(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、前記(c)工程の前では、前記複数の導電性部材のそれぞれの先端面に半田材が配置され、前記配線基板の前記複数のボンディングリードのそれぞれの表面には半田材が配置されていない、半導体装置の製造方法。
請求項4記載の半導体装置の製造方法において、前記配線基板は、前記第1絶縁層と、前記第2絶縁層と、前記第1配線層と、前記複数のボンディングリードを構成する前記第2配線層と、複数のランドを構成する第3配線層と、をそれぞれ重ね合せ、さらに、圧接することで形成されたものである、半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の実施の形態では特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0020】
さらに、以下の実施の形態では便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。
【0021】
また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良いものとする。
【0022】
また、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0023】
また、以下の実施の形態において、構成要素等について、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0025】
(実施の形態)
<半導体装置>
図1は実施の形態の半導体装置の構造の一例を示す平面図、
図2は
図1に示すA−A線に沿って切断した構造の一例を示す断面図、
図3は
図1に示す半導体装置の裏面側の構造の一例を示す裏面図である。
【0026】
図1〜
図3に示す本実施の形態の半導体装置の構成について説明する。
図2に示すように、本実施の形態の半導体装置は、配線基板2を有している。そして、この配線基板2上に半導体チップ1がフリップチップ実装された構造のものである。すなわち、半導体チップ1は、その主面1aが配線基板2の上面(チップ搭載面)2aと対向するように、複数の導電性部材を介して配線基板2の上面2a上に搭載されている。
【0027】
一方、配線基板2の下面2bには、半導体装置の外部端子となる複数の半田ボール5が設けられている。なお、本実施の形態では、複数の半田ボール5は、
図3に示すように、平面視において格子状に配列されている。
【0028】
したがって、本実施の形態では、上記半導体装置の一例として、BGA(Ball Grid Array)7を取り上げて説明する。
【0029】
本実施の形態のBGA7では、半導体チップ1の主面(素子形成面)1aに設けられた複数のパッド(電極)1cと、配線基板2の上面2aに設けられた複数のボンディングリード(電極)2mとが、それぞれ導電性部材および半田材(接続部材)3を介して電気的に接続されている。
【0030】
なお、本実施の形態のBGA7では、導電性部材が半導体チップ1のパッド1cに形成されている。また、本実施の形態のBGA7では、上記導電性部材として、銅(Cu)ピラー4を用いた場合を説明する。銅ピラー4は、銅を主成分とする材料から成り、かつ柱(ポスト)状の電極である。したがって、半導体チップ1は、その主面1aの複数のパッド1cの表面にそれぞれ形成された複数の銅ピラー4を介して配線基板2にフリップチップ接続されている。その際、複数の銅ピラー4は、その各先端面(ボンディングリード2mと対向する面)にそれぞれ配置された複数の半田材3を介して配線基板2の複数のボンディングリード2mと、それぞれ電気的に接続されている。
【0031】
ここで、半田材3は、鉛(Pb)を実質的に含まない、所謂、鉛フリー半田を採用することが好ましく、例えば錫−銀(Sn−Ag)等である。
【0032】
これにより、環境汚染問題にも対応できる。なお、鉛フリー半田とは、鉛(Pb)の含有量が0.1wt%以下のものを意味し、この含有量は、RoHS(Restriction of Hazardous Substances)指令の基準として定められている。
【0033】
また、BGA7では、配線基板2の上面2a側において、
図2に示すように、半導体チップ1と配線基板2の間に形成される隙間に、封止樹脂であるアンダーフィル6が充填されている。このアンダーフィル6は、例えばエポキシ系樹脂であり、半導体チップ1と配線基板2との接続信頼性を確保するために充填されている。
【0034】
さらに、アンダーフィル6は、半導体チップ1の側面も覆っている。これにより、フリップチップ接続部(銅ピラー4とボンディングリード2mとの接続部)を保護できる。また、半導体チップ1の外部(周辺)から上記フリップチップ接続部への水分の進入も抑制できる。ただし、半導体チップ1の裏面1bは、
図1および
図2に示すように、BGA7の上方を向いた状態で露出している。
【0035】
また、配線基板2は、
図2に示すように、複数の配線層を有した多層配線基板である。すなわち、コア層2eの表裏面に配線層2iと配線層2jが形成され、さらに
図5に示す最上層の配線層2pにフリップチップ接続用の複数のボンディングリード2mが形成されている。一方、最下層の配線層2qには、BGA7の外部端子である半田ボール(導電性部材)5を接続するための複数のランド(電極)2nが形成されている。
【0036】
つまり、配線基板2の上面2aおよび下面2bそれぞれの表面には、絶縁膜であるソルダレジスト膜2c,2gが形成されており、上面2a側では、ソルダレジスト膜2cの開口部2kに複数のボンディングリード2mが配置され、一方、下面2b側では、ソルダレジスト膜2gの複数の開口部2kそれぞれにランド2nが配置されている。
【0037】
