(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2のダンパ装置は、2枚の半円形のシャッター板を用いて開口(吹出口、換気口)を開閉している。そして、開口を横切る方向に2枚のシャッター板の回転軸線が設定され、各シャッター板は、回転軸線に沿って延びる直線状の縁部分を中心として回転する。このような構成では、回転軸に沿って延びるシャッター板の端部が常に流路を遮っており、回転軸が配置された角度位置では、シャッター板および回転軸が流路に及ぼす影響が大きい。従って、ダンパ装置を通過する流体の流れは、角度方向による偏りが大きくなってしまう。
【0007】
また、特許文献1、2のダンパ装置は、駆動部を備えておらず、手動で開度を調節するか、あるいは、ファンからの風力と自重との釣り合いによって開度が決まる構成である。従って、制御によって任意の開度に調節することはできない。駆動部を設ければ制御によってシャッター板を任意の開度に開閉できるが、この場合、駆動部を設けるためのスペースが必要である。従って、駆動部によって流路が妨げられたり、ダンパ装置が大型化するという問題点がある。
【0008】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、小型化に有利で、且つ、流路に及ぼす影響が少ないダンパ装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のダンパ装置は、
円形開口の中央部分を除いた環状開口に面して配置される3以上の開閉部材と、
当該3以上の開閉部材を、前記環状開口を閉鎖する閉位置、および、前記環状開口を開放する開位置に移動させる開閉部材駆動装置とを有し、
当該開閉部材駆動装置は、
前記環状開口の中心軸線上に配置され、当該中心軸線回りに回転可能な回転カムと、
前記中心軸線上に配置され、前記回転カムを前記閉位置に対応する第1回転位置と前記開位置に対応する第2回転位置との間で回転させる駆動部を備え、
前記3以上の開閉部材のそれぞれは、
前記環状開口を周方向に分割した3以上の開口領域の1つを閉鎖する開閉板と、
当該開閉板に固定され、前記回転カムの前記第1回転位置から前記第2回転位置へ向かう第1回転方向への回転に基づいて、前記回転カムの外周側に向かう第1移動方向に移動する駆動レバーとを備え、
前記開閉板は、
前記環状開口の内周側と外周側に回転可能に支持されており、前記駆動レバーの前記第1移動方向への移動に基づいて、前記環状開口の内周側から外周側へ向かう方向に延びている回転軸を中心として回転
し、前記回転軸と異なる位置で前記駆動レバーと前記回転カムとが接触することを特徴としている。
【0010】
本発明では、このように、円形開口の中央部を除く環状開口を、周方向に分散配置した3以上の開閉部材によって開閉する。すなわち、環状開口の内周側に回転カムを配置して、回転カムの回転に基づいて
環状開口の内周側と外周側に回転可能に支持される開閉板と一体に形成した駆動レバーを
開閉板の回転軸と異なる位置で回転カムと接触させて外周側へ移動させ、回転軸を中心として開閉板を傾けている。このように、開閉板を3以上にしてこれらを周方向に分散配置したことにより、環状開口から開閉板が持ち上がって開放される箇所が周方向に分散される。従って、環状開口を周方向の偏りが少ない状態で開放できる。また、回転軸を環状開口の内周側および外周側で支持できるため、開閉板の回転軸を支持する支持部にかかる負担を小さくでき、支持部を小さくできる。更に、回転カムおよび駆動部は、ダンパ装置を取り付けるファンユニットの軸流羽根やファンモータと重なる位置(環状開口の中心軸線上)に配置されるため、流路に対する影響が少ない。よって、ダンパ装置が流路に及ぼす影響が少なく、小型化に有利である。
【0011】
