特許第6161206号(P6161206)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6161206
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】ノイズフィルタ
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/06 20060101AFI20170703BHJP
   H01F 17/06 20060101ALI20170703BHJP
   H01F 37/00 20060101ALI20170703BHJP
   H03H 7/01 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   H01F15/02 E
   H01F17/06 K
   H01F37/00 N
   H01F37/00 T
   H03H7/01 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-42239(P2014-42239)
(22)【出願日】2014年3月5日
(65)【公開番号】特開2015-170626(P2015-170626A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2016年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103208
【氏名又は名称】コーセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】小林 恵子
【審査官】 右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−288710(JP,A)
【文献】 実開平03−032409(JP,U)
【文献】 実開昭55−137514(JP,U)
【文献】 特開2011−066217(JP,A)
【文献】 実開昭57−010724(JP,U)
【文献】 特表2008−544503(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0117009(US,A1)
【文献】 実開昭63−149625(JP,U)
【文献】 実開昭63−149624(JP,U)
【文献】 特開平10−041140(JP,A)
【文献】 実開昭55−027946(JP,U)
【文献】 特開2012−164833(JP,A)
【文献】 特開2004−281886(JP,A)
【文献】 実開昭58−025014(JP,U)
【文献】 実開平02−108311(JP,U)
【文献】 特表2006−518933(JP,A)
【文献】 実開昭61−121715(JP,U)
【文献】 特開2012−23311(JP,A)
【文献】 実開昭63−067211(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/06
H01F 17/06
H01F 37/00
H03H 7/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体とカバーで構成されたケースと、
上部に開口して前記ケース本体に形成したコイル収納部と、
円環状のコアと、前記コアを収納した円環状のコアケースと、前記コアケースの放射方向の複数個所に鍔状に起立形成し少なくとも内側の上下方向に所定幅の嵌合溝を設けたホルダー部と、前記ホルダー部の間となる前記コアケース部分に巻いた複数の導線とで構成したチョークコイルと、
上端から下端に向かって厚さが増加するテーパー断面形状をもつ複数枚のリブ板を、前記コアケースに形成した複数のホルダー部の内側の嵌合溝に合わせて放射状に配置して前記コイル収納部に起立し、前記複数枚のリブ板で前記チョークコイルに巻いた複数の導線を仕切って絶縁隔離するコイル固定部材と、
を備え、
前記コイル固定部材のリブ板の各々に、前記チョークコイルに設けた前記コアケースに形成したホルダー部の内側の嵌合溝を、上部から差し込んで下部側で密着保持する固定構造としたことを特徴とするノイズフィルタ。
【請求項2】
請求項1記載のノイズフィルタに於いて、前記コアケースのホルダー部の内側上下方向に設けた前記嵌合溝の幅は、前記コイル固定部材のリブ板におけるテーパー断面形状の上部最小幅と下部最大幅の間となる所定幅であることを特徴とするノイズフィルタ。
【請求項3】
請求項1記載のノイズフィルタに於いて、
前記コイル固定部材は、前記複数枚のリブ板の底部外側に前記チョークコイルの下部を支持する所定高さのベースリブを一体に起立して形成し、