また、本実施の形態の配線基板2では、上面2a側において、複数のボンディングリード2mは絶縁層2d上に配置されている。この絶縁層2dは、ガラスクロス(ガラス繊維)2hを有するプリプレグ(樹脂層)2daと、ガラスクロス2hを有さない樹脂層2dbとで構成されている。詳細には、樹脂層2dbは、プリプレグ2da上(半導体チップ1側の面)に形成(積層)されている。
【0038】
したがって、複数のボンディングリード2mのそれぞれは、樹脂層2dbに接しており、この樹脂層2db上に配置されている。さらに、各ボンディングリード2mは、それぞれ半田材3を介して銅ピラー4に接続しているため、プリプレグ2daと各銅ピラー4との間に樹脂層2dbが位置している。
【0039】
なお、ガラスクロス2hを有するプリプレグ2daと、ガラスクロス2hを有さない樹脂層2dbとでは、プリプレグ2daの方が硬度は大きく(高く)、剛性も大きい。すなわち、ガラスクロス2hを有するプリプレグ2daは硬く、ガラスクロス2hを有さない樹脂層2dbは柔らかい。
【0040】
そして、複数のボンディングリード2mのそれぞれは、ガラスクロス(ガラス繊維)2hを含むプリプレグ2daを介さずに、直接、柔らかい樹脂層2db(ガラスクロスを含有しない層)と接している。
【0041】
このようにBGA7では、その配線基板2において、柔らかい樹脂層2dbを介してプリプレグ2da上に複数のボンディングリード2mが設けられているため、フリップチップ接続等で荷重が付与された際に、樹脂層2dbが変形し、ボンディングリード2mが沈み込む。これにより、銅ピラー4の高さにばらつきが生じていても、全ての銅ピラー4がボンディングリード2mと接続することができる。すなわち、高さが低い銅ピラー4であってもボンディングリード2mと接続することができる。
【0042】
また、上記のように、複数の銅ピラー4のうち、他の銅ピラー4よりも高さの高い銅ピラーと接続する配線基板2のボンディングリード2mが沈み込むため、この高さの高い銅ピラー4が形成される半導体チップ1のパッド1c直下の絶縁層にクラック67(
図26を参照)が形成されるのを抑制できる。これにより、BGA7の信頼性を向上させることができる。
【0043】
さらに、BGA7の半田ボール5等に応力が作用した際にも、柔らかい樹脂層2dbによって応力を緩和させることができ、フリップチップ接続部に直接ダメージが伝わることを抑制できる。
【0044】
すなわち、銅ピラー4が接続されるボンディングリード2mの下部に柔らかい樹脂層2dbが配置されているため、半田ボール5に熱応力等を含む応力が作用した際にも、柔らかい樹脂層2dbの変形によって上記応力を緩和してフリップチップ接続部や半導体チップ1に直接ダメージが伝わらないように上記応力を吸収することができる。
【0045】
その結果、フリップチップ接続部の接続不良の発生を抑えることができる。
【0046】
<配線基板>
図4は
図1に示す半導体装置に組み込まれる配線基板の上面側の構造の一例を示す平面図、
図5は
図4に示すA−A線に沿って切断した構造の一例を示す断面図、
図6は
図5に示すB部の構造の一例を示す拡大部分断面図、
図7は
図4に示す配線基板の下面側の構造の一例を示す裏面図である。
【0047】
本実施の形態の配線基板2の詳細の構造について説明する。
【0048】
配線基板2は、上述のように多層配線基板であり、本実施の形態では、一例として、4つの配線層を有した多層配線基板を取り上げて説明するが、配線層の数は4つに限定されるものではない。
【0049】
配線基板2は、
図4に示す平面形状が四角形から成る上面2aと、この上面2aと反対側の実装面または裏面である、
図7に示す下面2bとを有している。
【0050】
図4に示すように、配線基板2の上面2aには、最上層の配線層に形成されたフリップチップ接続用の複数のボンディングリード2mが、
図5に示すソルダレジスト膜2cの開口部2kに、内側列と外側列とで2列に並んで配置されている。なお、内側列と外側列とで、互いにずれて配置されており、チップ側の千鳥配列のパッド配置に合わせて多ピン化に対応した配置となっている。
【0051】
また、各ボンディングリード2mが配置されたソルダレジスト膜2cの開口部2kには、それぞれのボンディングリード2mを支持する樹脂層2dbも露出している。
【0052】
一方、
図7に示すように、配線基板2の下面2bには、最下層の配線層に形成された半田ボール接続用の複数のランド2nが、
図5に示すソルダレジスト膜2gの複数の開口部2kのそれぞれに配置されており、これら複数のランド2nは、格子状に配置されている。
【0053】
また、配線基板2は、
図5および
図6に示すように、コア層(プリプレグ)2eと、コア層2eの上下面に配置された配線層2i,2jと、絶縁層(絶縁膜)2d,2fと、最上層および最下層それぞれの配線層2p,2qとを貼り合わせることで形成されたものである。なお、各部材の貼り合わせは、プレス加工の圧接によって行われる。例えば、平板状の鋼板等でコア層2e、配線層2i,2j、絶縁層2d,2fおよび配線層2p,2q等の各部材を挟んで高温・高圧でプレス加工を行う。
【0054】
そのため、デバイス領域2u(
図12参照)の位置によっては、特に、最上層や最下層等の最表層に形成された配線(ボンディングリード2mやランド2n等の電極を含む)の高さにばらつきが生じる。
【0055】
本実施の形態の配線基板2の場合、
図6に示すように4層の配線層を有した構造であり、コア層2eの表裏面に配線層2iと配線層2jが形成され、さらにそれぞれ絶縁層2d,絶縁層2fを介して最上層の配線層2pと最下層の配線層2qに複数の配線(配線パターン)が形成されている。なお、上記最上層の配線層2pに形成された複数の配線のそれぞれの一部がフリップチップ接続用の複数のボンディングリード(電極)2mを構成している。
