(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図示の好適な実施の形態に基づいて本発明を詳述する。
図1は本発明に係わる情報記録装置の全体構成の説明図である。
図1の装置は各種証明用のIDカード、商取引用のクレジットカードなどに画像情報を記録する。このため情報記録部Aと画像記録部(画像形成部;以下同様)Bと、これらにカードを供給するカード供給部Cが備えられている。
【0013】
[カード供給部]
装置ハウジング1にはカード供給部Cが設けられ、複数枚のカードを収納するカードカセットで構成されている。
図1に示すカードカセット3は複数のカードを立位姿勢で整列して収納し、同図左端から右端にカードを繰り出す。そしてカードカセット3の先端には分離開口7が設けられ、ピックアップローラ19で最前列のカードから装置内に供給する。
【0014】
[情報記録部の構成]
上述のカードカセット3から送られたカードK(記録媒体;以下同様)は搬入ローラ22から反転ユニットFに送られる。反転ユニットFは装置フレーム(不図示)に旋回動可能に軸受け支持されたユニットフレームと、このフレームに支持された一対、或いは複数のローラ対で構成される。
【0015】
図示のものは距離を隔てて前後に配置された2つのローラ対20、21をユニットフレームに回転自在に軸支持されている。そしてユニットフレームは旋回モータ(パルスモータなど)で所定角度方向に旋回動し、これに取付けられているローラ対は搬送モータで正逆転方向に回転するように構成されている。この駆動機構は図示しないが、1つのパルスモータでユニットフレームの旋回動と、ローラ対の回転をクラッチで切り換えるように構成しても、ユニットフレームの旋回動とローラ対の回転を別駆動に構成してもよい。
【0016】
従ってカードカセット3に準備されたカードはピックアップローラ19と分離ローラ(アイドルコロ)9で1枚ずつ分離され下流側の反転ユニットFに送られる。そして反転ユニットFはカードをローラ対20、21でユニット内に搬入し、ローラ対でニップした状態で所定角度方向に姿勢変更することとなる。
【0017】
上記反転ユニットFの旋回方向外周には、磁気記録ユニット24と、非接触式IC記録ユニット23及び接触式IC記録ユニット27と、リジェクトスタッカ25が配置されている。尚図示28はバーコードリーダであり、例えば後述する画像形成部Bで印刷したバーコードを読み取って正誤判別(エラー判別)するためのユニットである。以下これらの記録ユニットをデータ記録ユニットという。
【0018】
そこで反転ユニットFで所定の角度方向に姿勢変更されたカードをローラ対20、21で記録ユニットに移送すると、カードに磁気的若しくは電気的にデータ入力することが可能となる。またこれらのデータ入力ユニットで記録ミスが生じた場合にはリジェクトスタッカ25に搬出する。
【0019】
上記反転ユニットFの下流側には画像形成部Bが設けられ、この画像形成部Bにカードカセット3からカードを移送する搬入経路P1が設けられ、この経路P1に前述の反転ユニットFが配置されている。また、搬入経路P1にはカードを搬送する搬送ローラ(ベルトでも良い)29、30が配置され、図示しない搬送モータ(ステッピングモータ)に連結されている。この搬送ローラ29、30、は正逆転切り換え可能に構成され、反転ユニットFから画像形成部Bにカードを搬送するのと同様に画像形成部Bからカードを反転ユニットFに搬送するようになっている。
【0020】
上記画像形成部Bの下流側には収容スタッカ55にカードを移送する搬出経路P2が設けられている。搬出経路P2にはカードを搬送する搬送ローラ(ベルトでも良い)37、38が配置され、上述の搬送モータ(ステッピングモータ)に連結されている。
【0021】
尚、搬送ローラ37と搬送ローラ38の間にはデカール機構36が配置され、搬送ローラ37、38間に保持されたカード中央部を押圧することによってカール矯正する。このためデカール機構36は図示しない昇降機構(カムなど)で
図1上下方向に位置移動可能に構成されている。
【0022】
[画像形成部]
画像形成部Bは、カードの表裏面に顔写真、文字データなど画像を形成する。この画像形成部Bには転写プラテン31が設けられ、このプラテン上でカード表面に画像形成を行う。図示の装置は、転写フィルム46(中間転写フィルム)上に画像形成し、このフィルムの画像を転写プラテン31上でカード面に転写する。このため装置ハウジング1には、インクリボンカセット42と転写フィルムカセット50が装備される。
【0023】
図示のインクリボンカセット42は、昇華型インクリボンその他の熱転写インクリボン41を操出ロール43と巻取ロール44間に巻装し、装置ハウジング1に着脱可能に装着される。この巻取ロール44には図示しないワインドモータ(DCモータ)Mr1が連結されており、繰出ロール43にも同様にDCモータが連結されている。また、装置側にはサーマルヘッド40と画像形成プラテン45がインクリボン41を挟んで対向配置されている。
【0024】
上記サーマルヘッド40にはヘッドコントロール用IC74a(
図11参照)が連結され、サーマルヘッド40を熱制御するようになっている。このヘッドコントロール用IC74aは画像データに従ってサーマルヘッド40を加熱制御することによってインクリボン41を後述する転写フィルム46に画像形成する。このためサーマルヘッド40の熱制御と同期して巻取ロール44が回転し、インクリボン41を所定速度で巻き取るように構成されている。図示f1はサーマルヘッド40を冷やす為の冷却ファンである。
【0025】
一方、転写フィルムカセット50(以下「フィルムカセット」という)も装置ハウジング1に着脱可能に装着される。このフィルムカセット50に装填された転写フィルム46がプラテンローラ(画像形成プラテン)45とインクリボン41の間を走行して転写フィルム上に画像を形成する。このため転写フィルム46は供給スプール47と巻取スプール48に巻回され、この転写フィルム46は画像形成プラテン45上で形成された画像を転写プラテン31と後述する転写ローラ33の間に移送する。図示49は転写フィルム46の移送ローラであり、この移送ローラの周面にピンチローラ32aと32bが配置され、図示しない駆動モータ(ステッピングモータ)に連結されている。また、供給スプール47は図示しないDCモータMr2に連結されており、巻取スプール48も同様に図示しないDCモータに連結されている。
【0026】
また、図示34aは転写プラテン31に転写フィルム46を案内するガイドコロであり、図示34bは転写プラテン31を記録媒体から剥離する剥離コロ(剥離部材;以下同様)である。このガイドコロ34aと剥離コロ34bは転写プラテン31を挟んでガイドコロ34aが上流側に、剥離コロ34bが下流側に、それぞれフィルムカセット50に取付けられている。そして、転写処理時のカード搬送方向に対して剥離コロの下流側直後にはカードの転写面側を支持する支持ピン51(支持部材;以下同様)が設けられている。この支持ピン51は剥離ピン34bを支持するブラケット69に設けられており、剥離ピン34bと支持ピン51は一定の位置関係を保持している。また、ガイドコロ34aと剥離コロ34bとの間隔L1はカードKの画像形成方向(搬送方向)長さLcより短く(L1<Lc)設定されている。
【0027】
