特許第6161035号(P6161035)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6161035
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】キーユニット
(51)【国際特許分類】
   E05B 19/00 20060101AFI20170703BHJP
【FI】
   E05B19/00 J
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-19516(P2014-19516)
(22)【出願日】2014年2月4日
(65)【公開番号】特開2015-145599(P2015-145599A)
(43)【公開日】2015年8月13日
【審査請求日】2016年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000155067
【氏名又は名称】株式会社ホンダロック
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】臼崎 雄一
(72)【発明者】
【氏名】荒井 高志
(72)【発明者】
【氏名】田部 浩一
【審査官】 佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/129601(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0145187(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能なケース(13)と、ドア用ロック機構の施錠状態および解錠状態を切替える無線信号の発信を可能としつつ前記ケース(13)とともに携帯機(10)の一部を構成するようにして前記ケース(13)に収容される発信ユニット(23)と、前記ドア用ロック機構の施錠状態および解錠状態を機械的な操作に応じて切替えることを可能とするとともに前記ケース(13)内に少なくとも一部が挿脱可能に収容されるメカニカルキー(11)とで構成されるキーユニットにおいて、
前記ケース(13)内で前記メカニカルキー(11)に当接することを可能とするとともに前記メカニカルキー(11)の少なくとも一部の前記ケース(13)内への収容状態および非収容状態で位置を変化するようにして前記ケース(13)に変位可能に支持される移動部材(46)と、該移動部材(46)の変位によってスイッチング態様を変化するようにして前記発信ユニット(23)に配設されるスイッチ(47)とを備える検知手段(45)が、前記メカニカルキー(11)の収容状態を検知している状態でのみ前記発信ユニット(23)の作動を許容するようにして前記携帯機(10)に設けられ、前記ケース(13)内に収容された前記メカニカルキー(11)を前記移動部材(46)に当接させる側に付勢する弾発力を発揮する検知用弾発部材(68)が、前記メカニカルキー(11)を挟んで前記移動部材(46)と対向するようにして、前記ケース(13)の内面に取付けられることを特徴とするキーユニット。
【請求項2】
相互に対向する側を開放した皿状に形成されるとともに分離可能に結合される第1および第2ケース部材(14,15)で前記ケース(13)の少なくとも一部が構成され、ユニットケース(24)に収容される前記発信ユニット(23)が第1ケース部材(14)に収容、固定され、第2ケース部材(15)に、前記メカニカルキー(11)に弾発的に接触して該メカニカルキー(11)を前記ユニットケース(24)に押しつけることでばたつきを抑えるためのばたつき抑制用弾発部材(54)が収容されるとともに、そのばたつき抑制用弾発部材(54)を第2ケース部材(15)との間に挟むようにして前記検知用弾発部材(68)が取付けられることを特徴とする請求項1に記載のキーユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉可能なケースと、ドア用ロック機構の施錠状態および解錠状態を切替える無線信号の発信を可能としつつ前記ケースとともに携帯機の一部を構成するようにして前記ケースに収容される発信ユニットと、前記ドア用ロック機構の施錠状態および解錠状態を機械的な操作に応じて切替えることを可能とするとともに前記ケース内に少なくとも一部が挿脱可能に収容されるメカニカルキーとで構成されるキーユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
