【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成24年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、次世代高効率・高品質照明の基盤技術開発、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ハロゲン電球代替LED電球は、展示物を照射する目的で店舗照明として使用される場合は、所望の角度内で充分な明るさが得られる。このため、店舗照明において、ハロゲン電球からハロゲン電球代替LED電球への置き換えが始まっている。
【0005】
しかしながら、一般的なハロゲン電球とハロゲン電球代替LED電球とでは、光の出射の仕方が大きく異なる。
図10の断面図に、一般的なハロゲン電球を例示する。このハロゲン電球40は、フィラメント46、前面ガラス43及びダイクロイックミラー44を含む。ダイクロイックミラー44は、特定の波長帯域の光を透過し、残りの波長領域の光を反射する。このため、
図10中に破線の矢印で示すように、ハロゲン電球40において、フィラメント46からダイクロイックミラー44側に出射された光のうち、特定波長帯域の光は、ダイクロイックミラー44を透過する。また、フィラメント46から出射され、前面ガラス43でダイクロイックミラー44側に反射された光のうち、特定の波長帯域の光も、ダイクロイックミラー44を透過する。このように、ハロゲン電球40では、多くの光がハロゲン電球40側部へと出射する。
【0006】
図9に、一般的なハロゲン電球代替LED電球の一例を示す。
図9(A)は、本例のハロゲン電球代替LED電球を示す平面図である。
図9(B)は、本例のハロゲン電球代替LED電球を示す正面図である。
図9(C)は、本例のハロゲン電球代替LED電球を示す底面図である。
図9(D)は、上方向から見た本例のハロゲン電球代替LED電球を示す斜視図である。
図9(E)は、下方向から見た本例のハロゲン電球代替LED電球を示す斜視図である。
図9(F)は、
図9(B)に示す本例のハロゲン電球代替LED電球のIV−IV方向から見た断面図である。なお、本例のハロゲン電球代替LED電球の背面図及び両側面図は、
図9(B)に示した正面図と同じとなる。
図9(A)〜(F)に示すように、本例のハロゲン電球代替LED電球は、LED26、レンズ21及び金属製の放熱器(ヒートシンク)24を含む。放熱器24は、有底筒状で一端(
図9においては、上部)が開口している。LED26は、放熱器24内の他端(
図9においては、底部)に配置されている。レンズ21は、レンズ本体22及びレンズ本体22から外側に突出したツバ部23cを含む。レンズ21は、ツバ部23cに設けられたネジ穴25を用いて、放熱器24にネジ止めされている。本例のハロゲン電球代替LED電球では、LED26から出射され、レンズ21に入射した光のうち金属製の放熱器24側に出射された光は、金属製の放熱器24で全て遮断(反射)され、ハロゲン電球代替LED電球側部へと透過することはない。このため、本例のハロゲン電球代替LED電球では、ハロゲン電球代替LED電球側部には光が出射しない。
【0007】
なお、市販のハロゲン電球代替LED電球の一部には、金属製の放熱器に多くのスリットを入れ、このスリットにより、レンズの側面から出射した光をハロゲン電球代替LED電球側部へと取り出しているものがある。しかしながら、このハロゲン電球代替LED電球では、スリットを入れたことで金属製の放熱器の表面積が狭くなるため、放熱効果が損なわれる。また、放熱器の形成材料に透光性のあるガラス又は樹脂を使用し、放熱器を透過させることでハロゲン電球代替LED電球側部へと光を取り出しているハロゲン電球代替LED電球もある。しかしながら、このハロゲン電球代替LED電球でも、ガラス及び樹脂の熱伝導率が金属と比べて小さいため、放熱効果が損なわれる。これらのハロゲン電球代替LED電球では、放熱効果が損なわれることにより、LEDの温度が充分に下がらないために、発光効率が低下し、明るさも低下する。
【0008】
このように、ハロゲン電球との置き換えを検討するにあたり、光の出射の仕方の相違による視覚的効果の違い、又は放熱効果が損なわれることでの明るさの低下があるために、ハロゲン電球代替LED電球への置き換えが見送られることが少なくない。この点は、LED電球に限らず、有機EL等を用いた発光装置等においても問題となる。