【0056】
したがって、最上層(最表層)の配線層2pに形成された電極である複数のボンディングリード2mにおいては、前述の基板の製造方法(圧接)を起因とした高さばらつきが生じ易くなっている。
【0057】
なお、配線基板2の最下層の配線層(下面2b側)2qには、半田ボール5を接続するための複数のランド2nが形成されている。すなわち、上記最下層の配線層2qに形成された複数の配線のそれぞれの一部が、外部端子である半田ボール接続用の複数のランド(電極)2nを構成している。
【0058】
これにより、配線基板2では、上面2a側の複数のボンディングリード2mと、これら複数のボンディングリード2mに対応する複数のランド2nが、下面2b側に形成されており、それぞれ対応するボンディングリード2mとランド2nとが、図示しない内部配線やスルーホール配線等を介して電気的に接続されている。
【0059】
また、配線基板2の上面2aおよび下面2bそれぞれの表面には、絶縁膜であるソルダレジスト膜2c,2gが形成されており、上面2a側では、ソルダレジスト膜2cの開口部2kに複数のボンディングリード2mが配置され、一方、下面2b側では、ソルダレジスト膜2gの複数の開口部2kにそれぞれランド2nが配置されている。
【0060】
すなわち、配線基板2の上面2a側においては、複数のボンディングリード2mを露出するように絶縁層2dの上面上にソルダレジスト膜(上面側保護膜)2cが形成されており、一方、配線基板2の下面2b側においては、複数のランド2nを露出するように絶縁層2fの下面上にソルダレジスト膜(下面側保護膜)2gが形成されている。
【0061】
また、上面2a側において、複数のボンディングリード2mは絶縁層2d上に配置されており、この絶縁層2dが、ガラスクロス(ガラス繊維)2hを有するプリプレグ(樹脂層)2daと、ガラスクロス2hを有さない樹脂層2dbとで構成され、プリプレグ2da上に樹脂層2dbが積層されている。
【0062】
したがって、複数のボンディングリード2mのそれぞれは、樹脂層2dbに接しており、この樹脂層2db上に配置されている。言い換えると、複数のボンディングリード2mは、樹脂層2dbによって支持されている。
【0063】
また、下面2b側においても、複数のランド2nは絶縁層2f上に配置されており、この絶縁層2fが、ガラスクロス(ガラス繊維)2hを有するプリプレグ(樹脂層)2faと、ガラスクロス2hを有さない樹脂層2fbとで構成され、上面2a側と同様に、プリプレグ2fa上に樹脂層2fbが積層されている。つまり、上面2a側と同様に、複数のランド2nのそれぞれは、樹脂層2fbに接しており、この樹脂層2fb上に配置されている。言い換えると、複数のランド2nのそれぞれは、樹脂層2fbによって支持されている。
【0064】
ここで、樹脂層(樹脂材)2db,2fbは、例えばエポキシ系樹脂から成る。樹脂層2db,2fbにおける樹脂は、複数のフィラーを有するが、ガラスクロス(ガラス繊維)2hは有していない樹脂である。
【0065】
一方、プリプレグ2da,2faも、例えばエポキシ系樹脂から成る。プリプレグ2da,2faにおける樹脂は、複数のフィラーを有しており、さらに、ガラスクロス(ガラス繊維)2hを有している。
【0066】
したがって、ガラスクロス2hを有するプリプレグ2da,2faと、ガラスクロス2hを有さない樹脂層2db,2fbとでは、プリプレグ2da,2faの方が硬度が大きく(高く)、剛性も大きい。つまり、ガラスクロス2hを有するプリプレグ2da,2faは、硬いが、ガラスクロス2hを有さない樹脂層2db,2fbは、硬度が小さく(低く)、柔らかい。
【0067】
以上により、複数のボンディングリード2mのそれぞれは、柔らかい樹脂層2db上に直接配置され、この柔らかい樹脂層2dbの下部に、硬いプリプレグ2daが配置された構造となっている。
【0068】
一方、下面2b側の複数のランド2nのそれぞれは、柔らかい樹脂層2fb上に直接配置され、この柔らかい樹脂層2fbの下部(コア層2e側、下面2b側)に、硬いプリプレグ2faが配置された構造となっている。
【0069】
なお、配線基板2における各ボンディングリード2mや各ランド2n、さらに各配線層における配線等は、銅を主成分とする材料から形成されたものであり、各ボンディングリード2mや各ランド2nにおいては、表面にメッキが施されている。
【0070】
また、配線基板2における各層の厚さについて説明すると、樹脂層であるプリプレグ2da,2faの厚さは、それぞれ例えば30μmであり、プリプレグ2da,2faの上層の樹脂層2db,2fbの厚さは、それぞれ例えば5μmである。さらに、コア層2eは、例えば40〜60μmであり、各配線層は、例えば10数μmである。したがって、樹脂層2db,2fbの厚さは、プリプレグ2da,2faよりも薄い。
【0071】
なお、樹脂層2dbの厚さは、プリプレグ2daの厚さと同じでもよく、あるいは、プリプレグ2daの厚さより厚くてもよい。
【0072】
しかしながら、配線基板の反りや、半導体装置の薄型化を考慮した場合には、本実施の形態のように、樹脂層2db,2fbの厚さをプリプレグ2da,2faの厚さよりも薄くしておくことが好ましい。
【0073】
また、配線基板2のそれぞれのボンディングリード2mの表面(接合面)に、半田材3が配置されていてもよい。各銅ピラー4と各ボンディングリード2mとに半田材3を配置しておくことにより、フリップチップ接続において荷重が印加された際に、各部材の高さばらつきをさらに吸収することができる。
【0074】
ただし、各ボンディングリード2mに半田材3を配置しない場合(銅無垢のボンディングリード2m、もしくは表面に金メッキが施されたボンディングリード2m)には、半田材3を使用しないことでBGA7の低コスト化を図ることができる。
【0075】
<半導体チップ>
図8は
