特許第6161194号(P6161194)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6161194-被洗浄物の洗浄方法及びその装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6161194
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】被洗浄物の洗浄方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/04 20060101AFI20170703BHJP
   B08B 3/08 20060101ALI20170703BHJP
   B08B 3/12 20060101ALI20170703BHJP
   C11D 7/50 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   B08B3/04 Z
   B08B3/08 Z
   B08B3/12 A
   C11D7/50
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-68166(P2013-68166)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-188478(P2014-188478A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】390019884
【氏名又は名称】ジャパン・フィールド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000501
【氏名又は名称】特許業務法人 銀座総合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内野 正俊
(72)【発明者】
【氏名】内野 正英
【審査官】 梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−167711(JP,A)
【文献】 実開平02−117085(JP,U)
【文献】 特開2010−022884(JP,A)
【文献】 特開2006−334504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/00−3/14
C23G 3/00−5/00
C11D 7/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物の洗浄を行う洗浄槽内に、上下両端を洗浄液及び洗浄蒸気が流通可能な開口とする筒体を配置するとともに、この筒体内の定位置に設けた配置部に被洗浄物を配置し、この被洗浄物の定位置配置状態で筒体内に供給部から洗浄液を導入してこの洗浄液にて被洗浄物を浸漬するとともに、洗浄槽内で筒体の下方に設けた凝縮部を洗浄液で被覆した状態で浸漬洗浄を行った後、上記筒体内の被洗浄物が露出し、且つこの筒体の下部開口が洗浄液でシールされて露出しない位置まで洗浄液を筒体から排出し、この筒体内に洗浄蒸気を導入して、被洗浄物の蒸気洗浄を行い、この蒸気洗浄後に洗浄蒸気の供給を停止し、凝縮部及び筒体の下部開口が露出するまで洗浄液を洗浄槽から排出し、凝縮部で洗浄蒸気を凝縮液化することにより蒸気圧を下げて被洗浄物を自熱乾燥することを特徴とする被洗浄物の洗浄方法。
【請求項2】
被洗浄物の洗浄を行う洗浄槽と、この洗浄槽内にて被洗浄物を定位置に配置する配置部と、この配置部の外周に配置するとともに上下両端を洗浄液及び洗浄蒸気が流通可能な開口とする筒体と、この筒体の下方に配置するとともに洗浄蒸気の凝縮を行う凝縮部と、上記筒体に接続してこの筒体内に洗浄蒸気を供給する蒸気発生部と、上記洗浄槽に接続してこの洗浄槽内に洗浄液を供給する供給部とを備え、この供給部から洗浄液を洗浄槽内に供給することにより、凝縮部、又は凝縮部と筒体内、又は凝縮部と筒体の下部開口を選択的に、洗浄液で被覆可能としたことを特徴とする被洗浄物の洗浄装置。