【0009】
そこで、本発明は、放熱効果を損なうことで明るさを低下させることなく、代替するハロゲン電球と同等又は近似した視覚的効果を得ることが可能な発光装置及びそれに用いるレンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の発光装置は、
発光素子、レンズ及び放熱器を含み、
前記放熱器は、筒状で一端が開口しており、
前記発光素子は、前記放熱器内の他端に配置され、
前記レンズは、レンズ本体及びツバ部を含み、
前記レンズ本体は、入射面及び出射面を含み、
前記レンズ本体において、前記入射面及び前記出射面が、対面する状態で位置し、前記発光素子からの光が入射面に入射し、かつ、前記入射した光が前記出射面から出射し、
前記ツバ部は、前記レンズ本体において前記出射面周囲から外側に突出した状態で配置され、
前記ツバ部は、その内部が光透過性であり、かつ、外部に光出射可能であり、
前記レンズは、前記入射面が前記発光素子側に対向し、前記レンズ本体が前記放熱器の開口内に位置する状態で配置され、
前記ツバ部は、前記開口を囲む前記放熱器の側壁上端面の少なくとも一部から前記側壁よりも外側に突出し、
前記ツバ部が突出した位置に対応する前記放熱器の側壁外面は、反射面を有し、
前記ツバ部の前記放熱器と反対側の面の一部又は全部が、有色インクで塗装されている
ことを特徴とする。
【0011】
本発明の発光装置用レンズは、
レンズ本体及びツバ部を含み、
前記レンズ本体は、入射面及び出射面を含み、
前記レンズ本体において、前記入射面及び前記出射面が、対面する状態で位置し、発光素子からの光が入射面に入射し、かつ、前記入射した光が前記出射面から出射し、
前記ツバ部は、前記レンズ本体において前記出射面周囲から外側に突出した状態で配置され、
前記ツバ部は、その内部が光透過性であり、かつ、外部に光出射可能であり、
前記ツバ部の前記入射面と反対側に面の一部又は全部が、有色インクで塗装されている
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、放熱効果を損なうことで明るさを低下させることなく、代替するハロゲン電球と同等又は近似した視覚的効果を得ることが可能な発光装置及びそれに用いるレンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1(A)は、実施形態1の発光装置を示す平面図であり、
図1(B)は、実施形態1の発光装置を示す正面図であり、
図1(C)は、実施形態1の発光装置を示す底面図であり、
図1(D)は、上方向から見た実施形態1の発光装置を示す斜視図であり、
図1(E)は、下方向から見た実施形態1の発光装置を示す斜視図であり、
図1(F)は、
図1(B)に示す発光装置のI−I方向に見た断面図である。
【
図2】
図2(A)は、実施形態1の発光装置におけるレンズを示す平面図であり、
図2(B)は、実施形態1の発光装置におけるレンズを示す正面図であり、
図2(C)は、実施形態1の発光装置におけるレンズを示す底面図であり、
図2(D)は、上方向から見た実施形態1の発光装置におけるレンズを示す斜視図であり、
図2(E)は、下方向から見た実施形態1の発光装置におけるレンズを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態1の発光装置における別のレンズを示す断面図である。
【
図4】
図4(A)は、実施形態1の発光装置におけるさらに別のレンズを示す底面図であり、
図4(B)は、実施形態1の発光装置におけるさらに別のレンズを示す平面図である。
【
図5】
図5(A)は、実施形態1の発光装置におけるさらに別のレンズを示す底面図であり、
図5(B)は、
図5(A)に示すレンズのII−II方向に見た断面図であり、
図5(C)は、実施形態1の発光装置におけるさらに別のレンズを示す平面図であり、
図5(D)は、
図5(C)に示すレンズのII−II方向に見た断面図である。
【
図6】
図6(A)は、実施形態1の発光装置におけるさらに別のレンズを示す断面図であり、
図6(B)は、実施形態1の発光装置におけるさらに別のレンズを示す断面図である。
