特許第6160939号(P6160939)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6160939パターン/偏波アンテナ装置とこれを用いたビーム形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6160939
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】パターン/偏波アンテナ装置とこれを用いたビーム形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/24 20060101AFI20170703BHJP
   H04B 7/10 20060101ALI20170703BHJP
   H01Q 21/28 20060101ALI20170703BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   H01Q21/24
   H04B7/10 A
   H01Q21/28
   H01Q21/06
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-563091(P2015-563091)
(86)(22)【出願日】2015年1月23日
(65)【公表番号】特表2017-507503(P2017-507503A)
(43)【公表日】2017年3月16日
(86)【国際出願番号】KR2015000759
(87)【国際公開番号】WO2016117734
(87)【国際公開日】20160728
【審査請求日】2015年12月16日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0011156
(32)【優先日】2015年1月23日
(33)【優先権主張国】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515162224
【氏名又は名称】コリア アドバンスド インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】KOREA ADVANCED INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ドンホ
(72)【発明者】
【氏名】ユン, チャンペ
(72)【発明者】
【氏名】パク, デヒ
(72)【発明者】
【氏名】イ, ジュ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ギル, ケ‐テ
【審査官】 橘 均憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−013318(JP,A)
【文献】 米国特許第04839663(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0132374(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0223554(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種の単位アンテナが、相互間の距離が波長以下に配置されたN(Nは3以上の整数)ポートパターン/偏波アンテナを含むM(Mは1以上の整数)個の集積構造で構成され、
前記単位アンテナは、球状ベクトル波モードのうち偶数モードに分布する放射パターンを有する電場アンテナと、奇数モードに分布する放射パターンを有する磁場アンテナとを含み、前記電場アンテナと前記磁場アンテナが違う方向に向かうように集積して、球状ベクトル波モードを用いることができ、
前記M個の集積構造の各々で1つずつ選定したアンテナを、1つのビームフォーミングアンテナ群として纏めたN個のビームフォーミングアンテナ群を用いてビームを形成し、前記M個の各々の集積構造内で複数個のビームフォーミンング重み付け設定値を適用して多重ビームを形成するNポートパターン/偏波アンテナを用いたビーム形成方法。
【請求項2】
前記M個の集積構造が1次元の線形、2次元の平面形又は3次元の立体形のうち何れか一形態の配列をなすNポートパターン/偏波アンテナを用いた請求項1に記載のビーム形成方法。
【請求項3】
