特許第6160985号(P6160985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6160985
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】ケーブル接続用コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/48 20060101AFI20170703BHJP
【FI】
   H01R4/48 A
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-94422(P2015-94422)
(22)【出願日】2015年5月1日
(65)【公開番号】特開2016-213020(P2016-213020A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2016年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】荒井 厚
(72)【発明者】
【氏名】今村 朋洋
(72)【発明者】
【氏名】高木 哲也
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5225291(JP,B2)
【文献】 実開昭60−117573(JP,U)
【文献】 特開2000−113914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結線作動部(11f)を設けた上ケース(11c)と、
ハウジング(11)内に収容されたコンタクト端子(12)、結線部材(13)及び開放部材(14)とからなり、
結線部材(13)は、弾性片(13b)を有し、
弾性片(13b)には、ケーブル(1)の芯線(1a)を挿入する開口部(13c)を有し、
開口部(13c)の上端部には、結線部(13d)を有し、
開放部材(14)は、結線部(13d)を載置することで、弾性片(13b)の結線方向の弾性付勢力に対抗して結線部(13d)を開放状態に仮保持する立設部(14a)を有し、
結線部(13d)を開放状態にした状態でコンタクト端子(12)と結線部(13d)との間に芯線(1a)を挿入し、
上ケース(11c)を閉じると、結線作動部(11f)が立設部(14a)に載置した結線部(13d)を立設部(14a)から外れる方向に弾性片(13b)を押圧移動させて仮保持状態を解除し、弾性片(13b)の弾性付勢力にて芯線(1a)をコンタクト端子(12)に直接又は間接的に結線することを特徴とするケーブル接続用コネクタ。
【請求項2】
ハウジング(11)はケーブル(1)をハウジング(11)に挿入した状態を弾性保持するためのケーブル保持部材(15)を有することを特徴とする請求項1記載のケーブル接続用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクト端子にケーブルの芯線を結線したコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複数のソーラーパネルを中継コネクタを用いて制御部等とケーブル接続する場合に、これまではソーラーパネル等の設置現場にてケーブルの芯線を専用圧着工具によりターミナルに結線していた。
これでは現場での結線作業が大変であり、特に高所作業になると専用工具等を落下させる恐れもあった。
そこで本出願人は、先にケーブルの結線作業性に優れたコネクタを提案している(特許文献1)。
本発明は、さらに結線作業性の向上を目的に本発明に至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2013−230744号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ケーブルの結線作業性に優れ、接続信頼性の高いケーブル接続用コネクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るケーブル接続用コネクタは、コンタクト端子、結線部材及び開放部材をハウジング内に収容してあり、前記結線部材はケーブルの芯線を前記コンタクト端子に弾性付勢力にて直接又は間接的に結線する結線部を有し、前記開放部材は前記結線部材の弾性付勢力に対抗して前記結線部を開放状態に仮保持するためのものであり、前記結線部を開放部材にて開放状態にした状態でコンタクト端子と結線部との間にケーブルの芯線を挿入し、前記ハウジングに設けた開閉自在の上ケースを閉じると前記上ケースに設けた結線作動部が前記開放部材の仮保持状態を解除し、ケーブルの芯線がコンタクト端子に結線されるものであることを特徴とする。
