特許第6160890号(P6160890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6160890
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】液体供給機
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20170703BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20170703BHJP
   B65D 47/06 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   B67D1/08 Z
   B65D83/00 G
   B65D47/06
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-69868(P2017-69868)
(22)【出願日】2017年3月31日
【審査請求日】2017年3月31日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500093339
【氏名又は名称】株式会社グリーンハウス
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(72)【発明者】
【氏名】小沢 武史
(72)【発明者】
【氏名】崔 暁萌
【審査官】 関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3097541(JP,U)
【文献】 特開2016−216080(JP,A)
【文献】 特開2015−34057(JP,A)
【文献】 特開2012−144258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/08
B65D 47/06
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1容器の開口に嵌合する第1嵌合部と、
前記第1容器の開口と大きさが異なる第2容器の開口に嵌合する第2嵌合部と、
前記第2嵌合部の周囲に配置される第1孔と、
前記第2嵌合部の内側に配置される第2孔と、
前記第1孔および前記第2孔と連通する注出口と、
を備え、
前記第1容器が前記第1嵌合部に嵌合されているとき、前記第1容器の開口と前記注出口とは前記第1孔を介して連通し、
前記第2容器が前記第2嵌合部に嵌合されているとき、前記第1孔は前記第2容器により封止される、
液体供給機。
【請求項2】
前記第1嵌合部は缶容器との嵌合部であり、前記第2嵌合部は瓶容器との嵌合部である、請求項1記載の液体供給機。
【請求項3】
前記第2嵌合部は、前記第1嵌合部の内方において前記第2容器の内周面と嵌合する円筒状の嵌合部である、請求項1又は2記載の液体供給機。
【請求項4】
前記第2容器が前記第2嵌合部に嵌合されているとき、前記第1孔は、前記第2容器の上端と当接して密閉される、請求項1乃至3のいずれかに記載の液体供給機。
【請求項5】
前記第2容器が前記第2嵌合部に嵌合されているとき、前記第2容器の開口と前記注出口とは前記第2孔を介して連通する、請求項1乃至4のいずれかに記載の液体供給機。
【請求項6】
前記第1孔の周縁は、弾性体で形成されている、請求項1乃至5のいずれかに記載の液体供給機。
【請求項7】
前記第1孔は複数配置されている、請求項1乃至6のいずれかに記載の液体供給機。
【請求項8】
前記第1孔および前記注出口と連通する排気口をさらに備える、請求項1乃至7のいずれかに記載の液体供給機。
【請求項9】
前記第1嵌合部の内側に突出し、前記第1容器を弾性力で保持する固定部をさらに備える、請求項1乃至8のいずれかに記載の液体供給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体供給機に関する。
【背景技術】
【0002】
ビール等の飲料を、缶又は瓶等の販売容器からコップ等の食器に移し替える際に、販売容器の注ぎ口に装着する液体供給機が知られている。液体供給機に超音波発生装置を内蔵させると、炭酸飲料を食器に注ぐとき、炭酸による泡がきめ細かくなり、飲料が一段とおいしくなる効果がある。
【0003】