【請求項3】
洗浄液は、塩素系溶剤、フッ素系溶剤、臭素系溶剤、フッ素系液、アルコール類、揮発性溶剤、炭化水素系溶剤の一種又は複数種を選択的に使用することを特徴とする請求項1に記載の被洗浄物の洗浄方法。
【請求項4】
洗浄液は、塩素系溶剤、フッ素系溶剤、臭素系溶剤、フッ素系液、アルコール類、揮発性溶剤、炭化水素系溶剤の一種又は複数種を選択的に使用することを特徴とする請求項2に記載の被洗浄物の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被洗浄物の洗浄方法及びその装置に係るもので、被洗浄物の洗浄液による浸漬洗浄、蒸気洗浄、乾燥等の複数種の作業を、被洗浄物を定位置に配置したまま位置を移動することなく行う事を可能にしようとするものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、被洗浄物の洗浄方法として、洗浄液による浸漬洗浄、蒸気洗浄、乾燥等の如く一つの被洗浄物に異なる洗浄作業を加えることが一般的に行われている。この、被洗浄物に異なる洗浄作業を加える方法としては、浸漬洗浄槽、蒸気洗浄槽、乾燥槽の如く単一の作業を行う作業槽を、被洗浄物を順次移動させながら行う方法がある。この方法は大量の被洗浄物を迅速に処理する上で優れているが、装置を大型化し大きな設置面積を必要とするとともに少量の被洗浄物の洗浄には効率が悪い欠点を有している。
【0003】
また、装置を小型化し小さな設置面積に配置し得るようにしたものは、特許文献1、2に記載の如く、被洗浄物に複数種の洗浄作業を加えるのに、一つの洗浄槽内で行う事が出来るようにしたものが存在する。この特許文献1、2に記載の発明は一つの洗浄槽内の上下方向に浸漬洗浄部、蒸気洗浄部、乾燥部を設け、行う洗浄作業に応じて被洗浄物を上下に移動することにより、被洗浄物の洗浄が完結できるようにしたものである。この洗浄装置は、装置の設置面積も少ないとともに少量の被洗浄物を経済的に洗浄するのに特に優れたものと成っている。
【0004】
【特許文献1】特開昭63ー197590号公報
【特許文献2】特開平04ー260482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に記載の発明では、洗浄槽内で被洗浄物を上下動させる機構が必要となり、この上下動機構の分だけ装置が大型化し、価格も高価なものとなっていた。また、特許文献1、2に記載の発明では、洗浄槽内で被洗浄物を上下動させるため、洗浄槽内に乱気流が発生し易いものとなり、この乱気流によって洗浄槽外に溶剤を拡散しやすいものとなっていた。
【0006】
そこで本発明は、上述の如き課題を解決しようとするものであって、上下動機構を不要とし、一つの洗浄槽内で複数種の洗浄作業を行いながら、被洗浄物を定位置に保ち、被洗浄物を異なる洗浄場所に移動することなく、定位置で洗浄作業を完結しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被洗浄物の洗浄を行う洗浄槽内に、上下両端を洗浄液及び洗浄蒸気が流通可能な開口とする筒体を配置するとともに、この筒体内の定位置に設けた配置部に被洗浄物を配置し、この被洗浄物の定位置配置状態で筒体内に供給部から洗浄液を導入してこの洗浄液にて被洗浄物を浸漬するとともに、洗浄槽内で筒体の下方に設けた凝縮部を洗浄液で被覆した状態で浸漬洗浄を行った後、上記筒体内の被洗浄物が露出し、且つこの筒体の下部開口が洗浄液でシールされて露出しない位置まで洗浄液を筒体から排出し、この筒体内に洗浄蒸気を導入して、被洗浄物の蒸気洗浄を行い、この蒸気洗浄後に洗浄蒸気の供給を停止し、凝縮部及び筒体の下部開口が露出するまで洗浄液を洗浄槽から排出し、凝縮部で洗浄蒸気を凝縮液化することにより蒸気圧を下げて被洗浄物を自熱乾燥することを特徴とする被洗浄物の洗浄方法に関するものである。
【0008】
