特許第6160849号(P6160849)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6160849
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置用縫合糸
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/04 20060101AFI20170703BHJP
【FI】
   A61B17/04
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-531685(P2016-531685)
(86)(22)【出願日】2015年8月31日
(65)【公表番号】特表2017-502714(P2017-502714A)
(43)【公表日】2017年1月26日
(86)【国際出願番号】KR2015009110
(87)【国際公開番号】WO2016080640
(87)【国際公開日】20160526
【審査請求日】2016年5月27日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0163453
(32)【優先日】2014年11月21日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516140834
【氏名又は名称】キム,キ ソン
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】キム,キ ソン
【審査官】 後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−030067(JP,A)
【文献】 国際公開第01/067963(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0033459(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0281555(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0296373(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0039025(US,A1)
【文献】 特開2011−72794(JP,A)
【文献】 特表2012−515020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/04−17/062
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿孔された手術部位ポートを縫合するためにカム方式で展開および折り畳みが行われる羽部、および、チューブ状の本体を含み、前記羽部は、前記チューブ状の本体を貫通する操作棒を押して回動することによって展開し、逆回動させて引くことによって折り畳まれ、前記羽部に縫合糸をかけて人体の外部に抜き取る腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置用縫合糸であって、
前記縫合糸の両端部にはスパイラル(spiral)コイル(42)が設けられ、前記スパイラルコイル(42)の両端部には、端部を溶融することで形成されたボール状のストッパー(43)を含み、前記スパイラルコイルの端部に前記縫合糸が結束され、前記縫合糸は外部に易しく引かれて解けるように折り畳まれてケージ(45)に内蔵されることを特徴とする、腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置用縫合糸(40)。
【請求項2】
縫合糸を結束する前記スパイラルコイル(42)の結束部にはシリコンチューブ(46)が外挿されることを特徴とする、請求項1に記載の腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置用縫合糸。
【請求項3】
前記スパイラルコイル(42)は、直径0.1〜0.15mm程度の金属線材を巻くことでなり、外力によって引かれれば伸びることを特徴とする、請求項1に記載の腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置用縫合糸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置に係り、より詳しくは、縫合用ニードルガイド先端に縫合糸を内蔵したカートリッジを形成し、ニードルガイドによって案内されて生体組職を貫通するニードルの先端部に縫合糸をかけ、ニードルを抜き取るとき、この侵襲した経路に沿って縫合糸を抽出して外部で縛ることで腹腔鏡ポートを縫合するように構成された腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置用縫合糸に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、腹腔鏡手術は、既存の開腹手術とは異なり、腹部に0.5〜1.2cm程度の孔を4個〜6個穿った後、この内部に直径0.5〜1.2cm、長さ15〜16cmのトロカール(trocar)を入れた後、この孔に光源とカメラを入れ、他の孔には各種の手術道具を入れ、外部のモニターを見ながら、臓器を切ってから縫って成形する手術方法である。
