特許第6161180号(P6161180)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6161180情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6161180
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20170703BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20170703BHJP
【FI】
   G06Q30/02ZIT
   G06Q30/06
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-204350(P2016-204350)
(22)【出願日】2016年10月18日
【審査請求日】2016年12月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513289215
【氏名又は名称】オカムラ印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓士
(72)【発明者】
【氏名】森 浩吾
【審査官】 宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−137916(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/111880(WO,A1)
【文献】 特開2000−357177(JP,A)
【文献】 特開2007−257335(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0178085(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが携帯する通信機器から、前記ユーザを識別するユーザ識別子および前記通信機器が受信した近距離通信信号に含まれる信号識別子の履歴を受信して、前記ユーザの移動履歴を生成する移動履歴生成手段と、
購買処理を行なう決済機器から、前記ユーザの購買処理に基づいて前記ユーザ識別子および購買データを受信して、前記ユーザの購買結果を生成する購買結果生成手段と、
前記ユーザ識別子に対応付けて、前記ユーザの移動履歴と前記ユーザの購買結果とを蓄積するユーザ履歴蓄積手段と、
前記ユーザ履歴蓄積手段に蓄積された移動履歴と購買結果とを統計処理することによって、購買に結び付くユーザの移動パターンと購買に結び付かないユーザの移動パターンとを生成する移動パターン生成手段と、
前記移動パターン生成手段が生成した、購買に結び付くユーザの移動パターンと購買に結び付かないユーザの移動パターンとを参照して、ユーザの移動履歴中の、購買に結び付くか結び付かないかの分岐位置を抽出する抽出手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記移動パターン生成手段は、前記統計処理によって移動履歴と購買結果との関連性を生成し、前記関連性に基づいて、購買に結び付くユーザの移動パターンを生成する、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ユーザ識別子に対応付けて、少なくとも前記ユーザの属性を格納する属性格納手段を更に備え、
前記移動パターン生成手段は、前記属性格納手段に格納されたユーザの属性に応じて、購買に結び付くユーザの移動パターンを生成する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ユーザ履歴蓄積手段は、前記ユーザの移動履歴と前記ユーザの購買結果とを、店舗内における特定の商品の陳列情報に対応付けて蓄積し、
前記移動パターン生成手段は、さらに前記陳列情報に応じて統計処理することによって、購買に結び付くユーザの移動パターンを生成する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ユーザ履歴蓄積手段は、前記ユーザの移動履歴と前記ユーザの購買結果とを、店舗における催し物情報に対応付けて蓄積し、
前記移動パターン生成手段は、さらに前記催し物情報に応じて統計処理することによって、購買に結び付くユーザの移動パターンを生成する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ユーザ履歴蓄積手段は、前記ユーザの移動履歴と前記ユーザの購買結果とを蓄積した日時をさらに記憶し、
前記移動パターン生成手段は、さらに前記日時に応じて統計処理することによって、購買に結び付くユーザの移動パターンを生成する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記ユーザ履歴蓄積手段は、前記ユーザの移動履歴と前記ユーザの購買結果とを蓄積した日時の天候を含む環境情報をさらに記憶し、
前記移動パターン生成手段は、さらに前記環境情報に応じて統計処理することによって、購買に結び付くユーザの移動パターンを生成する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
ユーザが携帯する通信機器から、前記ユーザを識別するユーザ識別子および前記通信機器が受信した近距離通信信号に含まれる信号識別子の履歴を受信して、前記ユーザの移動履歴を生成する移動履歴生成ステップと、
購買処理を行なう決済機器から、前記ユーザの購買処理に基づいて前記ユーザ識別子および購買データを受信して、前記ユーザの購買結果を生成する購買結果生成ステップと、
前記ユーザ識別子に対応付けて、前記ユーザの移動履歴と前記ユーザの購買結果とをユーザ履歴蓄積手段に蓄積するユーザ履歴蓄積ステップと、
前記ユーザ履歴蓄積手段に蓄積された移動履歴と購買結果とを統計処理することによって、購買に結び付くユーザの移動パターンと購買に結び付かないユーザの移動パターンとを生成する移動パターン生成ステップと、
前記移動パターン生成ステップにおいて生成された、購買に結び付くユーザの移動パターンと購買に結び付かないユーザの移動パターンとを参照して、ユーザの移動履歴中の、購買に結び付くか結び付かないかの分岐位置を抽出する抽出ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項9】
