(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
第1の金型が取付けられる第1の盤と第2の金型が取付けられる第2の盤との間に、型開閉方向と直交する方向の軸を中心に回転される中間金型が前記第1の金型および第2の金型と型合せ可能に設けられた複合成形品成形用の射出成形機としては、特許文献1ないし特許文献3に記載されたものが知られている。特許文献1は、第1の盤または第2の盤の一方である固定盤の外側と、他方である可動盤の外側にそれぞれ射出装置が備えられている。そして第1の金型と中間金型の間で成形した1次成形品を中間金型を回転させて第2の金型と型閉し、第2の金型と中間金型の間で2次成形を行って複合成形品を成形する。(または先に第2の金型と中間金型の間で1次成形品の成形を行ってもよい。)
【0003】
しかしながらこの複合成形品成形用の射出成形機は2種類の樹脂材料の複合成形品を成形のみに対応するものであり、多種多用なバリエーションに対応できるものではなかった。一方3種類の樹脂材料の複合成形品を成形することが可能な複合成形品成形用の射出成形機としては、特許文献2に記載されたものが知られている。特許文献2の
図1の例では、固定盤の外側に1本、可動盤の外側の1本、可動金型と中間金型の上方に1本の合計3本の射出装置を備える。また
図3の例では、固定盤の外側に1本、可動盤の外側の1本、可動金型と中間金型の上方に1本の合計3本の射出装置を備える。更に
図4の例では、固定盤の外側に2本、可動盤の外側の1本の合計3本の射出装置を備える。
【0004】
また特許文献3は、特許文献1と同様に2色の成形を行うものであるが、第5の成形例および第6の成形例に記載されるように回転盤を回転させずに双方に形成される第1キャビティと第2キャビティで単色成形品を成形も行うことができる点について記載がされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献2についてはどの例も全ての射出装置を使用して複合成形品の成形を行うことを想定しており、種々の成形方法を想定した構造とはなっていない。また特許文献3は、単色成形品の成形を行うことは想定されるもの少なくとも3基の射出装置が備えられた複合成形品成形用の射出成形機のバリエーションについては何ら記載がされていない。
【0007】
本発明では上記の問題を鑑みて、第1の金型が取付けられる第1の盤と第2の金型が取付けられる第2の盤との間に、型開閉方向と直交する方向の軸を中心に回転される中間金型が前記第1の金型および第2の金型と型合せ可能に設けられ、少なくとも3基の射出装置が備えられた複合成形品成形用の射出成形機において、成形のバリエーションを確保することができる複合成形品成形用の射出成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の複合成形品成形用の射出成形機は、
固定金型が取付けられる
固定盤と
可動金型が取付けられる
可動盤との間に、型開閉方向と直交する方向の軸を中心に回転される中間金型が前記
固定金型および
可動金型と型合せ可能に設けられ少なくとも3基の射出装置が備えられた複合成形品成形用の射出成形機において、
固定盤の固定金型の取付面の反対側に配置され前記
固定金型と中間金型の間に形成されるキャビティに溶融材料を射出可能な能力の異なる複数基の射出装置と、
可動盤の可動金型の取付面の反対側に配置されて型開閉機構の駆動により可動盤とともに移動され前記
可動金型と中間金型の間に形成されるキャビティに溶融材料を射出可能な射出装置とが備えられ、前記能力の異なる複数基の射出装置がスクリュ軸以外の方向に移動可能に配置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2に記載の複合成形品成形用の射出成形機は、
固定金型が取付けられる
固定盤と
可動金型が取付けられる
可動盤との間に、型開閉方向と直交する方向の軸を中心に回転される中間金型が前記
固定金型および
可動金型と型合せ可能に設けられ少なくとも3基の射出装置が備えられた複合成形品用射出成形機において、
固定盤の固定金型の取付面の反対側に配置され前記
固定金型と中間金型の間に形成されるキャビティに溶融材料を射出可能な能力の異なる複数基の射出装置と、
