(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6161092
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】無人搬送車
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20060101AFI20170703BHJP
B61B 13/00 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
G05D1/02 A
B61B13/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-82683(P2016-82683)
(22)【出願日】2016年4月18日
【審査請求日】2016年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】ニチユ三菱フォークリフト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 典彦
【審査官】
黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】
実開平03−034110(JP,U)
【文献】
特開2002−283821(JP,A)
【文献】
特開平04−242404(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第00577910(EP,A1)
【文献】
特開平01−115765(JP,A)
【文献】
特開平02−028052(JP,A)
【文献】
特開平09−269819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
B61B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
路面に設けられた磁気体の磁気を検出するための磁気センサと、
前記車体が走行する走行方向に対して直角かつ水平な直角方向に互いに間隔をあけて配置され、前記路面を前記走行方向に転動する一対のローラと、
前記磁気センサ及び一対の前記ローラを、前記車体に対して、前記磁気センサの上方かつ一対の前記ローラ間で前記走行方向にのびる軸線の周りに揺動可能に支持するスイング機構と、
前記スイング機構を、前記車体に対して上下方向にスライド移動可能に支持し、下方に付勢するスライド機構と、を備え、
前記スイング機構は、
前記軸線を有し、前記走行方向にのびる揺動シャフトと、
前記揺動シャフトの周りに揺動可能に設けられ、前記磁気センサ及び一対の前記ローラを支持するブラケットと、を備え、
前記ブラケットは、
前記揺動シャフトに揺動可能に取り付けられ、前記磁気センサの前記走行方向の両側に配置された一対の第1プレートを備え、
一対の前記第1プレートは、それぞれ、前記磁気センサの対向面全体をカバーし、
前記磁気センサは、一対の前記第1プレートの少なくともいずれか一方に取り付けられている、
ことを特徴とする無人搬送車。
【請求項2】
前記ブラケットは、さらに、
一対の前記第1プレートの前記直角方向の両端に配置され、一対の前記第1プレートを互いに接続する一対の第2プレートを備え、
一対の前記第2プレートは、それぞれ、前記磁気センサの対向面全体をカバーし、
一方の前記ローラが一方の前記第2プレートに取り付けられ、他方の前記ローラが他方の前記第2プレートに取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の無人搬送車。
【請求項3】
前記車体が走行する際に前記路面を清掃するための2つの清掃ブラシを備え、
一方の前記清掃ブラシが一方の前記第1プレートの下端に取り付けられ、他方の前記清掃ブラシが他方の前記第1プレートの下端に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無人搬送車。
【請求項4】
車体と、
路面に設けられた磁気体の磁気を検出するための磁気センサと、
前記車体が走行する走行方向に対して直角かつ水平な直角方向に互いに間隔をあけて配置され、前記路面を前記走行方向に転動する一対のローラと、
