特許第6161350号(P6161350)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6161350
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】電界効果トランジスタ構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20170703BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20170703BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20170703BHJP
   H01L 21/8238 20060101ALI20170703BHJP
   H01L 27/092 20060101ALI20170703BHJP
【FI】
   H01L29/78 301X
   H01L29/78 618C
   H01L29/78 618E
   H01L29/78 618F
   H01L27/092 C
【請求項の数】4
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-58507(P2013-58507)
(22)【出願日】2013年3月21日
(65)【公開番号】特開2013-197596(P2013-197596A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2016年1月22日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0028996
(32)【優先日】2012年3月21日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】13/615,671
(32)【優先日】2012年9月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 昌 佑
(72)【発明者】
【氏名】姜 明 吉
(72)【発明者】
【氏名】金 範 洙
(72)【発明者】
【氏名】尹 鍾 植
【審査官】 小堺 行彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−045245(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0121404(US,A1)
【文献】 特表2011−527124(JP,A)
【文献】 特表2009−521113(JP,A)
【文献】 特開2007−059427(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0263795(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0090416(US,A1)
【文献】 特開2007−305827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 21/8238
H01L 27/092
H01L 29/78
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の素子分離膜と、
前記基板から延長され、前記素子分離膜から突出したフィンとを有し、
前記フィンは、第1濃度の不純物でドーピングされた閾値電圧調節領域と、
前記第1濃度より低い濃度の第2濃度の不純物でドーピングされたキャリヤー領域を含み、
前記閾値電圧調節領域及び前記キャリヤー領域を含む前記フィンの総幅は10nmより小さく、
前記キャリヤー領域は前記フィンの内側部分を含み、前記閾値電圧調節領域は前記内側部分の上に成長した前記フィンの外側部分を含むことを特徴とする電界効果トランジスタ構造。
【請求項2】
前記閾値電圧調節領域及び前記キャリヤー領域を含む前記フィンの総幅は、前記フィンにボリュームインバージョンが発生する部分より小さく、
前記キャリヤー領域は前記フィンの内側部分を含み、前記閾値電圧調節領域は前記内側部分の上に成長した前記フィンの外側部分を含むことを特徴とする請求項1に記載の電界効果トランジスタ構造。
【請求項3】
前記第2濃度の不純物は、第1濃度の不純物から拡散された不純物を含むことを特徴とする請求項1に記載の電界効果トランジスタ構造。
【請求項4】
前記第2濃度の不純物は、前記第1濃度の不純物の10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の電界効果トランジスタ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電界効果トランジスタに関し、より詳細にはフィン電界効果トランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
小型化、多機能化、及び/又は低い製造単価等の特性によって、半導体素子は電子産業で重要な要素として脚光を浴びている。
半導体装置は、論理データを格納する半導体記憶装置、論理データを演算処理する半導体論理装置、及び記憶要素と論理要素とを含むハイブリッド(hybrid)半導体装置等に区分され得る。
【0003】
電子産業が高度に発展することにしたがって、半導体装置の特性に対する要求が段々増加されている。
例えば、半導体装置に対する高信頼性、高速化、及び/又は多機能化等に対して要求が段々増加しているという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0059584号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の半導体装置における問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、移動度特性を向上させることができる電界効果トランジスタ構造を提供することにある。