ユーザが携帯する通信機器から、前記ユーザを識別するユーザ識別子および前記通信機器が受信した近距離通信信号に含まれる信号識別子の履歴を受信して、前記ユーザの移動履歴を生成する移動履歴生成ステップと、
購買処理を行なう決済機器から、前記ユーザの購買処理に基づいて前記ユーザ識別子および購買データを受信して、前記ユーザの購買結果を生成する購買結果生成ステップと、
前記ユーザ識別子に対応付けて、前記ユーザの移動履歴と前記ユーザの購買結果とをユーザ履歴蓄積手段に蓄積するユーザ履歴蓄積ステップと、
前記ユーザ履歴蓄積手段に蓄積された移動履歴と購買結果とを統計処理することによって、購買に結び付くユーザの移動パターンと購買に結び付かないユーザの移動パターンとを生成する移動パターン生成ステップと、
前記移動パターン生成ステップにおいて生成された、購買に結び付くユーザの移動パターンと購買に結び付かないユーザの移動パターンとを参照して、ユーザの移動履歴中の、購買に結び付くか結び付かないかの分岐位置を抽出する抽出ステップと、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【請求項10】
店舗内に配置された近距離通信信号を発信する複数の発信機と、
ユーザが携帯する通信機器と、
前記店舗において購買処理を行なう決済機器と、
前記通信機器および前記決済機器と通信接続されて、前記近距離通信信号に基づいて前記店舗におけるユーザの移動パターンを分析する情報処理装置と、
を備える情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記通信機器から、前記ユーザを識別するユーザ識別子および前記通信機器が受信した前記近距離通信信号に含まれる信号識別子の履歴を受信して、前記ユーザの移動履歴を生成する移動履歴生成手段と、
前記決済機器から、前記ユーザの購買処理に基づいて前記ユーザ識別子および購買データを受信して、前記ユーザの購買結果を生成する購買結果生成手段と、
前記ユーザ識別子に対応付けて、前記ユーザの移動履歴と前記ユーザの購買結果とを蓄積するユーザ履歴蓄積手段と、
前記ユーザ履歴蓄積手段に蓄積された移動履歴と購買結果とを統計処理することによって、購買に結び付くユーザの移動パターンと購買に結び付かないユーザの移動パターンとを生成する移動パターン生成手段と、
前記移動パターン生成手段が生成した、購買に結び付くユーザの移動パターンと購買に結び付かないユーザの移動パターンとを参照して、ユーザの移動履歴中の、購買に結び付くか結び付かないかの分岐位置を抽出する抽出手段と、
を有する情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗内でのユーザの移動パターンを処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、顧客IDに対応付けて、店舗内の各エリアでの滞在時間と、各エリアでの購入金額と、各エリアでの店員の接客人数と、を蓄積して、この蓄積情報を用いて店舗構成や店員配置を再構成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−081750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献に記載の技術では、顧客(ユーザ)毎の店舗内の移動履歴を関連付けて処理しないので、顧客(ユーザ)の移動パターンに基づく購買分析をすることができなかった。
【0005】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理装置は、
ユーザが携帯する通信機器から、前記ユーザを識別するユーザ識別子および前記通信機器が受信した近距離通信信号に含まれる信号識別子の履歴を受信して、前記ユーザの移動履歴を生成する移動履歴生成手段と、
購買処理を行なう決済機器から、前記ユーザの購買処理に基づいて前記ユーザ識別子および購買データを受信して、前記ユーザの購買結果を生成する購買結果生成手段と、
前記ユーザ識別子に対応付けて、前記ユーザの移動履歴と前記ユーザの購買結果とを蓄積するユーザ履歴蓄積手段と、
前記ユーザ履歴蓄積手段に蓄積された移動履歴と購買結果とを統計処理することによって、購買に結び付くユーザの移動パターンと購買に結び付かないユーザの移動パターンとを生成する移動パターン生成手段と、
前記移動パターン生成手段が生成した、購買に結び付くユーザの移動パターンと購買に結び付かないユーザの移動パターンとを参照して、ユーザの移動履歴中の、購買に結び付くか結び付かないかの分岐位置を抽出する抽出手段と、
を備える。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理方法は、
ユーザが携帯する通信機器から、前記ユーザを識別するユーザ識別子および前記通信機器が受信した近距離通信信号に含まれる信号識別子の履歴を受信して、前記ユーザの移動履歴を生成する移動履歴生成ステップと、
購買処理を行なう決済機器から、前記ユーザの購買処理に基づいて前記ユーザ識別子および購買データを受信して、前記ユーザの購買結果を生成する購買結果生成ステップと、
前記ユーザ識別子に対応付けて、前記ユーザの移動履歴と前記ユーザの購買結果とをユーザ履歴蓄積手段に蓄積するユーザ履歴蓄積ステップと、
前記ユーザ履歴蓄積手段に蓄積された移動履歴と購買結果とを統計処理することによって、購買に結び付くユーザの移動パターンと購買に結び付かないユーザの移動パターンとを生成する移動パターン生成ステップと、
前記移動パターン生成ステップにおいて生成された、購買に結び付くユーザの移動パターンと購買に結び付かないユーザの移動パターンとを参照して、ユーザの移動履歴中の、購買に結び付くか結び付かないかの分岐位置を抽出する抽出ステップと、
を含む。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理プログラムは、
ユーザが携帯する通信機器から、前記ユーザを識別するユーザ識別子および前記通信機器が受信した近距離通信信号に含まれる信号識別子の履歴を受信して、前記ユーザの移動履歴を生成する移動履歴生成ステップと、