前記磁気センサ及び一対の前記ローラを、前記車体に対して、前記磁気センサの上方かつ一対の前記ローラ間で前記走行方向にのびる軸線の周りに揺動可能に支持するスイング機構と、
前記スイング機構を、前記車体に対して上下方向にスライド移動可能に支持し、下方に付勢するスライド機構と、を備え、
前記スイング機構は、
前記軸線を有し、前記走行方向にのびる揺動シャフトと、
前記揺動シャフトの周りに揺動可能に設けられ、前記磁気センサ及び一対の前記ローラを支持するブラケットと、を備え、
前記スライド機構は、
前記走行方向に直角な前記車体の面に取り付けられて上下方向にのびるガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って上下方向にスライド移動可能に前記ガイドレールに取り付けられ、前記揺動シャフトを支持するスライダと、
前記揺動シャフトを下方に付勢する付勢部材と、を備える、
ことを特徴とする無人搬送車。
【請求項5】
車体と、
路面に設けられた磁気体の磁気を検出するための磁気センサと、
前記車体が走行する走行方向に対して直角かつ水平な直角方向に互いに間隔をあけて配置され、前記路面を前記走行方向に転動する一対のローラと、
前記磁気センサ及び一対の前記ローラを、前記車体に対して、前記磁気センサの上方かつ一対の前記ローラ間で前記走行方向にのびる軸線の周りに揺動可能に支持するスイング機構と、
前記スイング機構を、前記車体に対して上下方向にスライド移動可能に支持し、下方に付勢するスライド機構と、
前記車体が走行する際に前記路面を清掃するための清掃ブラシと、を備え、
前記清掃ブラシは、前記スイング機構によって前記車体に対して前記軸線の周りに揺動可能に支持される、
ことを特徴とする無人搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面に設けられた磁気体の磁気を検出する磁気センサを有する無人搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
無人搬送車によってワークを搬送する無人搬送システムでは、従来から、無人搬送車の走行誘導方式として、磁気検出を利用した磁気誘導方式や(例えば特許文献1−3等参照)、画像検出を利用した画像誘導方式が採用されている。
【0003】
磁気誘導方式では、例えば
図3Aの通り、磁気センサ2が、路面Fに対向するように車体10に取り付けられ、磁気体Mが、走行経路に沿って適宜の間隔をあけて路面Fに埋設されている。通常は、2つの磁気センサ2が、車体10の走行方向(紙面に直角な方向)に間隔をあけて車体10に取り付けられている。無人搬送車1’は、2つの磁気センサ2によって磁気体Mの磁気を検出し、その検出結果に基づいて車輪11a、11bを駆動及び操舵することで、車体10の姿勢角を適切に維持しながら走行経路に沿って走行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−252337号公報
【特許文献2】特開2001−255938号公報
【特許文献3】特開2001−117639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無人搬送車1’の走行精度を維持するためには、磁気センサ2と路面F(磁気体M)とを常に所定距離内に保ち、磁気センサ2が検出する検出磁力が弱くならないようにする必要がある。このためには、磁気センサ2を路面Fに極力近づけて車体10に固定しておけばよい。
【0006】
しかしながら、経年劣化によって、路面Fに起伏が生じたりすることがあり、路面Fが必ずしも平坦であるとは限らないので、磁気センサ2を路面Fに近づけすぎると路面Fに接触して、故障する虞がある。例えば、
図3Bの通り、無人搬送車1’が走行経路に沿って幾度となく走行すると、路面Fには轍Tが形成される。車輪11a、11bが轍Tにあるときには車体10と路面Fとの間隔が狭くなって、磁気センサ2が路面Fに接触してしまう。
【0007】
また、車体10は、走行方向の前部の左右に及び後部の左右に車輪11a、11bを備えるものであり、路面Fの傾斜の如何によっては、
図3Cの通り、車体10が傾き、磁気センサ2と磁気体Mとの距離が大きくなり、検出磁力が弱くなってしまう。その結果、例えば、チャタリングが生じ、無人搬送車1’はその姿勢角が不安定な状態で走行経路に沿って走行したりする等、無人搬送車1’の走行精度が悪くなる。