【0003】
このような腹腔鏡手術は胆嚢切除術、胆道結石除去術、肝結石除去術、虫垂突起切除及び各種の臓器腫瘍切除手術に適用され、開腹手術に比べて手術後痛症がほとんどなく、腸麻痺症状のような余病が少なく、入院及び回復期間が3日〜4日と一般的な手術に比べて短いだけでなく、小さな傷あとのみ生じる利点で多く施術されている。
【0004】
腹腔鏡手術を行うためには、まず患者の腹部に多数のトロカール(trocar)を挿入した後、一つのトロカールを通じて腹腔の内部に炭酸ガスのような気体を注入して腹腔内に起伏を引き起こして手術空間を確保した後、他のトロカールを通じて挿入される内視鏡及び手術器具で手術部位を観察しながら患部を施術することになる。
【0005】
このような施術が終われば、手術部位を縫合するための縫合器具が用いられる。この縫合器具は、トロカールを通じて腹腔の内部に挿入された固定やっとこでニードルを取って手術部位を縫う方法で手術部位を縫合し、手術部位を縫った後には、糸が解けることを防止するために、糸の両端をトロカールを通じて体外に抜き取り、体外で結び目を作った後、結び目を結び目押込器で押し込んで腹腔内で結び目が形成されるようにしている。
【0006】
しかし、このような従来の腹腔鏡手術用縫合器具を用いて手術部位を縫うときには、手術部位を貫通してから針に従って出る糸をやっとこで引っぱることになる。この際、糸がやっとこの圧迫によって切れる場合が頻繁に発生する。
【0007】
また、手術部位を縫った後には、糸の解けを防止するために結び目を作ることになる。このような結び目を作りために糸の両端を体外に取り出すときには、例えばやっとこまたはこれと類似した機能を持つピンセットのような付加の器具がなければならない面倒さがある。
【0008】
他の従来技術として、筋膜閉鎖装置が図1に示されている。
【0009】
これは、穿孔された手術部位ポートに挿管するために棒体からなり、ニードル3の挿入を案内するガイド溝2を対向させて複数形成したチューブ状の本体1と、この本体の下部に結合され、カム方式で展開するとか折り畳まれる羽部5とからなり、羽部には前記ニードル3が貫通する位置にシリコンパッド6が設けられ、前記操作棒4の回動によって羽部5が展開し、逆回動によって羽部がさらに折り畳まれるようになっている。
【0010】
しかし、このような従来技術によれば、前述した問題点は一部解消されるが、縫合過程を見れば下のような問題が依然として引き起こされる。
【0011】
図2及び図3の図示のように、ニードル3に縫合糸7をかけ、ガイド溝2に沿って生体組職を貫通し、羽部5のシリコンパッド6にニードルが位置し、さらに押し入れれば、ニードルの尖った先端部分がシリコンパッドを貫通し後、ニードルを抜き取れば、縫合糸7はシリコンパッド6に圧搾された状態で残留する。
【0012】
両側羽部5のシリコンパッドに縫合糸を圧搾させた後、ニードルを除去し、操作棒4を回して展開した羽部を折り畳めば、両側羽部に圧搾された縫合糸は本体1の軸中心部に集まり、本体1を抜き取れば、縫合糸が引き出され、結束によって縫合が完了される構成を成している。
【0013】
しかし、このような従来技術によれば、穿孔されたポート周辺の生体組職を貫通した縫合糸はポートの内径を通じて外部に抽出されるので、傷の縫合面に位置する縫合糸によって傷が治癒される過程と傷口部位の感染に好ましくない問題がある。
【0014】
また、ニードルに一つ一つ縫合糸を一定の長さに切ってからかけて手術しなければならないので、煩わしい問題があるとともに、シリコンパッドの縫合糸圧搾力が低下すれば、縫合糸の外部への抽出が正常になされなくてやり直ししなければならないなどの問題が発生する。
【0015】
また、縫合糸をニードルに固定する過程で医師及び看護婦が突かれて負傷を負うとか感染を引き起こすことができる危険性があり、多数のポートを閉鎖する過程で前述した問題点が繰り返し発生するので、手術時間が増える弊害がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は前述した従来技術が持つ多くの問題点を解決しようとするもので、次のような課題を解消しようとする。