可動盤の可動金型の取付面の反対側に配置されて型開閉機構の駆動により可動盤とともに移動され前記
可動金型と中間金型の間に形成されるキャビティに溶融材料を射出可能な射出装置とが備えられ、前記
固定金型と中間金型の間に形成されるキャビティに溶融材料を射出可能な能力の異なる複数基の射出装置のうちの複数基の射出装置と前記
可動金型と中間金型の間に形成されるキャビティに溶融材料を射出可能な射出装置
とを用いた複合成形品の成形と、前記
固定金型と中間金型の間に形成されるキャビティに溶融材料を射出可能な能力の異なる複数基の射出装置のうちの1基の射出装置と前記
可動金型と中間金型の間に形成されるキャビティに溶融材料を射出可能な射出装置
とを用いた複合成形品の成形が選択可能であることを特徴とする
【0010】
本発明の請求項3に記載の複合成形品成形用の射出成形機は、
固定金型が取付けられる
固定盤と
可動金型が取付けられる
可動盤との間に、型開閉方向と直交する方向の軸を中心に回転される中間金型が前記
固定金型および
可動金型と型合せ可能に設けられ少なくとも3基の射出装置が備えられた複合成形品成形用の射出成形機において、
固定盤の固定金型の取付面の反対側に配置され前記
固定金型と中間金型の間に形成されるキャビティに溶融材料を射出可能な能力の異なる複数基の射出装置と、
可動盤の可動金型の取付面の反対側に配置されて型開閉機構の駆動により可動盤とともに移動され前記
可動金型と中間金型の間に形成されるキャビティに溶融材料を射出可能な射出装置とが備えられ、前記能力の異なる複数基の射出装置のうちの複数基を用い前記中間金型を回転させずに
固定金型と中間金型の間に形成されるキャビティに溶融材料を射出しての複合成形品の成形と、前記能力の異なる複数基の射出装置のうちの1基または複数基の射出装置と前記
可動金型と中間金型の間に形成されるキャビティに溶融材料を射出可能な射出装置を用い中間金型を回転させて行う複合成形品の成形とが選択可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の
複合成形品成形用の射出成形機は、固定金型が取付けられる
固定盤と
可動金型が取付けられる
可動盤との間に、型開閉方向と直交する方向の軸を中心に回転される中間金型が前記
固定金型および
可動金型と型合せ可能に設けられ少なくとも3基の射出装置が備えられた複合成形品成形用の射出成形機において、
固定盤の固定金型の取付面の反対側に配置され前記
固定金型と中間金型の間に形成されるキャビティに溶融材料を射出可能な能力の異なる複数基の射出装置と、
可動盤の可動金型の取付面の反対側に配置されて型開閉機構の駆動により可動盤とともに移動され前記
可動金型と中間金型の間に形成されるキャビティに溶融材料を射出可能な射出装置とが備えられ、前記能力の異なる複数基の射出装置がスクリュ軸以外の方向に移動可能に配置されているので、成形のバリエーションを確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態の複合成形品成形用の射出成形機11について、
図1、
図2を参照して説明する。複合成形品成形用の射出成形機11は、別の射出装置から射出された溶融樹脂を用いた複合成形品を成形する機能を有する射出成形機であって、ベッド12の上には型締装置13と複数基の射出装置14,15を備えた第1の射出装置移動ユニット16と、1基の射出装置17を備えた第2の射出装置移動ユニット18が設けられている。
【0014】
型締装置13は、ベッド12に固定された第1の盤である固定盤19に第1の金型である固定金型20が取付けられ、第2の盤である可動盤21に第2の金型である可動金型22が取付けられている。固定盤19の四隅近傍には型締機構である型締シリンダ23がそれぞれ設けられ、そのロッドがタイバ24として可動盤21の四隅近傍にも挿通されている。固定盤19の外側(固定金型20の取付面の反対側)には、2本の射出装置14,15の加熱筒42,59およびノズル41,46が挿入可能な、凹部19a(すり鉢部)が形成されている。またタイバ24の外周には図示しない係止部が設けられ、可動盤21の外側壁面のタイバ24が挿通される部分の近傍にはハーフナット25が設けられている。更に可動盤21の外側(可動金型22の取付面の反対側)には、1本の射出装置17の加熱筒60およびノズル55が挿入可能な、凹部21a(すり鉢部)が形成されている。そして可動盤21は型開閉機構26(可動盤移動機構)によりベッド12上を型開閉方向Aに移動可能となっている。型開閉機構26はベッド12と可動盤21に取付けられ、駆動手段であるサーボモータとボールねじ機構を備えている。
