(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6161212
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】非接触コネクタ用導波路構造
(51)【国際特許分類】
H04B 5/00 20060101AFI20170703BHJP
H01P 3/00 20060101ALI20170703BHJP
H01P 5/02 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
H04B5/00 Z
H01P3/00
H01P5/02 D
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-553299(P2014-553299)
(86)(22)【出願日】2012年12月18日
(65)【公表番号】特表2015-511426(P2015-511426A)
(43)【公表日】2015年4月16日
(86)【国際出願番号】US2012070312
(87)【国際公開番号】WO2013109376
(87)【国際公開日】20130725
【審査請求日】2015年12月1日
(31)【優先権主張番号】61/587,972
(32)【優先日】2012年1月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/585,341
(32)【優先日】2012年8月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399132320
【氏名又は名称】ティーイー・コネクティビティ・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(72)【発明者】
【氏名】マッカーシー、ショーン パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ジャッレット、スティーブン アラン
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ、ブルース フォスター
(72)【発明者】
【氏名】ヒルティ、ロバート ダニエル
【審査官】
後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−035511(JP,A)
【文献】
特開2010−103982(JP,A)
【文献】
特開2011−044953(JP,A)
【文献】
特開2011−176726(JP,A)
【文献】
Marc J. Franco,A High-Performance Dual-Mode Feed Horn for Parabolic Reflectors with a Stepped-Septum Polarizer in a Circular Waveguide,IEEE Antennas and Propagation Magazine,2011年,Vol.53 No.3,p.142-146
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 5/00
H01P 3/00
H01P 5/02
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線高周波信号を送信及び受信の少なくとも一方をするよう構成された第1通信チップと、
無線高周波信号を送信及び受信の少なくとも一方をするよう構成された第2通信チップと、
前記第1通信チップ及び前記第2通信チップ間の導波路構造と
を有し、
前記導波路構造は、前記第1通信チップ及び前記第2通信チップ間で高周波信号を搬送し、
前記導波路構造は、導波路と、前記第1通信チップ及び前記第2通信チップ間の通信リンクを強化する少なくとも1個の受動部品とを具備し、
前記受動部品は、隔壁ポーラライザであることを特徴とする非接触コネクタ。
【請求項2】
前記導波路構造は、導波路、該導波路の一端の第1導波路モジュール、及び前記導波路の他端の第2導波路モジュールを具備することを特徴とする請求項1記載の非接触コネクタ。
【請求項3】
前記導波路構造は、導波路と、前記高周波信号の向きを変える少なくとも1個の受動部品とを具備することを特徴とする請求項1記載の非接触コネクタ。
【請求項4】
前記導波路構造は、導波路と、前記高周波信号を集める少なくとも1個の受動部品とを具備することを特徴とする請求項1記載の非接触コネクタ。