購買処理を行なう決済機器から、前記ユーザの購買処理に基づいて前記ユーザ識別子および購買データを受信して、前記ユーザの購買結果を生成する購買結果生成ステップと、
前記ユーザ識別子に対応付けて、前記ユーザの移動履歴と前記ユーザの購買結果とをユーザ履歴蓄積手段に蓄積するユーザ履歴蓄積ステップと、
前記ユーザ履歴蓄積手段に蓄積された移動履歴と購買結果とを統計処理することによって、購買に結び付くユーザの移動パターンと購買に結び付かないユーザの移動パターンとを生成する移動パターン生成ステップと、
前記移動パターン生成ステップにおいて生成された、購買に結び付くユーザの移動パターンと購買に結び付かないユーザの移動パターンとを参照して、ユーザの移動履歴中の、購買に結び付くか結び付かないかの分岐位置を抽出する抽出ステップと、
をコンピュータに実行させる。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理システムは、
店舗内に配置された近距離通信信号を発信する複数の発信機と、
ユーザが携帯する通信機器と、
前記店舗において購買処理を行なう決済機器と、
前記通信機器および前記決済機器と通信接続されて、前記近距離通信信号に基づいて前記店舗におけるユーザの移動パターンを分析する情報処理装置と、
を備える情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記通信機器から、前記ユーザを識別するユーザ識別子および前記通信機器が受信した前記近距離通信信号に含まれる信号識別子の履歴を受信して、前記ユーザの移動履歴を生成する移動履歴生成手段と、
前記決済機器から、前記ユーザの購買処理に基づいて前記ユーザ識別子および購買データを受信して、前記ユーザの購買結果を生成する購買結果生成手段と、
前記ユーザ識別子に対応付けて、前記ユーザの移動履歴と前記ユーザの購買結果とを蓄積するユーザ履歴蓄積手段と、
前記ユーザ履歴蓄積手段に蓄積された移動履歴と購買結果とを統計処理することによって、購買に結び付くユーザの移動パターンと購買に結び付かないユーザの移動パターンとを生成する移動パターン生成手段と、
前記移動パターン生成手段が生成した、購買に結び付くユーザの移動パターンと購買に結び付かないユーザの移動パターンとを参照して、ユーザの移動履歴中の、購買に結び付くか結び付かないかの分岐位置を抽出する抽出手段と、
を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザ毎の店舗内の移動履歴を関連付けて処理するので、ユーザの移動パターンに基づく購買分析をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置の処理の概要を示す図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置の機能構成を含む情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置を含む情報処理システムの動作手順を示すシーケンス図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る移動履歴テーブルの構成を示す図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る購買結果テーブルの構成を示す図である。
図7】本発明の第2実施形態に係るユーザ履歴蓄積データベースの構成を示す図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る属性格納テーブルの構成を示す図である。
図9A】本発明の第2実施形態に係る上位(ベスト)の移動パターンテーブルの生成を示す図である。
図9B】本発明の第2実施形態に係る中位の移動パターンテーブルの生成を示す図である。
図9C】本発明の第2実施形態に係る推奨移動パターンテーブルの生成を示す図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図11A】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
図11B】本発明の第2実施形態に係る移動パターン解析処理の手順を示すフローチャートである。
図12A】本発明の第3実施形態に係る下位(ワースト)の移動パターンテーブルの生成を示す図である。
図12B】本発明の第3実施形態に係る変更条件テーブルの生成を示す図である。
図13】本発明の第3実施形態に係る移動パターン解析処理の手順を示すフローチャートである。
図14】本発明の第4実施形態に係るユーザ履歴蓄積データベースの構成を示す図である。
図15】本発明の第5実施形態に係るユーザ履歴蓄積データベースの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素は単なる例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。なお、本明細書で使用する「第xエリアの売場」には、販売商品の種類と店舗内の販売位置とを含むものとして使用されている。
【0013】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての情報処理装置100について、図1を用いて説明する。情報処理装置100は、店舗内でのユーザの移動パターンを処理する装置である。
【0014】
図1に示すように、情報処理装置100は、移動履歴生成部101と、購買結果生成部102と、ユーザ履歴蓄積部103と、を含む。移動履歴生成部101は、ユーザが携帯する通信機器110から、ユーザを識別するユーザ識別子および通信機器が受信した近距離通信信号(120)に含まれる信号識別子の履歴を受信して、ユーザの移動履歴を生成する。購買結果生成部102は、購買処理を行なう決済機器130から、ユーザの購買処理に基づいてユーザ識別子および購買データを受信して、ユーザの購買結果を生成する。ユーザ履歴蓄積部103は、ユーザ識別子に対応付けて、ユーザの移動履歴とユーザの購買結果とを蓄積する。
【0015】