【
図7】
図7(A)は、実施形態2の発光装置を示す平面図であり、
図7(B)は、実施形態2の発光装置を示す正面図であり、
図7(C)は、実施形態2の発光装置を示す底面図であり、
図7(D)は、上方向から見た実施形態2の発光装置を示す斜視図であり、
図7(E)は、下方向から見た実施形態2の発光装置を示す斜視図であり、
図7(F)は、
図7(B)に示す発光装置のIII−III方向に見た断面図である。
【
図8】
図8(A)〜(C)は、実施形態2の発光装置における放熱器の側壁外面を例示する断面図である。
【
図9】
図9(A)は、一般的なハロゲン電球代替LED電球の一例を示す平面図であり、
図9(B)は、一般的なハロゲン電球代替LED電球の一例を示す正面図であり、
図9(C)は、一般的なハロゲン電球代替LED電球の一例を示す底面図であり、
図9(D)は、上方向から見た一般的なハロゲン電球代替LED電球の一例を示す斜視図であり、
図9(E)は、下方向から見た一般的なハロゲン電球代替LED電球の一例を示す斜視図であり、
図9(F)は、
図9(B)に示す一般的なハロゲン電球代替LED電球のIV−IV方向に見た断面図である。
【
図10】
図10は、一般的なハロゲン電球の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の発光装置において、前記反射面は、前記他端側よりも前記一端側が前記放熱器内部方向に向かって傾いていることが好ましい。
【0015】
以下、本発明の発光装置について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明に限定されない。なお、以下の
図1から
図8において、同一部分には、同一符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、図面においては、説明の便宜上、各部の構造は適宜簡略化して示す場合があり、各部の寸法比等は、実際とは異なり、模式的に示す場合がある。
【0016】
[実施形態1]
図1(A)は、本実施形態の発光装置を示す平面図である。
図1(B)は、本実施形態の発光装置を示す正面図である。
図1(C)は、本実施形態の発光装置を示す底面図である。
図1(D)は、上方向から見た本実施形態の発光装置を示す斜視図である。
図1(E)は、下方向から見た本実施形態の発光装置を示す斜視図である。
図1(F)は、
図1(B)に示す発光装置のI−I方向から見た断面図である。なお、本実施形態の発光装置の背面図及び両側面図は、
図1(B)に示した正面図と同じとなる。
図1(A)〜(F)に示すように、本実施形態の発光装置は、発光素子6、レンズ1及び放熱器(ヒートシンク)4を含む。放熱器4は、有底筒状で一端(
図1において、上部)が開口している。本実施形態の発光装置において、放熱器4の形状は、筒状で一端が開口していればよく、
図1に示す有底筒状に限られず、放熱器4の他端(
図1において、底部)に凹部が形成されていてもよいし、放熱器4の他端が開口していてもよい。発光素子6は、放熱器4内の他端に配置されている。レンズ1は、レンズ本体2及びツバ部3cを含む。レンズ1のツバ部3cと放熱器4とは、溶着で固定されている。
【0017】
図2を参照して、レンズ1の詳細について説明する。
図2(A)は、レンズ1を示す平面図である。
図2(B)は、レンズ1を示す正面図である。
図2(C)は、レンズ1を示す底面図である。
図2(D)は、上方向から見たレンズ1を示す斜視図である。
図2(E)は、下方向から見たレンズ1を示す斜視図である。なお、レンズ1の背面図及び両側面図は、
図2(B)に示した正面図と同じとなる。
図2(A)〜(E)に示すように、レンズ1は、レンズ本体2及びツバ部3cを含む。レンズ本体2は、入射面2a及び出射面2bを含む。レンズ本体2において、入射面2a及び出射面2bが、対面する状態で位置し、発光素子6(
図1(F)参照)からの光が入射面2aに入射し、かつ、前記入射した光が出射面2bから出射する。
図2(A)〜(E)では、レンズ本体2において、入射面2a及び出射面2bが、互いに一定の距離をおいて対面している。
