特許第6161191号(P6161191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6161191
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】チェーンガイド
(51)【国際特許分類】
   F16H 7/18 20060101AFI20170703BHJP
【FI】
   F16H7/18 B
【請求項の数】9
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-33674(P2013-33674)
(22)【出願日】2013年2月22日
(65)【公開番号】特開2014-163430(P2014-163430A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100092200
【弁理士】
【氏名又は名称】大城 重信
(74)【代理人】
【識別番号】100110515
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 益男
(72)【発明者】
【氏名】榑松 勇二
(72)【発明者】
【氏名】中久保 克也
(72)【発明者】
【氏名】小川 岳志
【審査官】 塚原 一久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−250208(JP,A)
【文献】 特開2003−222209(JP,A)
【文献】 特開2006−002810(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/166358(WO,A2)
【文献】 特開2011−220457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 7/00− 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行するチェーンを摺動案内する案内シューと、該案内シューをチェーン走行方向に沿って補強するベース部材と、エンジンルームに固定するための取付孔を有する少なくとも1つの取付部を備えたチェーンガイドであって、
前記取付部は、前記取付孔を有する取付部材によって構成され、
前記取付部材が、前記案内シューおよびベース部材とは別体で、前記案内シューまたは前記ベース部材の少なくとも一方あるいは両方に固定可能に構成され
前記ベース部材が、板状の部材で形成されビードを有することを特徴とするチェーンガイド。
【請求項2】
前記案内シューが、合成樹脂材料で形成され、
前記ベース部材および取付部材が、金属材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のチェーンガイド。
【請求項3】
前記取付部材が、固定片を有し、
前記固定片が、前記案内シューまたは前記ベース部材の少なくとも一方あるいは両方に固定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のチェーンガイド。
【請求項4】
前記固定片が、前記案内シューまたは前記ベース部材の少なくとも一方あるいは両方を挟持するように形成されていることを特徴とする請求項3に記載のチェーンガイド。
【請求項5】
前記案内シューまたは前記ベース部材の少なくとも一方あるいは両方が、前記固定片を挟持するように形成されていることを特徴とする請求項3に記載のチェーンガイド。
【請求項6】
前記取付部材またはベース部材の一方が、固定孔を有し、
他方が、前記固定孔に挿入される固定突起を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のチェーンガイド。
【請求項7】
前記取付部材が、複数の部品を組み合わせて形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のチェーンガイド。
【請求項8】
前記取付部材が、板状の部材で形成されビードを有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のチェーンガイド。
【請求項9】
前記取付部が、2つ以上設けられ、
前記取付部の少なくとも1つが、前記取付部材で構成され、
前記取付部の少なくとも他の1つが、前記案内シューまたはベース部材に一体に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8に記載のチェーンガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行するチェーンを摺動案内する案内シューと、該案内シューをチェーン走行方向に沿って補強するベース部材と、少なくとも1つの取付部を備えたチェーンガイドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スプロケット間を走行するチェーンを安定させ張力を適正に保持するために、走行するチェーンを摺動案内する案内シューを備えたチェーンガイドを用いることは慣用されている。
例えば、図64に示すように、エンジンルーム内のクランク軸とカム軸の夫々に設けたスプロケットS1、S2間に無端懸回したローラチェーン等の伝動チェーンCHを走行させるエンジンのタイミングシステムであって、タイミングチェーンCHがエンジンルームE内のクランク軸に取り付けた駆動スプロケットS1とカム軸に取り付けた一対の従動スプロケットS2との間に無端懸回されており、このタイミングチェーンCHがチェーンガイド600(揺動ガイド)とチェーンガイド500(固定ガイド)とによってガイドされるタイミングシステムが公知である。
【0003】
この公知のタイミングシステムでは、チェーンガイド500(固定ガイド)は、2つの取付軸B1、B2でエンジンルームE内に固定され、チェーンガイド600(揺動ガイド)は、揺動軸B0を中心にタイミングチェーンCHの懸回平面内で揺動可能にエンジンルーム内に取り付けられている。
チェーンテンショナTは、チェーンガイド600(揺動ガイド)を押圧することでタイミングチェーンCHの張力を適正に保持するとともに振動を抑制している。
【0004】
このような公知のタイミングシステムに用いられるチェーンガイドは、走行案内部が低摩擦で摩耗に強い材料で構成されるのが望ましく、全体を低摩擦の樹脂材料で構成されたものが公知である。