【0008】
これを回避するために、
図3Cの通り、磁気体Mを上下二段に埋設するといったことが行なわれるが、無人搬送システム中には多数の磁気体Mが走行経路に沿って埋設されるものなので、この構成は非常にコストがかかってしまう。また、磁気センサ2を上下二段で埋設するためには、路面Fをより深く掘らないといけないので、施工コストは高く、施工時間は長く、廃棄物の量も増える。
【0009】
以上のように、従来の無人搬送車1’は、路面Fの凹凸、傾斜等の起伏の影響を受けて、磁気センサ2が磁気体Mの磁気を適切に検出できないことがあった。
【0010】
本発明は、磁気センサが路面の起伏によらずに路面の磁気体の磁気を適切に検出することができる無人搬送車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る無人搬送車は、
車体と、
路面に設けられた磁気体の磁気を検出するための磁気センサと、
前記車体が走行する走行方向に対して直角かつ水平な直角方向に互いに間隔をあけて配置され、前記路面を前記走行方向に転動する一対のローラと、
前記磁気センサ及び一対の前記ローラを、前記車体に対して、前記磁気センサの上方かつ一対の前記ローラ間で前記走行方向にのびる軸線の周りに揺動可能に支持するスイング機構と、
前記スイング機構を、前記車体に対して上下方向にスライド移動可能に支持し、下方に付勢するスライド機構と、を備
え、
前記スイング機構は、
前記軸線を有し、前記走行方向にのびる揺動シャフトと、
前記揺動シャフトの周りに揺動可能に設けられ、前記磁気センサ及び一対の前記ローラを支持するブラケットと、を備え、
前記ブラケットは、
前記揺動シャフトに揺動可能に取り付けられ、前記磁気センサの前記走行方向の両側に配置された一対の第1プレートを備え、
一対の前記第1プレートは、それぞれ、前記磁気センサの対向面全体をカバーし、
前記磁気センサは、一対の前記第1プレートの少なくともいずれか一方に取り付けられている、ことを特徴とする。
【0012】
好ましくは、
前記ブラケットは、さらに、
一対の前記第1プレートの前記直角方向の両端に配置され、一対の前記第1プレートを互いに接続する一対の第2プレートを備え、
一対の前記第2プレートは、それぞれ、前記磁気センサの対向面全体をカバーし、
一方の前記ローラが一方の前記第2プレートに取り付けられ、他方の前記ローラが他方の前記第2プレートに取り付けられている。
【0013】
好ましくは、
前記車体が走行する際に前記路面を清掃するための2つの清掃ブラシを備え、
一方の前記清掃ブラシが一方の前記第1プレートの下端に取り付けられ、他方の前記清掃ブラシが他方の前記第1プレートの下端に取り付けられている。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る無人搬送車は、
車体と、
路面に設けられた磁気体の磁気を検出するための磁気センサと、
前記車体が走行する走行方向に対して直角かつ水平な直角方向に互いに間隔をあけて配置され、前記路面を前記走行方向に転動する一対のローラと、
前記磁気センサ及び一対の前記ローラを、前記車体に対して、前記磁気センサの上方かつ一対の前記ローラ間で前記走行方向にのびる軸線の周りに揺動可能に支持するスイング機構と、
前記スイング機構を、前記車体に対して上下方向にスライド移動可能に支持し、下方に付勢するスライド機構と、を備え、
前記スイング機構は、
前記軸線を有し、前記走行方向にのびる揺動シャフトと、
前記揺動シャフトの周りに揺動可能に設けられ、前記磁気センサ及び一対の前記ローラを支持するブラケットと、を備え、
前記スライド機構は、
前記走行方向に直角な前記車体の面に取り付けられて上下方向にのびるガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って上下方向にスライド移動可能に前記ガイドレールに取り付けられ、前記揺動シャフトを支持するスライダと、
前記揺動シャフトを下方に付勢する付勢部材と、を備える、ことを特徴とする。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る無人搬送車は、
