特許第6161362号(P6161362)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6161362スパウト付きパウチ容器の製造方法、および、スパウト付きパウチ容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6161362
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】スパウト付きパウチ容器の製造方法、および、スパウト付きパウチ容器
(51)【国際特許分類】
   B31B 70/64 20170101AFI20170703BHJP
   B65D 33/38 20060101ALI20170703BHJP
   B31B 70/74 20170101ALI20170703BHJP
   B31B 70/14 20170101ALI20170703BHJP
   B31B 70/26 20170101ALI20170703BHJP
【FI】
   B31B70/64
   B65D33/38
   B31B70/74
   B31B70/14
   B31B70/26
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-71019(P2013-71019)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-193570(P2014-193570A)
(43)【公開日】2014年10月9日
【審査請求日】2016年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 修生
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 将仁
(72)【発明者】
【氏名】峪 純平
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−046082(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/096392(WO,A1)
【文献】 特開2010−083560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 70/64
B31B 70/14
B31B 70/26
B31B 70/74
B65D 33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向の両側縁が所定幅でヒートシールされた一対の胴部シート部、該一対の胴部シート部の各下端部の間に連設された底面シート部、および、前記一対の胴部シート部の上端部に連設された天面シート部を含むパウチと、前記天面シート部に装着されたスパウトとを備えるスパウト付きパウチ容器の製造方法であって、
長尺の樹脂フィルムからなる包材を送出しながら、その送出方向に沿って複数本の折目線を形成する折目線形成工程と、
前記包材にスパウト挿通孔および接合孔を形成する孔形成工程と、
前記折目線に沿って前記包材を折り畳んで、前記一対の胴部シート部に相当する部分、前記天面シート部に相当する部分、および、前記底面シート部に相当する部分を形成する折り工程と、
前記天面シート部に相当する部分に形成されているスパウト挿通孔に前記スパウトを挿通するスパウト挿通工程と、
前記スパウトのフランジ部を前記天面シート部に相当する部分にヒートシールして前記スパウトを装着するスパウトシール工程と、
前記一対の胴部シート部に相当する部分の側縁同士、および、前記一対の胴部シート部に相当する部分の側縁と前記底面シート部に相当する部分の側縁とをヒートシールして側縁シール部を形成するとともに、前記一対の胴部シート部の上縁と前記天面シート部の周縁とをヒートシールして天面シール部を形成する第1シール工程と、
前記第1シール工程において形成された前記側縁シール部および前記天面シール部のシール境界部分に形成されるシール不良部を接合するためにポイントシール部を形成する第2シール工程と、
前記シール境界部分を折目位置として前記天面シート部に相当する部分の幅方向端部だけを谷折りして、前記天面シート部に相当する部分の前記幅方向端部に形成された一対の前記接合孔を介して前記胴部シート部に相当する部分の側縁上端部同士をヒートシールする第3シール工程と、
前記接合孔を略二分する位置で前記側縁シール部を切断することにより個別のスパウト付きパウチ容器に切り離す切断工程と、