メカニカルキーによる機械的な操作で施錠および解錠を切換可能とした住宅用ドアのロック機構に、携帯機による遠隔操作でも施錠および解錠を切換可能とするための電動駆動装置を後付けでドアに取付けるようにしたものが、特許文献1で知られており、このようなものでは、電動駆動装置の取付け前に使用していたメカニカルキーは基本的には不要となるのであるが、電動駆動装置の不調等に備えて緊急用にメカニカルキーを携帯しておいた方が安全である。そのため携帯機およびメカニカルキーをともに携帯するにあたって、別々にバッグやポケット内に収容するようにすると、嵩張ってしまい不便である。そこで特許文献2で開示されるように、携帯機およびメカニカルキーを1つのケース内に収容するようにしたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7−25175号公報
【特許文献2】実用新案登録第3094648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献2で開示されるように、携帯機およびメカニカルキーを1つのケース内に収容すると便利ではあるが、ケース内へのメカニカルキーの収容を忘れ、緊急時の対処が困難となる可能性がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、携帯機およびメカニカルキーをコンパクトに纏めて携帯性を高めることができるようにした上に、ケース内へのメカニカルキーの収容を忘れることがないようにしたキーユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、開閉可能なケースと、ドア用ロック機構の施錠状態および解錠状態を切替える無線信号の発信を可能としつつ前記ケースとともに携帯機の一部を構成するようにして前記ケースに収容される発信ユニットと、前記ドア用ロック機構の施錠状態および解錠状態を機械的な操作に応じて切替えることを可能とするとともに前記ケース内に少なくとも一部が挿脱可能に収容されるメカニカルキーとで構成されるキーユニットにおいて、前記ケース内で前記メカニカルキーに当接することを可能とするとともに前記メカニカルキーの少なくとも一部の前記ケース内への収容状態および非収容状態で位置を変化するようにして前記ケースに変位可能に支持される移動部材と、該移動部材の変位によってスイッチング態様を変化するようにして前記発信ユニットに配設されるスイッチとを備える検知手段が、前記メカニカルキーの収容状態を検知している状態でのみ前記発信ユニットの作動を許容するようにして前記携帯機に設けられ、前記ケース内に収容された前記メカニカルキーを前記移動部材に当接させる側に付勢する弾発力を発揮する検知用弾発部材が、前記メカニカルキーを挟んで前記移動部材と対向するようにして、前記ケースの内面に取付けられることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、相互に対向する側を開放した皿状に形成されるとともに分離可能に結合される第1および第2ケース部材で前記ケースの少なくとも一部が構成され、ユニットケースに収容される前記発信ユニットが第1ケース部材に収容、固定され、第2ケース部材に、前記メカニカルキーに弾発的に接触して該メカニカルキーを前記ユニットケースに押しつけることでばたつきを抑えるためのばたつき抑制用弾発部材が収容されるとともに、そのばたつき抑制用弾発部材を第2ケース部材との間に挟むようにして前記検知用弾発部材が取付けられることを第2の特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1の特徴によれば、携帯機のケースが開閉可能に構成され、そのケース内に、メカニカルキーの少なくとも一部が収容されるので、携帯機およびメカニカルキーをコンパクトに纏めて携帯性を高めることができ、携帯機によるキーレスエントリーに不具合が生じても、ケースを開くことで通常時には携帯を意識していないが実際には携帯しているメカニカルキーを容易に取り出して、メカニカルキーによる機械的な操作でドア用ロック機構の施錠状態および解錠状態を切替えることができ、非常時に困ることがない。また検知手段がケース内へのメカニカルキーの収容状態を検知していない状態では発信ユニットの作動が不能となるので、ケース内へのメカニカルキーの収容を忘れることがなく、緊急時に必ず対処することができる。しかも検知手段が、メカニカルキーに当接可能としてケースに変位可能に支持される移動部材と、該移動部材の変位によってスイッチング態様を変化スイッチとを備えるものであり、メカニカルキーを移動部材に当接させる側に付勢する弾発力を発揮する検知用弾発部材が、メカニカルキーを挟んで移動部材と対向するようにしてケースの内面に取付けられるので、メカニカルキーの厚さが薄くても該メカニカルキーのケースへの収容状態を確実に検知することができる。
