(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1制御装置は、前記予め定められたキーデータを複数のデータセグメントに分割し、該データセグメントに対応する前記光源を該データセグメントの値に応じて点灯又は消灯させて前記発光部から該キーデータに対応するスペクトルパターンの光を発光させる請求項1に記載の光学的セキュリティーシステム。
前記第1制御装置は、キーデータを予め定められた長さの複数のフレームに分割し、各フレームに対して時系列に、該フレームに含まれるデータセグメントに対応する前記光源を該データセグメントの値に応じて点灯又は消灯させて、フレーム毎のスペクトルパターンを順次発光させる請求項1に記載の光学的セキュリティーシステム。
前記複数の光源のうちのひとつは照明用スペクトルを有する光を発するよう構成され、又は、該複数の光源のうちの予め定められたふたつ以上の光源からの光を合成したスペクトルパターンが照明用スペクトルを有するよう構成された請求項1に記載の光学的セキュリティーシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光を用いた鍵では、発光された光を受光して解析することで鍵情報の複製が比較的容易である。例えば、光の点滅パターンを鍵とした場合、受光部の前で鍵から点滅パターンを出力させれば受光部で鍵となる点滅パターンを得ることができ、鍵を複製しやすい。
【0005】
また、特許文献1のように、鍵に設けた複数の反射面に光を照射し、反射光のパターンによりセキュリティー機能を実現する技術では、反射面構造の複製により鍵としての構造が複製可能である。また、特許文献1に開示された鍵の発光部自体は、鍵としてしか機能しない。
【0006】
本発明に係る具体的態様は、鍵を複製しにくい光学的セキュリティーシステム及び該光学的セキュリティーシステムにおける送信装置を提供することを目的のひとつとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一態様の光学的セキュリティーシステムは、(a)各々が所定の
互いに異なるスペクトル
形状の光を発する複数の光源を有し、該複数の光源のうち少なくともふたつからの
前記互いに異なるスペクトル形状の光
が合成
された状態のスペクトルパターンの光を発する発光部と、(b)
1フレーム内に含まれるふたつ以上のビットの各論理値が1となるように予め定められたキーデータに応じて複数の光源の点灯及び消灯を制御して、該キーデータに対応するスペクトルパターンの光を発光部から発光させる第1制御装置と、(c)該スペクトルパターンの光を受光する受光部と、(d)予め定められたキーデータに対応するスペクトルパターンの波形データが予め記憶された記憶部と、(e)受光部で受光された光のスペクトルパターンと、記憶部に記憶された波形データとを照合し、一致する場合にセキュリティーを解除する第2制御装置とを備える。
【0008】
上述の光学的セキュリティーシステムによれば、鍵を複製しにくい光学的セキュリティーシステムを提供できる。
【0009】
上述の光学的セキュリティーシステムにおいて、例えば、複数の光源
は、前記互いに異なるスペクトル形状で発光するように蛍光体のブレンドが調整されたLEDであってもよい。
【0010】
これにより、異なるスペクトル形状の複数の光を合成して複数種類のスペクトルパターンを得ることができる。
【0011】
上述の光学的セキュリティーシステムにおいて、例えば、第1制御装置は、予め定められたキーデータを複数のデータセグメントに分割し、該データセグメントに対応する光源を該データセグメントの値に応じて点灯又は消灯させて発光部から該キーデータに対応するスペクトルパターンの光を発光させる。
【0012】
これにより、キーデータを構成するデータセグメントと光源が対応し、データセグメントの値に応じて光源を点灯及び消灯すれば所望のスペクトルパターンの光を出力できる。
【0013】
上述の光学的セキュリティーシステムにおいて、例えば、第1制御装置は、キーデータを予め定められた長さの複数のフレームに分割し、各フレームに対して時系列に、該フレームに含まれるデータセグメントに対応する光源を該データセグメントの値に応じて点灯又は消灯させて、フレーム毎のスペクトルパターンを順次発光させる
【0014】
これにより、キーデータのデータ長が長い場合であってもフレームに分割して発光でき、キーデータのデータ長の制限をなくすことができる。キーデータを長くすることによりセキュリティー強度も増し、一層複製されにくくなる。
【0015】