上記転写プラテン31には、転写フィルム46を挟んで転写ローラ33が対向配置されている。この転写ローラ33は転写フィルム46上に形成された画像をカードに加熱圧接して転写する。このため転写ローラ33はヒートローラで構成され、フィルムカセット50の内側から転写プラテン31に圧接・離間するように後述する転写部材昇降手段61が備えられている。転写プラテン31は搬送ローラ29、30、37及び38と同一のステッピングモータによって駆動され、転写ローラ33とカードKと中間転写フィルム46を挟持した状態でカードK(及び中間転写フィルム46)を搬送しながら転写処理を行う。尚図示Se1はインクリボン41の位置検出センサであり、図示Se2は転写フィルム46の有無検出センサであり、画像形成部Bには装置内に発生した熱を外に出す為のファンf2が設けられている。このように、サーマルヘッド40を用いて中間転写フィルム46に画像を形成するユニットを1次転写部、転写ローラ33を用いて、1次転写部で中間転写フィルム46に形成した画像をカードKに転写するユニットを2次転写部という。
【0028】
上記画像形成部Bの下流側にはカード収容部Dが設けられ、転写プラテン31から送られたカードを収容スタッカ55に収容する。この収容スタッカ55は昇降機構56と図示しないレベルセンサで、カード収容量に応じて繰り下げ降下するように構成されている。
【0029】
[フィルムカセットの構成]
上述の転写フィルム46を装填するフィルムカセット50について説明する。このフィルムカセット50は
図2に示すように装置ハウジング1とは分離したユニットで構成され、装置ハウジング1に着脱可能に取付けられている。図示しないが
図1前面側にフロントカバーが開閉自在に配置され、このフロントカバーを開けた状態で装置フレームにフィルムカセット50を
図2矢印方向に装着するようになっている。
【0030】
このフィルムカセット50には、供給スプール47と巻取スプール48が着脱可能に装着される。図示52はスプールの一端を支持する軸受部であり、図示56はスプールの他端側を支持するカップリング部材である。このカセット側に配置された軸受部52とカップリング部材56でスプール端部を支持している。そして供給スプール47から剥離コロ34b、を経てガイドコロ34a、35b、35a、次いで巻取スプール48に転写フィルム46が架け渡される。
【0031】
なお、上記ガイドコロ35a、35b、34a及び剥離コロ34b(剥離部材;以下同様)は、図示のものはフィルムカセット50に取付けたピン部材(従動コロ)で構成してあるが、これは固定ピン(不回転)であっても良い。本装置では、カードに転写フィルム46上の画像を転写する際は供給スプール47で転写フィルム46を巻き取りながら転写を行う。よって、剥離コロ34bは転写フィルム46の転写時におけるフィルム搬送方向下流側(転写ローラ33よりも供給スプール47側)に設けられている。
【0032】
剥離コロ34bはブラケット69に固定されており、そのブラケット69には支持ピン51が設けられている。転写フィルム46は剥離コロ34bと支持ピン51との間を走行するため、転写フィルム46を交換する際はフィルムカセット50を装置ハウジング1から抜き取った状態で、支持ピン51は剥離コロ34bから離間するように構成されている。
【0033】
図3に示すように、支持ピンの一端51aはブラケット69に着脱可能に嵌合されており、他端51bはブラケット69の凹部に枢支されているため、支持ピン51は破線矢印方向に回動可能に構成されている。よって、支持ピン51はセット位置(実線)と開放位置(破線)に(ピボット)移動可能であり、ユーザはフィルムカセット50を装置ハウジング1から抜き取り、支持ピン51を開放位置に移動させた状態で転写フィルム46を交換し、支持ピン51をセット位置に戻してからフィルムカセット50を装置ハウジング1に装填する。
【0034】
なお、支持ピン51はセット位置の状態で剥離コロ34bと一定の位置関係を保持する必要がある。
図4(a)に示すように、カードKから転写フィルム46が剥離された後にカード先端が支持ピン51に支持された状態では、支持ピン51に対して剥離後の転写フィルム46の走行方向(図の下方)に力が加わる。支持ピン51を支持するブラケット69の軸受け凹部は転写フィルム46の走行方向に沿った方向に設けられており、支持ピン51はセット位置において軸受け凹部の底面に支持されるため、カードKから転写フィルム46走行方向の力が加わっても、ブラケット69は支持ピン51をしっかりと支持することができる。当然、転写フィルム走行方向と交わる方向に支持ピン51が回動移動してもよいが、支持ピン51がカードKを支持したときに剥離コロ34bとの位置関係が変わらないようセット位置を保持する必要がある。
【0035】
このように架け渡された転写フィルム46には装置側に配置された移送ローラ49とピンチローラ32a、32bが係合される。そして供給スプール47と巻取スプール48に連結される駆動回転軸(不図示)と、上記移送ローラ49は同一速度でフィルムを走行するように駆動回転する。
【0036】
ここで、2次転写部の詳細な構成を
図4に従って説明する。2次転写部には、転写ローラ(ヒートローラ)33、転写プラテン31、転写フィルム46をガイドするガイドコロ34a、同様に転写フィルム46をガイドして、カードKから転写フィルム46を剥離する剥離コロ34bと剥離コロ34bの下流でカードKの転写面側を支持する支持ピン51が配置されている。また、転写ローラ33と転写プラテン31との間にカードKを搬送する搬送ローラ30と支持ピン51を通過したカードをニップして下流側へ搬送する搬送ローラ37が設けられている。なお、搬送ローラ30と搬送ローラ37との間の距離は、転写処理以外の通常搬送時にカード搬送ができるよう、カードKの搬送方向の長さLcよりも短い距離に設定されている。
【0037】
転写ローラ33と剥離コロ34b及び支持ピン51とはそれぞれ
図4(a)に示す作動位置と図(b)に示す退避位置に移動可能に構成されている。剥離コロ34bは作動位置において、搬送経路P1に沿って搬送されるカードKの表面に対して転写フィルム46を介して接するように設定されている。よって、
図5に示すように、剥離コロ34bのカード接触点は、転写ローラ33の作動位置におけるカード接触点と、搬送ローラ37がカード転写面と接触するカード接触点を結ぶ直線Ln1(転写ローラ33のカード接触点と搬送ローラ37のカード接触点とを通る第1接線)よりも、少なくとも転写プラテン31側(カード側)にオフセットしており、直線Ln1よりも転写ローラ33側に配置されることはない。なお、本実施形態では、剥離コロ34bのカード接触点は直線Ln1よりも1.52mm転写プラテン側にオフセットしている。なお、剥離コロ34bのカード接触点が直線Ln1よりも転写ローラ33側でなければよく、直線Ln1の線上に設定してもよい。
【0038】
よって、カードに転写された転写フィルム46は、転写ローラ33から剥離コロ34bまではカードに接着しており、カードが剥離コロ34bに到達したときに転写フィルム46がカード表面から剥離される。なお、剥離された転写フィルム46はカードと直交する方向(図の下方向)に巻き取られるため、カードと剥離後の転写フィルム46は剥離コロ34bを介して略90度の関係が保たれる(剥離角度βが略90度)。
【0039】
例えば、