【0015】
また固定盤19と可動盤21の間には、型開閉方向に直交する方向の回転軸27(回転軸27は大半のケースでは垂直方向の軸であるが水平方向の軸であってもよい)を中心に回転される回転盤28が設けられている。本実施形態では回転盤28は、ベッド12またはタイバ24にガイドされて型開閉方向Aに移動可能な中間盤29に対して図示しないベアリングを介して回転軸27とともに回転自在(または180°づつ反転自在)に設けられている。前記中間盤29には回転盤28を回転駆動させる電動モータ35が取付けられている。そして回転盤28の一方の面と他方の面にはそれぞれ同一のキャビティ面を備えた中間金型30が取付けられる。そして回転盤28は、固定盤19または可動盤21に対してサーボモータとボールねじ機構を用いた移動機構31により型開閉方向Aに移動可能となっている。なお回転盤28については、タイバ24に挿通される中間盤29(上下に分割されたものを含む)に回転可能に設けられたもの以外に、タイバ24が挿通されないテーブル上の中間盤29に回転可能に設けられたものでもよい。また中間盤29に対して中間金型30が直接回転可能に取付けられ、回転盤28を備えないものでもよい。
【0016】
なお型締装置13の機構は、上記に限定されず、第2の盤である可動盤21の側に型締シリンダが設けられたものでもよい。また可動盤21の背面にトグル機構が設けられたものでもよく、その場合は型締機構と型開閉機構を兼用する。可動盤21の型開閉機構26および中間盤29の移動機構31については
図1,
図2ではそれぞれ1基しか記載されていないが一般的には2基以上を備え、その数、取付けられる部材、駆動手段は限定されない。更に型締装置は、中間盤がベッド上に固定的に設けられ、中間盤には中間金型が取付けられる回転盤が回転可能に設けられていて、その両側に第1の金型が取付けられる第1の盤と第2の金型が取付けられる第2の盤がそれぞれ中央の中間盤に向けて移動可能に設けられたものでもよい。また固定盤の一側に第1の盤である第1可動盤が設けられ、前記第1可動盤の更に一側に第2の盤である第2可動盤が設けられており、前記第1可動盤と前記第2可動盤の間に、型開閉方向Aに移動可能な中間盤および回転盤が設けられたものでもよい。更には第1の盤と第2の盤の間に複数個の回転盤(または複数組の中間金型)が設けられたものでもよい。
【0017】
次に第1の盤である固定盤19側に配置され、複数基の射出装置14,15を載置した第1の射出装置移動ユニット16について
図3、
図4を参照して説明する。第1の射出装置移動ユニット16の射出装置14,15は、いずれも第1の金型である固定金型20と中間金型30の間に形成されるキャビティC2に溶融材料を射出可能な射出装置である。ベッド12上の台部12aの上には型開閉方向と直交する水平方向B(操作側−反操作側の方向)に向けて複数本のガイドレール32,32が設けられ、ガイドレール32,32の上に第1の射出装置移動ユニット16の支持台34が前記方向Bにスライド自在に設けられている。なおガイドレール32,32の両方の端部には移動された支持台34を当て止めするストッパ32a,32bがそれぞれ設けられている。またベッド12の台部12a上には支持台34を移動させる駆動手段としての油圧シリンダ33が設けられている。油圧シリンダ33は、台部12a上のガイドレール32,32の間に設けられたブラケット56にシリンダ部33aが取付けられ、支持台34の裏面のブラケット57にロッド33bが取付けられている。なお支持台34を移動させる駆動手段は、サーボモータとボールねじ機構を用いたものやエアシリンダなど他の手段でもよい。
【0018】
