成され、内インシュレータ部21の外側に配置され、その前面開口よりスリーブ3が挿入されるスリーブ挿入部25と、スリーブ挿入部25の両側でスリーブ挿入部25と連通するよう上下に貫通した一対のシールド挿通部26,26とを備えている。
【0033】
また、モールド部材本体22には、内インシュレータ部21の後端側に凹欠状の端子挿入用開口部27が形成され、この端子挿入用開口部27を通して後面側より各信号端子1,1...を端子挿通孔24,24...に挿入するようになっている。
【0034】
更に、モールド部材本体22には、後端部の端子挿入用開口部27の内側(前側)に上下に貫通したスリット孔状の閉鎖板挿通部28が形成され、この閉鎖板挿通部28に後述する後端閉鎖板43が挿入されることによって端子挿入用開口部27を閉鎖し、シールドできるようにしている。
【0035】
スリーブ挿入部25は、モールド部材本体22の前端面に開口し、スリーブ3の形状に整合させた円環断面孔状に形成され、前端開口よりスリーブ3を挿入することにより信号端子1,1...が保持された内インシュレータ部21の外周を覆うとともに、モールド部材本体22に保持されるようになっている。
【0036】
このスリーブ挿入部25は、径方向幅、即ち、スリーブ挿入部25の内周面と内インシュレータ部21の外周面との間の距離がスリーブ3の肉厚より大きく、且つ、スリーブ挿入部25の内周面がスリーブ3の外径に整合させて形成され、挿入されたスリーブ3と内インシュレータ部21外周との間にシールド体4が接触した際の撓み代が形成されるようになっている。
【0037】
シールド挿通部26,26は、モールド部材本体22の両側部に上下に貫通したスリット孔状に形成され、その内側がスリーブ挿入部25と連通し、シールド体4をモールド部材本体22の上面側より組み込むことにより後述する側板部42,42が挿入され、その側板部42,42がスリーブ挿入部25内のスリーブ3と互いに接触できるようになっている。
【0038】
尚、モールド部材本体22の上面部には、後述するシールド体4の天板部41が収容される天板収容凹部29が形成され、シールド体4の上面とモールド部材本体22の上面とが略平坦な状態になるよう収容できるようにしている。
【0039】
スリーブ3は、
図5に示すように、導電性金属材をプレス加工することにより軸方向両端が開口した円筒状に形成され、内インシュレータ部21の外形と略同じ内径の前筒部31と、内インシュレータ部21より内径がやや大きく、スリーブ挿入部25に挿入される後筒部32とを備えている。
【0040】
また、スリーブ3は、後筒部32の後端下側に回避窓部321を有し、内インシュレータ部21の外側を覆いつつ、信号端子1,1...の基板接続部11とは接触しないようにしている。
【0041】
このスリーブ3には、前方に向けて切り起こした抜け止め片33,33を後筒部32の両側部に備え、この抜け止め片33,33がスリーブ挿入部25へ挿入した後、所望の位置で起こされ、その前縁がスリーブ挿入部25の外側内周面部に形成された係合段部251と係合し、前方への移動が規制されるようになっている。
【0042】
また、この抜け止め片33,33は、係合段部251と係合した状態でその外面がシールド体4、より具体的には後述する側板部42,42の前縁部と接触するようになっており、この抜け止め片33,33がスリーブ3及び係合段部251に支持されて弾性的にシールド体4と接触し、スリーブ3とシールド体4とが適当な接触圧をもって接続されるようになっている。
【0043】
シールド体4は、
図6に示すように、導電性金属板をプレス加工、即ち、導電性金属板材を所望の形状に打ち抜き、それを折り曲げ加工することにより一体に形成され、平板状の天板部41と、天板部41の両側縁より下向きに延出した側板部42,42と、天板部41の後縁より下向きに延出した後端閉鎖板43とを備えている。
【0044】
各側板部42,42は、モールド部材本体22の高さに整合させた高さに形成され、且つ、下端よりピン状の基板接続端子421,421が一体に突出され、シールド挿通部26,26に挿通されると、その下端がシールド挿通部26,26の下側開口を通してモールド部材本体22の下面に露出するとともに、基板接続端子421,421がモールド部材本体22の下面より突出するようになっている。
【0045】
そして、この基板接続端子421,421を実装基板Bに形成されたスルーホール(図示せず)に挿入し、半田付けすることによりシールド体4が実装基板Bにグランド接続されるとともに、実装基板Bに固定できるようになっている。