図20の示したように剥離コロ34bが搬送経路P1から(転写ローラ33側にオフセットして)離れた位置に設けられていた場合、転写されたフィルム46が剥離コロ34bに到達する前にカードから剥離してしまう。このような構成では転写フィルム46がカードから剥離する位置と剥離角度(β2)が不確定となり、転写不良が発生するおそれがある。さらに転写されてから剥離するまでの時間が変化してしまうため、良好な剥離を行えない場合がある。よって、剥離コロ34bを本実施形態の作動位置に設定することで、剥離角度と、剥離するまでの時間(転写ローラ33から剥離位置までの距離)が一定となるため、転写不良の発生を抑えることができる。
【0040】
剥離コロ34bを通過したカードは、
図4(a)に示すようにカード先端が転写フィルム46の走行方向に引っ張られて下方に姿勢が変化することなく、支持ピン51に支持される。この支持ピン51のカード接触点は転写ローラ33の作動位置におけるカード接触点と、剥離コロ34bの作動位置におけるカード接触点を結ぶ直線Ln2(転写ローラ33のカード接触点と剥離コロ34bのカード接触点とを通る第2接線)よりも、転写プラテン31側(カード側)にオフセットしており、直線Ln2よりも転写ローラ33側に配置されることはない。なお、本実施形態では、支持ピン51のカード接触点は直線Ln2よりも0.35mm転写プラテン側にオフセットしている。なお、支持ピン51のカード接触点は直線Ln2よりも転写ローラ33側でなければよく、直線Ln2の線上に設定してもよい。
【0041】
支持ピン51のカード接触点が直線Ln2よりも下方に配置されると、従来のようにカード先端が転写フィルム46の走行方向に引っ張られてしまうため、少なくとも支持ピン51のカード接触点は直線Ln2上か、直線Ln2よりも転写プラテン31側に配置する必要がある。しかし、あまりにも転写プラテン31側にオフセットし過ぎると、支持ピン51と剥離コロ34bとの間の段差が大きくなってしまい、剥離コロ34bがカードKから離れてしまうため、転写フィルム46の剥離位置が不安定になる問題が生じるおそれがあるため、扱う記録媒体の種類等から適宜設定することが望ましい。
【0042】
さらに、剥離コロ34bから支持ピン51までの距離が大きいと、カード先端が支持されない状態が長くなってしまうため、剥離コロ34bの直後に支持ピン51を配置することが望ましい。よって、本実施形態では、剥離コロ34bの直径が5mm、支持ピン51の直径が3mm、剥離コロ34bの中心と支持ピン51の中心との間の距離が5mmとしているため、剥離コロ34bと支持ピン51との間の隙間は1mmである。これにより、支持ピン51を剥離コロ34bよりも細くすることで、支持ピン51を剥離コロ34bに近づけることができる。しかし、細くしすぎるとカードKを支持する強度が保てないため、ある程度の強度は残しておいた上で支持ピン51を細くすることが望ましい。
【0043】
また、前述の通り、剥離コロ34bと支持ピン51は同一部材のブラケット69に支持されているため、剥離コロ34bと支持ピン51との高さ関係の位置決めが容易である。例えば、支持ピン51を装置本体側に設けてもよいが、その場合、装置本体側の支持ピン51とフィルムカセット50側の剥離コロ34bをそれぞれ作動位置と退避位置に移動する必要があり、さらに双方が作動位置において上述の配置関係を維持しなければならないため、高い部品加工精度が必要になる。
【0044】
なお、支持ピン51によってカード先端が若干持ち上げられるため、支持ピン51より下流の搬送ローラ37が離れた位置に配置されていると、カード先端が搬送ローラ37にニップされなくなってしまう。よって、カード先端が上側の搬送ローラ37の下半分領域(
図4(a)の搬送ローラ37の斜線部)に入る位置に搬送ローラ37を配置している。
【0045】
また、転写プラテン31に対して転写ローラ33を圧接及び離間させる。後述する制御手段70は、カード上に画像転写するときには転写ローラ33を作動位置(Pn1)に移動して圧接し、画像形成後(カード後端が転写ローラ33を通過した後)は退避位置(Pn2)に移動して離間させる。これによって、カード後端が転写ローラ33を通過した後に転写ローラ(ヒートローラ)33に転写フィルム46が接触して、転写フィルム46が転写ローラ33の熱により変形するのを防止する。
【0046】
また、制御手段70は、カード後端が支持ピン51を通過するタイミングで、剥離コロ34b及び支持ピン51を作動位置(Pn3)から退避位置(Pn4)に移動させる。ここで、剥離コロ34b及び支持ピン51を退避位置に移動させているため、両面印刷を行う際に、搬送パス上流側の反転ユニットFに向けてカードをスイッチバック搬送させた時にカードが支持ピン51や剥離コロ34bに衝突することを防止している。このような制御によって転写フィルムに過剰の熱が作用して変形する恐れも、また転写フィルム46を剥離する際に転写不良が発生することもない。
【0047】
そこで転写ローラ33と剥離コロ34及び支持ピン51を昇降させるために、後述する転写部材昇降手段61と、剥離部材昇降手段62(移動手段)を制御手段で制御する。この制御は、カード先端が転写プラテン31に到達する見込み時間で転写ローラ33を退避位置(Pn2)から作動位置(Pn1)に位置移動する。また、これと前後して(例えばプリントコマンド信号、上流側のジョブ終了信号など)剥離コロ34b及び支持ピン51を退避位置(Pn4)から作動位置(Pn3)に移動する。
【0048】
この状態でプラテン位置に所定速度で移動するカードに、その先端から後端に画像を転写する。カード後端が転写ローラ33を通過した見込み時間で転写ローラ33を退避位置(Pn2)に移動させる。すると転写フィルム46はガイドコロ34aと剥離コロ34bに支持され、その一部はカード表面に打擲した状態となる。そしてカードが排出方向に移動するのに伴って転写フィルム46はカード表面から徐々に剥離される。その際、カード先端は支持ピン51に支持される。
【0049】
この画像転写の過程で転写フィルルム46はカード表面と一定の剥離角度βでカード先端から後端まで同一角度方向にフィルムを引き剥がすこととなる。従ってカードに転写された画像に斑が生ずることがない。
【0050】
次に上述の転写部材昇降手段61と、剥離部材昇降手段62の構成について説明する。
図6は前述のフィルムカセット50と、転写部材昇降手段61と、剥離部材昇降手段62の全体構成を示す説明図である。この昇降手段61、62と転写ローラ33は装置フレームに取り付けられている。一方、剥離コロ34bと支持ピン51はフィルムカセット50側に取付けられている。
【0051】
図6において、フィルムカセット50は装置フレームに同図矢印方向に着脱可能に装着される。そして装置フレームに設けられている転写部材昇降手段61、剥離部材昇降手段62、転写ローラ33と、フィルムカセット50の転写フィルム46とが組み合わせられる。
図7は、転写部材昇降手段61、剥離部材昇降手段62及び転写ローラ33の組み立て分解図であり、転写部材昇降手段61には転写ローラ33を備えた昇降フレーム63が図示矢印方向に昇降可能に支持されている。また、剥離コロ34b及び支持ピン51を保持するブラケット69の嵌合部69Sはフィルムカセット50側に嵌合溝50Sで昇降可能に支持されている(
図2参照)。取付けられている。
【0052】
上記転写ローラ33を備えた昇降フレーム63の構成を