本発明において、前記回転軸は、前記中心軸線と直交する方向に延びており、前記開閉板が前記閉位置から前記開位置に移動するときの、前記開閉板の内周縁における前記回転軸から最も離れた端位置の前記中心軸線方向の移動範囲の中央の位置よりも、前記環状開口から前記中心軸線方向に離れた位置に、前記回転軸が配置されていることが望ましい。このようにすると、開閉板が一端を中心として回転してその内周縁が中心軸線方向に持ち上がったときに、環状開口の内周側に配置されている駆動部および回転カムと開閉板の内周縁とが干渉しないようにすることができる。よって、回転カムおよび駆動部によって開閉板の開閉動作が妨げられないようにすることができる。
【0012】
また、本発明において、前記駆動レバーおよび前記回転カムは、前記回転軸よりも前記環状開口から前記中心軸線方向に離れた位置に配置されていることが望ましい。このようにすると、駆動レバーの移動範囲が、回転カムに対して回転軸側の領域となる。従って、回転カムに対して回転軸および環状開口とは逆の側に駆動レバーの移動スペースを確保する必要がない。従って、ダンパ装置の小型化に有利である。
【0013】
ここで、本発明において、前記駆動レバーを前記第1移動方向と逆向きの第2移動方向に付勢する付勢部を備え、当該付勢部は、前記駆動レバーの前記第1移動方向への移動に基づいて、前記駆動レバーを前記第2移動方向に付勢する状態に蓄勢され、前記回転カムが前記第1回転方向と逆向きの第2回転方向に回転すると、前記駆動レバーの前記第2移動方向への移動が許容されて、前記付勢部の付勢力によって前記駆動レバーが前記第2移動方向に移動し、これに伴って前記開閉板が前記閉位置側に移動することが望ましい。このようにすると、開状態において、蓄勢された付勢部からの付勢力によって駆動レバーが回転カムに押し付けられる。従って、開状態における開閉板および駆動レバーのがたつきを抑制できる。
【0014】
このとき、前記回転カムは、前記第2回転位置において、前記第2移動方向に付勢された前記駆動レバーによって、当該回転カムの中心に向かう押圧方向に押圧されることが望ましい。このようにすると、開状態において、付勢部からの付勢力が回転カムを回転させる方向に作用しない。従って、回転カムが閉方向(第1回転位置側)に回転するのを防止できる。
【0015】
また、この場合に、前記付勢部は、前記駆動部の外周側に配置された環状部材と、当該環状部材を前記中心軸線方向に付勢する弾性部材を備え、当該弾性部材は、前記駆動レバーが前記第1移動方向に移動するとき、当該駆動レバーおよび前記開閉板と一体に形成された腕部によって、前記環状部材を介して前記中心軸線方向に圧縮され、前記環状部材は、前記弾性部材の弾性復帰力によって当該弾性部材の圧縮方向と逆向きに移動するとき、前記腕部を前記中心軸線方向に押圧して、前記駆動レバーを前記第2移動方向に移動させ、前記3以上の開閉部材は、前記中心軸線を中心として周方向に均等配置された3以上の位置に回転対称に配置されていることが望ましい。このようにすると、環状部材への腕部の当接位置、駆動レバーの回転カムへの当接位置、および、回転軸の位置等を、全て、回転対称且つ等角度間隔になるように設定できる。従って、環状部材および回転カムに作用する力を周方向に均等にすることができ、環状部材および回転カムの中心軸線に対する傾きを防止できる。
【0016】
更に、本発明において、前記開閉板は、前記閉位置において、前記中心軸線を中心とする周方向の一端側の縁部分が、周方向に隣接する他の開閉板の他端側の縁部分と前記中心軸線方向に重なっていることが望ましい。このようにすると、閉状態において、開閉板間の周方向の隙間を塞ぐことができ、閉状態における密閉度を高めることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、開閉板を3以上にしてこれらを周方向に分散配置したことにより、環状開口を周方向の偏りが少ない状態で開放できる。また、回転軸を環状開口の内周側および外周側で支持できるため、開閉板の回転軸を支持する支持部にかかる負担を小さくでき、支持部を小さくできる。更に、回転カムおよび駆動部は、ダンパ装置を取り付けるファンユニットの軸流羽根やファンモータと重なる位置(環状開口の中央軸線上)に配置されるため、流路に対する影響が少ない。よって、ダンパ装置が流路に及ぼす影響が少なく、小型化に有利である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したダンパ装置の実施の形態を説明する。
