特許第6160976号(P6160976)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6160976
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】平行撹拌翼
(51)【国際特許分類】
   B01F 7/18 20060101AFI20170703BHJP
【FI】
   B01F7/18 B
【請求項の数】16
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-2286(P2017-2286)
(22)【出願日】2017年1月11日
【審査請求日】2017年1月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516086107
【氏名又は名称】三広アステック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】石畑 敦啓
【審査官】 増田 健司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平4−235727(JP,A)
【文献】 特開2006−110472(JP,A)
【文献】 実開昭62−19300(JP,U)
【文献】 特開2013−059723(JP,A)
【文献】 特開昭61−143401(JP,A)
【文献】 実公昭39−24483(JP,Y1)
【文献】 特開平6−134274(JP,A)
【文献】 実開平3−38135(JP,U)
【文献】 特開昭59−16530(JP,A)
【文献】 特開2006−176874(JP,A)
【文献】 実用新案登録第3158760(JP,Y2)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0064523(US,A1)
【文献】 特開2010−58027(JP,A)
【文献】 特開2002−273188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 7/18
B01F 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の平坦面を有する第1の部材及び第2の平坦面を有する第2の部材を含み、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面が、回転軸を挟んで第1の間隔を空けて互いに対向した状態で、前記回転軸を中心として回転可能であり、
前記第1の部材の前記第1の平坦面と前記第2の部材の前記第2の平坦面との間が、前記第1の部材及び前記第2の部材の幅方向に開放されており、
前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面が、撹拌対象物に少なくとも部分的に浸漬され、前記回転軸を中心として回転されたときに、前記第1の平坦面と前記第2の平坦面の間に侵入した撹拌対象物が、遠心力によって前記回転軸から遠ざかる方向に吐出され、同時に、前記回転軸に沿った方向から撹拌対象物が前記第1の平坦面と前記第2の平坦面の間に吸い込まれる、撹拌翼。
【請求項2】
前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面は、一分間当たり10回転以上、200回転以下の回転速度で回転される、請求項1に記載の撹拌翼。
【請求項3】
前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面はそれぞれ、前記回転軸の方向に延びる細長い形状を有する、請求項1または請求項2に記載の撹拌翼。
【請求項4】
前記第1の部材及び前記第2の部材はそれぞれ、回転半径外側の面にパドル翼をさらに備える、請求項1〜の何れか一項に記載の撹拌翼。
【請求項5】
前記第1の部材は、前記第1の平坦面に対して垂直な第3の平坦面及び第4の平坦面をさらに有し、前記第3の平坦面及び前記第4の平坦面が、第2の間隔を空けて互いに対向して配置され、
前記第2の部材は、前記第2の平坦面に対して垂直な第5の平坦面及び第6の平坦面をさらに有し、前記第5の平坦面及び前記第6の平坦面が、前記第2の間隔を空けて互いに対向して配置される、請求項1〜の何れか一項に記載の撹拌翼。
【請求項6】
請求項1〜の何れか一項に記載の撹拌翼と、
前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面を前記回転軸を中心として回転させる回転駆動装置と
を含む撹拌装置。
【請求項7】
前記回転駆動装置は、モーターと、減速機とを含む、請求項に記載の撹拌装置。
【請求項8】
撹拌対象物を入れるための容器と、
前記撹拌翼を前記容器内の所望の高さに保持するための保持部材と
をさらに含む請求項または請求項に記載の撹拌装置。
【請求項9】
前記容器は、直径及び深さを有する円筒の形状を有し、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面は、同一の矩形の形状、前記回転軸の方向における同一の高さ、及び前記回転軸に直交する方向における同一の幅を有し、
前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面の前記幅が、前記容器の直径の20%以上、80%以下である、請求項に記載の撹拌装置。
【請求項10】
前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面の前記高さが、前記容器の前記深さの20%以上、80%以下である、請求項に記載の撹拌装置。
【請求項11】
前記第1の平坦面と前記第2の平坦面との間の前記第1の間隔が、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面の前記幅の20%以上、80%以下である、請求項または請求項10に記載の撹拌装置。
【請求項12】
前記容器は、正方形の水平断面、及び深さを有する正四角柱の形状を有し、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面は、同一の矩形の形状、前記回転軸の方向における同一の高さ、及び前記回転軸に直交する方向における同一の幅を有し、