本実施形態によれば、ユーザ識別子に対応付けて、ユーザの移動履歴とユーザの購買結果とを蓄積するので、ユーザの移動パターンに基づく購買分析をすることができる。
【0016】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、ユーザ識別子に対応付けて、店舗におけるユーザの移動履歴とユーザの購買結果とを蓄積し、蓄積された移動履歴と購買結果とを統計処理することによって、購買に結び付くユーザの移動パターンを生成する。具体的には、企業が発行済の会員カードIDを連結キーとして、ユーザがスマートフォンにインストールするアプリケーションにこれを入力し、店内に設置したビーコン端末(ビーコン発信機)に関連付けられて得たPOS(Point of Sales)上の売上部門データおよび店内動線および購買結果を収集する。そして、移動特性(行動特性)および購買効果を解析し、ユーザの適切な移動パターンを予測して提示する。なお、ユーザを特定する識別子は会員カードIDに限定されず、他のユーザを特定する情報を使用可能である。
【0017】
さらに、ユーザ識別子に対応付けて、少なくとも前記ユーザの属性を格納し、ユーザの属性に応じて、購買に結び付くユーザの移動パターンを生成する。すなわち、統計処理によって移動履歴と購買結果との関連性を生成し、関連性に基づいて購買に結び付くユーザの移動パターンを生成する。
【0018】
さらに、ユーザの移動履歴とユーザの購買結果とを蓄積した日時をさらに記憶し、日時に応じて統計処理することによって、購買に結び付くユーザの移動パターンを生成する。また、ユーザの移動履歴とユーザの購買結果とを蓄積した日時の天候を含む環境情報をさらに記憶し、環境情報に応じて統計処理することによって、購買に結び付くユーザの移動パターンを生成する。
【0019】
《情報処理装置の処理の概要》
図2は、本実施形態に係る情報処理装置の処理の概要を示す図である。
【0020】
店舗210には、ビーコン発信機a1〜e2を設置する。ユーザ単位の店舗内の移動パターン230は、ユーザが携帯する通信端末がビーコン信号を受信した場合の、ユーザIDに対応付けられたタイムスタンプやビーコン信号IDに基づいて生成される。一方、ユーザ単位の購買データ220は、POSによる決済がされた場合に生成される。
【0021】
ユーザ単位の店舗内の移動パターン230とユーザ単位の購買データ220とはユーザIDで結び付けられ、さらに、ユーザの属性なども参照されてユーザの店舗内の移動パターンと購買金額とが関連付けられて、少なくとも売場配置の評価と売場配置との提示を行なう(240)。
【0022】
《情報処理システム》
図3および図4を参照して、本実施形態に係る情報処理装置310を含む情報処理システム300の構成および動作を説明する。
【0023】
(構成)
図3は、本実施形態に係る情報処理装置310の機能構成を含む情報処理システム300の構成を示すブロック図である。
【0024】
情報処理システム300は、情報処理装置310と、店舗内に設置されたビーコン発信機320と、情報処理装置310と通信接続されたユーザが携帯する通信端末330と、情報処理装置310と通信接続された決済機器としてのPOS340と、を備える。
【0025】
情報処理装置310は、ビーコンを受信した通信端末330から収集したユーザの店舗内での移動履歴と、POS340から収集したユーザの購買結果と、からユーザの移動パターンを解析して、推奨移動パターンおよび推奨売場配置を提示する。ビーコン発信機320は、店舗内にユーザの移動履歴を収集可能なように、ビーコン信号の影ができないように設置される。通信端末330は、情報処理装置310から提供された移動パターン解析を含むアプリケーションを配信されて、ビーコン発信機320からのビーコン信号を受信すると、ユーザIDとビーコン信号IDとを情報処理装置310に送信する。POS340は、ユーザが購買品の決済をした場合に、ユーザIDと購買情報(購買商品、単価、数量、金額)とを情報処理装置310に送信する。
【0026】
クラウドサーバとしての情報処理装置310は、移動履歴生成部311と、購買結果生成部312と、ユーザ履歴蓄積データベース313と、属性格納部314と、移動パターン生成部315と、を備える。移動履歴生成部311は、通信端末330から収集したユーザIDとビーコン信号IDとの組から、ユーザIDに対応付けた店舗内の移動履歴テーブルを生成する。購買結果生成部312はPOS340から収集したユーザIDと購買情報との組から、ユーザIDに対応付けた購買結果テーブルを生成する。ユーザ履歴蓄積データベース313は、移動履歴生成部311が生成したユーザの移動履歴と、購買結果生成部312が生成したユーザの購買結果とを、ユーザIDにより結びつけた、店舗におけるユーザ履歴を蓄積する。属性格納部314は、ユーザIDに対応付けてユーザ属性を格納する。なお、属性格納部314は、あらかじめユーザ登録時に格納されたユーザ属性に加えて、情報処理装置310が分析してユーザに割り当てたユーザ属性も格納する。移動パターン生成部315は、ユーザ履歴蓄積データベース313に蓄積されたユーザ履歴と、属性格納部314に格納されたユーザ属性とから、ユーザの移動パターンテーブル351を生成する。移動パターン生成部315は、さらに、推奨移動パターンや推奨売場配置を提示する。
【0027】
(動作シーケンス)
図4は、本実施形態に係る情報処理装置310を含む情報処理システム300の動作手順を示すシーケンス図である。
【0028】
クラウドサーバとしての情報処理装置310は、ステップS401において、決済機としてのPOS340およびスマートフォンを含むユーザが携帯する通信端末330に、移動パターン解析アプリケーションを含むアプリケーションを配信する。そして、情報処理装置310とPOS340と通信端末330とは、ステップS403において、移動パターン解析アプリケーションを含むアプリケーションを起動する。
【0029】
通信端末330は、ステップS405において、店舗内のビーコン発信機320からのビーコンを受信すると、ステップS407において、ユーザIDに対応付けてビーコン信号IDを情報処理装置310に送信する。情報処理装置310は、ステップS409において、ユーザIDに対応付けて、ビーコン受信のタイムスタンプ、ビーコン信号IDに対するビーコン発信機320の位置情報を、ユーザ履歴蓄積データベース313に格納する。その後、店舗内の他のビーコン発信機320からのビーコンを受信すると、ステップS411〜S415でステップS405〜S409の処理が繰り返される。