本発明は、腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置の本体の端部に着脱可能なカートリッジを形成し、繰り返し使用の際、カートリッジのみを入れ替えて使うことができて簡便であり、感染のおそれがない腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置用縫合糸を提供しようとする。
【0017】
本発明は、カートリッジに、ニードルの挿入位置に合うように展開する羽部を設け、この羽部に一時的に固定した縫合糸を内蔵することで、縫合糸の結束にかかる手数を無くし、速かに縫合を成すことができる腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置用縫合糸を提供しようとする。
【0018】
本発明は、腹腔の内部に位置する縫合糸を単に身体の外部に引き出して縫合するので、穿孔されたポートの内面、つまり傷口部位に縫合糸が介在される問題を解決した腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置用縫合糸を提供しようとする。
【0019】
本発明は、腹腔の内部に位置する縫合糸をかけて抜き取るニードルを設けて、ニードルから縫合糸が離脱される場合を防止する腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置用縫合糸を提供しようとする。
【0020】
本発明は、内蔵される縫合糸の両端にニードルをかけて抜き取るのに必要な構造を付け加えて縫合術を易しく行うことができる腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置用縫合糸を提供しようとする。
【0021】
本発明は、縫合糸が内蔵されたカートリッジを入れ替えて再使用することができるようにして経済的な腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置用縫合糸を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記課題を解決するために構成される本発明は次のようである。
【0023】
穿孔された手術部位ポートに挿管するために、棒体からなり、ニードルの挿入を案内するガイド孔が対向して複数形成されたチューブ状の本体と、この本体に結合され、カム方式で展開するとか折り畳まれるように下部に設けられる羽部とを含み、前記チューブ状の本体を貫通する操作棒の回動によって羽部が展開し、逆回動によって羽部が折り畳まれるようになされる腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置であって、本体の下端には前記操作棒20に着脱される交替型カートリッジが設けられ、カートリッジは操作棒によって両側に羽部が展開し、縫合糸を内蔵する隔室が設けられ、縫合糸の両端が羽部に差し込まれ、身体の外部から侵襲するニードルの溝に前記縫合糸の端部がかかって身体の外部に抽出されるようになされる。
【0024】
前記ニードルは、少なくとも縫合糸をかけて抜き取るために引く方向の逆方向に溝が形成される。
【0025】
前記縫合糸はカートリッジの末端に内蔵され、縫合糸の両端部には、ニードル溝に易しくかかって離脱しないように、スパイラル(spiral)コイルが設けられ、コイルの両端部にストッパーが付け加えられ、縫合糸は外部から易しく引かれて解けるように折り畳まれて内蔵される。
【0026】
前記カートリッジの着脱及びカートリッジに設けられた羽部の作動は前記操作棒の位置によって選択的になされるように突起と溝の構造になる。
【発明の効果】
【0027】
以上の本発明によれば、腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置の本体の端部に着脱可能なカートリッジを設け、繰り返し使用の際、カートリッジのみを入れ替えて使うことができて簡便であり、カートリッジにニードルの挿入位置に合うように展開する羽部が設けられ、この羽部に一時固定された縫合糸を内蔵することで、縫合糸の結束にかかる手数を無くし、速かに縫合を成すことができる効果があり、腹腔の内部に位置する縫合糸を単に身体の外部に引き出して縫合するので、傷口部位に縫合糸が残って生体組職の再生を邪魔するとか感染するおそれがある状況を排除するので、患者を早く治癒する効果とともに腹腔の内部に位置する縫合糸をかけて抜き取るニードルを設け、ニードルから縫合糸が離脱する場合を防止することにより、手術を早くて確かに遂行することができる効果がある。
【0028】
また、本発明は、内蔵される縫合糸の両端にニードルをかけて抜き取るのに必要な構造を付け加えることで、縫合術を易しく行うことができ、縫合糸が内蔵されたカートリッジを入れ替えて再使用することができて経済性が高い効果を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】従来の腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置を示す構成図である。