しかしながら、チェーンガイドはチェーンの張力や振動に抗して安定的に案内するためにある程度の強度、剛性、耐久性が必要であり、樹脂材料のみで構成した場合、必要な強度、剛性、耐久性を得るためには、材料を厚く大きくする必要があり、エンジンルーム内での占有スペースが大きくなる。
そこで、走行案内部を低摩擦の樹脂材料で形成し、金属等の強度、剛性、耐久性の大きな材料で樹脂材料を補強するように形成することで、チェーンガイド全体として必要な強度、剛性、耐久性を確保しつつ占有スペースを小さくしたものが公知である(特許文献1、2等参照。)。
【0005】
例えば、特許文献1等で公知のチェーンガイド500(固定ガイド)は、図65乃至図67に示すように、走行するチェーンを摺動案内する樹脂製の案内シュー510と、該案内シュー510をチェーン走行方向に沿って補強する板状金属製のベース部材520とを備えている。
ベース部材520は、チェーン走行方向に延びるシュー支持部521と、チェーン走行方向に対して離間した位置でそれぞれ垂直に延びる取付部522からなり、一体の金属板から2箇所のベース取付部522を、それぞれ、シュー支持部521に対して90°屈曲することで形成されている。
【0006】
2箇所の取付部522には、それぞれ、ボルト等が挿通される取付孔523が設けられている。
案内シュー510は、走行案内部511がベース部材520のシュー支持部521に支持され、チェーン走行方向の両端部の端部係止片512および幅方向の適宜の箇所に設けられた複数の側部係止片513がシュー支持部521に係止されることによって嵌合および取外し可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−89428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような公知のチェーンガイドにおいては、ベース部材520が一体の金属板の2箇所を90°に屈曲させることで、シュー支持部521と2箇所の取付部522を形成しているため、1枚の金属板に対して2箇所以上の折り曲げ加工が必要となり製造工数が増加するという問題があった。
また、シュー支持部521と2箇所の取付部522を一体の金属板で構成するため金属材料を多く必要とし、1枚の金属板から打ち抜き等で製造する際に突起部の多い輪郭形状であるため、材料の無駄も多くなるという問題があった。
【0009】
また、例えば他の諸元が同一で取付軸B1、B2の位置のみが異なるような場合でも、全く別の形状のベース部材520を設計する必要があり、ベース部材520を1枚の金属板から打ち抜き等で製造する際に、打ち抜きの形状を異なるものとし、また、折り曲げ加工も異なる位置とする必要があるため、取り付け対象の設計変更があった場合や、多様な取り付け対象に適用する場合等に汎用性がなく製造コストが増大するという問題があった。
さらに、ベース部材に取付部を形成した場合、その材質や厚さを同じものとする必要があり、それぞれに最適な設計とすることが困難であり、材料のコストを低減できないという問題があった。
【0010】
本発明は、取付部によって取り付けられチェーンガイドにおいて、エンジンルームに固定するための取付孔を有する取付部を案内シューあるいはベース部材に設けるのではなく、案内シューおよびベース部材とは別体とすることで前述した問題点を解決するものであって、簡単な構成で、必要な強度、剛性、耐久性を維持しつつエンジンルーム内での占有スペースを小さくするとともに、製造工数や材料の無駄を低減し、かつ、汎用性を高めて、製造コストを低減することが可能なチェーンガイドを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本請求項1に係る発明は、走行するチェーンを摺動案内する案内シューと、該案内シューをチェーン走行方向に沿って補強するベース部材と、エンジンルームに固定するための取付孔を有する少なくとも1つの取付部を備えたチェーンガイドであって、前記取付部は、前記取付孔を有する取付部材によって構成され、前記取付部材が、前記案内シューおよびベース部材とは別体で、前記案内シューまたは前記ベース部材の少なくとも一方あるいは両方に固定可能に構成され、前記ベース部材が、板状の部材で形成されビードを有することにより、前記課題を解決するものである。
【0012】
本請求項2に係る発明は、請求項1に係るチェーンガイドの構成に加え、前記案内シューが、合成樹脂材料で形成され、前記ベース部材および取付部材が、金属材料で形成されていることにより、前記課題を解決するものである。
本請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係るチェーンガイドの構成に加え、前記取付部材が、固定片を有し、前記固定片が、前記案内シューまたは前記ベース部材の少なくとも一方あるいは両方に固定されることにより、前記課題を解決するものである。
本請求項4に係る発明は、請求項3に係るチェーンガイドの構成に加え、前記固定片が、前記案内シューまたは前記ベース部材の少なくとも一方あるいは両方を挟持するように形成されていることにより、前記課題を解決するものである。
本請求項5に係る発明は、請求項3に係るチェーンガイドの構成に加え、前記前記案内シューまたは前記ベース部材の少なくとも一方あるいは両方が、前記固定片を挟持するように形成されていることにより、前記課題を解決するものである。
本請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに係るチェーンガイドの構成に加え、前記取付部材またはベース部材の一方が、固定孔を有し、他方が、前記固定孔に挿入される固定突起を備えたことにより、前記課題を解決するものである。
【0013】
本請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれかに係るチェーンガイドの構成に加え、前記取付部材が、複数の部品を組み合わせて形成されていることにより、前記課題を解決するものである
本請求項8に係る発明は、請求項1乃至請求項7のいずれかに係るチェーンガイドの構成に加え、前記取付部材が、板状の部材で形成されビードを有することにより、前記課題を解決するものである。
本請求項9に係る発明は、請求項1乃至請求項8のいずれかに係るチェーンガイドの構成に加え、前記取付部が、2つ以上設けられ、前記取付部の少なくとも1つが、前記取付部材で構成され、前記取付部の少なくとも他の1つが、前記案内シューまたはベース部材に一体に形成されていることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0014】