前記M個の集積構造のうちn(nは1以上の整数)番目の集積構造はN個のパターン/偏波アンテナからなり、n’(n’は1以上の整数)番目の集積構造はN’(N’は3以上の整数)個のパターン/偏波アンテナからなるNポートパターン/偏波アンテナを用いた請求項1に記載のビーム形成方法。
【請求項4】
3種以上の単位アンテナが、相互間の距離が半波長以下に配置されたN(Nは3以上の整数)ポートパターン/偏波アンテナを含むM(Mは1以上の整数)個の集積構造で構成され、
前記単位アンテナは、相互に隣接するアンテナのうちの一方が隣接アンテナよりも更に広いビーム幅を有する放射パターンを有し、他方が隣接アンテナよりも一定の方向に更に高い指向性の放射パターンを有するように集積され、球状ベクトル波モードを用いることができ、
前記M個の集積構造の各々で1つずつ選定したアンテナを、1つのビームフォーミングアンテナ群として纏めたN個のビームフォーミングアンテナ群を用いてビームを形成し、
前記M個の各々の集積構造内で複数個のビームフォーミンング重み付け設定値を適用して多重ビームを形成するNポートパターン/偏波アンテナを用いたビーム形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン/偏波アンテナ装置に関し、特にパターン/偏波利得が得られるアンテナ装置と、該アンテナ装置を用いてビームを形成する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な多重アンテナ装置は、同じ特性を有するアンテナを半波長間隔で多数配置し、これを用いてビームを形成した。というのは、同じ特性を有するアンテナの場合、半波長以下の間隔でアンテナを配置すれば、アンテナ間のパターン類似性及び物理的に近い距離によってチャンネル特性が類似するようになるという効果を奏するためである。
【0003】
ところが、かかる場合、多数のチャンネルが互いに類似している特性を示すため、多重アンテナから得られる多重化(multiplexing)効果や、多重経路フェージング(multi−pathfading)に対する強靭性などの優れた特性が得られないという短所が生じる。
【0004】
かかる短所のため、同一又は二重偏波のアンテナを半波長間隔で多数配置することで、所謂、MIMO(MultipleInput Multiple Output)通信を行うようになる。しかし、この場合も半波長間隔でアンテナを配置しなければならないため、アンテナが多くの空間を占めるという短所が生じる。
【0005】
しかも、最近、研究されている大規模MIMO(massive MIMO)のような超多重アンテナ技術の場合、数十個ないし数百個のアンテナを配置しなければならないため、アンテナの占める空間が問題視されている。
【0006】
あるアンテナ放射パターンf(θ,φ)は、各モードに対して直交性を有する球状ベクトル波(sphericalvector waves)モードを用いて次の数式1のように示し得る。
【数1】

ここで、Aa(θ,φ)は球状ベクトル波モードを示し、各球状ベクトル波モードに対するcaは放射パターンの係数を示す。
【0007】
従来技術に係る多重アンテナ装置を用いるMIMOシステムは、二重偏波ダイポールアンテナを集積するため、球状ベクトル波モードのうち2つのモードのみを用いてチャンネル容量を増大させたものである。
【0008】
しかし、かかる従来技術によれば、2つの球状ベクトル波モードのみを用いるため、パターン/偏波利得を効果的に得られないという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の実施形態によれば、2つの球状ベクトル波モードのみを用いるほか、N個の球状ベクトル波モードを用いてパターン/偏波利得が得られるNポートパターン/偏波アンテナ装置とこれを用いたビーム形成方法を提供する。
【0010】
本発明の解決しようとする課題は、以上で言及したものに制限されず、言及していない他の課題は、以下の記載から本発明の属する通常の知識を有する者に明確に理解され得るはずである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の観点によるNポートパターン/偏波アンテナ装置は、2種の単位アンテナがN個以上の次数を有する球状ベクトル波モードを用い得る放射パターンで構成され、前記単位アンテナは相互間の距離が半波長以下に配置され、前記単位アンテナは前記球状ベクトル波モードのうち偶数モードに分布する放射パターンを有する電場アンテナと、奇数モードに分布する放射パターンを有する磁場アンテナとを含み、前記電場アンテナと前記磁場アンテナとが異なる方向を向くように集積することができる。
