特許第6160912号(P6160912)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6160912-車両の冷風導入構造 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6160912
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】車両の冷風導入構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/52 20060101AFI20170703BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   B60R19/52 M
   B60K11/04 J
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-178413(P2013-178413)
(22)【出願日】2013年8月29日
(65)【公開番号】特開2015-47875(P2015-47875A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】河村 憲一
(72)【発明者】
【氏名】登里 卓也
【審査官】 諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−247819(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0132474(US,A1)
【文献】 特開2011−235718(JP,A)
【文献】 特開2012−250567(JP,A)
【文献】 特開2008−006855(JP,A)
【文献】 実開昭58−139327(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0090906(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0181062(US,A1)
【文献】 特開2011−105219(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0118945(US,A1)
【文献】 特開2007−320527(JP,A)
【文献】 実開平1−107627(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/48
B60R 19/52
B60K 11/00−15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前面に車幅方向に設けられたバンパビームと、該バンパビームの上方及び下方の車体前面に設けられた開口と、該開口から流入した走行風を車体内部に設けられた被冷却体まで導く冷風導入路と、該冷風導入路に導入された走行風の風量を調整可能な複数の可動部材とを有する車両の冷風導入構造であって、
前記バンパビームの後方領域は、車体後方に向かって先細り断面形状を有し、
前記複数の可動部材は、車幅方向に延設された回動軸を中心に回動可能に設けられ、前記バンパビームの上下両側領域で前記バンパビームの後方領域と車体前後方向で同一の領域に設けられ、
前記複数の可動部材のうち、前記バンパビームの上方領域に設けられた第1の可動部材と、前記バンパビームの下方領域に設けられた第2の可動部材とで、互いに逆方向へ回動させると共に、前記可動部材を全開位置から閉側位置へ回動させるとき、前記可動部材の走行風下流側端を前記バンパビームの後方領域の表面に向かう方向に回動させる駆動装置を備えていることを特徴とする車両の冷風導入構造。
【請求項2】
前記第1の可動部材及び前記第2の可動部材の開度が所定範囲のときに、前記第1の可動部材及び前記第2の可動部材が前記バンパビームの後方領域の表面に沿う方向に回動されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両の冷風導入構造。
【請求項3】
前記駆動装置は、
前記第1の可動部材と前記第2の可動部材とを、バンパビームの車体前後方向軸線に対して傾き角が常に対称となるように駆動するものであることを特徴とする請求項1に記載の車両の冷風導入構造。
【請求項4】
前記バンパビームの後方領域が占める車体前後方向長さは、前記可動部材の前記回動軸と交差する方向の長さの1〜3倍であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の冷風導入構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の前面に設けられたグリルから走行風を導入し、導入した走行風で車体内部に設けられたラジエータなどの冷却を行う車両の冷風導入構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両には車体前部に設けられたバンパビームの後方にラジエータやエアコン用コンデンサが配置されている。そして、車両の走行中にバンパビームの上下両側に配置されたフロントグリルの開口から車体の内部に走行風を導入し、走行風でラジエータやエアコン用コンデンサを冷却している。