車体と、
路面に設けられた磁気体の磁気を検出するための磁気センサと、
前記車体が走行する走行方向に対して直角かつ水平な直角方向に互いに間隔をあけて配置され、前記路面を前記走行方向に転動する一対のローラと、
前記磁気センサ及び一対の前記ローラを、前記車体に対して、前記磁気センサの上方かつ一対の前記ローラ間で前記走行方向にのびる軸線の周りに揺動可能に支持するスイング機構と、
前記スイング機構を、前記車体に対して上下方向にスライド移動可能に支持し、下方に付勢するスライド機構と、
前記車体が走行する際に前記路面を清掃するための清掃ブラシと、を備え、
前記清掃ブラシは、前記スイング機構によって前記車体に対して前記軸線の周りに揺動可能に支持される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、上記構成を備えることにより、磁気センサが路面の起伏によらずに路面の磁気体の磁気を適切に検出する無人搬送車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1Aは、本発明に係る無人搬送車の磁気センサの取付構造を概略的に示す部分切欠き背面図であり、
図1Bは、第2プレートとローラの図示を省略した
図1Aの側面図である。
【
図2】
図2A、
図2Bは、
図1の無人搬送車が路面の起伏に対応して磁気センサと路面の磁気体と間の距離を一定にする様子を説明する背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、
図1、
図2を参照して、本発明に係る無人搬送車について説明する。無人搬送車1は、走行経路に沿って走行してワークを搬送するものであって、磁気誘導方式の無人搬送システムに備えられるものである。
【0021】
図1Aに無人搬送車1の背面図が示され、
図1Bにその側面図が示されている。
図1の通り、無人搬送車1は、車体10と、車体10を走行方向X(
図1B)に走行させるために車体10に設けられた複数の車輪11a、11bとを備えている。
【0022】
車輪11a、11bは、車体10の走行方向Xに対して水平かつ直角な直角方向Y(以下、単に直角方向Yとする)(
図1A)に間隔をあけて配置されている。実施例では、走行方向Xは、車体10の前後方向となり、直角方向Yは車体10の左右方向となる。車輪11a、11bは、全部で4つ設けられており、車体10の前部に前輪として左右一対で設けられ、車体10の後部に後輪として左右一対で設けられている。
図1Aの車輪11a、11bは、後輪である。
【0023】
無人搬送車1は、走行経路に沿って適宜の間隔をあけて路面Fに埋設された磁気体Mの磁気を検出するための磁気センサ2を備えている。この磁気センサ2は、走行方向Xに間隔をあけて2つ設けられ、
図1には、車体10の後方の磁気センサ2が示されている。
【0024】
無人搬送車1は、各磁気センサ2によって磁気体Mの磁気を検出し、その検出結果に基づき不図示の駆動制御部によって車輪11a、11bを操作及び駆動し、それによって、車体10の姿勢角を適切に維持しながら車体10を走行経路に沿って走行させている。
【0025】
無人搬送車1は、磁気センサ2を車体10に取り付けるために以下の取付構造を有している。なお、車体10の後方の磁気センサ2の取付構造について説明する。車体10の前方の磁気センサ2の取付構造は、後方の取付構造と対称性を有するので、その説明は省略される。
【0026】
無人搬送車1は、路面Fを走行方向Xに転動する一対のローラ3a、3bを備えている(
図1Bでは図示略)。一対のローラ3a、3bは、それぞれ、互いに直角方向Yに間隔をあけてかつ車体10の直角方向Yの中心線Cに対して対称的に配置される。なお、
図1Aから明らかな通り、走行方向Xから見て、ローラ3a、3bと車輪11a、11bとは互いに直角方向Yにオフセットしている。従って、無人搬送車1が走行経路に沿って走行する際に、ローラ3a、3bと車輪11a、11bとが路面Fの同じ箇所を転動しないようになっている。
【0027】
各ローラ3a、3bは、ローラシャフト30と、該ローラシャフト30にベアリング31を介して装着されて該ローラシャフト30の回りに回転するローラ本体32とを備えている。
【0028】