図1、
図2はダンパ装置およびファンユニットの斜視図であり、
図1は開閉板を閉状態にしたときの斜視図、
図2は開閉板を開状態にしたときの斜視図である。また、
図3はダンパ装置の分解斜視図であり、
図4は
図3のA−A断面斜視図である。
【0020】
本形態のダンパ装置1は、冷却空気等の流体が流れるダクト100の一端に取り付けられるファンユニット101に固定して用いられる。ファンユニット101は、ダクト100の端部に取り付けられる枠体102と、枠体102に回転可能に支持された軸流羽根(不図示)と、軸流羽根を回転させるファンモータユニット107を備えている。ファンモータユニット107は、円筒形のモータケースおよびその内部に収納されたファンモータを備えている。枠体102には円形の開口104が形成されている。
【0021】
ダクト100内の流体通路100aは、ダクト100の端部にファンユニット101およびダンパ装置1が取り付けられたとき、ファンユニット101の開口104、および、ダンパ装置1に設けられた後述する環状開口25を介して外部に連通する。開口104および環状開口25は、ダクト100内の流体通路100aと同軸に形成されており、開口104および環状開口25の中心を通り開口104および環状開口25と垂直な中心軸線Lは、流体通路100aの中心軸線と一致している。なお、便宜上、中心軸線Lに沿って環状開口25からダクト100の外部に向かう方向を開方向L1、開方向L1と逆向きの方向を閉方向L2とする。
【0022】
ファンユニット101の枠体102は、開口104が形成された外枠105と、外枠105から開口104の中心に向けて放射状に延びる4本の支持フレーム106を備えている。支持フレーム106によって、開口104の中央にファンモータユニット107が支持されている。4本の支持フレーム106は、開口104の中心を基準として等角度間隔で配置されている。外枠105の外形は4隅が面取りされた正方形であり、4本の支持フレーム106は、外枠105の4隅から所定角度だけずれた角度位置に設けられている。各支持フレーム106は、外枠105から中心軸線Lに沿って開方向L1に延びる縦フレーム106aと、縦フレーム106aの開方向L1側の端部から径方向内側に延びる横フレーム106bを備えている。横フレーム106bは、ファンモータユニット107の外周面に接続されている。ファンモータユニット107における閉方向L2側の端部には、軸流羽根(不図示)が回転可能に取り付けられている。ファンモータユニット107および軸流羽根は、開口104の中央に同軸に配置されている。軸流羽根は、ファンモータユニット107内に収納されたファンモータの出力回転に基づき、中心軸線L回りに回転する。
【0023】
ダンパ装置1は、ファンユニット101の枠体102に固定される枠体2と、枠体2に設けられた環状開口25に面して配置される4つの開閉部材3と、環状開口25を閉鎖する閉位置3A(
図1に示す位置)と、環状開口25を開放する開位置3B(
図2に示す位置)との間で開閉部材3を移動させる開閉部材駆動装置4を備えている。
【0024】
枠体2は、中心軸線L方向に延びる断面8角形の筒状部21と、筒状部21の枠体102側の端部の4隅から外周側に突出した突出片22と、筒状部21の枠体102とは逆側の端部に設けられた開口枠部23を備えている。筒状部21は、突出片22に接続されている4方向の側面21aの周方向の幅が、他の4方向の側面21bの周方向の幅よりも狭く形成されている。枠体2は、突出片22と、4方向の側面21bの端部によって構成される枠体102側の端部をファンユニット101の枠体102に当接させて固定される。
【0025】
