特許第6161211号(P6161211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イスカル リミテッドの特許一覧

特許6161211孔配向用の印を有する切削インサートおよびその作成方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6161211
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】孔配向用の印を有する切削インサートおよびその作成方法
(51)【国際特許分類】
   B23B 27/16 20060101AFI20170703BHJP
   B23C 5/22 20060101ALI20170703BHJP
   B23B 27/14 20060101ALI20170703BHJP
   B23C 5/20 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   B23B27/16 A
   B23C5/22
   B23B27/14 C
   B23C5/20
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-550797(P2014-550797)
(86)(22)【出願日】2012年12月13日
(65)【公表番号】特表2015-506281(P2015-506281A)
(43)【公表日】2015年3月2日
(86)【国際出願番号】IL2012050524
(87)【国際公開番号】WO2013105081
(87)【国際公開日】20130718
【審査請求日】2015年10月23日
(31)【優先権主張番号】61/584,428
(32)【優先日】2012年1月9日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘクト,ギル
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−528085(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0272522(US,A1)
【文献】 特開平07−299636(JP,A)
【文献】 特表2002−533224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 27/16,
B23C 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削インサート(100)であって、
第1の面(102)と、第2の面(104)と、それらの間に延在する周面(106)と、前記切削インサート(100)の中央を通り、前記第1および第2の面(102、104)に平行に延在するねじ解放軸(M)と、
前記第1および第2の面(102、104)の間に延在し、孔軸(A)を有するインサート孔(108)であって、前記インサート孔(108)は、外形直径(L)を有する円形の開口外形(117)において前記第1の面(102)に対して開口しており、前記第1および第2の面(102、104)の間で前記孔軸(A)と垂直に取った前記インサート孔(108)の少なくとも一部(110)の断面が楕円形(118)を有し、前記楕円形(118)は、長径(P1)と、前記長径(P1)に対して垂直な短径(P2)と、を有し、前記長径(P1)は、前記短径(P2)よりも大きく、かつ、前記外形直径(L)より小さく、前記長径(P1)は前記ねじ解放軸(M)に実質的に平行である、インサート孔(108)と、
前記第1の面(102)に設けられ、前記インサート孔(108)の前記少なくとも一部(110)の前記楕円形(118)の配向を示すとともに前記ねじ解放軸(M)の配向を示す記号(112、162、172)と、を含む、切削インサート(100)。
【請求項2】
前記記号(112、162、172)は、少なくとも1つの曲線(111)の形である、請求項1に記載の切削インサート(100)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの曲線(111)は、楕円形仮想線(114)の少なくとも一部と一致する、請求項2に記載の切削インサート(100)。
【請求項4】
前記楕円形仮想線(114)は長寸法(D1)および垂直な短寸法(D2)を有し、前記長寸法(D1)は前記短寸法(D2)よりも大きく、前記長寸法(D1)の配向は前記長径(P1)の配向と類似しており、前記短寸法(D2)は前記外形直径(L)よりも小さく、