図8に示す。転写ローラ33は転写プラテン(図示のものはローラ)31と対向する位置に昇降フレーム63と共に
図8矢印方向に昇降するようにユニットフレーム64に取り付けられている。そしてユニットフレーム64にシフトモータMSが取付けられ、このモータの回転軸にシフトカム64c(例えば偏心カム;不図示)が設けられている。このシフトカム64cの回転でこのカムと長溝(カムフォロアー;不図示)で嵌合している昇降フレーム63は
図8上下方向に昇降する。
【0053】
また、転写ローラ33には、転写プラテン31と対向する位置に開閉カバー65a、65b(合わせて開閉カバー65)が支軸65p1、65p2を中心に図示矢印方向に回転(開閉)するように設けてある。この開閉カバー65は高熱の転写ローラ33に使用者の手指が触れないようにガードする。このため転写ローラ33が退避位置(Pn2)のときには開閉カバー65はローラ表面を覆い、カードがジャムを起こして使用者がジャム解除作業を行う際にローラ表面に触れるのをガードし、転写ローラ33が作動位置(Pn1)のときにはローラ表面から退避して転写フィルム46をプラテン31に圧接する。
【0054】
その開閉機構は、ユニットフレーム64にラック63rが一体に設けてあり、昇降フレーム63にこのラックと噛合するピニオン63pが設けてある。このピニオン63pは開閉カバー65の支軸65p1と65p2に歯車結合されている。従ってシフトモータMSでシフトカム64cを回転して昇降フレーム63を
図8矢印方向に上昇させると、開閉カバー65a、65bがそれぞれ図示矢印方向に回転する。
【0055】
以上の説明から明らかなように転写ローラ33をカードに圧接した作動位置(Pn1)と離間した退避位置(Pn2)との間で昇降する転写部材昇降手段61は、シフトモータMSとシフトカム64cで構成されることとなる。またこの転写部材昇降手段61で転写ローラ33の開閉カバー65を開位置(
図3(a))と閉位置(
図3(b))との間で開閉している。
【0056】
また、前記記録媒体Kに画像転写した転写フィルム46を剥離する作動位置(Pn3)と記録媒体Kから離間した退避位置(Pn4)との間で剥離部材34bを昇降する剥離部材昇降手段62について説明する。
図8(b)は
図7の機構から剥離部材昇降手段62の構成のみを抽出した説明図であり、この
図8(b)に示すようにシフトモータMSに歯車連結された駆動回転軸64dにはドライブカム66cが連結されている。このドライブカム66cと係合するカムフォロア66fを備えたレバー66rが
図8上下方向に昇降するようにスリットとピンでユニットフレーム64に昇降可能に支持されている。このレバー66rには復帰スプリング66Sがユニットフレーム64との間に架け渡してある。
【0057】
従ってシフトモータMSの回転でドライブカム66cが回転すると、カムフォロア66fを有するレバー66rが上下動することとなる。尚ドライブカム66cは後述するようにシフトモータMSの角度制御で、剥離部材34bを退避位置(Pn4)に待機させ、この状態から作動位置(Pn3)に移動する。
【0058】
そこでドライブカム66cを回転させてレバー66rを矢印方向に上昇させる。このレバー66rには揺動レバー67が連結され、この揺動レバー67は支軸67pを中心に
図8矢印方向に回転(揺動)する。するとこの揺動レバー67にピン−スリット連結された昇降レバー68aが矢印方向に下降する。この昇降レバー68aと一体の作動レバー68bが、剥離ピンブラケット69a、69bと係合している。なお、上記昇降レバー68aはユニットフレーム64に上下動方向にピンースリット結合によって運動規制されている。
【0059】
従ってレバー66rがドライブカム66cで上昇し、復帰スプリング66Sで下降する上下動運動で揺動レバー67が揺動し、昇降レバー68aと作動レバー68bが上下動し、この作動レバー68bと係合する剥離ピンブラケット69a、69bが上下動する。この剥離ピンブラケット69a、69bは剥離コロ(剥離部材)34bの両端部に一体的に取り付けられている。
【0060】
以上の説明から明らかなように、剥離部材昇降手段62は、シフトモータMSとドライブカム66cとレバー66r、揺動レバー67、昇降レバー68a、作動レバー68bで構成されている。図示の装置は剥離コロ(剥離部材)34bを、その両端部を作動レバー68bで偏ることなく同一量ずつ均等に昇降することを特徴としている。
【0061】
次に上述したシフトカム64cとドライブカム66cと駆動回転軸64dとの関係を
図10のカム線図で説明する。シフトモータMSに歯車連結された駆動回転軸64dにシフトカム64cとドライブカム66cが連結されている。この両カムは例えば次のようなカム面で構成する。ホームポジションHPで両カムは転写ローラ33を「down」、剥離コロ34を「down」位置にそれぞれ退避位置に移動する。この状態から駆動回転軸64dを例えば180度回転する。このときシフトカム64cとドライブカム66cは転写ローラ33を「up」、剥離コロ34を「up」位置にそれぞれ作動位置に移動する。
【0062】
更に駆動回転軸64dを180度位置から角度θ1回転すると、シフトカム64cは転写ローラ33を「down」位置に移動し、ドライブカム66cは、剥離コロ34を「up」位置に維持する。そして駆動回転軸64dを角度θ2回転すると、シフトカム64cは転写ローラ33を「down」位置に保持し、剥離コロ34を「down」位置に維持する。なおこのようなカム構成は、図示のカム形状に拘わらず偏心カムその他、種々のカム形状が採用可能である。
【0063】
なお、本実施形態では、転写フィルム46は熱間剥離タイプのフィルムを使用している。熱間剥離タイプのフィルムの特性としては、カードに転写フィルムを転写した後に転写フィルムが温かい内に剥離をすると綺麗にカードから剥離することができる。このとき、転写フィルムの温度が下がってしまうと転写フィルムの剥離層が綺麗に剥れずに、転写面が白く霞んでしまう白化現象が発生し、転写不良となってしまう。また、ある程度温かくても剥離後のカードの挙動(姿勢)が安定しないと転写フィルムの剥離位置が安定せずに、白化現象が起こり同様に転写不良となってしまう。しかし、転写フィルムが過度に温かい状態で剥離をすると、カードの挙動に関係なく白化現象は起こらないが、転写フィルムの剥離層が通常よりも剥れやすくなるため、カード端縁よりも外側で転写フィルムが剥れることによる剥離カスが発生してしまい、カード端縁部の美観を損ねてしまう。
【0064】
よって、上述した支持ピン51によって剥離後のカードKの姿勢は安定することで白化による転写不良を抑えることができる。しかし、カード先端が支持ピン51から搬送ローラ37に到達するまでの間は、カード先端の姿勢が不安定となってしまうため、カード先端のみ白化による転写不良が生じる場合がある。カード先端部が搬送ローラ37にニップされてしまえば、カード全体の姿勢は安定するため、カード先端部以降では転写不良は発生し難い。
【0065】
そこで、本実施形態では、カード先端部(支持ピン51と搬送ローラ37との間の距離に相当する部分)を転写前にプレヒートすることで、カード先端部の白化を抑えている。そのため、退避位置における転写ローラ33を覆う開閉カバー65には