前記ベースリブに前記コアケースに形成した所定のホルダー部の下側の嵌合溝を差し込んで、前記コイル固定部材に対し前記チョークコイルを位置決め固定する構造としたことを特徴とするノイズフィルタ。
【請求項4】
請求項3記載のノイズフィルタに於いて、
前記コイル固定部材は、前記ケース本体の長手方向に位置する前記リブ板に続く前記ベースリブのコイル組込みスペースを介した外側にガイドリブを一体に起立し、
前記ガイドリブに前記コアケースに形成した所定のホルダー部の外側下部の嵌合溝を差し込んで、前記コイル固定部材に対し前記チョークコイルを差し込み開始位置に位置決めする構造としたことを特徴とするノイズフィルタ。
【請求項5】
請求項4記載のノイズフィルタに於いて、前記ガイドリブの高さを、前記リブ板を超える所定の高さとし、前記チョークコイルを前記コイル固定部材に上から差し込む場合に、前記コアケースに形成した所定のホルダー部の外側嵌合溝を前記ガイドリブの上部に差し込んで差し込み開始位置に位置決めする構造としたことを特徴とするノイズフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源ラインなどを経由して電子機器等に侵入するノイズを除去するノイズフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チョークコイルとコンデンサで構成されるノイズフィルタは、電源ラインや通信ライン等を経由して外部から電子機器内に侵入するノイズにより電子機器が誤動作することを防止する装置であり、電子機器にとって必要不可欠である。
【0003】
図9は従来の3相交流用のノイズフィルタについて、カバーを外してケース本体の概略を示した説明図であり、合成樹脂等の絶縁材で形成したケース本体100の両端に入力端子台102及び出力端子台104を設け、上部に開口して形成したコイル収納部106の中に、円環状コア(トロコダイルコア)に導線を巻いたチョークコイル108を配置し、入力端子台102及び出力端子台104の各端子にリード線で接続している。
【0004】
図10は従来のケース本体のコイル収納部に対するチョークコイルの固定構造であり、図10(A)にコイル収納部を取り出して示し、図10(B)にチョークコイルを取り出して示している。
【0005】
図10(A)に示すように、ケース本体100のコイル収納部106の中には、コイル固定部材110を設けている。コイル固定部材110は3枚のリブ板112を放射状に配置してコイル収納部106の底部に起立している。
【0006】
一方、チョークコイル108は、図10(B)に示すように、内部にコアを収納した円環状のコアケース114の3か所にホルダー部116を一体に形成し、その間に3か所に分けて各相のコイルとなる導線120を巻いており、ホルダー部116の内側、上側、外側及び下側の外周面には一定幅の嵌合溝118を形成している。
【0007】
コイル収納部106に対するチョークコイル108の固定構造は、コイル固定部材110のリブ板112の外側にチョークコイル108のコアケース114に設けたホルダー部116の嵌合溝118を合わせて上部から差し込んで組み付け固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−109499号公報
【特許文献2】特開2007−288710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従来のケース本体に対するチョークコイルの固定構造にあっては、コアケース114に設けたホルダー部116の嵌合溝118とコイル収納部106に起立したコイル固定部材110のリブ板112との間に隙間があり、そのままではチョークコイル108が動いてしまうことから、リブ板112に嵌め込んだホルダー部116の嵌合溝118の上部となるA部の位置に、粘性のシリコンゴムを付けて硬化させるゴム付けを行って固定しており、ゴム付けの工程が入ることで、組み付けに手間と時間がかかり、製造コストが高くなる問題がある。
【0010】
また、従来のコイル固定構造にあっては、コイル固定部材110に対しチョークコイル108を組み付ける場合、コイル固定部材110の3枚のリブ板112のそれぞれに、コアケース114に設けたルダー部116の内側の嵌合溝118を同時に位置合わせしないと差し込むことができず、組み付けが煩雑で手間と時間がかかる問題もある。
【0011】
本発明は、ケース本体のコイル収納部に対するチョークコイルの組み付け固定をゴム付けを必要とすることなく簡単且つ容易に組付けることを可能とする構造を備えたノイズフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ノイズフィルタであって、
ケース本体とカバーで構成されたケースと、