前記記号(112)は、前記楕円形仮想線(114)上で、前記インサート孔(108)の両側に位置する2つの曲線(111)を含む、請求項3に記載の切削インサート(100)。
【請求項5】
前記楕円形仮想線(114)は長寸法(D1)および垂直な短寸法(D2)を有し、前記長寸法(D1)は前記短寸法(D2)よりも大きく、前記長寸法(D1)の配向は前記長径(P1)の配向と類似しており、前記短寸法(D2)は前記外形直径(L)よりも大きく、
前記記号(162)は、前記楕円形仮想線(114)上に位置し、前記開口外形(117)を囲む、請求項3に記載の切削インサート(100)。
【請求項6】
前記記号(172)は少なくとも1つの矢印(174)を有し、前記矢印(174)は前記短径(P2)と実質的に平行である、請求項1に記載の切削インサート(100)。
【請求項7】
第1の面(102)と、第2の面(104)と、それらの間に延在する周面(106)と、前記切削インサート(100)の中央を通り、前記第1および第2の面(102、104)に平行に延在するねじ解放軸(M)と、前記第1および第2の面(102、104)の間に延在し、孔軸(A)を有するインサート孔(108)であって、前記インサート孔(108)は、外形直径(L)を有する円形の開口外形(117)において前記第1の面(102)に対して開口しており、前記第1および第2の面(102、104)の間で前記孔軸(A)と垂直に取った前記インサート孔(108)の少なくとも一部(110)の断面が楕円形(118)を有する、インサート孔(108)と、を有し、前記楕円形(118)は、長径(P1)と、前記長径(P1)に対して垂直な短径(P2)と、を有し、前記長径(P1)は、前記短径(P2)よりも大きく、かつ、前記外形直径(L)より小さく、前記長径(P1)は前記ねじ解放軸(M)に実質的に平行である、切削インサート(100)を作成する方法であって、
前記切削インサート(100)の前記第1の面(102)に、前記インサート孔(108)の前記少なくとも一部(110)の前記楕円形(118)の前記長径(P1)又は前記短径(P2)の配向を示すとともに前記ねじ解放軸(M)の配向を示すための記号(112、162、172)を刻印する手順を含む、切削インサートを作成する方法。
【請求項8】
前記刻印する手順はレーザーマーキングによって行われる、請求項7に記載の切削インサートを作成する方法。
【請求項9】
前記刻印する手順は彫刻によって行われる、請求項7に記載の切削インサートを作成する方法。
【請求項10】
前記刻印する手順は、前記切削インサートを形成するために用いられる金型に前記記号を組み込むことによって行われる、請求項7に記載の切削インサートを作成する方法。
【請求項11】
切削インサート(100)であって、
第1の面(102)と、第2の面(104)と、それらの間に延在する周面(106)と、前記切削インサート(100)の中央を通り、前記第1および第2の面(102、104)に平行に延在するねじ解放軸(M)と、
前記第1および第2の面(102、104)の間に延在し、孔軸(A)を有するインサート孔(108)であって、前記インサート孔(108)は、外形直径(L)を有する円形の開口外形(117)において前記第1の面(102)に対して開口しており、前記第1および第2の面(102、104)の間で前記孔軸(A)と垂直に取った前記インサート孔(108)の少なくとも一部(110)の断面が、前記インサート孔の断面の最大寸法と、前記インサート孔の断面の横断寸法とによって画成される関連する最小外接矩形(113)を有し、前記横断寸法が前記最大寸法と垂直であり、前記最大寸法は、前記外形直径(L)よりも小さく、かつ、前記ねじ解放軸(M)に対して実質的に平行である、インサート孔(108)と、
前記第1の面(102)に設けられ、前記最小外接矩形(113)の前記最大寸法の配向を示すとともに前記ねじ解放軸(M)の配向を示す記号(112、162、172)と、を含む、切削インサート(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、金属切削プロセスに使用するための切削インサート、および、かかる切削インサートを作成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
切削体に脱着可能に固定される切削インサートは、切刃の近傍に、適切な硬質材料、すなわち、超硬合金を備えており、摩耗または破損した切削インサートを廃棄した後、より硬質ではない材料から製造される切削体を再利用できる。切削インサートは、作業中に、工作物に対して切削インサートを保持し、支持するため、工具本体の周囲に位置するインサート受けポケット内部にクランプされる。切削インサートは、当該技術において、操作者に切削インサートの割り出し方向を示すよう、印または記号をその上に有することが知られている。