を含む、スパウト付きパウチ容器の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のスパウト付きパウチ容器の製造方法において、
前記スパウトシール工程と前記第1シール工程とが同時に行われることを特徴とする、スパウト付きパウチ容器の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のスパウト付きパウチ容器の製造方法において、
前記第2シール工程と前記第3シール工程とが同時に行われることを特徴とする、スパウト付きパウチ容器の製造方法
【請求項4】
請求項1または2に記載のスパウト付きパウチ容器の製造方法において、
前記第2シール工程と前記第3シール工程とが別工程として行われることを特徴とする、スパウト付きパウチ容器の製造方法。
【請求項5】
幅方向の両側縁が所定幅でヒートシールされた一対の胴部シート部、該一対の胴部シート部の各下端部の間に連設された底面シート部、および、前記一対の胴部シート部の上端部に連設された天面シート部を含むパウチと、前記天面シート部に装着されたスパウトとを備えるスパウト付きパウチ容器であって、
前記一対の胴部シート部の側縁同士の接合部である側縁シール部と、前記一対の胴部シート部の各上縁および前記天面シート部の周縁の接合部である天面シール部とのシール境界部分を有し、
前記シール境界部分には前記一対の胴部シート部と前記天面シート部との間のシール不良部を接合するためのポイントシール部が形成されており、
前記天面シート部の幅方向端部には一対の切欠部が形成され、前記ポイントシール部が形成されるとき又は別のシール工程で、前記天面シート部の幅方向端部だけが前記シール境界部分を折目位置として谷折りされることにより互いに対向する前記胴部シート部の側縁上端部同士が前記一対の切欠部を介してヒートシールされている、
スパウト付きパウチ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、樹脂フィルム製のパウチ容器にスパウトが装着されてなるスパウト付きパウチ容器の製造方法、および、それによって製造されるスパウト付きパウチ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1等によって、自立性を有するスパウト付きパウチ容器が知られている。図14および図15(a)〜(c)に示すように、このスパウト付きパウチ容器SPは、両側縁が所定幅でヒートシールされた一対の胴部シート部P11,P12の上端部及び下端部に天面シート部P2及び底面シート部P3がそれぞれ形成されたパウチ容器Pの天面シート部P2にスパウトSが装着されている。ここで、天面シート部P2はトップガセットシートとも呼ばれ、底面シート部P3はボトムガセットとも呼ばれる。なお、図14および図15において、ヒートシールされた部分が点描部分として示されている。
【0003】
パウチ容器Pは、胴部シート部P11,P12の各上縁部同士及び下端部の両側縁同士が相互にヒートシールされておらず、天面シート部P2の周縁部が、外側に折り広げられた胴部シート部P11,P12の各上縁部にヒートシールされていると共に、底面シート部P3が、胴部シート部P11,P12の下部側から内側に折り込まれた状態で、その周縁部が胴部シート部P11,P12における下端部の周縁にヒートシールされている。また、底面シート部P3の両側縁には、図15(b)に示すように、二つ折りした状態で相互に一致する切欠部cがそれぞれ形成されており、この切欠部cを介して、胴部シート部P11,P12の下端部における両側縁同士が部分的にヒートシールされている。
【0004】
また、スパウトSは、パウチ容器Pに対して例えば流動性のある液状またはゼリー状等の食品、医療品などの内容物を充填し、また、その内容物をパウチ容器Pから取り出す際に開放される注入口および注出口であり、円筒状の本体部S1に一体形成されたフランジ部S2が天面シート部P2の内側表面にヒートシールされて装着されている。
【0005】
上記のようなスパウト付きパウチ容器SPは、図16に示すようにしてヒートシールされる。すなわち、1枚の包材Mを折り畳んで一対の胴部シート部P11,P12、天面シート部P2および底面シート部P3を繋がった状態で形成し、天面シート部P2に形成された孔にスパウトSを挿通して、胴部シート部P11,P12と天面シート部P2とが略T字状をなすようにして起立した姿勢とする。そして、この状態で胴部シート部P11,P12を両側からサイドシールバー21a,21aで挟み込む。これにより、サイドシールバー21a,21aの接触部分である胴部シート部P11,P12の両側縁同士、および、胴部シート部P11,P12の下端部の側縁と底面シール部P3の側縁とがヒートシールされる。