また、上記の洗浄方法を実施するための装置としては、被洗浄物の洗浄を行う洗浄槽と、この洗浄槽内にて被洗浄物を定位置に配置する配置部と、この配置部の外周に配置するとともに上下両端を洗浄液及び洗浄蒸気が流通可能な開口とする筒体と、この筒体の下方に配置するとともに洗浄蒸気の凝縮を行う凝縮部と、上記筒体に接続してこの筒体内に洗浄蒸気を供給する蒸気発生部と、上記洗浄槽に接続してこの洗浄槽内に洗浄液を供給する供給部とを備え、この供給部から洗浄液を洗浄槽内に供給することにより、凝縮部、又は凝縮部と筒体内、又は凝縮部と筒体の下部開口を選択的に、洗浄液で被覆可能としたことを特徴として成るものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上述の如く構成したものであって、被洗浄物を定位置に配置したまま被洗浄物に複数種の洗浄作業を行うことができるから、従来必要としていた被洗浄物の上下動機構が不要となり、洗浄装置を小型化し、配置面積、配置容積を減少できるとともに廉価な装置を得ることが可能となる。また、被洗浄物の上下動機構が不要となるため、上下動機構の保守が全く不要となり、装置の保守経費も減少させる事が出来る。
【0010】
また、本発明は上下動機構を備えないものであるから、上下動機構の作動に伴う被洗浄物の上下動によって洗浄槽内の乱気流を発生させることがない。被洗浄物は定位置に保たれたまま洗浄作業を完了するから、乱気流の発生は少ないものとなり洗浄槽外への溶剤の拡散を最小限とすることが可能となる。
【0011】
また、本発明は被洗浄物を定位置に配置した配置部の外周に、上下両端を洗浄液及び洗浄蒸気が流通可能な開口部とした筒体を配置したから、配置部の断熱性を高めることが可能となり、蒸気洗浄時に被洗浄物の効率の良い蒸気洗浄を可能とすることができる。また、筒体の下方に凝縮部を設けることは必須となるが、筒体により、配置部の断熱性を高めることが可能となるから、筒体を介した配置部の外周に凝縮部を設けることも可能となり、洗浄装置の設計の自由度も向上するものなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】被洗浄物の浸漬洗浄状態を示す概念図。
図2】被洗浄物の蒸気洗浄状態を示す概念図。
図3】被洗浄物の乾燥状態を示す概念図。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例1を図1〜3において詳細に説明すると、(1)は洗浄槽で、上端開口(2)を蓋体(3)で密閉可能とするとともに常圧で使用する構成と成っている。しかし、洗浄槽(1)に耐圧性のものを選択することは勿論可能である。この洗浄槽(1)には、被洗浄物(4)を定位置に配置し、洗浄作業の開始から完了まで位置を移動することがないように配置する配置部(5)を設けている。この配置部(5)の外周には、上下両端を洗浄液(6)及び洗浄蒸気(7)が流通可能な上部開口(8)と、下部開口(9)とを設けた筒体(11)を配置している。
【0014】
この配置部(5)の下方と洗浄槽(1)の底板(12)との間には一定の空間を設けて洗浄蒸
気(7)の凝縮部(13)としている。この凝縮部(13)は、洗浄槽(1)の内周に冷却コイル
(14)を巻き回すことにより形成している。この冷却コイル(14)の巻き回しは、配置部
(5)の下方に設けることは必須の要件となるが、筒体(11)の外周に対応する洗浄槽(1)
の内周とか、洗浄槽(1)の内周に上端から下底まで連続して設けるものとしても良い。こ
のように、筒体(11)の外周に対応する洗浄槽(1)の内周に冷却コイル(14)を配置して
も、この外周に設けた冷却コイル(14)によっては、被洗浄物(4)の配置部(5)は外周を
筒体(11)で被覆しているから、配置部(5)まで冷却することは少なく、配置部(5)に於
いて蒸気洗浄を行う場合にも、配置部(5)の洗浄蒸気を凝縮することは少ないものとな
る。但し、配置部(5)の下方に位置する凝縮部(13)の影響は、強く受けるものとなるの
で、この点については後述する。また凝縮部(13)は、洗浄槽(1)の内周に冷却コイル
(14)を巻き回す方法ではなく、冷却パネルを洗浄槽(1)の底部に設けたものであっても