【0012】
本発明の第2の観点によるNポートパターン/偏波アンテナ装置は、3種以上の単位アンテナがN個以上の次数を有する球状ベクトル波モードを用い得る放射パターンで構成され、前記単位アンテナは相互間の距離が半波長以下に配置され、前記単位アンテナは相互に隣接したアンテナのうち何れか1つは隣接アンテナよりも広いビーム幅を有する放射パターンを有し、もう1つは隣接アンテナよりも一定の方向に更に高い指向性の放射パターンを有するように集積され得る。
【0013】
本発明の第2の観点によるNポートパターン/偏波アンテナを用いたビーム形成方法は、2種以上の単位アンテナがN個以上の次数を有する球状ベクトル波モードを用い得る放射パターンで構成され、前記単位アンテナは相互間の距離が半波長以下に配置されたNポートパターン/偏波アンテナの含まれたM個の集積構造が特定の形態の配列を成し、前記M個の集積構造の各々で1つずつ選定したアンテナを1つのビームフォーミングアンテナ群として纏めたN個のビームフォーミングアンテナ群を用いてビームを形成し得る。
【0014】
ここで、1つの前記集積構造内で1つのビームフォーミング重み付け設定値を適用して単一ビームを形成し得る。
【0015】
1つの前記集積構造内で複数のビームフォーミング重み付け設定値を適用して多重ビームを形成し得る。
【0016】
前記M個の集積構造が1次元の線形、2次元の平面形、あるいは3次元の立体形のうち何れか一方の形態の配列を成し得る。
【0017】
前記M個の集積構造のうちN番目の集積構造は、N個のパターン/偏波アンテナからなり、N’番目の集積構造はN個のパターン/偏波アンテナからなり得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施形態によれば、Nポートパターン/偏波アンテナが2つの球状ベクトル波モードのみを用いるほか、N個の球状ベクトル波モードを用いるため、従来技術に比べてパターン/偏波利得が更に向上される。
【0019】
また、かかるNポートパターン/偏波アンテナを用いたビームを形成することで、低複雑度の伝送システムを設計できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係るNポートパターン/偏波アンテナにおける単一の単位アンテナの放射パターン球状ベクトル波モード分析図である。
図2A】本発明の実施形態に係るNポートパターン/偏波アンテナにおける2種の単位アンテナの放射パターンの球状ベクトル波モード分析図である。
図2B】本発明の実施形態に係るNポートパターン/偏波アンテナにおける2種の単位アンテナの放射パターンの球状ベクトル波モード分析図である。
図3A】本発明の実施形態に係るNポートパターン/偏波アンテナにおける多重の単位アンテナの放射パターン球状ベクトル波モード分析図である。
図3B】本発明の実施形態に係るNポートパターン/偏波アンテナにおける多重の単位アンテナの放射パターン球状ベクトル波モード分析図である。
図3C】本発明の実施形態に係るNポートパターン/偏波アンテナにおける多重の単位アンテナの放射パターン球状ベクトル波モード分析図である。
図4】本発明の実施形態に係るNポートパターン/偏波アンテナ装置の4−ポート平面アンテナで具現した例である。
図5A】本発明の実施形態に係るNポートパターン/偏波アンテナ装置の16−ポートアンテナで具現した例である。
図5B】本発明の実施形態に係るNポートパターン/偏波アンテナ装置の16−ポートアンテナで具現した例である。
図6】本発明の実施形態によって集積構造内のNポートパターン/偏波アンテナを用いた単一のビームの形成方案を示したビームフォーミング状態図である。
図7】本発明の実施形態によって集積構造内のNポートパターン/偏波アンテナのビームフォーミング重み付け設定値を用いた多重ビームの形成方案を示したビームフォーミング状態図である。