【0030】
ユーザが、ステップS417において、POS340で購買のための決済処理をすると、POS340は、ステップS419において、ユーザIDに対応付けて購買品、購買金額、購買品の売場などの購買明細を情報処理装置310に送信する。情報処理装置310は、ステップS421において、ユーザIDに対応付けて、購買金額、購買品の売場位置情報を、ユーザ履歴蓄積データベース313に格納する。
【0031】
情報処理装置310は、ステップS431において、所定期間、例えば、1日、1週間、1ヶ月、3ヶ月(季節)を単位に、ユーザ履歴蓄積データベース313に蓄積された、ユーザIDに対応付けられた、ユーザの店舗内の移動履歴とユーザの購買結果とから移動パターンと購買額の関連を解析する。そして、推奨移動パターンやそのための推奨売場配置、あるいは、特売などのイベントや特典(クーポン)などをユーザの動線管理として提示する。
【0032】
(移動履歴テーブル)
図5は、本実施形態に係る移動履歴テーブル500の構成を示す図である。移動履歴テーブル500は、移動履歴生成部311が、ユーザが携帯する通信端末330からのビーコン受信通知に基づいてユーザに対応付けて生成し、ユーザ履歴蓄積データベース313に格納される。
【0033】
移動履歴テーブル500は、ユーザID501に対応付けて、複数のビーコン信号を受信したタイムスタンプ502と、そのビーコン信号ID503と、ビーコン信号ID503に対応するビーコン発信機の位置504と、を記憶する。なお、同じビーコン信号の受信時間からユーザの滞在時間を計測してもよい。
【0034】
(購買結果テーブル)
図6は、本実施形態に係る購買結果テーブル600の構成を示す図である。購買結果テーブル600は、購買結果生成部312が、POS340からのユーザの決済処理の通知に基づいてユーザに対応付けて生成し、ユーザ履歴蓄積データベース313に格納される。
【0035】
購買結果テーブル600は、ユーザID601とユーザが決済処理をしたタイムスタンプ602とに対応付けて、複数の購買品情報603と、精算額604と、を記憶する。ここで、購買品情報603は、商品ID、商品配置エリア(売場)、単価、購買個数などを含む。
【0036】
(ユーザ履歴蓄積データベース)
図7は、本実施形態に係るユーザ履歴蓄積データベース313の構成を示す図である。ユーザ履歴蓄積データベース313は、上述の移動履歴テーブル500および購買結果テーブル600を蓄積し、それらがユーザIDにより連結されたデータベースを生成して蓄積する。
【0037】
ユーザ履歴蓄積データベース313は、ユーザID701に対応付けて、購買日時や曜日702と、購買日時の天気などの環境情報703と、ユーザ移動履歴704と、ユーザ購買履歴705と、精算額706と、を格納する。
【0038】
ユーザ移動履歴704は、各売場エリアに対応してユーザが滞在したタイムスタンプを記憶する。ユーザ購買履歴705は、各売場における購買商品、単価、個数などを記憶する。
【0039】
(属性格納テーブル)
図8は、本実施形態に係る属性格納テーブル314の構成を示す図である。属性格納テーブル314は、ユーザの属性を記憶し、移動パターンの解析に用いられる。
【0040】
属性格納テーブル314は、ユーザID801に対応付けて、一般属性802と、分析属性803と、を記憶する。一般属性802には、例えば、年令、性別、住所、家族構成などが含まれる。分析属性803には、来店頻度、購買平均、嗜好などのユーザの行動からの分析結果が含まれる。
【0041】
(上位の移動パターンテーブル)
図9Aは、本実施形態に係る上位(ベスト)の移動パターンテーブル351aの生成を示す図である。上位の移動パターンテーブル351aは、ユーザ履歴蓄積データベース313に蓄積されたユーザ単位の履歴データから、精算額(購買金額)が多い順に、その店舗内の移動履歴と購買履歴とを関連付けて、その関連性から高額購買者の移動パターンを解析するために使用される。
【0042】
上位の移動パターンテーブル351aは、高額購買者の移動購買パターンテーブル910と、高額購買者の移動パターンの解析結果テーブル920と、を含む。
【0043】
移動購買パターンテーブル910は、精算額911の上位からの降順で所定数に対して、ユーザ移動購買履歴912と、日時曜日913と、環境情報(天気を含む)914と、を記憶する。ここで、ユーザ移動購買履歴912は、ユーザ履歴蓄積データベース313に蓄積されたユーザ移動履歴704とユーザ購買履歴とをユーザ単位で統合したものである。
【0044】
解析結果テーブル920は、高額購買パターンID921として、高額購買に結び付くユーザの移動パターンを記憶する。本例では、ユーザが第iエリアを最初に立ち寄り、第iエリアの売場以降に第jエリアの売場を立ち寄った場合が、高額購買に結び付くと解析される。
【0045】
なお、上記解析例は、単純な一例であって、例えば、万を超えるユーザの移動履歴と購買履歴との解析から、十分に高額購買に結び付くユーザの移動パターンが解析される。
【0046】
(中位の移動パターンテーブル)
図9Bは、本実施形態に係る中位の移動パターンテーブル351bの生成を示す図である。中位の移動パターンテーブル351bは、ユーザ履歴蓄積データベース313に蓄積されたユーザ単位の履歴データから、精算額(購買金額)が中位あるいは平均、あるいはその下のユーザについて、その店舗内の移動履歴と購買履歴とを関連付けて、その関連性から中位購買者の移動パターンを解析するために使用される。
【0047】
中位の移動パターンテーブル351bは、中位購買者の移動購買パターンテーブル930と、中位購買者の移動パターンの解析結果テーブル940と、を含む。
【0048】
移動購買パターンテーブル930は、精算額1931の中位の所定数に対して、ユーザ移動購買履歴912と、日時曜日913と、環境情報(天気を含む)914と、を記憶する。ここで、ユーザ移動購買履歴912は、ユーザ履歴蓄積データベース313に蓄積されたユーザ移動履歴704とユーザ購買履歴とをユーザ単位で統合したものである。