本請求項1に係るチェーンガイドによれば、強度、剛性、耐久性に寄与するベース部材を案内シューと別材料で形成して占有スペースを小さくすることが可能となるとともに、エンジンルームに固定するための取付孔を有する取付部が、案内シューおよびベース部材とは別体で、取付部は、取付孔を有する取付部材によって構成され、取付部材が、案内シューまたはベース部材の少なくとも一方あるいは両方に固定可能に構成されていることにより、案内シュー、ベース部材および取付部材をそれぞれ独立して最適な形状、材質を選択することができるため、チェーンガイド全体として必要な強度、剛性、耐久性を充分に確保しつつ、製造コストを低減することができる。
また、ベース部材に対して折り曲げ等の加工を行う必要がなく、加工工数を低減することができ、ベース部材を突起部の少ない輪郭形状とすることができ、製造が容易となるとともに、1枚の金属板から打ち抜き等で製造する際に、材料の無駄を低減することができる。
また、取り付け対象の設計変更があった場合や、多様な取り付け対象に適用する場合等であっても、案内シューおよびベース部材とは別体の取付部材のみを変更することで対応可能となり、汎用性を高めて製造コストを低減することができる。
また、ベース部材が板状の部材で形成されビードを有することにより、安価な材料や薄い材料でも必要な強度、剛性、耐久性を充分に担保することが可能となり、さらに製造コストを低減することができる。
さらに、取付部材が別体となっているため、ベース部材自体に取付部を形成するために必要な強度を確保する必要がなく、またベース部材に対して取付部を形成するための曲げ加工等を必要としないため、ビードを最適な形状となるように任意に設定でき、ベース部材を安価な材料や薄い材料で形成することができる。
【0015】
本請求項2に記載の構成によれば、案内シューを合成樹脂材料で形成することにより、走行案内部を低摩擦とすることができ、成形も容易となるとともに、ベース部材を金属材料とすることで、さらに占有スペースを小さくしつつ強度、剛性、耐久性を充分に担保することが可能となる。
本請求項3に記載の構成によれば、固定片が案内シューまたはベース部材の少なくとも一方あるいは両方に固定されることにより、別体の取付部材が案内シューに対して必要かつ充分に固定されるため、チェーンガイド全体として必要な強度、剛性、耐久性を充分に確保することができる。
本請求項4に記載の構成によれば、固定片が案内シューまたはベース部材の少なくとも一方あるいは両方を挟持するように形成されていることにより、取付部材が案内シューに対してさらに充分に固定される。
本請求項5に記載の構成によれば、案内シューまたはベース部材の少なくとも一方あるいは両方が、固定片を挟持するように形成されていることにより、取付部材が案内シューに対してさらに充分に固定される。
本請求項6に記載の構成によれば、取付部材またはベース部材の一方が固定孔を有し、他方が固定孔に挿入される固定突起を備えたことにより、簡単な構成で、取付部材とベース部材とを確実に固定することが可能となる。
また、取付部材およびベース部材を単純な形状で、かつ、必要最低限の大きさとすることができ材料も節約可能で、例えば打ち抜き等の製造時に同時に設けることができるため二次加工の必要がなく製造コストを低減することができる。
【0016】
本請求項7に記載の構成によれば、取付部材が複数の部品を組み合わせて形成されていることにより、取付部材を全体として複雑な形状とする場合でも、個々の部品を単純な形状で構成することができるため、製造コストを低減することができるとともに、取付部材をベース部材に確実に固定することが可能となる。
本請求項8に記載の構成によれば、取付部材が板状の部材で形成されビードを有することにより、安価な材料や薄い材料でも必要な強度、剛性、耐久性を充分に担保することが可能となり、さらに製造コストを低減することができる。
本請求項9に記載の構成によれば、取付部材が固定される案内シューまたはベース部材と、ベース部材または案内シューに一体に形成された取付部の間隔を任意に調整、設定でき、エンジン等の固定先の寸法との誤差を容易に吸収でき取り付け作業が容易となる。
また、使用時にベース部材や案内シューが温度変化により伸縮したりチェーンの張力変や振動等で変形した際、チェーン走行方向に加わる力を相対的に変位することで逃すことが可能となり、特定の箇所に集中的な応力が加わらずさらに耐久性を向上することができる。
さらに、各取付部にも集中的な応力が加わらず、固定が緩むことを確実に防止でき、使用時の振動や騒音の増大を防止し、メンテナンス作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係るチェーンガイドの上方からの斜視図。
図2】本発明の第1実施形態に係るチェーンガイドの下方からの斜視図。
図3】本発明の第1実施形態に係るチェーンガイドの(a)平面図、(b)正面図。
図4図3(b)の(a)A−A断面図、(b)B−B断面図。
図5】本発明の第1実施形態に係るチェーンガイドの(a)一方の取付部材の正面図、(b)一方の取付部材の斜視図、(c)他方の取付部材の斜視図、(d)他方の取付部材の正面図、(e)ベース部材の平面図、(f)ベース部材の側面図。
図6】本発明の第1実施形態の変形例に係るチェーンガイドの(a)平面図、(b)正面図。
図7図6(b)の(a)A−A断面図、(b)B−B断面図。
図8】本発明の第1実施形態の変形例に係るチェーンガイドの(a)一方の取付部材の正面図、(b)一方の取付部材の斜視図、(c)他方の取付部材の斜視図、(d)他方の取付部材の正面図。
図9】本発明の第1実施形態の他の変形例に係るチェーンガイドの上方からの斜視図。
図10】本発明の第1実施形態の他の変形例に係るチェーンガイドの下方からの斜視図。
図11】本発明の第1実施形態の他の変形例に係るチェーンガイドの(a)平面図、(b)正面図。
図12図11(b)の(a)A−A断面図、(b)B−B断面図。
図13】本発明の第2実施形態に係るチェーンガイドの上方からの斜視図。
図14】本発明の第2実施形態に係るチェーンガイドの下方からの斜視図。
図15】本発明の第2実施形態に係るチェーンガイドの(a)平面図、(b)正面図。
図16図15(b)の(a)A−A断面図、(b)B−B断面図。
図17】本発明の第2実施形態に係るチェーンガイドの(a)一方の取付部材の正面図、(b)一方の取付部材の斜視図、(c)他方の取付部材の斜視図、(d)他方の取付部材の正面図、(e)ベース部材の平面図、(f)ベース部材の側面図。
図18】本発明の第2実施形態の変形例に係るチェーンガイドの上方からの斜視図。