図8】本発明の実施形態によって集積構造内のNポートパターン/偏波アンテナとM個の配列構造を用いた多重ビームの形成方案を示したビームフォーミング状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の利点及び特徴、またそれを達成するための方法は、添付された図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すれば明確になるであろう。しかし、本発明は、以下に開示される実施形態に限定されるものではなく、異なる多様な形態で具現されるものであり、単に以下の実施形態は、本発明の開示が完全になるようにして、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明の技術的範囲は請求項の記載によって規定される。
【0022】
本発明の実施形態を説明するにあたって、公知の機能又は構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にすると判断された場合、その詳細な説明を省略する。また、後述する用語は、本発明の実施形態での機能に基づいて定義したものであって、ユーザー、運用者の意図、又は判例によって変わり得る。したがって、これらの用語は、本明細書の全体内容に基づいて定義される。
【0023】
本発明の実施形態に係るNポートパターン/偏波アンテナに基づいて具現し得る移動通信システムは、分散ノードと端末ノードとで構成され得る。かかる分散ノードと端末ノードは、本発明の実施形態に係るNポートパターン/偏波アンテナ集積構造及び配列構造を用いて通信し得る。分散ノードは、従来のMIMOシステムよりも略N倍の集積率を有するパターン/偏波アンテナ配列構造を用いて多数のビームを形成し得、パターン、偏波、位置に関わるチャンネル情報を用いて形成されたビームを運用し得る。端末ノードは、小型のパターン/偏波アンテナ集積構造及び配列構造を用いてチャンネル環境に応じてダイバーシティ利得と多重信号利得を得て通信し得る。
【0024】
本発明の実施形態によってパターン/偏波利得を効果的に得られるNポートパターン/偏波アンテナは、N個以上の球状ベクトル波モードを用い得る放射パターンで構成されたアンテナでなければならない。
【0025】
球状ベクトル波モードAα(θ,φ)の次数αはα=2(n(n+1)−1+(−1)m)+τで求められ、これをAα(θ,φ)=Aτσmnのように示し得る。ここで、nは正の整数を示す係数であり、mはnに応じて定まる係数であり、Aτσmnは既存の球状ベクトル波である。
【0026】
球状ベクトル波モードは、nの値が変わると、その特性が大きく変わる傾向にあり、ループアンテナのようなTM(Transverse Magnetic)モードに対しては偶数モードで示され、ダイポールアンテナのようなTE(Transverse Electric)モードに対しては奇数モードで示される。小型アンテナの有する放射パターンは、低い次数αの球状ベクトル波モードで大きい係数Cαを有する自然的な特性を有する。よって、Nポートアンテナを通じてパターン/偏波利得を効果的に得るためには、N以上の次数αの球状ベクトル波モードを用いなければならない。
【0027】
数式2は、1〜16モードのとき、球状ベクトル波が原点中心に90°又は180°の値に回転されることによる特性を示している。これは、球状ベクトル波モードが回転されることで、別の球状ベクトル波モードに変換されるか、又は位相が変わることを示す。
【数2】

ここで、Aτσmnは既存の球状ベクトル波と同じく、A′τσmnは90°回転された球状ベクトル波と同じく、A″τσmnは180°回転された球状ベクトル波と同じく、偶数モードと奇数モードに対してそれぞれσ=e,σ=oのように示す。
【0028】
従来のパターン/偏波アンテナは、各単位アンテナの有する放射パターンの直交性を保持するために各単位アンテナが相異なる球状ベクトル波モードで放射するように設計された。しかし、数式2を通じて多数の球状ベクトル波モードで放射する単位アンテナが相異なる方向を有するように集積するため、同じ種類の単位アンテナを用いて放射パターンの直交性を保持するNポートパターン/偏波アンテナを設計し得ることが分かる。よって、優先的に小さい空間に集積し得、放射パターンの直交性を保持しつつ、集積の容易な小型単位アンテナ設計が必要である。かかる単位アンテナ設計は、チャンネル環境及び与えられるアンテナ空間に依存する。しかし、幾つの単位アンテナでNポートパターン/偏波アンテナを設計するかによって、以下のように示すことができる。
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係るNポートパターン/偏波アンテナにおける単一単位アンテナの放射パターン球状ベクトル波モード分析図である。