飲料は、缶に入れて販売されるものと、瓶に入れて販売されるものとがある。缶と瓶とでは注ぎ口の形が異なるため、飲料の購入者は、それぞれの注ぎ口の形状に対応した液体供給機を用意する必要があった。そこで、注ぎ口の大きさが異なるいずれの容器であっても装着して使用可能な液体供給機が必要とされている。
【0004】
例えば特許文献1には、可搬容器としてのピッチャーに取り付けられ、ピッチャーに収容されているビールを注出する注出装置が開示されている。しかしながら、装着可能な容器の注ぎ口の大きさは一定の大きさに限られ、注ぎ口の大きさが異なる容器に装着することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−34057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、注ぎ口の大きさが異なる容器であっても装着して使用可能な液体供給機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる液体供給機は、第1容器の開口に嵌合する第1嵌合部と、第1容器の開口と大きさが異なる第2容器の開口に嵌合する第2嵌合部と、第2嵌合部の周囲に配置される第1孔と、第2嵌合部の内側に配置される第2孔と、第1孔および第2孔と連通する注出口と、を備え、第1容器が第1嵌合部に嵌合されているとき、第1容器の開口と注出口とは第1孔を介して連通し、第2容器が第2嵌合部に嵌合されているとき、第1孔は第2容器により封止されることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる液体供給機によれば、注ぎ口の大きさが異なる容器であっても装着して使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明にかかる液体供給機の実施の形態を示す斜視図である。
図2】上記液体供給機の右側面図である。
図3】上記液体供給機の背面図である。
図4】上記液体供給機が備える上筐体を外した状態を示す分解斜視図である。
図5】上記液体供給機を第1容器に装着した状態を示す断面斜視図である。
図6】上記液体供給機を第1容器に装着した状態を示す縦断面図である。
図7】上記液体供給機を第2容器に装着した状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明にかかる液体供給機の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
●液体供給機の概要
図1から図3に示すように、液体供給機1は、筐体2と、注出口3と、超音波スイッチ4と、排気口5と、着脱スイッチ6と、を備える。液体供給機1は、液体の入った容器に装着され、液体供給機1を容器ごと傾けることにより、注出口3からコップ等に液体を移しかえる装置である。
【0012】
筐体2は、略円筒状であり、上筐体21および下筐体22を備える。上筐体21および下筐体22は、半径が互いに略同一の略円筒形状である。上筐体21および下筐体22は、例えばプラスチック等の合成樹脂で形成されている。上筐体21には、図5に示す超音波発生部41や、超音波発生部41を駆動する電池42等が収容されている。下筐体22には、液体供給機1を容器に取り付けるための構造が組み込まれている。下筐体22の構造については後述する。
【0013】
上筐体21は、上面の略中央に超音波スイッチ4を備える。超音波スイッチ4は、超音波発生部41と電気的に接続されている。超音波発生部41は、超音波スイッチ4を押している間、液体供給機1の内部を流れる液体に向けて超音波を発生させる。
【0014】
注出口3は、下筐体22の側面に設けられていて、液体供給機1の内側と外側とを貫通する孔である。注出口3は、下筐体22に取り付けられる容器の内部と連通し、容器内部の液体が注出口3を通って液体供給機1の外部に供給される。注出口3は、下筐体22の側面から突出した囲いを備える。注出口3の先端は、液体を注ぎやすくするために斜めになっていてもよい。
【0015】
排気口5は、下筐体22の側面に設けられていて、液体供給機1の内側と外側とを貫通する孔である。排気口5は、注出口3とは反対側の側面に設けられていて、注出口3と連通している。また、排気口5は、図5に示す第1孔51および第2孔52を介して、下筐体22に取り付けられる容器内部と連通する。容器内部の液体3が注出口3から供給されるのに伴って、液体供給機1の外部の空気が排気口5から容器内部に流入する。
【0016】