図1に示す半導体装置に搭載される半導体チップの主面側の構造の一例を示す平面図、
図9は
図8に示すA−A線に沿って切断した構造の一例を示す断面図、
図10は
図1に示す半導体装置に搭載される半導体チップの裏面側の構造の一例を示す裏面図、
図11は
図10のA−A線に沿って切断した構造の一例を示す断面図である。
【0076】
図8および
図9に示すように、半導体チップ1の主面1aには複数のパッド1cが、主面1aの周縁部(外周部)に2列に並んで配置されている。本実施の形態の半導体チップ1は、多ピン化に対応しているため、複数のパッド1cが千鳥配列で設けられている。
【0077】
さらに、
図10および
図11に示すように、各パッド1cには導電性部材である銅ピラー4が接続されている。銅ピラー4は、柱(ポスト)状の電極であり、例えば銅(Cu)を主成分とする材料から成る。
【0078】
また、銅ピラー4は、例えば電解メッキ法によって形成される。具体的には、図示しない半導体ウエハの各チップ形成領域におけるパッド配置に対応した、複数の円形の孔が形成されたドライフィルムを上記半導体ウエハの主面(素子形成面)に配置して電解メッキ法によって各孔に下から積み上げて柱状を形成する。
【0079】
なお、上記導電性部材として、突起(バンプ)状の電極を用いてもよい。突起状電極は、例えば金(Au)を主成分とする材料から成る。ただし、突起状電極の場合は、キャピラリを用いたワイヤボンディング技術により形成するため、この突起状電極を形成するのに先立って、半導体ウエハを切断することで半導体チップを取得しておく必要がある。
【0080】
一方、柱状電極の場合は、上述のように半導体ウエハの主面にドライフィルム(レジスト膜)を形成し、例えば電解メッキ法(無電解メッキ法でも可)により、各チップ形成領域の複数のパッドに形成するため、導電性部材を形成する工数を考慮した場合には、本実施の形態のように、柱(ポスト)状の電極を採用することが好ましい。
【0081】
<半導体装置の製造方法>
図12は
図1に示す半導体装置の組み立てで用いられる配線基板の構造の一例を示す平面図、
図13は
図12のA−A線に沿って切断した構造の一例を示す断面図、
図14は
図12に示す配線基板における1つのデバイス領域の構造の一例を示す断面図、
図15は
図1に示す半導体装置の組み立てにおける半田プリコート後の構造の一例を示す断面図である。また、
図16は
図1に示す半導体装置の組み立てにおけるアンダーフィル塗布後の構造の一例を示す平面図、
図17は
図16のA−A線に沿って切断した構造の一例を示す断面図、
図18は
図1に示す半導体装置の組み立てのフリップチップ実装工程におけるチップ搭載後の構造の一例を示す断面図である。さらに、
図19は
図18に示すフリップチップ実装工程におけるチップ圧着後の構造の一例を示す断面図、
図20は
図1に示す半導体装置の組み立てのボールマウント後の構造の一例を示す断面図である。
【0082】
1.配線基板(多数個取り基板)準備
本実施の形態の配線基板は、
図12および
図13に示すように、複数のデバイス領域2uを有する多数個取り基板(マトリクス基板)2tであり、多数個取り基板2tを用いて半導体装置を組み立てる場合を説明するが、予め1つのデバイス領域2uに個片化された配線基板を用いて半導体装置を組み立てることも可能である。
【0083】
また、本実施の形態の半導体装置の組み立てでは、便宜上、1つのデバイス領域2uのみが示された図面を用いて説明を行うが、多数個取り基板2tを用いた組み立てでは、各工程において、多数個取り基板2t上の複数のデバイス領域2uに対して所望の処理が行われることは言うまでもない。
【0084】
まず、多数個取り基板2tを準備する。多数個取り基板2tは、上面2aと、上面2aとは反対側の下面2bとを有している。さらに、多数個取り基板2tは、複数のデバイス領域2u(ここでは、一例として2×4=8個のデバイス領域2u)、複数のデバイス領域2uのうちの互いに隣り合うデバイス領域2uの間に設けられた切断部2r、および平面視において複数のデバイス領域2uの周囲に設けられた枠部2sを備えている。なお、切断部2rは、除去部、ダイシング部、あるいはダイシング領域等とも呼ばれる。
【0085】
なお、切断部2rは、
図13に示すように、溝状に形成されている。詳細には、各配線の表面に施されたメッキ膜を電解メッキ法で形成するための給電線を、上記メッキ膜形成後にエッチングによって除去したことによって形成された溝である。切断部2rが溝状に形成されていることにより、個片化工程におけるダイシング時にソルダレジスト膜2cの切断屑の発生を低減することができる。さらに、ダイシング用のブレードへの負荷も低減することができ、切断性の向上を図ることができる。
【0086】
また、
図12に示す枠部2sにおいて各切断部2rの延長上の位置には、図示しないダイシング用のマークが付されており、個片化のダイシング時には上記マークを認識して上記ブレードの走行ラインを導き出し、その後、回転する上記ブレードを走行させて切断部2rで切断する。
【0087】
また、
図12に示すように、複数のデバイス領域2uのそれぞれは、その中央部付近のソルダレジスト膜2cの開口部2kにフリップチップ接続用のボンディングリード2mが、多数個取り基板2tの各辺に沿って、かつ複数列(ここでは2列)に亘って配置されている。なお、
図8に示す半導体チップ1のパッド1cの配列に応じて、2列のボンディングリード2mが千鳥状に配置されている。ただし、複数のボンディングリード2mは、単数列(1列)に配置されていてもよい。
【0088】
また、本実施の形態の多数個取り基板2tでは、各デバイス領域2uにおいて、
図14に示すように、複数のボンディングリード2mは絶縁層2d上に配置されており、この絶縁層2dが、ガラスクロス(ガラス繊維)2hを有するプリプレグ(樹脂層)2daと、ガラスクロス2hを有さない樹脂層2dbとで構成され、プリプレグ2da上に樹脂層2dbが積層されている。