上述の光学的セキュリティーシステムにおいて、例えば、データセグメントは、ビット列で表されたキーデータの各ビットに対応する。
【0016】
これにより、キーデータを構成する各ビットと光源が対応し、ビットの値に応じて光源を点灯及び消灯すれば所望のスペクトルパターンの光を出力できる。ビットの値(1又は0)と光源の点灯及び消灯が対応するため、制御が容易である。
【0017】
上述の光学的セキュリティーシステムにおいて、例えば、複数の光源のうちのひとつは照明用スペクトルを有する光を発するよう構成され、又は、該複数の光源のうちの予め定められたふたつ以上の光源からの光を合成したスペクトルパターンが照明用スペクトルを有するよう構成される。
【0018】
これにより、鍵としての送信側の装置の光源を照明用としても使用できる。このように照明用としても使用できるように、スペクトルパターンを設計し、設計されたスペクトルパターンを構成できるように各光源のスペクトルを定める。
【0019】
上述の光学的セキュリティーシステムにおいて、例えば、スペクトルパターンは、予め定められた複数の周波数と、該周波数成分の強度とで特定される。
【0020】
これにより、送信側と受信側で注目する周波数と強度を限定して照合でき、受光したスペクトルパターンが認識しやすくなるとともに処理負荷を軽減できる。
【0021】
本発明に係る一態様の送信装置は、受信装置でキーデータに対応するスペクトルパターンの光を受信してセキュリティーを解除するシステムにおけるキーデータの送信装置であって、(a)各々が所定の
互いに異なるスペクトル
形状の光を発する複数の光源を有し、該複数の光源のうち少なくともふたつからの
前記互いに異なるスペクトル形状の光
が合成
された状態のスペクトルパターンの光を発する発光部と、(b)
1フレーム内に含まれるふたつ以上のビットの各論理値が1となるように予め定められたキーデータに応じて複数の光源の点灯及び消灯を制御して、該キーデータに対応するスペクトルパターンの光を発光部から発光させる第1制御装置とを備える。
【0022】
上述の送信装置によれば、鍵を複製しにくい光学的セキュリティーシステムの送信装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本実施形態の光学的セキュリティーシステムは、キーデータ(鍵データ)に対応するスペクトルパターンの光を発する送信装置と、送信装置からの光と予め記憶されたキーデータとを照合して、鍵を施錠及び開錠する受信装置とを備える。本実施形態では、キーデータを光のスペクトルの形態により送信装置から受信装置へ伝達する。光のスペクトルの形態は、例えば、ピーク周波数の数と位置、及び、ピーク周波数での光の強さが予め定められている。
【0025】
図1は、一実施形態の光学的セキュリティーシステムにおける送信装置の構成を示すブロック図である。本セキュリティーシステムの送信装置は、発光部11と第1制御装置12を備える。また、送信装置は、キーデータ入力用インタフェース13と、送信スイッチ14と、バッテリ15と、制御装置電源16と、LED電源(光源用電源)17とを備える。
【0026】
発光部11は、各々が所定のスペクトルの光を発する複数の光源を有する。発光部11は、複数の光源のうち少なくともふたつからの光を合成したスペクトルパターンの光を出力する。発光部11は、各光源からの光を合成する合成部を有してもよい。各光源からの光は、スペクトル形状が異なることが好ましいが、複数の光源のうちのいくつかは同じスペクトル形状でもよい。光源は例えばLEDを用いることができ、本実施形態ではLED110を用いた例で説明する。
【0027】
第1制御装置12は、例えば、フラッシュメモリー等の記憶部121と、スペクトルエンコーダ122を有する。第1制御装置12は、複数のLED110の点灯及び消灯を制御して、予め定められたキーデータに対応するスペクトルパターンの光を発光部11から発光させる。記憶部121にはキーデータが記憶される。
【0028】
キーデータ入力用インタフェース13は、例えば送信装
置がキーデータを入力して記憶部121に記憶するための入力インタフェースである。送信スイッチ14は、スイッチが押されることにより発光トリガを第1制御装置12に出力して、発光部11からキーデータに対応する光を発光させるためのスイッチである。なお、後述する照明用の光を出力するための照明スイッチをさらに備えてもよい。発光部11及び第1制御装置12はそれぞれ、制御装置電源15とLED電源(光源用電源)17により電力供給され、各電源が使用する電力はバッテリ15に蓄電されている。
【0029】
図2は、LEDパッケージの正面図である。一例として、2個以上のチップのLED110が1つのパッケージにレイアウトされる。
