【文献】
澤田 拓也 TAKUYA SAWADA,実践入門ネットワーク 実践 SIP詳解テキスト 第1版 Session Initiation Protocol,株式会社リックテレコム 土岡 正純,2007年 4月25日,第1版,p.51-53
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つの識別子は、前記移動通信ネットワークを通じて前記デバイスに送る接続メッセージの情報エレメントのフィールドに含まれている請求項1又は2に記載のデバイス。
前記接続メッセージは、前記音声通話が取られると送られ、前記デバイスに、呼び出された前記電話番号が前記音声通話を受け付けたことを通知する請求項3に記載のデバイス。
前記接続メッセージは、呼び出された前記電話番号に関連付けられている移動端末が警告されており、かつ、それぞれのユーザに、入ってきた通話をシグナリングしていることを示す警告メッセージである、請求項3に記載のデバイス。
前記移動ネットワークオペレータの前記少なくとも1つの識別子に基づいて電話番号への発呼を妨げる手段をさらに備える請求項1から13のいずれか一項に記載のデバイス。
前記電話番号を手動で入力する手段と、前記入力された電話番号と前記少なくとも1つの識別子とを前記デバイスのメモリ領域に格納する手段とをさらに備える請求項1から14のいずれか一項に記載のデバイス。
前記自身の接続メッセージは、前記異なる音声通話が前記デバイスにより取られると送られ、前記移動通信ネットワークに、前記異なる音声通話が受け付けられたことを通知する請求項16に記載のデバイス。
前記自身の接続メッセージは、前記デバイスに警告が出ており、前記デバイスがそれぞれのユーザに、入ってきた前記異なる音声通話をシグナリングしていることを示す警告メッセージである、請求項16に記載のデバイス。
前記自身の移動ネットワークオペレータ識別子は、前記移動ネットワークオペレータのMNC番号(移動ネットワークコード番号)および前記移動ネットワークオペレータのMCC番号(移動国コード番号)のうち少なくとも1つを含む請求項16から18のいずれか一項に記載のデバイス。
【背景技術】
【0002】
「デュアルSIM」(デュアルサブスクライバIDモジュール)電話機(つまり、2枚のSIMカードを搭載することのできる電話機のこと)は、近年商用化が進んでいる。このデバイスを利用すると、ユーザは、単一の電話デバイスで2つ以上の番号を所有することができる(例えば、一つを仕事用にして、一つを私用に利用するといったことが可能となる)。
【0003】
最終利用者の観点からは、デュアルSIM電話機は、2枚のSIMカードに関連付けられている電話番号両方で受信することができ、発信においても、同じ電話機を利用して2枚のSIMカードのいずれかを利用することで、同様のことが可能となる。
【0004】
デュアルSIM電話機のユーザは、さらに、時として最低電話料のSIMカードを選択することもできる。実際のところ、発信側と受信側とが同じ移動ネットワークオペレータに属している通話のほうが、それぞれ異なる移動ネットワークオペレータに属している電話番号同士の通話よりも安いことが多い。
【0005】
デュアルSIM電話機のユーザにとっては、呼び出す電話番号と同じネットワークオペレータに属しているSIMカード(利用可能な場合には)から発信する、または、最も安い接続料金を提示しているオペレータに属しているSIMカードから発信すると好適である。このことを念頭において、デュアルSIM電話機はユーザに、いくつも台数を持たなくても1つの電話機だけで、それぞれ異なるオペレータに属す2以上の電話番号をを利用することを可能としている。
【0006】
デュアルSIMまたはマルチSIM電話機の幾つかの例は、国際特許第9941921号パンフレット、米国特許出願第2003125073号明細書、および、イギリス特許2439370号明細書に記載されている。これら特許文献に記載されているデバイスは、幾つかのSIMを同時に収容することができ、発呼および受呼が可能である。しかしこれらデバイスは、発呼するときに利用するSIMカードをユーザによる手動で選択する必要があり、電話をかける際に長い準備時間がかかり簡便性に欠けるという欠点を有している。
【0007】
この欠点を解決するために、国際特許第2007115545号パンフレットは、複数のSIMカードを収容可能な電話機を記載しており、これらSIMカードは全て同時にアクティブすることができ、発呼する際には、呼び出す番号のダイヤルコードに基づいて最も安価なSIMカードを自動選択することができる。この国際特許第2007115545号パンフレットが提唱する方法は効果的ではあるが、最も好ましいSIMカードが、呼び出そうとしている番号に対して利用可能かが不確定である、という欠点がある。実際、ユーザが移動ネットワークオペレータを変更するとき、いわゆる番号ポータビリティを利用して今の電話番号を維持することができるので、あるオペレータについて最も料金が安いと判断したSIMカードの自動選択が誤っている場合もある。