図19】本発明の第2実施形態の変形例に係るチェーンガイドの下方からの斜視図。
図20】本発明の第2実施形態の変形例に係るチェーンガイドの(a)平面図、(b)正面図。
図21図20(b)の(a)A−A断面図、(b)B−B断面図。
図22】本発明の第2実施形態の他の変形例に係るチェーンガイドの下方からの斜視図。
図23】本発明の第2実施形態の他の変形例に係るチェーンガイドの(a)平面図、(b)正面図。
図24図23(b)の(a)A−A断面図、(b)B−B断面図。
図25】本発明の第2実施形態の他の変形例に係るチェーンガイドの(a)一方の取付部材の正面図、(b)一方の取付部材の斜視図、(c)他方の取付部材の斜視図、(d)他方の取付部材の正面図。
図26】本発明の第2実施形態の第3の変形例に係るチェーンガイドの上方からの斜視図。
図27】本発明の第2実施形態の第3の変形例に係るチェーンガイドの下方からの斜視図。
図28】本発明の第2実施形態の第3の変形例に係るチェーンガイドの(a)平面図、(b)正面図。
図29図28(b)の(a)A−A断面図、(b)B−B断面図。
図30】本発明の第3実施形態に係るチェーンガイドの上方からの斜視図。
図31】本発明の第3実施形態に係るチェーンガイドの下方からの斜視図。
図32図31と異なる方向の下方からの斜視図。
図33】本発明の第3実施形態に係るチェーンガイドの(a)平面図、(b)正面図。
図34図33(b)の(a)A−A断面図、(b)B−B断面図。
図35】本発明の第3実施形態に係るチェーンガイドの(a)一方の取付部材の正面図、(b)一方の取付部材の斜視図、(c)他方の取付部材の斜視図、(d)他方の取付部材の正面図、(e)ベース部材の平面図。
図36】本発明の第3実施形態の変形例に係るチェーンガイドの上方からの斜視図。
図37】本発明の第3実施形態の変形例に係るチェーンガイドの下方からの斜視図。
図38図37と異なる方向の下方からの斜視図。
図39】本発明の第3実施形態の変形例に係るチェーンガイドの(a)平面図、(b)正面図。
図40図39(b)の(a)A−A断面図、(b)B−B断面図。
図41】本発明の第3実施形態の変形例に係るチェーンガイドの(a)一方の取付部材の正面図、(b)一方の取付部材の斜視図、(c)他方の取付部材の斜視図、(d)他方の取付部材の正面図、(e)ベース部材の平面図。
図42】本発明の第3実施形態の他の変形例に係るチェーンガイドの上方からの斜視図。
図43】本発明の第3実施形態の他の変形例に係るチェーンガイドの下方からの斜視図。
図44】本発明の第3実施形態の他の変形例に係るチェーンガイドの(a)平面図、(b)正面図。
図45図44(b)の(a)A−A断面図、(b)B−B断面図。
図46】本発明の第3実施形態の他の変形例に係るチェーンガイドのベース部材の平面図。
図47】本発明の第3実施形態の第3の変形例に係るチェーンガイドの上方からの斜視図。
図48】本発明の第3実施形態の第3の変形例に係るチェーンガイドの下方からの斜視図。
図49図48と異なる方向の下方からの斜視図。
図50】本発明の第3実施形態の第3の変形例に係るチェーンガイドの(a)平面図、(b)正面図。
図51図50(b)の(a)A−A断面図、(b)B−B断面図。
図52】本発明の第3実施形態の第3の変形例に係るチェーンガイドの(a)一方の取付部材の正面図、(b)一方の取付部材の斜視図、(c)他方の取付部材の斜視図、(d)他方の取付部材の正面図、(e)ベース部材の平面図。
図53】本発明の第3実施形態の第4の変形例に係るチェーンガイドの上方からの斜視図。
図54】本発明の第3実施形態の第4の変形例に係るチェーンガイドの下方からの斜視図。
図55図54と異なる方向の下方からの斜視図。
図56】本発明の第3実施形態の第4の変形例に係るチェーンガイドの(a)平面図、(b)正面図。
図57図56(b)の(a)A−A断面図、(b)B−B断面図。
図58】本発明の第3実施形態の第4の変形例に係るチェーンガイドの(a)他方の取付部材の斜視図、(b)他方の取付部材の正面図、(c)他方の第2取付部材の斜視図、(d)他方の第2取付部材の正面図。
図59】本発明の第3実施形態の第5の変形例に係るチェーンガイドの上方からの斜視図。
図60】本発明の第3実施形態の第5の変形例に係るチェーンガイドの下方からの斜視図。
図61】本発明の第3実施形態の第5の変形例に係るチェーンガイドの(a)平面図、(b)正面図。
図62図61(b)の(a)A−A断面図、(b)B−B断面図。
図63】本発明の第3実施形態の第5の変形例に係るチェーンガイドの(a)他方の取付部材の斜視図、(b)他方の取付部材の正面図。
図64】従来のエンジンのタイミングシステムの説明図。
図65】従来のチェーンガイドの上方からの斜視図。
図66】従来のチェーンガイドの下方からの斜視図。
図67】従来のチェーンガイドの(a)平面図、(b)正面図、(c)底面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、複数の部材で構成され複数の取付部によって固定される際に、複数の取付部を1つの部材に設けるのではなく、複数の部材に分散して設ける構造とするという技術思想に基づくもので、走行するチェーンを摺動案内する案内シューと、該案内シューをチェーン走行方向に沿って補強するベース部材と、エンジンルームに固定するための取付孔を有する少なくとも1つの取付部とを備えたチェーンガイドであって、前記取付部は、前記取付孔を有する取付部材によって構成され、前記取付部材が、前記案内シューおよびベース部材とは別体で、前記案内シューまたは前記ベース部材の少なくとも一方あるいは両方に固定可能に構成され、前記ベース部材が、板状の部材で形成されビードを有し、簡単な構成で、必要な強度、剛性、耐久性を維持しつつエンジンルーム内での占有スペースを小さくするとともに、製造工数や材料の無駄を低減し、かつ、汎用性を高めて、製造コストを低減することが可能なものであれば、その具体的な構成はいかなるものであってもよい。
【0019】
ベース部材は、金属材料であるのが望ましく、特に圧延鋼板から製造されるのが好適であるが、剛性、耐久性、成形性、コスト等の諸条件に応じて公知の適宜のものを選択すればよい。
案内部シューの材質は、合成樹脂であるのが望ましいが、摩擦抵抗、剛性、耐久性、成形性、コスト等に諸条件に応じて公知の適宜のものを選択すればよい。
また、後述する各実施形態および変形例は、それぞれ2つの取付部を有しているが、いずれか1つのみ有するものであってもよく、また、2つの取付部を持ち、それぞれ異なる実施形態および変形例の取付部の形態を適宜組み合わせたものであってもよい。