図2は4個のLED110が1つのパッケージにレイアウトされた例を示す。なお、1つのパッケージに1チップのLED110を配置し、複数のパッケージをレイアウトするなど、適宜LEDをレイアウトしてもよい。これらのLEDチップには予め識別番号が割り当てられている(
図2の例では1〜4)。この識別番号は、例えばキーデータを構成するフレームのビット番号に対応する。各LEDチップには、任意のブレンドで調整された蛍光体が付加されており、それぞれが独自のピークを有するスペクトルを発光することができる。
【0030】
図3は、各LEDが発する光のスペクトルの説明図である。
図4は、各LEDが発した光を合成した光のスペクトルパターンを示す説明図である。
図3では、理解を容易にするため、送信するデータが3ビットであり、各LEDが各ビットに対応する場合を例に説明する。図示の例では、3ビットのうち一番右のビット(Bit:0)が図中右下のスペクトルを発するLED1に対応し、同様に、中央のビット(Bit:1)が図中左下のスペクトルを発するLED2に対応し、一番左のビット(Bit:2)が図中左上のスペクトルを発するLED3に対応する。例えば、注目する周波数(キー周波数)を複数個所決めておく。例えば
図3の例では3か所のキー周波数が設定されている。キー周波数は受信側での認識に使用される。各キー周波数におけるピーク値をそれぞれ設定し、そのようなスペクトルを発光するように蛍光体のブレンドを調整してLEDを作成する。なお、このようなスペクトルで発光可能なLEDチップであれば蛍光体はなくてもよい。
【0031】
本実施形態では、一例として、注目する各周波数におけるピークの高さを3段階(例えば最大、半値、ゼロ)に設定する。これにより、受信装置で波形照合を行う際に一致と不一致の区別をしやすくし、かつ、外光混入やLED又は受光素子の汚れ又は劣化があったとしても、より確実な照合が可能になる。なお、ピークの高さは2段階でもよい。この場合、認識は容易になるが、各LEDからの光を合成した際のスペクトルパターンが単純になるため、セキュリティー強度が下がる。一方、ピークの高さは4段階以上でも可能である。このように段階を多くすると受信側で認識しづらくなる場合もある。
【0032】
3ビットのデータのうち、値が「1」のビットに対応するLEDを点灯させ、値が「0」のビットに対応するLEDを消灯させて各LEDからの光を合成すると、3ビットのデータは
図4に示すスペクトルパターンの光として出力される。例えば、3ビットのデータが「011」の場合、LED1とLED2から
図3の右下及び左下のスペクトルの光がそれぞれ発光され、これらの光を合成すると
図4(a)のスペクトルパターンを有する光となる。3ビットのデータが「101」、「110」及び「111」の場合も同様に、対応するLEDから発光され、これらの光を合成するとそれぞれ
図4(b)〜(d)のスペクトルパターンを有する光となる。なお、上述の例以外にも予め定められたデータ(キーデータ)に対応するスペクトルパターンの光を発光部11から発光する他の構成を用いることもできる。
【0033】
図5は、キーデータと発光される光のスペクトルパターンの関係を示す説明図である。
図6は、データとスペクトルパターンの対応関係を示す説明図である。ここでは、再び4つのLEDチップを用いる例で説明する。4つのLEDチップからの光を合成すると、すべてが消灯する場合を含めて16通りのスペクトルパターンの光が発光できる。LEDをキーデータの送信だけでなく照明としても使用する場合は、少なくともひとつのLEDチップが照明に適したスペクトルを有しているか、又は、複数個のLEDチップから発光して合成した際に照明に適したスペクトルになればよい。
図6に示す例では、4つのLEDチップを全て点灯したときに照明に適したスペクトル(例えば白色)になるようにしている。
【0034】
記憶部121に記憶されるキーデータは受信装置に伝える情報であり、例えばLEDチップ数と同じビット数を1つのフレームとし、全体としてはnフレーム(nは自然数)のビット列である。図中の例では4チップのLEDが4ビットに対応し、4ビットを1フレームとしている。キーデータ全体の長さはLEDチップ数×nとなる。なお、キーデータは複数フレームを有する場合について説明するが、1フレームで構成されてもよい。
【0035】
ここで、単一のLEDを発光させた場合には、外部からスペクトルを傍受されて複製されやすいため、本実施形態では1フレーム内に2ビット以上が1となっているようにキーデータを生成する。このように、2種類以上のスペクトルが合成された状態で発光部11から発光させる。これにより、傍受したスペクトルから個別のオリジナルスペクトルを分離することが困難となる。なお、オリジナルのキーデータは暗号化されて送信されてもよい。例えば、スペクトルエンコーダ122に暗号化処理を行う機能を組み込んでもよい。
