特許第6160988号(P6160988)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6160988オフセットインク供給方法及びオフセットインク供給システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6160988
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】オフセットインク供給方法及びオフセットインク供給システム
(51)【国際特許分類】
   B41F 31/20 20060101AFI20170703BHJP
【FI】
   B41F31/20
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-110083(P2012-110083)
(22)【出願日】2012年5月11日
(65)【公開番号】特開2012-254622(P2012-254622A)
(43)【公開日】2012年12月27日
【審査請求日】2015年5月11日
(31)【優先権主張番号】13/156,734
(32)【優先日】2011年6月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】オーガスト・バートン
【審査官】 外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−175888(JP,A)
【文献】 特表2007−521166(JP,A)
【文献】 特開2007−331251(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0005790(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 31/00
B41F 31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク供給部材の表面にインクを付着するステップと、
前記付着したインクをインク転写部材の表面に転写するステップと、
前記インクを前記インク転写部材の表面から画像形成部材の表面に転写するステップと、
残りのインクをインク転写部材から除去するステップと、
前記インク転写部材から湿し水を除去するステップと、
を含み、
前記湿し水を除去するステップが、前記インク転写部材の表面にエアナイフを用いるステップを含む、オフセットインク供給方法。
【請求項2】
前記残りのインクと湿し水の除去は、前記インク転写部材の表面から前記画像形成部材の表面への前記インクの転写後であって、前記インク転写部材の表面から前記画像形成部材の表面へ他のインクを転写する前に行われる、請求項1に記載のインク供給方法。
【請求項3】
前記残りのインクを除去するステップが、前記インク転写部材をインク除去部材と接触させるステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記インク除去部材は親油性の表面を含んでいる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
インク室と、
前記インク室からインクを受け取るインクウェルを備えたインク供給部材と、
前記インク供給部材から転写された前記インクを画像形成部材の表面に転写するインク転写部材と、
前記インク転写部材の表面から湿し水を除去するエアナイフと、
前記インク転写部材から残りのインクを除去するインク除去部材と、
を含む、オフセットインク供給システム。
【請求項6】
前記残りのインクと湿し水の除去は、前記インク転写部材の表面から前記画像形成部材の表面への前記インクの転写後であって、前記インク転写部材の表面から前記画像形成部材の表面へ他のインクを転写する前に行われる、請求項5に記載のオフセットインク供給システム。
【請求項7】
清掃部材をさらに含む、請求項5又は6に記載のオフセットインク供給システム。
【請求項8】
前記インク転写部材が、ゴムを含む表面を有する、請求項5乃至7のいずれかに記載のオフセットインク供給システム。
【請求項9】
前記インク除去部材が、ウレタンを含む表面を有する、請求項5乃至8のいずれかに記載のオフセットインク供給システム。
【請求項10】
前記インク除去部材が、ウレタンを含む表面を有し、前記清掃部材が、セラミックを含む表面を有する、請求項7に記載のオフセットインク供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、デジタルオフセット版にインクを供給するための方法およびシステムに関する。特に、本開示は、例えばアニロックスロールとゴム製の転写ロールとを備えたインク供給システムから、デジタルオフセット版にインクを供給するための、ゴーストのないインク供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