【0006】
また、これと同時に、トップシールバー21bがサイドシールバー21a,21aとの間に天面シート部P2を挟み込んだ状態で押し付けられる。これにより、天面シート部P2の周縁が一対の胴部シート部P11,P12の上縁部に所定幅でヒートシールされるとともに、スパウトSのフランジ部S2が天面シート部P2にヒートシールされて装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2008/096392号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のようにヒートシールされて製造されるスパウト付きパウチ容器SPでは、図16に示すように、サイドシールバー21a,21aの上側角部23は、パウチ容器Pを構成するフィルム材を傷付けないようにするため、あるいは、サイドシールバー21a,21aの製造上の都合等から、若干の湾曲面(または面取り部)として形成されている。そのため、2つのサイドシールバー21a,21aでパウチ容器Pの胴部シート部P11,P12を挟むとともに上方からトップシールバー21bで押さえ付けても、胴部シート部P11,P12の側縁同士の側縁シール部HS1と、胴部シート部P11,P12の上縁と天面シート部P2の周縁との天面シール部HS2とのシール境界部分HS3に、接合されないか或いは接合強度が小さい部分であるシール不良部32が生じることになる。
【0009】
したがって、上記のようにヒートシールされるスパウト付きパウチ容器SPでは、図15中のA部拡大図である図17に示すように、追加のシール工程として、天面シート部P2を胴部シート部P11に沿った向きに折り畳んだ状態として、パウチ容器Pの幅方向における天面シート部P2の端部をポイントシールバーで両側から挟み込んで矩形状のポイントシール部30を形成し、これによりシール不良部32の接合を完全なものとしてパウチ容器Pの密封性を向上させていた。
【0010】
しかしながら、上記のようにポイントシール部30を形成したスパウト付きパウチ容器SPにおいては、これを製造する装置におけるポイントシールバーの押圧位置の精度誤差等を考慮して、ポイントシール部30が天面シール部HS2のシール角部Kよりも内側(図17中の左側)にはみ出さないように設定されている。換言すると、スパウト付きパウチ容器SPでは、ポイントシール部30からはみ出した位置に天面シール部HS2のシール角部Kが残った状態になっている。
【0011】
この場合、内容物が充填されたスパウト付きパウチ容器SPに落下等の衝撃が加わったとき、天面シール部HS2のシール角部K付近が起点となって天面シール部HS2の剥離が生じ、内容物が矢印34で示すように容器外部に漏れ出すことがあった。これは、パウチ容器SPの落下時に内容物に生じた圧力波の作用によって天面シール部HS2のシール角部Kに応力集中が発生し、これによりシール境界部分HS3で剥離が生じるものと推察される。
【0012】
そこで、本発明の目的は、スパウトが装着された天面シート部を有するスパウト付きパウチ容器において、スパウト容器の胴部シート部の側縁同士の側縁シール部と、天面シート部の幅方向端部の周縁および胴部シート部の上縁の間の天面シール部とのシール境界部分でのシール性能を向上させて、パウチ落下時等の内容物の漏出を抑制または防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るスパウト付きパウチ容器の製造方法は、幅方向の両側縁が所定幅でヒートシールされた一対の胴部シート部、該一対の胴部シート部の各下端部の間に連設された底面シート部、および、前記一対の胴部シート部の上端部に連設された天面シート部を含むパウチと、前記天面シート部に装着されたスパウトとを備えるスパウト付きパウチ容器の製造方法であって、長尺の樹脂フィルムからなる包材を送出しながら、その送出方向に沿って複数本の折目線を形成する折目線形成工程と、前記包材にスパウト挿通孔および接合孔を形成する孔形成工程と、前記折目線に沿って前記包材を折り畳んで、前記一対の胴部シート部に相当する部分、前記天面シート部に相当する部分、および、前記底面シート部に相当する部分を形成する折り工程と、前記天面シート部に相当する部分に形成されているスパウト挿通孔に前記スパウトを挿通するスパウト挿通工程と、前記スパウトのフランジ部を前記天面シート部に相当する部分にヒートシールして前記スパウトを装着するスパウトシール工程と、前記一対の胴部シート部に相当する部分の側縁同士、および、前記一対