上部に開口して前記ケース本体に形成したコイル収納部と、
円環状のコアと、コアを収納した円環状のコアケースと、コアケースの放射方向の複数個所に鍔状に起立形成し少なくとも内側の上下方向に所定幅の嵌合溝を設けたホルダー部と、ホルダー部の間となるコアケース部分に巻いた複数の導線とで構成したチョークコイルと、
上端から下端に向かって厚さが増加するテーパー断面形状をもつ複数枚のリブ板を、コアケースに形成した複数のホルダー部の内側の嵌合溝に合わせて放射状に配置してコイル収納部に起立し、複数枚のリブ板でチョークコイルに巻いた複数の導線を仕切って絶縁隔離するコイル固定部材と、
を備え、
コイル固定部材のリブ板の各々に、チョークコイルのコアケースに形成したホルダー部の内側の嵌合溝を、上部から差し込んで下部側で密着保持する固定構造としたことを特徴とする。
【0013】
ここで、コアケースに形成したホルダー部の内側上下方向に設けた嵌合溝の幅は、コイル固定部材のリブ板におけるテーパー断面形状の上部最小幅と下部最大幅の間となる所定幅とする。
【0014】
また、コイル固定部材は、複数枚のリブ板の底部外側に、チョークコイルの下部を支持する所定高さのベースリブを一体に起立して形成し、
ベースリブにコアケースに形成したホルダー部の下側の嵌合溝を差し込んで、チョークコイルを位置決め固定する構造とする。
【0015】
また、コイル固定部材は、ケース本体の長手方向に位置するリブ板に続くベースリブのコイル組込みスペースを介した外側にガイドリブを一体に起立し、
ガイドリブにコアケースに形成した所定のホルダー部の外側の嵌合溝を差し込んで、コイル固定部材に対しチョークコイルを差し込み開始位置に位置決めする構造とする。
【0016】
この場合、ガイドリブの高さを、リブ板を超える所定の高さとし、チョークコイルをコイル固定部材に上から差し込む場合に、コアケースに形成した所定のホルダー部の外側嵌合溝をガイドリブの上部に差し込んで、差し込み開始位置に位置決めする構造とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明のノイズフィルタは、上端から下端に向かって厚さが増加するテーパー断面形状もつ複数枚のリブ板を放射状に配置し、複数枚のリブ板でチョークコイルに巻いた複数の導線を仕切って絶縁隔離するコイル固定部材をコイル収納部に起立し、コイル固定部材のリブ板の各々に、チョークコイのコアケースに形成したホルダー部の内側の嵌合溝を、上部から差し込んで下部側で密着保持する固定構造としたため、固定部材のリブ板は上端から下端に向かって厚さが増加するテーパー断面形状をもつことから、ここにチョークコイルのコアケースに形成したホルダー部の所定幅の嵌合溝を上部から差し込んで行くことで、リブ板の外端とコアケースの嵌合溝が楔作用により徐々に密着した状態となって固着し、コイル固定部材に対し組み付けたチョークコイルが動くことがなく、このためコイル固定部のリブ板とコアケースに形成したホルダー部の嵌合溝との上部の合せ部分に対するゴム付けによる固定が不要となり、ゴム付け工程を不要として生産性を高めてコストを低減可能とする。
【0018】
また、コイル固定部材は、複数枚のリブ板の底部外側に、チョークコイルの下部を支持する所定高さのベースリブを一体に起立して形成し、ベースリブにコアケースに形成したホルダー部の下側の嵌合溝を差し込んで、チョークコイルを位置決め固定する構造としたため、チョークコイルのコアケースは、例えば3枚のリブ板にホルダー部の内側嵌合溝が嵌合すると共にベースリブにホルダー部の下側嵌合溝が嵌合することで、コイル固定部材に対しチョークコイルを確実に位置決め固定可能とし、ゴム付け等による固定を不要とする。
【0019】
また、コイル固定部材は、ケース本体の長手方向に位置するリブ板に続くベースリブのコイル組込みスペースを介した外側にガイドリブを一体に起立し、ガイドリブにコアケースに形成した所定のホルダー部の外側の嵌合溝を差し込んで、コイル固定部材に対しチョークコイルを差し込み開始位置に位置決めする構造としたため、コアケースに形成した所定のホルダー部の外側の嵌合溝をガイドリブに差し込むことで、コイル固定部材の複数のリブ板にチョークコイルを差し込みを開始するための初期位置に確実に位置決め可能となり、コイル固定部材に対するチョークコイルの差し込みを容易にし、生産性を高めてコストを低減可能とする。
【0020】
この場合、ガイドリブの高さを、リブ板を超える所定の高さとし、チョークコイルをコイル固定部材に上から差し込む場合に、コアケースに形成した所定のホルダー部の外側嵌合溝をガイドリブの上部に差し込んで差し込み開始位置に位置決めする構造としたため、コイル固定部材の複数のリブ板にチョークコイルの差し込みを開始するための初期位置に対する位置決めを更に容易して作業効率を向上可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明によるノイズフィルタの外観を示した説明図