ここでコンタクト端子には、ソケット端子、プラグ端子等が含まれる。
開放部材とは、ケーブルの芯線をコンタクト端子に直接又は間接的に結線する際に、このケーブルの芯線をコンタクト端子と結線部材に設けた結線部材との間に挿入しやすいように、この結線部が芯線に係止しないように結線部材の弾性付勢力に対抗して、開放状態にしておくためのものである。
また、ケーブルの芯線をコンタクト端子に直接又は間接的に結線すると表現したのは、ケーブルの芯線をコンタクト端子に電気接続する際にケーブルの芯線を直接コンタクト端子に接触させる場合のみならず、間に他の端子を挟み込み電気接続する場合も含める趣旨である。
本発明のコネクタは、例えばソーラーパネル等のケーブル接続に用いられるコネクタのみならずケーブルを電気接続するのに用いられる各種コネクタも含まれる。
【0006】
本発明はハウジングにケーブルを挿入し、上ケースを閉じるだけで結線が完了する点に特徴がある。
その態様としては、前記結線部材の結線部は結線方向に弾性付勢された弾性片に形成してあり、前記開放部材は弾性付勢力に対抗して結線部が開放状態になるように前記弾性片を載置することで仮保持できる立設部を有し、前記上ケースに設けた結線作動部は上ケースを閉じると弾性片を立設部から外れる方向に押圧移動させるものである場合を例として挙げることができる。
さらに具体的には、前記弾性片はケーブルの芯線を挿入する開口部を有するとともに開口部の端部に結線部を形成してあり、前記開放部材の立設部に前記開口部の端部に形成した結線部を載置することで開放状態にでき、前記上ケースに設けた結線作動部は上ケースを閉じると前記立設部に載置した結線部を立設部から外れる方向に前記弾性片を押圧移動させるものである態様が挙げられる。
【0007】
本発明において、前記ハウジングはケーブルを当該ハウジングに挿入した状態を弾性保持するためのケーブル保持部材を有するようにしてもよい。
このようにすると、上ケースを閉じる前に不本意にケーブルがハウジングから抜けるのを防止する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るコネクタは、結線部の弾性付勢力が開放された状態でコンタクト端子と結線部との間にケーブルの芯線を挿入するので容易に挿入でき、その状態でハウジングの上ケースを閉じるだけで開放状態が解除され、結線状態になるので従来の手作業による解除に比較して接続の信頼性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)〜(d)は本発明に係るコネクタにケーブルを接続する手順を示し、(e)はケーブルの芯線の結線を解除する方法例を示す。
図2】本発明に係るコネクタに収容された端子類の外観図を示す。(a)はコンタクト端子、結線部材及び開放部材を組み合せた後方斜視図を示し、(b)はその上方から見た斜視図を示す。(c)はコンタクト端子、結線部材及び開放部材の分解図を示す。
図3】本発明を適用したソケットコネクタにプラグコネクタを嵌合接続する例を示し、(a)は接続前、(b)は接続後を示す。
図4】(a)は本発明に係るコネクタの上ケースを開いた状態を示す。(b),(c)は図3に示したソケットコネクタとプラグコネクタとの外観図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るコネクタの構造例を以下、ソケットコネクタにて説明するが、本発明は各種コネクタに適用できる。
【0011】
本発明に係るコネクタ10の断面図を図1に示し、外観図を図4(a)に示す。
本発明に係るコネクタ10を構成するコンタクト端子12,結線部材13及び開放部材14の組み合せ構造例及び単品図を図2に示す。
ハウジング11の内部にこれらの端子類が収容されている。
図2に示すようにコンタクト端子12にはソケット部12aの後方にプレート状の連結部12bを有し、この連結部12bには後述する開放部材14の基部をガイドする一対の立設片12d,基部の端部を挿入支持する爪部12c及び、開放部材14の係止孔14dに係合する係止爪12eを有する。
また、ソケット部12aの外周部には、ハウジングに挿入係止するためのランス12fを有する。