図9に示すように開口65cが設けられており、カード先端を転写ローラ33と転写プラテン31との間(プレヒート位置)に位置づけることにより転写ローラ33の熱をカード先端に伝えることができる。
【0066】
転写ローラ33の熱によってカード先端をプレヒートする際は、転写フィルム46を介して行われるため、転写フィルム46の一部が過剰に温められると、温められた部分だけが剥離しやすくなり剥離カスが発生するおそれがある。また、カード先端のプレヒートを独立した工程で行うと全体の処理時間が長くなり、生産性が悪くなってしまう。よって本実施形態では、1次転写部で転写フィルム46に画像を形成している時間にカード先端のプレヒートを行う。
【0067】
1次転写部で画像形成処理を行う際は、複数色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色)のインクリボンの各色をサーマルヘッド40で転写フィルム46の画像形成領域に重ね印刷する。そのため、1次転写部での画像形成時において転写フィルム46は常に往復搬送動作をしているため、カードプレヒートの際に転写フィルム46の一部のみが過剰に温められることがなく、その動作中にカード先端をプレヒートすることができるため、全体の処理時間に影響を及ぼすことがない。
【0068】
また、このカード先端のプレヒートは、装置の環境温度によって実行するか否かを決定する。環境温度をサーミスタTで検出することにより、カードKがどの程度冷えているのか判断する。よってサーミスタTはカード供給部C(
図1参照)や装置内の吸気ダクト付近(
図17参照)に設けるとよい。もし環境温度が低く、カードKが冷えている場合は、上述のようにカード先端部に白化が発生しやすいため、カード先端のプレヒートを行う必要がある。逆に、環境温度が高く、カードKが温かくなっている状態でカード先端のプレヒートを行うと、カード先端部分と転写フィルム46の温度が過剰に上がってしまい、剥離カスが発生するおそれがある。
【0069】
しかし、環境温度が極端に低くカードが極端に冷えている場合は、カード先端だけプレヒートを行うと、カード先端部分だけが良好な剥離を行うことができ、それよりも後端側で白化が発生するおそれがある。よって、そのような場合はプレヒート領域を広げたり、プレヒート時間を延長したりする必要がある。
【0070】
本実施形態では、
図15に示すように、3つの環境温度に応じてプレヒート領域とプレヒート時間を制御している。まず、環境温度が極端に低い極低温の場合は、プレヒート領域をカード先端部だけでなく、カード中央部や後端部付近までプレヒートを行う。その際は、カードKを徐々に移動しながらプレヒートによって温めたい部分をプレヒート位置に位置づける。また、この極低温の場合はプレヒートにかける時間も長くしてカードKを温める(例えば、プレヒート時間が20秒)。
【0071】
環境温度が低温の場合は、カードKに対するプレヒート領域はカード先端部のみである。これは、上述したように支持ピン51から搬送ローラ37までの距離に相当するカード先端領域(例えば、プレヒート領域が10ミリ程度)をプレヒート位置に位置づける。また、プレヒート時間も極低温の場合に比べて短く設定する(例えば、プレヒート時間が10秒)。
【0072】
環境温度が常温以上(例えば、25度)の場合はカードKに対するプレヒートは行わない(プレヒート領域が0ミリ、プレヒート時間が0秒)。これは、この状態でプレヒートを行うと剥離カスが発生してしまうからである。また、表面転写後に反転ユニットFでカードKの表裏を反転させて裏面転写を行う際は、表面転写の際にカードKが温められているため、カード温度が高く、この状態でプレヒートを行うと剥離カスが発生してしまう。よって、表面転写時は環境温度に応じてプレヒート処理を行い、裏面転写時はプレヒート処理を行わない。なお、表面転写から裏面転写までの間に所定時間以上間隔が空いている場合は、表面転写時よりも少ないプレヒート量でプレヒート処理を行ってもよい。
【0073】
また、本実施形態では、表面転写時と裏面転写時とで転写フィルム剥離時の巻き取りテンション(以下、剥離テンション)を変更している。剥離テンションは転写フィルム46の供給スプール47の転写フィルム巻取りトルクによって変更される。本実施形態で使用される転写フィルム46は、フィルムの温度が高いと剥がれやすく、温度が低いと剥がれにくい特性を持っている。
【0074】
カードKから転写フィルム46が剥離されるときに必要な剥離テンション(供給スプール47による巻取りトルク)はカードKと転写フィルム46の接着力によって変化する。この接着力は、カードKと転写フィルム46との接着面の温度が作用しており、その接着面の温度はカードKの温度によって変化する。カード温度が低く、結果カードKと転写フィルム46との接着面の温度が低い状態では、剥離テンションが低いと転写フィルム46が剥離コロ34bの位置で剥離されず、剥離コロ34bよりも下流側で剥離されるため、剥離角度が異なってしまう。また、本実施形態では剥離コロ34bの下流側に支持ピン51が配置されているため、支持ピン51とカードKとの間に転写フィルム46が入り込んでしまう可能性があり、転写不良やジャムが発生するおそれがある。
【0075】
逆に、カード温度が高く、結果カードKと転写フィルム46との接着面の温度が高い状態では、剥離テンションが高いと転写フィルム46は剥がれやすいため剥離コロ34bよりも上流側で剥離してしまい、上述の剥離カスが発生するおそれがある。特に、表面転写後に裏面転写をする場合、カードKの温度が高いため、転写フィルム46が剥がれやすくなっている。また、カードKに転写処理を施すと転写面が収縮する方向にカードKが湾曲するため、
図21に示すように裏面転写の際はカードKの先端が剥離コロ34bから離れる方向に湾曲している。カードKが湾曲した状態で剥離テンションを高くするとカードKの先端と剥離コロ34bとの間に隙間ができてしまい、剥離角度が異なってしまうことから早期剥離となってしまう。さらに裏面転写時は接着面の温度が高いので、早期剥離による剥離カスが発生する可能性が高くなる。
【0076】
よって本実施形態では、表面転写時は装置外部の環境温度によってカードKの温度が変化するため、環境温度(カードKの温度)に応じてカードKに対するプレヒート処理のプレヒート量と剥離テンションを決定する。環境温度が極低温の場合はカードKが冷えているため、上述のようにプレヒート量を多く設定し、剥離テンションも高く設定する。環境温度が低温の場合は上述のようにプレヒート処理はカード先端部のみ行い、剥離テンションは極低温の時に比べて低く設定する。環境温度が常温以上の場合は、プレヒート処理を行わず、剥離テンションは低温の時に比べて低く設定する。
【0077】
その後、裏面転写を行う際は、カードKの温度が高くなっているため、環境温度に関係なく上記常温以上の設定(プレヒート処理なし、剥離テンション低い)となる。これにより、接着面温度が低い時に発生しやすい白化の発生と、接着面温度が高い時に発生しやすい剥離カスの発生との両方を抑えることができる。
【0078】
なお、剥離テンションは、搬送ローラ対30、37及び転写ローラ33と転写プラテン31によるカードKのニップ圧と摩擦力によるニップ力ΜNよりも弱いトルクで設定される。剥離テンションがこのニップ力ΜNよりも強いトルクに設定されると、転写フィルム46がカードKを引っ張ってしまい、ニップされたカードKがローラ間で滑って転写中の画像がずれたり、早期剥離によって剥離カスが発生したりするおそれがある。よって、剥離テンションは、カード搬送に影響を及ぼさない範囲のトルクに設定される。
