(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、車載器を用いて車両を管理する車両管理システムにおいて、車両のバッテリーの消耗を低減しながら車両を管理するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一の観点では、車両に搭載される車載器が提供される。当該車載器は、該車載器の位置を特定する位置特定部と、演算装置と、外部装置と無線通信を行う機能を有する無線通信部とを具備する。演算装置は、通常動作を開始した後、位置特定部によって特定された車載器の位置を示す車両位置情報を生成し、車両位置情報を無線通信部によって外部装置に送信するように構成されている。演算装置は、車両が停止したことを検出すると、車両が停止したことを示す車両停止情報を無線通信部によって外部装置に送信すると共に、車両停止情報の送信の後、車載器を消費電力が低い状態に移行させるように構成されている。
【0011】
演算装置は、車両のアクセサリ電源ラインの電圧レベルに基づいて車両が停止したことを検出するように構成されることが好ましい。
【0012】
一実施形態では、演算装置は、車両停止情報に応答して生成された確認完了情報が外部装置から無線通信部に送られたとき、無線通信部を介して確認完了情報を受け取るように構成される。この場合、確認完了情報を受け取った後、車載器を消費電力が低い状態に移行させるように構成されていることが好ましい。
【0013】
演算装置は、車両停止情報の送信の後、所定時間内に確認完了情報を受信しなかった場合に、車両停止情報を無線通信部によって外部装置に再送することが好ましい。この場合、演算装置は、確認完了情報を受信しなかった場合、車両停止情報の再送を繰り返して行うことが好ましい。
【0014】
当該車載器が、更に、車両のバッテリーから電源電圧の供給を受けるバッテリーラインと、演算装置の間に接続されたスイッチを具備し、通常動作が行われている間、演算装置には、スイッチを介してバッテリーラインから電源電圧が供給されてもよい。この場合、演算装置は、車両停止情報の送信の後、スイッチをオフ状態にすることにより、車載器を消費電力が低い状態に移行させることが好ましい。
【0015】
また、当該車載器が、更に、車両のバッテリーから電源電圧の供給を受けるバッテリーラインと、演算装置の間に接続されたスイッチを具備し、スイッチは、アクセサリ電源ラインの電圧レベルが電源電圧に設定されるとオン状態に設定され、且つ、スイッチがオン状態に設定されることにより、演算装置への電源電圧の供給が開始されてもよい。演算装置は、電源電圧の供給が開始されると通常動作を開始する。この場合、演算装置は、車両停止情報の送信の後、スイッチをオフ状態にすることにより、車載器を消費電力が低い状態に移行させることが好ましい。
【0016】
本発明の他の観点では、車両に搭載される車載器が提供される。当該車載器は、車載器の位置を特定する位置特定部と、演算装置と、外部装置と無線通信を行う機能を有する無線通信部とを具備する。演算装置は、通常動作を開始した後、車載器の位置を示す車両位置情報を生成するように構成されている。演算装置は、車両のアクセサリ電源ラインの電圧レベルに基づいて車両が停止したことを検出し、車両が停止したことを検出すると、車両停止情報を外部装置に送信し、車両停止情報の送信の後、車載器を消費電力が低い状態に移行させるように構成されている。
【0017】
本発明の更に他の観点では、車両管理システムが、車両に搭載される車載器と、ホストコンピュータとを具備する。車載器は、当該車載器の位置を特定する位置特定部と、演算装置と、ホストコンピュータと無線通信を行う機能を有する無線通信部とを備えている。演算装置は、通常動作を開始した後、位置特定部によって特定された車載器の位置を示す車両位置情報を生成し、車両位置情報を無線通信部を介してホストコンピュータに送信するように構成されている。ホストコンピュータは、車両位置情報を受け取ると、車両位置情報に示されている車載器の位置をデータベースに保存する。演算装置は、車両が停止したことを検出すると、車両が停止したことを示す車両停止情報を無線通信部を介してホストコンピュータに送信すると共に、車両停止情報の送信の後、車載器を消費電力が低い状態に移行させるように構成されている。ホストコンピュータは、車両停止情報を受け取ると、車両が停止していることを示すデータをデータベースに保存する。
【0018】