【0003】
DeRocheらに発行された、「Milling Cutter with Tangentially Mounted Inserts」という名称の米国特許第7,008,146号は、第1および第2のフェース面、第1および第2の長刃面、および第1および第2のアール状短刃面を含むフライス工具用の割出し可能切削インサートを対象とする。各長刃面は、実質的に平坦な中央プラトーから、第1の切子面を通り、第1の切子面近傍の第2の切子面を通り、第1および第2のアール状短刃面のうちの1つに対して第2の切子面近傍の第3の切子面を通って延在する一次切刃を画成している。第2の切子面は、第1の切子面と第3の切子面との間に配設される。切削インサートは、切削工具内での切削インサートの位置決めを支援する位置決めディンプルを含んでいる。
【0004】
Arthurに発行された、「Indexable Cutting Insert with Indexing Marks」という名称の米国特許第6,190,096号は、すくい面および逃げ面を呈する割出し可能切削インサートを対象とする。すくい面および逃げ面は、交差して略円形の切刃を形成している。逃げ面およびすくい面のうちの少なくとも1つは、その上に、円形切削インサートの複数の個別割出し可能位置を示すよう、視覚的に知覚可能な印を有している。
【0005】
Kasperikらに発行された、「Cutting Insert with Universal Identification」という名称の米国特許第6,123,488号は、その上面に刻印される三角形記号を備える切削インサートを対象とする。各記号内の三角形の数は、切削インサートが最良に機能する切削範囲を示している。記号により、機械の操作者は、切削インサートが、ある極端な場合において荒加工用途に、また別の極端な場合において精密仕上げ加工用途に、ならびにそれらの間の中間的な使用にも、適しているかどうかを判断できる。記号は、英数字ではない形状を含んでおり、単一の形状は、荒加工から仕上げ加工用途までの使用を示すよう異なる数量で与えられるのが好ましい。記号は、それらの関連する切刃と略垂直に位置決めされて、その切刃に対して推奨される使用の種類を示している。記号が各切刃と関連している場合、かかる記号は、各切刃近傍で対称的に離間されてもよい。単一の記号のみ存在する場合、かかる記号は、切削インサートの非活動領域のいずれの場所に配置されてもよい。
【0006】
Hechtに対する、「Cutting Insert and Cutting Insert Assembly」という名称の米国特許出願公開第2010/0272522号は、ポケット孔を備えるインサートポケットと、切削インサートと、切削インサートをインサートポケットに結合する締結部材とを有する切削インサートアセンブリを対象とする。切削インサートは、切削インサート孔と、第1の面と、第2の面と、それらの間に延在する周面とを有している。第1および第2の面は、それぞれ第1および第2の周縁において周面と接触し、第1および第2の周縁のうちの少なくとも1つの少なくとも一部は、切刃を形成している。切削インサート孔は、少なくとも2つの部分を有し、そのうち最も小さなものは、締結部材をポケット孔から完全に取り外す必要なく、切削インサートの素早い交換または割出しを可能にする楕円形断面を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
操作者が切削インサートをインサート受けポケットから取り外すために切削インサートに近づく場合、インサートを締結部材から外すのに必要な切削インサートの回転方向を示すであろう切削インサート孔部の楕円形の配向を判断するのに困難な場合がある。この困難さは、切削インサートおよび切削インサート孔の小ささ、締結部材がまだその内部に存在している間のインサート孔の乏しい照明条件等により生じる恐れがある。
【0008】
本発明の目的は、改良された切削インサート、およびその作成方法を提供することにあり、切削インサートは、その上にそのインサート孔の非円形断面の配向を示す印または記号を有している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
本発明によれば、第1の面と、第2の面と、それらの間に延在する周面とを含む切削インサートが提供される。切削インサートは更に、第1および第2の面の間に延在し、孔軸を有するインサート孔を含んでいる。孔軸と垂直に取ったインサート孔の少なくとも一部の断面は、楕円形を有している。切削インサートは更に、第1および第2の面のうちの少なくとも1つの上に備えられ、インサート孔の少なくとも一部の断面楕円形の配向を示す記号も含んでいる。