【0009】
また本発明の第2の特徴によれば、ばたつき抑制用弾発部材がメカニカルキーをユニットケースに押しつけることでケース内でのメカニカルキーのばたつきを抑えることが可能であり、しかも検知用弾発部材がばたつき抑制用弾発部材を第2ケース部材との間に挟むようにして第2ケース部材に取付けられるので、ばたつき抑制用弾発部材だけを取付ける作業を不要としつつ、分離可能に結合される第1および第2ケース部材を電池交換等のために開いたときに、ばたつき抑制用弾発部材が第2ケース部材から脱落してしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】キーユニットの正面図である。
図2】蓋部材を外した状態でのキーユニットの斜視図である。
図3】メカニカルキーの収容状態での図1の3−3線断面図である。
図4】ケース主部の分解斜視図である。
図5】メカニカルキーの非収容状態での図3に対応した断面図である。
図6】第1ケース部材およびマグネットホルダの分解斜視図である。
図7図3の7−7線断面図である。
図8図1の8−8線断面図である。
図9】検知用弾発部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について添付の図1図9を参照しながら説明すると、先ず図1図3において、携帯機10は、メカニカルキー11と協働してキーユニット12を構成するものであり、携帯機10のケース13の少なくとも一部は、相互に対向する側を開放した皿状に形成されるとともに分離可能に結合される合成樹脂製の第1および第2ケース部材14,15で構成され、この実施の形態では、第1および第2ケース部材14,15が結合されて成るとともに前記メカニカルキー11の一部が収容されるケース主部16と、該ケース主部16からの前記メカニカルキー11の突出部であるキーヘッド11aを覆うようにして前記ケース主部16に着脱可能に取付けられる蓋部材17とで、前記ケース13が構成される。
【0012】
図4を併せて参照して、第1ケース部材14の開口端部の外周側には、周方向の一部が切欠かれた筒状に形成されて第2ケース部材15側に突出する外側突部14aが一体に設けられ、第2ケース部材15の開口端部の内周側には、周方向一部が切欠かれた筒状に形成されて第1ケース部材14側に突出する内側突部15aが前記外側突部14a内に嵌合するようにして一体に設けられる。しかも周方向複数箇所で前記外側突部14aの内周面に形成される係止凹部18に弾発係合する複数の係合突部19が前記内側突部15aの外周面の周方向複数箇所に突設される。
【0013】
前記係止凹部18に前記係合突部19を弾発係合させるようにして前記外側突部14aに前記内側突部15aを嵌合することで、第1および第2ケース部材14,15が相互に結合されて前記ケース主部16が構成される。しかも第1および第2ケース部材14,15の開口端縁には、相互に対応して外方に開口する差し込み凹部20,21が形成されており、それらの差し込み凹部20,21に差し込んだコイン等を捩じる操作を行うことで前記係止凹部18への前記係合突部19の弾発係合を解除して第1および第2ケース部材14,15を相互に分離させ、前記ケース主部16を開放することが可能である。
【0014】
図3および図5に注目して、前記ケース13内には、たとえば住宅のドアに設けられるドア用ロック機構(図示せず)の施錠状態および解錠状態を切替える無線信号の発信を可能とした発信ユニット23が収容されており、この実施の形態では、前記ケース13の一部を構成するケース主部16に発信ユニット23が収容され、特に、ケース主部16の第1ケース部材14側に前記発信ユニット23のユニットケース24が収容される。
【0015】