また、走行風の導入路に横軸心周りに搖動自在な複数の可動フィンを設け、この可動フィンで空気流入量を調整し、車両に揚力やダウンフォースを付与して、安定走行を確保するようにしたものがある(特許文献1)。
【0003】
特許文献2には、車幅方向に配置されたバンパビームの上下両側に走行風を導入するフロントグリルを設け、エンジンルームに設けられたラジエータに走行風を送って冷却すると共に、走行風の導入路に開閉動作を行う可動部材を備えた構成が開示されている。
しかし、このような構成の場合、バンパビームや中途開度の可動部材で空気流の剥離が起りやすい。これによって、バンパビームや可動部材の後方で乱流域が拡大するので、空気抵抗が増加し、流速も遅くなって冷却性能が低下するという問題がある。
【0004】
特許文献3には、バンパビームの後方領域を先細りの斜状壁とし、かつ該斜状壁の表面に突起を設けた構成が開示されている。かかる構成では、前記突起により前記斜状壁の表面に沿って流れる空気流に乱流を発生させることで、空気流が前記斜状壁の表面から剥離するのを防止するようにしている。これによって、バンパビームの後方へ空気流を効率良く送り、ラジエータやエアコン用コンデンサを効率良く冷却できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−6855号公報
【特許文献2】特開2011−105219号公報
【特許文献3】特開2012−250567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1や特許文献2に開示されているように、冷風導入路に風量を調整するための可動部材が設けられている場合、バンパビームや可動部材から空気流が剥離することで、これら部材の後方で乱流域が拡大する。特に、可動部材が中途開度のときに空気流の大きな剥離が発生する。これによって、ラジエータやエアコン用コンデンサに乱流となり減速した空気流が当たるため冷却性能が低下する。さらに、可動部材の配置によって車体に対する空気抵抗が増加するという問題もある。
【0007】
なお、特許文献3に開示された構成は可動部材を設けていないため、バンパビームと共に可動部材を配置することで相乗的に生じる乱流域の拡大、及びこの現象によって生じる前記問題の解決策を示唆するものではない。
【0008】
本発明は、前記の問題点に鑑みなされたものであり、簡単な構成で、バンパビームや可動部材の後方で起る乱流域の拡大を抑制し、車体に対する空気抵抗の増加を抑制すると共に、ラジエータやエアコン用コンデンサ等の被冷却体に対する冷却性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明は、車体前面に車幅方向に設けられたバンパビームと、該バンパビームの上方及び下方の車体前面に設けられた開口と、該開口から流入した走行風を車体内部に設けられた被冷却体まで導く冷風導入路と、該冷風導入路に導入された走行風の風量を調整可能な複数の可動部材とを有する車両の冷風導入構造に適用される。
【0010】
本発明では、バンパビームの後方領域は、車体後方に向かって先細り断面形状を有している。これによって、走行風がバンパビームから剥離するのを抑制でき、バンパビームの後端に発生する乱流を抑制できる。好ましくは、バンパビームを先細りの翼型断面形状とすれば、走行風の剥離及び乱流の形成をさらに有効に抑制できる。
また、複数の可動部材は、車幅方向に延設された回動軸を中心に回動可能に設けられ、バンパビームの上下両側領域でバンパビームの後方領域と車体前後方向で同一の領域に設けられている。このように、バンパビームと可動部材とを配置することで、冷風導入路を流れる空気流に対し整流作用を付与できる。
【0011】
また、本発明は、駆動装置により、複数の可動部材のうち、バンパビームの上方領域に設けられた第1の可動部材と、バンパビームの下方領域に設けられた第2の可動部材とで、互いに逆方向へ回動させると共に、可動部材を全開位置から閉側位置へ回動させるとき、可動部材の走行風下流側端をバンパビームの翼型断面形状の表面に向かう方向に回動させる。
【0012】
これによって、可動部材の全開位置から閉側位置へ回動する動作の過程で、バンパビームの後方領域とバンパビームに隣接した可動部材との間に、走行風の下流側に向かって流路面積が同一又は漸減する流路を形成できる。そのため、かかる形状の流路においては、バンパビーム後方領域及び可動部材からの走行風の剥離を効果的に抑制できる。
そのため、バンパビーム及び可動部材の後方での乱流域の拡大を効果的に抑制できる。従って、冷風導入路での空気抵抗の増加を抑制でき、被冷却体に対する冷却性能の低下を防止できる。
【0013】
本発明の一態様として、バンパビーム後方領域の表面形状と可動部材の傾き角との関係から、第1の可動部材及び第2の可動部材の開度が所定範囲、例えば20〜50%のときに、第1の可動部材及び第2の可動部材がバンパビーム後方領域の表面に沿う方向に回動されるように構成することができる。
これによって、第1の可動部材及び第2の可動部材の開度が所定範囲のとき、バンパビーム及び可動部材に対する走行風の剥離を有効に抑制でき、空気抵抗の増加を抑制しつつ、被冷却体に対する冷却性能の低下を防止できる。
【0014】
本発明の一態様として、駆動装置によって、第1の可動部材と第2の可動部材とを、バンパビームの車体前後方向軸線に対して傾き角が常に対称となるように駆動させることができる。