前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面の前記幅が、前記容器の前記正方形の水平断面の一片の長さの20%以上、80%以下である、請求項に記載の撹拌装置。
【請求項13】
前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面の前記高さが、前記容器の前記深さの20%以上、80%以下である、請求項12に記載の撹拌装置。
【請求項14】
前記第1の平坦面と前記第2の平坦面との間の前記第1の間隔が、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面の前記幅の20%以上、80%以下である、請求項12または請求項13に記載の撹拌装置。
【請求項15】
撹拌対象物を撹拌する方法であって、
回転軸を挟んで第1の間隔を空けて互いに対向した状態に維持された第1の部材の第1の平坦面及び第2の部材の第2の平坦面を少なくとも部分的に撹拌対象物に浸漬させ、
前記回転軸を中心として前記第1の平坦面及び第2の平坦面を回転させること
を含み、
前記第1の部材の前記第1の平坦面と前記第2の部材の前記第2の平坦面との間が、前記第1の部材及び前記第2の部材の幅方向に開放されており、
前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面を回転させることは、前記第1の平坦面と前記第2の平坦面の間に侵入した撹拌対象物を、遠心力によって前記回転軸から遠ざかる方向に吐出し、同時に、前記回転軸に沿った方向から撹拌対象物を前記第1の平坦面と前記第2の平坦面の間に吸い込むことをさらに含む、方法。
【請求項16】
前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面は、一分間当たり10回転以上、200回転以下の回転速度で回転される、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撹拌翼及び撹拌装置に関し、特に、対向する2つの平坦面を有するシンプルな構造で効率の良い撹拌翼、及びかかる撹拌翼を備えた撹拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の撹拌翼の形状には、一般に、プロペラ型、パドル型、タービン型、コーン型などの様々なタイプがある。図9は、従来のパドル翼3を備えた撹拌装置1の一例を示している。また、特許文献1は、撹拌翼として従来の回転パドル2、3を備えた撹拌装置を開示している。しかしながら、従来の撹拌翼は、その形状が比較的複雑であることから、製造コストが高く、洗浄にも苦労することが多い。そのため、もっと低コストで製造できるシンプルな構造の撹拌翼が必要とされている。
【0003】
また、従来の撹拌翼は、比較的高速に回転されるように設計されているため(例えば、一分間当たり250〜1000回転程度)、例えばバイオ医薬品等の分野においては、撹拌対象物である微生物や生物の細胞のような生体材料に剪断や破壊が発生しやすいという問題がある。そのため、微生物や生物の細胞のような生体材料の剪断や破壊を最小限に抑えつつ、これらをやさしく撹拌することが可能な撹拌翼が必要とされている。
【0004】
さらに、従来の撹拌翼は、縦方向(回転軸方向)の寸法が短いため、液面の高さが変化すると、撹拌翼が液面からすぐに露出してしまい、十分な撹拌を行うことができないという問題がある。そのため、液面変化に対応できる撹拌翼が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−170202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一つの目的は、低コストで製造できるシンプルな構造の撹拌翼を提供することである。本発明の一つの目的は、撹拌対象物である微生物や生物の細胞のような生体材料の剪断や破壊を最小限に抑えつつ、これらをやさしく撹拌する撹拌翼を提供することである。本発明の一つの目的は、液面変化に対応する撹拌翼を提供することである。本発明の他の目的は、下記の詳細な説明から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、本発明は、第1の平坦面を有する第1の部材及び第2の平坦面を有する第2の部材を含み、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面が、回転軸を挟んで第1の間隔を空けて互いに対向した状態で、前記回転軸を中心として回転可能な撹拌翼を提供する。
【0008】
他の実施形態において、本発明は、前記撹拌翼と、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面を前記回転軸を中心として回転させる回転駆動装置とを含む撹拌装置を提供する。
【0009】
他の実施形態において、本発明は、撹拌対象物を撹拌する方法であって、回転軸を挟んで第1の間隔を空けて互いに対向した状態に維持された第1の平坦面及び第2の平坦面を少なくとも部分的に撹拌対象物に浸漬させ、前記回転軸を中心として前記第1の平坦面及び第2の平坦面を回転させることを含む方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1(a)は、本発明の一実施形態による撹拌装置10を示す斜視図である。図1(b)は、図1(a)に示した撹拌装置10の撹拌翼11の分解斜視図である。図1(c)は、撹拌翼11の正面図である。
図2】本発明の一実施形態による撹拌翼が撹拌対象物に浸漬され、回転されたときに撹拌対象物に生じる対流を矢印で示す図である。
図3図3(a)は、本発明の一実施形態による、撹拌翼を容器内の所望の高さに保持するための保持部材の一例を示す図である。図3(b)は、撹拌翼を容器内の所望の高さに保持するための保持部材の他の例を示す図である。
図4図4(a)〜図4(c)は各々、撹拌対象物の液面の高さが様々に変化したときに、本発明の一実施形態による撹拌翼によって撹拌対象物に生じる対流を矢印で示す図である。
図5】本発明の他の実施形態による撹拌翼21を備えた撹拌装置20を示す斜視図である。