【0046】
また、各側板部42,42には、互いに対向する内側面に内向きに突出した接触凸部422を一体に備え、シールド挿通部26,26に挿入されると、
図3(b)に示すように、接触凸部422がスリーブ3の外周面に圧接されるようになっている。
【0047】
接触凸部422は、側板部42,42を構成する金属板材をプレス加工することに内向きにドーム状に膨出した形状に形成されている。
【0048】
尚、各側板部42,42には、前後側縁に突出した係止部423を備えるとともに、下端と高さの違えた段部424が形成され、この段部424がシールド挿通部26,26の下端に形成された当接部261に支持されるとともに、係止部423がシールド挿通部26,26の前後内縁に係合されることでシールド挿通部26,26内に固定されるようになっている。
【0049】
後端閉鎖板43は、閉鎖板挿通部28に整合させた矩形状に形成され、その両側縁には、係止部431,431が一体に突設され、係止部431,431が閉鎖板挿通部28の内縁に係合することにより閉鎖板挿通部28内に固定されるようになっている。
【0050】
このコネクタAを組み立てるには、
図2に示すように、まず、モールド部材2の前方よりスリーブ3をスリーブ挿入部25に挿入するとともに、後方より各信号端子1,1...を端子挿通孔24,24...に挿入する。
【0051】
次に、その状態でシールド体4をモールド部材2の上面側より組み込み、シールド体4の両側板部42,42をそれぞれシールド挿通部26,26に挿入するとともに、後端閉鎖板43を閉鎖板挿通部28に挿入する。
【0052】
これによって、信号端子1,1...が保持された内インシュレータ部21の外側がスリーブ3により覆われるとともに、そのスリーブ3の外周面に各側板部42,42が接続される。
【0053】
また、モールド部材本体22の上面、両側面シールド体4の天板部41及び側板部42,42によって覆われ、端子挿通孔24,24...の後方が後端閉鎖板43に覆われ、コネクタAは、信号端子1,1...が互いに接続されたスリーブ3とシールド体4とに囲まれた構造を成す。
【0054】
このように構成されたコネクタAでは、樹脂製の内インシュレータ部21と嵌合案内部23とが一体に形成されるとともに、シールド体4に後端閉鎖板43を一体に備えるので、その分、部品点数を少なくできる。
【0055】
また、シールド体4をモールド部材2の上面側より組み込むことで、シールド体4とスリーブ3との接続及び後端閉鎖板43による信号端子1,1...後方の開口を閉鎖することが同時にできるので、従来品に比べて組み立て工程が少なくなる。
【0056】
更に、シールド体4は、導電性金属板材を打ち抜き、それを折り曲げ加工することにより一体形成されているので、従来のダイキャスト品に比べ安価に製造できる。
【0057】
更にまた、モールド部材2は、モールド部材本体22の前端に相手方コネクタが嵌合される絶縁樹脂製の嵌合案内部23を一体に備え、シールド体4は、モールド部材本体22に組み込まれるようにしているので、重量の嵩む金属製部材が後方に配置されるので、コネクタA全体の重心を後方に配置でき、所謂ミッドマウント方式にも対応することができる。
【0058】
更に、このコネクタAでは、スリーブ3とシールド体4とがそれぞれシールド体側体部42の内側に突出した接触凸部422とスリーブ3との外周面、及び、スリーブ3の抜け止め片33と側板部42とで接触する構造であるので、安定して接触状態が得られる。
【0059】
尚、上述の実施例では、信号端子1,1...を複数備える場合について説明したが、信号端子1が一のコネクタにも適用できる。
【0060】
また、上述の実施例では、嵌合案内部23をモールド部材2と一体に備えた例について説明したが、嵌合案内部23を必ずしも備えずともよい。
【符号の説明】
【0061】
A コネクタ
B 実装基板
1 信号端子
11 基板接続部
12 端子本体
121 先端接触部
2 モールド部材
21 内インシュレータ部
211 嵌合凹部
22 モールド部材本体
23 嵌合案内部
24 端子挿通孔
25 スリーブ挿入部
251 係合段部
26 シールド挿通部
261 当接部
27 端子挿入用開口部
28 閉鎖板挿通部
29 天板収容凹部
3 スリーブ
31 前筒部
32 後筒部
33 抜け止め片
4 シールド体
41 天板部
42 側板部
421 基板接続端子
422 接触凸部
423 係止部
424 段部
43 後端閉鎖板
431 係止部