ホストコンピュータが、車両停止情報を受け取ったときに確認完了情報を車載器に送信するように構成されている場合、車載器の演算装置は、無線通信部を介して確認完了情報を受け取った後、車載器を消費電力が低い状態に移行させるように構成されることが好ましい。ホストコンピュータから車載器への確認完了情報の送信は、中継局を介して行われても良く、また、通信方式によっては、中継局がなくてもよい。
【0019】
本発明の更に他の観点では、車両に搭載される車載器の演算装置に実行されるプログラムが提供される。該プログラムは、演算装置が通常動作を開始した後、車載器に含まれる位置特定部によって特定された車載器の位置を示す車両位置情報を生成し、車両位置情報を車載器に含まれる無線通信部によって外部装置に送信するステップと、車両が停止したことを検出すると、車両が停止したことを示す車両停止情報を無線通信部によって外部装置に送信するステップと、車両停止情報の送信の後、車載器を消費電力が低い状態に移行させるステップとを該演算装置に実行させる。
【0020】
本発明の更に他の観点では、車両に搭載される車載器と、ホストコンピュータとを備えた車両管理システムにおいて実行される車両管理方法が提供される。当該車両管理方法は、車載器の演算装置が通常動作を開始した後、演算装置により、車載器に含まれる位置特定部によって特定された車載器の位置を示す車両位置情報を生成し、車両位置情報をホストコンピュータに送信するステップと、車両位置情報に示されている車載器の位置をホストコンピュータのデータベースに保存するステップと、車両が停止したことを検出するステップと、車両が停止したことを検出したとき、車両が停止したことを示す車両停止情報を無線通信部を介してホストコンピュータに送信するステップと、車両停止情報の送信の後、車載器を消費電力が低い状態に移行させるステップと、ホストコンピュータにおいて、車両停止情報に応答して、車両が停止していることを示すデータをデータベースに保存するステップとを具備する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、車載器を用いて車両を管理する車両管理システムにおいて、車両のバッテリーの消耗を低減しながら車両を管理するための技術が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
第1の実施形態:
図1は、本発明の第1の実施形態における車両管理システムの全体構成を示す概念図である。本実施形態の車両管理システムは、カーシェアリングに供される電気自動車5の管理を行うように構成されている。具体的には、本実施形態の車両管理システムは、電気自動車5に搭載される車載器1と、車載器1と無線による通信を行う中継局2と、EV管理センターに設けられるホストコンピュータ3とを備えている。ホストコンピュータ3は、ネットワーク4を介して中継局2に接続されている。
【0024】
車載器1とホストコンピュータ3とは、中継局2及びネットワーク4を介して互いに通信可能である。車載器1は、GPS衛星6から送られてくる電波を用いて電気自動車5の位置を測定し、電気自動車5の位置を示す車両位置情報をホストコンピュータ3に送る機能を有している。後述されるように、この車両位置情報が、電気自動車5の管理に利用される。
【0025】
図2は、電気自動車5の電気系統の構成を部分的に示す図である。電気自動車5の電気系統は、バッテリー11と、接地ライン12と、バッテリーライン13と、アクセサリ電源ライン(以下、「ACCライン」という。)14と、EV制御システム15とを備えている。バッテリー11は、所定の電源電圧(典型的には12V)を生成し、バッテリーライン13に供給する。バッテリー11の負極端子は接地ライン12に接続されており、よって、接地ライン12とバッテリーライン13との間の電圧は、電源電圧と同じである。ACCライン14は、電装品16(例えば、パワーウインドウ、電動格納ミラー等)その他のアクセサリ装置に電源電圧を供給するための電源ラインである。EV制御システム15は、アクセスペダルや変速レバーの操作に応答して駆動輪19を駆動するモータ18その他の運転に使用される装置を制御し、これにより、電気自動車5の走行を制御する制御装置である。ここで、本実施形態では、上述の車載器1が、バッテリーライン13とACCライン14の両方に接続されることに留意されたい。
【0026】
キースイッチ17は、電気自動車5のキーが差し込まれて操作されるスイッチであり、4つのポジション:OFFポジション、ACCポジション、ONポジション(又はIGNポジションとも呼ばれる)、STポジションを有している。
【0027】