支持台34の上には2基の射出装置14,15が載置されている。本実施形態の射出装置14と射出装置15は能力が異なる射出装置であるが、載置構造およびノズルタッチの構造は同じであるので一方の射出装置14の構造について説明する。支持台34の上面うちの操作側には型開閉方向に向けて複数本のガイドレール36,36が設けられ、ガイドレール36,36の上に射出装置14の基台37が型開閉方向Aにスライド自在に設けられている。また支持台34には基台37および射出装置14を移動させるノズルタッチ機構の油圧シリンダ38が設けられている。油圧シリンダ38は、支持台34上のガイドレール36,36の間に設けられたブラケット39にシリンダ部38aが取付けられ、基台37の裏面のブラケット40にロッド38bが取付けられている。なおノズルタッチ機構の駆動手段は、サーボモータとボールねじ機構を用いたものやエアシリンダなど他の手段でもよい。
【0019】
射出装置14は、ノズル41が前部に設けられ内孔に図示しないスクリュが内蔵された加熱筒42、前記スクリュを回転駆動および前後進駆動させる駆動部43、前記加熱筒42内に樹脂材料を供給するハウジング部を含む材料供給部44等を備える。従ってノズル41と加熱筒42の軸方向とスクリュ軸の方向は一致している。本実施形態では射出装置14の射出機構と計量機構は、サーボモータ等の電動機で駆動されるものが用いられるが油圧作動されるものでもよく、その種類は限定されない。他方の射出装置15は射出装置14よりも小型であるが、ノズルタッチ機構の油圧シリンダ45を備え、ガイドレール58,58上を移動して前後進可能な構造は射出装置14と同じである。そして射出装置15のノズル46は、射出装置14のノズル42とともに固定金型20のノズルタッチ面54に当接するまで前進可能となっている。射出装置15の種類やそのノズルタッチ機構の種類は限定されない。
【0020】
第1の射出装置移動ユニット16は、上記の構造であるので、それぞれの射出装置14,15はそれぞれ型開閉方向Aに移動可能であるばかりではなく、型開閉方向と直交する水平方向B(スクリュ軸以外の方向)にも移動可能となっている。本発明の射出装置14,15がこのような構造を取るのは、後述するように固定金型62のノズル孔61に当接する射出装置14,15を変更するのが主な目的であるから、射出装置14,15はスクリュ軸以外の方向に移動可能であればよい。具体的には円弧状のガイドレールに沿って射出装置14,15が移動するものや、斜め後方に移動するもの等でもよい。
【0021】
また複数基の射出装置14,15の配置については、
図1のように第1の盤の外側(固定金型の取付面と反対側)に配置される例以外に、第1の盤の上部や、第1の盤または第1の盤に取付けられる金型の側方のベッド上や床面上に設けられるものでもよい。(その場合、射出装置14等のスクリュ軸以外の移動方向が型開閉方向Aと一致したり、型開閉方向と直交する水平方向Bと一致しなかったりすることもあり得る。)また複数基の射出装置は少なくとも2基が備えられ、3基以上を備えるものであってもよい。
【0022】
次に第2の盤である可動盤21側に配置され、射出装置17を備えた第2の射出装置移動ユニット18について
図1、
図2を参照して説明する。第2の射出装置移動ユニット18に載置される射出装置17は、第2の金型である可動金型22と中間金型30の間に形成されるキャビティC1に溶融材料を射出可能な射出装置である。ベッド12の上には型開閉方向に向けて複数本のガイドレール47,47が設けられ、ガイドレール47,47の上に支持台48が型開閉方向Aにスライド自在に設けられている。前記支持台48の前端は可動盤21に一体に固定されるか、または可動盤21に連結されている。従って第2の射出装置移動ユニット18は、型開閉機構26の駆動により可動盤21と共に移動される。そして支持台48の上には別のガイドレール49,49が設けられ、ガイドレール49,49の上には、射出装置17を直接載置する基台50が移動可能に設けられている。また支持台48にはノズルタッチ機構である油圧シリンダ51のシリンダ部が取付けられ前記油圧シリンダ51のロッドが基台50に取付けられている。そして前記油圧シリンダ51の作動により射出装置17は基台50とともに型開閉方向Aにスライド自在に設けられている。なおノズルタッチ用の機構についてはその種類は限定されない。
【0023】
