(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ゼンマイの替わりにコイルバネを用いても便蓋の開動作をアシストすることができる。ここで、コイルバネを用いる場合にも蓄勢時や付勢力の発揮時にその径が変化するので、モータの駆動力を出力軸に伝達する減速輪列の中で出力軸に隣接して配置される歯車については、径の拡大したコイルバネと干渉しないように、出力軸との間にスペースを設けなければならない。
【0005】
ところで、減速輪列の中で出力軸に隣接して配置される歯車には、出力軸の回転角度位置を検出するためのポテンショメータのポテンショ歯車を噛合させることがある。出力軸の回転角度位置を検出するためには、ポテンショ歯車を減速輪列において出力軸に近い駆動力伝達経路の下流側の歯車に噛合させた方が、それよりも上流側の歯車に噛合させた場合と比較して、出力軸の回転を精度よく検出できるからである。しかし、減速輪列の中で出力軸に隣接して配置される歯車にポテンショ歯車を噛合させる場合には、コイルバネと干渉しないように歯車と出力軸を離間させた上で、さらに歯車の近傍にポテンショメータを配置することになるので、装置の小型化が阻害されるという問題がある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、蓋体を連結する回転軸の外周側にコイルバネを配置してコイルバネの付勢力により蓋体の開動作をアシストする構成において、回転軸の隣接位置にある歯車にポテンショ歯車を噛合させる場合でも、小型化を図ることが可能な蓋体開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の蓋体開閉装置は、
歯車部および当該歯車部から同軸に突出する軸部を備える出力軸と、
モータの回転を減速して前記歯車部に伝達する減速輪列と、
前記軸部の外周側に同軸に配置され、前記出力軸の軸線回りの一方向への回転に伴って径方向に変形して当該出力軸を他方向に回転させる付勢力を発揮するコイルバネと、
ポテンショメータと、を有し、
前記減速輪列を構成する歯車のうち前記軸線と直交する前記出力軸の隣接位置に配置された歯車はポテンショ歯車が噛合する回転検出歯車となっており、
前記回転検出歯車において前記ポテンショ歯車と噛合している検出歯車部は、前記コイルバネの径方向外側に位置しており、当該回転検出歯車において前記モータの回転の伝達に用いられている他の歯車部と比較して小径に構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、出力軸の隣接位置に配置された回転検出歯車は、モータの回転の伝達に用いられている他の歯車部と比較して小径の検出歯車部を備えており、この検出歯車部がコイルバネの径方向の外側に位置している。従って、径の拡大したコイルバネと回転検出歯車との干渉を避けるために、出力軸と回転検出歯車とを離間させる必要がない。よって、装置の小型化を図ることができる。また、ポテンショ歯車が噛合する検出歯車部はモータの回転の伝達に用いられている歯車部ではなく、これらの歯車部と比較して小さな強度を備えていればよい。従って、検出歯車部を小径とすることができる。
【0009】
本発明において、前記回転検出歯車は、樹脂成形品であり、前記モータの回転の伝達に用いられている歯車部として、大径歯車部と、前記大径歯車部と同軸で当該大径歯車部よりも小径の小径歯車部とを備え、前記検出歯車部は、前記小径歯車部と同軸で当該小径歯車部よりも小径であり、前記大径歯車部、前記小径歯車部および検出歯車部は軸線方向でこの順番に配置されていることが望ましい。このようにすれば、回転検出歯車を軸線方向で2分割した金型により簡易に成型することができる。また、モータの回転を伝達する大径歯車部と小径歯車部の間に検出歯車部を設けた場合には、検出歯車部の部分に力が加わって回転検出歯車が破損する可能性があるが、検出歯車部を回転検出歯車の一方の端側に配置すれば回転検出歯車の破損を防止できる。
【0010】