インク供給システムが、オフセット版にインクを転写するために設計されている。インク供給システムは、キー付きであってもよいし、あるいは、キーのないタイプであってもよい。インク供給システムは、通常のオフセットタイプの印刷システムであってもよいし、あるいは、デジタルオフセット版印刷システムであってもよい。
【0003】
従来技術のインク供給システムは、ゴースト発生問題を抱えている可能性がある。インク供給システムでは、転写されたインクを層に付着させてもよい。この層は、変動可能な厚さの領域を有する。ゴースト発生は、インク層が、画像がすでに転写された特定の領域においてより薄くなるということに起因している可能性がある。インク層におけるインクのより薄い領域は、通常、画像を印刷すると、対応する領域をより明るくしてしまう。
【0004】
従来技術のシステム、特に例えば、通常のオフセットシステムでは、直径が同じである複数の印字機ロールを用いることによって、ゴースト発生問題に対処してもよい。このような構成によって、繰り返し画像がロール上で常に同じ場所に位置するようになり、ゴースト発生の影響は回避される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
しかしながら、デジタルオフセットには、ゴースト発生が低減された、キーのない印字機が必要とされる。ゴースト発生を低減し、最小限に抑え、および/または、抑制するために効果的なインク供給システムを提供する。詳細には、方法、装置およびシステムの実施形態がインク転写部材からインク履歴を消去すること、例えば残りのインクを除去してゴースト発生を防ぐことに対応する。
【0006】
例えば、方法の実施形態がウレタン被覆部材およびセラミック部材のうちの少なくとも1つを用いて、インク転写部材から残りのインクを除去することを含む。1つのインク供給システムは、インク転写部材にインクを搬送するように構成された、アニロックスロールといったインク供給部材を含んでいてもよい。インク転写部材は、画像形成部材にインクを搬送するように構成されていてもよい。画像形成部材は、オフセット版であってもよい。
【0007】
インク転写部材が画像形成部材と接しており、インク転写部材から画像形成部材にインクを転写した後、ゴースト発生を低減するためにインク転写部材に残っているインクを除去またはインク履歴を消去してもよい。方法、装置およびシステムの実施形態において、親油性の表面を含むインク除去部材を用いてインクを除去してもよい。例えば、方法、装置およびシステムの実施形態は、親油性のセラミック表面を有するインク除去部材を含んでもよい。インク転写部材は、例えばゴム製の表面を含んでいてもよい。
【0008】
方法、装置およびシステムの他の実施形態では、1つのインク除去部材が親油性のウレタン表面を含んでいてもよい。親油性のセラミック表面を有する清掃部材を用いて、インク除去部材のウレタン表面からインクを除去してもよい。例えば、清掃部材のセラミック表面は、インク除去部材のウレタン表面よりも親油性が低くてもよい。清掃部材の表面からドクターブレードを用いてインクを除去してもよい。
【0009】
本明細書において例示的な実施形態が記述される。しかしながら、本明細書において記述された装置およびシステムの特性を組み込んだ任意のシステムが例示的な実施形態の範囲および精神に含まれることを前提とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、デジタルオフセット構造を示す図である。
図2図2は、1つの例示的な実施形態によるインク供給システムを示す図である。
図3図3は、もう1つの例示的な実施形態によるインク供給システムを示す図である。
図4図4は、アニロックスロールおよびゴム製の転写ロールのインク過渡試験の結果を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照して、インク転写部材からデジタルオフセット版にインクを供給し、インク転写部材のインク履歴を消去するための方法、装置およびシステムを理解されたい。図面では、同様のまたは同一の部材を示すために、全体にわたって同じ参照符号を用いている。図面は、様々な実施形態およびインク転写部材から画像形成部材にインクを直接供給するための例証的な方法、装置およびシステムの実施形態に関するデータを示している。
【0012】
実施形態の方法、装置およびシステムは、キーがなく、インク転写部材からデジタルオフセット版に色むらなくインクを供給し、転写部材からインク履歴を消去することが好ましい。図1は、実施形態のシステムに含まれたデジタルオフセット構造を示している。具体的には、図1は、媒体転写ニップを共に形成する、中央画像形成シリンダおよび用紙搬送路構造を示している。図1は、中央画像形成シリンダに関して存在するデジタルオフセットのステップを示している。例えば、湿し水使用ステップ100における湿らせるシステムによって、中央画像形成シリンダの表面に一定の湿し水を加えてもよい。デジタル蒸発ステップ200では、中央画像形成シリンダの表面に用いられる湿し水層の特定の部分を、デジタル蒸発システムによって蒸発させてもよい。例えば、湿し水層の部分を、例えばTexas InstrumentsのDLP投影機チップを用いたレーザーパターニングによって蒸発させてもよい。