図4に示すように、上筐体21と下筐体22は着脱可能である。例えば、上筐体21を下筐体22に対して左方向に回すことにより、上筐体21と下筐体22との結合を容易に外すことができる。また、上筐体21の底面を下筐体22の上面に接触させて、上筐体21を右方向に回すことで、上筐体21を下筐体22に容易に取り付けることができる。超音波発生部41や電池42といった電気的な構成は、上筐体21に集約されている。このような構成によれば、電気的な構成が収容されている上筐体21を下筐体22から取り外して下筐体22を洗浄することができ、下筐体22を衛生的に保つことができる。電気的な構成が集約されている上筺体21は、洗浄する必要はない。
【0017】
●下筐体22の構成
図5に示すように、下筐体22は、内筒231と、外筒232と、第1嵌合部221と、固定部30と、第2嵌合部223と、第1孔51と、第2孔52と、を備える。
【0018】
下筐体22は、略円錐台状の内筒231および略円筒状の外筒232の2重構造になっている。外筒232は、下筐体22の外周面を形成している。内筒231は、底付きの筒を伏せた形をしていて、後述する第1孔51および第2孔52を有する上底部230を備える。内筒231および外筒232は、内筒231の下端が外筒232につながった形に一体成形されている。
【0019】
図6に示すように、第1嵌合部221は、内筒231の下端に配置された円環状の部材である。第1嵌合部221は、例えばシリコン等の弾力性のある部材で形成されている。第1嵌合部221は、下筐体22の内周面に固定されている。
【0020】
固定部30は、内筒231と外筒232の間に配置された縦長の板状の部材である。固定部30は、長さ方向の中間部を支点として垂直面内において揺動可能に下筐体22内に保持されている。固定部30の上端部31と内筒231の外側面との間には弾性体32が配置されている。弾性体32は、例えばコイルばねである。弾性体32は、その反発力により、固定部30を、上記支点を中心にして図6において時計針方向に付勢している。すなわち、弾性体31は、固定部の下端部が下筐体22の中心に向かって移動する向きに付勢している。固定部30の上端部31は着脱スイッチ6の内側面に対応した位置に配置されていて、着脱スイッチ6を押したときに固定部30の上端部31が押圧される。
【0021】
固定部30の下端部には鉤状の鉤部33が形成されている。鉤部33は、固定部30の側面から突出していて、第1嵌合部221よりも下筐体22の内側に突き出している。
【0022】
第1嵌合部221の内径は、液体を封入して販売される市販の容器10の注ぎ口の外径に対応している。容器10は、例えばアルミニウム製や鉄製の飲料缶である。容器10は、第1容器の例である。
【0023】
下筐体22に容器10を装着する手順を説明する。着脱スイッチ6が押下されている間、固定部30の上端部31は内筒231側に向かって押圧されるので、鉤部33は外筒232側へ近づく。着脱スイッチ6を押下した状態で容器10を第1嵌合部221に押し当て、着脱スイッチ6を解放する。すると、鉤部33は弾性体32の弾性力によって容器10の上端部外周面に押し当てられる。鉤部33の容器10との接触面は傾斜面になっていて、弾性体32の弾性力が容器10の上端部外周面を押し上げる力が生じる。この押し上げ力によって、容器10は下筐体22の下端に密着して保持される。
【0024】
容器10が下筐体22に装着された状態で着脱スイッチ6を押下すると、鉤部33が容器10から離脱し、容器10を下筐体22から取り外すことができる。
【0025】
第2嵌合部223は、第1嵌合部221の内方において、後述する容器11の内周面が嵌合する円筒状の嵌合部である。第2嵌合部223は、下筐体22の内側中心部に内筒231の上底部230から下方に突出して形成されている円筒状の部位である。第2嵌合部223の内側には、注出口3および排気口5に連通する第2孔52が形成されている。第1孔51および第2孔52は、上底部230に互いに平行に設けられているそれぞれ別の孔である。第2嵌合部223の外周面は、シリコン等の弾力性のある部材で形成されている。また、内筒231の上底部230にも弾力性のある部材が配置されている。
【0026】
第2嵌合部223は、側面に円環状の突起224を有している。突起224は弾力性のある部材で形成されている。図6において突起224の数は2個で上下に分けて設けられているが、1個であっても3個以上であってもよい。
【0027】