結線部材13は弾性材で製作され、コンタクト端子12の連結部12bの裏面に重なるベース部13aと、このベース部13aの先端側から裏面に折り返し、さらに先端側を略L字形状に上方に折り返した弾性片13bを有する。
弾性片13bは、開口部13cを形成し、この開口部上端部が結線部13dとなり、芯線1aの上側の側部に弾性係止する。
弾性片13bは、上縁部が後方に湾曲した曲面部13eとなり、左右のサイド部は後方に折り返すことで強度アップを図っている。
この弾性片13bは、上下方向及び前後方向に弾性変形可能である。
開放部材14も弾性材で製作され、基部14fから左右一対の立設部14aを有し、その上端部に結線部13dを仮保持するための載置部14bを形成してある。
基部14fには、係止孔14dと芯線1aの下部に当接する突起部14eを有する。
本実施例では、開放部材14にも芯線1aと弾性接触するための接触部14cを設けた例になっている。
【0012】
ハウジング11は、図1,4に示すようにハウジング本体部11aと、このハウジング本体部を収容した下ケース11bと上ケース11cを有する。
ハウジング本体部11aの内部には、コンタクト端子12,結線部材13及び開放部材14を図2(a)に示した組み合せ状態にて収容され、このハウジング本体部11aの上部には挿入された芯線1aを確認するための開口された窓部11jを有する。
下ケース11bには、一辺が軸部11dで回動自在に連結された上ケース11cをハウジング本体部11aの上部を塞ぐように閉じると、この結線作動部11fが窓部11jを経由してハウジング内部に突入する。
上ケース11cと下ケース11bとの開閉は、爪部11hと係止部11gとの係合による。
また、下ケース11bに設けたケーブル1の挿入孔11eには、バネ材からなるケーブル保持部材15を設けることでケーブル1を挿入し、結線前にこのケーブルが抜け方向に移動するのを防止している。
ハウジング本体部11aの後部は、ケーブル1の外周部に当接するシール片16aを設けたシール部材16にて塞がれている。
ハウジング11のソケット収容部11iの外周部には、Oリング17を取り付けてある。
これにより、相手側コネクタとの間をシールする。
【0013】
次に、図1に基づいて結線手順を説明する。
図1(a)の状態は、上ケース11cが開き、弾性片13bの開口部13の上端部に設けた結線部13dが、開放部材14に設けた左右一対の立設部14aの上端部の載置部14bに載置され、開放状態に仮保持されている。
この状態で、ケーブル1の芯線1aをコンタクト端子12と結線部13dとの間に開口部13cから挿入したのが、図1(b)の状態である。
この時点では、芯線1aに開放部材14の接触部14cが弾性接触し、ケーブル1の被覆部はケーブル保持部材15にて弾性保持され、シール片16aにて外周部がシールされている。
次に、上ケース11cを閉じると図1(c),(d)に示すように、結線作動部11fが窓部11jを経由して進入し、結線作動部11fの先端斜面部が弾性片13bの上端部の曲面部13eに摺接することで、弾性片13bが後方に移動し、載置部14bに仮保持されていた結線部13dがこの載置部14bから外れる。
これにより、弾性片13bが弾性復帰力により下方に戻り、結線部13dが芯線1aの上側の側部に係止し、結線される。
ケーブル1をコネクタ10から取り外したい場合には、図1(e)に示すように上ケース11cを開き、窓部11jからドライバー等の工具2の先を差し込み、弾性片13bを上方に引き上げ、結線部13dを開放部材14の載置部14bに載置させればよい。
【0014】
図3及び図4(b),(c)には、プラグコンタクト22を有するプラグコネクタ20を本発明に係るソケットコネクタ10に係合接続する例を示す。
プラグコネクタ20のハウジング21の嵌合部21aに、ソケットコネクタ10のソケット収容部11iを挿入嵌合することで、Oリング17が嵌合部21aの内周面との間をシールする。
また、図4(b),(c)に示すようにコネクタ間にもロック爪11kと係止部21bとが設けられている。
【符号の説明】
【0015】
1 ケーブル
1a 芯線
10 コネクタ
11 ハウジング
11a ハウジング本体部
11b 下ケース
11c 上ケース
11f 結線作動部
11j 窓部
12 コンタクト端子
13 結線部材
13b 弾性片
13c 開口部
13d 結線部
14 開放部材
14a 立設部
15 ケーブル保持部材
図1
図2
図3
図4