図6図6(a)は、本発明のさらに別の実施形態による撹拌翼31を備えた撹拌装置30を示す斜視図である。図6(b)は、図6(a)に示した撹拌装置30の撹拌翼31の分解斜視図である。
図7図7(a)は、図6(a)に示した撹拌装置30の撹拌翼31の正面図である。図7(b)は、図7(a)における撹拌翼31のK−K’断面図である。
図8】本発明の一実施形態による、撹拌対象物を撹拌する方法を示すフロー図である。
図9】従来のパドル翼を備えた撹拌装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一実施形態において、本発明は、第1の平坦面を有する第1の部材及び第2の平坦面を有する第2の部材を含み、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面が、回転軸を挟んで第1の間隔を空けて互いに対向した状態で、前記回転軸を中心として回転可能な撹拌翼を提供する。
【0012】
前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面は、同一の形状を有する場合がある。前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面は、異なる形状を有する場合がある。前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面は、前記回転軸の方向における同一の高さを有する場合がある。前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面は、前記回転軸の方向における異なる高さを有する場合がある。前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面は、前記回転軸に直交する方向における同一の幅を有する場合がある。前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面は、前記回転軸に直交する方向における異なる幅を有する場合がある。前記第1の平坦面及び前記第2平坦面はそれぞれ、矩形の形状を有する場合がある。前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面はそれぞれ、台形(上辺を短辺とするものと、下辺を短辺とするものとの両方を含む)、円形、楕円形、または菱形の形状を有する場合がある。
【0013】
前記撹拌翼は、支持部材をさらに含む場合がある。前記第1の部材及び前記第2の部材は、前記支持部材に結合される場合がある。前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面は、前記支持部材によって、前記回転軸を挟んで前記第1の間隔を空けて互いに対向した状態に維持される場合がある。前記第1の部材、前記第2の部材、及び前記支持部材の少なくとも一部は、一体的に形成される場合がある。
【0014】
前記第1の部材及び前記第2の部材はそれぞれ、板状部材である場合がある。前記第1の部材及び前記第2の部材はそれぞれ、矩形の板状部材である場合がある。前記第1の部材及び前記第2の部材はそれぞれ、台形(上辺を短辺とするものと、下辺を短辺とするものとの両方を含む)、円形、楕円形、または菱形の板状部材である場合がある。前記第1の部材及び前記第2の部材はそれぞれ、半球形部材である場合がある。前記支持部材は、板状部材である場合がある。前記支持部材は、一または複数の開口部を有する板状部材である場合がある。前記支持部材は、H字型のフレーム部材である場合がある。
【0015】
前記第1の部材、前記第2の部材、及び前記支持部材はそれぞれ、アルミニウムやステンレスのような金属から形成される場合がある。前記第1の部材、前記第2の部材、及び前記支持部材はそれぞれ、プラスチックやアクリルのような樹脂から形成される場合がある。前記第1の部材、前記第2の部材、及び前記支持部材の少なくとも一部は、他の部分とは別個に作成され、溶接や接着剤によって他の部分と結合される場合がある。前記第1の部材、前記第2の部材、及び前記支持部材の少なくとも一部は、単一の板状材料から曲げ加工によって一体的に形成される場合がある。前記第1の部材、前記第2の部材、及び前記支持部材の少なくとも一部は、射出成型や押出し成型のような成型によって一体的に形成される場合がある。
【0016】
前記回転軸は、前記第1の平坦面と前記第2の平坦面の間に配置される場合がある。前記回転軸は、前記第1の平坦面と前記第2の平坦面の間に、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面から均等な距離に配置される場合がある。
【0017】
前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面が、前記撹拌対象物に少なくとも部分的に浸漬され、前記回転軸を中心として回転されたときに、前記第1の平坦面と前記第2の平坦面の間に侵入した撹拌対象物は、遠心力によって前記回転軸から遠ざかる方向に吐出され、同時に、前記回転軸に沿って垂直な方向から撹拌対象物が前記第1の平坦面と前記第2の平坦面の間に吸い込まれる。
【0018】
前記撹拌対象物は、液体と液体を含み得る。前記撹拌対象物は、異なる種類の液体を含み得る。前記撹拌対象物は、液体塗料、及びうすめ液を含む場合がある。前記撹拌対象物は、異なる種類の薬液を含む場合がある。前記撹拌対象物は、液体と、粒体または粉体のような固体とを含む場合がある。前記粒体または粉体のような固体は、液体に溶解されるものである場合がある。前記粒体または粉体のような固体は、液体に溶解されないものである場合がある。前記撹拌対象物は、砂糖または塩と、水とを含む場合がある。前記撹拌対象物は、漂白剤のような水溶液と、パルプとを含む場合がある。前記撹拌対象物は、培養液や試薬のような薬液と、微生物や生物の細胞のような生体材料とを含む場合がある。
【0019】
前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面は、前記回転軸が前記撹拌対象物の液面に対して垂直になるような形で前記撹拌対象物に浸漬される場合がある。前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面は、前記回転軸が前記撹拌対象物の液面に対する垂直から傾きを有する形で前記撹拌対象物に浸漬される場合がある。