OFFポジションでは、図示されない時計やキーレスエントリ装置などの無停止装置(バッテリーライン13から直接に電力の供給を受ける装置)以外の装置への電源電圧の供給が停止される。即ち、キースイッチ17がOFFポジションに設定されると、ACCライン14は、バッテリーライン13から電気的に切り離される。
【0028】
ACCポジションでは、ACCライン14がキースイッチ17を介してバッテリーライン13に接続され、ACCライン14にバッテリーライン13から電源電圧が供給される。これにより、ACCライン14からアクササリ装置への電源電圧の供給も行われる。ただし、バッテリーライン13からEV制御システム15への電源電圧の供給は行われない。
【0029】
ONポジションでは、アクササリ装置への電源電圧の供給に加え、EV制御システム15を含む電気自動車5の運転に必要な全ての装置に、バッテリーライン13から電源電圧が供給される。詳細には、ACCライン14が、キースイッチ17を介してバッテリーライン13に接続されてACCライン14に電源電圧が供給されると共に、バッテリーライン13からキースイッチ17を介してEV制御システム15に電源電圧が供給される。
【0030】
STポジションでは、電気自動車5の運転に必要な全ての装置への電源電圧の供給が行われるとともに、電気自動車5の始動のための動作が行われる。EV制御システム15は、キースイッチ17がSTポジションに設定されたことを検出すると、電気自動車5の始動のための動作を行う。
【0031】
図3は、車載器1の構成を概略的に示すブロック図である。車載器1は、GPS受信装置21と、無線通信インターフェース22と、表示装置23と、記憶装置24と、演算装置25と、車載器スイッチ26とを備えている。GPS受信装置21は、GPS衛星6からの電波を受信し、車載器1の位置(即ち、電気自動車5の位置)を検出する位置特定部として機能する。無線通信インターフェース22は、外部装置、具体的には、中継局2と無線通信を行う無線通信部として機能する。表示装置23は、ユーザに様々な情報を表示するユーザインターフェースとして使用される。記憶装置24は、車載器1の動作に必要な様々な情報を記憶する。
【0032】
演算装置25は、車載器1の動作における様々なデータ処理を行う。例えば、演算装置25は、GPS受信装置21によって特定された車載器1の位置を示す車両位置情報を生成し、生成した車両位置情報を無線通信インターフェース22を利用してホストコンピュータ3に送信する。
【0033】
加えて、後述されるように、演算装置25は、ACCライン14をモニタして電気自動車5の停止を検出する機能も有している。ACCライン14が接地レベルGNDに戻ることは、キースイッチ17がOFFポジションに戻ったことを意味しており、これは、電気自動車5が停止したことを意味している。ACCライン14をモニタすることで、電気自動車5の停止を確実に検出することができる。演算装置25は、電気自動車5の停止を検出すると、電気自動車5が停止したことを示す車両停止情報を生成し、生成した車両停止情報を無線通信インターフェース22を介して中継局2に送信する。
【0034】
上述の演算装置25の動作は、記憶装置24に記憶されたプログラムを演算装置25で実行することにより実現されてもよい。演算装置25としては、例えばCPU(central processing unit)が使用され得る。
【0035】
車載器スイッチ26は、バッテリーライン13から車載器1の各機器(例えば、GPS受信装置21、無線通信インターフェース22、表示装置23、記憶装置24及び演算装置25)への電源電圧の供給を制御するスイッチである。車載器スイッチ26は、ACCライン14の電圧レベル、及び、演算装置25からの制御信号27に応答して動作する。本実施形態では、車載器スイッチ26はACCライン14の電圧レベルをモニタする機能を有しており、該電圧レベルに応答してオンするように構成されている。また、車載器スイッチ26は、演算装置25からの制御信号27に応答してオフするようにも構成されている。
【0036】
図4は、ホストコンピュータ3の構成を示すブロック図である。ホストコンピュータ3は、通信インターフェース31と、記憶装置32と、演算装置33とを備えている。通信インターフェース31は、中継局2と通信する機能を有している。記憶装置32は、ホストコンピュータ3の動作に必要な様々な情報、例えば、EV管理データベース34を記憶する。ここで、EV管理データベース34とは、各電気自動車5の状況を管理するために使用されるデータベースである(詳細は後述する)。演算装置33は、ホストコンピュータ3における様々なデータ処理を行う。例えば、演算装置33は、車載器1から送られてくる車両位置情報及び車両停止情報をEV管理データベース34に保存する。このような演算装置33の動作は、記憶装置32に記憶されたプログラムを演算装置33で実行することにより実現されてもよい。演算装置33としては、例えばCPU(central processing unit)が使用され得る。