【0089】
これにより、複数のボンディングリード2mのそれぞれは、樹脂層2dbに接しており、この樹脂層2db上に配置されている。言い換えると、複数のボンディングリード2mは、プリプレグ2daに比べて硬度が小さく柔らかな樹脂層2dbによって支持されている。
【0090】
また、多数個取り基板2tの下面2bには、上面2aの複数のボンディングリード2mと電気的に接続された複数のランド2nが形成されており、さらに、複数のランド2nのそれぞれが露出するように下面2b上にはソルダレジスト膜2gが形成されている。
【0091】
なお、多数個取り基板2tは、コア層(プリプレグ)2eと、コア層2eの上下の配線層2i,2jと、絶縁層(絶縁膜)2d,2fと、複数のボンディングリード2mを構成する配線層2pと、複数のランド2nを構成する配線層2qとをそれぞれ重ね合せ、プレス加工の圧接によって形成したものである。例えば、平板状の鋼板等でコア層2e、配線層2i,2j、絶縁層2d,2fおよび配線層2p,2q等の各部材を挟んで高温・高圧でプレス加工を行うものである。
【0092】
そのため、デバイス領域2uの位置によっては、特に、最上層の配線層2pの複数のボンディングリード2m等の電極や、最下層の配線層2qの複数のランド2n等の電極において、電極高さにばらつきが生じ易くなっている。
【0093】
例えば、最上層(最表層)の配線層2pに形成された複数のボンディングリード2mにおいては、プレス加工の圧接を起因とした電極高さのばらつきが生じている可能性がある。
【0094】
そこで、
図15に示すように、上記電極高さのばらつきによるフリップチップ接続における接続不良を低減することを考慮した場合、各ボンディングリード2mそれぞれの表面には半田材3が配置されていることが好ましい。すなわち、各ボンディングリード2mそれぞれの表面に半田材3が配置されていることにより、フリップチップ接続時に、上記電極高さのばらつきを吸収することができ、フリップチップ接続における接続不良を低減することができる。
【0095】
ただし、
図10の半導体チップ1に示すように、フリップチップ接続を行う導電性部材として銅ピラー4を採用する場合には、各ボンディングリード2mそれぞれの表面の半田材3は、必ずしも配置されていなくてもよい。この場合、半田材3を配置しないことにより、基板のコストの低減化を図ることができる。
【0096】
2.封止材配置(アンダーフィル塗布)
図16および
図17に示すように、配線基板2の上面2aにアンダーフィル(封止材)6を配置する。この時、複数のボンディングリード2mを覆うようにアンダーフィル6を配置する。アンダーフィル6は、例えばNCF(Non-Conductive Film)であり、絶縁性のエポキシ系樹脂等から成るフィルム状の封止材(接着材)である。ただし、ペースト状の封止材であるNCP(Non-Conductive Paste) を用いてもよい。
【0097】
なお、ここでは、フリップチップ接続前に、配線基板2上にアンダーフィル6を配置する場合を説明したが、アンダーフィル6は、フリップチップ接続後に配線基板2と半導体チップ1との間に注入するものであってもよい。
【0098】
3.フリップチップ実装
図18に示すように、まず、半導体チップ1を配線基板2の上面2a上に配置する。この時、
図10に示す半導体チップ1の複数のパッド1cと、配線基板2の複数のボンディングリード2mの位置を合わせる。ここで、半導体チップ1は、
図10および
図11に示すように、各パッド1cに形成された柱状(または突起状)の導電性部材(本実施の形態では、複数の銅ピラー4)を有している。
【0099】
なお、
図18に示すように、複数の銅ピラー4のそれぞれの先端面(ボンディングリード2mと対向する面)には半田材3が配置されている。
【0100】
したがって、それぞれの先端面に半田材3を配置した複数の銅ピラー4が各パッド1cに設けられた半導体チップ1を、この半導体チップ1の主面1aが配線基板2の上面2aと対向するように、複数の銅ピラー4を介して配線基板2の上面2a上に配置する。
【0101】
その後、
図19に示すように、チップ圧着を行う。この時、半導体チップ1の裏面1bに、配線基板2の厚さ方向(垂直方向、配線基板2の上面2aから下面2bに向かう方向)の荷重(垂直荷重)Fと熱を加えることで、銅ピラー4の先端面に形成された半田材3を、配線基板2のボンディングリード2mに接触させる。そして、この銅ピラー4とボンディングリード2mとの接続部(接合部)に熱を加えることで半田材3を溶融させ、半田材3を介して銅ピラー4とボンディングリード2mを電気的に接続する。
【0102】
このとき、本実施の形態の配線基板2は、複数のボンディングリード2mを支持する絶縁層2dが、ガラスクロス2hを含まない柔らかい樹脂層2dbであるため、フリップチップ実装時の荷重でボンディングリード2mが押圧された際に、樹脂層2dbが変形し、この樹脂層2db上に設けられたボンディングリード2mが沈み込む。そのため、複数のボンディングリード2mや複数の導電性部材(銅ピラー4)の高さにばらつきが生じていたとしても、高さの低い銅ピラー4とボンディングリード2mの接続についても行える。また、各ボンディングリード2mの下部(コア層2e側、下面2b側)に柔らかい樹脂層2dbが配置されているため、フリップチップ実装時に、銅ピラー4からボンディングリード2mに荷重が付与された際にも、柔らかい樹脂層2dbが沈み込むことで電極の高さばらつきによって生じる応力を吸収することができ、半導体チップ1に掛かる応力を低減化することができる。
【0103】