このように駆動することで、第1の可動部材と第2の可動部材との同期制御が容易になると共に、バンパビームの車体前後方向軸線を中心として、バンパビームの上下で常に対称な流路を形成できる。従って、冷風導入路における走行風の整流効果を高めることができるので、空気抵抗の増加を抑制しつつ、被冷却体に対する冷却性能をさらに高めることができる。
【0015】
本発明の一態様として、バンパビームの後方領域が占める車体前後方向長さを、可動部材の回動軸と交差する方向の長さの1〜3倍とするとよい。
かかる形状とすることで、バンパビーム後方領域と可動部材間を流れる走行風を安定させ、剥離抑止効果をさらに高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡単な構成で、バンパビーム及び可動部材の後方で乱流域の拡大を抑制できるので、車体に対する空気抵抗を低減できると共に、被冷却体に対する冷却性能の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明を適用した車体前部構造を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る冷風導入構造を示す側面図である。
図3】前記冷風導入構造の可動フィンの駆動機構を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0019】
図1において、車体の前面中央部位に前方に突出したバンパビーム10が車幅方向に設けられている。バンパビーム10の上方領域及び下方領域に、本実施形態の冷風導入構造20の一部を構成する走行風取入口22及び24が設けられ、これら走行風取入口22及び24の入口にフロントグリル26及び28が設けられている。また、走行風取入口24の両側の車体前面に、上下方向に延在するバンパ12及び14が設けられている。
【0020】
次に、図2により本実施形態の冷風導入構造20の構成を説明する。図2において、車体前部の内部に、走行風取入口22の上部境界を画成するフレーム30、及び走行風取入口24の下部境界を画成するフレーム31が設けられている。フレーム30及び31によって冷風導入路32が形成されている。冷風導入路32の奥側領域に形成されたエンジンルームに、冷風導入路32に面して、ラジエータ34及びエアコン用コンデンサ36等の被冷却体が設けられている。
【0021】
バンパビーム10の車体前後方向における後方領域10aは、車体前後方向の中心軸線iに対し上下形状が対称の翼型断面形状を有している。また、バンパビーム10の上方領域に複数の第1の可動フィン38aが設けられ、バンパビーム10の下方領域に複数の第2の可動フィン38bが設けられている。これら可動フィン38a及び38bは、車体前後方向においてバンパビーム10の後方領域10aと同一領域に配置されている。可動フィン38a及び38bは、車幅方向に延設された長尺の板状体で構成され、個々の可動フィンは同一形状を有している。可動フィン38a及び38bは、幅方向の中央に設けられた回動軸39を中心に回動可能となるように構成されている。
【0022】
次に、図3に基づいて、第1の可動フィン38a及び第2の可動フィン38bの具体的構成、及び第1の可動フィン38a及び第2の可動フィン38bを回動させる駆動機構40の構成を説明する。図3において、支持バー42を介して電動シリンダ41が固定されている。電動シリンダ41のピストンロッド41aにアーム43が接続されている。アーム43の中央部は一つの可動フィンの回動軸39に結合されている。回動軸39に対して同一高さで水平方向に止め板44が設けられている。さらに、各可動フィンの間に上下方向に止め板46が設けられている。
【0023】
冷風導入路32の上部領域に設けられた止め板44及び46は、夫々フレーム30に固定され、冷風導入路32の下部領域に設けられた止め板44及び46は、夫々フレーム31に固定されている。なお、電動シリンダ41は、第1の可動フィン38a及び第2の可動フィン38bに対して夫々1個ずつ設けられている。第1の可動フィン38aを駆動する電動シリンダ41は、支持バー42を介してバンパビーム10に固定され、第2の可動フィン38bを駆動する電動シリンダ41は、支持バー42を介してフレーム31に固定されている。
【0024】
回動軸39がアーム43と結合されていない他の可動フィンにおいては、回動軸39に夫々短尺アーム48の一端が結合されている。各短尺アーム48の他端はアーム43の他端とリンク棒50によって結合されている。
これによって、複数の第1の可動フィン38aは互いに同期して回動し、常に同一の傾き角で回動する。同様に、複数の第2の可動フィン38bも互いに同期して回動し、常に同一の傾き角で回動する。
【0025】
また、第1の可動フィン38aと第2の可動フィン38bとは、駆動機構40を制御する制御装置(図示省略)によって、バンパビーム10の中心軸線iに対して傾き角が常に対称な角度となるように動作する。例えば、第1の可動フィン38aと第2の可動フィン38bとは、同時に全閉位置となるように回動すると共に、同時に全開位置となるように回動する。
また、後方領域10aの車体前後方向長さLは、第1の可動フィン38a及び第2の可動フィン38bの幅方向長さhの1〜3倍に設定されている。
【0026】