図2a図1の縫合過程を説明するための要部断面図である。
図2b図1の縫合過程を説明するための要部断面図である。
図3図1の縫合過程において最終の縫合糸結束構造を示す概略図である。
図4a】本発明が適用される腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置の外形構成を示す斜視図である。
図4b図4aの部分分解斜視図である。
図5】本発明が適用される腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置の構成図で、羽部を展開してニードルを入れた状態の斜視図である。
図6】本発明が適用される腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置のカートリッジを示す構成図である。
図7】本発明が適用される腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置カートリッジの分解斜視図である。
図8】本発明が適用される腹腔鏡腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置カートリッジ作動を説明するための操作棒構成図である。
図9】本発明が適用される腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置の操作棒の駆動によるカートリッジの選択的操作を説明するための作動図である。
図10】本発明が適用される腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置の操作棒の駆動によるカートリッジの選択的操作を説明するための作動図である。
図11】本発明が適用される腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置の操作棒の駆動によるカートリッジの選択的操作を説明するための作動図である。
図12】本発明が適用される腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置の操作棒の駆動によるカートリッジの選択的操作を説明するための作動図である。
図13】本発明が適用される腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置のニードル構造を示す要部構成図である。
図14】本発明の縫合糸構造を示す構成図である。
図15】本発明が適用される腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置の縫合過程を示す概略図である。
図16】本発明の縫合糸とニードルの結束を示す概略図である。
図17】本発明による最終的なポート縫合糸の結束構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面に基づいて本発明の具体的な構成及び作用を説明する。
【0031】
本発明の腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置は、図4図7図に示すように、穿孔された手術部位ポートに挿管するために、棒体からなり、ニードルの挿入を案内するガイド孔を対向して複数形成したチューブ状の本体と、この本体に結合され、カム方式で展開するとか折り畳まれるように下部に設けられた羽部とからなり、前記チューブ状の本体を貫通する操作棒を押して回動させることで羽部が展開し、逆回動させて引くことで羽部が折り畳まれるようになされる腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置であって、本体10の下端には前記操作棒20に着脱される交替型カートリッジ30が設けられ、カートリッジ30は操作棒20によって両側に広がる羽部33を含み、縫合糸40を内蔵する隔室32が設けられ、隔室に内蔵した縫合糸40の両端が羽部33に差し込まれ、身体の外部から侵襲するニードル50の溝に前記縫合糸の端部がかかって身体の外部に抽出できるように構成される。
【0032】
前記本体10は両分されており、結合すれば円錐状ハンドル11とこのハンドルから伸びた棒体とからなり、棒体の下部には突起12が内側に対向するように形成され、ハンドルには、ニードルを突き刺すとか抜くときに案内するように、ハンドルの上部から伸びて棒体の側面に至るニードルガイドホール13が対向して複数形成され、ハンドル11の内部には、操作棒20の回動及び出没を案内するとともに固定するガイド溝14が形成されている。
【0033】
前記ガイド溝14は両分された本体にそれぞれ設けられ、垂直溝を基準に上下部に互いに反対方向に溝14a、14bが形成され、全体としてクランク状のガイド溝14が形成される。
【0034】