【0037】
図5は、ホストコンピュータ3の記憶装置32に記憶されるEV管理データベース34の内容を概念的に示す図である。EV管理データベース34には、各電気自動車5を識別する車両IDと、各電気自動車5の位置を示す車両位置データと、各電気自動車5の状態を示す車両状態データとが、互いに関連付けられて記憶されている。車両位置データは、車載器1から送られてくる車両位置情報に基づいて生成され、車両状態データは、車載器1から送られてくる車両停止情報に基づいて生成される。
【0038】
続いて、本実施形態における車両管理システムの動作、特に、車載器1の動作について説明する。本実施形態の車載器1は、概略的には、下記のように動作する。車載器1は、電気自動車5の走行中においては、各電気自動車5の位置を示す車両位置情報をホストコンピュータ3に送信する。この車両位置情報により、ホストコンピュータ3は、各電気自動車5の位置を把握することができる。
【0039】
加えて、電気自動車5が停止したことを検出すると、車載器1は、電気自動車5が停止したことを示す車両停止情報をホストコンピュータ3に送信する。ホストコンピュータ3は、車両停止情報を受け取った後は、車載器1から車両位置情報を受け取らなくても、
電気自動車5が最新の車両位置情報(又は、車両停止情報に含まれる電気自動車5の位置の情報)に示されている位置に、停止していることを把握することができる。
【0040】
車両停止情報を送信した後、車載器1は、通常動作中に比べて消費電力が低い状態に移行する。本実施形態では、車両停止情報を送信した後で車載器スイッチ26がオフ状態にされ、車載器1の各機器への電源電圧の供給が遮断される。これにより、バッテリー11の消耗を抑制することができる。
【0041】
ここで、本実施形態では、ACCライン14の電圧レベルに基づいて、電気自動車5が停止したことが検出される。ACCライン14の電圧レベルが接地レベルGND又はその近傍にあることは、キースイッチ17がOFFポジションにあること、即ち、電気自動車5が停止しており、当面停止した状態を維持する蓋然性が高いことを意味している。ACCライン14の電圧レベルによって電気自動車5が停止したことを検出し、更に、電気自動車5が停止したことを示す車両停止情報をホストコンピュータ3に送信することで、電気自動車5が確実に停止した位置をホストコンピュータ3で管理することが可能になる。以下、本実施形態における車両管理システムの動作について詳細に説明する。
【0042】
図6は、本実施形態における車載器1及びホストコンピュータ3の動作を示すタイミングチャートである。初期状態においては、キースイッチ17がOFFポジションに設定されているとする。キースイッチ17がOFFポジションに設定されることは、一般には、電気自動車5が停止していることを意味している。例えば、電気自動車5が駐車場に駐車している場合には、キースイッチ17がOFFポジションに設定されることが多い。キースイッチ17がOFFポジションに設定されると、ACCライン14は、バッテリーライン13から電気的に切り離され、よってACCライン14は接地レベルGNDに設定される。
【0043】
ここで、本実施形態では、常時、バッテリーライン13から車載器1に電源電圧(典型的には12V)が供給される。ただし、初期状態では、車載器スイッチ26はオフ状態に設定され、電源電圧が車載器1の各機器には供給されていないとする。よって、車載器1の演算装置25は動作しない状態になっている。
【0044】
その後、キースイッチ17がACCポジション、ONポジション、STポジションのいずれかに設定されたとする。キースイッチ17がACCポジション、ONポジション、STポジションのいずれかに設定されることは、一般には、電気自動車5のユーザによる捜査、又は、電気自動車5の運転が開始されることを意味していることに留意されたい。キースイッチ17がACCポジション、ONポジション、STポジションのいずれかに設定されると、バッテリーライン13からACCライン14への電源電圧の供給が開始され、ACCライン14が電源電圧に設定される。
【0045】