【請求項5】
前記導波路構造は、導波路と、前記高周波信号を一方向に反射する少なくとも1個の受動部品とを具備することを特徴とする請求項1記載の非接触コネクタ。
【請求項6】
前記導波路構造は、導波路と、前記高周波信号の伝播距離を延長する少なくとも1個の受動部品とを具備することを特徴とする請求項1記載の非接触コネクタ。
【請求項7】
前記導波路構造は、導波路と、前記高周波信号の伝播方向を変更する少なくとも1個の受動部品とを具備することを特徴とする請求項1記載の非接触コネクタ。
【請求項8】
前記導波路構造は、導波路と、前記高周波信号の伝播モードを変更する少なくとも1個の受動部品とを具備することを特徴とする請求項1記載の非接触コネクタ。
【請求項9】
前記導波路構造は、導波路と、前記高周波信号の極性を変更する少なくとも1個の受動部品とを具備することを特徴とする請求項1記載の非接触コネクタ。
【請求項10】
前記導波路構造は、導波路と、前記高周波信号の複数のモードを組み合わせる少なくとも1個の受動部品とを具備することを特徴とする請求項1記載の非接触コネクタ。
【請求項11】
前記導波路構造は、導波路と、前記高周波信号を信号干渉からシールドする少なくとも1個の受動部品とを具備することを特徴とする請求項1記載の非接触コネクタ。
【請求項12】
前記導波路構造は、導波路と、前記高周波信号を集めて所定方向に向ける角アンテナとを具備することを特徴とする請求項1記載の非接触コネクタ。
【請求項13】
前記導波路構造は、導波路と、前記高周波信号の伝播モードを変更したり、前記高周波信号の極性を変更したり、前記高周波信号の複数のモードを組み合わせたりするモードコンバータとを具備することを特徴とする請求項1記載の非接触コネクタ。
【請求項14】
前記導波路構造は、導波路と、前記高周波信号を集めて所定方向に向ける角アンテナと、前記高周波信号の伝播モードを変更したり、前記高周波信号の極性を変更したり、前記高周波信号の複数のモードを組み合わせたりするモードコンバータとを具備することを特徴とする請求項1記載の非接触コネクタ。
【請求項15】
前記導波路構造は、前記第1通信チップ及び前記第2通信チップ間の回転移動を可能にするロータリージョイントを有することを特徴とする請求項1記載の非接触コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波エネルギーを用いた短距離で非接触データ伝送をする非接触コネクタ、及びそのような非接触コネクタ用の導波路構造に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触コネクタは、送信器チップ及び受信器チップを具備するのが典型的である。データ流は、60GHz等の変調高周波信号を生成する送信器チップに供給される。その信号は、信号を復調して元のデータ流に回復させる受信器チップに短距離で伝播される。これらのチップは、電気的接続や光学的接続を要することなく、コネクタ対間のデータ伝送を可能にするアンテナを有する。複数対の送信器チップ及び受信器チップを用いることにより、複数のチャネルを提供することができる。チャネル間のクロストークを回避するために、各チップ対は、距離又はシールドにより、隣接する対から分離される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
或る用途では、送信器チップ及び受信器チップによる有効な伝送のために遠過ぎない距離で送信器チップ及び受信器チップの離間が必要になる。さらに、或る用途では、コネクタ部品間の相対移動が必要になる。所定限界内ではチップは性能が殆ど又は全く劣化することなく縦方向に分離できる一方、そのような限界を超えると信号及び性能が落ちる。分離はコネクタキャリアの嵌合位置の精度の低下を可能にし、従順さによってはコネクタキャリアの位置の非整合を可能にさえする。複雑な並進が必要な場合、問題が生ずる。例えば、2方向以上の並進は問題であり、信号劣化や伝送不良を招く。
【0004】
コネクタ部品の十分な離間や移動に対処する非接触コネクタに対するニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、無線高周波信号を送信及び受信の少なくとも一方をするよう構成された第1通信チップと、無線高周波信号を送信及び受信の少なくとも一方をするよう構成された第2通信チップと、第1通信チップ及び第2通信チップ間の導波路構造とを有する非接触コネクタが提供される。導波路構造は、第1通信チップ及び第2通信チップ間で高周波信号を搬送する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の典型的な一実施形態に従って形成された非接触コネクタを示す図である。