前記操作棒20は、ハンドル21とこのハンドルから伸びた棒軸とからなり、棒軸の末端には外向突起22が対向して形成され、ハンドル21の直下部には、前記ガイド溝14に対向して噛み合う突起23が対向して突設され、前記本体10のハンドル11に押し入れられて結合される。
【0035】
前記カートリッジ30は、着脱溝301が中心に形成され、その外周部に固定溝302が対向して形成された第1支持部300と、第1支持部の下部に、羽部33の表面を支持するように平板からなり、羽部の回転中心軸として突起311が対向して複数設けられた第2支持部310と、前記第2支持部から90度回転した平板からなり、羽部33が折り畳まれるときに密着する幅を持ち、下部に円錐状円筒を成し、内部に隔室32が形成され、隔室を開閉するカバー322を含む第3支持部320と、前記第2支持部310の突起311と結合するホール331が形成され、このホールの外側にリンクホール333がアーク状に形成され、このホールの一端は開放して段差部334が突設され、外周面には縫合糸40の端部が装着される装着孔335が形成され、この装着孔と連通する溝336が形成され、一対が対向して結合される羽部33とを含んでなる。
【0036】
前記羽部33を含むカートリッジの外径は、組立てが完成したとき、突出部なしに同心円の直径を持つように構成される。
【0037】
前記隔室32の外表面一部には溝337が形成され、内蔵した縫合糸の引出ガイド溝として用いられるように構成される。
【0038】
前記縫合糸40はカートリッジ30の末端隔室32に内蔵され、縫合糸の両端部にはスパイラル(spiral)コイル42が設けられ、コイルの両端部にストッパー43がさらに結束され、前記縫合糸は外部に易しく引かれて解けるようにケージ45に内蔵される。
【0039】
また、縫合糸を結束するスパイラルコイル42の結束部にはシリコンチューブ46が結合される。

【0040】
前記ストッパー43は、金属性コイルの端部を溶融してボール状に形成されるストッパーである。
【0041】
前記スパイラルコイル42は、直径0.1〜0.15mm程度の金属線材を巻線することでなり、外力によって引かれれば伸びる。
【0042】
ニードル50は前記ニードルガイド溝13を通して展開した羽部33を貫通する長さに形成され、ニードル先端部にあごをなす溝52が形成され、この溝は先端部側に凹設される。
【0043】
すなわち、前記ニードルは、少なくとも縫合糸にかけて抜き取るために引く方向の逆方向に溝を形成してなることが分かる。
【0044】
未説明符号として、11aは本体のハンドルカバーで、操作棒20のロック位置と解除位置を容易に把握するようになされ、10aは両分される本体を対向させて組み立てるための固定クリップを示すものである。
【0045】
前述したような具体的な構成による作用をより詳細に説明する。
【0046】
本発明は、縫合糸40を内蔵したケージ45を隔室32に入れ、縫合糸の両端のコイル42が羽部33の装着孔335に差し込まれるように部分的に引いて溝337を経由するようにする。
【0047】
この際、縫合糸のシリコンチューブ46は軟質材からなるもので、溝336に縫合糸が一時固着されるのに有用に作用するように変形されて挟まる作用をするとともにコイル42の端部に結束された縫合糸との結束部をカバーすることによって結束部を保護する作用をする。
【0048】
縫合糸を内蔵したカートリッジ30を本体10に結合すれば、本体下部の突起12が羽部33の段差部334を越えて締結される。この際、操作棒20の突起22が第1支持部300の着脱溝301に沿って案内されて挿入決着される。
【0049】
本発明の腹腔鏡ポートで手術ポートを縫合しようとする場合、通常の方法のように本発明のハンドル11を掴んでカートリッジ30の円錐状先端を人体内に挿入した後、操作棒のハンドル21を引っぱれば、第2支持部310の突起311に結合された羽部33は、突起311を中心にリンクホール333と突起12が噛み合い、操作棒20を時計方向に約45度回転させれば、アーク状リンクホールの軌跡に沿って羽部33が展開して広がる。
【0050】
展開した羽部33は本体におよそ直角に互いに平行に展開し、この角度は前記リンクホールによって提供される。
【0051】
展開した羽部33は、操作棒20の突起23がガイド溝14の上部溝14aに噛み合って操作棒の位置が固定され、羽部33は展開した状態を維持する(図10参照)。
【0052】
前記ガイド溝14はクランク状の凹溝で、操作棒の前後進と操作棒の位置固定のための溝14a、14bを含んでなる。
【0053】
羽部33を広げて固定させた後、図5図示のように、ニードル50をガイドホール13に差し込めば、ニードルの先端はポートの周辺組職を貫通して羽部33のコイル42を貫通した後、ニードルを抜き取れば、ニードルの溝52にコイルのストッパー43がかかった状態になり、引かれるニードルに従ってコイルが伸長し、縛られている縫合糸の糸部分が人体外に安全に抜け出ることになる(図15及び図16参照)