【0020】
前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面は、一分間当たり10回転以上、好ましくは、一分間当たり30回転以上、更に好ましくは、一分間当たり50回転以上の回転速度で回転される場合がある。前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面は、一分間当たり200回転以下、好ましくは、一分間当たり150回転以下、更に好ましくは、一分間当たり100回転以下の回転速度で回転される場合がある。一例において、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面は、一分間当たり10回転以上、200回転以下の回転速度で回転される場合がある。
【0021】
前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面はそれぞれ、前記回転軸の方向に延びる細長い形状を有する場合がある。
【0022】
前記第1の部材及び前記第2の部材はそれぞれ、回転半径外側の面にパドル翼をさらに備える場合がある。前記パドル翼は、アルミニウムやステンレスのような金属から形成される場合がある。前記パドル翼は、プラスチックやアクリルのような樹脂から形成される場合がある。前記パドル翼は、前記第1の部材または前記第2の部材とは別個に形成され、溶接や接着剤によってそれらと結合される場合がある。前記パドル翼は、射出成型や押出し成型のような成型によって前記第1の部材または前記第2の部材と一体的に形成される場合がある。
【0023】
前記第1の部材は、前記第1の平坦面に対して垂直な第3の平坦面及び第4の平坦面をさらに有する場合がある。前記第3の平坦面及び前記第4の平坦面は、第2の間隔を空けて互いに対向して配置される場合がある。前記第2の部材は、前記第2の平坦面に対して垂直な第5の平坦面及び第6の平坦面をさらに有する場合がある。前記第5の平坦面及び前記第6の平坦面は、前記第2の間隔を空けて互いに対向して配置される場合がある。前記第1の間隔と前記第2の間隔は、等しい場合がある。前記第1の間隔と前記第2の間隔は、互いに異なる場合がある。
【0024】
前記第3の平坦面及び前記第5の平坦面は、第1の仮想平面上に配置される場合がある。前記第4の平坦面及び前記第6の平坦面は、第2の仮想平面上に配置される場合がある。前記回転軸は、前記第1の仮想平面と前記第2の仮想平面の間に配置される場合がある。前記回転軸は、前記第1の仮想平面と前記第2の仮想平面の間に、前記第1の仮想平面及び前記第2の仮想平面から均等な距離に配置される場合がある。
【0025】
他の実施形態において、本発明は、上記のように構成された本発明による撹拌翼と、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面を前記回転軸を中心として回転させる回転駆動装置とを含む撹拌装置を提供する。前記支持部材は、シャフトを介して前記回転駆動装置に結合される場合がある。前記回転駆動装置は、モーターを含む場合がある。前記回転駆動装置は、モーターと、減速機とを含む場合がある。
【0026】
前記撹拌装置は、撹拌対象物を入れるための容器と、前記撹拌翼を前記容器内の所望の高さに保持するための保持部材とをさらに含む場合がある。
【0027】
前記保持部材は、前記容器の蓋と、前記回転駆動装置のフランジ部を前記容器の前記蓋の開口部の周りに結合する固定具とを含む場合がある。前記固定具は、ボルト及びナット等を含む場合がある。前記保持部材は、前記容器の底に置かれた第1の磁石と、前記第1の磁石及び前記撹拌翼結合され、前記撹拌翼を前記容器内の所望の高さに保持する第1のシャフトとを含む場合がある。前記第1の磁石は、前記容器の底面を隔てて、前記容器の外側に配置された反対極性の第2の磁石に磁力によって結合され、前記第2の磁石及び第2のシャフトを介して前記回転駆動装置によって回転される場合がある。
【0028】
前記容器は、円筒の形状を有する場合がある。前記容器は、正六角柱、または正八角柱のような正多角柱の形状を有する場合がある。前記容器は、アルミニウムやステンレスのような金属から形成される場合がある。前記容器は、プラスチックやアクリルのような樹脂から形成される場合がある。
【0029】
一例として、前記容器は、例えば、直径及び深さを有する円筒の形状を有し、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面は、同一の矩形の形状、前記回転軸の方向における同一の高さ、及び前記回転軸に直交する方向における同一の幅を有する場合がある。
【0030】
(i)この場合、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面の幅は、前記容器の直径の20%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上である。また、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面Bの幅は、前記容器の直径の80%以下、好ましくは75%以下、より好ましくは70%以下である。例えば、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面の前記幅は、前記容器の直径の20%以上、80%以下である場合がある。
【0031】
(ii)この場合、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面の高さは、前記容器の深さの20%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上である。また、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面の高さは、前記容器の深さの80%以下、好ましくは75%以下、より好ましくは70%以下である。例えば、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面の前記高さは、前記容器の前記深さの20%以上、80%以下である場合がある。
