(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6161226
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】自動復帰型プッシュ式フリント点火機構
(51)【国際特許分類】
F23Q 2/46 20060101AFI20170703BHJP
【FI】
F23Q2/46 Z
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-549606(P2016-549606)
(86)(22)【出願日】2013年12月23日
(65)【公表番号】特表2016-534320(P2016-534320A)
(43)【公表日】2016年11月4日
(86)【国際出願番号】CN2013090241
(87)【国際公開番号】WO2015089854
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2016年4月22日
(31)【優先権主張番号】201310695117.1
(32)【優先日】2013年12月17日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516122140
【氏名又は名称】チェン,ロン
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ロン
(72)【発明者】
【氏名】ウ,リ
【審査官】
藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−259330(JP,A)
【文献】
実開平03−005062(JP,U)
【文献】
特開平06−341640(JP,A)
【文献】
特開昭52−060764(JP,A)
【文献】
特開平08−014559(JP,A)
【文献】
米国特許第6565353(US,B2)
【文献】
米国特許第03827852(US,A)
【文献】
中国実用新案第2364347(CN,Y)
【文献】
中国実用新案第2300811(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23Q 2/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動復帰型プッシュ式フリント点火機構であって、前記機構に内蔵されるフリントと、前記フリントに当接する回転式やすりと、変形してエネルギーを蓄積するエネルギー蓄積部品と、前記エネルギー蓄積部品がエネルギーを放出する時に前記回転式やすりと同一方向に回転する駆動輪と、前記駆動輪がその周りを回転する輪軸と、前記エネルギー蓄積部品がエネルギーを放出する時に前記エネルギー蓄積部品によって駆動される駆動体と、前記駆動体上に位置し、かつ前記駆動輪を動かして前記駆動輪を回転させて発動させることができる発動部と、前記駆動体の移動を阻止することができる阻止部材と、前記機構内で直線往復運動することができ、かつ前記エネルギー蓄積部品を押圧して弾性変形を発生させることができる移動部材と、前記移動部材をプッシュすることでリセットすることができるリセット部材とを含み、
更に、前記エネルギー蓄積部品がエネルギーを放出し終えた時に、
前記発動部と前記駆動輪が前記移動部材の移動方向に垂直な平面上に投射される投影が重ならない、
自動復帰型プッシュ式フリント点火機構。
【請求項2】
前記機構に如何なる外力も加えられていない時に、
前記発動部と前記駆動輪が前記移動部材の移動方向に垂直な平面上に投射される投影が重ならず、
前記移動部材の一部を前記阻止部材に接触させることで、前記駆動体の移動の阻止が解除される、
請求項1に記載のプッシュ式フリント点火機構。
【請求項3】
前記駆動体が一体成型される、
請求項1又は請求項2に記載のプッシュ式フリント点火機構。
【請求項4】
前記駆動体が弾性変形可能である、
請求項3に記載のプッシュ式フリント点火機構。
【請求項5】
前記阻止部材が前記機構内に固定される、
請求項1又は請求項2に記載のプッシュ式フリント点火機構。
【請求項6】
前記阻止部材が弾性変形可能である、
請求項5に記載のプッシュ式フリント点火機構。
【請求項7】
前記回転式やすりと前記駆動輪が一体成型され、かつ全体的な外部形状と全体的な構造が通常の回転式やすりと異ならない、
