特許第6161408号(P6161408)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6161408-汚染土混合方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6161408
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】汚染土混合方法
(51)【国際特許分類】
   B09C 1/10 20060101AFI20170703BHJP
   A62D 3/02 20070101ALI20170703BHJP
   A62D 101/22 20070101ALN20170703BHJP
【FI】
   B09B3/00 EZAB
   A62D3/02
   A62D101:22
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-113055(P2013-113055)
(22)【出願日】2013年5月29日
(65)【公開番号】特開2014-231041(P2014-231041A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2016年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(73)【特許権者】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(73)【特許権者】
【識別番号】000226482
【氏名又は名称】日工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596118530
【氏名又は名称】テクノス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080296
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】門倉 伸行
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 静郎
(72)【発明者】
【氏名】土路生 修三
(72)【発明者】
【氏名】村上 順也
(72)【発明者】
【氏名】久保 幹
(72)【発明者】
【氏名】今田 雄司
(72)【発明者】
【氏名】仲村 紳
(72)【発明者】
【氏名】金城 和哉
(72)【発明者】
【氏名】村田 均
(72)【発明者】
【氏名】川口 博史
【審査官】 増田 健司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−327686(JP,A)
【文献】 特開2003−10834(JP,A)
【文献】 特開2007−29860(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0201831(US,A1)
【文献】 特開2012−71255(JP,A)
【文献】 特開2003−53324(JP,A)
【文献】 特開平10−202240(JP,A)
【文献】 特開2012−40476(JP,A)
【文献】 特開2003−211147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09C 1/10
A62D 3/02
A62D 101/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染土に汚染土中の微生物を活性化させるための栄養分と汚染土の団塊化を防止するための団塊化防止物質とを加えて混ぜ合わせる汚染土混合方法であって、
容器内に前記団塊化防止物質を投入した後、団塊化防止物質が投入された容器内のかき混ぜ手段を作動させながら汚染土と栄養分とを容器内に投入して混ぜ合わせたことを特徴とする汚染土混合方法。
【請求項2】
前記団塊化防止物質として籾殻を用いたことを特徴とする請求項1に記載の汚染土混合方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染土に少なくとも汚染土中の微生物を活性化させるための栄養分を加えて混ぜ合わせる汚染土混合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
汚染土中の微生物を活性化させて汚染土を浄化する汚染土浄化方法としては、主として、
(1)汚染された土壌に元々生息している土着の微生物に対して当該微生物を活性化させるための栄養分等を加えて汚染土中の微生物を活性化させることで汚染土を浄化するバイオスティミュレーション。
(2)汚染された土壌に予め効果が認められた微生物及び栄養分等を加えて汚染土中の微生物を活性化させることで汚染土を浄化するバイオオーグメンテーション。
が知られている。
そして、汚染土浄化方法の具体的な手法として、汚染土に栄養分等を加えてこれらを混練りして混ぜ合わせた汚染土を盛土状に盛り立てたバイオパイルを形成し、当該バイオパイルを静置して、バイオパイル中の微生物を活性化させて汚染土中の汚染物質の分解を促進させるバイオパイル工法が知られている(例えば特許文献1等参照)。
また、汚染土に栄養分等を加えてこれらを攪拌、切り替えし等により混ぜ合わせて、当該汚染土中の微生物を活性化させて汚染土中の汚染物質の分解を促進させるランドファーミング工法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−255633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
汚染土中の微生物を活性化させるためには、汚染土の透水性や通気性が重要になる。特に、微生物が好気性の菌である場合には、汚染土の通気性がきわめて重要になる。
しかしながら、例えば関東ローム層や沖縄の赤土などのシルト質や粘性土を多く含む汚染土壌の場合、土質的にも通気性及び透水性が悪く、当該汚染土に水及び栄養分等を加えてこれらを混ぜ合わせると汚染土による拳大程度の大きさの塊が発生して、栄養分や酸素が塊内に侵入できなくなって汚染土中の微生物を活性化させることが困難となり、汚染土中の汚染物質の分解が促進されないという問題点があった。