前記ユニットケース24は、合成樹脂から成る第1および第2ユニットケース部材25,26が分離可能として相互に弾発係合されて成り、第2ユニットケース部材26との間に電子部品収容室27を形成するシールラバー28の外周部が第1および第2ユニットケース部材25,26間に気密に挟持される。また前記シールラバー28には、前記電子部品収容室27内に収容される基板29の外周部が嵌合支持されており、第2ユニットケース部材26には、前記基板29を支持する複数の支持突部26aが一体に突設される。また前記電子部品収容室27内で前記基板29および第2ユニットケース部材26間にはボタン電池30が収容、固定される。
【0016】
前記ケース13の前記ケース主部16における第1ケース部材14には、前記ケース主部16内に一部が収容されたメカニカルキー11の長手方向に間隔をあけた位置に配置される矩形状の第1および第2窓31,32が設けられており、第1および第2窓31,32に個別に対応した第1および第2開口部33,34が、前記ユニットケース24の第1ユニットケース部材25に設けられる。
【0017】
前記基板29の前記ボタン電池30とは反対側の面には、押圧力の作用によってオン状態となる第1および第2スイッチ35,36が前記ユニットケース24の第1および第2開口部33,34に個別に対応して取付けられており、前記シールラバー28には、第1および第2スイッチ35,36に個別に当接する第1および第2押圧部28a,28bが、相互に独立して撓むことができるようにして形成される。
【0018】
また第1窓31および第1開口部33には、第1押圧部28aに内端部を当接させる施錠用押しボタン37が摺動可能に嵌合され、第2窓32および第2開口部34には、第2押圧部28bに内端部を当接させる解錠用押しボタン38が摺動可能に嵌合される。
【0019】
メカニカルキー11の一部が前記ケース主部16に収容された状態で、施錠用押しボタン37の操作に応じて第1スイッチ35がオン状態になると、前記発信ユニット31は、前記ドア用ロック機構を施錠状態とするための無線信号を発信し、前記解錠用押しボタン38の操作に応じて第2スイッチ36がオン状態になると、前記発信ユニット31は、前記ドア用ロック機構を解錠状態とするための無線信号を発信する。
【0020】
また前記ケース主部16における第1ケース部材14には、第1窓31を第2窓32との間に挟む位置に配置される小さな第3窓39が設けられ、第3窓39に対応した第3開口部40が前記ユニットケース24の第1ユニットケース部材25に設けられる。
【0021】
前記基板29の前記ボタン電池30とは反対側の面には、発信ユニット31からの無線信号の発信時に発光する発光ダイオード41が取付けられており、透光性を有する材料から成る前記シールラバー28には、前記発光ダイオード41からの光を導く導光部28cが一体に設けられ、この導光部28cは、その外端を第3窓39に臨ませるようにして第3開口部40および第3窓39に嵌入される。
【0022】
前記携帯機10には、前記ケース13における前記ケース主部16内に前記メカニカルキー11の一部が収容されたことを検知する検知手段45が、前記メカニカルキー11の一部が前記ケース主部16に収容されている状態でのみ前記発信ユニット23の作動を許容するようにして設けられる。
【0023】
この検知手段45は、前記ケース主部16内で前記メカニカルキー11に当接することを可能とするとともにメカニカルキー11の一部の前記ケース主部16内への収容状態および非収容状態で位置を変化するようにして前記ケース主部16に変位可能に支持される移動部材としてのマグネットホルダ46と、該マグネットホルダ46の変位によってスイッチング態様を変化するようにして前記発信ユニット23に配設されるスイッチ47とを備えており、前記スイッチ47は、前記マグネットホルダ46に取付けられるマグネット48がマグネットホルダ46とともに変位するのに応じてスイッチング態様を変化させる近接スイッチであり、前記ユニットケース24内の前記基板29に取付けられる。
【0024】
前記ケース主部16における第1および第2ケース部材14,15間には、メカニカルキー11の一部が前記ケース主部16に収容されている状態ではメカニカルキー11のキーヘッド11a側を前記ケース主部16から突出させる挿入口49が形成されており、その挿入口49の近傍で前記第1ケース部材14に前記マグネットホルダ46が摺動可能に支持される。
【0025】