射出装置17の構造は、射出装置14,15と同様であり、スクリュが内孔に内蔵された加熱筒60、該加熱筒60の前部に設けられたノズル55、および駆動部や供給部等を備える。また射出装置17は、可動盤21の上部に設けられたものでもよく、可動盤21、可動金型22、または中間金型30等の側方の位置に、ノズルが型開閉と直交する水平方向Bに向けて設けられたものでもよい。また第2の射出装置移動ユニット18は少なくとも1基の射出装置を備えており、複数基の射出装置が備えられたものでもよい。また本発明では、可動盤21の側を第1の盤として可動盤21に連設して第1の射出装置移動ユニットの複数基の射出装置を設けるようにしてもよい。その場合は固定盤19が第2の盤となり第2の射出装置移動ユニット18は少なくとも1基の射出装置17を備える。
【0024】
これら射出装置14,15,17の能力は限定されず、同じでも異なるものでもよいが次のような種々のケース等も想定される。射出装置14と射出装置17は同じスクリュ径(スクリュのフライトの直径)であり、射出装置15はそれよりもスクリュ径が小さい場合。射出装置14が最もスクリュ径が大きく、射出装置17、射出装置15の順にスクリュ径が小さくなる場合。射出装置14が最もスクリュ径が大きく、射出装置15、射出装置17の順にスクリュ径が小さくなる場合。射出装置17が最もスクリュ径が大きく、射出装置14、射出装置15の順にスクリュ径が小さくなる場合。射出装置17が最もスクリュ径が大きく、射出装置14、射出装置15が同じスクリュ径であって射出装置17よりもスクリュ径が小さい場合。
【0025】
また複合成形品成形用の射出成形機11は設定画面52と制御装置53を備える。そして制御装置53は後述するような複数基の射出装置14,15のうちの2基と射出装置17を用いた3色成形の際のシーケンス制御の作動手順と、複数基の射出装置14,15のうちのいずれか1基と射出装置17を用いた2色成形を行う場合のシーケンス制御の作動手順の両方を必要に応じて記憶装置53に記憶することができる。また制御装置53は、中間金型30,30を回転させずに第1の盤の側の複数基の射出装置14,15のみを用いて多色成形を行う場合のシーケンス制御の作動手順等を必要に応じて記憶することができる。
【0026】
次に本実施形態の複合成形品成形用の射出成形機11の成形方法と作動について説明する。最初に第1の成形方法として、射出装置14,15を備えた第1の射出装置移動ユニット16と、1基の射出装置17を備えた第2の射出装置移動ユニット18を全て使用した3色の複合成形品の成形について説明する。
図1、
図2に示されるように第1の射出装置移動ユニット16の支持台34は中間位置にあり、射出装置14のノズル41と射出装置15のノズル46がそれぞれ固定金型20のノズルタッチ面54の2つのノズル孔54a,54bと正対した位置にある。そして射出装置14のノズルタッチ機構の油圧シリンダ38と射出装置15のノズルタッチ機構の油圧シリンダ45が前進側に駆動され、ノズル41はノズル孔54aに接続され、ノズル46はノズル孔54bに接続されている。射出装置14,15での射出前の溶融樹脂の計量は、
図2のようにノズル41,46が当接された状態で行われることが多いが、ノズル41,46にバルブが取付けられたもの等では射出装置14,15を後退させて行ってもよい。他方、第2の射出装置移動ユニット18の射出装置17も同様にノズル55が可動金型22のノズル孔に接続された状態で計量がなされているが、後退させて計量を行ってもよい。
【0027】
一方型締装置13の側は、型開閉機構26と移動機構31が作動され、固定金型20と中間金型30、可動金型22と中間金型30の間がそれぞれ型閉される。そしてハーフナット25が係止され、型締シリンダ23が作動されてそれぞれの金型間の型締が行われる。前記型閉および型締により、
図2に示されるように可動金型22と中間金型30の間には1次成形用のキャビティC1が形成される。また固定金型20と中間金型30の間には2次成形用のキャビティC2が形成される。
【0028】
1個の複合成形品の成形過程に沿って説明すると、次に可動盤21の側の射出装置17のノズル55からノズル孔およびホットランナ等の流路を介して可動金型22と中間金型30の間の1次成形用のキャビティC1に溶融樹脂が射出される。そして射出された溶融樹脂は、キャビティC1内で型開可能な程度以上に冷却固化される。次に型締シリンダ23により強力型開(離型)がなされた後、型開閉機構26と移動機構31が作動され、固定金型20と中間金型30、可動金型22と中間金型30との間が型開される。この際一次成形された1次成形品P1は中間金型30側に貼り付いた形で離型される。次に回転盤28と中間金型30,30が回転軸27を中心に180°回転され、1次成形品P1が貼り付いた中間金型30が固定金型20と対向する位置に移動される。またこの際同時に何も成形品が貼り付いていない中間金型30は入れ替わって可動金型22と対向される。