【0049】
解析結果テーブル940は、中位購買パターンID941として、中位購買になるユーザの移動パターンを記憶する。本例では、ユーザが第iエリアと第mエリアを立ち寄っているが、順序には規則性が無い場合が、中位購買になると解析される。
【0050】
なお、上記解析例は、単純な一例であって、例えば、万を超えるユーザの移動履歴と購買履歴との解析から、十分に中位購買になるユーザの移動パターンが解析される。
【0051】
(推奨移動パターンの生成)
図9Cは、本実施形態に係る推奨移動パターンテーブル950の生成を示す図である。推奨移動パターンテーブル950は、上述の高額購買の移動パターンを示す解析結果テーブル920と、中位購買の移動パターンを示す解析結果テーブル940とを比較検討して、解析結果テーブル940に示された中位購買の移動パターンを解析結果テーブル920に示された高額購買の移動パターンに変更する情報を提示するために使用される。
【0052】
推奨移動パターンテーブル950は、推奨移動パターン951と、推奨売場配置952と、を含む。例えば、本例では、推奨移動パターン951には、第iエリアの売場と第jエリアの売場とをこの順に立ち寄る移動パターンが、中位購買者を高額購買者とする目標として抽出される。推奨売場配置952には、例えば、店舗の入口に近い位置に第iエリアの売場を配置し、その先に続けて第jエリアの売場を配置することが提示される。
【0053】
なお、上記提示例は、単純な一例であって、例えば、万を超えるユーザの移動履歴と購買履歴との解析から、十分にユーザの推奨移動パターンや推奨売場配置の提示が可能である。また、図9Cでは、推奨移動パターンと推奨売場配置とを示したが、推奨移動パターンを実現する方法としては、売場配置は変更せずあるいは変更を最小限に抑え、特売品の配置や通路の変更、あるいは、特典(クーポンなど)により、ユーザを推奨移動パターンに誘導することによっても実現できる。
【0054】
《情報処理装置のハードウェア構成》
図10は、本実施形態に係る情報処理装置310のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0055】
図10で、CPU(Central Processing Unit)1010は演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで図3の情報処理装置310の機能構成部を実現する。CPU1010は複数のプロセッサを有し、異なるプログラムやモジュール、タスク、スレッドなどを並行して実行してもよい。ROM(Read Only Memory)1020は、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびプログラムを記憶する。ネットワークインタフェース1030は、ネットワークを介して、ユーザが携帯する通信端末330やPOS340との通信を制御する。
【0056】
RAM(Random Access Memory)1040は、CPU1010が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM1040には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する領域が確保されている。移動履歴テーブル500は、図5に示したように、ユーザ単位に店舗内での移動履歴を記憶する。購買結果テーブル600は、図6に示したように、ユーザ単位にユーザの購買履歴を記憶する。移動パターンテーブル351aは、図9Aに示したように、解析結果から生成された高額購買(ベストともいう)の移動パターンを記憶する。移動パターンテーブル351bは、図9Bに示したように、解析結果から生成された中位購買の移動パターンを記憶する。推奨移動パターンおよび推奨売場配置は、図9Cに示したように、移動パターンテーブル351aと移動パターンテーブル351bとの比較から、中位購買者を高額購買者に近付けるための提示情報を記憶する。送受信データ1041は、ネットワークインタフェース1030を介してユーザが携帯する通信端末330やPOS340と送受信するデータである。
【0057】
ストレージ1050は、データベースや各種のパラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。ユーザ履歴蓄積データベース313は、図7に示したように、ユーザ単位にユーザの移動履歴および購買履歴を関連付けて格納する。属性格納テーブル314は、図8に示したように、各ユーザの属性を格納する。
【0058】
ストレージ1050には、以下のプログラムが格納される。情報処理プログラム1051は、情報処理装置310の全体を制御するためのプログラムである。移動履歴生成モジュール1052は、ユーザが携帯する通信端末330からのビーコン受信の通知からユーザ単位の店舗内の移動履歴を生成するモジュールである。ユーザ履歴蓄積モジュール1053は、ユーザ単位の店舗内の移動履歴とユーザ単位のPOS340からの購買情報とをユーザIDで結びつけて、ユーザ履歴をユーザ履歴蓄積データベース313に蓄積するモジュールである。移動パターン解析モジュール1054は、ユーザ履歴蓄積データベース313に蓄積されたユーザ履歴とユーザ属性とに基づいて、購買レベルに応じた移動パターンを解析するモジュールである。推奨移動パターン/推奨売場配置生成モジュール1055は、購買レベルの応じた移動パターンを比較検討して、中位購買者を高額購買者に近付けるための推奨移動パターンおよび推奨売場配置を生成するモジュールである。
【0059】
なお、図10のRAM1040やストレージ1050には、情報処理装置310が有する汎用の機能や他の実現可能な機能に関連するプログラムやデータは図示されていない。
【0060】
《情報処理装置の処理手順》
図11Aは、本実施形態に係る情報処理装置310の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、CPU1010がRAM1040を使用して実行し、図3の情報処理装置310の機能構成部を実現する。
【0061】