の胴部シート部に相当する部分の側縁と前記底面シート部に相当する部分の側縁とをヒートシールして側縁シール部を形成するとともに、前記一対の胴部シート部の上縁と前記天面シート部の周縁とをヒートシールして天面シール部を形成する第1シール工程と、前記第1シール工程において形成された前記側縁シール部および前記天面シール部のシール境界部分に形成されるシール不良部を接合するためにポイントシール部を形成する第2シール工程と、前記シール境界部分を折目位置として前記天面シート部に相当する部分の幅方向端部だけを谷折りして、前記天面シート部に相当する部分の前記幅方向端部に形成された一対の前記接合孔を介して前記胴部シート部に相当する部分の側縁上端部同士をヒートシールする第3シール工程と、前記接合孔を略二分する位置で前記側縁シール部を切断することにより個別のスパウト付きパウチ容器に切り離す切断工程と、を含むものである。
【0014】
本発明に係るスパウト付きパウチ容器の製造方法において、前記スパウトシール工程と前記第1シール工程とが同時に行われてもよい。
【0015】
また、本発明に係るスパウト付きパウチ容器の製造方法において、前記第2シール工程と前記第3シール工程とが同時に行われてもよいし、あるいは、別工程として行われてもよい。
【0016】
本発明の別の態様であるスパウト付きパウチ容器は、幅方向の両側縁が所定幅でヒートシールされた一対の胴部シート部、該一対の胴部シート部の各下端部の間に連設された底面シート部、および、前記一対の胴部シート部の上端部に連設された天面シート部を含むパウチと、前記天面シート部に装着されたスパウトとを備えるスパウト付きパウチ容器であって、前記一対の胴部シート部の側縁同士の接合部である側縁シール部と、前記一対の胴部シート部の各上縁および前記天面シート部の周縁の接合部である天面シール部とのシール境界部分を有し、前記シール境界部分には前記一対の胴部シート部と前記天面シート部との間のシール不良部を接合するためのポイントシール部が形成されており、前記天面シート部の幅方向端部には一対の切欠部が形成され、前記ポイントシール部が形成されるとき又は別のシール工程で、前記天面シート部の幅方向端部だけが前記シール境界部分で幅方向に谷折りされることにより互いに対向する前記胴部シート部の側縁上端部同士が前記一対の切欠部を介してヒートシールされているものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るスパウト付き容器の製造方法、および、スパウト付きパウチ容器によれば、接合孔を略二分する位置で切断されることにより製造される各スパウト付きパウチ容器では、天面シート部の幅方向端部だけがシール境界部分で谷折りされた状態で上記接合孔の略半分の切欠部を介して胴部シート部の側縁上端部同士がヒートシールされている。これにより、内容物が充填されたときスパウト付き容器のシール境界部分は、その上方位置で胴部シール部の側縁上端部同士が接合されているために折れ曲がった状態に維持されて、シール境界部分を挟んで両側に位置する天面シール部の幅方向の端部同士が相互に押し付けられた状態になっている。そのため、スパウト付き容器の落下時等の衝撃によって内容物に加わった圧力が上記天面シール部の端部に作用しても、天面シール部の端部を起点として天面シート部と胴部シート部とが剥離するのを抑制することができる。したがって、スパウト付き容器の落下時等における内容物の漏出を抑制または防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態であるスパウト付きパウチ容器(以下、適宜に「パウチ容器」とだけいう)の製造方法が実施されるパウチ製造装置の概略構成図である。
図2】本発明の実施形態であるパウチ容器の斜視図である。
図3】折目線と貫通孔が形成された包材の平面図である。
図4】包材が折り畳まれてパウチ容器が形成される様子を示す図である。
図5】包材が折り畳まれてパウチ容器が形成される様子を示す、図4に続く図である。
図6】包材が折り畳まれてパウチ容器が形成される様子を示す、図5に続く図である。
図7】包材が折り畳まれてパウチ容器が形成される様子を示す、図6に続く図である。
図8】パウチ容器が第1シール工程でヒートシールされる様子を示す図であり、(a)は側面図、(b)は上面図である。
図9】パウチ容器の天面シート部の不要部分が切除された後の状態を示す図である。
図10】第1シール工程後のパウチ容器を示す縦断面図である。
図11】連続的に繋がったパウチ容器に第2シール工程でポイントシール部が形成される様子を示す図である。
図12図11におけるB−B拡大断面図である。