車載器スイッチ26は、ACCライン14が電源電圧に設定されたことに応答してオン状態に設定される(
図6の動作(1))。詳細には、車載器スイッチ26は、ACCライン14の電圧レベルが(電源電圧よりもやや低い)所定の電圧レベルを超えたとき、ACCライン14が電源電圧に設定されたと判断し、オン状態に移行する。車載器スイッチ26がオン状態になると、電源電圧が車載器1の各機器(例えば、GPS受信装置21、無線通信インターフェース22、表示装置23、記憶装置24及び演算装置25)に供給され始め、各機器は通常動作を開始する。このとき、演算装置25も通常動作を開始することに留意されたい。
【0046】
車載器1の各機器は、電源電圧が供給され始めた後、下記のように動作する。GPS受信装置21は、GPS衛星6から受け取った電波から車載器1の位置(即ち、電気自動車5の位置)を特定し、特定した車載器1の位置を示すデータを演算装置25に送る。演算装置25は、該電気自動車5に割り振られた車両IDと、特定された車載器1の位置を示すデータとを含む車両位置情報を、無線通信インターフェース22を介して中継局2に送信する。このとき、車両位置情報は、電気自動車5が移動可能な状態になったことを示す情報を含んでいてもよい。中継局2に送られた車両位置情報は、ネットワーク4を介してEV管理センターのホストコンピュータ3に送信される。
【0047】
ホストコンピュータ3は、車両位置情報を受け取ると、EV管理データベース34を書き換える。詳細には、ホストコンピュータ3は、車両位置情報に記述された車両IDに対応する車両位置データとして、車両位置情報に記述された電気自動車5の位置を保存する。加えて、ホストコンピュータ3は、車両位置情報に記述された車両IDに対応する車両状況データを、電気自動車5が移動し得る状態にあることを示すデータに書き換える。例えば、
図5では、電気自動車5が移動し得る状態にあることを示すデータは、「移動中」という文言で図示されている。
【0048】
車両位置情報のホストコンピュータ3への送信は、ACCライン14が電源電圧に設定されている限り(言い換えれば、電気自動車5が移動し得る状態にある限り)、適宜の時間間隔で継続して行われる。
【0049】
その後、キースイッチ17が、再び、OFFポジションに戻されたとする。キースイッチ17がOFFポジションに設定されることは、一般には、ユーザが電気自動車5を停止させ、電気自動車5の操作を終了したことを意味している。
【0050】
キースイッチ17がOFFポジションに戻されると、ACCライン14は、バッテリーライン13から電気的に切り離され、よってACCライン14は接地レベルGNDに戻る。ACCライン14が接地レベルGNDに戻ったことを検出すると、演算装置25は、該電気自動車5に割り振られた車両IDを含む車両停止情報を生成する(
図6の動作(2))。
【0051】
詳細には、演算装置25は、ACCライン14の電圧レベルが(接地レベルGNDよりもやや高い)所定の電圧レベルよりも低くなった場合、ACCライン14が接地レベルGNDに戻ったと判断する。ACCライン14が接地レベルGNDに戻ったことは、電気自動車5が停止したことを意味している。演算装置25は、ACCライン14の電圧レベルから電気自動車5が停止したことを検出すると、該電気自動車5に割り振られた車両IDを含む車両停止情報を生成し、生成した車両停止情報を、無線通信インターフェース22を介して中継局2に送信する。このとき、車両停止情報は、GPS受信装置21によって特定された電気自動車5の位置を含んでいてもよい。車両停止情報に記述された電気自動車5の位置は、電気自動車5が停止した位置を示している。中継局2に送られた車両停止情報は、ネットワーク4を介してEV管理センターのホストコンピュータ3に送信される。
【0052】
ホストコンピュータ3は、車両停止情報を受け取ると、EV管理データベース34を書き換える。詳細には、ホストコンピュータ3は、車両停止情報に記述された車両IDに対応する車両状態データを、電気自動車5が停止した状態にあることを示すデータに書き換える。例えば、
図5では、電気自動車5が停止した状態にあることを示すデータは、「停止」という文言で図示されている。加えて、ホストコンピュータ3は、受け取った車両停止情報が電気自動車5の位置を含んでいる場合、車両停止情報に記述された車両IDに対応する車両位置データとして、車両停止情報に記述された電気自動車5の位置を保存する。
【0053】