上述のプレヒート処理と剥離テンションの設定は主にカード先端側の白化や剥離カス発生を抑えるのに効果があるが、カード後端側のバックテンションによってはカード後端に剥離カスが発生する可能性がある。
【0079】
本実施形態では、画像転写部による転写処理中の転写フィルム46の送り出し量は移送ローラ49によって管理される。転写処理中のカードK(及び転写フィルム46)の搬送量よりも移送ローラ49によって送り出される転写フィルム46の搬送量が少ない場合、転写ローラ33と転写プラテン31に挟持されたカードのニップ点に対して転写フィルム46のバックテンションが過剰に付加されてしまい、カードKに転写される画像がずれてしまう。そこで、転写処理中はカードKの搬送量よりも転写フィルム46の送り出し量を多くしてカード後端側の転写フィルム46を弛ませる。なお、カードKの搬送量は搬送ローラ30、37及び転写プラテン31に接続されるステッピングモータによって制御され、転写フィルム46の送り出し量は移送ローラ49に接続されるステッピングモータによって制御される。これにより、転写フィルム46のバックテンションにより画像がずれることがない。
【0080】
しかし、転写処理が終了して、カード後端の剥離を行う際にカード後端より上流側の転写フィルム46が弛んでいると、カード後端が剥離コロ34bを通過するときに転写フィルム46が剥離されずに、剥離位置が剥離コロ34bよりも下流側にずれてしまい、剥離角度が異なってしまうため、カード後端側に剥離カスが発生してしまう。
【0081】
よって、本実施形態では、カード後端が転写ローラ33を通過してから剥離コロ34bに到達するまでの間に、移送ローラ49による転写フィルム46の搬送量を少なくして転写フィルム46の弛みを取る。なお、カード後端が転写ローラ33を通過してすぐに転写フィルム46のバックテンションをかけると、カードKと転写フィルム46との接着面の温度が高いため、カード後端が剥離コロ34bに到達する前に転写フィルム46が剥離してしまい、早期剥離のため剥離カスが発生してしまう。
【0082】
そこで本実施形態では、例えば、転写開始から転写終了までのカードKの搬送量を100としたときに転写フィルム46の送り出し量を103と設定し、その後カード後端が転写ローラ33から剥離コロ34bまでのカードKの搬送量を20としたときに転写フィルム46の搬送量を17と設定することで、カード後端が剥離コロ34bを通過するときに転写フィルム46の弛みが解消されるため、カード後端部の剥離位置がずれることなく、良好な剥離を行うことができる。
【0083】
なお、搬送ローラ30、37及び転写プラテン31と移送ローラ49はそれぞれステッピングモータに連結されているため、カードK及び転写フィルム46の搬送量の制御は精度よく行うことができる。また、転写フィルム46を送り出す移送ローラ49は、転写フィルム46を巻回するスプールではないため、ステッピングモータの駆動量をそのまま移送ローラ49の回転量(転写フィルム46の送り出し量)とすることができる。転写フィルム46を巻回するスプールの場合、巻かれている転写フィルム46の径によって、同じモータ駆動量でも転写フィルム46の送り出し量が異なってしまうため、転写フィルム46をニップして送り出す移送ローラ49の方が転写フィルム46の搬送量を精度よく制御することができる。
【0084】
[制御構成]
図11に本発明に係わる制御構成について説明する。制御部Hは、例えば制御CPU70で構成し、このCPU70にはROM71とRAM72が備えられている。そして制御CPU70には、データ入力制御部73と、画像形成制御部74と、カード搬送制御部75が構成されている。そしてカード搬送制御部75は搬入経路P1と搬出経路P2に配置されているカード搬送手段(
図1に示す搬送ローラ対)を制御するように図示しない駆動モータのドライブ回路にコマンド信号を送信する。このカード搬送制御部75は反転ユニットFの旋回モータのドライブ回路にコマンド信号を送信する。また、サーミスタTによって環境温度を検出し、カード搬送制御部75でプレヒートのためのカード搬送制御を行う。
【0085】
上記カード搬送制御部75には、センサSe1〜Se10の状態信号を受信するようにそれぞれのセンサと電気的に接続されている。これと共にデータ入力制御部73からジョブ信号を受信するように接続されている。
【0086】
上記データ入力制御部73は、磁気記録部A1に内蔵されているデータR/W用のIC73xに入力データの送受信を制御するコマンド信号を送信し、同様にIC記録部A2のデータR/W用のIC73yにコマンド信号を送信するように構成されている。上記画像形成制御部74は、画像形成部Bでカードの表裏面への画像形成を制御する。
【0087】
この画像形成制御は、カード搬送制御75でコントロールされるカードの搬送に応じてこのカード表面に転写プラテン31で画像転写する。このため画像形成制御部74は、転写フィルルム645に画像形成プラテン45で画像形成する、インクリボンワインドモータ制御部74bと、転写フィルルムワインドモータ制御部74cと、シフトモータMS制御部74dを備えている。
【0088】
そして上記RAM72には、データ入力部(磁気・IC記録部)でカード上にデータ入力する処理時間が、例えばデータテーブルに記憶されている。また、カード搬送制御部75には監視手段H1が設けられ、いずれも制御CPU70の制御プログラムに組み込まれている。この監視手段H1は、上記センサSe1〜Se10の状態信号と、データ入力制御部73のジョブ信号を受信して、装置内に存在するカードの搬送状態を監視するように構成されている。
【0089】
ここで、本実施形態のカード印刷装置の全体の動作をカードKの動きに沿って説明する(
図14)。まず、パソコン等の上位装置から印刷データ及び情報記録データを受取ると、カードKがカード供給部Cから一枚ずつ反転ユニットFに供給される(St1)。このとき、CPU70は転写ローラ33を発熱させ、約185度の状態で温度をキープする。そして、情報記録データがある場合は、カードKは反転ユニットFから情報記録部Aに搬送され、情報記録処理が行われる(St2)。情報記録データがない場合は、後述のプレヒート処理に移る。
【0090】
この時点で画像形成部Bの1次転写部において、転写フィルム46とインクリボン41とをサーマルヘッド40及びプラテンローラ45で圧接して加熱することにより、転写フィルム46に対して画像が形成される。その際、インクリボン41の各色を転写フィルム46の画像形成領域に重ねて印刷するため、転写フィルム46は供給スプール47、巻取スプール48及び移送ローラ49によって往復搬送される。
【0091】
情報記録処理が終了したカードKは1次転写処理中にカード先端のプレヒート処理が行われる。まず、サーミスタTによって環境温度を検出する(St3)。これによりカードがどの程度冷えており、どの程度プレヒートしなければならないか判断する。なお、転写後のカードKから転写フィルム46を剥離するための供給スプール47による巻取トルク(剥離テンション)を決定するためにも環境温度を参照する。その後、これから転写するカード面が表面か裏面かを判断する(St4)。これは、同じ環境温度でも表面転写時と裏面転写時とでカード温度が異なり、その結果、カードKと転写フィルム46との接着面との温度が異なるため、このような判断を行う。よって、表面転写の場合は、表面転写用のプレヒート量及び剥離テンションを決定し(St5)、裏面転写の場合は裏面転写用のプレヒート量及び剥離テンションを決定する(St6)。本実施形態では、表面転写でも環境温度が高い(常温以上)場合や裏面転写時はプレヒート処理を行う必要がないため、プレヒート量は0(プレヒート時間0秒)に設定される。