図13】切断予定線で切り離されて形成された1つのパウチ容器の示す(a)上面図、(b)正面図、および(c)側面図である。
図14】従来のパウチ容器を示す斜視図である。
図15】従来のパウチ容器の(a)上面図、(b)正面図、および(c)E−E断面図である。
図16】従来のパウチ容器の第1シール工程を示す図である。
図17図15(a)中におけるA部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
【0020】
なお、以下では、従来のパウチ容器SPに関連して説明した同様の構成要素については同一または類似の参照符号を用いて、重複する説明を援用により省略することがある。
【0021】
図1は、スパウト付パウチ容器SPを製造するためのパウチ製造装置10の全体構成を概略的に示す図である。このパウチ製造装置10は、原反の樹脂フィルムである包材Mが巻きつけられているリールユニット11と、リールユニット11から包材Mを送り出すときのバッファ機構であるアキュムレータユニット12と、包材Mに折目線を形成する折目線形成ユニット13と、包材Mにパンチングにより貫通孔を形成する孔形成ユニット14と、包材Mを折目線に沿って折り曲げる折りユニット15と、折り曲げられた包材MにスパウトSを供給して仮装着するスパウト供給ユニット16と、スパウトSが仮装着された包材Mに第1シール工程を施す第1接合ユニット17と、パウチ容器SPの天面外形形状を成形するために不要部分を切除する切除ユニット18と、パウチ容器SPのシール境界部分HS3に局所的にヒートシールする第2接合ユニット19と、包材Mを切断して個々のパウチ容器SPに分離する切断ユニット20とを備える。
【0022】
図2は、本実施形態のパウチ容器SPの斜視図である。本実施形態のパウチ容器SPは、上述した従来のパウチ容器とほぼ同様の構成を有する。すなわち、パウチ容器SPは、互いに対向する一対の胴部シート部P11,P12(図2では一方の胴部シート部P11のみ示されている)と、上記一対の胴部シート部P11,P12の各上端部に連設されてパウチ容器SPの天面を形成する天面シート部P2と、上記一対の胴部シート部P11,P12の各下端部に連設されてパウチ容器SPの底部を構成する底面シート部P3と、パウチ容器SPの内容物の出入口となるスパウトSとを備える。
【0023】
一対の胴部シート部P11,P12は、包材Mの搬送方向に一致するパウチ容器SPの幅方向の両側縁に形成された側縁シール部HS1によって互いに接合されている。一対の胴部シート部P11,P12の各下端縁部と底面シート部P3の周縁とは、底部シール部HS4によって接合されている。一対の胴部シート部P11,P12の各上縁部と天面シート部P2の周縁部とが天面シール部HS2によって接合されている。また、スパウトSは、天面シート部P2の幅方向中央位置においてフランジ部S2がヒートシールされて装着されている。さらに、底面シート部P3の両側縁には、二つ折りした状態で相互に一致する切欠部c1がそれぞれ形成されており、この切欠部c1を介して、胴部シート部P11,P12の下端部における両側縁同士が部分的に接合されている。
【0024】
これらの点において本実施形態のパウチ容器SPは、上述した従来のものと同じ構成を有する。ただし、本実施形態では、胴部シート部P11,P12の側縁上端部が天面シート部P2に形成された一対の切欠部c2を介して互いにヒートシールされている点において相違する。この相違点については後に詳述する。
【0025】
本実施形態のパウチ容器SPに用いられる包材Mには、通常、樹脂フィルムから構成される。この樹脂フィルムには、耐衝撃性、耐磨耗性、及び耐熱性など、包装体としての基本的な性能を備えることが要求される。また、上記各シール部HS1−HS4は、ヒートシールにより形成されるので、樹脂フィルムにはヒートシール性も要求される。
【0026】
樹脂フィルムとしては、ベースフィルム層と、ヒートシール性を付与するシーラント層とを有する複層シートが好適であり、高いガスバリア性や遮光性が要求される場合には、ベースフィルム層とシーラント層との間にバリア層を設けることが好適である。なお、ベースフィルム層そのものにバリア性を付与してもよい。
【0027】
ここで、ベースフィルム層、シーラント層、及びガスバリア層の構成材料を例示する。なお、これら各層の積層は、慣用のラミネート法、例えば、接着剤によるドライラミネーション、熱接着性層を挟んで熱により接着させる熱ラミネーションなどにより行うことができる。
【0028】