車両停止情報をホストコンピュータ3に送信した後、演算装置25は、制御信号27により、車載器スイッチ26をオフ状態にする。これにより、車載器1の各機器に電源電圧が供給されない状態になり、以後、車載器1の各機器は動作を停止する。これにより、車載器1の各機器によってバッテリー11に蓄えられた電力が消費されることを防ぐことができる。
【0054】
以上に説明されているように、本実施形態では、電気自動車5が移動中においては、車両位置情報が車載器1からホストコンピュータ3に逐次に送信される。これにより、車載器1の位置、即ち、電気自動車5の位置をホストコンピュータ3で管理することができる。更に、電気自動車5が停止したことが検出されると、車両停止情報が車載器1からホストコンピュータ3に送信され、車両停止情報がホストコンピュータ3に送られた後、車載器1が、消費電力が低い状態(本実施形態では、車載器1の各機器に電源電圧が供給されない状態)に移行する。これにより、ホストコンピュータ3では、電気自動車5が確実に停止した位置を把握できる一方で、電気自動車5では、バッテリー11の消耗を抑制することができる。
【0055】
第2の実施形態:
図7及び
図8は、第2の実施形態における車載器1及びホストコンピュータ3の動作を示すタイミングチャートである。なお、第2の実施形態における車載器1及びホストコンピュータ3の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0056】
第2の実施形態においても、ACCライン14が電源電圧に設定されたことに応答して車載器スイッチ26がオン状態に設定され(
図7の動作(1))、電源電圧が車載器1の各機器(例えば、GPS受信装置21、無線通信インターフェース22、表示装置23、記憶装置24及び演算装置25)に供給され始める。これにより、車載器1の各機器は通常動作を開始する。その後、演算装置25は、車載器1の位置(即ち、電気自動車5の位置)を示す車両位置情報を適宜の時間間隔でホストコンピュータ3に送信する。更に、ACCライン14の電圧レベルから電気自動車5が停止したことが検出されると、車両停止情報が車載器1からホストコンピュータ3に送信される(
図7の動作(2))。
【0057】
ここで、第2の実施形態では、ホストコンピュータ3は車両停止情報が送られた後、ホストコンピュータ3は、車両停止情報を受け取ったことを示す確認完了情報をネットワーク4及び中継局2を介して車載器1に送信する。車載器1の演算装置25は、確認完了情報を受け取った後、制御信号27により、車載器スイッチ26をオフ状態にする(
図7の動作(3))。これにより、車載器1の各機器に電源電圧が供給されない状態になり、車載器1の各機器の動作が停止する。これにより、車載器1の各機器によってバッテリー11に蓄えられた電力が消費されることを防ぐことができる。
【0058】
このような動作では、ホストコンピュータ3に車両停止情報が到達したことが確認された後で車載器1の動作が停止されるので、電気自動車5の管理の確実性が向上される。
【0059】
ここで、
図8に図示されているように、車載器1とホストコンピュータ3の間の通信の失敗により車載器1が確認完了情報を受信できなかった場合、演算装置25は、車両停止情報を再送してもよい。車載器1とホストコンピュータ3の間の通信の失敗は、例えば、無線通信インターフェース22と中継局2の間の無線通信の回線状態が劣悪である場合に起こり得る。
図8では、車両停止情報が車載器1からホストコンピュータ3に到達した後、ホストコンピュータ3から車載器1への確認完了情報の通信に失敗している動作が図示されている。ただし、車載器1からホストコンピュータ3への車両停止情報の通信が失敗した場合も、同様に、車載器1が確認完了情報を受信できないことに留意されたい。
【0060】
一実施形態では、車両停止情報を送信した後、所定時間内に確認完了情報を受信しなかった場合に、車載器1の演算装置25は、ホストコンピュータ3に車両停止情報を再送する。車両停止情報の再送は、繰り返し行われても良い。この場合、再送の回数に上限が設けられる、即ち、再送の回数が所定の上限値以下に制限されてもよい。また、最初の車両停止情報の送信の後、一定期間が経過するまで再送が行われてもよい。車両停止情報の再送の後、車載器1がホストコンピュータ3から確認完了情報を受信した場合、演算装置25は、制御信号27により、車載器スイッチ26をオフ状態にする。
【0061】