【0010】
本発明の別の実施形態によれば、第1の面と、第2の面と、それらの間に延在する周面と、第1および第2の面の間に延在し、孔軸を有するインサート孔とを有する切削インサートを作成する方法が提供される。インサート孔は、孔軸と垂直に取った楕円形断面を備える少なくとも一部を有している。方法は、切削インサートの第1および第2の面のうちの少なくとも1つに、インサート孔の少なくとも一部の断面楕円形の配向を示すための記号を刻印する手順を含んでいる。
【0011】
本発明の更なる実施形態によれば、第1の面と、第2の面と、それらの間に延在する周面とを含む切削インサートが提供される。切削インサートはまた、第1および第2の面の間に延在し、孔軸を有するインサート孔も含んでいる。孔軸と垂直に取ったインサート孔の少なくとも一部の断面は、関連する最小外接矩形を有している。最小外接矩形は、インサート孔断面の第1の最大寸法と、インサート孔断面の第2の横断寸法とによって画成され、横断寸法は、最大寸法と垂直である。記号は、第1および第2の面のうちの少なくとも1つの上に備えられ、最小外接矩形の配向を示している。
【0012】
図面の簡単な説明
より良好な理解のため、本発明をここで、例示のみにより、一点鎖線が部材の部分的な図に対し断面境界を示す添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A図1Aは、開示技術の実施形態による矩形割出し可能切削インサートの斜視図である。
図1B図1Bは、図1Aの割出し可能切削インサートの平面図である。
図2A図2Aは、開示技術の別の実施形態による菱形割出し可能切削インサートの斜視図である。
図2B図2Bは、図2Aの割出し可能切削インサートの平面図である。
図3A図3Aは、開示技術の更なる実施形態による平行四辺形割出し可能切削インサートの斜視図である。
図3B図3Bは、図3Aの割出し可能切削インサートの平面図である。
図4A図4Aは、開示技術の別の実施形態による平行四辺形割出し可能切削インサートの斜視図である。
図4B図4Bは、図4Aの割出し可能切削インサートの平面図である。
図5A図5Aは、開示技術の更なる実施形態による平行四辺形割出し可能切削インサートの斜視図である。
図5B図5Bは、図5Aの割出し可能切削インサートの平面図である。
図6A図6Aは、開示技術の更なる実施形態による矩形割出し可能切削インサートの斜視図である。
図6B図6Bは、図6Aの割出し可能切削インサートの平面図である。
図7図7は、開示技術の別の実施形態による割出し可能切削インサートの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
本発明は、孔の配向を示す印を有する切削インサートおよびその作成方法に関し、切削インサートは、その上に切削インサートのインサート孔の断面楕円形の配向を示す記号を有している。
【0015】
本発明の実施形態による割出し可能切削インサート100を示す図1A〜5Aおよび1B〜5Bを参照する。図1Aおよび1Bを特に参照すると、切削インサート100は、第1の面102、第2の面104、周面106、インサート孔108、および記号112を含んでいる。切削インサート100は、インサート孔108を貫通し、第1の面102および第2の面104に垂直な割出し軸Aを有している。周面106と第1の面102との交差は、切刃116を画成している。
【0016】
切削インサート100は、切削動作において工作物に対して採用される新規の未使用の切刃部(不図示)を与えるために、割出し軸Aを中心として回転される。割出し軸Aは、それによって、インサート孔108の回転対称が与えられるため、孔軸Aと呼ばれてもよい。インサート孔108は、インサート100を貫通し、開口外形117において第1の面102に開口し、第2の面104に開口している。開口外形117は、外形直径Lを有する円形の外形である。インサート孔108は、例えば、図1Bにおいて見ると、孔軸Aと垂直に取った場合、断面楕円形118を有する孔部110を含んでいる。楕円形118は、一次寸法P1と、一次寸法P1に垂直な二次寸法P2とを有している。一次寸法P1は通常、楕円形118の伸長された配置により、二次寸法P2よりも大きい。切削インサート100は更に、切削インサート100の中央を通り、一次寸法P1、第1の面102、および第2の面104と平行なねじ解放軸Mを有する。
【0017】