図6図8を併せて参照して、前記マグネットホルダ46は、前記ケース主部16内に収容されたメカニカルキー11に第1ケース部材14側から当接することを可能として前記発信ユニット23のユニットケース24における第2ユニットケース部材26および前記メカニカルキー11間に配置されるようにして略T字状に形成される平板状の当接板部46aと、前記当接板部46aの中央部に連なって第1ケース部材14側に延びる筒状のばね収容筒部46bと、ばね収容筒部46bの両側に配置されて前記当接板部46aに連なるとともに前記ばね収容筒部46b側に開いた横断面略U字状の摺動ガイド部46c,46cとを一体に有する。
【0026】
一方、前記ケース主部16の第1ケース部材14には、前記ばね収容筒部46bを摺動可能に嵌合させる嵌合筒部14bと、前記摺動ガイド部46c,46cを第1ケース部材14の周壁と協働してガイドするガイド壁14c,14cとが一体に設けられ、前記ばね収容筒部46b内に収容されるコイル状のばね50がマグネットホルダ46および第1ケース部材14間に縮設される。したがってマグネットホルダ46は、その当接板部46aを第2ケース部材15に近接させる側にばね付勢されることになる。
【0027】
前記マグネットホルダ46は、前記ばね収容筒部46bの両側で前記摺動ガイド部46c,46cをそれぞれ横断するように配置される一対の壁部46d,46dを一体に有しており、それらの壁部46d,46dには、マグネットホルダ46の摺動方向に長く延びる規制孔51,51が形成される。一方、第1ケース部材14には、前記壁部46d,46dの外側に配置されて前記マグネットホルダ46の摺動方向で第1ケース部材14側に延びる腕部14d,14dが一体に設けられており、それらの腕部14d,14dの先端に設けられる規制爪部14e,14eが、前記規制孔51,51にスライド可能に挿入される。これにより前記マグネットホルダ46の第2ケース部材15側への移動端は、前記ケース主部16にメカニカルキー11が収容されていない状態で、前記規制爪部14e,14eが前記規制孔51,51の第1ケース部材14側の端縁に係合することで規制される。
【0028】
前記マグネット48は、前記当接板部46aのうち前記発信ユニット23のユニットケース24に第2ケース部材15側から近接、対向する部分に取付けられる。
【0029】
ところで前記ケース主部16の第2ケース部材15内には、メカニカルキー11のうち前記ケース主部16内に挿入される部分に弾発的に接触して前記メカニカルキー11を発信ユニット23のユニットケース24に押しつけてばたつきを抑えるためのばたつき抑制用弾発部材54が収容される。
【0030】
このばたつき抑制用弾性部材54は、メカニカルキー11のうち前記ケース主部16内に収容される部分の幅に対応した幅を有してメカニカルキー11の長手方向に長い矩形の枠状に形成される弾発部材主部54aと、その弾発部材主部54aの前記挿入孔49とは反対側の端部に一体に連なるとともに前記メカニカルキー11の長手方向に斜めに交差するように傾斜しつつ前記発信ユニット23と反対側に延びる弾発腕部54bとを一体に有して、合成樹脂等の弾性材料によって形成される。
【0031】
前記ばたつき抑制用弾性部材54は、メカニカルキー11の長手方向に平行に延びて第2ケース部材15の内面に一体に突設されるガイド壁15b,15b内に嵌合されるものであり、両ガイド壁15b,15b間に前記ばたつき抑制用弾性部材54が嵌合された状態で、前記弾発腕部54bの先端部は第2ケース部材15に当接され、前記弾発腕部54bは、弾発部材主部54aを発信ユニット23に近接させる側に変位させるような弾発力を発揮することができる。
【0032】
前記弾発部材主部54aの両側壁の前部および後部の4箇所にはガイド突部54cがそれぞれ突設されており、前記ガイド壁15b,15bには、それらのガイド突部54cを個別にスライド可能に嵌合させるガイド孔55が、第2メカニカルキー11Bの長手方向に直交する方向に長く延びるように形成される。
【0033】
また弾発腕部54bの先端部には両側に突出する位置決め突部54d,54dが一体に設けられており、それらの位置決め突部54dを前記メカニカルキー11の長手方向両側から挟む一対ずつ2組の規制突部56,56が前記第2ケース部材15に一体に突設される。
【0034】
前記弾性部材主部54aの前記挿入口49側の端部には、前記挿入口49からメカニカルキー11が挿入される際に、そのメカニカルキー11の先端部に当接するガイド面57が、メカニカルキー11で押されることで前記ガイド部材主部54aを前記発信ユニット23から離間する側に移動させるように傾斜して形成される。
【0035】