このとき、車両停止情報の再送が上限の回数だけ行われても、又は、最初の車両停止情報の送信の後、一定期間が経過した後も車載器1が確認完了情報を受信しなかった場合、車載器1は、警告を発しても良い。この警告は、例えば、車載器1の特定のメッセージ(例えば、「電波状態の良い場所まで移動してください」といったメッセージ)を表示装置23に表示すると共に、車載器1に設けられたスピーカ(図示されない)によってメッセージ音を発生することによって行われても良い。これにより、車載器1からホストコンピュータ3への車両停止情報が送信されない場合に、ユーザに電気自動車5を電波状態がよい場所に移動させることを促すことができる。これは、電気自動車5の確実な管理に寄与する。
【0062】
第3の実施形態:
図9は、第3の実施形態における車載器1の構成の例を示している。上述の第1及び第2の実施形態では、車両停止情報を送信した後、又は、確認完了情報を受信した後、車載器スイッチ26をオフ状態にすることにより、車載器1が、消費電力が低い状態に移行されている。一方、第3の実施形態では、消費電力が低い状態において、車載器1の動作は完全に停止されない。本実施形態では、車両停止情報を送信した後、又は、確認完了情報を受信した後において演算装置25がスリープモード(即ち、消費電力が低い動作モード)に移行することで、車載器1が、消費電力が低い状態に移行される。
【0063】
図9に図示されているように、第3の実施形態の車載器1の構成は、
図3に図示されている第1及び第2の実施形態の車載器1の構成と類似しているが、下記の点で相違している。より具体的には、第3の実施形態においては、演算装置25には、電源電圧がバッテリーライン13から常時供給される。また、車載器スイッチ26は、ACCライン14の電圧レベルをモニタする機能を有していない。車載器スイッチ26は、演算装置25から供給される制御信号27に応答して動作する。その代わり、演算装置25は、スリープモードに設定された場合でも、ACCライン14の電圧レベルをモニタする機能を有している。演算装置25は、ACCライン14の電圧レベルに応答して、車載器スイッチ26をオンオフする。車載器スイッチ26のオンオフは、制御信号27によって行われる。
【0064】
図10は、第3の実施形態における車載器1の動作を示すタイミングチャートである。初期状態においては、キースイッチ17がOFFポジションに設定されているとする。キースイッチ17がOFFポジションに設定されると、ACCライン14は、バッテリーライン13から電気的に切り離され、よってACCライン14は接地レベルGNDに設定される。
【0065】
一方で、車載器1には、バッテリーライン13から電源電圧(典型的には12V)が供給される。ただし、初期状態では、車載器スイッチ26はオフ状態に設定されている。即ち、電源電圧は、演算装置25にのみ供給され車載器1の他の機器には供給されていないとする。演算装置25は、初期状態では、スリープモードに設定され、低い消費電力で動作している。
【0066】
その後、キースイッチ17がACCポジション、ONポジション、STポジションのいずれかに設定されたとする。キースイッチ17がACCポジション、ONポジション、STポジションのいずれかに設定されることは、一般には、電気自動車5がユーザによって操作され、又は運転されていることを意味していることに留意されたい。キースイッチ17がACCポジション、ONポジション、STポジションのいずれかに設定されると、バッテリーライン13からACCライン14への電源電圧の供給が開始され、ACCライン14が電源電圧に設定される。
【0067】
演算装置25は、ACCライン14が電源電圧に設定されたことを検知すると、通常動作を開始すると共に制御信号27により車載器スイッチ26をオン状態に設定する(
図10の動作(1))。車載器スイッチ26がオン状態になると、電源電圧が、車載器1の演算装置25以外の機器(例えば、GPS受信装置21、無線通信インターフェース22、表示装置23及び記憶装置24)に供給され始め、各機器は通常動作を開始する。
【0068】
通常動作を開始した後、車載器1の各機器は、下記のように動作する。GPS受信装置21は、GPS衛星6から受け取った電波から車載器1の位置(即ち、電気自動車5の位置)を特定し、特定した車載器1の位置を示すデータを演算装置25に送る。演算装置25は、該電気自動車5に割り振られた車両IDと、特定された車載器1の位置を示すデータとを含む車両位置情報を、無線通信インターフェース22を介して中継局2に送信する。このとき、車両位置情報は、電気自動車5が移動可能な状態になったことを示す情報を含んでいてもよい。中継局2に送られた車両位置情報は、ネットワーク4を介してEV管理センターのホストコンピュータ3に送信される。
【0069】