【0007】
【0008】
【
図3】本発明の典型的な一実施形態に従って形成された非接触コネクタを示す図である。
【0009】
【
図4】本発明の典型的な一実施形態に従って形成された非接触コネクタを示す図である。
【0010】
【
図5】本発明の典型的な一実施形態に従って形成された非接触コネクタを示す図である。
【0011】
【
図6】
図5に示された非接触コネクタの第1モジュール及び第2モジュールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明を例示により説明する。
【0013】
本明細書に記載された実施形態は、データリンクを形成する2個のモジュールを有する非接触コネクタを提供する。データリンクをガイドしシールドするための2個のモジュールを接続する導波路構造が提供される。導波路構造は、特定経路に沿ってエネルギーを向け、2個のモジュール間の通信リンクを強化する。これらのモジュールは、同様のチップ及び送信器や受信器との無線通信の目的のために、チップであってもよい高周波送信器及び高周波受信器である。高周波信号のチップへの送信及びチップからの受信は、導波路構造や送信器、受信器、アンテナ構造、接地プレーン、及び非接触コネクタ内に収容される他の構造の位置及び方向と共に、チップの相対位置に依存する。
【0014】
本明細書に記載された実施形態は、チップの外側にある導波路構造を提供する。導波路構造は、伝播距離を集め、向きを変え、延長し、伝播方向を変更し、伝播モードを変更し、極性を変更し、複数のモードを組み合わせ、送信した信号や受信した信号を信号干渉からシールドする等に用いられる。
【0015】
本明細書に記載された実施形態は、誘電材料、金属化された表面を有する誘電材料、金属板及び金属管、導電性プラスチック、中空金属ガイド、空気等を含む多数の異なる材料で製造されてもよい導波路構造を提供する。導波路構造は、アンテナ、角、又は信号を集めるための他の構造を含んでもよい。導波路構造は、信号経路の伝播の長さの向きを決め、延ばすための導波路を具備してもよい。導波路構造は、導波路モードや極性を変更するためのモードコンバータを具備してもよい。導波路構造は、複数の送信器や複数の受信器から又は複数の送信器や複数の受信器に複数の導波路モードを組み合わせるためのモード結合構造を具備してもよい。導波路構造は、信号を干渉から保護するための金属シールドを具備してもよい。導波路構造は、筒状、矩形であってもよいし、或いは他の形状を有してもよい。
【0016】
本明細書に記載された実施形態は、2個のモジュール間の導波路構造にロータリージョイントを具備してもよい。軸対称のEMモードの使用により、信号強度は、第1モジュール及び第2モジュール間の回転の相対角度とは無関係になる。導波路構造は1個以上の間隙を有し、間隙は導波路材料とは異なる材料製であってもよい。例えば、プラスチック製導波路は、空気、水、表皮、真空、ガラス又は他の非金属材料を含む間隙を有してもよい。導波路は、第1チップからの高周波信号の分岐を減少させ、受信チップでの信号強度の容認できるレベルを維持することにより、複数の高周波ベースのチップ間の許容できる分離距離を増大してもよい。導波路は、外部ノイズ源を排除し、所与の分離距離のためにシステムの信号対ノイズ比を改善してもよい。
【0017】
本明細書に記載された実施形態は、信号伝送線のみを有するモジュールを具備してもよい。例えば、第1モジュールは単一の送信専用チップを含み、第2モジュールは単一の受信専用チップを含み、単方向信号チャネルの通信チャネルを形成してもよい。他の実施形態では、両モジュールは単一の送受信チップを含み、各チップは固定された機能(例えば、送信又は受信)に設定されて単方向信号チャネルの通信チャネルを形成してもよい。通信チャネルの方向は、各チップの機能を逆にすることにより、任意に設定してもよい。他の実施形態では、両モジュールは、単一の送受信チップを含んでもよい。本明細書に記載された実施形態は、複数の伝送線を有するモジュールを具備してもよい。例えば、システムは、2組以上の高周波ベースチップを有するモジュールからなることができる。実施形態は、2チャネルの単方向システム用に、2個の送信チップを有する第1モジュール、及び2個の受信チップを有する第2モジュールを提供してもよい。他の実施形態は、2チャネルの双方向システム(例えば、全二重通信)を形成するために各モジュール内に1個の送信チップ及び1個の受信チップを提供してもよい。他の実施形態は、複数の送受信チップを有してもよい。