図3に示すように、枠体2には、開口枠部23の中央に円形開口23aが形成されており、円形開口23aの縁から4本の支持フレーム24が内周側に延びている。円形開口23aの中央には、後述するモータケース50が配置されている。支持フレーム24は、モータケース50の外周面に接続されており、モータケース50は、4本の支持フレーム24によって円形開口23aの中央に支持されている。枠体2には、モータケース50が配置された円形開口23aの中央部分を除く環状開口25が形成されている。また、枠体2は、筒状部21の側面21bから更に開方向L1側に延びる4本の支持壁26を備えている。各支持壁26のモータケース50側の面には、後述する開閉部材3の回転軸(外側回転軸39B)を回転可能に支持する軸受部27が形成されている。
【0026】
環状開口25に面して配置される4つの開閉部材3のそれぞれは、環状開口25を部分的に閉鎖する開閉板30を備えている。各開閉板30は、環状開口25を周方向に4分割した開口領域の1つを閉鎖する。4枚の開閉板30によって、環状開口25の完全な閉状態が形成される。4枚の開閉板30は、環状開口25の中心軸線Lを基準として回転対称に配置され、周方向に均等配置されている。すなわち、各開閉板30は、中心軸線L回りに90度回転させたとき、隣の開閉板30と完全に重なるように構成されている。
【0027】
図3に示すように、開閉板30の外周縁は、モータケース50の外周面に沿って延びる内周側縁部31と、環状開口25の外周縁に沿って延びる外周側縁部32と、内周側縁部31および外周側縁部32の周方向の一端側同士を接続する駆動側縁部33と、内周側縁部31および外周側縁部32の周方向の他端側同士を接続する開閉側縁部34を備えている。駆動側縁部33は、開閉部材3の回転中心となる回転軸(後述する内側回転軸39A、外側回転軸39B)に近い側の縁部であり、開閉側縁部34は、この回転軸から遠い側の縁部である。内周側縁部31は、一方の端部が直線状であり、駆動側縁部33に直角に接続されている。他方の端部は円弧状となっている。開閉側縁部34は、駆動側縁部33と直交する方向に直線状に延びている。外周側縁部32は円弧状である。
【0028】
各開閉板30には、開閉側縁部34に沿ってリブ35が形成されている。リブ35の裏側には、開閉部材3の厚さ分だけ切り欠いた切り欠き部36が形成されている。開閉部材3は、
図1、
図3に示す閉位置3Aでは、各開閉板30の切り欠き部36に、周方向に隣接する他の開閉板30の駆動側縁部33が嵌合されている。すなわち、閉位置3Aでは、隣接する開閉板30の一方に設けられた開閉側縁部34と、他方に設けられた駆動側縁部33が重なり合い、中心軸線L方向に当接している。このように、周方向に隣接する開閉板30の縁同士が閉状態で重なり合うように構成しているため、閉状態において、開閉板30の間の隙間を塞ぐことができる。従って、閉状態における環状開口25の密閉度を高めることができる。
【0029】
開閉部材3は、開閉板30の駆動側縁部33に沿った縁部の両端から開位置L1側に延びる2本の柱状の支柱37A、37Bを備えている。環状開口25の内周側に配置された支柱37Aの先端には、駆動側縁部33と平行に内周側に延びる駆動レバー38が固定されている。支柱37Aの中心軸線L方向のほぼ中央の位置には、駆動レバー38と平行に延びる内側回転軸39Aが固定されている。一方、外周側に配置された支柱37Bの先端には、内側回転軸39Aと同一軸線上に配置され内側回転軸39Aと逆向きに延びる外側回転軸39Bが固定されている。外側回転軸39Bは、枠体2の支持壁26に設けられた軸受部27に回転可能に支持されている。一方、内側回転軸39Aを支持する軸受部55は、モータケース50の外周面に設けられている。
【0030】
開閉板30は、リブ35および切り欠き部36が形成された開閉側縁部34を除き、一定の板厚に形成されている。支柱37A、37Bは、開閉板30から垂直に延びており、閉位置3Aにおいて中心軸線Lと平行になっている。内側回転軸39Aおよび外側回転軸39Bが軸受部27および軸受部55によって回転可能に支持されているため、開閉板30は、内側回転軸39Aおよび外側回転軸39Bを中心として回転可能となっている。内側回転軸39Aおよび外側回転軸39Bの中心を通る回転軸線La(