【0029】
そして再度、固定金型20と中間金型30、可動金型22と中間金型30の間が型閉され、型締される。このことにより固定金型20と中間金型30の間のキャビティC2には、1次成形品P1も利用して2個の区分された空間C2a,C2bが形成される。なお前記空間C2a,C2bは、固定金型20、中間金型30、および1次成形品P1の間で形成されたものの他、固定金型20および1次成形品P1の間のみで形成されたもの等でもよく、いずれの場合も本発明の第1の金型と中間金型の間のキャビティC2に該当する。そしてこれらの空間C2a,C2bは、それぞれ固定金型20のホットランナ等の流路を介してノズル孔54a、54bに接続されている。そして次にノズル孔54aにノズル41が当接された射出装置14から空間C2aへ1次成形品P1とは異なる溶融樹脂の射出が行われる。また前記空間C2bへは射出装置15からは射出装置14の溶融樹脂および1次成形品P1とは異なる溶融樹脂の射出がなされる。これらの際の射出装置14,15,17の射出のタイミングは同時でも別個でもよい。(射出装置15,17の射出のタイミングが異なっていても本明細書では合わせて2次成形と称するが、それそれ2次成形、3次成形と称したとしても呼称の相違に過ぎず問題ない。)
【0030】
そしてキャビティC2a,C2b内へ射出された溶融樹脂は、それぞれ冷却固化される。キャビティC2a,C2b内で溶融樹脂の冷却固化が完了し1次成形品と一体化されると、再び型締機構と型開閉機構等が作動して、離型がなされた後、固定金型20と中間金型30、可動金型22と中間金型30の間の型開がなされる。そして固定金型20または中間金型30のいずれかのキャビティ面に貼り付いた3色の複合成形品がその金型に設けられたエジェクタにより突き出されて取出しが行われる。またこの際同時に他方の可動金型22と中間金型30のキャビティC1では先ほどと同様の1次成形品P1の成形が行われている。
【0031】
上記では射出装置17を用いて第2の金型である可動金型22と中間金型30の間のキャビティC1で先に1次成形品P1の成形を行い、射出装置14,15を用いて第1の金型である固定金型20と中間金型30の間のキャビティC2で2次成形を行う例について記載した。しかし本発明は、射出装置14,15を用いて固定金型20と中間金型30の間のキャビティで先に1次成形を行い、射出装置17を用いて可動金型22と中間金型30の間のキャビティで2次成形を行って複合成形品を成形するようにしてもよい。(この場合も射出14,15の射出のタイミングが異なっていても合わせて1次成形と称する。)従って本発明は、1次成形、2次成形のいずれかで2本以上の射出装置が使用される。なお本発明では、1次成形2次成形の一方が3色で他方が1色、または1次成形が2色で2次成形も2色というように、4基または4基以上の射出装置を使用した複合成形品の成形も想定される。また本発明はそれぞれの射出装置が全て異なる樹脂材料を用いるものでは無く、同じ樹脂材料を用いるものでもよい。
【0032】
次に
図5に示される第2の成形方法について説明する。第2の成形方法では、次に複合成形品成形用の射出成形機11を用いて、第1の盤の側に配設される1基の射出装置14と、第2の盤の側に配設される1基の射出装置17を用いて2色の複合成形品の成形が行われる。前記第2の成形方法は、制御装置53にシーケンス制御の手順が保存されており、設定画面52からの入力により選択可能となっている。第2の成形方法に際しては、
図5に示されるように固定金型62が2色用に対応した1個のノズル孔61を備えた金型に交換がなされる。この際、中間金型30,30、可動金型22も同時に交換されるのは当然である。そして油圧シリンダ33が作動され、支持台34が型開閉方向と直交する水平方向Bに向けて移動される。そして支持台34がストッパ32aに当接されると油圧シリンダ33は作動が停止される。そのことにより一方の射出装置14のノズル41がノズル孔61と正対する。(また他方の射出装置15を使用する際も油圧シリンダ33を駆動させて支持台34を反対側のストッパ32bに当接させることにより、射出装置15のノズル46がノズル孔61に正対するようになっている。)また支持台34を中間位置に停止させるために移動式のストッパ(図示せず)を設け、前記ストッパに当接させるようにしてもよい。