ベースフィルム層を構成するフィルムとしては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などが例示できる。また、ヒートシールによる接着層となるシーラント層を構成するフィルムとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−プロピレン共重合体(EP)などが例示できる。さらに、バリア層としては、アルミニウム等の金属薄膜、又は塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)などの樹脂フィルムなどが、或いは任意の合成樹脂フィルム(例えば、ベースフィルム層であってもよい)に、アルミニウム、酸化アルミニウムやシリカ等の無機酸化物などを蒸着(又はスパッタリング)したフィルムが例示できる。
【0029】
次に、図3図13を参照して、本実施形態のパウチ容器SPの製造工程を順次に説明する。
【0030】
図3は、折目線と貫通孔が形成された包材Mの平面図である。リールユニット11から送り出された包材Mには、まず、複数の折目線が形成される。本実施形態では、例えば6本の折目線L1〜L6が包材送出方向に沿って互いに平行に形成されている。各折目線L1〜L6は、折目線形成ユニット13において、薄い折目線形成ローラを回転させながら当接させる等によって形成することができる。
【0031】
ここで、折目線L1〜L6が形成された包材Mにおいて、一方の縁部(図3中の上側縁部)から折目線L1までの帯状領域がパウチ容器SPの天面シート部P2を構成する部分となり、折目線L1から折目線L3までの帯状領域がパウチ容器SPの一方の胴部シート部P11を構成する部分となり、折目線L3から折目線L5までの帯状領域が底面シート部P3を構成する部分となり、折目線L5から他方の縁部までの帯状領域が他方の胴部シート部P12を構成する部分となる。
【0032】
なお、本実施形態では1枚の包材Mから多数のパウチ容器SPが一列に繋がって製造される場合について説明するが、1枚の包材を送出方向に沿って半分に切断することにより多数のパウチ容器SPが2列に繋がって製造されるようにして生産性を向上させてもよい。
【0033】
折目線L1〜L6が形成された後、包材Mには、孔形成ユニット14によって複数の貫通孔が例えば打ち抜き加工等によって形成される。具体的には、天面シート部P2に相当する部分に、スパウト挿通孔となる円形の貫通孔Hが所定の間隔で形成される。これらの貫通孔Hの間隔は、製造されるパウチ容器SPの幅にほぼ相当する。
【0034】
また、包材Mにおいて底面シート部P3となる部分には、個別のパウチ容器SPが分離されることとなる切断予定線CLに沿って一対の貫通孔h1が形成される。この貫通孔h1は、パウチ容器SPが切断分離されたときに半円状の切欠部c1となって、一対の胴部シート部P11,P12の側縁同士を接合することになる。
【0035】
さらに、包材Mにおいて天面シート部P2にも一対の貫通孔(接合孔)h2が切断予定線CLに沿って形成されている。この一対の貫通孔h2は、第2接合ユニット19において、天面シート部P2の幅方向端部を折り畳んだ状態でポイントシール部30を形成するとき、胴部シート部P11,P12の側縁シール部HS1の上端部同士をヒートシールにより接合するためのものである。各パウチ容器SPが切断予定線CLで切断されたとき、円形の貫通孔h2が略二分されることによって半円状の切欠部c2となって上記側縁シール部HS1の上端部同士を接合することになる。
【0036】
上記一対の貫通孔h2は、スパウト挿通孔Hの中心を通る中心線40に対して対称位置に形成されている。これにより、後述するように、パウチ容器SPの天面シート部P2の幅方向端部を上記中心線40上で幅方向に谷折したとき、一対の貫通孔h2が重なり合った状態となり、これにより貫通孔h2を介して胴部シート部P11,P12の側縁上端部同士が接合可能に露出されることになる。
【0037】
この一対の貫通孔h2は、パウチ容器SPの底面シート部P3に形成される一対の貫通孔h1と同じ大きさであっても良いし、あるいは、異なる大きさであってもよい。また、貫通孔h2は、円形であることが好ましいが、楕円形等の他の形状であっても良い。
【0038】
上記のように折目線L1〜L6および貫通孔H,h1,h2が形成された包材Mは、下流側に移動して折りユニット15を通過する際に、折目線L1〜L6に沿って折り畳まれて図4に示す状態になる。
【0039】