無人搬送車1は、車体10が走行方向Xに走行する際に路面Fを清掃するための2つの清掃ブラシ4a、4bを備えている。清掃ブラシ4a、4bは、磁気センサ2の走行方向Xの両側に配置され、路面F上にある鉄粉等の磁性体や、その他の異物を取り除き、磁気センサ2の誤検出を防止するためのものである。
【0029】
ブラシ4a、4bは、それぞれ、ブラシ台40と、ブラシ台40の長手方向に沿ってブラシ台40に植設された多数のブラシ毛41とからなる。
【0030】
無人搬送車1は、磁気センサ2、ローラ3a、3b、及び、清掃ブラシ4a、4bを、車体10に対して、磁気センサ2の上方で一対のローラ3a、3bの間でかつ中心線C上において走行方向Xにのびる軸線Kの周りに、揺動可能に支持するスイング機構5を備えている。
【0031】
スイング機構5は、前記軸線Kを有し走行方向Xにのびる揺動シャフト50と、揺動シャフト50の周りに揺動可能に設けられたブラケット51とを備えている。磁気センサ2、ローラ3a、3b、及び、清掃ブラシ4a、4bは、このブラケット51に支持されている。
【0032】
ブラケット51は、磁気センサ2の走行方向Xの両側に配置された一対の第1プレート52a、52bを備えている。第1プレート52a、52bは、それぞれ、その上部に孔が形成されており、揺動シャフト50が当該孔に挿通されることで揺動シャフト50の周りに、即ち、軸線Kの周りに回転可能となっている。
【0033】
磁気センサ2は、その磁気体Mの磁気を検出する検出面が路面Fと対向するよう、かつ、その中心が中心線Cと一致するように、一方の第1プレート52aに取り付けられている。なお、磁気センサ2は、他方の第1プレート52bに取り付けられても、両第1プレート52a、52bに取り付けられてもよい。
【0034】
一方の清掃ブラシ4aは、そのブラシ台40が一方の第1プレート52aの下端に取り付けられ、他方の清掃ブラシ4bは、そのブラシ台40が他方の第1プレート52bに取り付けられ、それぞれのブラシ毛41が直角方向Yに沿って並び、その先端側が路面Fに接触するようになっている。
【0035】
さらに、ブラケット51は、一対の第1プレート52a、52bの直角方向Yの両端に配置され、一対の第1プレート52a、52bを互いに接続する一対の第2プレート53a、53bを備えている(
図1Bでは図示略)。一方のローラ3aは、そのローラシャフト30が一方の第2プレート53aから直角方向Yにのびるように一方の第2プレート53aに取り付けられており、他方のローラ3bは、そのローラシャフト30が他方の第2プレート53bから直角方向Yにのびるように他方の第2プレート53bに取り付けられている。
【0036】
第1プレート52a、52b及び第2プレート53a、53bは、それぞれ、磁気センサ2の対向面全体を覆っている。即ち、前方の第1プレート52aは磁気センサ2の前面をカバーし、後方のカバープレート52bは磁気センサ2の後面をカバーしている。そして、左方の第2プレート53aは磁気センサ2の左面をカバーし、右方の第2プレート53bは磁気センサ2の右面をカバーしている。こうして、磁気センサ2は第1プレート52a、52b及び第2プレート53a、53bによって保護されている。
【0037】
無人搬送車1は、スイング機構5を、上下方向Zにスライド移動可能に支持し、下方向に付勢するスライド機構6を備えている。スライド機構6は、車体10の走行方向Xに直交する面である後面12に取り付けられて上下方向Zにのびるガイドレール60と、ガイドレール60に沿って上下方向Zにスライド移動可能にガイドレール60に取り付けられたスライダ61とを備えている。このスライダ61が、スイング機構5の揺動シャフト50を支持している。それによって、磁気センサ2、ローラ3a、3b、及び、ブラシ4a、4bが上下方向Zに移動可能となっている。
【0038】
スライド機構6は、スイング機構5を下方に付勢するための付勢部材62を備えている。付勢部材62は、実施例ではスプリングである。付勢部材62は、その上端が、ガイドレール60の上端から後方に向けて突出する支持体63に取り付けられ、その下端が、揺動シャフト50が挿通されたブッシュ64に取り付けられている。
【0039】
付勢部材62は、揺動シャフト50を付勢し、それによって、磁気センサ2、ローラ3a、3b、及び、ブラシ4a、4bを下方向に付勢する。一対のローラ3a、3bは、この付勢部材62の付勢によって押し付けられた状態で路面Fに接触している。