【0033】
そしてノズルタッチ機構の油圧シリンダ38を駆動させて、射出装置14を前進移動させノズル41を固定金型62のノズル孔61にノズルタッチさせる。この際、射出装置15は後退した位置に固定保持されている。その後に行われる2基の射出装置14,17を用いての2色の複合成形品の成形時の射出成形機11の作動は、先の3基の射出装置14,15,17を用いての3色の複合成形品の成形時の射出成形機11の作動手順とほぼ同様であって、射出装置15による射出が行われない点のみが相違している。即ち第2の射出ユニットの射出装置17の側で先に1次成形品P1を成形した後に、中間金型30に貼り付いた1次成形品P1を回転させて固定金型20側に移動させ、再び型閉および型締させ、射出装置14を使用して2次成形を行って2色の複合成形品を成形させる。またその逆の順序で固定金型20側にて1次成形し可動金型側にて2次成形して複合成形品の成形を行ってもよいことについても3基の射出装置14,15,17を用いての3色の複合成形品の成形時と同様である。
【0034】
また本実施形態では複数基の射出装置14,15は射出装置の能力が異なっている。従って2色成形の場合、一方の成形に最適な射出装置を選択して使用するようにすることも可能である。具体的には第1の金型である固定金型20と中間金型30の間のキャビティで行われる1次成形または2次成形のいずれかの成形の射出量が大きい場合は、スクリュ径(または射出率や理論射出容積)の大きい方の射出装置を使用する。また前記キャビティでの成形の射出量が小さい場合は、スクリュ径(または射出率や理論射出容積)の小さい方の射出装置を使用する。このように射出用に応じて射出装置13,14を選択可能にすることにより射出量が大きい場合には計量時間を短縮できる。また射出量が小さい場合にはスクリュ径の小さい射出装置15を用いることにより、スクリュ前進距離に対する射出量を少量にでき高精度な成形ができる。また加熱筒内の樹脂の滞留の点からも最適な射出装置を使用することができる。更に樹脂の材料により、専用の射出装置を準備して選択して使用することや、薄物成形などに対応して高速高圧射出仕様の射出装置を準備して選択して使用すること等も行うようにしてもよい。
【0035】
また第1の成形方法および第2の成形方法の変形例として、成形時に第1の射出装置移動ユニット16の射出装置14,15をスクリュ軸以外の方向に移動させるものでもよい。すなわち射出装置14,15を使用する成形方法では、ノズル孔54aが1個
しか無い場合やノズル孔54a、54bの位置がノズル41,46と正対していない場合に対応して射出装置14,15を移動させるようにしてもよい。また射出装置14,15を使用する場合および射出装置14,15のいずれか一方しか使用しない成形方法では、射出装置14,15の材料変更や可塑化能力不足等に対応して成形時に射出装置14,15を移動させるようにしてもよい。
【0036】
次に
図6の示される第3の成形方法について説明する。第3の成形方法では、複合成形品成形用の射出成形機11を用いて、前記複数基の射出装置14,15のうちの複数基を用い前記中間金型30を回転させずに第1の金型である固定金型20と中間金型30の間に形成されるキャビティに溶融材料を射出して多色の複合成形品の成形が行われる。前記第3の成形方法は、制御装置53にシーケンス制御の手順が保存されており、設定画面52からの入力により選択可能となっている。
【0037】
まず成形の前に第2の盤である可動盤21と回転盤28の間にキャビティを有さない1個のブロック71を取付ける。このことにより可動盤21と回転盤28を1枚の盤のように型開閉機構26により移動させることができる。従って回転盤28は回転不可能となる。固定盤19と回転盤28に取付けられる金型は、中子72を油圧シリンダ73等の駆動手段で移動させることにより多色成形が可能な金型である。そして固定金型74と可動金型75の間が型閉および型締されると、第1の盤である固定盤19側に配設される射出装置14,15を用いて固定金型74と可動金型75の間に形成されたキャビティC3で複合成形品の成形を行う。