【0008】
電話番号ポータビリティの制度を考慮した文献として、国際特許第2004073328号パンフレットは、各電話番号に移動ネットワークオペレータに関する情報を関連付けたデータベースを電話機に備えさせるという構想を開示している。発呼する際に利用されるSIMの選択は、発呼前にデータベースの電話番号検索結果に基づいて行われる。
【0009】
国際特許第2004073328号パンフレットが提唱する解決法では、データベースは、要求されている情報を電話機に送信する(例えばGPRS、SMS、IP等を介して)遠隔サーバに接続することで更新される。
【0010】
しかしこの解決法には、遠隔サーバが大量の電話番号を格納しておかねばならず(極端な例では世界中のすべての電話番号の格納が必要である)、頻繁に更新が必要であり、大量の電話からの更新要求に同時に応えていかねばならないという大きな欠点がある。
【0011】
これは、このような大きなデータベースにおける電話機が要求する情報を探すのに時間がかかることから、中央データベースを管理することが難しく、且つ、長い更新時間がかかることを示唆している。
【0012】
加えて、このような更新システムには、無線リソース等のネットワークリソースの利用が必要となり、ネットワークユーザ間の通信を、この分を差し引いて考える必要がある。
【0013】
さらには、これまで述べてきた全ての場合において、利用するSIMカードの選択は、コストの観点からのみ考えられていたが、これでは、移動端末が、呼び出される番号の位置しているエリアをカバーしていないオペレータに関連付けられているSIMカードを選択してしまうことも考えられ、こうなると、効率的な選択ではない場合もある。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、移動通信ネットワークで情報を送信および受信することのできる通信デバイスを示す。
【0034】
以下の記載では、移動通信ネットワークという用語は、ネットワークユーザが、移動中であってもネットワークがカバーするポイントに静止している間であっても、ネットワークの様々なポイントにアクセスすることができ、他のユーザと(例えば通話またはデータ交換により)通信することができるデバイスを持っているような通信ネットワークのことを示す。
【0035】
このように定義した移動通信ネットワークで情報を受信および送信することのできる通信デバイスは、電話機、ノートブック、または、PDAといったネットワークにアクセスすることのできる任意のデバイスを含んでよい。
【0036】
図1では、通信デバイス100が、デバイス制御システムとして機能して、アンテナ104と接続されたレシーバ102およびトランスミッタ103と通信するプロセッサ101を含んでいる。
【0037】
プロセッサ101は、ユーザインタフェースを提供する手段105にも動作可能に接続されており(つまり、デバイスとユーザとの間の相互作用を実現する)、例えばこの手段はキーパッド106およびグラフィックディスプレイ107を含む。
【0038】
もちろん、タッチスクリーンまたはジョイスティックといった
図1に不図示の別の手段が追加されていてもよい。
【0039】
デバイス100は、参照番号108および109で示される2枚の電子カードを含んでおり、これら2枚の電子カードは、通信ネットワークでユーザを認証する際に必要となる情報を含んでいる。これら2枚の電子カードは、例えばSIM(サブスクライバIDモバイル)カードまたはUSIMカード(SIMに類似しているがUMTS用である)であってよい。
【0040】
説明の便宜上、以下では非制限的な例としてSIMを用いて説明する。
【0041】
プロセッサ101は、SIMカード108および109に含まれている情報、および、デバイスの他のメモリ領域110にアクセスして、ネットワークに対してアクセスして発呼または受呼を試みる。
【0042】
特にSIM内では、プロセッサはIMSI番号を取得して、これは、
図2を参照して後述するように、ネットワーク内のデバイスを認証する際に必要となる。
【0043】
イムズィ:IMSI番号は、例えばETSI GSM(登録商標)03.03規格および後のバージョンである3GPP23.003規格(「番号、アドレス指定およびID」−セクション2)により定義されており、移動通信ネットワーク内の各サブスクライバを一意に識別することができる。
【0044】
IMSI番号は、SIM(シム:サブスクライバIDモジュール)カードと関連付けられており、カードと一緒に移動することができる。
【0045】
IMSI番号は、
図2の参照番号200で示されているが、15より少ない可変桁数を含む。