第2嵌合部223の外径は、液体を封入して販売される、容器10とは注ぎ口の形状が異なる市販の容器11の内径に対応している。容器11は、例えばガラス製の瓶であり、内部の液体はビールである。容器11の注ぎ口は、容器10の注ぎ口よりも小さいものを想定している。容器11は、第2の容器の例である。
【0028】
上底部230の、第2嵌合部223の周囲には、注出口3および排気口5に連通する第1孔51が第2嵌合部223を取り囲むようにして形成されている。第1孔51の周縁は弾性体で形成されている。図5に示すように、第1孔51は、第2嵌合部223の根元、言い換えれば第2嵌合部223と上底部230との接続部分に、沿うようにカーブした長四角形の貫通孔である。容器11が第2嵌合部223に装着されて容器11の上端111が内筒231の上底部230に当接すると、第1孔51の周縁の弾性体が押圧されて容器11の上端111が第1孔51に密着する。すなわち、第1孔51は容器11の上端111で塞がれる。
【0029】
第2嵌合部223に容器11を装着したときに容器11の上端で塞ぐことができる形状であれば、第1孔51の形状は任意である。
【0030】
本実施の形態において、第1孔51は第2嵌合部223を中心とした仮想の円上に等間隔に4個配置されているが、第1孔51の数は3個以下であっても5個以上であってもよい。第1孔51が複数配置されていることにより、容器10の開口と内筒231との間の液溜まりを防止することができる。また、第1孔51が複数配置されていることにより、第1孔51の開口面積を確保でき、容器10内の空間を、排気口5を通じて大気に解放することができるので、液体が快適に流れ出る。
【0031】
●注ぎ口の形状が互いに異なる容器を装着したときの液体の流路
容器10が第1嵌合部221に嵌合しているとき、容器10の開口と注出口3とは第1孔51を介して連通する。容器10を液体供給機1ごと傾けると、容器10内の液体は第1孔51および注出口3を通ってコップ等に注がれる。また、容器10の内部には、注出口3から出た液体の分だけ、排気口5、第2孔52および液体が流れ出る孔とは別の第1孔51を通じて空気が充填される。
【0032】
容器11が第2嵌合部223に嵌合しているとき、突起224は押し潰されて、突起224と容器11の内周面とが密着する。容器11の上端111は、内筒231の上底部230に当接してすべての第1孔51と密着し、第1孔51を封止する。容器11の開口と注出口3とは第2孔52を介して連通する。容器11を液体供給機1ごと傾けると、容器11内の液体は、第2孔52および注出口3を通ってコップ等に注がれる。また、容器11の内部には、注出口3から出た液体の分だけ、排気口5および第2孔52を通じて空気が充填される。
【0033】
このように、容器10に装着したときに流路となる第1孔51を、容器11を装着したときには容器11の上端と当接させて密閉することができる。したがって、本発明にかかる液体供給機1によれば、注ぎ口の大きさが互いに異なる容器であっても装着して使用することができる。
【0034】
なお、上述の実施の形態においては、容器に装着し、容器を保持して傾ける形式の液体供給機であった。しかし、本発明にかかる液体供給機は、容器を装着し、液体供給機側に設けられている把手を持って傾ける形式であってもよい。
【0035】
また、本発明を説明するに当たり、ビール缶およびビール瓶からビールを供給するビールサーバを想定して説明したが、本発明の技術思想は、ビールサーバに限らず、容器の注ぎ口に取り付けて液体を供給するあらゆる装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 液体供給機
3 注出口
10 容器
11 容器
51 第1孔
52 第2孔
221 第1嵌合部
223 第2嵌合部
【要約】
【課題】 注ぎ口の大きさが異なる容器に装着可能な液体供給機を得る。
【解決手段】 本発明にかかる液体供給機1は、第1容器10の開口に嵌合する第1嵌合部221と、第1容器の開口と大きさが異なる第2容器11の開口に嵌合する第2嵌合部223と、第2嵌合部の周囲に配置される第1孔51と、第2嵌合部の内側に配置される第2孔52と、第1孔および第2孔と連通する注出口3と、を備え、第1容器が第1嵌合部に嵌合されているとき、第1容器の開口と注出口とは第1孔を介して連通し、第2容器が第2嵌合部に嵌合されているとき、第1孔は第2容器により封止される。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7