図3、
図7参照)は、中心軸線Lと交差しない位置において、中心軸線Lと直交する方向に延びている。
【0031】
開閉部材駆動装置4は、中心軸線L上に配置された駆動部40と、駆動部40を収納するモータケース50と、駆動部40によって中心軸線L回りに回転させられる回転カム60と、4つの開閉部材3を閉位置3A側に付勢する付勢部70を備えている。
【0032】
図3、
図4に示すように、モータケース50は、円形開口23aの中央に配置されている。モータケース50は、中心軸線L方向に接合されている円筒状の第1ケース51および第2ケース52と、第1ケース51の第2ケース52とは逆側(開方向L1側)の開口を閉鎖する蓋ケース53を備えている。第2ケース52の第1ケースとは逆側(閉方向L2側)の開口は、ダンパ装置1の枠体2をファンユニット101の枠体102に固定したとき、ファンモータユニット107の開方向L1側の端面によって封鎖される。蓋ケース53の中央には開口53aが形成されている。また、蓋ケース53の開方向L1側の面には、180度よりも小さい所定の角度範囲にわたって円弧状に延びる円弧溝54が形成されている。ここで、第1ケース51と蓋ケース53の接合部の外周面には、上述した開閉部材3の内側回転軸39Aを支持する軸受部55が4つ形成されている。4つの軸受部55は、中心軸線L回りに回転対称に配置されている。各軸受部55に設けられた軸受穴は外周側を向いて開口している。軸受部55は、軸受穴の延長線が中心軸線Lから外れた位置を通るように形成されている。
【0033】
モータケース50の外周には、軸受部55に対して閉方向L2側に、付勢部70が構成されている。付勢部70は、環状部材としてのワッシャー71と、中心軸線L方向に伸縮する弾性部材としてのコイルばね72と、開閉部材3の内側回転軸39Aの先端に設けられた腕部73を備えている。ワッシャー71およびコイルばね72は、モータケース50の外周側に同軸に取り付けられている。腕部73は、ワッシャー71に対して開方向L1側に配置されている。後述するように、腕部73は、内側回転軸39Aの回転軸線La回りの回転に基づき、ワッシャー71を閉方向L2側に押圧する。コイルばね72は、開方向L1側の端部がワッシャー71に当接している。一方、コイルばね72の閉方向L2側の端部は、第2ケース52の外周面に設けられた支持壁56に当接している。支持壁56は、枠体2に設けられた支持フレーム24の内周側の端部に接続されている。支持壁56は、開閉部材3が閉位置3Aにあるとき、開閉板30の内周側縁部31と重なって、開閉板30とモータケース50との隙間を塞いでいる。
【0034】
図3に示すように、腕部73は、内側回転軸39Aの先端から、内側回転軸39Aの軸線方向(回転軸線La方向)と直交する方向に延びており、内側回転軸39Aを支持する軸受部55の基端部からワッシャー71の近傍に突出している(
図1、
図6、
図7参照)。腕部73は、開閉部材3が閉位置3Aにあるとき、中心軸線Lに対して垂直な方向、すなわち、ワッシャー71と平行な方向に延びている(
図1、
図7(a)参照)。一方、開閉部材3が開位置3Bにあるとき、開閉板30を環状開口25に対して傾くように内側回転軸39Aが回転軸線La回りに回転しているため、腕部73がワッシャー71側に傾いている(
図2、
図7(b)参照)。すなわち、腕部73の先端が閉方向L2側に移動し、ワッシャー71をコイルばね72側に押圧移動させると共に、ワッシャー71を介してコイルばね72を圧縮している。この状態で、コイルばね72は、その弾性復帰力によって、ワッシャー71を介して、腕部73の先端をコイルばね72の伸長方向すなわち開方向L1側に付勢する。このように、付勢部70は、開閉部材3が開位置3Bに移動したことによって蓄勢され、開閉部材3を閉位置3A側に付勢する。
【0035】
図5は、駆動部40および回転カム60の斜視図である。また、