【0046】
図2では、IMSI番号で、3つの部分を特定することができる(つまり、3桁を含むMCC番号(番号201が示す「移動国コード」)、2または3桁を含むMNC番号(番号202が示す「移動ネットワークコード」)、10桁まで含むことができる、番号203が示すMSIN番号(「移動サブスクライバ識別番号」))。
【0047】
特にMCC番号は、SIMカードが登録されている国を特定しており、MNC番号は、SIMカードに関連付けられている特定の移動電話オペレータのネットワークを特定しており、MSIN番号は、MCCおよびMNC番号の特定の組み合わせを有するSIMに一意に関連付けられている。SIMカードに関連付けられているIMSI番号の一例の詳細を以下に示す。MCC−移動国コード:222 MNC−移動ネットワークコード:01 MSIN−移動サブスクライバ識別番号:4451999
【0048】
構成が(MCC+MNC+MSIN)であるIMSI番号は、各ユーザに一意であり、移動ネットワークの経路で正しく特定することができる。移動ネットワークユーザに関する全ての情報がIMSI番号により取得され、主に、移動ネットワークのユーザの認証、電話料金の支払いに利用される。
【0049】
SIM108および109内では、または、メモリ領域110内では、プロセッサはさらに、ユーザが(電話帳等に)セーブしている一部の電話番号または製造段階で予め登録された緊急連絡先番号(警察の番号等)を見つけることができる。電話番号は予め定義された構造を有する。
【0050】
図3は、MSISDN(「移動サブスクライバISDN」)番号の構造を示しており、これはETSI規制によると、各移動ネットワークユーザに関する電話番号である。
【0051】
MSISDN番号は、参照番号300で示されており、CC番号(参照番号301が示す「国コード」)、NDC番号(参照番号302が示す「国指定コード(national destination code)」)、および、SN番号(参照番号303が示す「サブスクライバ番号」)という3つの部分からなり、MSISDN番号の長さは可変であり、ダイヤルコードを除く15桁までを含むことができる。
【0052】
例えば、SIMカードに関連付けられているMSISDN番号(つまり電話番号)の一例の詳細を以下に示す。国コード:39 国指定コード:335 サブスクライバ番号:7699792
【0053】
国コードの前のダイヤルコードは、国によって異なり、例えばイタリアでは00であり、ロシアでは810である、といった具合である。
【0054】
番号ポータビリティ(例えばETSI規格で定義されている)は、移動ネットワークのユーザがIMSI番号を変更して同じ国の移動ネットワークオペレータを変更した場合でも、元のMSISDN番号(つまり同じ電話番号)を維持することができる、という制度である。
【0055】
特に、GSM(登録商標)/UMTSネットワークでは、番号ポータビリティを利用すると、ユーザは、新たな移動ネットワークオペレータから、元のMSISDN番号(古い電話番号)と、新しいIMSIとを含む新たなSIMカードを取得することができる。番号ポータビリティは、数多くの国に導入済みであり、様々な移動ネットワークオペレータ間の競合が促進されている。他方で、MSISDN番号のみが既知である場合、番号ポータビリティによって、ある電話番号の移動ネットワークオペレータに確実に戻ることができなくなっている。しかし、呼び出される番号の移動ネットワークオペレータが分かると、1つの電話機でデュアルSIMまたはマルチSIM移動端末を自由に利用するユーザにとって非常に便利である。
【0056】
実際、デュアルSIMまたはマルチSIM端末の利用者は、利用できるもののなかから特定のSIMを選択して発呼することができれば便利であるが、この選択の可否は、主に、受呼側の移動ネットワークオペレータに関する情報に依存している。
【0057】
以下の記載は、呼び出される番号の移動ネットワークオペレータに関する信頼性のある情報を効果的に取得する方法およびシステムを示す。
【0058】
この方法によると、呼び出される番号のオペレータに関する情報を、呼び出されるユーザに直接送信する。
【0059】
具体的には、音声通話を受けるときに、呼び出されるユーザが、この情報を、例えばFACCH(Fast Associated Control Channel:高速関連付け制御チャネル)等の呼を構築するユーザ専用の制御チャネルで送信される「CC接続」タイプメッセージ等の接続メッセージに含めて送信する。
【0060】
図4は、音声通話を構築している2つの移動端末11および13(特に携帯電話機)の間の情報の流れの一例を示す。
【0061】
図4の例では、2つの異なる移動通信ネットワークに2つの移動端末11および13が登録されており、それぞれアクセスネットワークが参照番号12および14で特定されている。