本発明において、前記軸線方向で積層された第1ケースおよび第2ケースを備え、前記回転検出歯車および当該回転検出歯車よりも駆動力伝達方向の下流側に位置する前記減速輪列の各歯車は、一方端が前記第1ケースにおいて軸線と交差する方向に延びる第1板部に支持され、他方端が前記第2ケースにおいて軸線と交差する方向に延びる第2板部に支持された各支軸に回転可能に支持されており、前記ポテンショメータは、前記第1ケースの前記第2ケースとは反対側に支持されており、前記ポテンショ歯車は、前記ポテンショメータに回転可能に支持された状態で前記第1板部に設けられた開口から前記第2ケースの側に突出して前記回転検出歯車の前記検出歯車部と噛合していることが望ましい。このようにすれば、第1ケースと第2ケースの間に回転検出歯車と回転検出歯車よりも下流側の輪列を構成し、しかる後に、ポテンショ歯車を回転検出歯車に噛合させることができる。よって、各歯車を噛合させることが容易である。
【0011】
本発明において、前記検出歯車部の歯数は、前記小径歯車部の歯数と同一であることが望ましい。このようにすれば、検出歯車部の歯先を小径歯車部の歯底から離間させることが容易なので、検出歯車部と小径歯車部の大きさの設計の自由度が増す。
【0012】
本発明において、前記回転検出歯車は、前記歯車部と噛合する前記減速輪列の最終歯車であることが望ましい。回転検出歯車が出力軸の歯車部と噛合していれば、出力軸の回転が回転検出歯車の回転に精度よく現われるので、出力軸の回転を精度よく検出できる。また、減速輪列の最終歯車を回転検出歯車としておけば、回転検出歯車には出力軸の回転を増幅した回転が現われているので、出力軸の歯車部にポテンショ歯車を噛合させて出力軸の回転を検出する場合と比較して、回転角度検出の分解能を高めることがでる。
【0013】
本発明において、前記出力軸は、180°未満の角度範囲で回転駆動され、前記歯車部は、周方向の一部分に歯部を備えており、前記軸部は、前記歯車部よりも小径であり、前記歯車部における前記軸部の側の環状端面には、前記軸線回りで前記歯部が設けられていない角度位置に前記コイルバネの一方端が固定されていることが望ましい。このようにすれば、コイルバネの一方端を出力軸に固定した状態として、出力軸の外周側にコイルバネを配置することが容易となる。また、コイルバネは軸線回りで歯部が設けられていない角度位置に固定されるので、コイルバネを固定することにより歯車部が破損することを防止できる。
【0014】
本発明において、
前記回転検出歯車は、前記歯車部と噛合する前記減速輪列の最終歯車であり、前記最終歯車は、前記小径歯車部が前記歯車部と噛合しており、前記大径歯車部は、前記軸線方向において前記歯車部を挟んで前記コイルバネとは反対側に位置しており、前記軸線方向から見たときに前記最終歯車と一部分が重なっていることが望ましい。このようにすれば、最終歯車と出力軸を軸線と直交する方向で近接配置できるので、装置の小型化が容易となる。
【0015】
本発明において、蓋体を平伏姿勢から回動させて起立姿勢に開いたときに、蓋体が自重などによって自然に平伏姿勢に戻ってしまうことを防止するためには、前記出力軸に付与されるトルクが予め設定した設定トルクよりも小さい場合に、前記出力軸を予め定めた角度位置で停止した状態に保持する保持機構を有し、前記保持機構は、前記歯車部に設けられた凹部の内周側に構成された内側部分と当該歯車部から前記軸部とは反対側に突出する突出部分を備えており、前記突出部分は、前記大径歯車部の径方向の外側に位置していることが望ましい。このようにすれば、保持機構を備える場合でも、当該保持機構、出力歯車および最終歯車を軸線と直交する方向で近接する位置に配置できるので、装置の小型化を図ることができる。
【0016】
この場合には、前記保持機構は、固定部材に搭載されて前記軸線方向に延びている複数の第1ピンと、前記出力軸に搭載されて前記軸線方向に延びている前記第1ピンと同数の第2ピンと、を備えており、各第1ピンは、前記軸線回りに等角度間隔に配置されており、各第2ピンは、前記軸線回りに等角度間隔に配置されており、前記出力軸を前記角度位置に配置した場合には、前記軸線方向から見たときに前記大径歯車部と重なる位置で前記第1ピンと前記第2ピンとが当接することが望ましい。このように構成すれば、第1ピンと第2ピンとの当接位置を軸線から径方向に離間した位置とすることが容易となるので、設定トルクを大きくすることが容易となる。