【0036】
スペクトルエンコーダ122は、キーデータに基づいて各LEDを駆動/発光させる回路である。例えば、スペクトルエンコーダ122は、記憶部121に記憶されたキーデータを読み出して、複数のフレームに分割する。
図5の例では4ビットずつのフレームに分割する。スペクトルエンコーダ122は、最初のフレームに対してフレーム中の各ビットの値に応じて、対応するLED110を予め定められた時間発光させて、該当フレームのスペクトルパターンを発光させる。例えば、
図5の例ではフレーム「1001」に対してLED1とLED4を点灯し、これらのLEDからの光のスペクトルが合成されたスペクトルパターンの光が発光部11から出力される。その後、スペクトルエンコーダ122は、次のフレームに対して同様の処理を行い、発光するスペクトルパターンを順次切り替え、これをキーデータの最後まで繰り返して実行する。スペクトルパターンを切り替える時間間隔は、一例として1フレームあたり1msecであるが、これ以外にも予め定められた任意の時間間隔でもよい。
【0037】
スペクトルエンコーダ122は、プログラムによるマイコン制御でも実現可能であるが、高速伝送を行うに場合にはASIC(application specific integrated circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)のような専用のハードウェア制御が望ましい。また、正しくエンコードするために、1フレーム内のビット数、又は、キーデータのデータ長と分割後のフレーム数をあらかじめ定めておく。この設定を、インタフェースを介して外部から任意に設定及び変更できるようにしておけば、セキュリティーとしての安全性は高くなる。なお、上述の例ではデータの1ビットが1つのLEDに対応したが、必ずしも1ビットが1つのLEDに対応していなくてもよい。例えば、複数ビットで構成されるデータセグメントがLEDに対応してもよい。例えば、2ビットのデータセグメント「01」がLED1に対応し、「10」がLED2、「11」がLED3に対応するようにしてもよい。
【0038】
図7は、一実施形態の光学的セキュリティーシステムにおける受信装置の構成を示すブロック図である。本セキュリティーシステムの受信装置は、受光部21と第2制御装置22を備える。また、受信装置は、キーデータ入力用インタフェース23と、受光部電源24と、バッテリ25と、制御装置電源26と、外部接続インタフェース27とを備える。第2制御装置22は、スペクトルデコーダ221と、データ照合部222と、フラッシュメモリー等の記憶部223を有する。
【0039】
受光部21は、送信装置から発光されたスペクトルパターンの光を受光する。送信装置がフレーム毎のスペクトルパターンを発光する場合、受光する光も所定の時間間隔でスペクトルが変化する。スペクトルが変化する時間間隔は予め定められ、受信装置に記憶しておくことができる。最初のスペクトルパターンの光をより正確に受光するために、及び、スペクトルが変化するタイミングをより正確に把握するために、スペクトルパターンの光を発光する前に所定の光(例えばパルス光)を発光したり、連続光を発光してスペクトルパターンの発光前に瞬時消灯するなど、適宜の識別光を発光及び受光するようにしてもよい。
【0040】
第2制御装置22は、受光部21で受光された光のスペクトルパターンと、記憶された波形データとを照合し、一致する場合にセキュリティーを解除する。例えば、スペクトルデコーダ221は、スペクトルパターンを表す波形データと、対応するデータを含むデータ変換テーブルを有する。
図9にデータ変換テーブルの構成例を示す。スペクトルパターンを表す波形データは、例えば、予め定められたキー周波数毎の光の強度データを含む。本実施形態では、光の強さは1、1/2、0の3段階としている。なお、本実施形態ではデータ変換テーブルは、スペクトルデコーダ221に記憶されるが、記憶部223に記憶されてもよいし、第2制御装置22の外部に記憶されてもよい。
【0041】
スペクトルデコーダ221は、受光部21で受光された光のスペクトルパターンと、記憶された波形データとを照合し、一致する波形データに対応するデータを取得する。データ照合部222は、取得されたデータと記憶部223に予め記憶されたキーデータとを照合して、一致する場合にセキュリティーを解除する。
【0042】