【0062】
特に、各移動端末は、アクセスネットワークの無線基地局と無線で通信する。
【0063】
通信ネットワークは、それぞれの規格が定義するGSM(登録商標)またはUMTSまたはLTEまたはWiMaxネットワークであってよいが、これに関しては詳述を避ける。
【0064】
図4の例では、移動端末11が移動端末13に発呼する。
【0065】
このために、規格によって異なる幾つかのプロシージャが実行されて、ネットワークに、移動端末が利用可能な呼を行うために必要なネットワークリソースを生成させ、同時に、呼び出される電話番号が特定する端末13を見つけて接続させる。
【0066】
例えば移動端末11が「アイドル」モードにあり、既に移動ネットワークで認証が済んでいる場合には、端末で電話番号をダイヤルして、呼び出しキーを押すと、ネットワークに、呼を行う意思が伝えられる。
【0067】
こうしてネットワークリソース割り当てプロシージャが始まり、これは通常RR(「無線リソース」)接続プロシージャと称され、この最後に、ネットワークが無線リソース(例えば周波数、タイムスロット等)を割り当てて、通信で利用する暗号モードを設定して、無線チャネルで送信される情報を保護する。
【0068】
このRR接続プロシージャで行われる情報の交換は、
図4では参照番号21でその概略が示されている。
【0069】
RR接続プロシージャ1が首尾よく完了すると、実際の呼び出しセットアップ・ステップを開始して(これは、「呼び出し制御」(CC)プロシージャに含まれている)、CCプロシージャの最後に、発呼側端末11と受呼側端末13とを接続させて、発呼側ユーザと受呼側ユーザとが会話することができるようになる。CCプロシージャ中に、多くの情報22が発呼側端末11とそのネットワーク12との間で交換され、多くの情報23が、受呼側端末13とそのネットワーク14との間で交換される。
【0070】
特に、受呼側端末13は、移動ネットワーク14にCC接続メッセージ31を送信する。
【0071】
この接続メッセージ31は、呼び出しをセットアップするときに(つまり、受呼側端末がネットワークと通信する接続プロシージャのいずれかの間に(発話側端末からの呼び出しの後であって、受呼側端末と発呼側端末との間の音声通信確立の前に))、受呼側端末により生成、送信される。
【0072】
1つの実施形態では、メッセージ31は、受呼側端末13が、呼を受け取るときに(つまり、受呼側端末のユーザが受呼側端末13の返答キーを押したとき)、生成、送信される。
【0073】
1つの実施形態では、接続メッセージ31は、好適には、ネットワークに、受呼側のユーザが呼を受け付ける意向があることを通知するために利用される、「端末接続」メッセージである。
【0074】
または、接続メッセージ31は、受呼側の移動端末によりネットワークに対して、受呼側端末が警告を受けており、そのユーザに対して入ってきた呼を信号で知らせるために(例えば呼び出し音または振動により)送信される警告メッセージであってもよい。
【0075】
そしてネットワーク14はネットワーク12と通信して、発呼端末11に、メッセージ31に応じた第2のC接続メッセージ32を送信する。
【0076】
第2の接続メッセージ32は、移動ネットワーク12により発呼側端末11に送信されて、受呼側のユーザ13が呼を受け付けたこと(接続メッセージ31が「端末接続」メッセージである場合)、または、受呼側端末に接続したこと(接続メッセージが警告メッセージである場合)を通知する。
【0077】
好適な解決法においては、CC接続メッセージ31および32は、呼び出される電話番号が属しているネットワークのオペレータを識別する少なくとも1つの共通の情報を有している。
【0078】
この目的達成のために利用可能な接続メッセージの一部の例は、3GPP TS24.008仕様、セクション9.3.5に示されている「CC接続」、または、同仕様のセクション9.3.1に含まれている「CC警告」である。この場合、接続メッセージ31および32は、両方とも複数の情報エレメント(IE)から形成されている。
【0079】
特に、「CC接続」メッセージおよび「CC警告」メッセージ両方に含まれている情報エレメントは、ユーザ−ユーザと称されているものであり、これは規格によるとメッセージ31および32両方に存在している。
【0080】
これら情報エレメントは、端末13から端末11に、
図4の破線が示す経路41を辿って伝えられる。
【0081】
ユーザ−ユーザの情報エレメント42は、好適には3から131バイトの可変長でありMNC番号を含んでよく、より好適には、呼び出される番号のMCC番号およびMNC番号を両方とも含んでいるとよい。
【0082】
端末13は、端末11が呼ぶ番号に関連付けられているSIMカードを発行したネットワークオペレータに関する情報を、音声通話に呼応してネットワークに送られる接続メッセージに入力する手段を含む。