本発明の他の目的は、閾値電圧分布を改善できる電界効果トランジスタ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明による電界効果トランジスタ構造は、基板上の素子分離膜と、前記基板から延長され、前記素子分離膜から突出したフィンとを有し、前記フィンは、第1濃度の不純物でドーピングされた閾値電圧調節領域と、前記第1濃度より低い濃度の第2濃度の不純物でドーピングされたキャリヤー領域を含み、前記閾値電圧調節領域及び前記キャリヤー領域を含む前記フィンの総幅は10nmより小さく、前記キャリヤー領域は前記フィンの内側部分を含み、前記閾値電圧調節領域は前記内側部分の上に成長した前記フィンの外側部分を含むことを特徴とする。
【0007】
記閾値電圧調節領域及び前記キャリヤー領域を含む前記フィンの総幅は、前記フィンにボリュームインバージョンが発生する部分より小さく、前記キャリヤー領域は前記フィンの内側部分を含み、前記閾値電圧調節領域は前記内側部分の上に成長した前記フィンの外側部分を含むことが好ましい。
前記第2濃度の不純物は、第1濃度の不純物から拡散された不純物を含むことが好ましい。
前記第2濃度の不純物は、前記第1濃度の不純物の10%以下であることが好ましい。

【発明の効果】
【0008】
本発明に係る電界効果トランジスタ構造によれば、移動度特性を向上させることができるという効果がある。
また、閾値電圧散布を改善できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態によるフィン電界効果トランジスタの斜視図である。
図2図1のA−A’線に沿った断面図である。
図3図1のB−B’線に沿った断面図である。
図4図2のフィン部分及びこれと隣接する領域の拡大図である。
図5】本発明の実施形態によるフィン電界効果トランジスタの平面図である。
図6図5のC−C’線に沿った断面図である。
図7】本発明の実施形態によるフィン電界効果トランジスタの平面図である。
図8図7のC−C’線に沿った断面図である。
図9】本発明の実施形態によるフィン電界効果トランジスタの平面図である。
図10図9のC−C’線に沿った断面図である。
図11】本発明の実施形態によるフィン電界効果トランジスタの平面図である。
図12図11のC−C’線に沿った断面図である。
図13】本発明の一実施形態によるフィン電界効果トランジスタの製造方法を説明するための斜視図である。
図14】本発明の一実施形態によるフィン電界効果トランジスタの製造方法を説明するための斜視図である。
図15】本発明の一実施形態によるフィン電界効果トランジスタの製造方法を説明するための斜視図である。
図16】本発明の一実施形態によるフィン電界効果トランジスタの製造方法を説明するための斜視図である。
図17】本発明の一実施形態によるフィン電界効果トランジスタの製造方法を説明するための斜視図である。
図18】本発明の一実施形態によるフィン電界効果トランジスタの製造方法を説明するための斜視図である。
図19】本発明の一実施形態によるフィン電界効果トランジスタの製造方法を説明するための斜視図である。
図20】本発明の一実施形態によるフィン電界効果トランジスタの製造方法を説明するための断面図である。
図21】本発明の一実施形態によるフィン電界効果トランジスタの製造方法を説明するための断面図である。
図22】本発明の一実施形態によるフィン電界効果トランジスタの製造方法を説明するための斜視図である。
図23】本発明の一実施形態によるフィン電界効果トランジスタの製造方法を説明するための断面図である。
図24】本発明の一実施形態によるフィン電界効果トランジスタの製造方法を説明するための断面図である。
図25】本発明の一実施形態によるフィン電界効果トランジスタの製造方法を説明するための斜視図である。
図26】本発明の一実施形態によるフィン電界効果トランジスタの製造方法を説明するための断面図である。
図27】本発明の一実施形態によるフィン電界効果トランジスタの製造方法を説明するための断面図である。
図28】本発明の一実施形態によるフィン電界効果トランジスタの製造方法を説明するための斜視図である。
図29】本発明の一実施形態によるフィン電界効果トランジスタの製造方法を説明するための断面図である。
図30】本発明の一実施形態によるフィン電界効果トランジスタの製造方法を説明するための断面図である。
図31】本発明の他の実施形態によるフィン電界効果トランジスタの斜視図である。
図32図31のA−A’線に沿った断面図である。
図33図31のB−B’線に沿った断面図である。
図34】本発明の他の実施形態による半導体層の形成方法を説明するための斜視図である。
図35】本発明のその他の実施形態によるフィン電界効果トランジスタの断面図である。
図36】本発明のその他の実施形態によるフィン電界効果トランジスタを説明するための断面図である。
図37】本発明のその他の実施形態によるフィン電界効果トランジスタを説明するための断面図である。
図38図36のフィン部分及びその隣接領域の拡大図である。
図39】本発明のその他の実施形態によるフィン電界効果トランジスタの斜視図である。
図40図39のA−A’線に沿った断面図である。
図41図39のB−B’線に沿った断面図である。
図42】本発明の実施形態によるフィン電界効果トランジスタを含むCMOSSRAMセルの回路図である。
図43】本発明の実施形態によるフィン電界効果トランジスタを含む電子システムのブロック図である。
図44】本発明の実施形態によるナノワイヤを含むゲートオールアラウンド形構造の斜視図である。
図45】本発明の実施形態によるオメガ(Ω)形状の構造の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明に係る電界効果トランジスタ構造及びこれを含む半導体装置並びに集積回路装置を実施するための形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
【0011】
本発明の長所及び特徴、そしてそれらを達成する方法は添付する図面と共に詳細に後述する実施形態を参照すれば明確になる。しかし、本発明は以下で開示する実施形態に限定されなく、異なる多様な形態に具現でき、単なる本実施形態は本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されることであり、本発明は請求項の範疇によって定義される。明細書の全文に掛けて同一参照符号は同一構成要素を称する。
【0012】