前記弾性部材主部54aの前記発信ユニット23側の面には、メカニカルキー11に接触するゴム板58が装着される。このゴム板58は、前記弾性部材主部54aに対応して矩形の枠状に形成されるものであり、前記弾性部材主部54aに突設された一対の嵌合突起59,59を、前記ゴム板58に設けられる嵌合孔60,60に嵌合することでゴム板58が弾性部材54に装着される。
【0036】
前記ゴム板58は、メカニカルキー11に接触することで、メカニカルキー11の挿脱方向へのスライドに対する摩擦抵抗を得ることができ、メカニカルキー11の前記ケース主部16内での不所望なスライド動作を抑制することが可能となる。
【0037】
また前記発信ユニット23におけるユニットケース24の第2ユニットケース部材26には、前記ガイド孔55の前記発信ユニット23側の端部に挿入される4つの突部26bが一体に突設されており、これらの突部26bで前記ガイド孔55の前記発信ユニット23側の端部が閉じられることにより、ケース主部16内にメカニカルキー11が収容されていない状態では、前記ガイド部材54aの前記ガイド突部54cが、前記突部26bに弾発的に当接することにおなり、ばたつき抑制用弾性部材54がケース主部16内でがたつくことはない。
【0038】
前記ケース主部16には、該ケース主部16の外形よりも小さな外形を有して前記蓋部材17側に突出する嵌合部61が形成されており、この嵌合部61は、第1ケース部材14に一体に設けられて前記蓋部材17側に突出する突部14fと、第2ケース部材15に一体に設けられて突出する突部15cとで構成され、この嵌合部61の突出端部に前記挿入口49が形成される。
【0039】
前記蓋部材17は、前記嵌合部61を開口端部に嵌合するようにして合成樹脂によって袋状に形成されており、この蓋部材17の両側部に一体に形成されて前記ケース主部16側に延出される係合腕部62,62の先端部に係合爪63,63が一体に形成される。一方、前記ケース主部16における第1ケース部材14には、前記係合腕部62,62の先端部を挿脱可能に挿入させ得る係止凹部64,64が、第2ケース部材15側および前記蓋部材17側に開放するようにして形成されており、この係止凹部64,64内に配置される係止部65,65が前記係合爪63,63を弾発的に係合することを可能として第1ケース部材14に一体に形成される。
【0040】
そして前記係合腕部62,62の先端部を前記係止凹部64,64内に挿入することで係合爪63,63が係止部65,65に弾発的に係合して蓋部材17がケース主部16に取付けられることになり、また蓋部材17の前記ケース主部16への取付け状態で前記係合腕部62,62を蓋部材17の幅方向内方側に押えることによって、係合爪63,63の係止部65,65への弾発係合が解除され、蓋部材17をケース主部16から取り外すことができる。
【0041】
図9を併せて参照して、前記ケース13の前記ケース主部16における第2ケース部材15の内面には、前記ケース主部16内に一部が収容された前記メカニカルキー11を前記マグネットホルダ46に当接させる側に付勢する弾発力を発揮する検知用弾発部材68が、前記メカニカルキー11を挟んで前記マグネットホルダ46と対向するようにして取付けられる。
【0042】
この検知用弾発部材68は、第2ケース部材15の内面に当接する平板状の支持板部68aと、前記マグネットホルダ46の前記当接板部46aとの間に前記メカニカルキー11を挟むようにして該メカニカルキー11の前記当接板部46aとは反対側の面に先端部を当接させる一対の当接部68b,68bと、それらの当接板部68b,68bの基端部を相互に連結する連結板部68cと、前記連結板部68cおよび前記支持板部68aの一端間を結ぶようにして円弧状に湾曲した一対の湾曲部68d,68dと、前記ばたつき抑制用弾性部材54における前記弾発腕部54bの先端部を第2ケース部材15との間に挟むようにして前記支持板部68aの他端に連設される押さえ板部68eとを一体に有するように形成される。
【0043】
前記支持板部68aの前記一端寄りの部分に形成される挿通孔69には、第2ケース部材15の内面に突設された支持突部71が挿入され、前記挿通孔69の周縁のうち前記押さえ板部68eとの間に前記支持突部71を挟む側の縁部には、前記支持突部71の外周に前記マグネットホルダ46および前記メカニカルキー11とは反対側から食い込む爪部68fが連設される。また前記支持板部68aの一端部、一対の前記湾曲部68d,68dおよび前記連結板部68cで矩形の窓70が形成されるものであり、その窓70の周縁部の一部を構成する前記支持板部68aの一端縁には、第2ケース部材15が一体に有する前記突部15cの内端に前記マグネットホルダ46および前記メカニカルキー11とは反対側から食い込む爪部68gが連設される。すなわち前記検知用弾発部材68は、その支持板部68aを第2ケース部材15に押し込むことで第2ケース部材15に固定される。