【0018】
図1は、本発明の典型的な一実施形態に従って形成された非接触コネクタ100を示す。コネクタ100は、第1モジュール102と、高周波エネルギーを用いて短距離での非接触データ伝送をする第2モジュール104とを具備する。伝播経路は、第1モジュール102及び第2モジュール104間に形成され、第1モジュール102及び第2モジュール104間に高周波エネルギー用に形成された伝送経路を提供する。典型的な一実施形態において、伝播経路は、第1モジュール102及び第2モジュール104間の所定経路に沿って高周波エネルギーをガイドする導波路構造106を具備する。導波路構造106は、第1モジュール102及び第2モジュール104間の経路の一部のみに沿って延びてもよい。導波路構造106は、第1モジュール102及び第2モジュール104間の空隙を含む任意のタイプの伝播経路であってもよい。導波路構造106は、非連続であってもよく、異なるインタフェースや材料を橋渡ししてもよい。
【0019】
図示の実施形態において、導波路構造106は、第1端110及び第2端112間を延びる導波路108により形成される。第1端110及び第2端112は、第1モジュール102及び第2モジュール104に隣接して配置される。任意であるが、導波路108はロータリージョイントを有してもよい。ロータリージョイントは、そのジョイントでの相対回転や直線的並進を可能にする。
【0020】
典型的な一実施形態において、第1モジュール102は送信器(や受信器)を形成し、第2モジュール104は、送信器が発した高周波エネルギーを受信するための受信器(や送信器)を形成する。第1モジュール102は、以下では送信器102と称することがある。第2モジュール104は、以下では受信器104と称することがある。別の一実施形態において、第1モジュール102は受信器を形成し、第2モジュール104は送信器を形成する。任意であるが、第1モジュール102は送信器及び受信器の双方を形成し、第2モジュール104も送信器及び受信器の双方を形成してもよい。第1モジュール102及び第2モジュール104は、単方向通信を可能にしてもよいし、双方向通信を可能にしてもよい。
【0021】
典型的な一実施形態において、コネクタ100は、第1モジュール102及び第2モジュール104間の二重通信を可能にしてもよい。複数の送信及び受信対は、第1モジュール102及び第2モジュール104間の導波路構造106を介して複数通信チャネルを生成してもよい。各チャネルは、明確で分離可能な極性を用いて、様々な通信チャネルの高周波信号間に分離を提供してもよい。
【0022】
典型的な一実施形態において、第1モジュール102は、表面に1個以上の電気部品116を有する回路基板114を具備する。第1モジュール102は、高周波信号を発する第1通信チップ118を具備する。第1モジュール102は2個以上の通信チップを有してもよいし、通信チップは送信器チップ、受信器チップ、又は送信及び受信の双方が可能なトランシーバチップを形成してもよい。第2モジュール104は、表面に1個以上の電気部品122を有する回路基板120を具備する。第2モジュール104は、高周波信号を受ける第2通信チップ124を具備する。第2モジュール104は2個以上の通信チップを有してもよいし、通信チップは送信器チップ、受信器チップ、又は送信及び受信の双方が可能なトランシーバチップを形成してもよい。これらのチップ118,124は、高周波信号を送信したり受信したりするためのアンテナを有してもよい。アンテナはチップに一体化されてもよいし、或いはチップに接続された別体の部品であってもよい。
【0023】
高周波信号は、第1モジュール102から導波路構造106内に高周波エネルギーとして放出される。導波路構造106は、第2モジュール104に高周波信号を搬送する。第1モジュール102は信号を高周波データ伝送信号として送り、導波路構造106は高周波データ伝送信号を第2モジュール104に搬送する。第2モジュール104は、導波路構造106からの高周波データ伝送信号を受信し、高周波データ伝送信号を回復させる。典型的な一実施形態において、複数の高周波データ伝送信号は、異なる伝播モードを有する導波路構造106により搬送され、このような信号が同一スペース内に搬送されることを可能にし、このような信号が分離可能となることを可能にしてもよい。