本明細書で、導電性膜、半導体膜、又は絶縁性膜等のいずれかの物質膜が他の物質膜又は基板“上”にあると言及される場合に、そのいずれの物質膜は他の物質膜又は基板の上に直接形成され得るか、或いはこれらの間にその他の物質膜が介在することもあり得ることを意味する。なお、本明細書の多様な実施形態で第1、第2、第3等の用語が物質膜又は工程段階を記述するために使用したが,これは単なるいずれか特定物質膜又は工程段階を他の物質膜又は他の工程段階と区別させるために使用しただけであり、このような用語によって限定されてはならない。
【0013】
本明細書で使用された用語は実施形態を説明するためのことであり、本発明を制限しようとすることではない。本明細書で、単数形は文句で特別に言及しない限り複数形も含む。明細書で使用される‘含む(comprises)’及び/又は‘包含する(comprising)’は言及された構成要素段階,動作及び/又は素子は1つ以上の他の構成要素段階、動作及び/又は素子の存在又は追加を排除しない。
また、本明細書で記述する実施形態は本発明の理想的な例示図である断面図及び/又は平面図を参考して説明する。図面において、膜及び領域の厚さは技術的内容の効果的な説明のために誇張される。
したがって、製造技術及び/又は許容誤差等によって例示図の形態が変形され得る。したがって、本発明の実施形態は図示した特定形態に制限されなく、製造工程によって生成される形態の変化も含む。例えば、直角に図示した蝕刻領域はラウンドされるか、或いは所定曲率を有する形態であり得る。したがって、図面で例示した領域は概略的な属性を有し、図面で例示した領域の模様は素子の領域の特定形態を例示するためのものであり、発明の範疇を制限するためのことではない。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態によるフィン電界効果トランジスタの斜視図であり、図2及び図3は、各々図1のA−A’線及びB−B’線に沿った断面図であり、図4図2のフィン部分及びこれと隣接する領域の拡大図である。
【0015】
図1図4を参照して、本発明の一実施形態によるフィン電界効果トランジスタを説明する。
基板100から突出したフィン(fin)Fが提供される。
基板100は、シリコン、ゲルマニウム、シリコン−ゲルマニウム等を含む半導体基板であり得る。
【0016】
一例として、フィンFは、基板100の一部であるか、或いは基板100から成長したエピタキシャル層(epitaxial layer)を含む。この場合、フィンFの内側部分(inner portion)は基板100の突出した部分であり、フィンFの外側部分(outer portion)は内側部分の上に成長した半導体層である。
フィンFは、複数の素子分離膜110の間に延長され、基板100の上面から上へ突出した上部側壁を含む。
素子分離膜110は、フィンFの下部側面を覆う。
【0017】
フィンFの上にゲート電極パターン147が提供される。
ゲート電極パターン147は、X方向に延長される。ゲート電極パターン147は少なくとも1つの金属層を含むことができる。
一例として、ゲート電極パターン147は、第1ゲート電極パターンMG1及び第2ゲート電極パターンMG2を含み、第1及び第2ゲート電極パターンMG1、MG2は各々金属を含む層であり得る。
【0018】
第1ゲート電極パターンMG1は、第2ゲート電極パターンMG2の下に提供され、第2ゲート電極パターンMG2の側壁に沿って延長される。
第1ゲート電極パターンMG1は、仕事関数を調節するための金属層であり、第2ゲート電極パターンMG2は、第1ゲート電極パターンMG1によって形成された空間を満たす金属層である。
一例として、第1ゲート電極パターンMG1は、TiN、TaN、TiC、及びTaCの中から少なくとも1つを含むことができる。一例として、第2ゲート電極パターンMG2はタングステン又はアルミニウムを含むことができる。他の実施形態において、ゲート電極パターン147はシリコン及び/又はゲルマニウムを含むことができる。
【0019】
上記構造の一部をフィンであると説明したが、互に異なるドーピングレベルを有する閾値電圧調節領域(threshold voltage control region)とキャリヤー領域(carrier region)とは、ナノワイヤ構造のようなゲートオールアラウンド(gate−all−around)構造及びオメガ(Ω)形状(omega shaped)のゲート構造のような他の形状にも適用が可能である。
【0020】
図44は、ナノワイヤ構造115を上述したフィン部分に適用したことを示す。
一例として、フィンの外側部分(outer portion)は、ナノワイヤ構造115より相対的に弱いにドーピングされ、エピタキシャル工程で成長した半導体層112であり得る。
【0021】
本発明の概念にしたがう実施形態は、図45のようにオメガ形状(Ω)のゲート構造にも適用され得る。
フィン部分54は基板に隣接し、オメガ形状の構造のボディーの上部より狭いネック部分(neck portion)を含むことができる。
外側フィン部分(outer fin portion)74は、オメガ形状のフィン部分54の側壁及び上面に沿って形成され、エピタキシャル工程によって形成した半導体層であり得る。
【0022】
一例として、フィン部分はフィン構造の半導体特性と同等な特性を有する活性半導体層であり得る。
一例として、活性半導体層は上述したように互に異なるドーピング濃度を有する内側部分及び外側部分を含むことができる。
本発明の概念の下で、上記構造とは異なる構造もまた適用することができる。
【0023】
図1図4を再び参照すると、フィンFとゲート電極パターン147との間にゲート誘電膜145が提供される。
ゲート誘電膜145は、フィンFの上部側面及び上面に沿って延長される。
一例として、ゲート誘電膜145は、ゲート電極パターン147と素子分離膜110との間に延長される。ゲート誘電膜145はフィンFとゲート電極パターン147との間に提供され、ゲート電極パターン147の側壁に沿って延長される。
【0024】
ゲート誘電膜145は、シリコン酸化膜より高い誘電率を有する高誘電体物質を含むことができる。
一例として、ゲート誘電膜145は、HfO、ZrO又はTaを含むことができる。ゲート電極パターン147は、金属物質を含むことができる。一例として、ゲート電極パターン147はTiN、TaN等のような導電性金属窒化物を含むことができる。以下、ゲート電極パターン147及びゲート誘電膜145を含む構成はゲート構造であると称する。
【0025】
フィンFとゲート誘電膜145との間に半導体層(又は半導体領域)131が提供される。
半導体層131は、ゲート電極パターン147とフィンFとが交差する領域に提供される。半導体層131はフィンFの上面を覆う。