図4を参照すると、一対の胴部シート部P11,P12となる部分は、内側に二つ折りされた底面シート部P3を挟んだ状態で対向するように折り畳まれている。また、天面シート部P2となる部分は、折目線L2で折り畳まれて、一方の胴部シート部P11に沿って起立した状態に折り畳まれる。そして、他方の胴部シート部P12となる部分の上端部は、折目線L6で略直角に折り曲げられて横方向(例えば水平方向)に沿って延びた状態にされる。
【0040】
続いて、包材Mはスパウト供給ユニット16に搬送される。ここでは、図5に示すように、スパウトSが横向きで供給されて、図6に示すように、天面シート部P2となる部分に形成されているスパウト挿通孔Hに矢印方向へ挿通される。このとき、スパウトSの本体部S1は、天面シート部P2となる部分から反対側へ突出するが、スパウトSのフランジ部S2はスパウト挿通孔Hよりも大径に形成されているためスパウト挿通孔Hの周縁部に係合した状態になる。
【0041】
このようにスパウトSが仮装着された包材Mは、図7に示すように、次の第1接合ユニット17に移動する間に天面シート部P2となる部分が水平方向に沿った姿勢に折り畳まれて、折目線L2,L6で水平方向に沿って折り曲げられている胴部シート部P11,P12となる部分の各上部に対向する。
【0042】
この状態で包材Mは、第1接合ユニット17内において図8(a)に示すように、加熱されたサイドシールバー21a,21aによって胴部シート部P11,P12となる部分が横方向両側から挟み込まれるとともに、加熱されたトップシールバー21bが下降して天面シート部P2の周縁部およびスパウトSのフランジ部S2をサイドシールバー21a,21aとの間に挟持した状態となる。
【0043】
これにより、サイドシールバー21a,21aによって側縁シール部HS1および底部シール部HS4がヒートシールによって形成され、トップシールバー21bによって天面シール部HS2がヒートシールにより形成され、同時に、スパウトSのフランジ部S2が天面シート部P2にヒートシールされて装着される。
【0044】
このとき、本実施形態のパウチ容器SPは、天面シート部P2が略八角形状に形成されることから、図8(b)に示すように、天面シート部P2となる部分には略八角形をなす天面シール部HS2が形成されている。また、図17を参照して説明したように、側縁シール部HS1と天面シール部HS2とのシール境界部分HS3に、シールされない部分あるいはシールされにくい部分であるシール不良部32が残っている。そして、このシール不良部32を挟んだ両側に一対の貫通孔h2が対称位置に形成されている。
【0045】
続いて、包材Mは、切除ユニット18に搬送され、そこで幅方向に隣接するパウチ容器SPの天面シート部P2となる部分の間にある三角形の不要部分41を、包材Mを挟んで両側に配置された三角状の切除刃を揺動させて切除する。これにより、図9に示すように、分離されたときにパウチ容器SPの天面シート部P2が略八角形をなすように成形される。
【0046】
図10に、図9中のF−F断面を示す。この段階での包材Mの断面は、従来技術で説明したパウチ容器と同じである。
【0047】
なお、本実施形態では、パウチ容器SPの天面シート部P2の形状が略八角形である例について説明するが、これに限定されるものではなく、天面シート部が四角形、六角形等の他の多角形形状であってもよいし、あるいは、円形、楕円形、菱形、台形等の他の形状であってもよい。
【0048】
切除ユニット18で不要部分が切除された後、包材Mは、第2接合ユニット19に搬送される。そこでは、図11に示すように、複数のパウチ容器SPが切断予定線CLでつながった状態で、上記シール不良部32を含むシール境界部分HS3に局部的にポイントシール部30(図17参照)を形成する。
【0049】
具体的には、図示しないガイド部材等を用いて、天面シート部P2の幅方向の両端部を、シール不良部32で谷折りするように略V字状に折り曲げる。その状態で、加熱されたポイントシールバー21cによってシール不良部32および一対の貫通孔h2を含む領域を両側から挟み込む。このときの図11中のB−B断面が図12に拡大図として示される。
【0050】
図12に示すように、ポイントシールバー21c,21cで挟まれた部分には、シール不良部32を折目位置として天面シート部P2の幅方向端部が折り畳まれることで、一対の貫通孔h2が重なった位置となる。これにより、一対の胴部シート部P11,P12の各側縁部の上端部同士が貫通孔h2を介して圧接および加熱されて、互いにヒートシールにより接合される。なお、図12では、ポイントシールバー21cの接触面と胴部シート部P11,P12との間に隙間が形成されるように示されるが、包材Mに用いられる樹脂フィルムは厚みが例えば0.15mm程度と薄いため、ポイントシールバー21c,21cによる挟持によって胴部シート部P11,P12の側縁上端部同士が十分に圧接されて接合されることができる。このようにポイントシールが施されることで、パウチ容器SPのシール不良部32が十分に接合されて、シール境界部分HS3における密封強度が向上する。