請求項1又は請求項2に記載のプッシュ式フリント点火機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点火機構及び点火機構を含む装置に関するものであり、例えば、ライター(又は点火器)であって、ポケットライターやユーティリティライターを含み、また、使い捨てライター及び非使い捨てライターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、ライターの点火機構には、圧電素子による点火機構とフリントによる点火機構の二種類がある。圧電素子による点火機構が用いられる電子ライターの優位性は使用中に手が汚れず、操作が簡便であることであり、これらの優位性によって電子ライターの価格が高額であっても、数多くの消費者が電子ライターの購入を希望する。しかしながら、フリントによる点火機構が用いられるフリント式ライターは、その信頼性、高い点火率、環境や気候の影響を受けない等の優位性から、国内外において相当に大きな市場を占めるものである。如何にフリント式ライターの従来の点火方式を改良し、如何にフリントによる点火機構の優位性を発揮させ、如何にできる限り生産コストを増額させずに、その操作を簡便かつ衛生的なものとするかは、全世界のライター製造会社が長きにわたり、その解決を希求し続ける難題であり、特にプッシュ式フリント点火機構を電子ライターにおける圧電素子による点火機構のような標準部品とすることは、難題中の難題であった。
【0003】
中国特許200910226804.2は、ハウジングと、ヘッドフレームと、ウインドシールドと、ガス放出ノズルと、レバーと、発火ホイールコンポーネントと、フリントと、プッシュボタンプッシュボタンと、ギアブロックと、リターンスプリングとを含み、更に発火ホイールコンポーネントは、シャフトと、発火ホイールと、駆動タブとサイドホイールとを含み、発火ホイールと、駆動タブとサイドホイールとはいずれもシャフト上に装着され、駆動タブは発火ホイールとサイドホイールとの間に設置され、駆動タブ、発火ホイールとシャフトは協働して駆動し、サイドホイールとシャフトは協働して回転し、駆動タブに向かい合うサイドホイール側面には軸孔を取り囲むように複数の連結歯が設置され、複数の連結歯は軸孔を取り囲むように配列され輪状を呈し、いずれの連結歯も等しく連結歯のフック面及び傾斜面に設置されるライターを公開している。当該特許には、操作者が一定の速度でプッシュボタンプッシュボタンを押さなければ点火できず、操作が容易ではなく、かつ構造が複雑で、部品の精度に対する要求が過度に高く、コストも相応に高くなるといった欠点がある。
【0004】
中国特許97226690.9は、密封されたオイルタンクと、ガス放出装置とを含み、その点火装置は金属ホイールの摩擦によってフリントに火花を発生させるものであるが、その金属ホイールの駆動については、プッシュボタンプッシュボタンを押すことによってコネクティングロッドが駆動され、更にコネクティングロッドによって金属ホイールカバーとラチェット爪が駆動され、最後にラチェット爪によって弾かれてラチェットと金属ホイールが駆動されるという方式が用いられるガス燃料点火装置を公開している。なおプッシュボタンプッシュボタン下のコネクティングロッドのスプリング、リターンスプリング、コネクティングロッドのガイドポスト、弾性スライドブロックは付属部品である。当該方式の構造は過度に複雑であり、更には部品も複雑で、部品の精度に対する要求も過度に高いことから、大量生産を行うことが極めて難しい。
【0005】
中国特許95243330.3は、スタンドと、金属ホイールと、フリントとを含み、スタンド上にプッシュボタンと、圧力スプリングと、プルバックスプリングと、回転ロッドと、加圧及び押さえ装置とが設置され、金属ホイール上に金属ホイールカバーを有する垂直プッシュ式金属ホイール発火点火装置を公開する。当該方式もまた過度に複雑であり、部品の精度に対する要求も過度に高く、現実的な実施は、極めて困難であり、非常に不安定なものである。
【0006】
以上に鑑みれば、フリントライターの優位性が真の意味で発揮され、手になじみ、構造がシンプルで、コストも低く、清潔かつ衛生的であるとともに、実際の生産に現実的に導入できるプッシュ式フリントライター点火機構を提供することは業界が解決すべき課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術の欠点を解消するため、本発明は、フリントによる点火機構自身の優位性を発揮させ、より簡便、より清潔な方式を用いて点火することはもとより、更には本発明において言及するプッシュ式フリント点火機構によってフリント式ライター点火時の手に伝わる感覚を電子ライターとほぼ同等にし、かつ構造が非常にシンプルで、部品が少なく、部品の精度に対する要求も低く、低コストで、大量生産し易いフリント式ライターを提供することを目的とする。