ホストコンピュータ3は、車両位置情報を受け取ると、EV管理データベース34を書き換える。詳細には、ホストコンピュータ3は、車両位置情報に記述された車両IDに対応する車両位置データとして、車両位置情報に記述された電気自動車5の位置を保存する。加えて、ホストコンピュータ3は、車両位置情報に記述された車両IDに対応する車両状況データを、電気自動車5が移動し得る状態にあることを示すデータに書き換える。
【0070】
車両位置情報のホストコンピュータ3への送信は、ACCライン14が電源電圧に設定されている限り(言い換えれば、電気自動車5が移動し得る状態にある限り)、適宜の時間間隔で継続して行われる。
【0071】
その後、キースイッチ17が、再び、OFFポジションに戻されたとする。キースイッチ17がOFFポジションに戻されると、ACCライン14は、バッテリーライン13から電気的に切り離され、よってACCライン14は接地レベルGNDに戻る。演算装置25は、ACCライン14の電圧レベルから電気自動車5が停止したことを検出すると、該電気自動車5に割り振られた車両IDを含む車両停止情報を生成し、生成した車両停止情報を、無線通信インターフェース22を介して中継局2に送信する(
図10の動作(2))。このとき、車両停止情報は、GPS受信装置21によって特定された電気自動車5の位置を含んでいてもよい。車両停止情報に記述された電気自動車5の位置は、電気自動車5が停止した位置を示している。中継局2に送られた車両停止情報は、ネットワーク4を介してEV管理センターのホストコンピュータ3に送信される。
【0072】
ホストコンピュータ3は、車両停止情報を受け取ると、EV管理データベース34を書き換える。詳細には、ホストコンピュータ3は、車両停止情報に記述された車両IDに対応する車両状態データを、電気自動車5が停止した状態にあることを示すデータに書き換える。加えて、ホストコンピュータ3は、受け取った車両停止情報が電気自動車5の位置を含んでいる場合、車両停止情報に記述された車両IDに対応する車両位置データとして、車両停止情報に記述された電気自動車5の位置を保存する。
【0073】
車両停止情報をホストコンピュータ3に送信した後、演算装置25は、制御信号27により、車載器スイッチ26をオフ状態にする。これにより、車載器1の演算装置25以外の各機器に電源電圧が供給されない状態になる。加えて、演算装置25は、スリープモードに移行する。このような動作により、車載器1の各機器によってバッテリー11に蓄えられた電力が消費されることを抑制することができる。
【0074】
上述の第3の実施形態では、演算装置25が車両停止情報を送信した後でスリープモードに移行するが、車載器1の他の機器がスリープモードを有している場合には、当該他の機器もスリープモードに移行しても良い。
【0075】
また、
図10には、確認完了情報がホストコンピュータ3から車載器1に送られない実施形態が図示されているが、
図7、
図8に図示されている動作と同様に、車載器1が確認完了情報を受信した後、演算装置25が、車載器スイッチ26をオフ状態に設定すると共に、スリープモードに移行しても良い。
【0076】
なお、上記の第1乃至第3の実施形態では、ACCライン14の電圧レベルにより、電気自動車5の停止を検出しているが、他の手段で電気自動車5の停止を検出してもよい。例えば、GPS受信装置21によって特定された電気自動車5の位置が、所定期間で変化しなかった場合に、演算装置25は、電気自動車5が停止したと判断してもよい。また、電気自動車5の、車両停止時に通常特定の動作をする各装置の操作状態(例えば、キースイッチ17に設定されたポジション、シフトレバーの位置、アクセルペダルの位置、パーキングブレーキの動作・非動作)に基づいて、電気自動車5の停止を検出してもよい。ただし、上述の実施形態のように、ACCライン14の電圧レベルに基づいて電気自動車5の停止を検出する構成は、簡便に、且つ確実に電気自動車5の停止を検出できる点で好適である。
【0077】
以上には、本発明の様々な実施形態が記載されているが、本発明は上記の実施形態に限定されない。本発明が様々な変更と共に実施され得ることは、当業者には自明的であろう。
【0078】
例えば、上記の第1乃至第3の実施形態では電気自動車を管理するための車両管理システムが提示されているが、一般的な車両においてもバッテリーの消耗の問題は当てはまるから、本発明は、電気自動車を含む車両一般に適用可能であることに留意されたい。この場合も、車載器1は、バッテリーライン13及びACCライン14の両方に接続される。