【0038】
この際いずれか一方の射出装置14から前記キャビティC3に射出を行い冷却固化させて1次成形品を成形した後に、可動金型75の油圧シリンダ73を作動させ、中子72を後退させる。そして中子72の後退により新たに形成されたキャビティにいずれか他方の射出装置15から射出を行って2次成形を行い1次成形品と結合する形で冷却固化させ複合成形品を成形する。その後固定金型74と可動金型75の間が型開され、いずれかの金型に貼り付いた複合成形品がエジェクタにより突き出される。
【0039】
なお上記において、可動盤21と回転盤28の間にはブロック71ではなく、成形用の金型を取付けて、可動盤21と回転盤28の間でも別の成形をするようにしてもよい。この場合は第1の盤である固定盤18と回転盤28の間で上記の複合成形品の成形を行っている際に、並行して第2の盤である可動盤21と回転盤28とに取付けられた成形金型のキャビティへ射出装置17から射出を行い、別の成形品を略同時に成形する。そして固定盤18と回転盤28、可動盤21と回転盤28の間がそれぞれ型開された後に、回転盤28は回転させずに、それぞれの成形品を別個にエジェクタにより突き出して取り出す。このようにすることにより生産性を向上させることが可能となる。
【0040】
次に
図7に示される別の実施形態の複合成形品成形用の射出成形機81について相違点を中心に説明する。複合成形品成形用の射出成形機81は、型締装置13と第2の盤の側の第2の射出ユニットの構造は
図1等の実施形態と同じであるので省略を説明する。
図7に示される別の実施形態では、第1の盤である固定盤19側の複数基の射出装置82,83がベッド12の台部12aの上面でそれぞれ別の支持台84,85に載置され、別個にスクリュ軸以外の方向に移動可能となっている。具体的には
図7のように型開閉方向に直交する水平方向Bに向けてガイドレール86,86が設けられ、駆動手段である油圧シリンダ87によりガイドレール86,86に対して支持台84がスライド自在となっている。そして支持台84の上には基台88がノズルタッチ機構の油圧シリンダ89により型開閉方向A(スクリュ軸方向)に移動可能に設けられている。そして基台88の上の射出装置82が載置されている。また射出装置83も前記方向Bに設けられた別のガイドレール90,90上にスライド自在な支持台85に基台91を介して載置されており、別の駆動手段である油圧シリンダ92により前記方向Bに移動され、ノズルタッチ機構の油圧シリンダ93により型開閉方向Aに移動可能となっている。
【0041】
複合成形品成形用の射出成形機81は、2色成形を行う場合は、成形に適するいずれか一方の射出装置82,83を固定金型94のノズル孔95に当接可能な位置へ移動させることができる。また3色成形する場合は射出装置82,83の双方を固定金型92の2個のノズル孔95にそれぞれ当接可能な位置へ移動させることができる。なお
図7の実施形態では、固定金型94の2個のノズル孔95の間隔が金型によって異なる場合であっても、それに対応してノズル96,97同士に間隔を変更することができる。
【0042】
更に
図7の変形例として図示は省略するが、2台の射出装置は共通の支持台上に載置されているが、更に一方の射出装置だけが前記支持台上で、他方の射出装置とは独立して型開閉方向と直交方向に移動する別の支持台に載置されているものでもよい。この例であっても、複数の射出装置のノズルの間隔を変更することができる。また
図7の例、およびこの変形例においては、前記複数基の射出装置のうち少なくとも1基の射出装置がスクリュ軸以外の方向Bに移動可能なものでもよい。この場合は2色成形で使用される場合の射出装置は固定されていてノズルタッチのために型開閉方向のみに移動可能であり、3色成形の場合に射出装置がノズルタッチに最適な位置に向けて型開閉方向と直交する水平方向B等スクリュ軸以外の方向へ移動される。
【0043】
本発明については、一々列挙はしないが、上記した本実施形態のものに限定されず、当業者が本発明の趣旨を踏まえて変更を加えたものについても、適用されることは言うまでもないことである。射出成形については、材料は限定されず、射出圧縮成形、発泡成形、サンドイッチ成形、インサート成形などの成形を行うものも含まれる。