図2に示すように、半導体層131はゲート電極パターン147と対向するフィンFの第1上部側壁SW1の上に延長される。即ち、半導体層131は素子分離膜110によって露出したフィンFの表面に沿って提供される。
一実施形態において、図3に示すように、半導体層131は以下で説明される圧縮応力パターン161と対向するフィンFの第2上部側壁SW2の上に提供されないことがあり得る。
【0026】
図4に示すように、フィンFは、閾値電圧調節ドーピング領域DVを含む。
閾値電圧調節ドーピング領域DVとフィンFとは同一の導電型のドーパントでドーピングされた領域である。
一例として、本発明の一実施形態によるフィン電界効果トランジスタがNMOSトランジスタである場合、ドーパントはホウ素(B)であり得る。他の実施形態において、フィン電界効果トランジスタがPMOSトランジスタである場合、ドーパントは燐(P)又は砒素(As)であり得る。半導体層131と閾値電圧調節ドーピング領域DVとは互に異なるドーパント濃度を有する。一例として、半導体層131のドーパント濃度は、閾値電圧調節ドーピング領域DVのドーパント濃度より低い。
【0027】
一実施形態において、フィンFの外側部分を構成する半導体層131は拡散によって閾値電圧調節ドーピング領域(フィンFの内側部分)DVから拡散されたドーパントを除外すれば、実質的にドーピングされないアンドープされた(un−doped)状態であり得る。半導体層131が実質的にドーピングされない場合にも、半導体層131のドーパント濃度は拡散によってフィンFに接する面からゲート誘電膜145に接する面まで連続的に減少するドーピングプロフィールを有する。以下本明細書で、実質的にアンドープされた状態とは上述したように拡散されたドーパントを除外して実質的にドーピングされない状態として説明する。
【0028】
他の実施形態において、半導体層131は閾値電圧調節ドーフィング領域DVのドーパント濃度より1/10以下のドーパント濃度を有するドーピング領域であり得る。
フィン電界効果トランジスタの動作の時に、図4に示したように半導体層131にチャンネルCRが形成される。
このように、相対的にドーパント濃度が低い半導体層131をトランジスタのチャンネル領域として用いると、相対的に低いドーパント濃度に基づいて、ゲート電極パターン147によってチャンネル領域に加えられる電気場が減少する。
このような電気場の減少は電荷の移動度(mobility)を増加させる。
また、閾値電圧調節ドーピング領域DVがゲート電極パターン147から離隔されて提供されるので、閾値電圧の分布が改善される。
【0029】
一実施形態において、半導体層131はフィンFと同一の物質で形成される。
他の実施形態において、半導体層131はフィンFと異なる半導体物質を含むことができる。
一例として、フィンFがシリコンである場合、半導体層131は、InSb、InAs、GaSb、InP、GaAs、Ge、SiGe、及びSiCの中から少なくとも1つを含むことができる。
半導体層131は、フィンFと異なるバンドギャップを有する半導体物質を含むことができる。一例として、フィンFは、GaAsを含み、半導体層131は、AlGaAsを含むことができる。
【0030】
ゲート電極パターン147の両側にソース/ドレイン領域を161が提供される。
ソース/ドレイン領域161は、フィンFの第2上部側壁SW2に接する。ソース/ドレイン領域161は、層間誘電膜155の上に形成されたリセス領域125の内に形成される。
一例として、ソース/ドレイン領域161の上面は、ゲート電極パターン147の下面より高い上面を有する持ち上げられた(elevated)ソース/ドレイン形態である。ソース/ドレイン領域161とゲート電極パターン147とはスペーサー151によって絶縁される。一例として、スペーサー151は窒化膜、又は酸化窒化膜の中の少なくとも1つを含むことができる。
【0031】
フィン電界効果トランジスタがPMOSトランジスタである場合、ソース/ドレイン領域161は、圧縮応力パターンであり得る。
一例として、圧縮応力パターンは、SiGeパターンのようにシリコンに比べて格子定数が相対的に大きい物質を含む。圧縮応力パターンは半導体層131及びフィンFに圧縮応力を加えてチャンネル領域の電荷の移動度を向上させる。
これと異なりに、フィン電界効果トランジスタがNMOSトランジスタである場合、ソース/ドレイン領域161は、基板と同一の物質で形成され得る。一例として、基板100がシリコン基板である場合、ソース/ドレイン領域161もシリコンであり得る。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、相対的に低いドーパント濃度を有する半導体層をチャンネルとして使用して電荷の移動度を上昇させ、閾値電圧の分布を改善することができる。
また、持ち上げられた形態のソース/ドレイン領域及び/又は圧縮応力パターンを提供して電荷の移動度をさらに上昇させ、短チャンネル効果を改善することができる。
【0033】
図5図7図9図11は、本発明の実施形態によるフィン電界効果トランジスタの平面図であり、図6図8図10図12は、各々図5図7図9図11のC−C’線に沿った断面図である。
【0034】
本実施形態において、本発明の一実施形態によるフィン電界効果トランジスタはPMOSトランジスタ領域及びNMOSトランジスタ領域を含むCMOSトランジスタである。
PMOS領域上のPMOSトランジスタ及びNMOS領域上のNMOSトランジスタは各々基板100の上のソース領域SR及びドレイン領域DRを含む。ソース領域SR及びドレイン領域DRを接続するフィン部分F1、F2が提供される。第1フィン部分F1はPMOSトランジスタの一部を構成し、第2フィン部分F2はNMOSトランジスタの一部を構成する。
【0035】
第1フィン部分F1の上に第1ゲート誘電膜145及び第1ゲート電極パターン147が順に提供され、第2フィン部分F2の上に第2ゲート誘電膜146及び第2ゲート電極パターン148が順に提供される。
第1及び第2フィン部分F1、F2は、ソース領域SRとドレイン領域DRの間で第1方向(Y方向)に延長され、第1及び第2ゲート電極パターン147、148は第1方向と交差する第2方向(X方向)に延長される。
【0036】
第1フィン部分F1及び第2フィン部分F2の中の少なくとも1つの上に半導体層が提供される。