図9に示すように、縫合糸40の両端を人体外に抜き取った後、操作棒を時計方向に45度回せば、ガイド溝14の上部溝に噛み合った突起23が抜け出、操作棒20を押し込めば、展開して固定された羽部33が折り畳まれ、ハンドル11を取って抜けば、腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置本体10の全体が人体の外部に抜け出、通常の方法で縫合糸を結束して縫合を完了し、残ったコイル部分は除去する(図17参照)。
【0054】
図9に示すように、縫合糸40両端を人体外に抜き取った後に操作棒を反時計方向に45度回せば、ガイド溝14の上部溝14aに噛み合った突起23が抜け出、操作棒20を押し込めば、展開して固定された羽部33が折り畳まれ、ハンドル11を取って抜けば、腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置本体10の全体が人体の外部に抜け出、通常の方法で縫合糸を結束して縫合を完了し、残ったコイル部分は除去する(図17参照)。
【0055】
内装した縫合糸の抽出及び縫合が終わった腹腔鏡ポートサイト閉鎖装置のカートリッジ30を入れ替る場合、図11に示すように、操作棒20を反時計方向に45度さらに回せば、操作棒の突起23はクランク状のガイド溝14の下部溝14bに固定されてロックされるとともにカートリッジ30の固定溝302に結合された突起22が解除位置に移動して、カートリッジ30は操作棒20から解除される(図11及び図12参照)
操作棒20から解除された状態のカートリッジ30は本体10の下部内側に設けられた突起12と羽部33のリンクホール333の段差部334によって締結状態が維持される。これは使用者の力によって本体10から分離可能な程度の締結を維持するようになっているので、引くことで、抜け出て除去される。
【0056】
前記の逆順に本体10に新たなカートリッジ30を結合し、繰り返し使用ができるように作用する。
【0057】
前記ニードル50はコイル42をかけて引き出す構造を成すので、縫合糸をかけるための溝52を針の端部、つまり先端部に長く形成することで、縫合糸を正確に外部に抜き取ることができるように作用する。
【0058】
また、縫合糸40は、ニードルでかけて外部に抜き取ることが容易になるように、糸の両端にコイルを結束してなされる。コイルは無害な金属性素材からなり、ニードルを容易に貫通するためにスパイラルに巻いて製作し、自体弾性で元の形状を維持して、ニードルにかかって身長する時には長く伸びる程度の弾性及び剛性を持つ程度であれば使用可能であり、コイルの両端部を溶融させてボール状のストッパー43を設けることで、ストッパーの構造が極めて堅くなり、加工が極めて容易になる。
【0059】
前記コイルのストッパー43はニードルの溝52から離脱しないように確固に維持し、糸と結束される部分の反対側部も結束された糸の離脱を防止するようになされる。
【0060】
このような縫合糸40はチューブ状のケージに折り畳んで内蔵し、その両端部を羽部33に差し込んで使う。この際、再使用可能にするために、縫合糸は別に提供されることもある。
【0061】
前記スパイラルのコイル42は、ニードル50の先端部がコイルの真中心部から微細に外れて挿入されるとか、ニードルの溝52の開放部がどの方向に挿入されるかにかかわらず、螺旋状に形成することで、コイル線材の隙間にニードルの先端が挿入可能であり、一旦挿入されたニードルの端部の溝に弾性コイルがかかれば、ニードルを引くことにより、コイルの端部のストッパー43がかかって伸長され、人体の外部に抜け出るので、縫合糸を抜き取るのに失敗する場合が完璧に排除される。
【0062】
以上詳細に説明した本発明は、腹腔鏡ポートを縫合することに当たり、ポートの内部には何の縫合糸も残存しなくて、傷口が癒え、外部炎症のおそれが低くて患者の回復に有用であるとともに、従来のように容易に縫合できるハンドル操作構造を持つので、手術の進行に非常に簡便で手術を進行する医療陣にも有用であり、縫合糸を内蔵したカートリッジの交替性によって簡便性及び経済性のいずれも満足させることができる有用な発明である。
【符号の説明】
【0063】
10 本体
11、21 ハンドル
12、22、23、311 突起
13 ニードルガイドホール
14 ガイド溝
20 操作棒
30 カートリッジ
32 隔室
33 羽部
40 縫合糸
42 コイル
43 ストッパー
45 ケージ
46 チューブ
50 ニードル
52 溝
300 第1支持部
301 着脱溝
302 固定溝
310 第2支持部
320 第3支持部
322 カバー
331 ホール
333 リンクホール
334 段差部
335 装着孔
336 凹溝
図1
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17