また、第1ピンと第2ピンがそれぞれ等角度間隔に配置されているので、第1ピンと第2ピンが当接したときに出力軸にかかる力が軸線回りで均等になり、出力軸を傾斜させることがない。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、径の拡大したコイルバネと回転検出歯車との干渉を避けるために、出力軸と回転検出歯車とを離間させる必要がなく、装置の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の蓋体開閉装置を説明する。以下の説明では、互いに直交する方向をX方向、Y方向、Z方向としたときに、出力軸の軸線方向をZ方向とし、蓋体開閉装置の長手方向をX方向とし、蓋体開閉装置の短手方向をY方向とする。また、説明の便宜上、Z方向において出力軸の突出方向を上側(上方)、その反対側を下側(下方)とし、X方向において出力軸が配置されている端部側を前側(前方)、その反対側を後側(後方)として説明する。
【0020】
(全体構成)
図1は蓋体開閉装置を後方の上側から見た場合の斜視図である。
図2は上ケース17を取り外した状態の蓋体開閉装置1の斜視図である。
図3は上ケース17を取り除いた状態の蓋体開閉装置1の分解斜視図である。蓋体開閉装置1は前端部分に出力軸2を突出させる開口3を有する樹脂製のケース4を備えている。出力軸2の軸線LはZ方向に延びている。ケース4の上面のX方向の途中位置には、ケース4をY方向に横断する凹部5が設けられている。
【0021】
ケース4の上面の外周縁から下方に延びて下端面に連続している側面は、Z方向に沿って延びており、X方向で互いに平行な一対の第1側面部分6と第2側面部分7を備えている。また、ケース4の側面は、Z方向に沿って延びており、一対の第1、第2側面部分6、7の前端を接続している第3側面部分8と、一対の第1、第2側面部分6、7の後端を接続している第4側面部分9を備えている。第3側面部分8をZ方向から見た場合の形状は湾曲しており、前方に向かって第1側面部分6および第2側面部分7から離れるのに伴って先細りとなっている。第4側面部分9は、Z方向およびY方向に沿って延びる平坦面を備えている。出力軸2は第3側面部分8の内周側に位置している。ケース4の下端面10は平坦面である。
【0022】
ケース4は、Z方向で下側からこの順番で積層された下ケース(第2ケース)15、中ケース(第1ケース)16および上ケース17を備えている。下ケース15は、
図3に示すように、出力軸2と交差する方向に延びる底板部18を備えており、底板部18の下端面が蓋体開閉装置1の下端面10となっている。中ケース16は、前端側に上方に突出する突出部分19を備えており、突出部分19の上端面に開口3が設けられている。上ケース17は、中ケース16における突出部分19の後方に載置されている。
【0023】
上ケース17は、
図2に示すように、前端側部分に前方およびY方向から切り欠かれた切り欠き段部20を備えている。上ケース17が中ケース16に積載された状態では、中ケース16の突出部分19の後端面と切り欠き段部20によって凹部5が形成されている。上ケース17、中ケース16および下ケース15は、
図1に示すように、上ケース17のおよび中ケース16を貫通して下ケース15に到達する4本の有頭ネジ21によってネジ止め固定されている。
【0024】
ここで、蓋体開閉装置1は洋式便器の便蓋または便座を開閉するためのものである。蓋体開閉装置1は、出力軸2を水平方向に向ける姿勢とされて、出力軸2が便蓋または便座と連結される。そして、蓋体開閉装置1は、便蓋が平伏姿勢となる閉じ位置と起立姿勢となる開き位置の間で便蓋または便座を回転駆動する。本例では、閉じ位置と開き位置との間は軸線L回りで120°離れた角度位置にある。従って、出力軸2は120°の角度範囲で回転する。なお、便蓋や便座を連結する際に便蓋側の部材と蓋体開閉装置1が干渉することがないように、出力軸2の周囲に位置する第3側面部分8の形状は軸線L方向から見たときに先細りになっている。
【0025】
(蓋体開閉装置の駆動系)
図4は蓋体開閉装置1の駆動系を取り出して示す斜視図である。
図4(a)では駆動系を斜め上方から見ており、
図4(b)は駆動系を斜め下方から見ている。なお、