【0032】
(iii)この場合、前記第1の平坦面と前記第2の平坦面との間の前記第1の間隔は、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面の幅の20%以上、好ましくは、25%以上、より好ましくは30%以上である。また、前記第1の平坦面と前記第2の平坦面との間の前記第1の間隔は、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面の幅の80%以下、好ましくは、75%以下、より好ましくは70%以下である。例えば、前記第1の平坦面と前記第2の平坦面との間の前記第1の間隔は、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面の前記幅の20%以上、80%以下である場合がある。
【0033】
他の例として、前記容器は、例えば、正方形の水平断面、及び深さを有する正四角柱の形状を有し、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面は、同一の矩形の形状、前記回転軸の方向における同一の高さ、及び前記回転軸に直交する方向における同一の幅を有する場合がある。
【0034】
(i)この場合、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面の前記幅は、前記容器の正方形の水平断面の一辺の長さの20%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上である。また、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面の前記幅は、前記容器の正方形の水平断面の一辺の長さの80%以下、好ましくは75%以下、より好ましくは70%以下である。例えば、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面の前記幅は、前記容器の前記正方形の水平断面の一片の長さの20%以上、80%以下である場合がある。
【0035】
(ii)この場合、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面の前記高さは、前記容器の深さの20%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上である。また、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面の前記高さは、前記容器の深さの80%以下、好ましくは75%以下、より好ましくは70%以下である。例えば、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面の前記高さは、前記容器の前記深さの20%以上、80%以下である場合がある。
【0036】
(iii)この場合、前記第1の平坦面と前記第2の平坦面との間の前記第1の間隔は、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面の前記幅の20%以上、好ましくは、幅Wの25%以上、より好ましくは30%以上である。また、前記第1の平坦面と前記第2の平坦面との間の前記第1の間隔は、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面の前記幅の80%以下、好ましくは、75%以下、より好ましくは70%以下である。例えば、前記第1の平坦面と前記第2の平坦面との間の前記第1の間隔は、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面の前記幅の20%以上、80%以下である場合がある。
【0037】
他の実施形態において、本発明は、撹拌対象物を撹拌する方法を提供する。この方法は、回転軸を挟んで第1の間隔を空けて互いに対向した状態に維持された第1の平坦面及び第2の平坦面を少なくとも部分的に撹拌対象物に浸漬させ、前記回転軸を中心として前記第1の平坦面及び第2の平坦面を回転させることを含む。
【0038】
前記方法において、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面を回転させることは、前記第1の平坦面と前記第2の平坦面の間に侵入した撹拌対象物を、遠心力によって前記回転軸から遠ざかる方向に吐出し、同時に、前記回転軸に沿って垂直な方向から撹拌対象物を前記第1の平坦面と前記第2の平坦面の間に吸い込むことをさらに含む場合がある。
【0039】
前記方法において、前記第1の平坦面及び前記第2の平坦面は、一分間当たり10回転以上、200回転以下の回転速度で回転される場合がある。
【0040】
次に、図面を参照しながら、本発明の実施形態についてさらに詳しく説明する。
【0041】
図1(a)は、本発明の一実施形態による撹拌翼11を備えた撹拌装置10を示す斜視図である。撹拌装置10は、撹拌対象物を撹拌するための撹拌翼11と、撹拌翼11を回転させるため回転駆動装置12とを含む。図1(b)は、撹拌翼11の分解斜視図であり、図1(c)は、撹拌翼11の正面図である。撹拌翼11は、第1の平坦面Aを有する第1の部材13、及び第2の平坦面Bを有する第2の部材14を含む。撹拌翼11は、支持部材15をさらに含む。第1の部材13及び第2の部材14は、支持部材15に結合され、第1の平坦面A及び第2の平坦面Bは、支持部材15によって、回転軸17を挟んで第1の間隔Dを空けて互いに対向した状態に維持されている。ただし、後述するように、第1の部材13、第2の部材14、及び支持部材15の少なくとも一部は、一体に形成されてもよい。図1(a)に示されるように、支持部材15は、シャフト16を介して回転駆動装置12に結合されている。第1の平坦面A及び第2の平坦面Bは、回転駆動装置12によって、回転軸17を中心として回転されることができる。
【0042】