孔部110の楕円形断面は、インサート受けポケットのねじ孔(両方とも不図示)からクランプねじを完全に取り外すことなく、クランプねじヘッド(不図示)によって切削インサート100を抜き取ることを考慮していることに留意されたい。切削インサート100をクランプねじから取り外すために、ねじは、所定量まで外されるが、依然として部分的にインサート受けポケットのねじ孔にねじ込まれたままであり、切削インサート100は、ねじ解放軸Mを中心として回転される。これは、インサート孔108がクランプねじヘッドを越えて通ることを考慮し、それによって、切削インサート100を、依然として部分的にインサート受けポケットにねじ込まれたままのクランプねじから外すことを考慮している。ねじ解放軸Mは、一次寸法P1と平行であるので、切削インサート100を外すために必要な旋回方向は、一次寸法P1の配向によって示される。
【0018】
記号112は、長寸法D1と、長寸法D1に垂直な短寸法D2とを有する楕円形仮想線114に一致する第1の面102上に位置している。長寸法D1は通常、楕円形仮想線114の細長い寸法により、短寸法D2よりも大きい。長寸法D1の配向は、孔軸Aと垂直に見た場合、楕円形118の一次寸法P1の配向と実質的に類似している。長寸法D1は、一次寸法P1よりも大きい。記号112は、長寸法D1の配向を切削インサート100の操作者に明確に示している。従って、一次寸法P1および楕円形118の配向も、操作者に対して明確に示されている。必要であれば、操作者は、クランプねじを必要な所定量まで外してもよく、次いで、切削インサートがインサート受けポケットから外れるまで、ねじ解放軸Mと平行な長寸法D1の配向を中心として切削インサート100を回転してもよい。
【0019】
切削インサート100において、記号112は、楕円形仮想線114の一部と一致する2つの目に見える曲線111を含んでいる。短寸法D2は通常、外形直径Lよりも小さい。従って、楕円形仮想線114の一区間は、孔108の開口外形117内部にあり、記号が無くてもよい。このように、曲線111のみが第1の面102上に記され、操作者に明確に見える可能性がある。
【0020】
従って、孔軸Aに沿って見た場合、非円形インサート孔108は、インサート孔の第1の最大寸法(例えば、一次寸法P1)と、第1の最大寸法に垂直な第2の横断寸法(例えば、二次寸法P2)とによって画成される、関連する最小外接矩形113(図5Bに示す)を有し、表面102および/または104上の記号112が、最小外接矩形113の配向を示すと考えられてもよい。
【0021】
ここで図6Aおよび6Bを参照すると、開示技術の代替実施形態によれば、切削インサート100において、楕円形仮想線114の短寸法D2は、外形直径Lよりも大きい(すなわち、D2>L)。この場合、開口外形117を囲む楕円形仮想線114の全体に沿った記号162を作成することができる。
【0022】
開示発明の更なる代替実施例を示す図7を参照する。本実施形態によれば、切削インサート100は、その第1の面上に記号172を含んでいる。記号172は、孔108の両側に位置し、断面楕円形118の二次寸法P2と平行な2つの両側矢印174を含んでいる。二重矢印174は、操作者に対して断面楕円形118の配向を示し、それによって、本明細書中に上で詳述したように、操作者が、切削インサート100をクランプねじヘッドから外すために、切削インサート100を回転する必要のある方向を示している。
【0023】
本発明による切削インサートがリバーシブルの切削インサートである場合、切削インサートは、その第2の面(例えば、第2の面104)上に記号112、162、または172と類似の別の記号を含んで、第2の面から見た場合に、孔部の楕円形断面の配向を示してもよいことに留意されたい。
【0024】
開示技術による切削インサートは、金属切削作業に採用され、硬質金属、例えば、超硬合金、容易に加工されない硬質材料から構成されるのが好ましい。従って、切削インサートの表面上の記号(例えば、記号112、162、172)は、硬質金属に刻印できる公知のいずれの刻印方法によって備えられてもよい。かかる刻印方法の例には、レーザーマーキングまたは彫刻がある。刻印は更に、インサート製造過程中に、例えば、プレスまたは射出成形によって切削インサートを形成するために用いられる金型に記号を組み込むことによって達成されてもよい。かかる場合において、記号は、完成したインサートの表面上の浮き出し外形を構成していてもよい。
【0025】
本発明をある程度の具体性をもって説明してきたが、種々の変更および改良が、以下で特許請求される本発明の精神または範囲から逸脱することなく行われてもよいことは言うまでもない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7