図2(A)〜(E)では、レンズ本体2をお椀状としているが、レンズ1はこれに限定されず、入射面2a及び出射面2bが、対面する状態で位置するものでありさえすれば、レンズ本体2の形状は特に制限されない。レンズ本体2において、入射面2a及び出射面2b以外の部分は、入射した光を略全反射する反射面であることが好ましい。ツバ部3cは、レンズ本体2において出射面2b周囲から外側に突出した状態で配置される。ツバ部3cは、その内部が光透過性であり、かつ、外部に光出射可能である。
【0018】
レンズ本体2及びツバ部3cは、透光性材料で形成されている。前記透光性材料としては、例えば、樹脂材料、ガラス、セラミックス等があげられる。前記樹脂材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、光学用シリコーン、ポリオレフィン等があげられる。
【0019】
つぎに、レンズ1の放熱器4内への配置について説明する。
図1(F)に示すとおり、レンズ1は、入射面2aが発光素子6側に対向し、レンズ本体2が放熱器4の開口内に位置する状態で配置される。
図1(F)では、レンズ1は、ツバ部3cが前記開口を囲む放熱器4の側壁上端面上に配置されている。
図1(F)の破線の四角で囲った部分のように、ツバ部3cは、前記開口を囲む放熱器4の側壁上端面の少なくとも一部から前記側壁よりも外側に突出している。本実施形態の発光装置は、
図1(E)に示すように、放熱器4に貫通部4aが設けられていることで、
図1(F)に示すように、ツバ部3cが突出した位置に対応する放熱器4の側壁外面が反射面4bを有する。
【0020】
前述のとおり、
図9に示す一般的なハロゲン電球代替LED電球では、
図10に示すハロゲン電球40と異なり、発光装置側部には光が出射しない。これに対し、本実施形態の発光装置では、
図1(F)に破線の矢印で示すように、反射面4bによりツバ部3cから放熱器4側に出射した光を発光装置の後方及び側部に反射することで、
図10に示すハロゲン電球40と同様に、発光装置側部へと出射する光が存在する。また、本実施形態の発光装置では、放熱器4の表面積は
図9に示す一般的なハロゲン電球代替LED電球と変わらないため、放熱効果が損なわれることによる明るさの低下がない。
【0021】
放熱器4の反射面4bに、レンズ本体2の入射面2aと同心円となる凹凸を設けることにより、点灯時に同心円状の陰影ができ、特色のある出射状態(発光状態)とすることが可能となる。同心円状の凹凸に限られず、例えば、ゴルフボール表面のディンプルのような円形等の凹部、又は円形等の凸部でも、特色ある出射状態(発光状態)とすることが可能となる。また、凹凸の組み合わせにより、出射した光で文字又は図柄を表現することも可能となる。
【0022】
図1(A)及び(D)並びに
図2(A)及び(D)に示すように、本実施形態の発光装置では、ツバ部3cの放熱器4と反対側の面全体が有色インクで塗装されている。本実施形態の発光装置によれば、ツバ部3cの放熱器4と反対側の面において、光の反射量と透過量を調整するとともに、ツバ部3cの放熱器4側の面側に所望の色の光を反射させることが可能となる。これにより、本実施形態の発光装置によれば、前記有色インクとして、代替するハロゲン電球においてダイクロイックミラーから出射する特定の波長帯域の光と同一又は近似した光を反射可能なものを用いることで、代替するハロゲン電球と同等又は近似した視覚的効果を得ることができる。前記有色インクとしては、例えば、波長595nm〜610nmの光を反射可能な橙色のインク、波長610nm〜750nmの光を反射可能な赤色のインク、波長750nm〜800nmの光を反射可能な赤紫色のインク等があげられる。前記有色インクは一色に限られず、二色以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
図1(A)及び(D)並びに
図2(A)及び(D)では、ツバ部3cの放熱器4と反対側の面全体が有色インクで塗装されているが、本実施形態の発光装置は、これに限定されない。本実施形態の発光装置において、ツバ部3cの放熱器4と反対側の面の一部が有色インクで塗装されていてもよい。また、
図1(A)及び(D)並びに
図2(A)及び(D)では、塗装部分全体が有色インクで塗りつぶされているが、本実施形態の発光装置は、これに限定されない。本実施形態の発光装置において、塗装部分に有色インクでドット等のパターンを形成してもよい。
【0024】