かかる構成において、第1の可動フィン38a及び第2の可動フィン38bが止め板44に係止したとき、冷風導入路32は全開状態となる。全開状態から2個の電動シリンダ41が駆動し、ピストンロッド41aが突出すると、90°回転し、止め板46に係止し、この状態で冷風導入路32は全閉状態となる。
従って、第1の可動フィン38a及び第2の可動フィン38bを全開位置から全閉位置へ向けて回動させるとき、第1の可動フィン38a及び第2の可動フィン38bの走行風下流側端52は、翼型断面形状を有する後方領域10aの表面に向かう方向へ回動する。
【0027】
後方領域10aの表面形状から、第1の可動フィン38a及び第2の可動フィン38bは、開度が20〜50%のときに、後方領域10aの表面に最も沿う位置、即ち、後方領域10aとほぼ平行に近い傾き角となる。
【0028】
車両の装甲中、走行風取入口22及び24から走行風fが冷風導入路32に導入され、走行風fによってラジエータ34やエアコン用コンデンサ36が冷却される。これら被冷却体の冷却性能を増加させるとき、第1の可動フィン38a及び第2の可動フィン38bの開度を増加させ、冷却性能を低下させるとき、第1の可動フィン38a及び第2の可動フィン38bの開度を減少させる。
【0029】
走行風fの温度や車速にもよるが、例えば、ラジエータ34を流れる冷却水の水温が70℃のとき、可動フィン38a及び38bの開度を50%とする。ラジエータ34を流れる冷却水の水温が90°のとき、第1の可動フィン38a及び第2の可動フィン38bの開度を全開とする。車載エアコンを稼働させた場合は、さらに第1の可動フィン38a及び第2の可動フィン38bの開度を増加させる。
【0030】
本実施形態によれば、バンパビーム10の後方領域10aは、走行風fの流れ方向下流側に向かって先細りの翼型断面形状を有しているため、走行風fが後方領域10aから剥離するのを有効に抑制でき、これによって、バンパビーム10の後端に発生する乱流域tの拡大を抑制できる。
また、複数の第1の可動フィン38a又は複数の第2の可動フィン38bも常に同一の傾き角で回動するので、これらの間で走行風fの剥離を抑制できるので、各可動フィン後端での乱流域tの拡大を抑制できる。
【0031】
また、第1の可動フィン38a及び第2の可動フィン38bは、バンパビーム10の上下両側領域で後方領域10aと車体前後方向で同一の領域に設けられているので、冷風導入路32を流れる走行風fに対し整流作用を付与できる。
【0032】
また、複数の第1の可動フィン38a及び複数の第2の可動フィン38bは、駆動機構40によって互いに逆方向へ回動するように構成され、全閉位置から全開位置に回動する過程で、後方領域10aと可動フィン38a、可動フィン38bとの間で、走行風fの下流側に向かって流路面積が同一又は漸減する流路を形成できる。かかる流路の形成によって、後方領域10a及び可動フィン間における走行風fの剥離を効果的に抑制できる。
【0033】
そのため、バンパビーム10及び可動フィン38a、38bの後方で乱流域の拡大を効果的に抑制でき、従って、冷風導入路32での空気抵抗の増加を抑制し、空気流の流速低下を防止できるので、ラジエータ34やエアコン用コンデンサ36等の被冷却体に対する冷却性能の低下を防止できる。
【0034】
また、第1の可動フィン38a及び第2の可動フィン38bは、開度が20〜50%のときに、バンパビーム10の後方領域10aの表面に最も沿う位置、即ち、後方領域10aの表面とほぼ平行に近い傾き角となるように回動するので、後方領域10a及び可動フィン38a、38bにする走行風の剥離を有効に抑制できる。そのため、空気抵抗の増加を抑制しつつ、被冷却体に対する冷却性能の低下を防止できる。
【0035】
また、駆動機構40により、第1の可動フィン38aと第2の可動フィン38bとを、バンパビーム10の軸線iに対して傾き角が常に対称となるように駆動させているので、第1の可動フィン38aと第2の可動フィン38bとの同期制御が容易になる。
また、後方領域10aが中心軸線iに対して上下形状が対称の翼型断面形状を有しているため、バンパビーム10の上下で常に対称な流路を形成できる。従って、冷風導入路32における走行風fの整流効果をさらに高めることができる。これによって、被冷却体に対する冷却性能をさらに高めることができる。
【0036】
さらに、バンパビーム10の後方領域10aの車体前後方向長さLは、第1の可動フィン38a及び第2の可動フィン38bの幅方向長さhの1〜3倍に設定されているので、後方領域10aと可動フィン38a、38bとの間を流れる走行風fを安定させ、剥離抑止効果をさらに高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、簡単な構成で、走行風がバンパビームや可動部材から剥離するのを抑制でき、ラジエータやエアコン用コンデンサ等の被冷却体に対する冷却性能を向上させることができる。
【符号の説明】
【0038】
10 バンパビーム
10a 後方領域
12、14 バンパ
20 冷風導入構造
22、24 走行風取入口
26、28 フロントグリル
30、31 フレーム
32 冷風導入路
34 ラジエータ
36 エアコン用コンデンサ
38a 第1の可動フィン
38b 第2の可動フィン
39 回動軸
40 駆動機構
41 電動シリンダ
41a ピストンロッド
42 支持バー
43 アーム
44、46 止め板
48 短尺アーム
50 リンク棒
52 走行風下流側端
f 走行風
i 中心軸線
t 乱流域
図1
図2
図3