【0040】
以上の構成によれば、例えば、
図2Aのように無人搬送車1の度重なる走行によって路面Fに轍Tが形成されてしまい車体10が路面Fに近づくような場合でも、磁気センサ2及びローラ3a、3bは、スライド機構6によって車体10に対して上方向にスライド移動する。そして、ローラ3a、3bは、スライド機構6の付勢部材62の付勢力によって路面Fに押し付けられる。それによって、磁気センサ2と磁気体Mとの距離は、一定に保たれる。
【0041】
また、例えば、
図2Bのように、路面Fの起伏により車体10が傾いても、路面Fの起伏に応じて、スライド機構6は、磁気センサ2及びローラ3a、3bを車体10に対して上下方向Zのいずれか一方にスライド移動させ、スイング機構5は、磁気センサ2及びローラ3a、3bを車体10に対して軸線Kの周りに揺動方向のいずれか一方に揺動させる。そして、スライド機構6は、ローラ3a、3bを路面Fに押し付ける。それによって、磁気センサ2と磁気体Mとの距離が一定に保たれる。
【0042】
図2A、
図2Bの例示の通り、路面Fに凹凸、傾斜等の起伏があっても、磁気センサ2と磁気体Mとの距離が一定に保たれるので、磁気センサ2が路面Fの磁気体Mの磁気を適切に検出することができる。その結果、無人搬送車1の安定した走行が保障される。さらに、磁気体Mを上下二段で埋設する必要がないことから、無人搬送システムに必要な磁気体Mの数量及びコストを抑えることができ、磁気誘導方式の無人搬送システムの施工にあたり、施工コスト、施工時間、及び、廃棄物の量も抑えることができる。
【0043】
清掃ブラシ4a、4bと路面Fとの距離が近すぎると、清掃ブラシ4a、4bが必要以上に路面Fに押し付けられるので、そのブラシ毛41が早く磨耗してしまう。また、清掃ブラシ4a、4bと路面Fとの距離が遠すぎると、ブラシ毛41が路面Fに接触しない、またはその接触長さが短すぎて、路面Fが適切に清掃されない。本発明によれば、スイング機構5及びスライド機構6によって、路面Fと清掃ブラシ4a、4bとの距離(ブラシ毛41の路面Fへの接触長さ)も一定に保たれるので、清掃ブラシ4a、4bのブラシ毛41が不必要に磨耗しないし、かつ、清掃ブラシ4a、4bが確実に鉄粉等の磁性体、その他の異物を磁気センサ2に近づけない。それによって、磁気センサ2の誤検出がより確実に防止される。
【0044】
ガイドレール60を車体10の後面12のような走行方向Xに直交する面に取り付けて、スイング機構5を上下方向Zにスライド移動可能とする構成によって、車体10と路面Fとの間隔を抑えたまま、磁気センサ2等の揺動及びスライド移動を実現することができる。
【0045】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが本発明は上記実施例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0046】
1 無人搬送車
1’ 無人搬送車(従来)
10 車体
11a、11b 車輪
2 磁気センサ
3a、3b ローラ
4a、4b 清掃ブラシ
5 スイング機構
50 揺動シャフト
51 ブラケット
52a、52b 第1プレート
53a、53b 第2プレート
6 スイング機構
60 ガイドレール
61 スライダ
62 付勢部材
C 中心線
F 路面
K 軸線
T 轍
X 走行方向
Y 直角方向
Z 上下方向
【要約】
【課題】磁気センサが路面の起伏によらずに路面の磁気体の磁気を適切に検出することができる無人搬送車を提供する。
【解決手段】無人搬送車1は、車体10と、路面Fに設けられた磁気体Mの磁気を検出するための磁気センサ2と、車体10が走行する走行方向Xに対して直角かつ水平な直角方向Yに互いに間隔をあけて配置され、路面Fを走行方向Xに転動する一対のローラ3a、3bと、を備える。無人搬送車1は、磁気センサ2及びローラ3a、3bを、車体10に対して、磁気センサ2の上方かつ一対のローラ3a、3b間で走行方向Xにのびる軸線Kの周りに揺動可能に支持するスイング機構5を備える。無人搬送車1は、スイング機構5を、車体10に対して上下方向Zにスライド移動可能に支持し、下方に付勢するスライド機構6を備える。
【選択図】
図1