【0030】
単一単位アンテナを用いてNポートパターン/偏波アンテナを構成する場合、数式2のような性質を用いて放射パターンの直交性を保持するために、単位アンテナは偶数モードと奇数モードに均等に分布される放射パターンを有する特徴を有しなければならない。奇数モードの係数値と偶数モードの係数値との相関関係を用いてN個の単位アンテナが相異なる方向を向くように集積するため、小さな相関度を有するNポートアンテナを構成し得る。
【0031】
図2A及び図2Bは、本発明の実施形態に係るNポートパターン/偏波アンテナにおける2種の単位アンテナの放射パターン球状ベクトル波モード分析図であって、図2AのCαは種類1の単位アンテナであり、図2BのCαは種類2の単位アンテナである。
【0032】
2種の単位アンテナでNポートパターン/偏波アンテナを構成する場合、単位アンテナは電場単位アンテナと磁場単位アンテナとに分けることができる。電場アンテナは偶数モードに分布する放射パターンを有するアンテナであり、磁場アンテナは奇数モードに分布する放射パターンを有するアンテナである。かかる電場単位アンテナと磁場単位アンテナとが異なる方向を向くように集積するため、小さな相関度を有するNポートアンテナを構成し得る。
【0033】
図3A図3B及び図3Cは、本発明の実施形態に係るNポートパターン/偏波アンテナにおける多重の単位アンテナの放射パターン球状ベクトル波モード分析図であって、図3AのCαは種類1の単位アンテナであり、図3BのCαは種類2の単位アンテナであり、図3CのCαは種類3の単位アンテナである。
【0034】
多重の単位アンテナを用いてNポートパターン/偏波アンテナを設計する場合、モードの次数に比例して放射パターンの指向性が高くなる傾向にある。これを用いて広いビーム幅を有する放射パターンを有する単位アンテナと一定の方向に高い指向性の放射パターンを有する単位アンテナとが隣接して集積するため、放射パターンが重なる構造であるにも拘らず、放射パターンの相関度の低いパターン/偏波アンテナを構成し得る。図3A図3B及び図3Cの例示の如く、3種の単位アンテナを用いてNポートパターン/偏波アンテナを説明するとき、nが1日である場合、アンテナはモード1からモード6まで用い、nが2日である場合、アンテナはモード7からモード16まで用い、nが3日である場合、アンテナはモード17からモード32まで用いることができる。ここで、単位アンテナCαは単位アンテナCαよりもビーム幅が更に狭く、単位アンテナCαは単位アンテナCαよりもビーム幅が更に狭い。
【0035】
図4は、本発明の実施形態に係るNポートパターン/偏波アンテナ装置の4−ポート平面アンテナで具現した例である。
【0036】
それに示したように、実施形態によれば、基板101上に偶数モードに分布する放射パターンを有する電場アンテナ103、105と、奇数モードに分布する放射パターンを有する磁場アンテナ107、109とが相異なる方向を向くように集積し得る。実施形態によって、電場アンテナ103、105はパッチアンテナで具現し、磁場アンテナ107、109はスロットアンテナで具現し得る。
【0037】
図5A及び図5Bは、本発明の実施形態に係るNポートパターン/偏波アンテナ装置の16−ポートアンテナで具現した例であって、図5Aは幾つかの四角形平面アンテナ201を配列して多面体アンテナ203で具現した例であり、図5Bは平面アンテナ201の背面に形成されたアンテナを示したものである。
【0038】
それに示したように、実施形態によれば、複数個が配列され、多面体アンテナ203を構成する四角形平面アンテナ201は多種の単位アンテナ205、207、209、211が前面又は背面に形成され得る。例えば、スロット形態の単位アンテナ205は帯状の単位アンテナ207よりも更に広いビーム幅を有する放射パターンを有し、これに隣接した帯状の単位アンテナ207はスロット形状の単位アンテナ205よりも一定の方向に更に高い指向性の放射パターンを有し得る。
【0039】
ここで、図5Aには、幾つかの四角形平面アンテナ201を左右方向に配列して多面体アンテナ203を具現した場合を例示したが、これらの四角形平面アンテナ201を上下方向や対角線方向などのように異なる方向に配列して多面体アンテナ203を具現することもできる。
【0040】