【0024】
図2は、第1モジュール102及び第2モジュール104の第1通信チップ118及び第2通信チップ124間の導波路構造106を示す非接触コネクタ100の図である。回路基板114,120(
図1参照)は、明瞭にするために除去されている。
【0025】
導波路構造106は、導波路108、導波路108の第1端110に位置する第1導波路モジュール130、及び導波路108の第2端112に位置する第2導波路モジュール132を具備する。第1導波路モジュール130及び第2導波路モジュール132は、チップ118,124から又はチップ118,124に、及び導波路108から又は導波路108に高周波信号を向ける。別の実施形態では、導波路構造106は、導波路108の一端又は両端で導波路モジュール無しで用いられてもよい。
【0026】
導波路108は、第1端110及び第2端112間を延びる導波路本体134を有する。導波路108は、所定の経路に沿って高周波信号を向けることにより、より長い経路長通信を促進する。任意であるが、導波路本体134は、信号干渉をシールドしてもよい。導波路本体134は、銅管等の中空の金属管であってもよい。導波路本体134は、プラスチック、セラミック、ガラス又は他の本体でもよい。導波路134は、複数の部品から製造されてもよい。これらの部品は、互いに対して移動可能であってもよい。別の実施形態では、導波路本体134は、筒状であってもよいし、他の形状を有してもよい。導波路本体134は、縦軸に沿って延びてもよいし、湾曲経路又は斜めの経路に沿って延びてもよい。
【0027】
第1導波路モジュール130は、第1通信チップ118及び導波路108間に1個以上の受動部品140を有する。受動部品140は、第1通信チップ118から無線高周波伝送信号を受信し、導波路108に高周波信号を搬送する。任意であるが、受動部品140は、互いに一体であってもよい。任意であるが、受動部品140は、導波路108と一体であってもよい。例えば、受動部品140は、一体成形され、押し出し成形され、機械加工され、或いは他の方法で互いに又は導波路108と同時に形成されてもよい。別の実施形態では、受動部品140は、互い又は導波路108とは別体であってもよい。このような実施形態において、受動部品140は、互いに又は導波路108に隣接して配置されてもよい。受動部品140は、互いに又は導波路108に当接してもよい。受動部品140は、互いに又は導波路108に近接して配置されてもよい。
【0028】
受動部品140は、第1通信チップ118及び第2通信チップ124間の通信リンクを強化する。受動部品140は、高周波信号を強化する特定の方法で高周波信号に影響を与える所望の特性を有してもよい。例えば、受動部品140は、第1通信チップ118から高周波信号を集めることに用いられてもよい。受動部品140は、所定経路に沿って又は或る向きに高周波信号の向きを変えることに用いられてもよい。受動部品140は、高周波信号の伝播距離を延長することに用いられてもよい。例えば、受動部品140は、それらが無い場合よりも長い距離を検出可能なレベルで十分な強度で信号を維持してもよい。受動部品140は、高周波信号の伝播方向を変更することに用いられてもよい。受動部品140は、高周波信号の伝播モードを変更することに用いられてもよい。受動部品140は、高周波信号の極性を変更することに用いられてもよい。受動部品140は、高周波信号の複数のモードを組み合わせる(又は抽出する)ことに用いられてもよい。受動部品140は、高周波信号を信号干渉からシールドすることに用いられてもよい。
【0029】
図示の実施形態において、受動部品140は、第1通信チップ118から高周波信号を集めることに用いられる角アンテナ142を具備する。角アンテナ142は、高周波信号を或る方向に向ける。角アンテナ142は、送信された信号を集めてより長い経路長通信を容易にする。角アンテナ142は、長辺がチップ118を向き、短辺が他の受動部品140や導波路108を向く台形形状を有する。別の実施形態では、角アンテナ142は別の形状を有してもよい。別の実施形態では、他のタイプのアンテナ、ポーラザイザ、リフレクタ又は別の構造等の他のタイプのコレクタやディレクタを用いてもよい。図示の実施形態において、角アンテナ142は導波路108にほぼ直交する方向を向くが、別の実施形態では他の方向性も可能である。
【0030】