【実施例1】
【0020】
本発明の第1実施形態に係るチェーンガイド100(固定ガイド)について図面に基づいて説明する。
チェーンガイド100は、前述した公知のタイミングシステムに適用されるものであり、図1乃至図5に示すように、走行するチェーンを摺動案内する案内シュー110と、該案内シュー110をチェーン走行方向に沿って補強するベース部材120とを備えている。
ベース部材120は、チェーン走行方向に延びるとともに、チェーン走行方向に沿って所定の湾曲形状が付与されており、例えば、1枚の圧延鋼板から打ち抜きによって形成される。
【0021】
取付部材130は、案内シュー110およびベース部材120とは別体に形成されており、取付部133と、該取付部133に対して90°屈曲して延びる固定片132を有している。
取付部133には、ボルト等が挿通されてエンジンルーム等に固定するための取付孔131が設けられている。
案内シュー110は、チェーン走行方向に延びる走行案内部111を有し、ベース部材120と取付部材130の固定片132をインサートした状態で射出成形等で形成されることで、案内シュー110とベース部材120と取付部材130が一体に固定されたチェーンガイド100が構成されている。
【0022】
このように構成されていることで、案内シュー110、ベース部材120および取付部材130をそれぞれ独立して最適な形状、材質を選択することができるため、チェーンガイド100全体として必要な強度、剛性、耐久性を充分に確保しつつ、製造コストを低減することができる。
また、ベース部材120に対して折り曲げ等の加工を行う必要がなく、加工工数を低減することができ、ベース部材120を突起部の少ない輪郭形状とすることができ、製造が容易となるとともに、1枚の金属板から打ち抜き等で製造する際に、材料の無駄を低減することができる。
【0023】
さらに、本実施形態では、ベース部材120は、図5(e)、(f)に示すように、外形に凹凸が全くないため、引き抜き成形された金属製の棒材等を使用することが可能であり、長尺の棒材を適宜の長さで切断する等の簡単な方法で容易に製造できるため、製造工程が簡素化される。
また、棒材を使用した場合には、長手方向の表面には切断や打ち抜き等に起因するバリ等が存在しないため、バリ等によって案内シューの接触面に傷をつけることがなく、使用時の傷をきっかけとした亀裂の発生や破損を防止することができる。
【0024】
また、本実施形態では、図示の左右の取付部材130は、それぞれ取付部133の形状が異なり、案内シュー110およびベース部材120と一体に固定した際の取付部133の延びる方向が異なるが、チェーンガイド100の取り付け対象であるエンジンルーム等の設計に応じて形状等を自由に設計可能であり、取付部材130のみを変更することで様々なものに対応可能となり、汎用性を高めて製造コストを低減することができる。
さらに、案内シュー110の成形前に、あらかじめベース部材120と取付部材130の固定片132とをスポット溶接等の適宜の手段で固定してあってもよく、そうすることで、製造が容易となるとともに、より強固に案内シュー110とベース部材120と取付部材130とを一体に固定することが可能となる。
【0025】
なお、本実施形態においては、図示の左の取付部材130の取付孔131はチェーン走行方向に長孔に形成することで、2個の取付部材130の間隔とエンジン内側の固定部の間隔との寸法誤差や、温度による伸縮を許容する構造としているが、右の取付部材130の取付孔131を長孔としても、両方を長孔としてもよく、他の構造で誤差を吸収できる場合にはいずれも長孔としなくてもよい。
【実施例2】
【0026】
本発明の第1実施形態の変形例に係るチェーンガイド100Aは、図6乃至図8に示すように、取付部材130Aの固定片132Aに案内シュー110の材料が充填される充填孔134を設けたものであり、他の構成は前述した第1実施形態に係るチェーンガイド100と同じである(チェーンガイド100と同じ部材は同一符号とし、斜視図はチェーンガイド100と同じであるため省略した。)。
このことにより、ベース部材120と取付部材130の固定片132をインサートした状態で射出成形等によって案内シュー110を形成した際に、案内シュー110とベース部材120と取付部材130がより確実に固定されたチェーンガイド100Aを得ることができ、第1実施形態に係るチェーンガイド100と同様の格別の作用効果を奏することできる。
【実施例3】
【0027】
本発明の第1実施形態の他の変形例に係るチェーンガイド100Bは、図9乃至図12に示すように、あらかじめベース部材120と取付部材130の固定片132とがスポット溶接等の適宜の手段で固定されて一体化され、案内シュー110Bが、ベース部材120と係合することで、案内シュー110Bとベース部材120と取付部材130が一体に固定されるように構成されているものであり、他の構成は前述した第1実施形態に係るチェーンガイド100と同じである(チェーンガイド100と同じ部材は同一符号とした。)。
【0028】
本変形例の案内シュー110Bは、前述した公知の案内シュー510と同様に、チェーン走行方向の両端部に端部係止片112が、幅方向の適宜の箇所に複数の側部係止片113がそれぞれ設けられており、端部係止片112と側部係止片113がベース部材120に係止されることによって、取付部材130と一体に固定されたベース部材120を案内シュー110Bに対して嵌合および取外し可能に構成されている。
このことで、案内シュー110Bを従来と同じ構成としつつ、ベース部材120および取付部材130をそれぞれ独立して最適な形状、材質を選択することができ、第1実施形態に係るチェーンガイド100と同様の格別の作用効果を奏することできる。
なお、端部係止片112は両端で同じ構造でも異なる構造でもよく一方にのみ設けてもよい。
また、側部係止片113の個数、位置、構造等も必要に応じて任意に設計可能である。
【実施例4】
【0029】
本発明の第2実施形態に係るチェーンガイド200(固定ガイド)について図面に基づいて説明する。
チェーンガイド200は、本発明の第1実施形態に係るチェーンガイド(100、100A、100B)と同様に、前述した公知のタイミングシステムに適用されるものであり、図13乃至図17に示すように、走行するチェーンを摺動案内する案内シュー210と、該案内シュー210をチェーン走行方向に沿って補強するベース部材220とを備えている。
ベース部材220は、チェーン走行方向に延びるとともに、チェーン走行方向に沿って所定の湾曲形状が付与され、かつ、チェーン走行方向に延びる2本のビード224を有しており、例えば、1枚の圧延鋼板から打ち抜きによって形成される。