これにより、半導体チップ1に加わるダメージを低減することができ、半導体チップ1にクラックが形成されたり、表面保護膜が剥離するという不具合の発生を抑制できる。つまり、フリップチップ実装における半導体チップ1の損傷を低減または防止することができる。
【0104】
その結果、半導体装置(BGA7)の信頼性を向上させることができる。
【0105】
さらに、フリップチップ実装時に荷重が印加された際に、複数のボンディングリード2mを支持する樹脂層2dbが沈み込んで、複数の銅ピラー4や複数のボンディングリード2mの高さばらつきを吸収できるため、フリップチップ実装における半導体チップ1の接続不良の低減化を図ることができ、半導体チップ1の接続信頼性を向上させることができる。
【0106】
その結果、半導体装置(BGA7)の信頼性を向上させることができる。
【0107】
また、配線基板2において、プリプレグ2daの厚さを樹脂層2dbの厚さより厚くすることにより、プリプレグ2daの方が樹脂層2dbより硬度が高いため、基板の反りの低減化を図ることができる。さらに、絶縁層2dにおけるプリプレグ2daを厚くすることにより、コア層2eの厚さを薄く形成できるため、配線基板2の全体の厚さを薄くすることができ、半導体装置(BGA7)の薄形化を図ることができる。
【0108】
なお、各銅ピラー4の先端面に半田材3が配置されていることにより、熱が付与された半田材3が溶融するため、複数の銅ピラー4やボンディングリード2mに高さばらつきが生じていることで複数の銅ピラー4を押し込んだ際に形成される銅ピラー4とボンディングリード2mとの間の隙間を吸収することができる。
【0109】
また、各銅ピラー4に加えて各ボンディングリード2mの表面にも半田材3が配置されている場合には、複数の銅ピラー4やボンディングリード2mに生じる高さばらつきをさらに吸収することができ、フリップチップ実装における半導体チップ1の接続不良の低減化をさらに図ることができる。
【0110】
また、導電性部材として銅ピラー4を採用することにより、ウエハ段階で一括してパッド1c上に銅ピラー4を接続することができ、効率良く複数のパッド1cに導電性部材を接続することができる。
【0111】
また、銅ピラー4は、柱状の導電性部材であるため、フリップチップ実装における電極高さ(半導体チップ1と配線基板2の距離)を確保することができる。
【0112】
なお、荷重Fが付与された際に、アンダーフィル6も上方から半導体チップ1によって押し潰されるため、フリップチップ接続部にアンダーフィル6が充填され、さらに押し潰されたアンダーフィル6が半導体チップ1の周囲にはみ出して半導体チップ1の各側面に回り込み、その結果、半導体チップ1の各側面もアンダーフィル6によって覆われる。
【0113】
以上の工程により、フリップチップ実装が完了となる。
【0114】
4.外部端子形成(ボールマウント)
外部端子形成工程では、
図20に示すように、配線基板2の下面2bの複数のランド2nに複数の半田ボール5をそれぞれ形成または接続する。なお、半田ボール5は、外部端子あるいはボール状電極等とも呼ばれる。
【0115】
なお、複数のランド2nに接続する外部端子は、ボール状の半田材に限らず、半田材をランド2nの表面にコーティングしたもの、あるいはメッキ膜(メッキ層)をランド2nの表面に形成したものであってもよく、その場合、半導体装置は、LGA(Land Grid Array)である。
【0116】
また、半田ボール5に用いられる半田材も、上述の半田材3と同様に、鉛(Pb)を実質的に含まない、所謂、鉛フリー半田からなり、例えば錫(Sn)のみ、または錫−銅−銀(Sn−Cu−Ag)等である。
【0117】
5.個片化
個片化工程では、回転する切断刃であるダイシング用のブレード(図示せず)を用いて個片化を行う。例えば、
図12に示すような多数個取り基板2tの上方から切断部2rに対して上記ブレードを進入・回転させてダイシングを行い、各BGA7に個片化する。
【0118】
なお、個片化は、上記ブレードを用いたダイシングによる切断に限らず、金型による切断を行ってもよい。
【0119】
これにより、
図1〜
図3に示すBGA7の組み立て完了となる。
【0120】
<変形例>
以上、本発明者によってなされた発明を発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0121】
(変形例1)
図21は実施の形態の変形例1の半導体装置に組み込まれる配線基板の上面側のリード配列の一例を示す平面図である。
【0122】
図21に示す構造は、多ピン化が図られたフリップチップ実装型の半導体装置の配線基板2における複数のボンディングリード2mの配置形態の変形例を示すものである。
【0123】
多ピン化が図られた半導体装置においては、
図8に示す半導体チップ1のように、そのパッド1cの配列は千鳥配列になっている場合が多く、これに対応するように、
図21に示す配線基板側のソルダレジスト膜2cの開口部2kに設けられた複数のボンディングリード2mの配列も、外周リード群2maと内周リード群2mbとで2列に配置されている。
【0124】
さらに、配線基板2では、内周リード群2mbが、平面視において、半導体チップ1の辺1dと交差(ほぼ直交)する方向に延在する複数のボンディングリード2mbaと、半導体チップ1の辺1eと交差(ほぼ直交)する方向に延在する複数のボンディングリード2mbbと、辺1dおよび辺1eと直交しない方向に延在する複数のボンディングリード2mbcとを有している。
【0125】
すなわち、ソルダレジスト膜2cの枠状の開口部2kに露出する内周リード群2mbの複数のボンディングリード2mは、その延在方向によって上記3種類に分けられる(ボンディングリード2mba,2mbb,2mbc)。この3種類のボンディングリード2mのうち、半導体チップ1の辺1dおよび辺1eとも直交しない方向に延在する複数のボンディングリード2mbcは、枠状の開口部2kの角部付近に配置されている。
