特許第6161336号(P6161336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6161336
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】歯科治療システム
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/00 20060101AFI20170703BHJP
   A61G 15/10 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   A61C19/00 D
   A61G15/10
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-45278(P2013-45278)
(22)【出願日】2013年3月7日
(65)【公開番号】特開2014-171584(P2014-171584A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2016年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108672
【氏名又は名称】タカラベルモント株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000125347
【氏名又は名称】学校法人近畿大学
(74)【代理人】
【識別番号】100074273
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173222
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100151149
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 幸城
(72)【発明者】
【氏名】岡本 啓
(72)【発明者】
【氏名】榎本 明史
(72)【発明者】
【氏名】霜尾 明宏
【審査官】 今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−142445(JP,A)
【文献】 特開2000−298544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 19/00
A61G 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドクターテーブルの外面に仮想入力部を投影する投影手段と、前記仮想入力部に接近した指による操作を検知する検知手段と、前記検知手段が検知した前記操作に応じて制御対象を制御する制御手段とを具備し、前記仮想入力部は、前記ドクターテーブルの外面にメニュー画面、キーボード及びテンキーとして表示され、前記メニュー画面、キーボード及びテンキーの切換が可能となっていることを特徴とする歯科治療システム。
【請求項2】
ドクターテーブルの外面に表示部及び仮想入力部を投影する投影手段と、前記仮想入力部に接近した指による操作を検知する検知手段と、前記検知手段が検知した前記操作に応じて制御対象を制御する制御手段とを具備したことを特徴とする歯科治療システム。
【請求項3】
前記投影手段及び前記検知手段は位置及び向きの変更が可能な入力装置に一体的に組み込まれ、該入力装置の位置及び向きの変更に伴って前記仮想入力部の位置及び向きが変更されるようにしてある請求項1または2に記載の歯科治療システム。
【請求項4】
前記ドクターテーブルの側方に、前記操作を行うときにリストレストとなる把手が設けられている請求項1または2に記載の歯科治療システム。
【請求項5】
前記制御対象に、歯科治療椅子及び歯科治療器具を含む請求項1〜4の何れか一項に記載の歯科治療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば歯科医院等において用いられる歯科治療システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のドクターテーブルとして、図3及び図4(A)に示すように、ドクターテーブル13の天面14の前側に傾斜面が形成され、この傾斜面に歯科治療椅子、歯科治療器具9等の操作用のスイッチパネル15が設けられたものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−327559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のドクターテーブル13では、ドクターテーブル13を動かすためにドクターテーブル13の側方(前方)に設けられる把手16と、把手16の下方においてホルダ17に保持される歯科治療器具9とについての理想的な位置決めをスイッチパネル15が妨げることになる。