【0030】
取付部材230は、案内シュー210およびベース部材220とは別体に形成されており、取付部233と、該取付部233に対して90°屈曲して延びる固定片232と、該固定片232の端縁から延びて180°屈曲して折り返される折返片236とを有している。
取付部233には、ボルト等が挿通されてエンジンルーム等に固定するための取付孔231が設けられ、取付部233から固定片232かけて3本のビード235を有している。
案内シュー210は、チェーン走行方向に延びる走行案内部211を有し、ベース部材220と取付部材230の固定片232および折返片236をインサートした状態で射出成形等で形成されることで、案内シュー210とベース部材220と取付部材230が一体に固定されたチェーンガイド200が構成されている。
【0031】
このように構成されていることで、前述の第1実施形態と同様に、案内シュー210、ベース部材220および取付部材230をそれぞれ独立して最適な形状、材質を選択することができるため、チェーンガイド200全体として必要な強度、剛性、耐久性を充分に確保しつつ、製造コストを低減することができる。
また、ベース部材220に対して折り曲げ等の加工を行う必要がなく、加工工数を低減することができ、ベース部材220を突起部の少ない輪郭形状とすることができ、製造が容易となるとともに、1枚の金属板から打ち抜き等で製造する際に、材料の無駄を低減することができる。
【0032】
また、本実施形態では、ベース部材220および取付部材230は、ビード224およびビード235を有していることにより、より薄い材料で必要な強度、剛性、耐久性を充分に確保することが可能となる。
このベース部材220および取付部材230のビード224およびビード235は、1枚の金属板から打ち抜き等で製造する場合には、打ち抜き時に同時に形成することも可能である。
【0033】
さらに、本実施形態では、取付部材230が固定片232の端縁から延びて180°屈曲して折り返される折返片236を有していることにより、固定片232と折返片236によってベース部材220を挟持することが可能となり、案内シュー210の成形前に、あらかじめベース部材220と取付部材230を固定することができる。このことで、製造が容易となるとともに、より強固に案内シュー210とベース部材220と取付部材230とを一体に固定することが可能となる。
また、固定片232と折返片236によってベース部材220を挟持した際に、スポット溶接等で固定してもよい。
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、左右の取付部材230の形状、取付孔231の形状等は、自由に設計可能である。
また、ベース部材220および取付部材230のビード224およびビード235の具体的な形状、本数、寸法等も、それぞれ自由に設計可能である。
【実施例5】
【0034】
本発明の第2実施形態の変形例に係るチェーンガイド200Aは、図18乃至図21に示すように、あらかじめベース部材220と取付部材230の固定片232とがスポット溶接等の適宜の手段で固定されて一体化され、案内シュー210Aが、ベース部材220と係合することで、案内シュー210Aとベース部材220と取付部材230が一体に固定されるように構成されているものであり、他の構成は前述した第2実施形態に係るチェーンガイド200と同じである(チェーンガイド200と同じ部材は同一符号とした。)。
【0035】
本変形例の案内シュー210Aは、前述した公知の案内シュー510と同様に、チェーン走行方向の両端部に端部係止片212が、幅方向の適宜の箇所に複数の側部係止片213がそれぞれ設けられており、端部係止片212と側部係止片213がベース部材220に係止されることによって、取付部材230と一体に固定されたベース部材220を案内シュー210Aに対して嵌合および取外し可能に構成されている。
このことで、案内シュー210Aを従来と同じ構成としつつ、ベース部材220および取付部材230をそれぞれ独立して最適な形状、材質を選択することができ、第2実施形態に係るチェーンガイド200と同様の格別の作用効果を奏することできる。
なお、端部係止片212は両端で同じ構造でも異なる構造でもよく一方にのみ設けてもよい。
また、側部係止片213の個数、位置、構造等も必要に応じて任意に設計可能である。
【実施例6】
【0036】
本発明の第2実施形態の他の変形例に係るチェーンガイド200Bは、図22乃至図25に示すように、取付部材230Bは、折返片を有しておらず、あらかじめベース部材220と取付部材230Bの固定片232Bとがスポット溶接等の適宜の手段で固定されて一体化され、案内シュー210Bが、ベース部材220と係合することで、案内シュー210Bとベース部材220と取付部材230が一体に固定されるように構成されているものであり、他の構成は前述した第2実施形態に係るチェーンガイド200と同じである(チェーンガイド200と同じ部材は同一符号とした。)。
【0037】
また、本変形例の案内シュー210Bは、前述した本発明の第2実施形態の変形例に係るチェーンガイド200Aの案内シュー210Aと同じである
本変形例によれば、取付部材230Bが折返片を有していないことにより、製造が容易となり、コストも軽減されるとともに、第2実施形態に係るチェーンガイド200と同様の格別の作用効果を奏することできる。
【実施例7】
【0038】
本発明の第2実施形態の第3の変形例に係るチェーンガイド200Cは、図26乃至図29に示すように、取付部材230Cが、前述のチェーンガイド200Bの取付部材230Bと同じ構成で折返片を有しておらず、案内シュー210Cが、チェーン走行方向に延びる走行案内部211を有し、ベース部材220と取付部材230Cの固定片232をインサートした状態で射出成形等で形成される案内シュー210Cは、チェーン走行方向に延びる走行案内部211を有し、ベース部材220と取付部材230Cの固定片232をインサートした状態で射出成形等で形成されるものであり、他の構成は前述した第2実施形態に係るチェーンガイド200と同じである(チェーンガイド200と同じ部材は同一符号とした。)。
本変形例によれば、取付部材230Cが折返片を有していないことにより、製造が容易となり、コストも軽減されるとともに、第2実施形態に係るチェーンガイド200と同様の格別の作用効果を奏することできる。
【実施例8】
【0039】
本発明の第3実施形態に係るチェーンガイド300(固定ガイド)について図面に基づいて説明する。