【0092】
次に、決定されたプレヒート量が0か否かを判断し(St7)、プレヒート処理が必要ない場合は、搬送ローラ29、30からなるカード待機部で1次転写処理が終了するまでカードKを待機させる。プレヒート処理が必要と判断された場合、検出した環境温度に応じてプレヒート時間とプレヒート領域をROM71からロードし、カードをプレヒート位置へ搬送する(St8)。
【0093】
環境温度が低温の場合はカード先端のみプレヒートを行えばよいので、プレヒート中はカードKを移動させる必要はないが、極低温の場合はプレヒート領域が広いため、カードKをプレヒート領域内で位置移動させ、必要に応じて往復搬送させる(St9)。その後、プレヒート時間に到達したか判断し(St10)、プレヒート時間に到達したらカードKを2次転写処理のための転写開始位置に頭出しして(St11)プレヒート処理を終了する。
【0094】
そして、1次転写が終了したか否かを判断し(St12)、終了していたら二次転写処理を行う(St13)。このとき、転写後のカードKから転写フィルム46を剥離する際は、St5またはSt6で決定された剥離テンションで行われる。なお、カードKと転写フィルム46との頭出しは転写フィルム46の頭出しをした後にカードKの頭出しをする方が望ましいため、プレヒート処理が早く終わった場合は一度転写フィルム46の頭出しをした後にカードKの頭出しを行う。2次転写処理終了後、裏面転写が必要か否かを判断し(St14)、裏面転写が必要な場合はSt6に戻る。既に裏面転写まで転写済みの場合や、表面のみ転写して終了する場合はカードを排出して(St15)、カード発行処理を終了する。
【0095】
ここで、プレヒート処理から2次転写処理の動作を
図12(a)〜(c)と
図13(d)〜(f)に従って説明する。
図12(a)は1次転写処理中にカードKをプレヒートしている状態を示す。このとき、転写ローラ33と剥離コロ34b及び支持ピン51は退避位置(Pn2、Pn4)に位置している。このとき、転写ローラ33の開閉カバー65は閉位置にいるが、開閉カバー65には開口65cが設けられているためカードKのプレヒート領域に転写ローラ33の熱を伝えることができる。なお、転写フィルム46は1次転写処理で往復搬送されているため、転写フィルム46の一部分のみが過剰に温められることはない。
【0096】
1次転写処理が終了すると、転写フィルム46とカードKはそれぞれ2次転写の開始位置に頭出しされる(
図12(b))。このときも転写ローラ33と剥離コロ34b及び支持ピン51は退避位置をキープしている。なお、転写フィルム46の頭出しは供給スプール47に連結されているDCモータMr2を回転制御することで行い、カードKの頭出しはステッピングモータの回転制御により行う。DCモータは停止時にオーバーラン量が一定ではないため、先に転写フィルム46の頭出しをした後にDCモータのオーバーラン量を加味した距離分ステッピングモータを駆動してカードKの頭出しを行う。これにより、転写フィルム46とカードKの頭出し位置が正確となる。なお、DCモータのオーバーラン量は、供給スプール47の回転量を検出するエンコーダ(不図示)によって検出して算出される。
【0097】
転写フィルム46とカードKの頭出しが終了すると、制御CPU70はシフトモータMSを所定角度(例えば180度)回転する。これにより、シフトカム64cは転写ローラ33を退避位置(Pn2)から作動位置(Pn1)に移動させ、ドライブカム66cはブラケット69を移動することで剥離コロ34b及び支持ピン51を退避位置(Pn4)から作動位置(Pn3)に移動させる。すると、
図12(c)の状態となり、画像転写処理が開始される。
【0098】
画像転写処理が進み、カードKの先端が剥離コロ34bに到達すると、カードKから転写フィルム46が剥離される。カード先端は転写フィルム46の走行方向に引っ張られる力が働くが、剥離コロ34b直後に配置された支持ピン51に支持されるため、カードの姿勢が安定する(
図13(d))。画像転写処理中は転写フィルム46のカード後端よりも上流側は弛ませる必要があるため、カード搬送ローラ30、37及び転写プラテン31と移送ローラ49の回転量を制御し、カードKの搬送量よりも転写フィルム46の送り出し量を多くしてバックテンションがかからないようにする。
【0099】
次に、制御CPU70はカード後端が転写ローラ33を通過したタイミング(搬送ローラ30の回転数又は予め設定されたタイマー時間から計算)で、シフトモータMSを所定角度θ1回転させる。すると転写ローラ33は
図13(d)の状態である作動位置(Pn1)から同(e)の退避位置(Pn2)に移動する。このとき剥離コロ34b及び支持ピン51は転写フィルム46をカードから剥離させる作動状態(Pn3)に保持されている。このとき、カード後端は転写ローラ33及び転写プラテン31のニップから解除されているが、支持ピン51が剥離コロ34bよりも若干高い位置にいるため、剥離コロ34b以降のカード後端は転写フィルム46に押し付けられる状態となり、途中で剥れてしまうことはない。このとき、移送ローラ49による転写フィルム送り出し量を少なくして、転写フィルム46の弛みを解消する。
【0100】
その後、制御CPU70はカード後端が少なくとも剥離コロ34bを通過したタイミング(搬送ローラ30の回転数又は予め設定されたタイマー時間から計算)で、再びシフトモータMSを所定角度θ2回転させる。これにより、剥離コロ34b及び支持ピン51は作動位置(Pn3)から退避位置(Pn4)に移動する(
図13(f))。このとき転写ローラ33は退避位置(Pn2)に保持されている。なお、シフトカム64cとドライブカム66cは画像形成動作の終了後ホームポジションHPに移動する。
【0101】
その後、デカール機構36でカードの反りを矯正し、カード両面に印刷する場合はカードKを反転ユニットFに向けて搬送してカードKを反転し、カード裏面にも同様の転写処理を施し、片面印刷で終了する場合はそのままカード収容部DにカードKを排出して一連の動作を終了する。なお、カード裏面に連続して転写処理を行う際は、カード表面に転写処理を行ったときにカードが温められているため、プレヒート処理は行わない。
【0102】
ここで、2次転写処理におけるカードKと転写フィルム46の搬送についての処理フローを説明する(
図17)。まず2次転写処理が開始されると、カード搬送ローラ30、37及び転写プラテン31を駆動するカード搬送モータ(ステッピングモータ)、移送ローラ49を駆動するステッピングモータと、供給スプール47と巻取スプール48を駆動するそれぞれのDCモータを起動する(St16)。その後転写処理が進み、転写フィルム46の弛み除去開始位置に到達したか判断し(St17)、到達したら移送ローラ49の駆動量を減速する(St18)。その後剥離が終了し2次転写終了位置にカードKが到達したかを判断し(St19)、到達したらそれぞれのモータを停止して(St20)、2次転写処理を終了する。