【0005】
すなわち、まず、ドクターテーブル13の天面14の前縁から把手16までの距離が短いほど歯科医師Dは治療中等に天面14の後部にまで容易に手を延ばすことができる。しかし、ドクターテーブル13の天面14の前縁と把手16の間にはスイッチパネル15が存在するため、天面14上に配置されるインスツルメントや薬瓶などを取り難く、特に天面14の後部に手が届き難くなってしまう。
【0006】
また、ドクターテーブルの前側(側方)に把手16とホルダ17とを設ける場合、ホルダ17に納まった歯科治療器具9が把手16からある程度離れているようにしておかなければ、歯科医師Dが把手16を握る際に極めて鋭利である歯科治療器具9のドリル先端に触れてしまう恐れがある。そのため、把手16と歯科治療器具9とを接近させるには限界があるが、図3及び図4(A)に示すドクターテーブル13では、この制限の他に、スイッチパネル15の操作の邪魔にならないように把手16を比較的低く配置しなければならないという制限も加わり、結果として、ホルダ17に納まった歯科治療器具9は理想的な位置からかなり下方に遠のいた位置において保持されることになる。従って、このドクターテーブル13では、把手16の操作性やホルダ17に対する歯科治療器具9の出し入れのし易さが犠牲になる傾向が強い。
【0007】
そこで、スイッチパネル15をドクターテーブル13の左右に配置したり、ドクターテーブル13から独立させた態様で配置することも考えられるが、これらの配置を採用すると、患者Pが移動する際にドクターテーブル13に衝突したり、スイッチパネル15の視認性及び操作性が損なわれたり、歯科医師Dの負担が増えたりする恐れがある。
【0008】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、ドクターテーブルの操作性の改善とドクターテーブル周りのスペース効率の向上とを図ることができる歯科治療システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る歯科治療システムは、ドクターテーブルの外面に仮想入力部を投影する投影手段と、前記仮想入力部に接近した指による操作を検知する検知手段と、前記検知手段が検知した前記操作に応じて制御対象を制御する制御手段とを具備し、前記仮想入力部は、前記ドクターテーブルの外面にメニュー画面、キーボード及びテンキーとして表示され、前記メニュー画面、キーボード及びテンキーの切換が可能となっていることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
また、本発明に係る歯科治療システムが、ドクターテーブルの外面に表示部及び仮想入力部を投影する投影手段と、前記仮想入力部に接近した指による操作を検知する検知手段と、前記検知手段が検知した前記操作に応じて制御対象を制御する制御手段とを具備したことを特徴とするものであってもよい(請求項2)。
【0011】
上記歯科治療システムにおいて、前記投影手段及び前記検知手段は位置及び向きの変更が可能な入力装置に一体的に組み込まれ、該入力装置の位置及び向きの変更に伴って前記仮想入力部の位置及び向きが変更されるようにしてあってもよい(請求項3)。
【0012】
上記歯科治療システムにおいて、前記仮想入力部は、前記ドクターテーブルの外面にメニュー画面、キーボード及びテンキーとして表示され、前記メニュー画面、キーボード及びテンキーの切換が可能となっていてもよい(請求項4)。
【0013】
上記歯科治療システムにおいて、前記ドクターテーブルの側方に、前記操作を行うときにリストレストとなる把手が設けられていてもよい(請求項5)。
【0014】
上記歯科治療システムが、前記制御対象に、歯科治療椅子及び歯科治療器具を含んでいてもよい(請求項6)。
【発明の効果】
【0015】
本願発明では、ドクターテーブルの操作性の改善とドクターテーブル周りのスペース効率の向上とを図ることができる歯科治療システムが得られる。
【0016】
すなわち、本願の各請求項に係る発明の歯科治療システムでは、図3及び図4(A)に示す従来のドクターテーブル13とは異なり、スイッチパネル15を設ける必要がなく、スイッチパネル15に代わる仮想入力部をドクターテーブルの天面に表示する。従って、例えばドクターテーブルの前方に、把手と、歯科治療器具を保持するためのホルダとを設ける場合、スイッチパネル15を省略して、ドクターテーブルの天面の前縁から把手までの距離を短くすることができ、ひいては歯科医師が天面の後部にまで手を延ばすことを容易とすることができる。
【0017】
しかも、本歯科治療システムでは、仮想入力部の表示位置を適宜調整すれば、把手を高い位置にもってきても仮想入力部を目安にした操作の邪魔にならず、故に把手の配置の自由度が上がり、把手の操作性を重視した配置が可能になる。その上、把手の配置の自由度が上がるのに伴ってホルダの設置自由度も上がり、ホルダに対する歯科治療器具の出し入れのし易さを追求したホルダの設置も可能となる。