【0083】
端末13は、必ずしもデュアルSIM電話でなくてもよいが、SIMカードに問い合わせをして、MNC(おそらくはMCCも)をIMSIから抽出する手段と、さらには、このMCS番号(おそらくはMCCも)を、上述した接続メッセージ(特に「CC接続」または「CC警告」メッセージに)に入力する手段(特にプロセッサが実行するコードの部分)とを含む。
【0084】
本発明の一実施形態では、CCプロシージャ中に、受呼側のユーザの電話機13が、自身のMCC番号および/またはMNC番号を、経路41送信されたユーザ−ユーザ情報エレメント42に自動入力する。
【0085】
MCC番号およびMNC番号は、適宜、受信端末が受信して理解することのできる予め定義されたフォーマットに暗号化されてよい、または、このようなフォーマットで表現されてよい。もちろん上述したように、端末13はMNC番号のみを入力してもよいが、以下の例では、端末13がMNCおよびMCCの両方を入力する。
【0086】
発呼側端末11はCC接続メッセージ32を受信して、MCC番号およびMNC番号を、受信したユーザ−ユーザエレメントから抽出して、これらを端末のメモリ領域に格納する。
【0087】
特に、MNC番号およびMCC番号は、電話機のメモリに格納されている呼び出される電話番号に関連付けられているが、この詳細に関しては
図5を参照して後述する。
【0088】
1つの実施形態では、プロセッサ101は直ぐにMNC番号およびMCC番号を分析して、予め決定されている基準に基づいて、呼を中断すべきか決定する(例えば、あるSIMカードでは、あるオペレータを呼び出すことはできない、と示す)。
【0089】
後で通話が確立されると、電話帳にセーブされている各電話連絡先(telephone contact)のMCC番号およびMNC番号(SIMカードに格納されている電話番号、および、移動端末に格納されている電話番号を含む)を、ユーザが対応するMSISDN番号(つまり電話番号)を呼び出すたびに、取得およびおそらくは更新することができる。
【0090】
この情報の送信は、発呼側の移動デバイスと受呼側の移動デバイスとの間で接続が構築されるたびに、いずれのユーザのコスト負担も伴わず、特にネットワークリソースの利用を伴わずに、行われる。
【0091】
図5は、CC接続メッセージにより取得される情報を格納するために利用するデータベースの例を示す。
【0092】
本記載においては、「データベース」という用語は、プロセッサの適切なコード命令により表のような構造内で論理的に互いに再結合することのできる情報を含む任意のメモリ領域のことを示している。
【0093】
この意味では、「データベースフィールド」という用語もメモリ領域を示しており、「データベースレコード」という用語は、適切なメモリ領域の間の命令および論理的な結合(1つのレコードの幾つかのフィールド)を表している。
【0094】
従って、「データベースの情報を検証する」とか「データベースのレコードを読み出す」といった表現は、一定のメモリ領域に順序に従ってアクセスする用途に適したコード命令を実行することを意味している。
【0095】
図5の例では、データベース500は、移動端末の電話帳に含まれている情報を収集して、上述したように、本発明では、デバイス100の1以上のメモリ領域(例えば、メモリ領域110に、または、SIMカード108および109に)に物理的に格納してよい。各データベースのレコード(または行)は、このようにして、電話連絡先(telephone contact)を特定するために有用な一連のフィールドを含む(例えばデータベースの累進数(progressive number)501(「位置」))。
【0096】
電話連絡先の「名」(502)、電話連絡先の「姓」(503)、「MSISDN」または「電話番号」(504)、電話連絡先の「会社」および「アドレス」(それぞれ参照番号505および506で指定される)が含まれている。
【0097】
データベース500はさらに、電話連絡先の電話番号のSIMを発行したオペレータのMCC番号を格納するフィールド507を含んでおり、さらに、このオペレータのMNC番号を格納するフィールド508も含んでいる。
【0098】
もちろん端末11が接続メッセージ32でMNCのみを受信した場合には、MNCフィールドのみを更新する。
【0099】
ここで、MNC番号(および、呼び出す番号が同じ国に属すか否かを確かめるために、おそらくはさらにMCC番号も)に関する情報を、情報メッセージのユーザ−ユーザフィールドによって取得すると、追加コストが必要なく、移動電話ネットワークのアーキテクチャおよび/またはプロトコルを変更する必要もない点は、言及に値する。
【0100】