良い。
【0015】
また、筒体(11)は上端および下端に洗浄液(6)を感知する液センサ(15)(16)を配置している。そして、この筒体(11)には、被洗浄物(4)の蒸気洗浄を行うための洗浄蒸気(7)を供給する蒸気発生部(17)を第1開閉弁(18)を介して接続している。この蒸気発生部(17)は、洗浄蒸気を発生させることができるものであれば特に構成は問題としない。図面に示す実施例では、蒸気発生部(17)の下端に洗浄液(6)を充填し、ヒータ(20)により加熱することによって被洗浄物(4)の洗浄蒸気(7)を発生させている。また、発生した蒸気層の上部には、密閉用の中蓋(21)を配置するとともにこの中蓋(21)の上方で蒸気発生部(17)の内周には冷却コイル(14)を巻き回して、洗浄蒸気(7)の漏洩を防止している。
【0016】
また、蒸気発生部(17)の下部には液センサ(22)を配置するとともに、下底(23)には液抜用の排出バルブ(24)を設けている。また、蒸気発生部(17)の上端は密閉蓋(25)にて密閉している。また、洗浄液(6)は、塩素系溶剤、フッ素系溶剤、臭素系溶剤、フッ素系液、アルコール類、揮発性溶剤、炭化水素系溶剤の一種又は複数種を選択的に使用するものである。
【0017】
また、洗浄槽(1)には、洗浄液(6)を供給し被洗浄物(4)の浸漬洗浄をするための、リザーブタンク等の供給部(26)を底板(12)に接続している。この洗浄槽(1)と供給部(26)の接続は、中間部に洗浄液(6)の濾過用のフイルタ(27)と液送用のポンプ(28)とを配管により接続して行うが、供給部(26)から第2開閉弁(30)、ポンプ(28)、フイルタ(27)、第3開閉弁(31)、洗浄槽(1)を配管で接続する液導入回路(32)と、洗浄槽(1)から第4開閉弁(33)、ポンプ(28)、フイルタ(27)、第5開閉弁(34)、供給部(26)を配管で接続する液導出回路(35)とから構成されている。なお、この液導出回路(35)と液導入回路(32)とは、ポンプ(28)、フイルタ(27)及び一部の配管を共通としている。
【0018】
また、洗浄槽(1)内の上部及び蒸気発生部(17)の中蓋(21)の上部には上部冷却部(36)を設け、洗浄蒸気(7)の外部への流出を防止している。洗浄蒸気(7)は空気よりも密度が大きいため、上部へ拡散することが少なく、洗浄槽(1)の下部に設けた凝縮部(13)の如く洗浄蒸気(7)を急激に凝縮することはない。また、供給部(26)と蒸気発生部(17)とは、オーバーフロー管(37)によって接続している。また、供給部(26)と洗浄槽(1)とは、液圧調整バルブ(38)を介して接続し、供給部(26)と洗浄槽(1)の間での洗浄液(6)の出入に伴う圧力変化を調整している。
【0019】
上述の如く構成したものに於いて、被洗浄物(4)の洗浄を行うには、洗浄槽(1)の蓋体(3)を開放し、人手または洗浄槽(1)とは別個に設けた昇降機等により、上端開口(2)から被洗浄物(4)を洗浄槽(1)内に設けたテーブル等の配置部(5)に、定位置に配置する。この配置状態に於いて、被洗浄物(4)は筒体(11)内に収納され、筒体(11)で外周を被覆した状態となっている。また、この被洗浄物(4)は洗浄が完了するまで配置部(5)を移動することがなく定位置に保たれている。被洗浄物(4)を収納したら洗浄槽(1)は蓋体(3)で上端開口(2)を密閉する。
【0020】
次に、洗浄液(6)を供給部(26)から洗浄槽(1)内に導入して、図1に示す如く被洗浄物(4)を浸漬し、被洗浄物(4)を浸漬洗浄する。この洗浄槽(1)への洗浄液(6)の導入は、液導入回路(32)の第2開閉弁(30)、第3開閉弁(31)を開放し、第4開閉弁
(33)、第5開閉弁(34)を閉止してポンプ(28)を作動すれば、洗浄液(6)は液導入回
路(32)、ポンプ(28)、第3開閉弁(31)を介して洗浄槽(1)に導入される。洗浄液
(6)は図1に示す如く、筒体(11)の定位置に配置した被洗浄物(4)を被覆浸漬するまで洗浄槽(1)に導入することにより被洗浄物(4)の浸漬液洗浄を行う。この浸漬液洗浄は超音波洗浄を伴うものであっても良い。