チェーンガイド300は、本発明の第1実施形態および第2実施形態に係るチェーンガイド(100、100A、100B、200、200A、200B、200C)と同様に、前述した公知のタイミングシステムに適用されるものであり、図30乃至図35に示すように、走行するチェーンを摺動案内する案内シュー310と、該案内シュー310をチェーン走行方向に沿って補強するベース部材320とを備えている。
ベース部材320は、チェーン走行方向に延びるとともに、チェーン走行方向に沿って所定の湾曲形状が付与され、かつ、幅方向の側方に突出する2つの固定突起325を有しており、例えば、1枚の圧延鋼板から打ち抜きによって形成される。
【0040】
取付部材330は、案内シュー310およびベース部材320とは別体に形成されており、ベース部材320の固定突起325に嵌合する固定孔337と、ボルト等が挿通されてエンジンルーム等に固定するための取付孔331を有している。
固定孔337は、ベース部材320の固定突起325が挿入された際に密に嵌合して、取付部材330とベース部材320とが一体に固定されるように形成されている。
案内シュー310は、前述した公知の案内シュー510と同様に、チェーン走行方向の両端部に端部係止片312が、幅方向の適宜の箇所に複数の側部係止片313がそれぞれ設けられており、端部係止片312と側部係止片313がベース部材320に係止されることによって、取付部材330と一体に固定されたベース部材320を案内シュー310に対して嵌合および取外し可能に構成されている。
【0041】
このように構成されていることで、前述の第1実施形態および第2実施形態と同様に、案内シュー310、ベース部材320および取付部材330をそれぞれ独立して最適な形状、材質を選択することができるため、チェーンガイド300全体として必要な強度、剛性、耐久性を充分に確保しつつ、製造コストを低減することができる。
また、ベース部材320に対して折り曲げ等の加工を行う必要がなく、加工工数を低減することができ、製造が容易となるとともに、1枚の金属板から打ち抜き等で製造する際に、材料の無駄を低減することができる。
【0042】
さらに、本実施形態では、取付部材330とベース部材320とが嵌合固定されるため、より強固に案内シュー310とベース部材320と取付部材330とを一体に固定することが可能となる。
なお、取付部材330とベース部材320は、嵌合した後に溶接、カシメ等を行ってさらに強固な固定としてもよい。
また、本実施形態においても、第1実施形態、第2実施形態およびそれらの変形例と同様に、左右の取付部材330の形状、取付孔331の形状等は、自由に設計可能である。
【実施例9】
【0043】
本発明の第3実施形態の変形例に係るチェーンガイド300Aは、図36乃至図41に示すように、ベース部材320Aは、チェーン走行方向に延びるとともに、チェーン走行方向に沿って所定の湾曲形状が付与され、かつ、幅方向の側方に突出する固定突起325と固定孔327が設けられた固定片部326を有しており、例えば、1枚の圧延鋼板から打ち抜きによって形成される。
一方(図示左側)の取付部材330Aは、案内シュー310およびベース部材320Aとは別体に形成されており、ベース部材320Aの固定片部326に設けられた固定孔327に嵌合する固定突起338と、ボルト等が挿通されてエンジンルーム等に固定するための取付孔331を有している。
他方(図示右側)の取付部材330は、前述の第3実施形態と同様に、案内シュー310およびベース部材320とは別体に形成されており、ベース部材320Aの固定突起325に嵌合する固定孔337と、ボルト等が挿通されてエンジンルーム等に固定するための取付孔331を有している。
【0044】
取付部材330の固定孔337は、ベース部材320Aの固定突起325が挿入された際に密に嵌合し、また、ベース部材320Aの固定孔327は、取付部材330Aの固定突起338が挿入された際に密に嵌合して、取付部材330、330Aとベース部材320Aとが一体に固定されるように形成されている。
他の構成は前述した第3実施形態に係るチェーンガイド300と同じである(チェーンガイド300と同じ部材は同一符号とした。)。
【0045】
このように構成されていることで、前述の第2実施形態と同様に、案内シュー310、ベース部材320Aおよび取付部材330、330Aをそれぞれ独立して最適な形状、材質を選択することができるため、チェーンガイド300A全体として必要な強度、剛性、耐久性を充分に確保しつつ、製造コストを低減することができる。
また、ベース部材320Aに対して折り曲げ等の加工を行う必要がなく、加工工数を低減することができ、製造が容易となるとともに、1枚の金属板から打ち抜き等で製造する際に、材料の無駄を低減することができる。
【0046】
さらに、本変形例では実施形態では、前述の第3実施形態と同様に取付部材330、330Aとベース部材320Aとが嵌合固定されるため、より強固に案内シュー310とベース部材320Aと取付部材230Aとを一体に固定することが可能となる。
なお、取付部材330、330Aとベース部材320Aは、嵌合した後に溶接、カシメ等を行ってさらに強固な固定としてもよい。
また、本変形例においても、第1実施形態乃至第3実施形態およびそれらの変形例と同様に、左右の取付部材330、330Aの形状、取付孔331の形状等は、自由に設計可能である。
【実施例10】
【0047】
本発明の第3実施形態の他の変形例に係るチェーンガイド300Bは、図42乃至図46に示すように、ベース部材320Bの一方(図示左側)の取付部材330Aを嵌合する固定孔327を幅方向中央に設けたもので、その他の構成は前述した第3実施形態の変形例に係るチェーンガイド300Aと同じである(チェーンガイド300Aと同じ部材は同一符号とした。)。
このように構成されていることで、前述の第3実施形態の変形例に係るチェーンガイド300Aと同様の作用、効果を有するとともに、取付部材330Aの取り付け位置がチェーンガイド300Bの幅方向に突出することがないため、さらにコンパクトにできエンジンルーム内での占有スペースを小さくすることが可能となる。
【実施例11】
【0048】
本発明の第3実施形態の第3の変形例に係るチェーンガイド300Cは、図47乃至図52に示すように、ベース部材320Cの他方(図示右側)の幅方向の両側方に、それぞれ突出する固定突起325、325Cが設けられている。
また、他方の取付部材330Cは、固定突起325と嵌合する固定孔337が設けられるとともに、ベース部材320Cの下方を回りこんで、先端側に固定突起325Cと嵌合する固定孔337Cを設けた延長片部339を有している。