図2図1の平面、正面及び側面を示した説明図
図3】ノイズフィルタの回路構成を示した回路図
図4】カバーを外して内部構造を平面で示した説明図
図5】チョークコイルを外した内部構造を平面で示すと共にチョークコイルを取り出して示した説明図
図6】コイル収納部を取り出して示した説明図
図7】コアケースを取り出して平面、正面、及び断面で示した説明図
図8】コイル固定部材のリブ板に対するコアケース嵌合溝の差し込み固定を示した説明図
図9】従来のノイズフィルタの一例をカバーを外して示した説明図
図10】従来のコイル収納部及びチョークコイルを取り出して示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0022】
[ノイズフィルタの概要]
図1は、本発明によるノイズフィルタの外観を示した説明図、図2図1の平面、正面及び左右側面を示した説明図及び図3はノイズフィルタの回路構成を示した回路図であり、3相交流用のノイズフィルタを例にとっている。
【0023】
図1及び図2に示すように、ノイズフィルタ10は、合成樹脂等の絶縁材で作られたケース本体12とカバー14で構成し、ケース本体12は、接地端子20を設けた金属製の底板11を備え、上部両端に入力端子台16と出力端子台18を配置しており、ケース本体18内には、チョークコイル、コンデンサ及び抵抗を備えたフィルタ回路を組み込んでいる。
【0024】
入力端子台16と出力端子台18の内側にはノブ22を設けており、ノブ22はケース内に収納している端子台カバー(図示)を引き出して、入力端子台16と出力端子台18の上部に位置させる。
【0025】
図3に示すように、フィルタ回路は、入力端子16a,16b,16cと出力端子18a,18b,18cの間に、円環状コア(トロコダイルコア)に導線を巻いて形成した低域のコモンモードノイズを減衰させるコモンモードチョークコイルL1,L2,L3を接続し、コモンモードチョークコイルL1,L2,L3の入力側のライン間にXコンデンサ(アクロス・ザ・ライン・コンデンサ)C1〜C3を接続し、高域のコモンモードノイズとノーマルモードノイズを減衰させるために出力側のライン−グランド間にコンデンサC7,C8を介してYコンデンサ(ライン・バイパス・コンデンサ)C4〜C6を接続している。またXコンデンサC1〜C3には電源切断時にコンデンサの蓄積電荷を放電させるブリーダー抵抗R1〜R3を接続している。なお、コンデンサC7,C8は一つのコンデンサC7だけでも良い。
【0026】
本実施形態では、各相にコモンモードチョークコイルL1〜L3を1つ備えたものを示しているが、コモンモードチョークコイルを2つずつ備えてもよい。
【0027】
[チョークコイル固定構造]
図4はカバーを外して内部構造を平面で示した説明図、図5はチョークコイルを外して内部構造を平面で示すと共にチョークコイルを取り出して示した説明図、図6はコイル収納部を取り出して示した説明図、図7はコアケースを取り出して平面、正面、及び断面で示した説明図、図8はコイル固定部材のリブ板に対するコアケース嵌合溝の差し込み固定を示した説明図である。
【0028】
図4に示すように、カバーを外したケース本体12の中央には、上部に開口して円筒状のコイル収納部24を形成しており、コイル収納部24の中にコイル固定部材28によりチョークコイル26を組込み固定している。
【0029】
図5(A)及び図6に示すように、コイル収納部24の底部にはコイル固定部材28を起立している。コイル固定部材28は3枚のリブ板30を放射状に120°間隔で配置し、リブ板30は上端から下端に向かって厚さが増加するテーパー断面形状をもっている。リブ板30の底部側はその外側に広がったベースリブ31に連設している。
【0030】
また、コイル固定部材28に設けた3枚のリブ板30の内、ケース本体12の長手方向に位置する1枚のリブ板30の外側には、ベースリブ31が位置するコイル組込みスペースを介してガイドリブ32を一体に形成している。
【0031】
コイル収納部24に起立したコイル固定部材28に組込み固定するチョークコイル26は、図5(B)に示すように(コイルからのリード線は省略)、円環状のコアケース34の内部に、同じく円環状のコアを収納しており、コアケース34の円周方向の120°間隔となる3か所に鍔状に起立してホルダー部36を一体に形成し、その間のコアケース34に導線40を巻いて図3に示したコモンモードチョークコイルL1〜L3を形成している。
【0032】