【0126】
つまり、内周リード群2mbのボンディングリード2mのうち、開口部2kの角部付近に配置されるボンディングリード2mbcは、このボンディングリード2mbcが配置されたリード列とほぼ直交する他のリード列の端部(角部)に位置するボンディングリード2mbcと接触し易い配置になる。したがって、配列の中央部付近のボンディングリード2mに対して斜めに配置されている。このとき、単に端の位置のボンディングリード2mbcのみを斜めに配置すると、このボンディングリード2mbcと同列の隣のボンディングリード2mbcとリードの内側端部同士が干渉するため、それぞれの角部付近の複数(
図21では端から4本)のボンディングリード2mbcは、配線基板2の中央部から外方に向けて放射状を成すような斜め配置となっている。
【0127】
したがって、半導体チップ1の何れの辺1d,1eに対してもそれぞれのボンディングリード2mbcの延在方向は、直交することはない。
【0128】
これにより、隣り合うボンディングリード2mとのショートを防ぐことができる。その結果、半導体装置の多ピン化に対応させることができる。
【0129】
また、内周リード群2mbのそれぞれのボンディングリード2mは、それぞれのボンディングリード2mの一部を覆う絶縁膜の一部である内側ソルダレジスト膜(内側絶縁膜)2caの端部と交差(ほぼ直交)する方向に沿って、延在している。
【0130】
すなわち、内周リード群2mbのそれぞれのボンディングリード2mは、全て略四角形の内側ソルダレジスト膜2caの各辺において、その辺(端部)と直交を成すように配置されている。これにより、内周リード群2mbの各ボンディングリード2mにおける内側ソルダレジスト膜2caからの露出長さは、互いにほぼ同じ長さとすることができる。このことは外周リード群2maの各ボンディングリード2mについても同様であり、開口部2kに配置されている各ボンディングリード2mのソルダレジスト膜2cからの露出部分が、略同じ長さになるように配置されている。
【0131】
これにより、半田プリコートをボンディングリード2m上に形成する場合においても、各リード間で、略同じ量の半田をプリコートすることができ、略同じ高さに半田プリコートを形成することができる。
【0132】
その結果、フリップチップ実装時の半田濡れ性の均一化を図ることができる。
【0133】
(変形例2)
図22は実施の形態の変形例2の半導体装置の構造の一例を示す断面図である。
【0134】
本変形例2の半導体装置は、チップ積層型の半導体装置であり、配線基板2にフリップチップ実装された半導体チップ1上に別の半導体チップ8が搭載され、上段側の半導体チップ8がワイヤ接続で配線基板2に電気的に接続された半導体装置である。
【0135】
また、配線基板2の下面2b側には、外部端子として複数の半田ボール5が配置されており、したがって、
図22に示す半導体装置もBGA12である。
【0136】
なお、BGA12では、例えば下段側の半導体チップ1は、コントローラチップであり、上段側の半導体チップ8は、メモリチップである。したがって、上段側の半導体チップ8が、下段側の半導体チップ1によって制御されるSIP(System In Package)型の半導体装置でもある。ただし、半導体チップ1および半導体チップ8は、上記以外の機能を備えた半導体チップであってもよい。
【0137】
また、上段側の半導体チップ8は、下段側の半導体チップ1の裏面1b上に、主面8aを上に向けた状態でダイボンド材9を介して接着されている。したがって、下段側の半導体チップ1の裏面1bと、上段側の半導体チップ8の裏面8bとがダイボンド材9によって接合されている。
【0138】
また、半導体チップ8の主面8aのパッド8cと、配線基板2の上面2aのボンディングリード2vとがワイヤ(導電性部材)10によって電気的に接続されている。ワイヤ10は、金線または銅線である。
【0139】
また、下段側の半導体チップ1は、実施の形態のBGA7と同様に、複数の銅ピラー4等の導電性部材を介して配線基板2の複数のボンディングリード2mにフリップチップ接続されている。さらに、フリップチップ接続部は、アンダーフィル6によって保護されており、半導体チップ1の裏面1b、および半導体チップ8や複数のワイヤ10は、封止用樹脂から成る封止体11によって封止されている。封止体11を形成する封止用樹脂は、例えばエポキシ系の熱硬化性樹脂等である。
【0140】
なお、本変形例2のBGA12においても、その配線基板2は、実施の形態のBGA7の配線基板2と同様に、複数のボンディングリード2mは絶縁層2d上に配置されており、この絶縁層2dが、ガラスクロス(ガラス繊維)2hを有するプリプレグ(樹脂層)2daと、プリプレグ2da上に形成(積層)されたガラスクロス2hを有さない樹脂層2dbとで構成されている。
【0141】
したがって、複数のボンディングリード2mのそれぞれは、樹脂層2dbに接しており、この樹脂層2db上に配置されている。つまり、複数のボンディングリード2mは、プリプレグ2daに比べて硬度が小さく柔らかな樹脂層2dbによって支持されている。
【0142】
これにより、各ボンディングリード2mの下部に柔らかい樹脂層2dbが配置されているため、実施の形態のBGA7と同様に、フリップチップ実装時に、銅ピラー4からボンディングリード2mに荷重が付与された際にも、柔らかい樹脂層2dbが沈み込むことで電極の高さばらつきによって生じる応力を吸収することができ、半導体チップ1に掛かる応力を低減化することができる。
【0143】
その結果、半導体チップ1に加わるダメージを低減することができ、半導体チップ1にクラックが形成されたり、表面保護膜が剥離するという不具合の発生を抑制できる。つまり、フリップチップ実装における半導体チップ1の損傷を低減または防止することができる。これにより、半導体装置(BGA12)の信頼性を向上させることができる。