さらに本発明によると、説明されたように取得されたMNC番号が、ユーザが呼び出したい電話番号に関連付けられていた場合、SIMの選択は、電話デバイスにより自動で行われる。
【0101】
選択は、ユーザがインタフェース手段105で設定することが望ましい、予め定められた基準に従って行われる。
【0102】
1つの実施形態では、この自動選択を実行するために、デバイス100のプロセッサ101がまず、受呼側のネットワークのMNC識別子に関連付けられている第1の変数N
iの値を計算してから、次に、これを、利用されるSIMカード(i=1…N)にそれぞれのMNC番号と比較する。
【0103】
この値はデバイスで予め定義されている。例えば、N
iは、発呼側端末および受呼側端末が同じネットワークオペレータに属しているとき(つまり同じMNCを有している場合)高い値となり、ユーザ同士がそれぞれ異なるオペレータに属しているとき(つまり異なるMNCを有しているとき)、または、受呼側のオペレータが分からない場合(MNCが利用不可能な場合)低い値となり、好適にN
iの値は0と1との間である。
【0104】
N
iの値を計算する際の基準は、(インタフェース手段105により)ユーザが各SIMカードに関する自身の好みと他のオペレータそれぞれに対する呼び出しとを組み合わせて、修正することができる(または、初回は、予め定義された基準が無い場合には入力してもよい)。
【0105】
好適には、これらの基準は、一定のカードで一定のオペレータを呼び出す際の嗜好を直感的に評価することで表されてもよい(例えば、各カードおよび呼び出す各オペレータについて0と5の間の範囲の「星」の可変値を特定することで)。
【0106】
この解決法では、SIMカードそれぞれについてユーザが分かっている、特定の既存の契約条件を考慮に入れることができるようになる。
【0107】
好適には、デバイス100のプロセッサ101が、SIMカードのそれぞれについて通信デバイスが受信する信号の品質に関する第2の変数R
iの値を計算する(i=1…N)。
【0108】
公知であるが、「アイドル」モードにおいても、デバイスは、「ページングチャネル」をリッスンして、呼に応えたり、ネットワークの信号対雑音比(S/N)またはRSSI(「受信信号強度指標」)を計算することでネットワークが必要とするネットワーク仕様(GSM(登録商標)、UMTS、HSDPA等)に従って、信号の品質を推定したりすることができるようにする。
【0109】
RSSIは、好適には、予め定められたチャネル(例えばGSM(登録商標)のブロードキャストチャネルまたはUMTSのパイロットチャネル)で受信した一定の数の信号のサンプルの平均値として計算されるとよい。
【0110】
このように、RSSIは予め定められたチャネルで計測された信号の強度に関するものである。
【0111】
デュアルSIMまたはマルチSIM電話機は、「アイドル」モードにあっても、SIMカードに関連付けられている移動ネットワークのそれぞれのRSSIを検査することで、R
iの値を計算することができ、これは、例えばRSSIが良好であると高い値となり、RSSIが不良であると低い値を呈し、好ましくはR
iの値は0と1との間であるとよい。
【0112】
代替例として、R
iがRSSI計測値と整合してもよい。
【0113】
1つの実施形態では、SIMカードの選択が、端末が計測するチャネルの品質に基づいて行われてもよい。
【0114】
例えば、選択されたSIMカードが、最高のR
iを有してよい。
【0115】
本発明の1つの実施形態によると、最も好適なSIMの自動選択は、電話機のSIMカード(i=1…N)それぞれについて、変数N
iおよびR
iの関数F
i=a
1N
i+a
2R
iを評価することで行われる。
【0116】
係数a
1およびa
2は、ユーザの嗜好により定義され、受呼側の移動ネットワークの識別子に関連付けられた変数に、または、信号の品質に、多少の重みを与える。このようにしてユーザは、最高の信号品質を提供するSIMを使ってクリアな呼を利用するか、最小料金のSIMを使ってお金を節約するか、を信号で知らせることができる。好適な解決法においては、パラメータa
1およびa
2の合計が1であり、ユーザはスクロールバーにより(タッチスクリーンに表示されている)、信号品質またはコストといったどの側面に優先度を与えるかを選択し、同時に、バーで全ての中間位置を選択することができる。
【0117】
バーの位置によって、プロセッサ101は、a
1およびa
2の選択値を決定し、これらの選択値は移動端末100のメモリ領域に適宜格納される。
【0118】
呼を行うべきとき、プロセッサ101は、SIMカード(i=1…N)のそれぞれのF
iの関数を計算して、最高値のFiが得られるSIMカードを選択する。
【0119】
例えば、本発明の一実施形態におけるデュアルSIM電話デバイスは、内部の2枚のSIMカードを収容しているが、先ず、第1のカードに関する変数値(N