図6は開閉部材および開閉部材駆動装置の側面図であり、
図7は開閉部材および開閉部材駆動装置の斜視図である。
図6および
図7において、(a)は開閉部材3が閉位置3Aにある閉状態を示しており、(b)は開閉部材3が開位置3Bにある開状態を示している。回転カム60は、環状開口25の中心軸線L上に配置されている。回転カム60は、
図5、
図6に示すように、モータケース50の開方向L1側の端部を構成している蓋ケース53に対して中心軸線L方向に当接する円板部61と、円板部61の開方向L1側の面に形成されているカム部62と、円板部61およびカム部62の中央部分を中心軸線L方向に貫通する貫通穴63と、円板部61の閉方向L2側の面に形成されている円弧状リブ64を備えている。円弧状リブ64は、円板部61を蓋ケース53に当接させたとき、蓋ケース53の円弧溝54に挿入される。このように、円弧状リブ64が円弧溝54内に配置されることによって、回転カム60の中心軸線L回りの回転可能範囲が、開閉部材3の閉位置3Aに対応する第1回転位置60A(
図1、
図7(a)参照)から、開閉部材3の開位置3Bに対応する第2回転位置60B(
図2、
図7(b)参照)までの範囲となるように規制される。このように、円弧状リブ64と円弧溝54の度当りによって回転範囲を規制する場合、回転カム60の回転位置を検出するセンサを設けて回転カム60の位置制御を行う必要がない。
【0036】
カム部62は、回転カム60の中心から外れた位置において回転カム60の外周側を向くように形成された4つのカム面62aを備えている。4つのカム面62aは、中心軸線Lを基準として回転対称に配置されている。すなわち、どのカム面62aも、中心軸線L回りに90度回転させたとき、隣のカム面62aと重なるように形成されている。
図7(a)に示すように、開閉部材3が閉位置3Aのとき、4つのカム面62aには、回転カム60を囲んで回転対称に配置された4つの開閉部材3に設けられた4本の駆動レバー38が当接している。開閉部材3が閉位置3Aのとき、駆動レバー38の軸線方向はカム面62aと平行であり、駆動レバー38の先端は内周側へ向かって延びている。この状態が、回転カム60の第1回転位置60Aである。
【0037】
駆動部40は、
図4、
図5に示すように、蓋ケース53の裏側(閉方向L2側)に回転カム60と同軸に配置された歯車41と、蓋ケース53に形成された開口53aを挟んで配置された歯車41および回転カム60を中心軸線L回りに相対回転しないように固定する係合ピン42と、モータケース50内において同軸に配置されたロータ43およびステータ44と、ロータ43の出力軸に取り付けられた出力歯車43aの回転に基づいて歯車41を回転させるギアユニット45を備えている。ロータ43は、中心軸線Lと平行に延びるロータ本体部およびその外周面に装着されたロータマグネット等を備えており、中心軸線Lと平行な回転軸線回りに回転可能に保持されている。ステータ44は、ロータマグネットを囲んで環状に配置された駆動コイルと、駆動コイルを搭載した環状のステータコアを備えている。ステータ44は、モータケース50内に設けられた支持フレームを介して、モータケース50に固定されている。ロータ43およびステータ44は、ステッピングモータを構成している。
【0038】
ギアユニット45は、出力歯車43aと噛み合う第1ギア45a、第1ギア45aと噛み合う第2ギア45b、および、第2ギア45bと噛み合う第3ギア45cを備えている。各ギアの両端は、モータケース50内に設けられた軸受部(不図示)によって回転可能に支持されている。また、各ギアは、一体に回転する大径歯車部および小径歯車部を備えており、大径歯車部に伝達された回転を、小径歯車部から次のギアの大径歯車部に伝達している。なお、
図5において、第3ギア45cと歯車部41の歯溝は図示を省略している。
【0039】