【0008】
上述の目的を実現するため、本発明は、機構に内蔵されるフリントと、前記フリントに当接する回転式やすりと、変形してエネルギーを蓄積するエネルギー蓄積部品と、前記エネルギー蓄積部品がエネルギーを放出する時に前記回転式やすりと同一方向に回転する駆動輪と、前記駆動輪がその周りを回転する輪軸と、前記エネルギー蓄積部品がエネルギーを放出する時に前記エネルギー蓄積部品によって駆動される駆動体と、前記駆動体上に位置し、かつ前記駆動輪を動かして前記駆動輪を回転させて発動させることができる発動部と、前記駆動体の移動を阻止することができる阻止部材と、前記機構内で直線往復運動することができ、かつ、前記エネルギー蓄積部品を押圧して弾性変形を発生させることができる移動部材と、前記移動部材をプッシュすることでリセットすることができるリセット部材とを含み、更に、前記機構に如何なる外力も加えられていない時に、前記発動部と前記駆動輪が前記移動部材の移動方向に垂直な平面上に投射される投影が重ならない自動復帰型プッシュ式フリント点火機構を提供する。
【0009】
また、エネルギー蓄積部品がエネルギーを放出し終えた時に発動部と駆動輪が移動部材の移動方向に垂直な平面上に投射される投影が重ならない。
【0010】
本発明におけるエネルギー蓄積部品とリセット部材は、変形してエネルギーを保存できるあらゆる部材で構成することができ、具体的には、各種スプリングであり、特に、トーションスプリング、圧縮スプリング又はエクステンションスプリングとすることができる。
【0011】
本発明の実施形態の一つでは、駆動体が一体成型される。
【0012】
本発明の別の実施形態では、駆動体が弾性変形可能である。
【0013】
本発明の別の実施形態では、駆動体が二つの部材によって構成される。
【0014】
本発明の別の実施形態では、駆動体が二つの部材によって構成され、かつ回転軸を通じて一つに連結される。
【0015】
本発明の別の実施形態では、駆動輪が平歯ギア、非平歯ギアのギア、ラチェットギア等である。
【0016】
本発明の別の実施形態では、発動部が、一個又は一個以上が駆動輪と噛合する歯、ラチェット爪であり、又は駆動輪との接触面が平面であって、かつ材料がゴム、シリコンゴム又はその他適切な弾性材質の部品である。
【0017】
本発明の別の実施形態では、回転式やすりと駆動輪が一体成型され、かつ全体的な外部形状と全体的な構造が通常の回転やすりと異ならない。
【0018】
本発明の別の実施形態では、阻止部材が弾性変形しない。
【0019】
本発明の別の実施形態では、阻止部材が弾性変形する。
【0020】
本発明の別の実施形態では、駆動体は、阻止部材に抵抗可能な弾性変形可能な弾性部を備える。
【0021】
本発明の別の実施形態では、移動部材が駆動体を押し出すことによって発動部を駆動輪に接近させる方式が発動部を移動部材に近接する側から駆動輪に近接する側に移動させる方式である。
【0022】
本発明の別の実施形態では、移動部材が駆動体を押し出すことによって発動部を駆動輪に接近させる方式が発動部を回転式やすりに近接する側から駆動輪に近接する側に移動させる方式である。
【0023】
本発明の別の実施形態では、移動部材が駆動体を押し出すことによって発動部を駆動輪に接近させる方式が発動部を駆動輪より離れた位置から移動部材の移動方向を軸として駆動輪に近接する位置に回転移動させる方式である。
【0024】
本発明の別の実施形態では、点火機構とガスコントロールレバーが組立部品を構成する(組立部品はガスコントロールレバーを含まなくとも良い)。
【0025】
本発明の別の実施形態では、組立部品は、まずプッシュボタン、ウインドシールド、ハウジング、ガスバルブ等の部品とともに組み立てることができ、その後、燃料を充填することで完製品のライターとされる。
【0026】
本発明の別の実施形態では、点火機構が火花を発生させるために操作者が大きな力を加えなければならないようにし、児童が容易に点火することを防止する。
【0027】
本発明の別の実施形態では、回転式やすり、駆動輪、輪軸が一体成型される。
【0028】
本発明の別の実施形態では、回転式やすりと駆動輪が一体成型されるものであり、さらにそれにはスレッドラインが彫られておらず、点火用やすりの歯が刻まれていないホイールブランクは、冷間圧造技術のみを用いて製造される。