つぎに、放熱器4について説明する。放熱器4の形成材料としては、例えば、アルミニウム及びその合金、マグネシウム及びその合金、銅及びその合金等の金属を使用できる。また、放熱器4の形成材料は、例えば、高熱伝導性フィラーを含有させた樹脂でもよい。前記樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ナイロン、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等があげられる。
【0025】
つぎに、発光素子6について説明する。発光素子6としては、例えば、LED、有機EL、無機EL等があげられ、LEDであることが好ましい。LEDは、特に限定されず、従来公知のものを使用できるが、白色LEDであることが好ましい。
図1(F)において、発光素子6は、例えば、放熱器4内の他端(
図1(F)において、底部)において、熱導電率の優れた基板(図示せず)に形成された配線パターン上に実装されている。本実施形態の発光装置では、発光素子6が、例えば、シリコーン樹脂等に内包され、前記シリコーン樹脂中に蛍光体が分散されていてもよい。このような形態において、例えば、発光素子6を、青色LEDとし、前記蛍光体を、黄色蛍光体又は赤・緑蛍光体の組み合わせとすることで、白色光を得ることができる。また、発光素子6を、近紫外LED(UV−LED)とし、前記蛍光体を赤・緑・青蛍光体の組み合わせ(RGB蛍光体)とすることでも、白色光を得ることができる。
【0026】
図1(A)〜(F)に示す発光装置では、レンズ1のツバ部3cと放熱器4との固定手段を溶着としているが、本実施形態の発光装置は、これに限定されない。本実施形態の発光装置において、レンズ1のツバ部3cと放熱器4との固定方法は特に制限されず、例えば、溝による嵌合等で固定されていてもよい。また、本実施形態の発光装置は、レンズ1のツバ部3cの外周と放熱器4の内面にそれぞれネジ溝を設けることにより、レンズ1を回転させながら放熱器4に嵌合させる態様とすることもできる。
【0027】
図3の断面図に、本実施形態の発光装置における別のレンズ1を示す。
図3に示すように、本例のレンズ1は、レンズ本体2の入射面が、発光素子の発光部を配置するために凹形状10に形成され、凹形状10の底面に第1の入射面2a1を含み、凹形状10の側面に第2の入射面2a2を含むこと以外、
図2(A)〜(E)に示すレンズ1と同様である。凹形状10には、発光素子の発光部の全部が配置されてもよいし、発光素子の発光部の一部のみが配置されてもよい。レンズ本体2の反射面2cは、第2の入射面2a2から入射した光を反射する。レンズ本体2の出射面2bは、第1の入射面2a1から入射した光、及び、第2の入射面2a2から入射して反射面2cで反射した光を、出射する。
【0028】
第1の入射面2a1は、発光素子側に凸になるように形成された略球面を有しており、発光素子から入射した光を出射面2bに向けて屈折させる。第2の入射面2a2は、凹形状10の開口が凹形状10の底面(第1の入射面2a1)より広くなるようにテーパ―状に形成されており、発光素子から入射した光を反射面2cに向けて屈折させる。反射面2cは、第2の入射面2a2の凹形状10の開口部の端部からツバ部3cの端部に至る曲面を有しており、第2の入射面2a2から入射した光を略全反射するように形成されている。
【0029】
発光素子からレンズ本体2の第1の入射面2a1に入射した光の多くは、出射面2bに向けて屈折し、出射面2bからレンズ1外部へと出射する。また、レンズ本体2の第1の入射面2a1でツバ部3c側に屈折した光も、ツバ部3cからレンズ1外部へと出射する。
【0030】
発光素子からレンズ本体2の第2の入射面2a2に入射した光は、反射面2cに向けて屈折し、反射面2cで略全反射して出射面2bで屈折し、レンズ1外部へと出射する。レンズ本体2の反射面2cでツバ部3c側に向けて反射された光も、ツバ部3cからレンズ1外部へと出射する。
【0031】
図3に示すレンズ1を用いても、
図2(A)〜(E)に示すレンズ1を用いたのと同様の効果を得ることができる。
【0032】
図2及び
図3に示すレンズ1において、例えば、ツバ部3cの放熱器4側(
図2及び