図4では、各歯車の噛合関係を分かり易くするために、一部の歯車の歯部を2点鎖線で省略している。また、アシストバネを筒状に示してある。
図5は出力軸2、自立保持機構およびアシストバネの分解斜視図である。
図5(a)では出力軸2、自立保持機構およびアシストバネを上方から見ており、
図5(b)ではこれらを下方から見ている。
図6(a)は自立保持機構のXY平面における横断面図であり、
図6(b)は自立保持機構の周辺部分の縦断面図である。
【0026】
図3、
図4に示すように、ケース4内には、出力軸2の駆動源となるモータ25、モータ25の駆動力を減速して出力軸2に伝達する減速輪列26、出力軸2の回転角度位置を検出するための回転角度検出機構27が収納されている。モータ25はケース4の後端部分に収納されており、出力軸2はその一部分がケース4の前端側部分に収納されている。また、ケース4内には、出力軸2による便座の駆動をアシストする付勢力を発揮するアシストバネ28と、平伏姿勢から回動させて起立姿勢に開いたときに、蓋体が自重などによって自然に平伏姿勢に戻ってしまうことを防止する自立保持機構(保持機構)29が収納されている。
【0027】
モータ25は、ブラシ付きDCモータ25である。モータ25には配線30を介して外部の制御装置(不図示)から電力が供給される。供給される電力の極性を第1極性から当該第1極性とは反対の第2極性に反転させると、モータ25の回転方向は第1方向から当該第1方向とは逆の第2方向に逆転する。モータ25の回転方向が逆転すると、この逆転に伴って、出力軸2の回転方向が逆となる。
【0028】
出力軸2は樹脂成型品であり、
図5に示すように、減速輪列26の最終歯車と噛合する歯車部31と、この歯車部31と同軸にZ方向を上方に突出している軸部32を備えている。軸部32は歯車部31よりも小径であり、歯車部31の軸部32側は環状端面33を備えている。
図3、
図4に示すように、出力軸2は支軸34に回転可能に支持されている。支軸34の下端は下ケース15の底板部18に固定されている。
【0029】
減速輪列26は、モータ25の回転軸に取り付けられたピニオン35、ピニオン35と噛合する第1複合歯車36、第1複合歯車36と噛合する第2複合歯車37、第2複合歯車37と噛合する第3複合歯車38、第3複合歯車38と噛合する第4複合歯車(回転検出歯車)39を備えている。第4複合歯車39は減速輪列26の最終歯車であり、歯車部31と噛合している。第1複合歯車36、第2複合歯車37、第3複合歯車38、および第4複合歯車39は、いずれも樹脂成型品である。
【0030】
より具体的には、第1複合歯車36は、第1大径歯車部36aと第1大径歯車部36aよりも小径で第1大径歯車部36aと同軸に設けられた第1小径歯車部36bを備えており、第1大径歯車部36aがピニオン35と噛合している。第2複合歯車37は、第2大径歯車部37aと第2大径歯車部37aよりも小径で第2大径歯車部37aと同軸に設けられた第2小径歯車部37bを備えており、第2大径歯車部37aが第1複合歯車36の第1小径歯車部36bと噛合している。第3複合歯車38は、第3大径歯車部38aと第3大径歯車部38aよりも小径で第3大径歯車部38aと同軸に設けられた第3小径歯車部38bを備えており、第3大径歯車部38aが第2複合歯車37の第2小径歯車部37bと噛合している。第4複合歯車39は、第4大径歯車部39aと、第4大径歯車部39aよりも小径で第4大径歯車部39aと同軸に設けられた第4小径歯車部39bと、第4小径歯車部39bよりも小径で第4小径歯車部39bと同軸に設けられた検出歯車部39cを備えている。第4大径歯車部39aは第3複合歯車38の第3小径歯車部38bと噛合しており、第4小径歯車部39bは歯車部31と噛合している。
【0031】
第1複合歯車36は第1支軸41に回転可能に支持されており、第2複合歯車37は第2支軸42に回転可能に支持されている。第3複合歯車38は第3支軸43に回転可能に支持されており、第4複合歯車39は第4支軸44に回転可能に支持されている。
【0032】
第1支軸41は、