【0018】
また、本歯科治療システムでは、仮想入力部を利用して種々の操作を簡便に行うことができ、仮想入力部が投影される部位をフラットな部位とすれば清掃等によって清潔に保つのが容易となる。
【0019】
さらに、本歯科治療システムでは、仮想入力部に対してある程度指を近接させると検知手段がその近接に対応する操作を検知するので、仮想入力部の投影面に触れることなく操作することも可能であり、投影面に対して非接触で操作を行う場合は投影面の清掃作業に掛かる負担を軽減することができる。もっとも、投影面に触れる方が操作を行い易いと感じるユーザー(歯科医師)もいると考えられ、ユーザーが如何にして本歯科治療システムを取り扱うかは専らユーザーに委ねられるのであって、非接触操作によって患者に与える清潔感を重視するか接触操作による使い勝手を重視するか等の違いに応じ、取扱い方(投影面に触れるか否か)についての選択の幅を持たせることができる点でも本歯科治療システムは優れているといえる。
【0020】
本願の請求項3に係る発明の歯科治療システムでは、ドクターテーブルの使用状況や歯科医師の作業位置等に応じて仮想入力部や表示部の投影位置を変更することが容易となり、使用性の点で一層の向上を図ることができる。
【0021】
本願の請求項4に係る発明の歯科治療システムでは、ドクターテーブルの外面に仮想入力部を投影するために必要なスペースを小さくすることができ、その分、広く余ったスペースを他の作業のために使えるので、作業効率の総合的な改善に資するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施の形態に係る歯科治療システムの構成を概略的に示す斜視図である。
図2】本発明の変形例に係る歯科治療システムの構成を概略的に示す斜視図である。
図3】従来のドクターユニット(歯科治療システム)の構成を概略的に示す説明図である。
図4】(A)及び(B)は、従来のドクターユニット及び本発明のドクターユニットの要部の構成を概略的に示す側面図である。
図5】(A)及び(B)は、本発明の他の変形例に係る歯科治療システムの要部の構成を概略的に示す説明図である。
図6】(A)及び(B)は、本発明のさらに他の変形例に係る歯科治療システムの要部の構成を概略的に示す上方からの斜視図及び下方からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら以下に説明する。
【0024】
本実施の形態に係る歯科治療システムは、図1に示すように、ドクターユニット1と、アシスタントユニット2と、歯科治療椅子3とを具備した歯科治療装置に適用されるものである。
【0025】
ドクターユニット1に、仮想入力部4をドクターテーブル5の天面14前部に投影する投影手段6と、仮想入力部4に接近した指による操作を検知する検知手段7と、モニター等の表示部8と、歯科治療器具(ハンドピース類)9とを設け、仮想入力部4を目安にした操作により、歯科治療装置自体や装置外部との有線または無線による情報の授受等に関する種々の制御を行えるように構成してある。
【0026】
本実施形態では、投影手段6によって投影される仮想入力部4は、ドクターテーブル5の外面にメニュー画面(スイッチ、アイコン、ダイアログボックス等を含む画面)、キーボード、テンキーとして表示され、メニュー画面、キーボード、テンキーは必要に応じて切換表示されたり一体表示(同時表示)されたりする。そして、仮想入力部4に接近した指による操作は検知手段7によって検知され、歯科治療システムの適宜の箇所に設けられた制御手段としての1台または複数台のコンピュータ(図示していない)が、検知手段7が検知した前記操作に応じて制御対象を制御するように構成されている。同時に、表示部8には、許容する制御内容や制御結果等が適宜表示される。
【0027】
以下、仮想入力部4として投影(表示)させることが考えられるメニュー画面中のメニューの具体例を列挙する。
【0028】
歯科治療椅子3の姿勢制御用メニューとしては、歯科治療椅子3の昇降、回転、背凭れ3aの起伏(リクライニングのON/OFF)、予めセットされた複数の特定ポジション(例えば、3段階の診療ポジションやうがいポジション、ラストポジション等)を取らせるためのプリセットオート動作、パワーヘッドレスト3bの昇降及び角度調整といったことを行わせるためのスイッチ、アイコン、ダイアログボックス等が挙げられる。また、これらのメニューに対応させて、表示部8には、歯科治療椅子3の姿勢や、予め設定しているプリセット姿勢を表示させることが考えられる。尚、例えばプリセット姿勢を変更可能に構成してもよい。
【0029】