【0013】
インク供給ステップ300では、インクを、インク供給部材から中央画像形成シリンダの表面に転写することができる。転写されたインクは、湿し水が蒸発した中央画像形成シリンダの表面の部分に接着する。部分的硬化ステップ400では、転写されたインクを、照射、例えばUV硬化によって、部分的に硬化することができる。画像転写ステップ500では、転写されたインクを、媒体転写ニップにおいて紙などの媒体に転写することができる。
【0014】
ステップ600では、中央画像形成シリンダの表面を、清掃システムによって清掃してもよい。例えば、トレース清掃ローラを用いて、中央画像形成シリンダの表面を清掃することができる。
【0015】
図1のインク供給ステップ300に示したように、インク供給システムのインク供給部材およびインク転写部材から、中央画像形成シリンダに、インクを転写してもよい。インク供給部材は、例えば、画像形成部材に転写されるインクを含むためのウェルまたはセルを備えたアニロックスロールであってよい。ウェルは、機械的にまたはレーザーによって刻まれ、多量のインクを含むように構成されていてよい。実施形態のインク供給システムは、1つまたは複数のセルから余分なインクを除去するためのシステムを含んでいる。例えば、インク室によってインク供給部材にインクを付着させることにより、インクがインク供給部材の1つまたは複数のウェルを充填し、あふれ出させてもよい。実施形態の方法によって、1つまたは複数のウェルが水平化され、インク供給部材の表面から余分なインクを、例えばドクターブレードを用いてあふれ出たインクを除去することによって、除去してもよい。
【0016】
例えば、インク室は、ドクターブレードまたは同様の適切な構造と関連していてもよい。ドクターブレードは、インク供給部材の表面からのインク供給部材のセルに付着した余分なインクを調整するように構成されてもよい。チャンバブレードが、インク室と関連していてもよい。チャンバブレードおよびドクターブレードは、チャンバ内にインクを含むように構成されていてもよい。例えば、チャンバブレードと、インク供給部材と、ドクターブレードとは、組み合わされて、インク室内にインクを含むように構成されていてもよい。インクの収容を、サイドシールといったシールによってさらに容易にしてもよい。
【0017】
インク供給部材(例えば、アニロックスロール)は、中央長手方向の軸に対して回転自在に転写するように構成されていてもよい。インク供給部材が第1位置にあるとき、インク室によってインク供給部材の1つまたは複数のセルにインクを付着させてもよい。インク供給部材を、付着したインクが表面にゴムを含むインク転写部材に転写される第2位置まで回転させてもよい。次に、インクを画像形成部材またはデジタルオフセット転写版に転写すてもよい。画像形成部材は、例えば図1に示した中央画像形成シリンダであってもよく、インクは、インク供給ステップ300において、インク供給システムから画像形成部材に転写されてもよい。
【0018】
方法、装置、および、システムの実施形態は、インク転写部材からインクを除去して、ゴースト発生を抑制し、色むらのないインク供給システムを提供することを含む。例えば、方法の実施形態は、ウレタン被覆部材およびセラミック部材の少なくとも1つを用いて、インク転写部材からインクを除去することを含む。
【0019】
インク転写部材は画像形成部材と接しており、インク転写部材から画像形成部材にインクを転写した後、インク転写部材に残ったインクを除去することができる。例えばゴム製のインク転写部材をインクトレインの一部として用いるとき、ゴースト発生は、インクの厚さの過渡変化の存在に因る可能性がある。方法、装置、および、システムの実施形態では、親油性の表面を含むインク除去部材を用いてインクを除去してもよい。例えば、方法、装置、および、システムの実施形態は、親油性のセラミック表面を有するインク除去部材を含んでもよい。インク転写部材は、例えばゴム製の表面を含んでいてもよい。ドクターブレードまたは同等の機構を用いて、清掃部材のセラミック表面からインクを除去してもよい。
【0020】
方法、装置、および、システムの他の実施形態では、インク除去部材が親油性のウレタン表面を含んでいてもよい。親油性のセラミック表面を有する清掃部材を用いて、インク除去部材のウレタン表面からインクを除去してもよい。清掃部材のセラミック表面は、インク除去部材のウレタン表面よりも親油性が低くてもよい。ドクターブレードを用いて、清掃部材の表面からインクを除去してもよい。
【0021】