図3において、下側)の面にフロスト処理が施されていてもよい。これにより、ツバ部3cの放熱器4側の面の出射効率を上げ、取り出される光の量を増加させることができる。その結果、ツバ部3cから放熱器4側に出射する光が増加し、より多くの光を発光装置側部に出射することが可能となる。また、
図2及び
図3に示すレンズ1において、例えば、ツバ部3cの放熱器4と反対側(
図2及び
図3において、上側)の面にフロスト処理が施されていてもよい。このツバ部3cの放熱器4と反対側の面に施されたフロスト処理により、ツバ部3cの放熱器4と反対側の面でツバ部3cの放熱器4側の面側へと反射される光の反射角を、前記反射光がツバ部3cの放熱器4側の面から放熱器4側へと出射されるように設計することでも、より多くの光を発光装置側部に出射することが可能となる。さらに、
図2及び
図3に示すレンズ1において、例えば、ツバ部3cの放熱器4側の面及び放熱器4と反対側の面の双方にフロスト処理が施されていてもよく、この場合でも、ツバ部3cから放熱器4側に出射する光が増加し、より多くの光を発光装置側部に出射することが可能となる。
【0033】
また、
図2に示すレンズ1において、例えば、
図4(A)の底面図に示すように、ツバ部3cの放熱器4側の面に、任意形状(例えば、多角柱状、半球状等)の凸状部(マイクロレンズアレイ)が形成されていてもよい。これにより、ツバ部3cの放熱器4側の面の出射効率を上げ、取り出される光の量を増加させることができる。その結果、ツバ部3cから放熱器4側に出射する光が増加し、より多くの光を発光装置側部に出射することが可能となる。また、
図2に示すレンズ1において、例えば、
図4(B)の平面図に示すように、ツバ部3cの放熱器4と反対側の面に、マイクロレンズアレイが形成されていてもよい。このツバ部3cの放熱器4と反対側の面に形成されたマイクロレンズアレイにより、ツバ部3cの放熱器4と反対側の面でツバ部3cの放熱器4側の面側へと反射される光の反射角を、前記反射光がツバ部3cの放熱器4側の面から放熱器4側へと出射されるように設計することでも、より多くの光を発光装置側部に出射することが可能となる。なお、
図4(B)では便宜上省略しているが、実際には、
図2(A)及び(D)に示すのと同様に、ツバ部3cの放熱器4と反対側の面全体が有色インクで塗装されている。さらに、
図2に示すレンズ1において、例えば、ツバ部3cの放熱器4側の面及び放熱器4と反対側の面の双方にマイクロレンズアレイが形成されていてもよく、この場合でも、ツバ部3cから放熱器4側に出射する光が増加し、より多くの光を発光装置側部に出射することが可能となる。なお、
図4では、
図2に示すレンズ1のツバ部3cの放熱器4側の面又は放熱器4と反対側の面にマイクロレンズアレイが形成された場合を示したが、
図3に示すレンズ1のツバ部3cの放熱器4側の面及び放熱器4と反対側の面の少なくとも一方の面にマイクロレンズアレイを形成することでも同様の効果を得ることができる。
【0034】
そして、
図2に示すレンズ1において、例えば、
図5(A)の底面図及び
図5(B)の断面図に示すように、ツバ部3cの放熱器4側の面に、複数の同心円状の凹凸が形成されていてもよい。これにより、ツバ部3cの放熱器4側の面の出射効率を上げ、取り出される光の量を増加させることができる。その結果、ツバ部3cから放熱器4側に出射する光が増加し、より多くの光を発光装置側部に出射することが可能となる。また、
図2に示すレンズ1において、例えば、
図5(C)の平面図及び
図5(D)の断面図に示すように、ツバ部3cの放熱器4と反対側の面に、複数の同心円状の凹凸が形成されていてもよい。このツバ部3cの放熱器4と反対側の面に形成された複数の同心円状の凹凸により、ツバ部3cの放熱器4と反対側の面でツバ部3cの放熱器4側の面側へと反射される光の反射角を、前記反射光がツバ部3cの放熱器4側の面から放熱器4側へと出射されるように設計することでも、より多くの光を発光装置側部に出射することが可能となる。なお、
図5(C)では便宜上省略しているが、実際には、
図2(A)及び(D)に示すのと同様に、ツバ部3cの放熱器4と反対側の面全体が有色インクで塗装されている。さらに、
図2に示すレンズ1において、例えば、ツバ部3cの放熱器4側の面及び放熱器4と反対側の面の双方に複数の同心円状の凹凸が形成されていてもよく、この場合でも、ツバ部3cから放熱器4側に出射する光が増加し、より多くの光を発光装置側部に出射することが可能となる。なお、