図示の実施形態では、受動部品140はモードコンバータ144を具備する。モードコンバータ144は、一伝播モードから別の伝播モードに電磁エネルギーを変化させる。モードコンバータ144は、信号の電場や磁場に影響を与える。モードコンバータ144は、伝播経路の方向を変更する。図示の実施形態において、モードコンバータ144はT字状部及び缶部を具備するが、別の実施形態では他のタイプのモードコンバータを使用してもよい。モードコンバータ144は、縦軸の回りの導波路108の自由な回転を可能にするよう極性変更を容易にしてもよい。例えば、モードコンバータ144は隔壁(septum)ポーラライザであってもよい。モードコンバータ144は、複数の送信器や受信から又はそれらへの複数の導波路モードを組み合わせるためのモード結合を容易にしてもよい。
【0031】
任意であるが、第1導波路モジュール130は、受動部品140に加えて1個以上の能動部品を有してもよい。能動部品は、増幅器、フィルタ、モードコンバータ、或いは信号や第1導波路モジュール130の動作を強化、変更、又は他に影響を与える別のタイプの能動部品を具備してもよい。
【0032】
第2導波路モジュール132は、第2通信チップ124及び導波路108間に1個以上の受動部品150を有する。受動部品150は、導波路108から無線高周波伝送信号を受信し、第2通信チップ124に高周波信号を搬送する(第2通信チップ124が送信器として作動する際は向きが逆になる)。任意であるが、受動部品150は、互いに一体であってもよい。任意であるが、受動部品150は、導波路108と一体であってもよい。例えば、受動部品150は、一体成形され、押し出し成形され、機械加工され、或いは他の方法で互いに又は導波路108と同時に形成されてもよい。別の実施形態では、受動部品150は、互い又は導波路108とは別体であってもよい。このような実施形態において、受動部品150は、互いに又は導波路108に隣接して配置されてもよい。受動部品150は、互いに又は導波路108に当接してもよい。受動部品150は、互いに又は導波路108に近接して配置されてもよい。
【0033】
受動部品150は、第1通信チップ118及び第2通信チップ124間の通信リンクを強化する。受動部品150は、高周波信号を強化する特定の方法で高周波信号に影響を与える所望の特性を有してもよい。例えば、受動部品150は、第2通信チップ124に高周波信号を向けることに用いられてもよい。受動部品150は、所定経路に沿って又は或る向きに高周波信号の向きを変えることに用いられてもよい。受動部品150は、高周波信号の伝播距離を延長することに用いられてもよい。例えば、受動部品150は、それらが無い場合よりも長い距離を検出可能なレベルで十分な強度で信号を維持してもよい。受動部品150は、高周波信号の伝播方向を変更することに用いられてもよい。受動部品150は、高周波信号の伝播モードを変更することに用いられてもよい。受動部品150は、高周波信号の極性を変更することに用いられてもよい。受動部品150は、高周波信号の複数のモードを組み合わせる(又は抽出する)ことに用いられてもよい。受動部品150は、高周波信号を信号干渉からシールドすることに用いられてもよい。
【0034】
図示の実施形態において、受動部品150は、第2通信チップ124に高周波信号を向けることに用いられる角アンテナ152を具備する。角アンテナ152は、高周波信号を或る方向に向ける。角アンテナ152は、長辺がチップ124を向き、短辺が他の受動部品150や導波路108を向く台形形状を有する。別の実施形態では、角アンテナ152は別の形状を有してもよい。別の実施形態では、他のタイプのアンテナ、ポーラザイザ、リフレクタ又は別の構造等を用いてもよい。図示の実施形態において、角アンテナ152は導波路108にほぼ直交する方向を向くが、別の実施形態では他の方向性も可能である。
【0035】
図示の実施形態では、受動部品150はモードコンバータ154を具備する。モードコンバータ154は、一伝播モードから別の伝播モードに電磁エネルギーを変化させる。モードコンバータ154は、信号の電場や磁場に影響を与える。モードコンバータ154は、伝播経路の方向を変更する。図示の実施形態において、モードコンバータ154はT字状部及び缶部を具備するが、別の実施形態では他のタイプのモードコンバータを使用してもよい。モードコンバータ154は、縦軸の回りの導波路108の自由な回転を可能にするよう極性変更を容易にしてもよい。例えば、モードコンバータ154は隔壁ポーラライザであってもよい。モードコンバータ154は、複数の送信器や受信から又はそれらへの複数の導波路モードを組み合わせるためのモード結合を容易にしてもよい。