【0044】
前記検知用弾発部材68が第2ケース部材15に固定された状態で、前記湾曲部68d,68dを撓ませるようにして前記メカニカルキー11が前記ケース主部16に挿入されると、前記湾曲部68d,68dが発揮する弾発力で、前記メカニカルキー11が前記マグネットホルダ46の前記当接板部46aに押しつけられることになる。また前記検知用弾発部材68が第2ケース部材15に固定された状態で、前記ばたつき抑制用弾性部材54における前記弾発腕部54bの先端部は、前記検知用弾発部材68の前記押さえ板部68eおよび第2ケース部材15間に挟まれることになり、前記ばたつき抑制用弾性部材54の第2ケース部材15からの離脱も阻止されることになる。
【0045】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、携帯機10のケース13が開閉可能に構成され、そのケース13内に、メカニカルキー11の少なくとも一部が収容されるので、携帯機10およびメカニカルキー11をコンパクトに纏めて携帯性を高めることができ、携帯機10によるキーレスエントリーに不具合が生じても、ケース13を開くことで通常時には携帯を意識していないが実際には携帯しているメカニカルキー11を容易に取り出して、メカニカルキー11による機械的な操作でドア用ロック機構の施錠状態および解錠状態を切替えることができ、非常時に困ることがない。また検知手段45がケース13内へのメカニカルキー11の収容状態を検知していない状態では発信ユニット23の作動が不能となるので、ケース13内へのメカニカルキー11の収容を忘れることがなく、緊急時に必ず対処することができる。
【0046】
しかも検知手段45が、開閉可能なケース13内でメカニカルキー11に当接することを可能とするとともに前記メカニカルキー11の少なくとも一部の前記ケース13内への収容状態および非収容状態で位置を変化するようにして前記ケース13に変位可能に支持されるマグネットホルダ46と、該マグネットホルダ46の変位によってスイッチング態様を変化するようにして発信ユニット23に配設されるスイッチ47とを備えるものであり、前記ケース13内に収容された前記メカニカルキー11を前記マグネットホルダ46に当接させる側に付勢する弾発力を発揮する検知用弾発部材68が、前記メカニカルキー11を挟んで前記マグネットホルダ46と対向するようにして、ケース13の内面に取付けられるので、メカニカルキー11の厚さが薄くても該メカニカルキー11のケース13への収容状態を確実に検知することができる。
【0047】
また相互に対向する側を開放した皿状に形成されるとともに分離可能に結合される第1および第2ケース部材14,15でケース13の少なくとも一部、この実施の形態ではケース13の一部を構成するケース主部16が構成され、ユニットケース24に収容される発信ユニット23が第1ケース部材14に収容、固定され、第2ケース部材15に、前記メカニカルキー11に弾発的に接触して該メカニカルキー11を前記ユニットケース24に押しつけることでばたつきを抑えるためのばたつき抑制用弾発部材54が収容されるとともに、そのばたつき抑制用弾発部材54を第2ケース部材15との間に挟むようにして前記検知用弾発部材68が取付けられるので、ばたつき抑制用弾発部材54だけを取付ける作業を不要としつつ、分離可能に結合される第1および第2ケース部材14,15を電池交換等のために開いたときに、ばたつき抑制用弾発部材54が第2ケース部材15から脱落してしまうことを防止することができる。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0049】
10・・・携帯機
11・・・メカニカルキー
12・・・キーユニット
13・・・ケース
14・・・第1ケース部材
15・・・第2ケース部材
23・・・発信ユニット
24・・・ユニットケース
45・・・検知手段
46・・・移動部材であるマグネットホルダ
47・・・スイッチ
54・・・ばたつき抑制用弾発部材
68・・・検知用弾発部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9