情報処理装置310は、ステップS1101において、移動パターン解析アプリを含むアプリケーションを、ユーザが携帯する通信端末330やPOS340に配信する。情報処理装置310は、ステップS1103において、移動パターン解析アプリを含むアプリケーションを起動する。
【0062】
情報処理装置310は、ステップS1105において、通信端末330からのビーコン受信通知の受信を待って、ビーコン受信通知を受信すると、情報処理装置310は、ステップS1107において、ユーザIDとビーコン信号IDとを対応付けて取得する。そして、情報処理装置310は、ステップS1109において、ユーザIDに対応付けて、ビーコン受信のタイムスタンプと、ビーコンIDに対する位置情報とを、ユーザ履歴蓄積データベース313に蓄積する。情報処理装置310は、ステップS1111において、POS340からの決済通知の受信を待ち、決済通知の受信がなければ、情報処理装置310は、ステップS1105に戻って、ユーザの携帯する通信端末330が次のビーコンを受信するのを待つ。
【0063】
決済通知の受信があれば、情報処理装置310は、ステップS1113において、ユーザIDに対応付けて、購買額やそれぞれの購買位置をユーザ履歴蓄積データベース313に蓄積する。
【0064】
情報処理装置310は、ステップS1115において、移動パターンの解析タイミングか否かを判定する。解析タイミングは、例えば、来店ユーザが多ければ1日単位、あるいは、1週単位、来店ユーザが少なければ1月単位、季節単位(3ヶ月単位)、あるいは、売上に急激な変化などのタイミングを含む。移動パターンの解析タイミングでなければ、情報処理装置310は、ステップS1105に戻って、ユーザの携帯する通信端末330が次のビーコンを受信するのを待つ。
【0065】
移動パターンの解析タイミングであれば、情報処理装置310は、ステップS1117において、移動パターン解析処理として、ユーザ履歴蓄積データベース313を参照してユーザの移動パターンを解析し、推奨移動パターンと推奨売場配置を生成して提示する。
【0066】
なお、図11Aにおいては、あるユーザについてのユーザが携帯する通信端末330からの受信と、POS340からの受信をシーケンスに並べたが、普通はこれらをパラレルに並べて並列に実行する構成である。
【0067】
(移動パターン解析処理)
図11Bは、本実施形態に係る移動パターン解析処理(S1117)の手順を示すフローチャートである。
【0068】
情報処理装置310は、ステップS1121において、ユーザ履歴蓄積データベース313からユーザの移動パターンの履歴を読み出す。情報処理装置310は、ステップS1123において、高額購買ユーザの移動パターンを統計的に解析し、ベストなユーザの移動パターンを生成する。また、情報処理装置310は、ステップS1125において、中位購買ユーザの移動パターンを統計的に解析し、中位の(あるいは、平均的な)ユーザの移動パターンを生成する。
【0069】
情報処理装置310は、ステップS1127において、中位の移動パターンをベストの移動パターンに近付けるための推奨移動パターンを生成して提示する。そして、情報処理装置310は、ステップS1129において、推奨移動パターンを実現するための売場配置や特典サービスなどを提示する。
【0070】
本実施形態によれば、ユーザ識別子に対応付けて、ユーザの移動履歴とユーザの購買結果とを蓄積して、ユーザの移動パターンに基づく購買分析をすることにより、ユーザの推奨移動パターンや推奨売場配置を提示することで、ユーザによる購買額を増加させることができる。
【0071】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、上記第2実施形態と比べると、下位の移動パターンテーブルを生成して、上位の移動パターンテーブルとの分岐位置から推奨移動パターンや推奨売場配置を生成する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0072】
すなわち、蓄積された移動履歴と購買結果とを統計処理することによって、購買に結び付かないユーザの移動パターンを生成する。そして、購買に結び付くユーザの移動パターンと購買に結び付かないユーザの移動パターンとを参照して、ユーザの移動履歴中の、購買に結び付くか結び付かないかの分岐位置を抽出する。
【0073】
(下位の移動パターンテーブル)
図12Aは、本実施形態に係る下位(ワースト)の移動パターンテーブル351cの生成を示す図である。下位の移動パターンテーブル351cは、ユーザ履歴蓄積データベース313に蓄積されたユーザ単位の履歴データから、ゼロを含む精算額(購買金額)が少ない順に、その店舗内の移動履歴と購買履歴とを関連付けて、その関連性から高額購買者の移動パターンを解析するために使用される。なお、目的の売場への往復や特売品の売場への往復などの移動履歴は、移動パターンの解析から省いた方が望ましい。
【0074】
下位の移動パターンテーブル351cは、下位購買者の移動購買パターンテーブル1210と、下位購買者の移動パターンの解析結果テーブル1220と、を含む。
【0075】
移動購買パターンテーブル1210は、精算額1211の下位からの昇順で所定数に対して、ユーザ移動購買履歴912と、日時曜日913と、環境情報(天気を含む)914と、を記憶する。ここで、ユーザ移動購買履歴912は、ユーザ履歴蓄積データベース313に蓄積されたユーザ移動履歴704とユーザ購買履歴とをユーザ単位で統合したものである。
【0076】
解析結果テーブル1220は、少額購買パターンID1221として、少額購買になるユーザの移動パターンを記憶する。本例では、ユーザが第iエリアを最初に立ち寄らない場合が、少額購買になると解析される。
【0077】
なお、上記解析例は、単純な一例であって、例えば、万を超えるユーザの移動履歴と購買履歴との解析から、十分に少額購買になるユーザの移動パターンが解析される。
【0078】
(推奨移動パターンの生成)
図12Bは、本実施形態に係る変更条件テーブル1250の生成を示す図である。変更条件テーブル1250は、上述の高額購買の移動パターンを示す解析結果テーブル920と、少額購買の移動パターンを示す解析結果テーブル1220とを比較解析する。そして、解析結果テーブル920と解析結果テーブル1220とを分岐させた条件、および、その分岐条件に基づいて高額購買にシフトするための条件(ユーザの移動パターンや売場配置、特典サービスなど)を提示するために使用される。