第1の部材13及び第2の部材14は、平坦面A及び平坦面Bをそれぞれ有するものであれば、如何なる形状のものであってもよい。一実施形態において、第1の部材13及び第2の部材14はそれぞれ、板状部材である。一実施形態において、第1の部材13及び第2の部材14はそれぞれ、矩形の板状部材である。一実施形態において、第1の部材13及び第2の部材14はそれぞれ、台形(上辺を短辺とするものと、下辺を短辺とするものとの両方を含む)、円形、楕円形、または菱形の板状部材である。一実施形態において、第1の部材13及び第2の部材14はそれぞれ、半球形部材である。
【0043】
支持部材15は、第1の部材13の第1の平坦面A及び第2の部材14の第2の平坦面Bを、回転軸17を挟んで第1の間隔Dを空けて互いに対向した状態に維持するものであれば、如何なる形状を有するものであってもよい。一実施形態において、支持部材15は、図1(a)に示されるような板状部材である。一実施形態において、支持部材15は、撹拌対象物の上下方向の流動を容易にする一または複数の開口部を有する板状部材である。一実施形態において、支持部材15は、H字型のフレーム部材である。
【0044】
第1の部材13の第1の平坦面A及び第2の部材14の第2の平坦面Bはそれぞれ、発明の作用が得られる範囲内で、様々な形状、回転軸の方向における様々な高さH、及び回転軸に直交する方向における様々な幅Wを有することができる。一実施形態において、第1の平坦面A及び第2の平坦面Bは、同一の形状を有する。一実施形態において、第1の平坦面A及び第2の平坦面Bは、異なる形状を有する。一実施形態において、第1の平坦面A及び第2の平坦面Bは、回転軸17の方向における同一の高さHを有する。一実施形態において、第1の平坦面A及び第2の平坦面Bは、回転軸17の方向における異なる高さを有する。一実施形態において、第1の平坦面A及び第2の平坦面Bは、回転軸17に直交する方向における同一の幅Wを有する。一実施形態において、第1の平坦面A及び第2の平坦面Bは、回転軸17に直交する方向における異なる幅を有する。一実施形態において、第1の平坦面A及び第2平坦面Bはそれぞれ、矩形の形状を有する。一実施形態において、第1の平坦面A及び第2の平坦面Bはそれぞれ、台形(上辺を短辺とするものと、下辺を短辺とするものとの両方を含む)、円形、楕円形、または菱形の形状を有する。
【0045】
第1の部材13、第2の部材14、及び支持部材15はそれぞれ、発明の作用が得られる範囲内で、如何なる材料から形成されてもよい。一実施形態において、第1の部材13、第2の部材14、及び支持部材15はそれぞれ、アルミニウムやステンレスのような金属から形成される。一実施形態において、第1の部材13、第2の部材14、及び支持部材15はそれぞれ、プラスチックやアクリルのような樹脂から形成される。一実施形態において、第1の部材13、第2の部材14、及び支持部材15の少なくとも一部は、他の部分とは個別に作成され、溶接や接着剤によって他の部分と結合される場合がある。一実施形態において、第1の部材13、第2の部材14、及び支持部材15の少なくとも一部は、単一の板状材料から曲げ加工によって一体的に形成される場合がある。一実施形態において、第1の部材13、第2の部材14、及び支持部材15の少なくとも一部は、射出成型や押出し成型のような成型によって一体的に形成される場合がある。
【0046】
一実施形態において、回転軸17は、第1の平坦面Aと第2の平坦面Bの間に配置される。一実施形態において、回転軸17は、第1の平坦面Aと第2の平坦面Bの間に、第1の平坦面A及び第2の平坦面Bから均等な距離に配置される。一実施形態において、第1の部材13及び第2の部材14は、同一の幅Wを有し、回転軸17は、第1の部材13及び第2の部材14の幅(W)方向における両縁から、均等な距離に配置される。ただし、回転軸17の位置は、必ずしもこのような幾何学上の中心でなくてもよく、発明の作用が得られる範囲内で、幾何学上の中心から多少のずれがあってもよい。
【0047】
図2は、図1に示した撹拌翼11が撹拌対象物18に浸漬され、回転されたときに撹拌対象物18に生じる対流を矢印で示す図である。第1の部材13の第1の平坦面A及び第2の部材14の第2の平坦面Bを撹拌対象物18に少なくとも部分的に浸漬させ、回転軸17を中心として回転させると、第1の平坦面Aと第2の平坦面Bの間に侵入した撹拌対象物18は、遠心力によって、矢印で示されるように回転軸17から遠ざかる方向に吐出され、同時に、回転軸17に沿って垂直な方向(図2の例では下方)から撹拌対象物18が第1の平坦面Aと第2の平坦面Bの間に吸い込まれる。その結果、撹拌対象物18に対流が発生し、撹拌対象物18は撹拌される。
【0048】
一実施形態において、撹拌翼11は、図2に示されるように回転軸17が液面に対して垂直になるような形で撹拌対象物18に浸漬される。ただし、撹拌翼11は、必ずしも液面に垂直に浸漬される必要はなく、実施形態によっては、撹拌翼11は、発明の作用が得られる範囲内で、回転軸17が液面に対する垂直から傾きを有する形で撹拌対象物18に浸漬される場合もある(図示せず)。このような傾きを有する浸漬は、撹拌対象物18に乱流を発生させたいときに有用なことがある。
【0049】
本発明による撹拌翼は、バイオ、医薬品、食品、化学、建築、製紙工業、鉱業などを含む様々な分野で使用されることができる。一実施形態において、撹拌対象物18は、液体と液体を含む。例えば、建築の分野において、撹拌対象物18は、限定はしないが、液体塗料及びうすめ液のような異なる種類の液体を含む場合がある。例えば、医薬品の分野において、撹拌対象物18は、限定はしないが、異なる種類の薬液を含む場合がある。一実施形態において、撹拌対象物18は、液体と、粒体または粉体のような固体とを含む。粒体または粉体のような固体は、液体に溶解されるものと、溶解されないものとの両方を含み得る。例えば、食品の分野において、撹拌対象物18は、限定はしないが、砂糖や塩のような水溶性の粉体と、水とを含む場合がある。例えば、製紙工業の分野において、撹拌対象物18は、限定はしないが、漂白剤のような水溶液と、パルプとを含む場合がある。例えば、バイオの分野において、撹拌対象物18は、限定はしないが、培養液や試薬のような薬液と、微生物や生物の細胞のような生体材料とを含む場合がある。
【0050】
第1の平坦面A及び第2の平坦面Bは、有効な撹拌能力を得るために、一分間当たり10回転以上、好ましくは、一分間当たり30回転以上、更に好ましくは、一分間当たり50回転以上の回転速度で回転される。また、第1の平坦面A及び第2の平坦面Bは、撹拌対象物をやさしく撹拌するために、一分間当たり200回転以下、好ましくは、一分間当たり150回転以下、更に好ましくは、一分間当たり100回転以下の回転速度で回転される。