【0036】
任意であるが、第2導波路モジュール132は、受動部品150に加えて1個以上の能動部品を有してもよい。能動部品は、増幅器、フィルタ、モードコンバータ、或いは信号や第2導波路モジュール132の動作を強化、変更、又は他に影響を与える別のタイプの能動部品を具備してもよい。
【0037】
図3は、本発明の典型的な一実施形態に従って形成された別の非接触コネクタ200を示す。コネクタ200は、第1モジュール202と、高周波エネルギーを用いて短距離での非接触データ伝送をする第2モジュール204とを具備する。伝播経路は、第1モジュール202及び第2モジュール204間に形成され、第1モジュール202及び第2モジュール204間に高周波エネルギー用に形成された伝送経路を提供する。典型的な一実施形態において、伝播経路は、第1モジュール202及び第2モジュール204間の所定経路に沿って高周波エネルギーをガイドする導波路構造206を具備する。
【0038】
導波路構造206は、第1モジュール202の第1通信チップ212をカバーする第1リフレクタ210と、第2モジュール204の第2通信チップ216をカバーする第2リフレクタ214とを具備する。これらのリフレクタ210,214は、伝播経路に沿って高周波エネルギーを向ける。伝播経路は、第1モジュール202及び第2モジュール204間に導波路構造206の空隙形成部分を有する。この空隙は、第1モジュール202及び第2モジュール204間の相対移動を可能にする。
【0039】
リフレクタ210,214は、互いに向かって高周波エネルギーを向ける。リフレクタ210,214は、高周波エネルギーを反射する1個以上の金属又は金属化面を具備してもよい。リフレクタ210,214は、高周波信号を集めて、高周波信号を所望の向きに変える。リフレクタ210,214は、信号干渉からシールドする。リフレクタ210,214は、第1通信チップ212及び第2通信チップ216間の通信リンクを強化する受動部品である。リフレクタは、第1通信チップ212及び第2通信チップ216への外部構造である。リフレクタ210,214は、別のリフレクタ210,214に向かって適当な向きに高周波エネルギーを向ける傾斜面を有する。導波路構造206は、リフレクタ210,214及びその間の空隙により形成される。
【0040】
図4は、本発明の典型的な一実施形態に従って形成された別の非接触コネクタ300を示す。コネクタ300は、高周波エネルギーを用いて短距離での非接触データ伝送をする第1モジュール302を具備する。伝播経路は、第1モジュール302により形成され、第1モジュール302から及び第1モジュール302への高周波エネルギー用に形成された伝送経路を提供する。典型的な一実施形態において、伝播経路は、所定経路に沿って高周波エネルギーをガイドする導波路構造306を具備する。
【0041】
導波路構造306は、第1モジュール302の第1通信チップ312に近接して設けられたリフレクタ310を具備する。リフレクタ310は、通信チップ312への又は通信チップ312からの伝播経路に沿って高周波エネルギーを向ける。伝播経路は、導波路構造306の空隙形成部分を有してもよい。
【0042】
リフレクタ310は、ほぼ所望の向きに高周波エネルギーを向ける。リフレクタ310は、高周波エネルギーの向きを変更する湾曲面314を有する。湾曲面314は、高周波エネルギー用の反射面である。リフレクタ314は、高周波エネルギー用の他の反射面を具備してもよい。湾曲面314は、リフレクタ310の外面を金属化することにより形成されてもよい。リフレクタ310は、信号干渉からシールドする。リフレクタ310は、通信リンクを強化する受動部品である。
【0043】
図5は、本発明の典型的な一実施形態に従って形成された別の非接触コネクタ400を示す。コネクタ400は、第1モジュール402と、高周波エネルギーを用いて短距離での非接触データ伝送をする第2モジュール404とを具備する。
図6は、互いに同様であり同様の部品を具備してもよい第1モジュール402及び第2モジュール404を示す。伝播経路は、第1モジュール402及び第2モジュール404間に形成され、第1モジュール402及び第2モジュール404間に高周波エネルギー用に形成された伝送経路を提供する。典型的な一実施形態において、伝播経路は、第1モジュール402及び第2モジュール404間の所定経路に沿って高周波エネルギーをガイドする導波路構造406を具備する。導波路構造406は、第1モジュール402及び第2モジュール404間の経路の一部のみに沿って延びてもよい。導波路構造406は、第1モジュール402及び第2モジュール404間の空隙を含む任意のタイプの伝播経路であってもよい。