【0079】
変更条件テーブル1250は、購買分岐条件1251と、売場配置条件1252と、を含む。例えば、本例では、購買分岐条件1251には、最初に立ち寄る売場が第iエリアの売場か否かが分岐条件として抽出される。売場配置条件1252には、例えば、ユーザを最初に第iエリアの売場に誘導する配置、あるいは、最初に第iエリアの売場に誘導するための特典(クーポンなど)の提供が提示される。
【0080】
なお、上記提示例は、単純な一例であって、例えば、万を超えるユーザの移動履歴と購買履歴との解析から、十分に購買分岐条件を抽出可能であり、売場配置条件などの提示が可能である。また、図12Bでは、購買分岐条件を売場配置条件として提示した。しかし、購買分岐条件を考慮した購買増加を実現する方法としては、売場配置は変更せずあるいは変更を最小限に抑え、特売品の配置や通路の変更、あるいは、特典(クーポンなど)により、購買分岐条件を満たしユーザを推奨移動パターンに誘導することによっても実現できる。
【0081】
(移動パターン解析処理)
図13は、本実施形態に係る移動パターン解析処理(S1117)の手順を示すフローチャートである。なお、図13において、図11Bと同様のステップには同じステップ番号を付して、重複する説明を省略する。
【0082】
情報処理装置310は、ステップS1325において、少額購買ユーザの移動パターンを統計的に解析し、下位のユーザの移動パターンを生成する。情報処理装置310は、ステップS1327において、高額購買ユーザの移動パターンと少額購買ユーザの移動パターンとを比較解析して、購買分岐条件1251を抽出する。そして、情報処理装置310は、ステップS1329において、購買分岐条件1251を参照して、売場配置条件、または、ユーザ誘導特典を提示する。
【0083】
本実施形態によれば、高額購買ユーザの移動パターンと少額購買ユーザの移動パターンとの分岐条件を抽出するので、店舗に来店するユーザによる購買増加の計画を効率的に生成することができる。
【0084】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、上記第2実施形態および第3実施形態と比べると、店舗内に特定の商品陳列を行なってユーザの移動履歴および購買結果を収集することで、ユーザの移動パターンを解析する点で異なる。例えば、定番品を企画棚に「寄せて」陳列した場合に、これに呼応し購買する顧客層と購買する曜日や時間帯を解析し、曜日や時間帯による推奨移動パターンおよび推奨売場配置を提示する。その他の構成および動作は、第2実施形態または第3実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0085】
(ユーザ履歴蓄積データベース)
図14は、本実施形態に係るユーザ履歴蓄積データベース1413の構成を示す図である。なお、図14において、図7と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明を書略する。
【0086】
ユーザ履歴蓄積データベース1413は、店舗内の特定の商品陳列を識別する特定陳列1401に対応付けて、ユーザの移動履歴と購買結果を収集する。特定陳列1401には、陳列日時と、陳列品を識別する陳列品IDと、陳列品売場とを含む。
【0087】
本実施形態によれば、店舗内に特定の商品陳列を行なうことにより移動パターンを絞った解析ができるので、ユーザの推奨移動パターンおよび推奨売場配置をより細やかに提示することができる。
【0088】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、上記第2実施形態乃至第4実施形態と比べると、催し物におけるユーザの移動履歴および購買結果を収集することで、ユーザの移動パターンを解析する点で異なる。例えば、特売日に特売品と同一部門の定番品を多く購買する顧客の店内動線の解析と予測から、推奨移動パターンおよび推奨特売品配置を提示する。その他の構成および動作は、第2実施形態から第4実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0089】
(ユーザ履歴蓄積データベース)
図15は、本実施形態に係るユーザ履歴蓄積データベース1513の構成を示す図である。なお、図15において、図7と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明を書略する。
【0090】
ユーザ履歴蓄積データベース1513は、特売品1501に対応付けて、ユーザの移動履歴と購買結果を収集する。特売品1501には、特売日時と、特売品を識別する特売品IDと、特売品売場とを含む。
【0091】
本実施形態によれば、催し物に絞ったユーザの移動履歴および購買結果の解析ができるので、催し物におけるユーザの推奨移動パターンおよび推奨売場配置を提示することができる。
【0092】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0093】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明の範疇に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の範疇に含まれる。
【要約】
【課題】ユーザ毎の店舗内の移動履歴を関連付けて処理しているので、ユーザの移動パターンに基づく購買分析をすること。
【解決手段】ユーザが携帯する通信機器から、ユーザを識別するユーザ識別子および通信機器が受信した近距離通信信号に含まれる信号識別子の履歴を受信して、ユーザの移動履歴を生成する移動履歴生成部と、購買処理を行なう決済機器から、ユーザの購買処理に基づいてユーザ識別子および購買データを受信して、ユーザの購買結果を生成する購買結果生成部と、ユーザ識別子に対応付けて、ユーザの移動履歴とユーザの購買結果とを蓄積するユーザ履歴蓄積部と、を備える。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14
図15