半導体層は、図5及び図6に示すようにNMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタの全てに提供される。即ち、第1フィン部分F1と第1ゲート誘電膜145との間に第1半導体層131が提供され、第2フィン部分F2と第2ゲート誘電膜146との間に第2半導体層132が提供され得る。
【0037】
これとは異なりに、半導体層は、NMOSトランジスタとPMOSトランジスタの中の1つに限定されて提供され得る。即ち、半導体層は、図7及び図8に示すようにPMOSトランジスタのみに提供されるか、或いは図9及び図10に示すようにNMOSトランジスタのみに提供され得る。
【0038】
本発明の実施形態による電界効果トランジスタは、1つのトランジスタが1つ以上のフィン部分を含むことができる。
図11及び図12に示すように、第1領域RG1の上のトランジスタは1つのソース領域SR及び1つのドレイン領域DRを接続する複数個の第1フィンF1を含むことができる。第1フィンF1の個数は示した2つに限定されない。
【0039】
これとは異なりに、第2領域RG2の上のトランジスタは1つのソース領域SR及び1つのドレイン領域DRを接続する第2フィンF2のみが提供され得る。
第1領域RG1及び第2領域RG2は、基板100の上の任意の2つの領域であり得る。複数個の第1フィンF1の上に各々第1半導体層131が提供される。
本実施形態において、第1半導体層131は互に接続されないことがあり得る。第2フィンF2の上に第2半導体層132が提供され得る。
【0040】
図13図30を参照して、本発明の一実施形態によるフィン電界効果トランジスタの製造方法を説明する。
図13を参照すると、基板100に素子分離膜を形成するための第1トレンチ121を形成する。
【0041】
第1トレンチ121は、基板100の上に第1マスクパターン103を形成した後、これを蝕刻(エッチング)マスクとするエッチング工程によって形成する。
第1マスクパターン103はY方向に延長されるライン形態である。エッチング工程によって、Y方向に延長されるフィン(fin)Fが形成される。
第1マスクパターン103は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸化窒化膜の中の少なくとも1つを含む物質で形成する。
【0042】
図14及び図15を参照すると、第1トレンチ121を満たす素子分離膜110を形成する。
素子分離膜110は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸化窒化膜の中の少なくとも1つを含む物質で形成する。
素子分離膜110の上部をリセスして上部側壁を含むフィンFの上部を露出させる。リセス工程は選択的エッチング工程を含むことができる。第1マスクパターン103は素子分離膜110の形成の以前に除去するか、或いはリセス工程の以後に除去することもできる。
【0043】
他の実施形態において、素子分離膜110の上へ突出したフィンFの上部はエピタキシャル工程によって形成され得る。
一例として、フィンFの上部は、素子分離膜110の形成の後、リセス工程無しで素子分離膜110によって露出されたフィンFの上面をシードとするエピタキシャル工程によって形成され得る。
フィンFは内側部分(inner portion)を含むことができる。
【0044】
フィンFに閾値電圧調節用ドーピングを実施する。
本発明の一実施形態によるフィン電界効果トランジスタがNMOSトランジスタである場合、ドーパントはホウ素(B)であり得る。
他の実施形態において、フィン電界効果トランジスタがPMOSトランジスタである場合、ドーパントは燐(P)又は砒素(As)であり得る。
閾値電圧調節用ドーピングは、約1×1019atm/cmの濃度で実施する。
ドーピング工程は、図14又は図15の段階で実施するか、或いは図13の第1トレンチ121が形成される前に実施することもできる。
【0045】
図16を参照すると、リセス工程によって素子分離膜110の上に露出されたフィンFの上に予備半導体層130を形成する。
予備半導体層130は、Y方向に沿って延長されるライン形状であり得る。予備半導体層130は露出されたフィンFの上面及び上部側壁を覆い、素子分離膜110の上面に接する。一例として、予備半導体層130は、フィンFをシード(seed)層とするエピタキシャル(epitaxial)工程によって形成する。他の実施形態において、予備半導体層130は、半導体物質の蒸着及びパターニング工程によって形成され得る。したがって、予備半導体層130はフィンFの外側部分(outer portion)を提供する。
【0046】
予備半導体層130は、フィンFの内側部分と同一の物質で形成され得る。
一例として、予備半導体層130は同種エピタキシシャル工程(homo epitaxy)によって形成するか、或いは、フィンFの内側部分と同一の物質の蒸着工程によって形成され得る。一例として、フィンFの内側部分と予備半導体層130は両方ともシリコンであり得る。
【0047】
これとは異なりに、予備半導体層130はフィンFの内側部分と異なる物質で形成され得る。一例として、フィンFの内側部分がシリコンであり得る場合、半導体層131は、InSb、InAs、GaSb、InP、GaAs、Ge、SiGe、及びSiCの中の少なくとも1つを含む物質で形成され得る。
予備半導体層130は、フィンFの内側部分と異なるバンドギャップを有する半導体物質を含むことができる。一例として、フィンFの内側部分は、GaAsで形成され、予備半導体層130はAlGaAsで形成され得る。
【0048】
予備半導体層130は、フィンFの内側部分に比べて相対的に低いドーパント濃度にドーピングされる。
一実施形態において、予備半導体層130は、拡散によってフィンFの内側部分から拡散されたドーパントを除外すれば、実質的にドーピングされないアンドープされた(un−doped)状態であり得る。予備半導体層130が実質的にドーピングされない場合にも、予備半導体層130のドーパント濃度は、拡散によってフィンFの内側部分に接する面から以下で説明するゲート誘電膜に接する面まで連続的に減少するプロフィールを有することができる。
他の実施形態において、予備半導体層130は、フィンFの内側部分のドーパント濃度より1/10以下のドーピング濃度でドーピングされ得る。
【0049】