【0029】
本発明のプッシュ式フリント点火機構は、具体的にはライター又は点火棒において火花を発生させるために使用できる。また、フリントによる点火機構のその他の応用と実現も本発明の範囲内である。
【発明の効果】
【0030】
従来技術と比べ、本発明は以下の有益な効果を有する。
1:本発明は、フリントによる点火機構自身の特性を充分に考慮し、最もシンプルで最も合理な構造構成と、最少の部品と、最低のコストによって、最も信頼性が高く、点火率も高い点火機構を製造するものである。
2:操作者が本発明の点火機構を含むライターを操作するに当たっては、回転式やすりに触れる必要がなく、その操作は電子ライターの操作とほぼ同様であり、手になじみ、更に清潔かつ衛生的である。
3:本発明のフリントによる点火機構は、そのコストが電子ライターに必要な圧電素子による点火機構よりも低いことから、本発明のライターを使用すれば、より低廉なコストを実現できる。
4:本発明における全ての部品は生産工程と精度に対する要求が低く、大量生産し易い。
5:本発明のフリントによる点火機構は児童の安全を保護するセイフティライター中に使用でき、かつ生産し易く、コストも上がらず、普及し易いことから、より多くの児童をより良く保護することができる。
以下、図を参照しながら、本発明について、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1は実施例1の内部構造を示す図であり、ライターに如何なる外力も加えられていない時のライター内の各部品の状態を示す。
図2は実施例1と実施例11の内部構造を示す図であり、移動部材を手で押し、移動部材を下方に移動させ、駆動体が移動部材によって押圧され、発動部が駆動輪側に接近することを示す。
図3は実施例1の内部構造を示す図であり、手で圧力を加え続けることによって、移動部材がガスコントロールレバーを押し、ガスバルブからガスが放出され、かつ移動部材が阻止部材を押しのけ、阻止部材が駆動体を阻止することを停止し、エネルギー蓄積部品が突発的にエネルギーを放出し、駆動体を押して下方に移動させ、発動部が駆動輪を動かして回転させ、この時に回転式やすりも同一方向に回転することを示す。
図4は実施例1の内部構造を示す図であり、駆動体上のスライドブロックがスライド溝内の滑落できる最も遠い点までスライドする時に、駆動体が移動部材によって押圧されたことで生じた弾性変形から元の形状に復帰し、発動部が駆動輪側から自動的に離れることを示す。
図5は実施例2の内部構造を示す図であり、ライターに如何なる外力も加えられていない時のライター内の各部品の状態を示す。
図6は実施例2の内部構造を示す図であり、手で圧力を加えることによって、移動部材を下方に移動させ、駆動体が移動部材によって押し出され、発動部がシャフトの周りを回転し、かつ駆動輪側に接近することを示す。
図7は実施例2の内部構造を示す図であり、手で圧力を加え続けることによって、駆動体上のスライドブロックがスライド溝内の滑落できる最も遠い点までスライドする時に、駆動体がブロッカーによって阻止されることによって、発動部がシャフトの周りを回転し、発動部が駆動輪側から離れることを示す。
図8は実施例3の内部構造を示す図であり、ライターに如何なる外力も加えられていない時のライター内の各部品の状態を示す。
図9は実施例4の内部構造を示す図であり、ライターに如何なる外力も加えられていない時のライター内の各部品の状態を示す
図10は実施例5の内部構造を示す図であり、ライターに如何なる外力も加えられていない時のライター内の各部品の状態を示す。
図11は実施例5の一体成型された回転式やすりと駆動輪の外観を示す図であり、その全体的な外部形状と全体的な構造は通常の回転やすりと異ならない。
図12は実施例5の一体成型された回転式やすりと駆動輪の外観を示す図であり、破線の左側が駆動輪、破線の右側が回転式やすりであることを示す。
図13は実施例6の内部構造を示す図であり、ライターに如何なる外力も加えられていない時のライター内の各部品の状態を示す。
図14は実施例6の内部構造を示す図であり、手で圧力を加えることによって、移動部材がガスコントロールレバーを押し、ガスバルブからガスが放出され、かつ移動部材が駆動体上の弾性部を押しのけ、駆動体が阻止部材による阻止を回避し、エネルギー蓄積部品が突発的にエネルギーを放出し、駆動体を押して下方に移動させ、発動部が駆動輪を動かして回転させ、この時、回転式やすりも同一方向に回転することを示す。