歯科治療器具9の駆動制御用メニューとしては、冷却水、冷却空気、冷却スプレーの供給及び停止(ON/OFF)、冷却水の流量や冷却空気の圧力の調整、電気モータの回転方向の正逆の切換えや上限回転数の設定、ハンドピースライトのオン・オフといったことを行わせるためのスイッチ、アイコン、ダイアログボックス等が挙げられる。また、これらのメニューに対応させて、表示部8には、冷却水、冷却空気、冷却スプレーの供給及び停止(ON/OFF)、冷却水の流量や冷却空気の圧力、電気モータの回転数を表示させることが考えられる。さらに、これらのメニューが、歯科治療器具9をホルダ17から取り上げると自動的に仮想入力部4に表示されるようにしてもよい。
【0030】
アシスタントユニット2に設けられたオペレーティングライト(デンタルライト)10の制御用メニューとしては、オペレーティングライト10の光量調節やON/OFFを切り換えるためのスイッチ、アイコン、ダイアログボックス等が挙げられる。また、これらのメニューに対応させて、表示部8には、オペレーティングライト10に関する光量やON/OFFを表示させることが考えられる。
【0031】
アシスタントユニット2に設けられたスピットンボール11の制御用メニューとしては、患者がうがいをするためのコップへの給水や、スピットンボール11の洗浄を行うためのスイッチ、アイコン、ダイアログボックス等が挙げられる。
【0032】
その他、受付(レセプション)やスタッフへのコールスイッチを設けてもよい。この場合、表示部8には、連絡内容を表示させることも考えられる。
【0033】
また、データ管理のために電子カルテ(診療録)、問診内容を入力する場合や、デジタルX線システム、デジタル画像システムに所要事項を入力する場合等、専ら文書入力を行うようなときには、仮想入力部4として、キーボードを表示させることができる。
【0034】
上述した各メニューのうち、キーボード及びテンキー以外のメニューについては、例えば操作対象や操作内容を基準にして、歯科治療椅子3の操作(姿勢制御)モード、歯科治療器具9の操作(駆動制御)モードなどの複数のモードを設定し、かつ、一つのモードに多数のメニュー内容を含む場合は複数のモードに分け、各モードで表示するメニュー内容が例えば5〜6個以下となるように設定して、モード単位で切替表示するようにすると、仮想入力部4の表示に必要な面積の省スペース化によってドクターテーブル5の天面14の他のスペースの有効利用を図ることができ、かつ、必要なモードのみの表示によって仮想入力部4の視認性の向上にも資することができる。また、その場合は、例えばファンクションキー(機能キー)を別途表示するようにして、モード間の切替を容易に行えるようにすればよい。
【0035】
尚、本実施形態の歯科治療システム(主に、投影手段6、検知手段7、表示部8及び前記制御手段としてのコンピュータ)を起動するためのボタンは、仮想入力部4とは別に設ける必要があり、また、例えば歯科治療椅子3のプリセットオート動作を実行した後のキャンセルボタンは仮想入力部4とは別に設ける方が安全操作上好ましい。
【0036】
また、本実施形態の歯科治療システムが上述したような各機能を発揮するように、投影手段6、検知手段7、表示部8、前記制御手段としてのコンピュータ等を構成すればよく、これらの個々の構成については公知の構成を利用可能であり、冗長となるのでその詳しい説明は省略する。
【0037】
上記の構成からなる本実施形態の歯科治療システムでは、ドクターテーブル5の外面に投影した仮想入力部4を利用して種々の操作を簡便に行うことができ、操作時に触れられる可能性のあるドクターテーブル5の外面はフラットであるので清掃等によって清潔に保つのも容易である。
【0038】
また、本歯科治療システムでは、仮想入力部4に対してある程度指を近接させると検知手段7がその近接に対応する操作を検知するので、ドクターテーブル5の外面に触れることなく操作することも可能であり、非接触で操作を行う場合はドクターテーブル5の外面の清掃作業に掛かる負担を軽減することができる。もっとも、ドクターテーブル5に触れる方が操作を行い易いと感じるユーザー(歯科医師)もいると考えられ、ユーザーが如何にして本歯科治療システムを取り扱うかは専らユーザーに委ねられるのであって、非接触操作によって患者に与える清潔感を重視するか接触操作による使い勝手を重視するか等の違いに応じ、取扱い方(ドクターテーブル5に触れるか否か)についての選択の幅を持たせることができる点でも本歯科治療システムは優れているといえる。勿論、ドクターテーブル5において仮想入力部4が投影される部分に使い捨て(交換)可能な抗菌シートを敷いて(貼って)操作時にはそのシートに触れるようにし、かつ、例えば患者が変わる毎にそのシートを交換するようにしてもよい。
【0039】