図17を参照すると、フィンFと交差してX方向に延長されるダミーゲート誘電膜141、ダミーゲート電極パターン143を形成する。
ダミーゲート誘電膜141、ダミーゲート電極パターン143は、予備半導体層(外部フィン部分)130の上面及び側壁に沿って延長される。
一例として、予備半導体層130が形成された結果物の上に、誘電膜及びゲート電極物質を形成した後、第2マスクパターン104をエッチングマスクとして利用するエッチング工程によって形成する。エッチング工程は複数の乾式及び/又は湿式エッチング工程を含むことができる。
一例として、ダミーゲート誘電膜141はシリコン酸化膜であり得る。一例として、ダミーゲート電極パターン143はポリシリコンパターンであり得る。
【0050】
図18を参照すると、ダミーゲート電極パターン143及び予備半導体層130の側壁の上にスペーサー151を形成する。
一例として、スペーサー151は、ダミーゲート電極パターン143が形成された結果物を覆う誘電膜を形成した後、異方性エッチング工程によって形成する。
スペーサー151は、予備半導体層130の上面及び第2マスクパターン104の上面を露出させることができる。スペーサー151はシリコン窒化膜又はシリコン酸化窒化膜であり得る。
【0051】
図19図21を参照すると、スペーサー151が形成された結果物の上に層間誘電膜155を形成する。
一例として、層間誘電膜155は、シリコン酸化膜であり得る。
図20及び図21は、各々図19のA−A’線及びB−B’線に沿った断面図である。
ダミーゲート電極パターン143の上面が露出されるまで層間誘電膜155に平坦化工程を実施する。その結果、第2マスクパターン104が除去され、ダミーゲート電極パターン143の上面が露出される。
【0052】
図22図24を参照すると、ダミーゲート誘電膜141及びダミーゲート電極パターン143を除去する。
図23及び図24は、各々図22のA−A’線及びB−B’線に沿った断面図である。
ダミーゲート誘電膜141及びダミーゲート電極パターン143の除去によって、予備半導体層130が露出する第2トレンチ123が形成される。
ダミーゲート誘電膜141及びダミーゲート電極パターン143の除去は、複数の選択的エッチング工程を含み得る。
【0053】
図25図27を参照すると、第2トレンチ123の内にゲート誘電膜145及びゲート電極パターン147を順に形成する。
図26及び図27は、各々図25のA−A’線及びB−B’線に沿った断面図である。
一例として、ゲート誘電膜145は、シリコン酸化膜より高い誘電率を有する高誘電体物質で形成され得る。
一例として、ゲート誘電膜145は、HfO、ZrO又はTa2Oを含むことができる。ゲート誘電膜145は第2トレンチ123の側壁及び下面に沿って実質的にコンフォーマルに形成され得る。
【0054】
ゲート電極パターン147は、少なくとも1つの金属層を含むことができる。
一例として、ゲート電極パターン146は第1ゲート電極パターンMG1及び第2ゲート電極パターンMG2を含むことができる。第1ゲート電極パターンMG1はゲート誘電膜145にしたがって実質的にコンフォーマルに形成され、第2ゲート電極パターンMG2は第2トレンチ123の残りの領域を満たすことができる。一例として、第1ゲート電極パターンMG1は、TiN、TaN、TiC、及びTaCの中の少なくとも1つを含むことができる。一例として、第2ゲート電極パターンMG2は、タングステン又はアルミニウムを含むことができる。
ゲート電極パターン147は、層間誘電膜及びスペーサー151をモールド(mold)とするダマシン工程によって形成することもできる。
【0055】
図28図30を参照すると、ゲート電極パターン147の両側にリセス領域125を形成する。
リセス領域125の形成は、層間誘電膜155、予備半導体層130及びフィンFの上部をパターニングすることを含む。
リセス領域125の形成は、複数のエッチング工程を含むことができる。一例として、層間誘電膜155の上部を選択的に除去して予備半導体層130を露出させた後、予備半導体層130及びフィンFをエッチングしてリセス領域125を形成する。
一例として、スペーサー151は、層間誘電膜155とエッチング選択性がある物質で形成されて層間誘電膜155の除去の時にゲート電極パターン147の側壁を保護することができる。予備半導体層130の側壁上のスペーサー151は予備半導体層130の除去の後、層間誘電膜155と共に除去され得る。
【0056】
図では省略したが、予備半導体層130の側壁上のスペーサー151の一部は残留させることもできる。
リセス領域125の形成によって、予備半導体層130は、ゲート電極パターン147とフィンFの交差領域とに各々限定される形態の半導体層131になる。
また、リセス領域125の形成によって、フィンFの上部がエッチングされて第2上部側壁SW2が形成される。リセス領域125は、半導体層131の側壁及びフィンFの上部側壁を露出させることができる。
【0057】
図1図3を再び参照すると、リセス領域125の内にソース/ドレイン領域161を形成する。
ソース/ドレイン領域161は、スペーサー151によって露出された半導体層131の側壁及びフィンFの第2上部側壁SW2に接する。
一例として、ソース/ドレイン領域161は、半導体層131の上面より高い上面を有する持ち上げられた(elevated)ソース/ドレイン形態であり得る。
ソース/ドレイン領域161とゲート電極パターン147とはスペーサー151によって絶縁される。
【0058】
フィン電界効果トランジスタがPMOSトランジスタである場合、ソース/ドレイン領域161は、圧縮応力パターンであり得る。
一例として、圧縮応力パターンは、SiGeパターンのようにシリコンに比べて格子定数が相対的に大きい物質を含むことができる。圧縮応力パターンは、半導体層131及びフィンFに圧縮応力を加えてチャンネル領域の電荷の移動度を向上させる。
これとは異なり、フィン電界効果トランジスタがNMOSトランジスタである場合、ソース/ドレイン領域161は、基板と同一の物質で形成され得る。一例として、基板100がシリコン基板である場合、ソース/ドレイン領域161は多結晶シリコンで形成され得る。
【0059】
図31は、他の実施形態によるフィン電界効果トランジスタの斜視図であり、図32及び図33は、各々図31のA−A’線及びB−B’線に沿った断面図であり、図34は本発明の他の実施形態による半導体層の形成方法を説明するための斜視図である。