コアケース34は、図7に示すように、上下に分割して形成した円環状のコアケース本体35を合わせた中に、円環状のコア37を収納しており、コアケース本体35の円周方向の3箇所に放射方向に向けて鍔状にホルダー部36を一体に起立形成している。ホルダー部36は内側、上側、外側及び下側となる外周に所定幅の嵌合溝38を設けている。
【0033】
ここで、図8(A)に示すように、コアケース34のホルダー部36に形成した嵌合溝38の溝幅をd0、固定部材28のリブ板30のテーパー断面形状における上部の最小幅をd1、下部の最大幅をd2とすると、嵌合溝38の溝幅d0はリブ板30におけるテーパー断面の上部最小幅d1と下部最大幅d2の間となる所定幅とする。即ち、
d1<d0<d2
となる関係に設定する。例えば嵌合溝38の溝幅d0は、概ねd0=(d2−d1)/2となるように設定する。
【0034】
このような寸法関係をもつコアケース34のホルダー部36を、図8(A)のように、コイル固定部28のリブ板30に位置合わせして差し込むことで、図8(B)に示すように、ホルダー部36をベースリブ31に当る位置まで差し込むと、楔作用によりホルダー部36における嵌合溝38の下側の部分がリブ板30の両側面に隙間なく密着し、チョークコイル26をコアケース34によってコイル固定部材28に動くことなく固定することを可能とし、従来のように動きをなくすためのゴム付けを不要とする。
【0035】
また、コアケース34のホルダー部36をベースリブ31に当る位置まで差し込むことで、図5(B)に示したように、ホルダー部36で仕切られたコアケース34の3箇所に分けて巻いているチョークコイル26の導線40を3枚のリブ板30により仕切って絶縁隔離する絶縁機能を果すようにしている。
【0036】
[ベースリブによる位置決め固定]
図6に示すように、コイル固定部材28は、放射状に配置した3枚のリブ板30の外側に、チョークコイル26の下部を支持する所定高さのベースリブ31を一体に起立して形成している。ベースリブ31の厚さは、リブ板30に対応して上端から下端に向かって厚さが増加するテーパー断面形状とする。なお、ベースリブ31の幅を例えば一定とし、コアケース34の嵌合溝38の溝幅と同じか、或いは若干小さい幅としても良い。
【0037】
このようにベースリブ31を設けたことで、図5(B)に示すチョークコイル26をコイル固定部材28のリブ板30に差し込んで固定する場合、コアケース34に形成したホルダー部36の下側の嵌合溝38がベースリブ31の上部に嵌合してチョークコイル32を位置決め固定する構造となる。
【0038】
このため、チョークコイル26のコアケース34は、3枚のリブ板30にホルダー部36の内側の嵌合溝38が嵌合すると共に、ベースリブ31にホルダー部36の下側の嵌合溝38が嵌合し、コイル固定部材28に対しチョークコイル26を確実に位置決め固定可能とし、ゴム付け等による固定を不要とする。
【0039】
[ガイドリブによる位置決め]
図6に示すように、コイル固定部材28は、ケース本体12の長手方向に位置するコイル固定部材28のリブ板30の外側に、ベースリブ31を介してガイドリブ32を一体に形成している。ガイドリブ32の厚さは、リブ板30の場合と同様に、上端から下端に向かって厚さが増加するテーパー断面形状とする。なお、ガイドリブ32の幅を例えば一定とし、コアケース34の嵌合溝38の溝幅と同じか、或いは若干小さい幅としても良い。
【0040】
また、ガイドリブ32の高さは、コイル固定部材28に設けたリブ板30の上端に対しガイドリブ32の上端を所定高さΔHだけ高くなるようにしている。
【0041】
図5(B)に示すチョークコイル26を、図5(A)及び図6に示すコイル固定部材28に組み付け固定する場合、コアケース34に形成した所定のホルダー部36の外側下部の嵌合溝38をガイドリブに差し込むことで、コイル固定部材28の複数のリブ板30にチョークコイル26の差し込みを開始するための初期位置に確実に位置決めが可能となり、コイル固定部材に対するチョークコイルの差し込みを容易にし、生産性を高めてコスト低減を可能とする。
【0042】
[本発明の変形例]
本発明は、上記の実施形態に限定されず、例えば単相交流用ノイズフィルタ等のチョークコイルを備えたあらゆるノイズフィルタに適用可能である。
【0043】
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0044】
10:ノイズフィルタ
11:底板
12:ケース本体
14:カバー
16:入力端子台
18:出力端子台
20:接地端子
22:ノブ
24:コイル収納部
26:チョークコイル
28:コイル固定部材
30:リブ板
32:ガイドリブ
34:コアケース
35:コアケース本体
36:ホルダー部
37:コア
38:嵌合溝
40:導線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10