1およびR
1)を決定して、次に第2のカードに関する変数値(N
2およびR
2)を決定して、パラメータa
1およびa
2の値が分かったところで、SIMカード両方に関する関数F
1およびF
2の値を計算する。この時点では、F
1>F
2である場合、第1のSIMカードを発呼に利用して、F
1<F
2である場合には、第2のSIMカードを選択する。
【0120】
この方法は、2を越える数のSIMカードにも適用可能である。
【0121】
最後に、CC接続メッセージを受信するときには、受呼側のデバイスのMNC番号が変更されたかを検証して、この情報を更新して格納する。この時点では、この変更を発呼側のユーザに通知するであろうし、これにより、ユーザが、呼を切るか、自動停止するか、F
iの値を更新された情報に基づいて再計算するか、を行うだろう。
【0122】
当業者であれば、本発明の保護範囲を逸脱することなく、請求項に示されているような数多くの変更が本発明には可能であることを理解する。
【0123】
例えば、ユーザ−ユーザの情報エレメントにより送信された、受呼側のデバイスの移動ネットワークオペレータの識別子は、MNC番号と異なり、例えば任意のタイプの符号法に従って符号化された英数字文字列からなることが明らかである。いずれにしても、MNC番号及びこれに組み合わせられたその他のコードの利用は、ETSI規格に認められているので、好ましいと思われる。
【0124】
さらに、受呼側のデバイスのネットワーク識別子(例えばMNC番号)が、電話機のメモリ内に利用可能ではない場合、選択を、RSSIのみの評価に基づいて行うことができる(つまり、変数値N
i=0に固定することで)。または、オペレータが番号ポータビリティを利用して変更されていない場合、呼び出される番号の移動ネットワークオペレータのよい指標である電話ダイヤルコード(つまりMSISDN番号のNDC番号)に基づいて、N
iの値を決定することもできる。
【0125】
さらに、デバイスの各SIMカードについて、関数F
iのパラメータ(つまりa
1およびa
2)の値を変化させることもできる。このようにして、各SIMカードについて、異なる嗜好を表現することができるようになる(例えば、任意のオペレータのSIMカードが良好な信号受信品質を呈している場合には、受呼側の移動ネットワークの識別子に関連付けられているパラメータN
iに与えられるべき重みを大きくすることで、より良いコストを達成する)。
【0126】
さらに本発明は、デュアルSIMまたはマルチSIM通信デバイスへの用途に適してはいるが、これに限定はされない。
【0127】
例えば、シングルSIM通信デバイスであっても、任意の電話番号が属するネットワークオペレータに関する情報を含む、
図5に示す上述したようなタイプのデータベースを含むことができる。上述したような方法で取得、および、おそらくは更新ができるこのようなオペレータに関する情報は、呼を行うか行わないか、または、デバイスが、特定のオペレータ(例えばレートが特に好ましくなくはないオペレータ)に属する番号を呼び出そうとしていることをユーザに通知するかしないかを決定するために、通信デバイスのプロセッサが利用することができる。
【0128】
このような場合も、呼を行うか行わないかは、前述したタイプのパラメータN
iを計算することで決定することができる。N
iが一定の閾値より小さい場合には、呼は行わず上述したように警告を生成する。
【0129】
最後に、本発明の1つの変形例によると、電話帳から番号をロードするのではなく、ユーザが手動で電話番号を入力することにより発呼する場合、電話機は一時的に、呼び出した電話番号を記録しておいて、呼び出した番号が関連付けられているネットワークオペレータの識別子を受信したときにもそれを格納するようにすることができる。
【0130】
例えば1つの方法として、呼の最後に、発呼側の端末のディスプレイに表示を行って、呼び出したばかりであり、オペレータ識別子を呼に対する返信として受信した新たな電話連絡先情報(telephone contact)を入力して電話帳を更新させるようにするとよい。
【0131】
また代替例としては、電話帳を、ユーザに分かるように連絡先を生成するのではなく、自動的に更新させる方法もある。このようにすると、再度同じ電話番号にユーザが発呼すると、最良のSIMカードを選択させたり(デバイスがデュアルSIMまたはマルチSIM電話機である場合)、または、前述したように発呼を妨げたりすることができるようになる。
[項目1]
移動通信ネットワークで情報を受信および送信するデバイスであって、
電話番号に音声通話を行う手段と、
前記電話番号と、前記電話番号が属する移動ネットワークオペレータの少なくとも1つの識別子とを格納するメモリ領域と、
前記移動通信ネットワークにより前記少なくとも1つの識別子を取得する手段とを備え、