本発明の実施形態に係るNポートパターン/偏波アンテナは、与えられたチャンネル環境及び通信システムに応じて配列構造に拡張し得る。Nポートパターン/偏波アンテナの配列構造は以下のような特徴を有する。2次元又は3次元の形態を有するNポートパターン/偏波アンテナを一定の間隔をあけて1次元、2次元及び3次元に拡張し得る。方位角(azimuth)の角度だけでなく、高度(elevation)の角度に関する特徴を含むチャンネル環境に応じてNポートパターン/偏波アンテナ及び配列構造の形態が決定される。よって、従来のMIMOが効果的に得られない利得を、多様な放射パターンで構成されたアンテナ配列構造によって得られる。特に3次元に拡張されたN次元パターン/偏波アンテナが拡張された形態の配列構造はx、y、z方向に何れも分散及び反射が多く起こる環境に適合しており、与えられたアンテナ空間に比べた上界値に近い高い伝送容量が得られる。
【0041】
本発明の実施形態によれば、Nポートパターン/偏波アンテナで構成された集積構造を用いてビームを形成し得る。そのための集積構造は、Nポートパターン/偏波アンテナで構成され、Nポートパターン/偏波アンテナは相互間の距離が半波長以下である。相互間の物理的な距離が半波長以下であるものの、アンテナごとにパターン/偏波特性が異なるため、互いに異なるチャンネル特性を示すようになる。よって、1つの集積構造内に位置したNポートパターン/偏波を用いてビームを形成して信号を送受信し得る。
【0042】
先ず、1つの集積構造内に位置したNポートパターン/偏波アンテナを何れも用いてビームを形成し得る。集積構造内に位置したNポートアンテナは数式3のようになる。
【数3】

ここで、1〜NはNポートアンテナをそれぞれ示し、Nは任意の自然数である。
【0043】
図6は、本発明の実施形態によって集積構造内のNポートパターン/偏波アンテナを用いた単一ビームの形成方案を示したビームフォーミング状態図である。
【0044】
それに示したように、Nポートパターン/偏波アンテナを何れも用いて1つのビームフォーミング重み付け設定値(beam forming weightset)を適用することで、1つのビームを作ることができる。これは数式4のようになる。
【数4】

ここで、Wはn番目のアンテナaに該当するビームフォーミング重み付けを示す。
【0045】
図7は、本発明の実施形態によって集積構造内のNポートパターン/偏波アンテナのビームフォーミング重み付け設定値を用いた多重ビームの形成方案を示したビームフォーミング状態図である。
【0046】
それに示したように、ビームフォーミング重み付け設定値を複数形成した後、重ね合わせの原理(superposition)を通じて、Nポートパターン/偏波アンテナを何れも用いつつ、複数個のビームを形成し得る。これは数式5のようになる。
【数5】

ここで、Wはk番目のビームフォーミング重み付け設定値を示す。また、Wk,nはk番目のビームフォーミング重み付け設定値のうちアンテナaに該当するビームフォーミング重み付けを示す。
【0047】
本発明の実施形態によれば、1つの集積構造内に位置したNポートパターン/偏波アンテナのうち一部を選択してビームを形成し得る。このとき、チャンネル状況に応じて選択する場合、パターン/偏波アンテナ特性を考慮して選択する場合、通信相手のアンテナ特性を考慮して選択する場合などを何れも含む。ここで、Nポートパターン/偏波アンテナのうち一部を選択して1つのビームフォーミング重み付け設定値を適用することで、1つのビームを形成し得る。その他、ビームフォーミング重み付け設定値を複数個形成した後、各設定値ごとに互いに異なるNポートパターン/偏波アンテナのうち一部を選択して重ね合わせることで、複数個のビームを形成し得る。
【0048】
図8は、本発明の実施形態によって集積構造のNポートパターン/偏波アンテナとM個の配列構造とを用いた多重ビームの形成方案を示したビームフォーミング状態図である。
【0049】
それに示したように、Nポートパターン/偏波アンテナで構成された集積構造と、該集積構造がM個配列されている配列構造とを用いてビームを形成し得る。Nポートパターン/偏波アンテナの集積構造を一定の間隔をあけて配列することで1次元の線形、2次元の平面形、3次元の立体形などの多様な方式の配列構造を何れも含む。
【0050】
集積構造を用いて配列構造を形成するにあたって、配列構造をなす各集積構造は同じ集積構造で構成され得る。つまり、特定な集積構造を1つのモジュールとして、これを一定の間隔で配置した配列構造を指す。