【0021】
上記の浸漬洗浄が完了したら、図2に示す如く洗浄液(6)を被洗浄物(4)が露出するまで供給部(26)に排出する。この排出は、筒体(11)の下部開口(9)が洗浄液(6)でシールされた状態とし、下部開口(9)が露出しない限度で行う。この状態では、筒体(11)の下方に設けた凝縮部(13)も洗浄液(6)で被覆するものとなる。この洗浄槽(1)からの洗浄液(6)の排出は、液導出回路(35)の第4開閉弁(33)、第5開閉弁(34)を開放するとともに、第3開閉弁(31)、第2開閉弁(30)を閉鎖して、ポンプ(28)を作動することにより、洗浄液(6)は第4開閉弁(33)、ポンプ(28)、フイルタ(27)、第5開閉弁(34)を介して供給部(26)に導入される。次に、蒸気発生部(17)から第1開閉弁(18)を開放して洗浄蒸気(7)を洗浄槽(1)の筒体(11)に導入する。
【0022】
洗浄槽(1)の筒体(11)に導入された洗浄蒸気(7)は、被洗浄物(4)と接触して凝縮し被洗浄物(4)の蒸気洗浄を行う。洗浄蒸気(7)が導入される被洗浄物(4)の配置位置は、凝縮機能のある冷却コイル(14)とは筒体(11)によって遮断されているとともに、被洗浄物(4)の下方に設けた凝縮部(13)とは、筒体(11)の下部開口(9)を洗浄液(6)でシールすることにより連通を遮断しているから、被洗浄物(4)との接触以外で凝縮されることが少なく、効率的に被洗浄物(4)と接触して凝縮し蒸気洗浄を行うことができる。
【0023】
この蒸気洗浄完了後は、図3に示す如く、筒体(11)の下部開口(9)及び凝縮部(13)を被覆している洗浄液(6)を、筒体(11)の下部開口(9)及び凝縮部(13)が露出するまで、好ましくは洗浄槽(1)から全て供給部(26)に排出する。この洗浄液(6)の排出により筒体(11)の下部開口(9)及び凝縮部(13)が露出すると、空気よりも密度が大きい筒体(11)内の洗浄蒸気(7)は配置部(5)の下方に設けた凝縮部(13)方向に流動して凝縮され、洗浄槽(1)内の蒸気圧を急激に低くし、被洗浄物(4)の自熱乾燥を可能とすることができる。
【0024】
本発明に於いては、上述の如く被洗浄物(4)の浸漬洗浄、蒸気洗浄、乾燥の異なる洗浄作業を、洗浄槽(1)内に於いて位置を移動することなく定位置で行う事が出来るから、廉価で簡易な機構によって迅速な被洗浄物(4)の一貫した洗浄を可能とするものである。尚、被洗浄物(4)の定位置での洗浄とは、被洗浄物(4)の洗浄効率を上げるために、被洗浄物(4)に上下左右に振動を加えたり、被洗浄物(4)を回転したり、被洗浄物(4)を揺動したり、超音波振動を与えたりすることを含むものである。被洗浄物(4)の定位置での洗浄とは、浸漬洗浄、蒸気洗浄、乾燥等の異なる洗浄作業を行うために、それぞれの作業位置に被洗浄物(4)を移動する必要がない事を意味するものである。
【0025】
また、上記の実施例では図1図3に示す如く、冷却コイル(14)を洗浄槽(1)の内周に上端から下底まで連続して設け、筒体(11)の外周に対応する洗浄槽(1)の内周に冷却コイル(14)を配置しているが、他の異なる実施例では筒体(11)の外周に対応する洗浄槽(1)の内周に冷却コイル(14)を配置しないものとしてもよい。本発明に於いては、配置部(5)の外周に筒体(11)を設けることにより、配置部(5)への冷気の影響を受けることが少なくなるから、洗浄装置としての設計の自由度が高くなるものである。
【0026】
また、本発明は被洗浄物(4)の浸漬洗浄、蒸気洗浄、乾燥を定位置で一貫して行うものであるが、洗浄目的に応じて被洗浄物(4)の浸漬洗浄のみに、被洗浄物(4)の蒸気洗浄のみに、被洗浄物(4)の乾燥のみに使用することは勿論可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 洗浄槽
4 被洗浄物
5 配置部
6 洗浄液
7 洗浄蒸気
9 下部開口
11 筒体
13 凝縮部
17 蒸気発生部
26 供給部
図1
図2
図3