図3及び図4(A)に示す従来のドクターテーブル5とは異なり、本歯科治療システムのドクターテーブル5にはスイッチパネル15を設ける必要がなく、スイッチパネル15に代わる仮想入力部4をドクターテーブル5の天面14に表示する。従って、図4(B)に示すように、天面14の前縁から把手16までの距離を短くすることができ、ひいては歯科医師Dが天面14の後部にまで手を延ばすことを容易とすることができる。また、仮想入力部4の表示位置を適宜調整すれば、把手16を高い位置にもってきても仮想入力部4に対する操作の邪魔にならず、故に把手16の配置の自由度が上がり、把手16の操作性を重視した配置が可能になる上、把手16を、仮想入力部4を目安にした操作を行うときにリストレストとなるように配置することもできる。さらに、把手16の配置の自由度が上がるのに伴ってホルダ17の設置自由度も上がり、ホルダ17に対する歯科治療器具9の出し入れのし易さを追求したホルダ17の設置も可能となる。
【0040】
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
【0041】
上記実施の形態では、投影手段6によって仮想入力部4のみを投影する例を示したが、表示部8をも投影するようにしてもよい。図2に、ドクターテーブル5の外面に仮想入力部4と表示部8とを併せて投影するようにした例を示す。
【0042】
ここで、図1図2に示す何れの例でも、投影手段6はドクターテーブル5の天面のみに投影するように構成しているが、これに限らず、投影手段6がドクターテーブル5以外の適宜の部位(例えばアシスタントユニット2)に投影するように構成してもよい。
【0043】
仮想入力部4として投影(表示)されるのがメニュー画面、キーボード又はテンキーの何れかのみであってもよい。
【0044】
把手16の例えば基部側に適宜のスライド機構や回動機構等を設け、把手16を前後あるいは上下方向に移動可能としたり、天面14の前縁と水平な軸回りに回動(起伏)可能としたりして、把手16の位置を変更することができるようにしてもよい。同様に、ホルダ17についても、位置を変更することができるようにしてもよい。
【0045】
図5(A)及び(B)に示すように、投影手段6及び検知手段7を、位置及び向きの変更が可能な入力装置18に一体的に組み込み、入力装置18の位置及び向きの変更に伴って仮想入力部4や表示部8の位置及び向きが変更されるようにしてあってもよい。このように構成した場合、ドクターテーブル5の使用状況や歯科医師Dの作業位置等に応じて仮想入力部4や表示部8の投影位置を変更することが容易となり、使用性の点で一層の向上を図ることができる。
【0046】
因みに、図5(A)及び(B)に示す例では、ドクターテーブル5の天面14(天板)の縁材によって構成されたレール19に案内されるブラケット状の移動ステージ20の上側に入力装置18を設けてある。従って、レール19に案内される移動ステージ20とともに入力装置18を移動させることができる。また、入力装置18は、移動ステージ20に立設した支柱21により、昇降可能かつ支柱21の軸心まわりに回動可能に保持され、入力装置18の高さ位置及び向きの変更及び固定のために図外のロック機構が設けられている。なお、レール19による移動ステージ20の案内機構(レール式案内機構)や、支柱21による入力装置18の支持機構等は公知のものを採用可能であり、また、入力装置18の位置及び角度を変更するための手段として、例えば多関節アーム(リンク機構)等の他の機構を用いることもできる。
【0047】
図5(A)及び(B)に示した例では入力装置18が天面14に沿って移動するのみであるが、例えば図6(A)及び(B)に示すように、ドクターテーブル5が天面14に連なる側面22を有している場合、入力装置18が天面14と側面22とにわたって移動し、天面14及び側面22の何れにも仮想入力部4や表示部8を投影することができるようにしてもよい。因みに、図6(A)及び(B)に示す例では、移動ステージ23が、天面14及び側面22の裏面側に設けられたレール24に案内されて移動するように構成されている。
【0048】
図5及び図6に示した例において、入力装置18を所望の位置で停止させるための機構を設けてもよい。また、移動ステージ20,23を電力で移動させるための手段(例えばモータと、モータで駆動する車輪やチェーン、ベルト等)を設け、仮想入力部4に対する操作に伴って入力装置18が所望の位置にまで自動的に移動するようにしてもよい。
【0049】
なお、上記変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0050】
1 ドクターユニット
2 アシスタントユニット
3 歯科治療椅子
3a 背凭れ
3b パワーヘッドレスト
4 仮想入力部
5 ドクターテーブル
6 投影手段
7 検知手段
8 表示部
9 歯科治療器具
10 オペレーティングライト
11 スピットンボール
13 ドクターテーブル
14 天面
15 スイッチパネル
16 把手
17 ホルダ
18 入力装置
19 レール
20 移動ステージ
21 支柱
22 側面
23 移動ステージ
24 レール
D 歯科医師
P 患者

図1
図2
図3
図4
図5
図6