図31図34を参照して、本発明の他の実施形態によるフィン電界効果トランジスタ及びその製造方法を説明する。
【0060】
本実施形態において、半導体層134は、基板100と素子分離膜110との間に延長される。
図34に示すように、半導体層134は、素子分離膜110の形成の前に形成される。
一例として、基板100をエッチングしてフィンFを形成した後、フィンFが形成された基板100の全体にエピタキシャル工程を遂行して予備半導体層(外部フィン)133を形成する。半導体層133の上の第1トレンチ(図示せず)を満たす素子分離膜110を形成できる。
素子分離膜110が形成された結果物は、以後、図16図30を参照して説明した工程によって図31図33に示した構造になり得る。
より詳細には、予備半導体層133は、図28図30を参照して説明したリセス領域125の形成時に、一部がエッチングされて半導体層134になり得る。
【0061】
図35は、本発明のその他の実施形態によるフィン電界効果トランジスタの断面図である。
本実施形態において、図31の実施形態による電界効果トランジスタは、図11及び図12のように複数のフィンF部分を包含するように変形され得る。
図12とは異なり、半導体層134は、複数のフィン部分Fの間の素子分離膜110と基板100との間に延長されて、複数のフィンF部分を接続することができる。
複数のフィン部分Fは、1つのトランジスタの一部に、1つのソース領域及び1つのドレイン領域と接続され得る。
【0062】
図36及び図37は、本発明のその他の実施形態によるフィン電界効果トランジスタを説明するための図面であって、各々図1のA−A’線及びB−B’線に沿った断面図であり、図38図36のフィン部分及びその隣接部の拡大図である。
本実施形態において、フィンFの内側部分の厚さT1は、以前の実施形態に比べて相対的に小さい。
【0063】
フィンFの内側部分の厚さがT1であり、半導体層(外部フィン)135の厚さがT2である場合、ゲート電極パターン147によって囲まれた半導体物質の総厚さであるTは、T=T1+2×T2 となる。
一例として、総厚さTは、約10nmより小さくなり得る。他の実施形態において、フィンFの内側部分の厚さT1は、半導体層135の厚さT2の2倍より小さいことがあり得る。
【0064】
フィンFの内側部分の厚さT1が非常に薄くなれば、電荷の動きが空間的に限定されるようになり、フィンFの内側部分で粒子の存在確率を示す波動関数(wave function)の重畳が発生し得る。
波動関数の絶対値の自乗が電荷の存在確率を示すので、半導体層135ではないフィンFの内側部分で反転領域が形成され、これをボリュームインバージョン(volume inversion)と称する。
【0065】
したがって、本実施形態の場合、図38に示すようにフィンFの内側部分がチャンネルCRとして使用され得る。
ボリュームインバージョンが発生するフィンの厚さを示したが、厚さはボリュームインバージョンが発生する大略的な数値であり、本発明の概念にしたがって変更できる。
一例として、閾値電圧調節領域及びキャリヤー領域を含む総フィンの厚さは、フィンでボリュームインバージョンが発生する領域より大きくなり、したがって閾値電圧調節領域はフィンの内側部分に提供され、キャリヤー領域はフィンの外側部分に提供され得る。
【0066】
本実施形態において、半導体層(外部フィン)135は、閾値電圧調節領域DVを含む。
閾値電圧調節領域DVとフィンFの内側部分は、同一の導電型のドーパントがドーピングされた領域であり得る。一例として、フィン電界効果トランジスタがNMOSトランジスタである場合、ドーパントはホウ素(B)であり得る。他の実施形態において、フィン電界効果トランジスタがPMOSトランジスタである場合、ドーパントは燐(P)又は砒素(As)であり得る。
【0067】
本実施形態において、フィンFの内側部分は、閾値電圧調節領域DVより低いドーパント濃度を有することができる。一例として、フィンFの内側部分は拡散によって半導体層135から拡散されたドーパントを除外すれば、実質的にドーピングされないアンドープされた(un−doped)状態であり得る。フィンFの内側部分が実質的にドーピングされない場合にも、フィンFの内側部分のドーパント濃度は拡散によって半導体層135に接する面からフィンFの内部に行くほど、連続的に減少するプロフィールを有することができる。
【0068】
他の実施形態において、フィンFの内側部分は、閾値電圧調節領域DVのドーパント濃度より1/10以下のドーパント濃度を有するドーピング領域であり得る。
フィン電界効果トランジスタの動作時に、図38に示すようにフィンFにチャンネルCRが形成される。このように、相対的にドーパント濃度が低いフィンFの内側部分をトランジスタのチャンネル領域に使用する場合、ゲート電極によってチャンネル領域に加えられる電気場が減少する。このような電気場の減少は電荷の移動度(mobility)を増加させる。半導体層131とフィンFの物質は、図1図4を参照して説明された物質と同一であり得る。
【0069】
半導体層135のドーピングは、イン・サイチュ(in situ)で実施される。
一例として、半導体層135は、フィンFの内側部分をシードとするエピタキシャル工程によって形成でき、エピタキシャル工程と同時に閾値電圧調節領域DVが形成され得る。
【0070】
図39図41は、本発明のその他の実施形態によるフィン電界効果トランジスタを説明するための図面であって、図39は本発明のその他の実施形態によるフィン電界効果トランジスタの斜視図であり、図40及び図41は、各々図39のA−A’線及びB−B’線に沿った断面図である。
説明を簡単にするために重複された構成に対する説明は省略する。
【0071】
本実施形態において、フィン電界効果トランジスタは、SOI(Silicon On Insulator)基板の上に形成される。
SOI基板は、第1層101、第2層115及び第3層(図示せず)を含むことができる。第1層101及び第3層は半導体層であり、第2層115はシリコン酸化膜のような誘電層である。
フィンFは、第3層をパターニングして形成でき、したがって、フィンFは第2層115によって第1層101と絶縁される。
その以外の構成に対しては、前述の実施形態と同一であるので、具体的な説明を省略する。
【0072】
図42は、本発明の実施形態によるフィン電界効果トランジスタを含むCMOSSRAMセル(CMOS SRAM cell)の等価回路図である。