図2に示すように、中ケース16において軸線Lと交差するように設けられた中間板45(板部)に設けられた開口46を介して上方に延びており、下端が下ケース15の底板部18に支持され、上端が上ケース17に支持されている。第1複合歯車36は、中間板45の上側に第1大径歯車部36aを位置させ、開口46を介して第1小径歯車部36bを中間板45よりも下方に突出させた状態で、第1支軸41に支持されている。第2支軸42、第3支軸43および第4支軸44のそれぞれは、下端が下ケース15の底板部18に支持され、上端が中ケース16の中間板45に支持されている。
【0033】
第2複合歯車37は、第2大径歯車部37aと第2小径歯車部37bとが別体に構成されており、第3大径歯車部37aと第2小径歯車部37bの間はラチェット37cを介して回転の伝達が行われる。ラチェット37cは、出力軸2の側から作用する力が歯車部31を介して減速輪列26に入力されて、所定のトルクを超えたときに、回転の伝達を遮断して、その力がモータ25にまで伝達されることを防止するトルクリミッタである。
【0034】
第4複合歯車39は、軸線L方向の下方から上方に向かって第4大径歯車部39a、第4小径歯車部39bおよび検出歯車部39cをこの順番で備えている。上端に設けられた検出歯車部39cには回転角度検出機構27のポテンショ歯車40が噛合している。
【0035】
ここで、ポテンショ歯車40が噛合する検出歯車部39cはモータ25の回転の伝達に用いられている歯車部(第4大径歯車部39aおよび第4小径歯車部39b)ではない。従って、これらの歯車部と比較して小さな強度を備えていればよく、小径とすることができる。
【0036】
また、検出歯車部39cの歯数と第4小径歯車部39bの歯数とは同数であり、検出歯車部39cの歯先円は第4小径歯車部39bの歯底円よりも大径である。さらに、検出歯車部39cは第4小径歯車部39bに対してモジュールを小さくすることにより、小径に構成されている。従って、検出歯車部39cを小径に構成した場合でも、検出歯車部39cに必要な強度を確保することが容易となっている。また、第4複合歯車39を支持する第4支軸44の径を大きくすることができ、第4支軸44の強度を確保することが容易となっている。
【0037】
回転角度検出機構27は、
図4(a)に示すように、ポテンショ歯車40とポテンショ歯車40の回転角度を検出するポテンショメータ47を備えている。ポテンショメータ47は、
図2に示すように、中間板45の上方に配置されている。ポテンショ歯車40は中間板45に設けられた貫通孔(開口)48から下ケース15の側に突出して第4複合歯車39の検出歯車部39cに噛合している。ポテンショメータ47からはポテンショ歯車40の回転角度に対応する信号が出力される。ポテンショメータ47の信号は配線30を介して制御装置に入力される。
【0038】
アシストバネ28は、
図3、
図4に示すように、出力軸2の軸部32の外周側に配置されている。アシストバネ(コイルバネ)28の上方に位置する一方端28aは径方向を外側に突出しており、中ケース16の突出部分19の内壁部分に設けられた係止部50に固定されている。アシストバネ28の他方端28bは、
図5(a)に示すように、軸線L方向を下方に向かって突出しており、出力歯車の環状端面33に形成された2つの固定孔51の一方に挿入されている。これによりアシストバネ28の他方端28bは出力軸2に固定されている。ここで、出力軸2の歯車部31の歯部31aは、出力軸2の回転角度範囲と対応する180°未満の角度範囲に形成されており、固定孔51は、歯車部31の環状端面33のうち歯部が形成されていない角度範囲に設けられている。アシストバネ28は、出力軸2の軸線L回りの一方向への回転に伴って径方向に変形して蓄勢して、出力軸2を他方向に回転させる付勢力を発揮する。
【0039】
なお、本例の蓋体開閉装置1は、便蓋または便座に対して出力軸2がその回転軸線方向の一方側から連結される場合と他方側から連結される場合がある。ここで、蓋体または便座に対して出力軸2を一方側から連結する場合と他方側から連結する場合とでは蓋体または便座の開閉する方向が逆となるので、アシストバネ28が付勢力を発揮する方向を反対にする必要がある。従って、本例では、巻回方向が異なる2種類のアシストバネ28を用意しておき、出力軸2を連結する方向に応じたアシストバネ28を搭載することによって付勢力を発揮する方向を変更している。また、歯車部31の環状端面33に設けられている2つの固定穴51は、2種類のアシストバネ28のそれぞれに対応するものであり、第1の巻回方向のアシストバネ28が用いられる場合には、当該アシストバネ28の他方端28bが一方の固定穴51に挿入されて固定され、第1の巻回方向とは反対の第2の巻回方向のアシストバネ28が用いられる場合には、当該アシストバネ28の他方端28bが他方の固定穴51に挿入されて固定される。