図15は実施例7の点火機構内部の回転式やすり、駆動輪、駆動体、輪軸という四つの部品の俯瞰図であり、点火機構に如何なる外力も加えられていない時の機構内の回転式やすり、駆動輪、発動部という三つの部品の位置関係を示す。
図16は実施例7の点火機構内部の回転式やすり、駆動輪、駆動体、輪軸という四つの部品の俯瞰図であり、移動部材が駆動体を押し出すことによって発動部が回転式やすりに近接する側から駆動輪に近接する側に移動することを示す。
図17は実施例8の点火機構内部の回転式やすり、駆動輪、駆動体、輪軸という四つの部品の俯瞰図であり、点火機構に如何なる外力も加えられていない時の機構内の回転式やすり、駆動輪、発動部という三つの部品の位置関係を示す。
図18は実施例8の点火機構内部の回転式やすり、駆動輪、駆動体、輪軸という四つの部品の俯瞰図であり、移動部材が駆動体を押し出すことによって発動部が駆動輪より離れた位置から移動部材の移動方向を軸として駆動輪に近接する位置に回転移動することを示す。
図19、20は実施例9の分解図であり、組立部品を構成する各部品を示し、
図21は実施例9の全体的な外観を示す図である。
図22は実施例10の分解図である。
図23は実施例10の全体的な外観を示す図である。
図24は実施例11の全体的な外観を示す図であり、手でライターのボタンを押す様子を示す。
図25は実施例12の外観を示す図であり、一体成型された駆動輪と回転式やすりの歯車の半製品(スレッドラインが彫られておらず、点火用やすりの歯が刻まれていないもの)を示す。
図26は実施例12の外観を示す図であり、一体成型された駆動輪と回転式やすりの半製品(スレッドラインが彫られ、点火用やすりの歯が刻まれていないもの)を示す。
図27は実施例12的外観を示す図であり、一体成型された駆動輪と回転式やすりの製品(スレッドラインが彫られ、点火用やすりの歯が刻まれているもの)を示す。
図28は実施例13の外観を示す図であり、駆動輪、回転式やすりと輪軸が一体成型され、かつ駆動輪の外径が回転式やすりの外径より大きいことを示す。
図29は実施例13の外観を示す図であり、駆動輪、回転式やすりと輪軸が一体成型され、かつ駆動輪の外径が回転式やすりの外径より小さいことを示す。
図30は実施例13の外観を示す図であり、駆動輪、回転式やすりと輪軸が一体成型され、かつ駆動輪と回転式やすりの外形が一体となっていることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
実施例1
図1に示す通り、本実施例において、駆動体1は、プラスチック(又はその他の適切な材料)によって製造され、かつ一体成型される。
【0033】
ライターは、点火機構と、燃料ガスストレージ機構18と、燃料ガスの放出を制御するガスバルブ16と、ガスバルブ16を開放するガスコントロールレバー10とを含む。更に点火機構は、駆動体1と、エネルギー蓄積部品5と、移動部材2と、阻止部材3と、リセット部材15と、フリント9と、フリント用スプリング26と、輪軸7と、輪軸7の周りを同期的に回転する回転式やすり6と駆動輪4とを含む。
【0034】
更にフリント用スプリング26はフリント9の頂部を回転式やすり6に向けさせ、駆動輪4は平歯ギアであり、駆動体1上の発動部8は駆動輪4と噛合可能な三個の歯であり、駆動体1は弾性変形し、駆動体1上にはスライドブロック11が備えられ、移動部材2上のスライド溝12内において上下にスライドし、移動部材2は点火機構内において上下にスライドする。エネルギー蓄積部品5は圧縮ばねであり、エネルギー蓄積部品5の上端は移動部材2に反発し、下端は駆動体1に反発し、点火機構内に固定され、かつ弾性変形する阻止部材3は駆動体1の下方に位置し、リセット部材15は圧縮ばねであり、リセット部材15は移動部材2に反発する。
【0035】
手19で移動部材2を押す時には(
図2を参照のこと)、移動部材2は下方に向かってスライドし、かつエネルギー蓄積部品5を押し出すことによってその蓄積エネルギーを圧縮し、阻止部材3は駆動体1を阻止して駆動体1を下方に移動できなくすると同時に、移動部材2上の斜面17は駆動体1を押圧して弾性変形させ、駆動体1上の発動部8が駆動輪4側に向かって接近し、移動部材2がリセット部材15を同時に押し出すことによって、その蓄積エネルギーを圧縮する。
【0036】
手19で移動部材2を押し続ける時には(