【0103】
<効果等>
本実施形態の転写装置では、剥離コロ34bの下流に支持ピン51を設けたことにより以下の効果を奏する。
支持ピン51で転写フィルム46剥離直後のカード先端を支持することにより、カード先端が転写フィルム46の走行方向に引っ張られても、カード先端の姿勢が変化しないため、転写フィルム46の剥離位置が安定する。また、カード先端側の姿勢が安定することで、剥離コロ34bよりもカード後端側が転写フィルム46から離れる方向に力が働かないため、転写フィルム46が剥離コロ34bよりも上流側で剥れてしまうことがない。
【0104】
さらに、作動位置Pn3における剥離コロ34bのカード接触点は、作動位置Pn1における転写ローラ33のカード接触点と(転写ローラ33側の)搬送ローラ37のカード接触点とを結ぶ直線Ln1よりも少なくとも転写プラテン31側(カード側)にオフセットしているため、カードKが剥離コロ34bに到達する前に転写フィルム46が剥れてしまうことがない。さらに、作動位置Pn3における支持ピン51のカード接触点は、作動位置Pn1における転写ローラ33のカード接触点と剥離コロ34bのカード接触点とを結ぶ直線Ln2よりも少なくとも転写プラテン側(カード側)にオフセットしているため、剥離コロ34bを通過したカード先端が転写フィルム走行方向に姿勢変化しない。
【0105】
また、2次転写処理時のみ剥離コロ34bと支持ピン51が作動位置Pn3に移動し、それ以外は退避位置Pn4に退避するため、カードKの通常搬送時にカードKの搬送を邪魔することはない。その際、転写ローラ33と剥離コロ34b及び支持ピン51の退避タイミングを上述のように異ならせているため、転写フィルム46に対する熱ダメージの軽減と転写フィルム46の剥離位置の安定という効果を得ることができる。
【0106】
さらに、剥離コロ34bと支持ピン51は同一のブラケット69に保持されており、ブラケット69を移動することで作動位置Pn3と退避位置Pn4に移動する。よって、剥離コロ34bと支持ピン51とは一定の配置関係を保つことができる。また、ブラケット69をフィルムカセット50に設け、フィルムカセット50を装置ハウジング1から抜き取った状態で剥離コロ34bと支持ピン51とを離間可能に構成したため、転写フィルム46の交換が容易である。
【0107】
また、環境温度が低いときにカードKをプレヒートするため、白化による転写不良を抑えることができる。その際、プレヒートは転写ローラ33の熱を利用するため、プレヒートのために別途熱源を設ける必要はなく、コストを抑えることができる。また、転写ローラ33の開閉カバー65に開口65cを設けたため、使用者がジャム解除等の作業時の安全性が確保でき、さらに転写ローラ33の熱を開口65cによってカードに伝えることが出来る。
【0108】
また、カード先端のみをプレヒートすることにより、支持ピン51から搬送ローラ37までカード先端が不安定になることで発生する白化を抑えることができ、カード全体を温めてしまうことによる剥離カスの発生を抑えることができる。なお、環境温度に応じてカードプレヒートの領域と時間を制御することで、白化による転写不良と剥離カスの発生を抑えることができる。
【0109】
さらに、カードプレヒート中は転写フィルム46を位置移動しているため、転写フィルム46の一部分が過剰に温められてしまうことがない。また、本実施形態ではカードプレヒートを1次転写中に並列で行うため、生産性を落とすことなく転写性能を高めることが出来る。
【0110】
なお、本実施形態の支持ピン51は円形の金属シャフトで構成する例を示したが、これに限定する必要はなく、カードKを支持できる強度が保てて、且つ剥離コロ34bに近づけられる構成であればよい。例えば、
図20に示す形状であれば、さらに支持部材51を剥離コロ34bに近づけることができる。その際、カード先端が当たる部分はテーパを形成して、カード先端を受け入れるようにすることが望ましい。
【0111】
また、本実施形態では、カードKのプレヒート領域とプレヒート時間を制御する例を3パターンで示したが、これに限らず、細かい閾値を設定してもよい。その場合、環境温度に応じたプレヒート領域とプレヒート時間のテーブルをROM71に格納し、環境温度に応じてその値を読み出せばよい。逆に、環境温度に応じてプレヒート処理を行うか否かの2択にしてもよい。また、裏面転写の場合はプレヒート処理を行わない態様を示したが、必ずプレヒート量を0にする必要はなく、表面転写よりも少ないプレヒート量を設定してもよい。その際、剥離カスが発生しない程度のプレヒート量に設定することが望ましい。
【0112】
また、プレヒート時間が長くなると、1次転写の処理時間よりも長くなってしまう場合があるが、例えば、ユーザによって高速優先モードか画質優先モードを選択できるように構成してもよい。このとき、高速優先モードの場合は、多少白化が発生してもプレヒート時間は1次転写の処理時間内に収め、画質優先モードの場合は処理時間が長くなっても十分にプレヒートを行い、綺麗な印刷物を得るようにしてもよい。
【0113】
また、本実施形態では、カードKの温度つまりカードKと転写フィルム46との接着面の温度に応じてカードKから転写フィルム46を剥離するための剥離テンションの強さを変化している。よって、温度が高いときに剥がれやすい転写フィルム46に対して適切な剥離テンションで剥離できるため、剥離カスの発生を抑えることができる。
さらに、2次転写処理において、カードKの搬送量と転写フィルム46の送り出し量を制御することで、転写処理中はバックテンションがかからないように移送ローラ49の回転量を多く設定し、転写処理が終了してからカード後端が剥離コロ34bに到達するまでの間に、移送ローラ49の回転量を少なくすることで転写フィルム46の弛みを解消する。よって、転写中はバックテンションによる画像ズレが発生せずに、その後剥離も良好に行うことができる。その際、転写終了後にバックテンションをかけすぎるとカード後端が剥離位置に到達する前に転写フィルム46が剥離してしまい、早期剥離のために剥離カスが発生してしまうため、弛みを除去するようにカード搬送モータ及び移送ローラ駆動モータを制御することが望ましい。
【0114】
また、本実施形態は中間転写フィルム46に1次転写部で画像を形成し、その画像を2次転写部でカードKに転写する中間転写プリンタの構成を示したが、仮にラミネータ装置等の1次転写処理がない構成においては、転写フィルムを移動しながらカードをプレヒートすることが望ましい。この場合も、処理速度を優先するか画質を優先するかによって、プレヒートを行うか否か、またその領域や時間を制御してもよい。またカードプレヒートを行う際に、プレヒート中に常に転写フィルムを移動させなくても、転写フィルムの使用済み部分を転写ローラと転写プラテンとの間に位置づけた状態でプレヒートを行うことで転写フィルムの未使用部分にダメージを与えたり、過剰に一部分を温めたりすることはない。
【0115】
なお、本実施形態では、サーミスタTによって装置外部の環境温度を検出することにより間接的にカード温度を検出したり、表面転写に続く裏面転写か否かを判断することによりカード温度を間接的に検出したりする態様を開示したが、転写装置内でカードKに接触して直接検出したり、赤外線を使用してカードKの温度を検出したりしてもよい。