付着したインクをインク供給部材から画像形成部材またはデジタルオフセット転写版に転写している間に、画像形成部材の表面からの湿し水をインク供給部材に移動させてもよい。実施形態では、インク供給部材を、湿し水がインク供給部材の表面から除去される第3の位置に回転させてもよい。
【0022】
湿し水除去システムが、湿し水を除去するように構成されていてもよい。例えば、湿し水除去システムが、湿し水を除去するように構成されたドクターブレードを含んでいてもよい。他の一実施形態では、湿し水除去システムは、インク供給部材の表面から湿し水を蒸発させるように構成されたエアナイフを含んでいてもよい。もう1つの他の一実施形態では、湿し水除去システムは、画像形成部材からインク供給部材に移動した湿し水を除去するための、少なくとも1つの湿し水ドクターブレードとエアナイフとの組み合わせを含んでいてもよい。
【0023】
図2は、一実施形態による1つの例示的なインク供給システムを示している。具体的には、図2は、インク供給デジタルオフセットシステム200を示している。デジタルオフセットシステム200は、インク供給部材205を備えたインク供給システム201を含んでいる。インク室215が、インク供給部材205に隣接するように位置付けられている。インク室215は、インク供給部材205の1つまたは複数のウェルにインク付着させるように構成されていてもよい。
【0024】
例えば、インク供給部材205は、インク室215によって付着したインクを維持するように構成された1つまたは複数のウェルまたはセルを有する表面を含んでいてもよい。セルは、三重らせん状またはクワッドチャネル状になるようにパターン形成されてもよいし、そうでなければ、好ましくはより滑らかな固体、よりよいインク流動性、および、例えば約400000cpsという高粘度インクの転写を実現するようにパターン形成されていてもよい。このような高粘度インクは、デジタルオフセットを使用するための典型的な選択肢である。セルを、機械的に刻んでもよいし、あるいは、レーザーによって刻んでもよい。
【0025】
インク室215は、チャンバブレード213およびドクターブレード218と関連していてもよい。チャンバブレード213は、インク室215内にインク210を含むように構成されていてもよい。インクの収容力を、ドクターブレード218とチャンバブレード213との組み合わせによって高めてもよい。サイドシールといったシールを用いて、インクの収容力を高めてもよい。
【0026】
図2は、インク室215にインクを含むために構成及び配置されたチャンバブレード213およびドクターブレード218を示している。インク供給部材205はまた、図2に示したように、インク室215内へのインクの収容を容易にするように位置付けられている。インク210を、インク室215によってインク供給部材205の1つまたは複数のセルに付着させてもよい。付着したインクを、画像形成部材220の表面に転写してもよい。
【0027】
一実施形態によって、図2のインク供給システム201は、インク供給部材205に隣接するように位置付けられたインク転写部材225を含んでいる。図2に示したインク供給システム201では、インクをインク供給部材205の表面に付着させてもよい。一実施形態では、インク210を、インク供給部材205の表面によって規定された、あるいは表面に形成された、1つまたは複数のセルに付着させてもよい。
【0028】
インク供給部材205は、図示したように、インク転写部材225に転写するための付着したインクを搬送するために回転させる回転可能なロールであってもよい。例えば、インク供給部材205は、アニロックスロールであってよい。詳細には、インク供給部材205を、インク室215からのインク210をインク供給部材205に付着させることができる第1位置から、インクをインク転写部材225に転写する第2位置に、回転させてもよい。
【0029】
インク転写部材225を、画像形成部材220に隣接するように位置付けてもよい。インク転写部材225は、図示したように、インク供給部材205からインク転写部材225にインクを転写することができる第1位置から、転写されたインクを画像形成部材220に転写する第2位置に回転することができる、回転可能なロールであってよい。
【0030】
インク転写部材225から画像形成部材220にインクを転写した後、インク転写部材225は、画像形成部材220にインクを転写されたインク転写部材225の一部分に残りのインクを含んでいてもよい。インク供給部材205から転写されるインクを受け取るためにインク転写部材225のこの部分が再び位置付けられる前に、残りのインクを除去することが有効である。
【0031】