図3を参照のこと)、移動部材2上のガスコントロールレバー押圧部14がガスコントロールレバー10を押さえ付け、ガスコントロールレバー10が回転してガスバルブ16を開放することで、燃料ガスが放出され始める。また、移動部材2がデフォルトの位置に至るまで下方移動する時には、移動部材2上の阻止部材の押圧部13が阻止部材3を押圧弾性変形させることで、阻止部材3が駆動体1を阻止することを停止し、エネルギー蓄積部品5が突発的にエネルギーを放出し、駆動体1を押して下方に移動させ、駆動体1上の発動部8が駆動輪4を動かして回転させ、この時、回転式やすり6は同時に回転し、かつフリント9を摩擦して火花を生じさせ、火花が燃料ガスに引火する。
【0037】
駆動体1上のスライドブロック11がスライド溝12内の滑落できる最も遠い点までスライドする時(
図4を参照のこと)、エネルギー蓄積部品5がエネルギーを放出し終え、駆動体1と移動部材2の間の相対的な位置はライターに如何なる外力も加えられていない時と同一となり、駆動体1は移動部材2によって押圧されたことで生じた弾性変形から元の形状に復帰し、発動部8は駆動輪4側から離れる。
【0038】
手19で移動部材2を押さえるのを停止した時には、リセット部材15は移動部材2を押して上方に向かってスライドさせ、駆動体1は同時に上方に向かって移動し、かつ駆動輪4に接触することなく、全ての部品がリセットされ、ガスバルブ16は燃料ガスの放出を停止し、火炎が消滅する(
図1を参照のこと)。
【0039】
実施例2
図5に示す通り、本実施例の操作原理は実施例1とほぼ同様である。
【0040】
しかし、実施例1と以下の点において異なる。
1)駆動体1は二つの部材から構成され、かつ回転軸21を通じて連結される。
2)有るブロッカー22が点火機構内に固定される。
3)駆動輪4はギアであるが、平歯ギアではない。
4)手19で移動部材2を押さえるプロセスにおいて、移動部材2が駆動体1を押し出すことによって発動部8は回転軸21の周りを回転し、発動部8が駆動輪4側に接近する(
図6を参照のこと)。またエネルギー蓄積部品5がエネルギーを放出し、駆動体1上のスライドブロック11を押して、スライド溝12内の滑落できる最も遠い点までスライドさせる時に、駆動体1がブロッカー22によって阻止されることで発動部8が回転軸21の周りを回転し、発動部8が駆動輪4側を離れる(
図7を参照のこと)。
また、リセットするプロセスにおいて、発動部8は実施例1と同じく駆動輪4に接触することはない。
【0041】
実施例3
図8に示す通り、本実施例の操作原理と実施例2の主な相違点は以下の通りである。
1)駆動体1の二つの部材間の回転範囲が限定的である。
2)実施例2のブロッカー22が存在しない。
3)駆動輪4はラチェットギアであり、発動部8はラチェットギアを動かして回転させるラチェット爪である。
4)リセットのプロセスにおいて、発動部8が駆動輪4に接触し、直ちに回転軸21の周りを回転することで、駆動輪4による阻止を回避する。
その他については、いずれも実施例2と同様である。
【0042】
実施例4
図9に示す通り、本実施例と実施例1の主な相違点は以下の通りである。
1)発動部8は一個以上の駆動輪4と噛合する歯ではなく、駆動輪4との接触面が平面であって、材質がゴム、シリコンゴム又はその他適切な弾性材質の部品である。駆動体1の発動部8以外の部分は発動部8の材質とは異なるプラスチック部品である。
2)発動部8は摩擦力によって駆動輪4を回転させる。
3)駆動輪4は平歯ギアではない。
4)駆動体1上の移動部材2との接触面に弧状面20を有する。
その他の操作原理及びプロセスは実施例1と同様である。
【0043】
実施例5
図10に示す通り、本実施例と実施例4の相違点は以下の通りである。
1)回転式やすり6と駆動輪4が一体成型され、かつ全体的な外部形状と全体的な構造は通常の回転やすりと異ならない(
図11を参照のこと)。更に
図12に示す通り、図中に示される回転式やすりは通常の回転式やすりのように見えるが、実際は図中の破線の左側が駆動輪4であり、破線の右側が回転式やすり6であって、二者が一体成型され、かつ全体的な外部形状と全体的な構造と通常の回転やすりと異ならない。
2)駆動体1が一体成型され、材質はゴム、シリコンゴム又はその他適切な弾性材質である。
3)発動部8が駆動輪4を動かして回転させる時に回転式やすり6も動かして回転させる。
その他についてはいずれも実施例4と同様である。
【0044】
実施例6
図13に示す通り、本実施例の操作原理と実施例1の相違点は以下の通りである。
1)点火機構内に固定された阻止部材3は弾性変形しない。
2)駆動体1上に阻止部材3に抵抗される、弾性変形する弾性部23が備えられる。