【0040】
自立保持機構29は、出力軸2に付与されるトルクが予め設定した設定トルクよりも小さい場合に、出力軸2を予め定めた角度位置で停止した状態に保持する。自立保持機構29は、
図5(b)に示すように、歯車部31の下端面に設けられた凹部55を利用して歯車部31の内周側に構成されており、その下端部分が歯車部31から突出している。
【0041】
図5、
図6に示すように、自立保持機構29は、凹部55内に歯車部31と同軸で挿入された環状部56を備える固定部材57、軸線L方向に延びる金属製の一対の第1ピン58、軸線L方向に延びる金属製の一対の第2ピン59、および、環状部56の外周側に配置されて凹部55内に配置されたコイルバネ60を備えている。固定部材57の環状部56、一対の第1ピン58、一対の第2ピン59、および、コイルバネ60は、凹部55の内周側に配置されている。すなわち、環状部56、一対の第1ピン58、一対の第2ピン59、および、コイルバネ60は、凹部55の内周側に構成された自立保持機構29の内側部分29aとなっている(
図6(b)参照)。ここで、固定部材57は、環状部56から下方に突出する突出部61を備えており、
図3に示すように、この突出部61が下ケース15の底板部18に設けられた固定用凹部62に挿入されることによって下ケース15に固定されている。すなわち、突出部61は、固定部材57をケース4に固定するための係合部である。また、突出部61は自立保持機構29において出力軸2の凹部55から外側に突出する突出部分となっている。
【0042】
一対の第1ピン58は、
図5(a)に示すように、環状部56の周方向の180°離れた角度位置に形成された一対の開口56aに配置されて、その外周側に位置するコイルバネ60と当接している。一対の第2ピン59は、
図5(b)に示すように、歯車部31の凹部55の底面において軸線Lから外れた位置であって、軸線L回りに180°離れた角度位置に固定されている。そして、一対の第2ピン59は、環状部56の内側に挿入されている。
【0043】
ここで、
図6に示すように、出力軸2が回転して所定の角度位置に配置されると、出力軸2に固定されている一対の第2ピン59が一対の第1ピン58に当接する。この状態で、出力軸2に設定トルクよりも小さいトルクが付与されている場合には、一対の第2ピン59はコイルバネ60の付勢力に抗して一対の第1ピン58を径方向の外側に押し出すことができないので、第2ピン59は第1ピン58が配置されている角度位置を通過できない。この結果、出力軸2は予め定めた角度位置で停止した状態に保持される。一方、出力軸2に設定トルク以上のトルクが付与されている場合には、出力軸2に固定されている一対の第2ピン59がコイルバネ60の付勢力に抗して一対の第1ピン58を径方向の外側に押し出すので、第2ピン59は第1ピン58が配置されている角度位置を通過する。従って、出力軸2は予め定めた角度位置で停止することなく回転する。なお、出力軸2に設定トルク以上のトルクが付与される場合には、モータ25の駆動力が出力軸2に伝達される場合、および、出力軸2に連結された便蓋や便座が手動によって開閉される場合がある。
【0044】
(出力軸、第2複合歯車、ポテンショ歯車、自立保持機構の配置)
図7(a)は出力軸2、第4複合歯車39、ポテンショ歯車40、自立保持機構29を取り出して軸線Lと直交する方向から見た側面図であり、
図7(b)は出力軸2、第4複合歯車39、ポテンショ歯車40、自立保持機構29を取り出して軸線L方向から見た平面図である。
【0045】
図7に示すように、蓋体開閉装置1では、アシストバネ28(一対のコイルバネ)は、歯車部31の上方であって、軸部32の外周側に同軸に配置されている。第4複合歯車39においてポテンショ歯車40と噛合している検出歯車部39cは、アシストバネ28の径方向外側に位置している。