インク除去部材を含むインク除去システムを用いて、インク転写部材225から残りのまたは余ったインクを除去してもよい。例えば、図2は、インク転写部材225に隣接して操作可能なように位置付けおよび配置されたインク除去部材230を示している。インク除去部材230は、回転可能なロールであり、インク転写部材225が回転する方向とは反対側の方向に回転するように構成されていてもよい。インク除去部材230がインク転写部材225と接すると、残りのインクはインク転写部材225からインク除去部材230に移動することができる。残りのインクをインク除去部材230に移動した後、インクをインク除去部材から除去することができる。例えば、ドクターブレード242を位置付けて、インク除去部材230の表面から、転写された残りのインクを除去してもよい。
【0032】
インク除去部材230の表面は、親油性であってよい。例えば、一実施形態では、インク除去部材230の表面は、セラミックまたはセラミック被覆部材を含んでいてもよい。セラミック被覆部材は、インク転写部材225の表面と接する親油性の表面を提供する。
【0033】
インク転写プロセスの間、画像形成部材220の表面に位置する湿し水を、インク転写部材225に移動させてもよい。インク転写部材225に移動した湿し水を、湿し水除去システムによって除去してもよい。例えば、インク転写部材225は、図2に示したように、インク転写位置から湿し水除去位置に回転可能であってもよい。湿し水除去システムは、エアナイフ246を含んでいてもよい。エアナイフ246は、インク転写部材225の表面から湿し水を除去するように、位置付けられ、構成されていてもよい。
【0034】
図3は、一実施形態による1つの例示的なインク供給システムを示している。詳細には、図3は、インク供給デジタルオフセットシステム300を示している。デジタルオフセットシステム300は、インク310が付着したインク供給部材305を備えたインク供給システム301を含んでいる。インク室315は、インク供給部材305に隣接して位置付けられていてもよい。インク室315は、インク供給部材305の1つまたは複数のウェルにインク310を含み、付着させるように、構成されていてもよい。
【0035】
例えば、インク供給部材305は、インク室315によって付着したインク310を維持するように構成された1つまたは複数のウェルまたはセルを有する表面を含んでいてもよい。セルは、三重らせん状またはクワッドチャネル状にパターン形成されていてもよいし、そうでなければ、より滑らかな固体、よりよいインク流動性、および、例えば約400,000cpsという高粘度インクの転写を実現するように、パターン形成されていてもよい。このような高粘度インクは、デジタルオフセットを使用するための典型的な選択肢である。セルを、機械的に刻んでもよいし、あるいは、レーザーによって刻んでもよい。
【0036】
インク室315は、チャンバブレード313およびドクターブレード318と関連していてもよい。チャンバブレード313は、インク室315内にインク310を含むように構成されていてもよい。インク310の収容力を、ドクターブレード318とチャンバブレード313とを組み合わせることによって高めてもよい。サイドシールといったシールを用いることによって、収容力を高めてもよい。図3は、インク室315にインクを含むように構成及び配置されたチャンバブレード313およびドクターブレード318を示している。インク供給部材305は、図3に示したように、インク室315内へのインクの収容を容易にするように構成され、位置付けられていてもよい。インクをインク室315によってインク供給部材305の1つまたは複数のセルに付着させてもよい。付着したインクを画像形成部材320の表面に転写してもよい。
【0037】
一実施形態によって、図3のインク供給システム301は、インク供給部材305に隣接するように位置付けられたインク転写部材325を含んでいる。図3に示したインク供給システム301では、インクをインク供給部材305の表面に付着させてもよい。例えば、インク310を、インク供給部材305の表面によって規定された、あるいは表面に形成された、1つまたは複数のセルに付着させてもよい。
【0038】
インク供給部材305は、インク転写部材325に転写するための付着したインクを搬送するために回転させることができる、回転可能なロールであってもよい。詳細には、インク供給部材305を、インク室315からのインク310をインク供給部材305に付着させることができる第1位置から、インクをインク転写部材325に転写することができる第2位置に、回転させてもよい。
【0039】
インク転写部材325を、画像形成部材320に隣接するように位置付けてもよい。インク転写部材325は、図示したように、インク供給部材305からインク転写部材325にインクを転写できる第1位置から、転写されたインクを画像形成部材320に転写する第2位置に回転できる、回転可能なロールであってよい。インク転写部材325は、ゴム製または同様の材料を含む表面を含んでいてもよい。
【0040】