【0051】
上記のようにポイントシールが施された包材Mは、次のステーションである切断ユニット20に移動し、そこで切断予定線CLに沿って切断されることにより個別のパウチ容器SPが包材Mから分離される。これにより、本実施形態のパウチ容器SPが出来上がる。
【0052】
図13は、本実施形態における1つのパウチ容器SPを示す(a)上面図、(b)正面図、および(c)側面図である。
【0053】
図13を参照すると、上記の貫通孔h2は略二分されて半円状の切欠部c2となっている。上述したように、この切欠部c2を介して胴部シート部P11,P12の側縁上端部42同士が接合されている。これにより、天面シート部P2の幅方向端部がシール境界部分HS3(図9及び図12参照)で谷折りされて折り畳まれた状態となっているために、シール境界部分HS3を挟んで両側に位置する天面シート部P2の幅方向端部同士が相互に圧接された状態に維持されている。その結果、パウチ容器SPの落下時等の衝撃によって内容物に加わった圧力が上記天面シート部P2の幅方向端部に作用しても、天面シート部P2の幅方向端部を起点として天面シート部P2と胴部シート部P11,P12との間で剥離が生じるのを抑制することができる。したがって、パウチ容器SPの落下時等における内容物の漏出を抑制または防止することができる。
【0054】
本実施形態のパウチ容器SPおよび比較例である図14に示すパウチ容器に内容物をそれぞれ充填して落下試験を行った。この試験では、高さ1メートルの位置からパウチ容器SPを、底面シート部P3を下方に向けた状態と、胴部シート部P11(またはP12)を下方に向けた状態とで5回ずつ落下させて、ポイントシールされた部分からの内容物の漏出を確認した。その結果、比較例のパウチ容器ではポイントシール部30からの内容物の漏出があったが、本実施形態では内容物の漏出が発生せず、その効果を確認することができた。
【0055】
なお、本発明に係るスパウト容器の製造方法は、上述した実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項および均等な範囲内で種々の変更や改良が可能である。
【0056】
例えば、上記においてはスパウトSを天面シート部P2にヒートシールして装着する工程と、天面シート部P2の周縁に天面シール部HS2を形成するヒートシール工程とを同時に行うものとして説明したが、これに限定されるものではなく、別の工程として行ってもよい。
【0057】
また、上記においては、シール不良部32にポイントシールを施す工程と、胴部シート部P11,P12の側縁上端部同士を貫通孔h2を介してヒートシールして接合する工程とを同時に行うものとして説明したが、これに限定されるものではなく、別の工程で行ってもよい。その場合、まず、図17を参照して説明した従来のパウチ容器と同様にしてシール不良部32にポイントシール部30を形成し、その後、天面シート部P2の幅方向端部を谷折してヒートシールすることにより貫通孔h2を介して胴部シート部P11,P12の側縁上端部同士を接合してもよい。
【符号の説明】
【0058】
10 パウチ製造装置、11 リールユニット、12 アキュムレータユニット、13 折目線形成ユニット、14 孔形成ユニット、16 スパウト供給ユニット、17 第1接合ユニット、18 切除ユニット、19 第2接合ユニット、20 切断ユニット、21a,21a サイドシールバー、21b トップシールバー、21c ポイントシールバー、23 (サイドシールバーの)上側角部、30 ポイントシール部、32 シール不良部、40 中心線、41 不要部分、42 側縁上端部、c,c1,c2 切欠部、CL 切断予定線、H スパウト挿通孔または貫通孔、h1,h2 貫通孔(接合孔)、HS1 側縁シール部、HS2 天面シール部、HS3 シール境界部分、HS4 底部シール部、K シール角部、L1−L6 折目線、M 包材、P パウチ容器、P11,P12 胴部シート部、P2 天面シート部、P3 底面シート部、S スパウト、S1 本体部、S2 フランジ部、SP スパウト付パウチ容器、W 幅方向、H 上下方向、D 奥行き方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13
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図16
図17