【0051】
回転駆動装置12は、モーター(図示省略)と、減速機(図示省略)とから構成される。本発明による撹拌翼11は、撹拌板(すなわち、第1の部材13、及び第2の部材14)の回転速度が低いため、減速機の減速比を高くすることができ、したがって、撹拌板を高いトルクで回転させることが可能である。ただし、低回転速度で高トルクのモーターを入手できる場合、減速機は省略されてもよい。
【0052】
一実施形態において、撹拌装置10は、撹拌対象物18を入れるための容器19と、撹拌翼11を容器19内の所望の高さに保持するための保持部材とをさらに含む。
【0053】
図3(a)及び図3(b)は、撹拌翼11を容器19内の所望の高さに保持するための保持部材の種々の例を示している。保持部材は、容器19内の所望の高さに撹拌翼11を保持できるものであれば、如何なる構造の部材であってもよい。一実施形態において、保持部材は、図3(a)に示されるように、容器19の蓋26と、回転駆動装置12のフランジ部を蓋26の開口部の周りに結合するボルト及びナット等の固定具28とを含む。シャフト16は、蓋26の開口部を通して容器19の中まで延び、撹拌翼11を容器19内の所望の高さに保持する。一実施形態において、保持部材は、図3(b)に示されるように、容器19の底に置かれた磁石34aと、磁石34a及び撹拌翼11に結合され、撹拌翼11を容器19内の所望の高さに保持するシャフト16aとを含む。磁石34aは、容器19の底面を隔てて、容器の外側に配置された反対極性の磁石34bに磁力によって結合され、磁石34b及びシャフト16bを介して回転駆動装置12によって回転される。
【0054】
容器19は、発明の作用が得られる範囲内で、如何なる形状を有するものであってもよい。一実施形態において、容器19は、円筒の形状を有する。一実施形態において、容器19は、正四角柱、正六角柱、または正八角柱のような正多角柱の形状を有する。容器19は、発明の作用が得られる範囲内で、如何なる材料から形成されてもよい。一実施形態において、容器19は、アルミニウムやステンレスのような金属から形成される。一実施形態において、容器19は、プラスチックやアクリルのような樹脂から形成される。
【0055】
有効な撹拌能力を得るために、第1の平坦面A及び第2の平坦面Bの寸法及びこれらの間の間隔は、容器19の形状及び寸法に応じて決定される。
【0056】
一例として、容器19は、例えば、直径(内寸)d及び深さhを有する円筒の形状を有し、第1の平坦面A及び第2の平坦面Bは、例えば、同一の矩形の形状、回転軸17の方向における同一の高さH、及び回転軸17に直交する方向における同一の幅Wを有する場合がある。この場合、有効な撹拌能力を得るための第1の平坦面A及び第2の平坦面Bの寸法(W、H)及び間隔Dの範囲(上限及び下限)は、次のようになる。
【0057】
(i)第1の平坦面A及び第2の平坦面Bの幅Wは、容器19の直径dの20%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上である。また、第1の平坦面A及び第2の平坦面Bの幅Wは、容器19の直径dの80%以下、好ましくは75%以下、より好ましくは70%以下である。
【0058】
(ii)第1の平坦面A及び第2の平坦面Bの高さHは、容器19の深さhの20%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上である。また、第1の平坦面A及び第2の平坦面Bの高さHは、容器19の深さhの80%以下、好ましくは75%以下、より好ましくは70%以下である。
【0059】
(iii)第1の平坦面Aと第2の平坦面Bとの間の第1の間隔Dは、第1の平坦面A及び第2の平坦面Bの幅Wの20%以上、好ましくは、幅Wの25%以上、より好ましくは30%以上である。また、第1の平坦面Aと第2の平坦面Bとの間の第1の間隔Dは、第1の平坦面A及び第2の平坦面Bの幅Wの80%以下、好ましくは、幅Wの75%以下、より好ましくは70%以下である。
【0060】
他の例として、容器19は、例えば、一辺の長さ(内寸)がdである正方形の水平断面、及び深さhを有する正四角柱の形状を有し、第1の平坦面A及び第2の平坦面Bは、例えば、同一の矩形の形状、回転軸17の方向における同一の高さH、及び回転軸17に直交する方向における同一の幅Wを有する場合がある。この場合、有効な撹拌能力を得るための第1の平坦面A及び第2の平坦面Bの寸法(W、H)及び間隔Dの範囲(上限及び下限)は、次のようになる。
【0061】
(i)第1の平坦面A及び第2の平坦面Bの幅Wは、容器19の正方形の水平断面の一辺の長さdの20%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上である。また、第1の平坦面A及び第2の平坦面Bの幅Wは、容器19の正方形の水平断面の一辺の長さdの80%以下、好ましくは75%以下、より好ましくは70%以下である。
【0062】
(ii)第1の平坦面A及び第2の平坦面Bの高さHは、容器19の深さhの20%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上である。また、第1の平坦面A及び第2の平坦面Bの高さHは、容器19の深さhの80%以下、好ましくは75%以下、より好ましくは70%以下である。
【0063】
(iii)第1の平坦面Aと第2の平坦面Bとの間の第1の間隔Dは、第1の平坦面A及び第2の平坦面Bの幅Wの20%以上、好ましくは、幅Wの25%以上、より好ましくは30%以上である。また、第1の平坦面Aと第2の平坦面Bとの間の第1の間隔Dは、第1の平坦面A及び第2の平坦面Bの幅Wの80%以下、好ましくは、幅Wの75%以下、より好ましくは70%以下である。
【0064】
図4(a)〜図4(c)は、撹拌対象物18の液面の高さが様々に変化したときに、撹拌翼11によって撹拌対象物18に発生する対流を矢印で示す図である。本発明による撹拌翼11は、容器19の深さに応じて、撹拌板(すなわち、第1の部材13及び第2の部材14)を縦長に作成すること、すなわち、回転軸17の方向に延びる細長い部材にすることができるため、図4(a)〜図4(c)に示されるように液面の高さが様々に変化した場合でも、撹拌対象物18に対流を発生させることができ、そのため、撹拌対象物18を有効に撹拌することができる。