【0046】
また、第4複合歯車39は、第4小径歯車部39bが歯車部31と噛合し、検出歯車部39cがアシストバネ28の径方向の外側に位置している。ポテンショ歯車40は検出歯車部39cを挟んで出力軸2とは反対側に位置している。
【0047】
さらに、第4複合歯車39の第4大径歯車部39aは、軸線L方向において歯車部31の下方に位置している。また、軸線L方向から見た場合に、第4大径歯車部39aは歯車部31と部分的に重なっている。自立保持機構29は、歯車部31の内周側に構成されており、歯車部31から下方に突出している固定部材57の突出部61は、第4複合歯車39の第4大径歯車部39aの径方向の外側に位置している。本例では、出力軸2、第4複合歯車39、ポテンショ歯車40、自立保持機構29がかかる配置となっているので、これらを軸線Lと直交する方向で接近させることができる。よって蓋体開閉装置1を小型化することができる。
【0048】
なお、
図6(b)から分かるように、本例では、出力軸2が回転して所定の角度位置に配置されると、第1ピン58と第2ピン59は、軸線L方向から見たときに第4複合歯車39の大径歯車部39aと重なる位置で当接する。第1ピン58、第2ピン59および大径歯車部39aの位置がこのような関係になっていれば、第1ピン58と第2ピン59の当接位置を軸線Lから径方向に離れた位置とすることが容易となるので、自立保持機構29の設定トルクを大きくすることが容易となっている。また、本例では、第1ピン58と第2ピン59がそれぞれ等角度間隔(180°間隔)に配置されているので、第1ピン58と第2ピン59が当接したときに出力軸2にかかる力が軸線L回りで均等になり、出力軸2を傾斜させることがない。
【0049】
(作用効果)
本例において、第4複合歯車39は、樹脂成形品であり、第4大径歯車部39a、第4小径歯車部39bおよび検出歯車部39cは軸線L方向でこの順番に配置されている。従って、第4複合歯車39を軸線L方向で2分割した金型により簡易に成型することができる。また、モータ25の回転を伝達する第4大径歯車部39aと第4小径歯車部39bの間に検出歯車部39cを設けた場合には、検出歯車部39cの部分から検出歯車部39cが破損する可能性があるが、検出歯車部39cを検出歯車部39cの一方の端側に配置しているので、検出歯車部39cの破損を防止できる。
【0050】
また、本例では、下ケース15と中ケース16の間に出力軸2の歯車部31と噛合するように第4複合歯車39を配置し、しかる後に、ポテンショ歯車40を第4複合歯車39に噛合させることができる。よって、各歯車を噛合させることが容易である。
【0051】
さらに、本例では、ポテンショ歯車40が歯車部31と噛合する減速輪列26の最終歯車である第4複合歯車39と噛合している。ここで、ポテンショ歯車40を出力軸2の歯車部31と噛合する最終歯車に噛合させておけば、出力軸2の回転が当該最終歯車の回転に精度よく現われるので、出力軸2の回転を精度よく検出できる。また、減速輪列26の最終歯車にポテンショ歯車40を噛合させておけば、検出歯車部39cには出力軸2の回転を増幅した回転が現われているので、出力軸2の歯車部31にポテンショ歯車40を噛合させて出力軸2の回転を検出する場合と比較して、回転角度検出の分解能を高めることができる。本例の場合には、出力軸2が120°回転する間にポテンショ歯車40が300°回転する。従って、回転角度検出機構27により出力軸2の回転を精度よく検出できる。
【0052】
また、本例では、出力軸2の歯車部31の環状端面33にアシストバネ28の他方端28bを固定しているので、アシストバネ28の他方端28bを出力軸2に固定した状態として、出力軸2の外周側にアシストバネ28を配置することが容易となる。また、アシストバネ28の他方端28bを固定する固定孔51が軸線L回りで歯部31aが設けられていない角度位置に設けられているので、アシストバネ28を固定することにより歯車部31が破損することを防止できる。
【0053】
なお、上記の例では、蓋体開閉装置1は便座や便蓋を駆動しているが、洗濯機の洗濯槽への洗濯物投入口を開閉する蓋体を駆動するものとしても用いることができる。