【0044】
図示の実施形態において、導波路構造406は、空隙412により分離された第1導波路408及び第2導波路410により形成される。第1導波路408及び第2導波路410は互いに整列する。第1導波路408及び第2導波路410は、それらの間の相対回転や直線的並進を可能にする。
【0045】
典型的な一実施形態において、第1モジュール402は送信器(や受信器)を形成し、第2モジュール404は、送信器が発した高周波エネルギーを受信するための受信器(や送信器)を形成する。任意であるが、第1モジュール402は送信器及び受信器の双方を形成し、第2モジュール404も送信器及び受信器の双方を形成してもよい。第1モジュール402及び第2モジュール404は、単方向通信を可能にしてもよいし、双方向通信を可能にしてもよい。
【0046】
図6に示されるように、第1モジュール402は、高周波信号を発する第1通信チップ416及び第2通信チップ418を有する回路基板414を具備する。通信チップ416,418は、送信器チップ、受信器チップ、又は送信及び受信の双方が可能であるトランシーバチップを形成してもよい。
図5に示されるように、回路基板414は、電気シールドを与える金属製ハウジング等のハウジング420内に保持されてもよい。
【0047】
導波路構造406は、一端に第1導波路モジュール430を、他端に第2導波路モジュール432を具備する。第1導波路モジュール430及び第2導波路モジュール432は、第1モジュール402及び第2モジュール404のチップ416,418から又はチップ416,418に高周波信号を向ける。導波路408は第1導波路モジュール430の一部であり、導波路410は第2導波路モジュール432の一部である。導波路408,410は、信号干渉からシールドしてもよい。導波路本体408,410は、銅管等の中空の金属管であってもよい。導波路本体408,410は、プラスチック、セラミック、ガラス又は他の本体でもよい。別の実施形態では、導波路本体408,410は、筒状であってもよいし、他の形状を有してもよい。導波路本体408,410は、縦軸に沿って延びてもよいし、湾曲経路又は斜めの経路に沿って延びてもよい。
【0048】
第1導波路モジュール430は、通信チップ416,418及び導波路408間に1個以上の受動部品440を有する。図示の実施形態において、受動部品440は、隔壁ポーラライザにより代表される。受動部品440は、約60GHz等の特定周波数又は周波数範囲で動作するよう設計される。受動部品440は、特定の向き及びモードで高周波エネルギーを伝播するよう設計される。典型的な一実施形態において、受動部品440は、導波路構造406が一挙に複数のモードを通すことができるように、異なるモードを形成する。受動部品440は、第1モジュール402及び第2モジュール404間の通信リンクを強化する。
【0049】
第2導波路モジュール432は、通信チップ416,418及び導波路410間に1個以上の受動部品450を有する。図示の実施形態において、受動部品450は、隔壁ポーラライザにより代表される。受動部品450は、約60GHz等の特定周波数又は周波数範囲で動作するよう設計される。受動部品450は、特定の向き及びモードで高周波エネルギーを伝播するよう設計される。典型的な一実施形態において、受動部品450は、導波路構造406が一挙に複数のモードを通すことができるように、異なるモードを形成する。受動部品450は、第1モジュール402及び第2モジュール404間の通信リンクを強化する。
【符号の説明】
【0050】
100 非接触コネクタ
106 導波路構造
108 導波路
110 第1端
112 第2端
118 第1通信チップ
124 第2通信チップ
130 第1導波路モジュール
132 第2導波路モジュール
140 受動部品
142 角アンテナ
144 モードコンバータ
150 受動部品
152 角アンテナ
154 モードコンバータ
200 非接触コネクタ
206 導波路構造
212 第1通信チップ
216 第2通信チップ
300 非接触コネクタ
306 導波路構造
400 非接触コネクタ
406 導波路構造
408 導波路
410 導波路
416 第1通信チップ
418 第2通信チップ
430 第1導波路モジュール
432 第2導波路モジュール
440 受動部品
450 受動部品