【0065】
図5は、本発明の他の実施形態による撹拌翼21を備えた撹拌装置20を示す斜視図である。撹拌装置20は、第1の部材13及び第2の部材14がそれぞれ、回転半径外側にパドル翼24をさらに備えている点を除き、図1(a)に示した撹拌装置10と同様の構成を有する。対応する部材に同じ符号を付して、図1(a)に示した撹拌装置10のものと同様の構成要素については説明を省略する。パドル翼24は、撹拌対象物18の上下方向の対流(回転方向に応じて決まる吸い上げ、または吹き出し)を促進し、撹拌効率を上げる効果を有する。
【0066】
パドル翼24は、発明の作用が得られる範囲内で、如何なる材料から形成されてもよい。一実施形態において、パドル翼24は、アルミニウムやステンレスのような金属から形成される。一実施形態において、パドル翼24は、プラスチックやアクリルのような樹脂から形成される。一実施形態において、パドル翼24は、第1の部材13または第2の部材14とは別個に作成され、溶接や接着剤によってそれらと結合される場合がある。一実施形態において、パドル翼24は、射出成型や押出し成型のような成型によって第1の部材13または第2の部材14と一体的に形成される場合がある。
【0067】
図6(a)は、本発明のさらに別の実施形態による撹拌翼31を備えた撹拌装置30を示す斜視図である。図6(b)は、撹拌翼31の分解斜視図である。図7(a)は、撹拌翼11の正面図であり、図7(b)は、撹拌翼11のK−K’線断面図である。図7(b)に示されるように、撹拌装置30において、第1の部材13’は、第1の平坦面Aに対して垂直な第3の平坦面C及び第4の平坦面Dをさらに有する。第3の平坦面C及び第4の平坦面Dは、第2の間隔Dを空けて互いに対向して配置される。また、第2の部材14’は、第2の平坦面Bに対して垂直な第5の平坦面E及び第6の平坦F面をさらに有する。第5の平坦面E及び第6の平坦面Fは、第2の間隔Dを空けて互いに対向して配置される。第1の間隔Dと第2の間隔Dは、等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0068】
図7(b)に示されるように、一実施形態において、第3の平坦面C及び第5の平坦面Eは、仮想平面X上に配置され、第4の平坦面D及び第6の平坦面Fは、仮想平面Y上に配置され、回転軸17は、仮想平面Xと仮想平面Yの間に配置される。一実施形態において、回転軸17は、仮想平面Xと仮想平面Yの間に、仮想平面X及び仮想平面Yから均等な距離に配置される。ただし、回転軸17の位置は、必ずしもこのような幾何学上の中心でなくてもよく、発明の作用が得られる範囲内で、幾何学上の中心から多少のずれがあってもよい。
【0069】
その他の点については、撹拌措置30は、図1(a)に示した撹拌装置10と同様の構成を有している。対応する部材に同じ符号または類似の符号を付して、図1(a)に示した撹拌装置10のものと同様の構成要素については説明を省略する。
【0070】
図8は、撹拌対象物を撹拌する方法80を示している。方法80は、ステップ82から開始され、ステップ84へ進み、そこでまず、回転軸を挟んで第1の間隔を空けて対向した状態に維持された第1の平坦面及び第2の平坦面を少なくとも部分的に撹拌対象物に浸漬させる。次に、ステップ86へ進み、そこで、回転軸を中心として第1の平坦面及び第2の平坦面を回転させる。ステップ86は、第1の平坦面と第2の平坦面の間に侵入した撹拌対象物を、遠心力によって回転軸から遠ざかる方向に吐出し、同時に、回転軸に沿って垂直な方向から撹拌対象物を第1の平坦面と第2の平坦面の間に吸い込むことをさらに含む場合がある。その後、ステップ88へ進み、方法80は終了する。
【0071】
本発明によれば、撹拌翼がシンプルな構造であることから、撹拌翼や撹拌装置を低コストで製造することが可能となり、また、撹拌翼を容易に洗浄することが可能となる。さらに、本発明によれば、容器の形状や寸法に応じて、撹拌翼の面積を広くすることができ、低い回転速度でも撹拌対象物を有効に撹拌することができるため、微生物や生物の細胞のような生体材料の剪断や破壊を最小限に抑えつつ、これらをやさしく撹拌することが可能となる。このことは、図2に示した本発明による撹拌装置の平行撹拌翼13、14を、図9に示したような従来の撹拌装置1のパドル翼3と対比することで、直感的にも理解することができるであろう。さらに、本発明によれば、容器の形状や寸法に応じて、撹拌翼を細長い形状にすることができるため、撹拌対象物の液面の高さが様々に変化した場合でも、撹拌対象物を有効に撹拌することが可能となる。さらに、本発明によれば、撹拌翼の回転速度を低く抑えることができるため、モーターの減速比を高くすることができ、高いトルクで撹拌翼を回転させることが可能となる。
【0072】
本発明の種々の実施形態に関する上記説明は、例示を目的としたものであり、発明の範囲を制限するものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定される。
【符号の説明】
【0073】
A 第1の平坦面
B 第2の平坦面
10、20、30 撹拌装置
11、21、31 撹拌翼
12 回転駆動装置
13、13’ 第1の部材
14、14’ 第2の部材
15 支持部材
17 回転軸
【要約】
【課題】シンプルな構造で効率の良い撹拌翼、及びかかる撹拌翼を備えた撹拌装置の提供。
【解決手段】第1の平坦面を有する第1の部材及び第2の平坦面を有する第2の部材を含み、第1の平坦面及び第2の平坦面が、回転軸を挟んで第1の間隔を空けて互いに対向した状態で、回転軸を中心として回転可能な撹拌翼。第1の平坦面及び第2の平坦面が、撹拌対象物に少なくとも部分的に浸漬され、回転軸を中心として回転されたときに、第1の平坦面と第2の平坦面の間に侵入した撹拌対象物が、遠心力によって前記回転軸から遠ざかる方向に吐出され、同時に、回転軸に対して垂直な方向から撹拌対象物が第1の平坦面と第2の平坦面の間に吸い込まれる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9