駆動部40は、係合ピン42を介して、回転カム60を歯車41と一体に回転させる。駆動部40は、回転カム60を、円弧状リブ64および円弧溝54によって規定される回転可能範囲の一端側に設定された第1回転位置60Aから、他端側に設定された第2回転位置60Bまでの範囲で回転させる。第2回転位置60Bは、ダンパ装置1を正面から閉方向L2を向いて見たときに、第1回転位置60Aに対して、90度より小さい所定角度だけ時計回り方向CW側に回転させた位置となっている。
【0040】
図7(a)に示すように、回転カム60は、第1回転位置60Aから第2回転位置に向けて第1回転方向すなわち時計回り方向CWに回転するとき、4つのカム面62aが、4本の駆動レバー38を外周側に向かう第1移動方向B1に押圧移動させる。これにより、4つの開閉部材3のそれぞれは、内側回転軸39Aおよび外側回転軸39Bを中心として、内側回転軸39Aおよび外側回転軸39Bの回転軸線La回りに、第1回転方向R1に回転する。開閉板30は、開閉部材3の第1回転方向R1への回転に伴って、内側回転軸39Aおよび外側回転軸39Bから遠い側の端部が環状開口25から開方向L1側に浮き上がり、環状開口25に対して傾いた姿勢になる。回転カム60が第2回転位置60Bに到達したとき、開閉部材3は開位置3Bまで移動する。このとき、開閉板30の開閉側縁部34側の部分が環状開口25から開方向L1側に大きく離れて、環状開口25が開放状態となる。
【0041】
このように、回転カム60の時計回り方向CW(第1回転方向)への回転によって、開閉部材3が閉位置3Aから開位置3Bに移動すると、上述したように、第1回転方向R1に回転する内側回転軸39Aの先端に形成された腕部73が閉方向L2側に傾き、付勢部70のワッシャー71を閉方向L2側に押し下げ、コイルばね72を圧縮する。従って、開位置3Bでは、蓄勢された付勢部70によって開閉部材3が閉位置3A側に付勢されており、駆動レバー38は、内周側へ向かう第2移動方向B2に付勢されている。駆動レバー38は、付勢部70の付勢力によって、第2回転位置60Bにある回転カム60に押し付けられ、回転カム60を径方向に押圧する。このように、回転カム60が4方向から駆動レバー38が押し付けられることで、駆動レバー38のがたつきが抑制され、駆動レバー38と一体に形成された開閉板30のがたつきが抑制される。また、このとき、駆動レバー38は、回転カム60をその中心に向けて径方向に押圧しており、付勢部70からの付勢力が回転カム60を回転させる方向に作用しない。つまり、付勢部70の付勢力だけでは、回転カム60が第1回転位置60A側に回転しないようになっている。
【0042】
開閉部材3を閉じるには、駆動部40によって回転カム60を反時計回り方向CCW(第2回転方向)に回転させて、第1回転位置60Aに戻す。これにより、駆動レバー38の内周側への移動が許容されるため、付勢部70によって内周側へ付勢された駆動レバー38が内周側へ向かう第2移動方向B2に移動し、開閉部材3が内側回転軸39Aおよび外側回転軸39Bを中心として第2回転方向R2に回転する。従って、開閉部材3が閉位置3Aに戻る。
【0043】
ここで、ワッシャー71の開方向L1側には、4つの腕部73が、中心軸線Lを基準として回転対称に配置され、且つ、周方向に均等配置されている。また、開閉部材3の他の部位、および、開閉部材3の回転軸(内側回転軸39A、外側回転軸39B)を支持する軸受部27、55も、中心軸線Lを基準として回転対称に配置され、且つ、周方向に均等配置されている。更に、開閉部材3を駆動する回転カム60に設けられた4つのカム面62aも、中心軸線Lを基準として回転対称に配置され、且つ、周方向に均等配置されている。従って、ワッシャー71は、4つの腕部73によって周方向に均等に押圧されており、中心軸線Lに対する傾きが抑制されている。このため、付勢部70は、4つの開閉部材3を均等に付勢できる。従って、4つの開閉部材3を回転対称な姿勢にすることができ、環状開口25を周方向に偏りなく開閉できる。
【0044】
また、開閉部材3は、開閉板30の内周側縁部31(
図3参照)がモータケース50に近接した位置に配置されている。内周側縁部31は、回転軸(内側回転軸39A、外側回転軸39B)から最も離れた端位置31a(