キーデータ入力用インタフェース23は、例えば受信装置がキーデータを入力して記憶部223に予め記憶するための入力インタフェースである。受光部21及び第2制御装置22はそれぞれ、受光部電源24と制御装置電源26により電力供給され、各電源が使用する電力はバッテリ25に蓄電されている。外部接続インタフェース27は、例えば外部の施錠機構と接続され、受光部21で受光した光のスペクトルパターンと、記憶部223に記憶されたキーデータとが一致する場合に外部の施錠機構を解除するための開錠信号を送信するインタフェースである。なお、鍵がかけられる対象は、ドアの開閉などに用いられる物理的な施錠装置の他、データのロック、システムへのログインなど論理的なものでもよい。
【0043】
図8は、受光される光のスペクトルパターンのデコード処理の説明図である。スペクトルデコーダ221は、受光した1フレームのスペクトルパターンをスペクトルデコーダ221に予め記憶されているスペクトル波形データと照合する。例えば、スペクトルデコーダ221は、上述のデータ変換テーブルを参照して、受光した光のスペクトルパターンと一致する波形データを特定する。一例として、スペクトルデコーダ221は、受光した光の各キー周波数における光の強度を、予め定められた閾値に従い3段階に分類し、キー周波数毎の光の強度データと、上述のデータ変換テーブルの波形データを比較して、一致する波形データを特定する。スペクトルデコーダ221は、特定した波形データに対応するデータ(ビット列)を取得する。取得されたデータは1フレーム分のデータであり別途記録しておく。スペクトルデコーダ221は、次に受光したフレームについて同様にスペクトル照合を行う。この動作を全フレーム分実行し、すべてのフレームを並べたキーデータ(デコードされたデータ。送信されたキーデータ)を求める。
【0044】
データ照合部222は、取得したキーデータと、記憶部223に予め記録されていたキーデータと照合する。このとき、送信側で暗号化されたキーデータを送信した場合には、データ照合部222は、元に戻すための復元処理(復号化)を行ってから照合を行う。照合の結果、キーデータが合致すればセキュリティー解除(開錠)となる。
【0045】
なお、送信側と受信側に、スイッチなどを用いてキーデータを外部から随時変更可能なユーザーインターフェース23を設ければ、キーデータを随時(ランダムに)変更できるため、毎回同じキーデータを使用する場合と比較してセキュリティーとしての安全性はさらに高くなる。
【0046】
なお、上述の例では、受信された光のスペクトルパターンをスペクトルデコーダ221でデータに変換し、変換されたデータと記憶されたキーデータとをデータ照合部222で照合したが、受信装置での照合はこれに限らず適宜の手法で行うことができる。例えば、まず、受信装置において、記憶されたキーデータをフレームに分割して、各フレーム対応する波形データを特定する。そして、受光したフレーム毎のスペクトルパターンと、特定された波形データ(キーデータに対応する波形データ群)を順次照合して時系列のスペクトルパターンがキーデータに一致するか否かを判断してもよい。
【0047】
また、上述の例では、鍵を開ける場合を説明したが、鍵をかける場合も同様である。
【0048】
本実施形態によると、時間経過により変化する、物性に依存しない独自のスペクトルにより情報を伝達するため、外部から何らかの方法で光を傍受されたとしても、それを復元し同じ光を発生させることは難しく、鍵が複製されにくい。また、キーデータには長さの制限がなく、1フレームが何ビットであるかつきとめることも難しい。また、本実施形態によると、LEDを光源とする器具であればこの機能を組み込む事ができ、組み込める対象器具が多い。例えば、携帯電話では撮影用LEDライトを搭載している場合が多いが、本実施形態の光認証の機能を持たせる事により、外出時など携帯電話さえ持っていれば鍵は必要なくなる。
【0049】
本実施形態によると、全てのLEDチップが点灯すれば照明用白色になるように蛍光体のブレンドを調整でき、または、使用する複数のLEDのうちいずれか1つを照明用白色にすれば、鍵として使用しない時は照明として使用可能である。
【0050】
なお、本実施形態のセキュリティーシステムの送信装置は、例えば、LED等の光源を有する装置に適用可能である。例えば、携帯電話、スマートフォン、カメラ、ビデオカメラ、照明器具などに適用可能である。また、LED照灯を持つ車両、道路信号設備、空港誘導管制および警備設備、鉄道信号設備、電信電話設備(光通信)等にも適用可能である。本実施形態のセキュリティーシステムは、一般的な鍵を含むセキュリティーシステムだけでなく、銀行および公的機関での本人認証補助システムなど、他のシステムにも適用可能である。