インク転写部材325から画像形成部材320にインクを転写した後、インク転写部材325は、画像形成部材320にインクを転写されたインク転写部材325の一部分に残りのインクを含んでいてもよい。インク供給部材305から転写されるインクを受け取るためにインク転写部材325のこの部分が再び位置付けられる前に、残りのインクを除去することが有効である。
【0041】
一実施形態では、図3に示したように、インク除去部材および清掃部材を含むインク除去システムを用いて、インク転写部材325から残りのインクを除去することができる。例えば、図3は、清掃部材330に隣接して操作可能なように位置付けおよび配置されたインク除去部材335を示している。インク除去部材335は、インク転写部材325に隣接して操作可能なように位置付けおよび配置されていてもよい。
【0042】
清掃部材330およびインク除去部材335は、回転可能なロールであってよい。例えば、これらはそれぞれ、直接隣接したロールが回転する方向とは反対方向に回転するように、構成されていてもよい。インク除去部材335がインク転写部材325と接しているとき、インク転写部材325からインク除去部材335に残りのインクを転写してもよい。残りのインクをインク除去部材335に転写した後、インク除去部材335からインクを除去してもよい。
【0043】
清掃部材330は、インク除去部材335と接するように位置付けられ、インク除去部材335からインクを除去してもよい。清掃部材330の表面は親油性であってよい。例えば、一実施形態では、図3に示したように、清掃部材330の表面はセラミックを含んでいてもよい。インク除去部材335の表面はウレタンを含んでいてもよい。インク除去部材335のウレタン表面は、清掃部材330のセラミック表面よりも親油性が高くてもよい。
【0044】
インク除去部材335から清掃部材330によってインクを除去した後、インクを清掃部材330から除去してもよい。例えば、ドクターブレード342が、インク除去部材330の表面から転写された残りのインクを除去するために位置付けられていてもよい。
【0045】
インク転写プロセスの間、画像形成部材320の表面に位置する湿し水を、インク転写部材325に移動する。インク転写部材325に移動した湿し水を、湿し水除去システムによって除去してもよい。一実施形態では、インク転写部材325は、インク転写部材325から画像形成部材320にインクを転写できるインク転写位置から、湿し水除去システムが位置付けられた第2位置に、回転可能であってよい。図3に示したように、湿し水除去システムは、エアナイフ346を含んでいてもよい。エアナイフ346は、インク転写部材325の表面から湿し水を除去するように位置付けられ、構成されていてよい。
【0046】
実施形態のインク供給部材は、アニロックスロールであってよい。インク供給システムに用いられるインクは、高粘度インクであってよい。例えば、インクの粘度は約400,000cpsを有してもよい。この粘度および同様の粘度のインクを実現しやすくするために、アニロックスロールは、高粘度インク収納型のセルを規定する表面を含むように構成されていてもよい。
【0047】
インク供給部材の表面は、三重らせん構造をしたセル型を含むか、または規定していてもよい。あるいは、インク供給部材の表面によって、クワッドチャネル構成を有するようにパターン形成されたセル型を規定していてもよい。このようなセルまたはインクウェルタイプは、より滑らかな固体、よりよいインク流動性、および高粘度インクの改善された転写を実現する。したがって、このようなセル型構造は、特に、通常デジタルオフセットプロセスに用いられるインクに適している可能性がある。実施形態では、インク供給部材は、機械的に刻まれたか、あるいは、レーザーによって刻まれたセルを備えたアニロックスロールであってよい。
【0048】
過渡試験は、インク転写ロールにおいて生じるインクの厚さの過渡変化を示している。試験は、定常状態のインクの厚さに到達するために、過渡変化に関するインク転写ロールの回転数が約3〜4であることを示している。
【0049】
例えば、図4は、アニロックスロールおよびゴム製の転写ロールのインク過渡試験の結果を示すグラフである。実際に、図4に示したように、定常状態のインクの厚さに到達するために、過渡変化に関するインク転写ロールの回転数は、3〜4程度であってよい。例えばゴム製のインク転写部材をインクトレインの一部として用いた場合、ゴースト発生は、インクの厚さの過渡変化の存在に因るものである可能性がある。
【0050】
実施形態によるシステムは、インク供給システムから画像形成部材、例えばデジタルオフセット版またはデジタルオフセット表面にインクを転写した後、インク転写部材を清掃することによって、他の望ましくない影響を減少させると共に、ゴースト発生の低減を達成する。さらに、実施形態によるシステムは、例えばドクターブレードとエアナイフとのうちの少なくとも1つを備えた湿し水除去システムを用いて、インク供給部材の表面から湿し水を除去することを含んでもよい。
図1
図2
図3
図4