【0051】
各集積構造には、Nポートパターン/偏波アンテナが配置されており、M個の同じ集積構造が特定の形態の配列を成し得る。これは数式6のようになる。
【数6】

ここで、aは配列構造のm番目に位置した集積構造mを示し、m番目の集積構造a内に位置したNポートパターン/偏波アンテナはそれぞれa,…,a,…,aで示すことができる。
【0052】
実施形態によって、配列構造をなす各集積構造で同じ特性を有するパターン/偏波アンテナ同士にビームフォーミング群を作ってビームを形成し得る。つまり、(a=[a,…,a,…,aのように配列構造をなす集積構造(1〜M)の各々で同じパターン/偏波特性を有するアンテナnを選んで1つのビームフォーミングアンテナ群として纏めることができる。よって、同じ特性のパターン/偏波アンテナを用いた総N個のビームフォーミングアンテナ群を用いたビームを形成し得る。かかる状況下で総N個のビームフォーミングアンテナ群を何れも用いるビーム形成方案を通じて集積構造のNポートパターン/偏波アンテナとM個の配列構造を何れも用いたビームを形成し得る。これは数式7のようになる。
【数7】

ここで、Bは各集積構造でn番目のパターン/偏波アンテナを用いて形成したビームを示し、aは各集積構造でn番目のパターン/偏波アンテナからなるビームフォーミングアンテナ群を示し、a=[a,…,a,…,aである。また、Vはn番目のビームフォーミングアンテナ群に該当するビームフォーミング重み付けベクトルを示し、Vはm番目の配列構造のn番目のパターン/偏波アンテナに該当するビームフォーミング重み付けである。
【0053】
本発明の実施形態によれば、ビームフォーミングアンテナ群[a,…,a,…,a]のうち一部のアンテナのみを用いてビームを形成する場合と総N個のビームフォーミング群のうち一部の群のみを用いてビームを形成する場合、又はその両方の場合が複合されて、ビームフォーミング群のうち一部の群のみを用いつつ、当該群のうち一部のアンテナのみを用いてビームを形成し得る。
【0054】
各集積構造ではNポートパターン/偏波アンテナが配置されており、M個の同じ集積構造が特定の形態の配列構造を成している。ここで、上述の[a,…,a,…,a]のように同じ特性のパターン/偏波アンテナをビームフォーミングアンテナ群として設定する場合だけでなく、互いに異なる特性のパターン/偏波アンテナをビームフォーミング群として設定してビームを形成し得る。例えば、[a,…,a,…,a]のように1つのアンテナをp番目のパターン/偏波アンテナに変更してビームフォーミング群を設定するか、[a,…,a,…,a]のように多様なパターン/偏波アンテナをビームフォーミング群として設定してビームを形成し得る。
【0055】
本発明の実施形態によれば、互いに異なる特性を有する多様なパターン/偏波アンテナをビームフォーミング群として設定してビームを形成するとき、配列構造をなす全てのM個の集積構造とその集積構造をなすNポートパターン/偏波アンテナを何れも用いてビームを形成し得る。
【0056】
配列構造をなす各集積構造は互いに異なる形態を有し得る。例えば、n番目の集積構造は総N個のパターン/偏波アンテナからなるか、N’番目の集積構造は総N’個のパターン/偏波アンテナからなり得る。N個のパターン/偏波アンテナとN’個のパターン/偏波アンテナは一方が他方の部分集合となる場合、一部のアンテナのみを積集合として有する場合、全く異なるパターン/偏波アンテナからなる場合などの全ての場合を含む。
【0057】
以上の説明は本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎないので、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性で逸脱しない範囲内で多様な修正及び変形が可能であろう。従って、本発明に開示された実施形態は本発明の技術思想を限定するためのものでなく、単に説明の便宜のためであり、この実施形態によって、本発明の技術思想の範囲が限定されない。従って、本発明の保護範囲は別紙の特許請求の範囲によって解釈されなければならないし、それと同等な範囲内である全ての技術思想は本発明の権利範囲に含まれると理解されなければならない。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8