【0144】
なお、BGA12およびその組み立てによって得られるその他の効果については、実施の形態のBGA7と同様であるため、その重複説明は省略する。
【0145】
(変形例3)
また、上記実施の形態では、半導体チップ1と配線基板2を電気的に接続する柱状または突起状の導電性部材として、例えば銅(Cu)を主成分とする材料を用いることについて説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、銅(Cu)よりも柔らかい材料として、例えば金(Au)を主成分とする材料を用いてもよい。
【0146】
なお、金(Au)は、荷重を加えると、銅(Cu)に比べて、導電性部材そのものが変形し易い(潰れ易い)。そのため、配線基板2の電極(ボンディングリード2m)を支持する絶縁層として、必ずしも上記実施の形態のような、2層構造の絶縁層により配線基板2の電極(ボンディングリード2m)を支持しなくてもよい。言い換えると、ガラスクロス(ガラス繊維)2hを含まない樹脂層よりも硬い材料(例えば、プリプレグ)を、配線基板2の電極(ボンディングリード2m)を支持する絶縁層として採用することができる。
【0147】
しかしながら、導電性部材や電極(ボンディングリード)の高さのばらつき量が大きい場合には、導電性部材の変形量(潰れる量)は大きくなる。そのため、導電性部材を極度に変形させたくない場合には、金(Au)を主成分とする材料により導電性部材を形成した場合であっても、上記実施の形態のような構成の絶縁層を有する配線基板2を使用することが好ましい。
【0148】
(変形例4)
図23は実施の形態の変形例4の半導体装置に組み込まれる配線基板の構造の一例を示す断面図である。
【0149】
本変形例4は、半導体装置に搭載される配線基板の変形例を示すものである。
図23に示す配線基板2は、2層の配線層を有する、所謂、2層基板であり、コア層(プリプレグ)2eの表面側に配線層2pが形成され、一方、コア層2eの裏面側に配線層2qが形成されている。
【0150】
図23の配線基板2においても、配線層2pに形成された複数のボンディングリード(電極)2mの下部には、ガラスクロス2hを有するコア層2eよりも硬度が小さい樹脂層2dbが配置されている。また、下面2b側においても、複数のランド(電極)2nが形成された配線層2qとコア層2eとの間に、コア層2eより硬度が小さい樹脂層2wが配置されている。
【0151】
したがって、本変形例4の配線基板2では、絶縁層2dが、樹脂層2dbとコア層2eと樹脂層2wとによって構成されている。そして、複数のボンディングリード2mは柔らかな樹脂層(ガラスクロスを含有しない層)2dbによって支持され、一方、複数のランド2nは、柔らかな樹脂層(ガラスクロスを含有しない層)2wによって支持されている。
【0152】
本変形例4の2層配線構造の配線基板2においても、複数のボンディングリード2mの下部に柔らかい樹脂層2dbが配置されている。そのため、実施の形態のBGA7と同様に、フリップチップ実装時にボンディングリード2mを介して樹脂層2dbに荷重が付与されると、樹脂層2dbが変形し、ボンディングリード2mが沈み込む。この結果、
図2に示す銅ピラー4の高さにばらつきが生じていても、全ての銅ピラー4がボンディングリード2mと接続することができる。すなわち、高さが低い銅ピラー4であってもボンディングリード2mと接続することができる。
【0153】
また、上記のように、複数の銅ピラー4のうち、他の銅ピラー4よりも高さの高い銅ピラーと接続する配線基板2のボンディングリード2mが沈み込むため、この高さの高い銅ピラー4が形成される半導体チップ1のパッド1c直下の絶縁層にクラック67(
図26を参照)が形成されるのを抑制できる。これにより、BGA7の信頼性を向上させることができる。
【0154】
さらに、半導体装置(BGA7)の半田ボール5等に応力が作用した際にも、柔らかい樹脂層2dbによって応力を緩和させることができ、フリップチップ接続部に直接ダメージが伝わることを抑制できる。
【0155】
すなわち、上記銅ピラー4が接続されるボンディングリード2mの下部に柔らかい樹脂層2dbが配置されているため、半田ボール5に熱応力等を含む応力が作用した際にも、柔らかい樹脂層2dbの変形によって上記応力を緩和してフリップチップ接続部や半導体チップ1に直接ダメージが伝わらないように上記応力を吸収することができる。
【0156】
その結果、フリップチップ接続部の接続不良の発生を抑えることができる。
【0157】
なお、上記半導体装置およびその組み立てによって得られるその他の効果については、実施の形態のBGA7と同様であるため、その重複説明は省略する。
【0158】
(変形例5)
ガラスクロスを含まない樹脂層2db、2fbとガラスクロス2hを含む樹脂層(プリプレグ2da、2fa)との位置関係については、上記の実施の形態のような積層構造に限らない。すなわち、
図24に示すように、ガラスクロスを含まない樹脂層2db、2fbは、柱状(または突起状)の導電性部材(銅ピラー4)が接続される電極(ボンディングリード2m)の直下にのみ設けられていてもよい。
【0159】
しかしながら、配線基板2の製造効率(工程数)を考慮すると、上記の本実施の形態のように、各積層層(樹脂層)2da、2db、2fa、2fbを積層構造にしておくことが好ましい。
【0160】
(変形例6)
上記実施の形態では、半導体装置がBGAの場合を一例として説明したが、上記半導体装置は、BGAに限らず、ランドの表面に導電性部材が形成されたLGA(Land Grid Array)であってもよい。
【0161】
(変形例7)
さらに、上記実施の形態で説明した技術思想の要旨を逸脱しない範囲内において、変形例同士を組み合わせて適用することができる。