図3、
図6(b)参照)付近が湾曲形状となっている。このため、開閉部材3が第1回転方向R1に回転して内周側縁部31が開方向L1側に持ち上がると、端位置31aの部分がモータケース50あるいはその外周側に取り付けたコイルばね72と干渉するおそれがある。そこで、本形態では、開閉部材3が閉位置3Aから開位置3Bに移動するときの、端位置31aの中心軸線L方向の移動範囲P(
図6(b)参照)を検討し、この移動範囲Pの中央の位置P1(
図6(b)参照)よりも環状開口25から中心軸線L方向に離れた位置に、開閉板30の回転軸(内側回転軸39A、外側回転軸39B)を配置している。これにより、開閉板30と開閉部材駆動装置4が干渉せず、開閉部材駆動装置4によって開閉板の開閉動作が妨げられない構造となっている。
【0045】
以上のように、本形態のダンパ装置1は、円形開口23aの中央部を除く環状開口25を、環状開口25の周方向に分散配置した4つの開閉部材3によって開閉する。開閉部材3の数は3あるいは5以上であってもよい。各開閉部材3は、環状開口25を開閉部材3の数と同一数に周方向に分割した場合の開口領域の1つを閉鎖する開閉板30を備えている。そして、環状開口25の内周側に回転カム60を配置して、回転カム60の回転に基づき、開閉板30と一体に形成した駆動レバー38を外周側へ移動させる。これにより、内側回転軸39Aおよび外側回転軸39Bを中心として開閉部材3を回転させて、開閉板30を傾け、環状開口25を開放している。
【0046】
このように、開閉板30を3以上にしてこれらを周方向に分散配置したことにより、環状開口25から開閉板30が持ち上がって開放される箇所が周方向に分散される。従って、環状開口25を周方向の偏りが少ない状態で開放できる。また、内側回転軸39Aを環状開口25の内周側で支持でき、外側回転軸39Bを環状開口25の外周側で支持できるため、これらの回転軸を支持する支持部(軸受部27、55)にかかる負担を小さくでき、軸受部27、55を小さくできる。また、回転軸が流路に与える影響を小さくできる。更に、回転カム60および駆動部40は、ダンパ装置1を取り付けるファンユニット101の軸流羽根やファンモータユニット107と重なる位置(環状開口25の中心軸線L上)に配置されるため、流路に対する影響が少ない。また、1つの駆動部40および回転カム60によって4つの開閉部材3を動かすことができるという利点もある。よって、ダンパ装置1が流路に及ぼす影響が少なく、且つ、小型化に有利な構造となっている。
【0047】
また、本形態では、駆動レバー38および回転カム60が、開閉部材3の回転軸(内側回転軸39A、外側回転軸39B)よりも環状開口25から中心軸線L方向に離れた位置に配置されている。このようにすると、駆動レバー38の移動範囲が、回転カム60に対して回転軸(内側回転軸39A、外側回転軸39B)と同じ側の領域、すなわち、回転カム60に対して閉方向L2側の領域となる。従って、回転カム60に対して回転軸(内側回転軸39A、外側回転軸39B)とは逆の側に駆動レバー38の移動スペースを確保する必要がない。従って、ダンパ装置1の中心軸線L方向の寸法を小さくでき、小型化に有利である。
【0048】
なお、本形態では、内側回転軸39A、外側回転軸39Bを開閉部材3と一体に形成しているが、内側回転軸39A、外側回転軸39Bを開閉部材3(開閉板30および駆動レバー38を備える部材)と別体に構成してもよい。
【0049】
また、本形態は、流体が流れ出すダクト100の端部にダンパ装置1を取り付ける形態であったが、流体の流れが逆向きであっても同様の効果が得られる。
【0050】
(他の形態)
本形態は、冷却機等に設けられた冷却空気等の流体が流れるダクト100の一端に取り付けられるファンユニット101と一体に構成されるダンパ装置1に本発明を適用したものであったが、各種の流体(液体あるいは気体)が流れる流体通路の開口に取り付けることができる。例えば、換気口に取り付けるファンユニットと一体に取り付けることもできる。