前記少なくとも1つの識別子を取得する手段は、前記音声通話をセットアップするときに自動的に送られるメッセージから前記少なくとも1つの識別子を抽出することを特徴とするデバイス。
[項目2]
前記識別子は、前記ネットワークが前記デバイスに送る接続メッセージの情報エレメントのフィールドに含まれている項目1に記載のデバイス。
[項目3]
前記接続メッセージは、前記音声通話が取られると送られ、前記デバイスに、呼び出された前記電話番号が前記通話を受け付けたことを通知する項目2に記載のデバイス。
[項目4]
前記接続メッセージは、呼び出された前記電話番号に関連付けられている移動端末に警告が出ており、前記移動端末がそれぞれのユーザに、入ってきた通話を呼び出し音または振動等によりシグナリングしていることを示す警告メッセージである、項目2に記載のデバイス。
[項目5]
前記識別子は、呼び出された前記電話番号のMNC(移動ネットワークコード)番号を含む項目1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
[項目6]
前記識別子は、前記呼び出された電話番号のMCC(移動国コード)番号をさらに含む項目5に記載のデバイス。
[項目7]
移動通信ネットワークのユーザを認証する情報を含む少なくとも2枚の電子カードと、前記少なくとも2枚の電子カードのうち1枚を自動選択する手段とを備える項目1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
[項目8]
前記自動選択する手段は、前記オペレータ識別子と予め定義された選択基準とに従って、前記1枚のカードを選択する項目7に記載のデバイス。
[項目9]
前記基準は、前記デバイスのユーザによる設定が可能である項目8に記載のデバイス。
[項目10]
前記基準は制御バーによる設定が可能である項目9に記載のデバイス。
[項目11]
前記自動選択する手段は、前記移動ネットワークから受信した信号の品質に従って前記1枚のカードを選択する項目7から10のいずれか一項に記載のデバイス。
[項目12]
前記自動選択する手段は、予め定められたチャネルで計測された信号の強度に従って前記1枚のカードを選択する項目11に記載のデバイス。
[項目13]
前記少なくとも1枚のカードは、Fi=a1Ni+a2Riの関数に従って選択され、Niは、前記識別子に関連付けられた変数であり、Riは、前記移動ネットワークの前記信号の前記品質に関連付けられた変数であり、a1およびa2は、前記ユーザが定義可能であると望ましい一定係数である項目11または12に記載のデバイス。
[項目14]
前記オペレータ識別子に基づいて電話番号への発呼を妨げる手段をさらに備える項目1から13のいずれか一項に記載のデバイス。
[項目15]
前記電話番号を手動で入力する手段と、前記入力された電話番号と前記識別子とを電話機の前記メモリ領域に格納する手段とをさらに備える項目1から14のいずれか一項に記載のデバイス。
[項目16]
移動通信ネットワークで情報を受信および送信するデバイスであって、
音声通話に応える手段と、
ネットワークオペレータ識別子および移動通信ネットワークにおいてユーザを認証するための情報を含む、1枚のSIMカード等の少なくとも1枚の電子カードとを備え、
前記音声通話をセットアップするときに前記識別子を接続メッセージに入力して前記接続メッセージを送信する手段を備えることを特徴とするデバイス。
[項目17]
前記接続メッセージは、前記音声通話が取られると送られ、前記ネットワークに、前記通話が受け付けられたことを通知する項目16に記載のデバイス。
[項目18]
前記接続メッセージは、前記デバイスに警告が出ており、前記デバイスがそれぞれのユーザに、入ってきた通話を呼び出し音または振動等によりシグナリングしていることを示す警告メッセージである、項目16に記載のデバイス。
[項目19]
前記識別子は、前記オペレータのMNC番号を含み、さらには、前記オペレータのMCC番号を含むと好適である項目16から18のいずれか一項に記載のデバイス。
[項目20]
移動通信ネットワークにおける通信方法であって、
電話番号に音声通話を行う段階と、
前記音声通話のセットアップ中に、前記電話番号が属する移動ネットワークオペレータの少なくとも1つの識別子を含むメッセージを受信する段階と、
前記識別子を格納して、前記識別子を呼び出された前記電話番号に関連付ける段階とを備える通信方法。
[項目21]
少なくとも2枚の電子カードから選択されたSIMカード等の電子カードを利用して、前記電話番号に第2の通話を行う段階をさらに備え、
前記電子カードは、移動通信ネットワークのユーザを認証する情報を含み、
前記カードは、前記識別子、ユーザが予め定義した基準、および前記第2の通話を行う前に受信された信号の計測された品質のうち少なくとも1つに従って選択される項目20に記載の通信方法。