図42を参照すると、CMOS SRAMセルは一対の駆動トランジスタ(driver transistors:TD1、TD2)、一対の伝送トランジスタ(transfer transistors:TT1、TT2)、及び一対の負荷トランジスタ(load transistors:TL1、TL2)を含む。
駆動トランジスタ(TD1、TD2)は、プルダウントランジスタ(pull−down transistor)であり、伝送トランジスタ(TT1、TT2)は、パストランジスタ(pass transistor)であり、負荷トランジスタ(TL1、TL2)は、プルアップトランジスタ(pull−up transistor)である。駆動トランジスタ(TD1、TD2)及び伝送トランジスタ(TT1、TT2)は、NMOSトランジスタであり得、負荷トランジスタ(TL1、TL2)は、PMOSトランジスタであり得る。
【0073】
第1駆動トランジスタTD1と第1伝送トランジスタTT1は、互に直列に接続される。第1駆動トランジスタTD1のソース領域は接地線Vssに電気的に接続され、第1伝送トランジスタTT1のドレイン領域は、第1ビットラインBL1に電気的に接続される。
第2駆動トランジスタTD2と第2伝送トランジスタTT2とは直列に接続される。第2駆動トランジスタTD2のソース領域は、接地線Vssに電気的に接続され、第2伝送トランジスタTT2のドレイン領域は、第2ビットラインBL2に電気的に接続される。
【0074】
第1負荷トランジスタTL1のソース領域及びドレイン領域は、各々電源線Vcc及び第1駆動トランジスタTD1のドレイン領域に電気的に接続される。
第2負荷トランジスタTL2のソース領域及びドレイン領域は、各々電源線Vcc及び第2駆動トランジスタTD2のドレイン領域に電気的に接続される。
第1負荷トランジスタTL1のドレイン領域、第1駆動トランジスタTD1のドレイン領域、及び第1伝送トランジスタTT1のソース領域は、第1ノードN1に相当する。
第2負荷トランジスタTL2のドレイン領域、第2駆動トランジスタTD2のドレイン領域、及び第2伝送トランジスタTT2のソース領域は、第2ノードN2に相当する。
【0075】
第1駆動トランジスタTD1のゲート電極及び第1負荷トランジスタTL1のゲート電極は第2ノードN2と電気的に接続され、第2駆動トランジスタTD2のゲート電極及び第2負荷トランジスタTL2のゲート電極は第1ノードN1に電気的に接続される。
第1及び第2伝送トランジスタ(TT1、TT2)のゲート電極は、ワードラインWLと電気的に接続される。第1駆動トランジスタTD1、第1伝送トランジスタTT1、及び第1負荷トランジスタTL1は、第1ハーフセルH1を構成し、第2駆動トランジスタTD2、第2伝送トランジスタTT2、及び第2負荷トランジスタTL2は、第2ハーフセルH2を構成する。
【0076】
駆動トランジスタ(TD1、TD2)、伝送トランジスタ(TT1、TT2)、及び負荷トランジスタ(TL1、TL2)の中の少なくとも1つ以上のトランジスタは、本発明の実施形態によるフィン電界効果トランジスタで構成され得る。
上記トランジスタの中の複数のトランジスタが本発明の実施形態によるフィン電界効果トランジスタで構成される場合、各トランジスタに適用されるフィン部分の幅、高さ、及び個数、半導体層の提供領域と形態は、本発明の思想内で自由に変更が可能である。
また、本発明はSRAMに限定されなく、DRAM、MRAM、又は他の半導体装置及びその製造方法に適用され得る。
【0077】
図43は、本発明の実施形態によるフィン電界効果トランジスタを含む電子システムのブロック図である。
図43を参照すると、本発明の実施形態による電子システム1100は、コントローラ1110、入出力装置(I/O)1120、記憶装置1130、インターフェイス1140及びバス1150を含む。
コントローラ1110、入出力装置1120、記憶装置1130及び/又はインターフェイス1140は、バス1150を通じて互に接続される。バス1150はデータが移動される通路(path)に該当する。
【0078】
コントローラ1110は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセス、マイクロコントローラ、及びこれらと類似な機能を遂行できる論理素子の中の少なくとも1つを含むことができる。
入出力装置1120は、キーパッド(keypad)、キーボード及びディスプレイ装置等を含むことができる。
記憶装置1130は、データ及び/又は命令語等を格納できる。
インターフェイス1140は、通信ネットワークにデータを伝送するか、或いは通信ネットワークからデータを受信する機能を遂行する。インターフェイス1140は有線又は無線形態であり得る。
【0079】
例えば、インターフェイス1140は、アンテナ又は有線、無線トランシーバー等を含むことができる。図示していないが、電子システム1100は、コントローラ1110の動作を向上するための動作メモリとして、高速のDRAM及び/又はSRAM等をさらに包含し得る。
本発明の実施形態によるフィン電界効果トランジスタは、記憶装置1130の内に提供されるか、或いはコントローラ1110、入出力装置1120等の一部として提供され得る。
【0080】
電子システム1100は、個人携帯用情報端末機(PDA、personal digital assistant)ポータブルコンピュータ(portable computer)、ウェブタブレット(web tablet)、無線電話機(wireless phone)、モバイルフォン(mobile phone)、デジタルミュージックプレーヤー(digital music player)、メモリカード(memory card)、又は情報を無線環境で送信及び/又は受信できる全て電子製品に適用され得る。
【0081】
尚、本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0082】
100 基板
110 素子分離膜
125 リセス領域
131、132、134 半導体層
145 ゲート誘電膜
147、148 ゲート電極パターン
151 スペーサー
155 層間誘電膜
161 ソース/ドレイン領域
F、F1、F2 (第1、第2)フィン(部分)
MG1 第1ゲート電極パターン
MG2 第2ゲート電極パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45