その他の構成は前述した第3実施形態の他の変形例に係るチェーンガイド300Bと同じである(チェーンガイド300Bと同じ部材は同一符号とした。)。
このように構成されていることで、前述の第3実施形態の他の変形例に係るチェーンガイド300Bと同様の作用、効果を有するとともに、取付部材330Cがベース部材320Cの幅方向の両側で固定されるため、薄い板材でも強固に固定することが可能となり、加工が容易となるとともに、製造コストを低減することができる。
【実施例12】
【0049】
本発明の第3実施形態の第4の変形例に係るチェーンガイド300Dは、図53乃至図58に示すように、ベース部材320Cは前述した第3の変形例と同様に他方(図示右側)の幅方向の両側方に、それぞれ突出する固定突起325、325Cが設けられている。
他方の取付部材330Dは、固定突起325と嵌合する固定孔337が設けられるとともに、エンジンルーム等への取付孔331部分で重なる取付孔341を有するとともに、案内シュー310の上方を幅方向反対側に伸びて固定突起325Cと嵌合する固定孔347を有する第2取付部材340が設けられている。
その他の構成は前述した第3実施形態の第3の変形例に係るチェーンガイド300Cと同じである(チェーンガイド300Cと同じ部材は同一符号とした。)。
【0050】
このように構成されていることで、前述の第3実施形態の第3の変形例に係るチェーンガイド300Cと同様の作用、効果を有するとともに、取付部材330Dと第2取付部材340がともに、薄い板材でも強固に固定することが可能となり、加工が容易となるとともに、エンジンルーム等への取付部分であるそれぞれの取付孔331、341の周辺が2枚の板材が重なるため、取付強度を向上することができる。
また、取付部材330Dと第2取付部材340とが案内シュー310の上方および左右を規制するため、走行するチェーンに異常な振動やバタつきが発生した場合でも、案内シュー310から離脱することを防止することができる。
なお、取付部材330Dと第2取付部材340は、エンジンルーム等への取付前に溶接等で固定してもよく、取り付け時にボルト等で共締めするようにしてもよい。
【実施例13】
【0051】
本発明の第3実施形態の第5の変形例に係るチェーンガイド300Eは、図59乃至図63に示すように、ベース部材320Cは前述した第3、第4の変形例と同様に他方(図示右側)の幅方向の両側方に、それぞれ突出する固定突起325、325Cが設けられている。
他方の取付部材330Eは、案内シュー310の上方を幅方向の両側に延びるようにコ字状に形成されており、幅方向の両側面に取付孔331、331Eが設けられるとともに、固定突起325と嵌合する固定孔337および固定突起325Cと嵌合する固定孔337Eが設けられている。
その他の構成は前述した第3実施形態の第3、第4の変形例に係るチェーンガイド300C、300Dと同じである(チェーンガイド300C、300Dと同じ部材は同一符号とした。)。
【0052】
このように構成されていることで、前述の第3実施形態の第4の変形例に係るチェーンガイド300Cと同様の作用、効果を有するとともに、取付部材330Eが薄い板材でも強固に固定することが可能となり、加工が容易となるとともに、エンジンルーム等への取付部分であるそれぞれの取付孔331、331Eが幅方向に離れていることにより、ピン、ボルト等で固定することで姿勢の変化を抑制することが可能となる。
【0053】
以上述べた各実施形態および各変形例は、本発明に係るチェーンガイドの具体例であるが、本発明に係るチェーンガイドはこれらに限定されるものではなく、各構成部材の形状、位置、寸法、配置関係等、様々な変形が可能である。
例えば、走行案内部の表面の両側方には、図示するように、チェーンの幅方向の移動を規制するリップが設けられているが、該リップがどのような位置に設けられてもよく、その高さ、チェーン走行方向の長さもいかなるものであってもよく、チェーン走行方向の全体に断続的に設けられていてもよい。
また、各実施形態および各変形例は、タイミングシステムを有するエンジン内に設けられるものであるが、これに限定されず様々な機器類に適用可能である。
また、チェーンによる伝動機構に限らず、ベルト、ロープ等の類似の伝動機構に適用されてもよく、種々の産業分野において利用可能である。
なお、上述した各実施形態および変形例において、ビードの有無が取付部材の取付け構造や製造工程に直接影響しないものについては、ビードの説明を省略した。
【符号の説明】
【0054】
100、200、300、500 ・・・ チェーンガイド(固定ガイド)
600 ・・・ チェーンガイド(揺動ガイド)
110、210、310、510 ・・・ 案内シュー
111、211、311、511 ・・・ 走行案内部
112、 312、512 ・・・ 端部係止片
113、 313、513 ・・・ 側部係止片
120、220、320、520 ・・・ ベース部材
521 ・・・ シュー支持部
522 ・・・ 取付部(ベース部材の)
523 ・・・ 取付孔
224 ・・・ ビード
325 ・・・ 固定突起
326 ・・・ 固定片部
327 ・・・ 固定孔
130、230、330 ・・・ 取付部材
131、231、331 ・・・ 取付孔
132、232 ・・・ 固定片
133、233 ・・・ 取付部(取付部材の)
134 ・・・ 充填孔
235 ・・・ ビード
236 ・・・ 折返片
337 ・・・ 固定孔
338 ・・・ 固定突起
339 ・・・ 延長片部
340 ・・・ 副取付部材
341 ・・・ 取付孔
347 ・・・ 固定孔
S1 ・・・ 駆動スプロケット
S2 ・・・ 従動スプロケット
CH ・・・ タイミングチェーン
B0 ・・・ 揺動軸
B1 ・・・ 取付軸
B2 ・・・ 取付軸
T ・・・ チェーンテンショナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図24
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図28
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図30
図31
図32
図33
図34
図35
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図37
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