3)移動部材2上に弾性部の押圧部24が備えられる。
4)移動部材2上に阻止部材の押圧部13が備えられていない。
5)手19で移動部材2を押さえる時に、移動部材2上の弾性部の押圧部24が弾性部23を押圧して弾性変形させることによって、駆動体1が阻止部材3による阻止を回避し、エネルギー蓄積部品5からエネルギーを放出させ、駆動体1を押して下方に移動させる(
図14を参照のこと)。リセット後、弾性部23は弾性変形から元の形状に復帰する(
図13を参照のこと)。
その他の原理はいずれも実施例1と同様である。
【0045】
実施例7
図15に示す通り、この俯瞰図が示すのは点火機構に如何なる外力も加えられていない時の発動部8、回転式やすり6と駆動輪4という三者の間の位置関係である。本実施例では上記全ての実施例において言及される移動部材2が駆動体1を押し出すことによって発動部8が駆動輪4に接近するという方式以外にも、更に発動部8が回転式やすり6に近接する側から駆動輪4に近接する側に移動する方式としても良い(
図16を参照のこと)ことを説明するものである。
【0046】
実施例8
図17に示す通り、この俯瞰図が示すのは点火機構に如何なる外力も加えられていない時の発動部8、回転式やすり6と駆動輪4という三者の間の位置関係である。本実施例では、上記全ての実施例において言及される移動部材2が駆動体1を押し出すことによって発動部8が駆動輪4に接近するという方式以外にも、更に発動部8が駆動輪4より離れた位置から移動部材2の移動方向を軸として駆動輪4に近接する位置に回転移動する方式としても良い(
図18を参照のこと)ことを説明するものである。
【0047】
実施例9
図19、20、21に示す通り、駆動体1と、移動部材2と、エネルギー蓄積部品5と、リセット部材15と、フレーム25と、駆動輪4と、回転式やすり6と、輪軸7と、フリント9と、フリント用スプリング26から構成される点火機構とガスコントロールレバー10によって組立部品27が構成される。
【0048】
更に、駆動輪4と輪軸7が一体成型され、阻止部材3がフレーム25上に位置する。
本実施例の構造原理は実施例1と同様である。
また、組立部品27はガスコントロールレバー10を含まなくとも良い。
【0049】
実施例10
図22に示す通り、組立部品27と、部品、即ち、プッシュボタン28と、ウインドシールド29と、ハウジング30と、ガスバルブ16と、ボトムカバー31等の部品が組み合され、その後、燃料を充填することで完成品のライターとなる(
図23を参照のこと)。
本実施例は組立部品27の応用について説明するに留まるものであり、ライターの部品、構造と類型が本実施例に限定されるものではない。
【0050】
実施例11
図2に示す通り、エネルギー蓄積部品5及び(又は)リセット部材15の弾力は非常に大きいことから、児童は移動部材2をデフォルトの火花が生じる位置まで押し下げることができず、ライターが点火することもない。この設定は児童が容易に点火できないようにするためのものである。
【0051】
また
図24に示す通り、図中のライターは実施例10におけるライターであって、組立部品27中のエネルギー蓄積部品5及び(又は)リセット部材15の弾力は非常に大きいことから、児童がプッシュボタン28を押したとしても、移動部材2がデフォルトの火花が生じる置まで下方移動することはなく、ライターが点火することもない。この設定もまた児童が容易に点火できないようにするためのものである。
【0052】
実施例12
図25に示す通り、駆動輪4と回転式やすり6は一体成型され、かつスレッドライン32が彫られておらず、点火用やすりの歯33が刻まれていないホイールブランクは冷間圧造技術のみを用いて製造され、その後、輪軸にスレッドライン32が彫られ(
図26を参照のこと)、点火用やすりの歯33が刻まれ、最後に熱処理等の工程が完了し、製品(
図27を参照のこと)が製造される。
【0053】
実施例13
図28に示す通り、回転式やすり6、駆動輪4と輪軸7は一体成型される。駆動輪4の外径は回転式やすり6の外径より大きくても、小さくても(
図29を参照のこと)、又は同一サイズであっても良く、更には駆動輪4と回転式やすり6の外形が一体となっていても良い(
図30を参照のこと)。
【0054】
本発明では上述の通り好適な実施例を開示したが、これにより本発明の実施の範囲が限定されるものではない。本分野の通常の技術者ならば、本発明の範囲を逸脱することなく、様々な改善を加えることが可能であり、本発明に基づく同等の改善は、本発明の範囲に含まれるべきである。