図5では、
図2に示すレンズ1のツバ部3cの放熱器4側の面又は放熱器4と反対側の面に複数の同心円状の凹凸が形成された場合を示したが、
図3に示すレンズ1のツバ部3cの放熱器4側の面及び放熱器4と反対側の面の少なくとも一方の面に複数の同心円状の凹凸が形成することでも同様の効果を得ることができる。
【0035】
さらに、
図2に示すレンズ1において、例えば、
図6(A)の断面図に示すように、ツバ部3cの放熱器4側の面に、塗布、印刷、シート貼り付け等により、光拡散材(例えば、樹脂の微粉末)7が配置されていてもよい。これにより、ツバ部3cの放熱器4側の面の出射効率を上げ、取り出される光の量を増加させることができる。その結果、ツバ部3cから放熱器4側に出射する光が増加し、より多くの光を発光装置側部に出射することが可能となる。前記樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、光学用シリコーン、ポリオレフィン等があげられる。
図6では、ツバ部3cの放熱器4側の面に樹脂の微粉末7が分布をもって配置されているが、本実施形態の発光装置に用いられるレンズ1は、これに限定されない。本実施形態の発光装置に用いられるレンズ1において、ツバ部3cの放熱器4側の面に樹脂の微粉末7が均一に配置されていてもよい。また、
図2に示すレンズ1において、例えば、
図6(B)の断面図に示すように、ツバ部3cの放熱器4と反対側の面に、光拡散材7が配置されていてもよい。このツバ部3cの放熱器4と反対側の面に配置された光拡散材7により、ツバ部3cの放熱器4と反対側の面でツバ部3cの放熱器4側の面側へと反射される光の反射角を、前記反射光がツバ部3cの放熱器4側の面から放熱器4側へと出射されるように設計することでも、より多くの光を発光装置側部に出射することが可能となる。さらに、
図2に示すレンズ1において、例えば、ツバ部3cの放熱器4側の面及び放熱器4と反対側の面の双方に光拡散材が配置されていてもよく、この場合でも、ツバ部3cから放熱器4側に出射する光が増加し、より多くの光を発光装置側部に出射することが可能となる。なお、
図6では、
図2に示すレンズ1のツバ部3cの放熱器4側の面又は放熱器4と反対側の面に光拡散材が配置された場合を示したが、
図3に示すレンズ1のツバ部3cの放熱器4側の面及び放熱器4と反対側の面の少なくとも一方の面に光拡散材を配置することでも同様の効果を得ることができる。
【0036】
[実施形態2]
図7(A)は、本実施形態の発光装置を示す平面図である。
図7(B)は、本実施形態の発光装置を示す正面図である。
図7(C)は、本実施形態の発光装置を示す底面図である。
図7(D)は、上方向から見た本実施形態の発光装置を示す斜視図である。
図7(E)は、下方向から見た本実施形態の発光装置を示す斜視図である。
図7(F)は、
図7(B)に示す発光装置のIII−III方向から見た断面図である。なお、本実施形態の発光装置の背面図及び両側面図は、
図7(B)に示した正面図と同じとなる。
図7(F)に示すように、本実施形態の発光装置は、反射面4bが、前記他端側(
図1(F)において、下部)よりも前記一端側(
図1(F)において、上部)が放熱器4内部方向に向かって傾いていること以外、
図1に示す実施形態1の発光装置と同様である。本実施形態の発光装置によれば、
図7(F)に破線の矢印で示すように、反射面4bによりツバ部3cから放熱器4側に出射した光を発光装置側部へと反射することで、より多くの光を発光装置側部へと出射することが可能となる。
【0037】
本実施形態の発光装置において、放熱器4の側壁外面は、前記他端側よりも前記一端側が放熱器4内部方向に傾斜した反射面4bを少なくとも一つ有すればよく、
図7(F)に示す態様に限定されず、例えば、
図8(A)〜(C)に示す態様等であってもよい。
図8(A)は、放熱器4の側壁外面が途中から傾斜して反射面4bとなっている態様である。
図8(B)は、放熱器4の側壁外面が、複数の反射面4bを有する態様である。
図8(C)は、反射面4bが曲面である態様である。これらの態様であっても、反射面4bによりツバ部3cから放熱器4側に出射した光を発光装置側部に反射することで、より多くの光を発光装置側部に出射することが可能である。