本発明は、汚染土に少なくとも栄養分を加えて混ぜた場合に、汚染土の団塊化を防止でき、汚染土の通気性及び透水性を良好にできて、汚染土中の微生物を活性化させることができる汚染土混合方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る汚染土混合方法は、汚染土に汚染土中の微生物を活性化させるための栄養分と汚染土の団塊化を防止するための団塊化防止物質とを加えて混ぜ合わせる汚染土混合方法であって、容器内に前記団塊化防止物質を投入した後、団塊化防止物質が投入された容器内のかき混ぜ手段を作動させながら汚染土と栄養分とを容器内に投入して混ぜ合わせたので、汚染土の団塊化を防止できて汚染土の通気性及び透水性を良好にでき、汚染土中の微生物を活性化させることができる。
また、団塊化防止物質として籾殻を用いたので、汚染土の団塊化を防止できて汚染土の通気性及び透水性を良好にでき、汚染土中の微生物を活性化させることができる汚染土混合方法を安価に実現できる
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】汚染土混合方法を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
汚染土に汚染土中の微生物を活性化させるための栄養分と汚染土の団塊化を防止するための団塊化防止物質とを加えて混ぜ合わせる実施形態1の汚染土混合方法は、図1に示すように、籾殻投入ステップS1と、混練りステップS2とを備える。
【0008】
籾殻投入ステップS1では、混練り装置における混練り作業が行われる容器としての混練り作業容器内に団塊化防止物質の一例としての籾殻(もみがら)を投入する。
混練り作業容器内には、かき混ぜ手段としての複数の混練り棒が設けられる。
混練り棒は、例えば、棒の周面に攪拌羽根を有し、棒の中心線を回転中心として回転できるように、棒の両端が混練り作業容器の互いに対向する側壁に回転可能に支持された構成である。即ち、回転駆動源としてのモーター等の回転出力により回転するように構成された複数の混練り棒が混練り作業容器内で回転した場合、混練り作業容器内に収容されている混練り対象物が攪拌羽根により攪拌されて混練りされるように構成されている。
籾殻投入ステップS1では、混練り作業によって作成される混合汚染土を基準として重量比10%以下程度(例えば1%〜2%)の量の籾殻を混練り作業容器内に入れる。
【0009】
混練りステップS2では、籾殻が投入された混練り作業容器内の複数の攪拌羽根付きの混練り棒を回転させながら(即ち、空練りさせながら)、汚染土、水分、分解菌等の微生物、当該微生物を活性化させるための栄養分等を混練り作業容器内に投入して混練りする。混練り時間は、数分程度(例えば、約2分〜3分程度)でよい。
尚、微生物としては、例えば燃料系油分(ジェット燃料、ガソリン、軽油、重油等)や機械油(潤滑油等)で汚染された汚染土中の油分のほか、溶剤など(たとえば、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等)で汚染された汚染土中の揮発性有機化合物を分解する分解菌(例えば石油分解菌、VOC分解菌等)を用いればよい。また、栄養分としては、栄養塩や堆肥等を用いればよい。
【0010】
実施形態1では、混練り作業の前に混練り作業容器内に籾殻を投入してから混練り作業を行ったことにより、混練り作業の過程で汚染土が塊となる前に汚染土の土粒子が籾殻に吸着されることで汚染土の団塊化が防止される。換言すれば、混練り作業の過程で汚染土が塊となる前に籾殻が汚染土の土粒子同士の結合を防止して汚染土の団塊化が防止される。
【0011】
実施形態1では、汚染土と水分と微生物と栄養分等とを混練する際の副資材として、汚染土の団塊化を防止して汚染土に通気性及び透水性を保有させる籾殻を使用したので、汚染土の粒径を数mm程度にでき、汚染土の通気性及び透水性が良くなって、汚染土中の微生物を活性化させることができ、汚染土中の汚染物質の分解を促進できる混合汚染土を作成することができるようになる。
また、混練り作業によって作成される混合汚染土を基準として重量比10%以下程度の量の籾殻を混練り作業容器内に入れるようにしたので、籾殻の量を少なくできて、籾殻が嵩張らず、混練り作業を容易に行える。
また、安価な籾殻を用いるので、通気性及び透水性の良好な混合汚染土を安価に作成できるようになる。
【0012】
実施形態2
汚染土を混練り作業容器内に入れて混練りする前に、汚染土を乾燥させる。
そして、籾殻が投入されて空練り動作が行われている混練り作業容器内に、乾燥させた汚染土、水分、微生物、栄養分等を投入して混練りすることにより混合汚染土を作成する。
汚染土の水分含有度が高い場合には、混練りによって汚染土が団塊化しやすくなるので、本実施形態2のように、汚染土を乾燥させた後に、混練りすることで、汚染土の団塊化防止効果が高くなり、汚染土の通気性及び透水性が良くなって、汚染土中の微生物を活性化させることができ、汚染土中の汚染物質の分解を促進できる混合汚染土を作成することができるようになる。
【0013】
尚、本願では、汚染土、水分、微生物、栄養分等を混練りして汚染土が団塊化してしまった後に籾殻を投入しても効果はない。従って、団塊化防止物質としての籾殻を投入するタイミングは、汚染土が団塊化する前であればよい。例えば、汚染土、水分、微生物、栄養分等と籾殻とを同時に混練り作業容器内に入れて混練り作業を行うようにしてもよい。
ただ、同時に汚染土と籾殻を投入すると、その時点で塊が発生する恐れもあるので、籾殻は可能な限り事前に投入して空練を行いながら汚染土や水分、微生物、栄養分等を投入するほうがよい。
【0014】
また、団塊化防止物質として、籾殻以外の物質を用いてもよい。例えば、藁、おが屑、サトウキビの搾りかす(バガス)等の植物性材料を用いてもよい。
【0015】
尚、本発明の汚染土混合方法は、汚染土に少なくとも栄養分と汚染土の団塊化を防止するための団塊化防止物質とを加えて混ぜ合わせる方法であればよい。
即ち、本発明の汚染土浄化方法は、汚染土の通気性及び透水性を良好にするために、汚染土に、少なくとも栄養分、団塊化防止物質を加えてこれらを混練りしたり、攪拌、切り替え等して混ぜ合わせる方法であればよい。つまり、バイオスティミュレーションにおいて、汚染された土壌に元々生息している土着の微生物に対して当該微生物を活性化させるための栄養分等を加えて混合する際、あるいは、バイオオーグメンテーションにおいて、汚染された土壌に予め効果が認められた微生物及び栄養分等を加えて混合する際に、本発明のように、団塊化防止物質を加えて混合することにより、汚染土の団塊化を防止できて汚染土の通気性及び透水性を良好にでき、汚染土中の微生物を活性化させることができるので、汚染土中の汚染物質の分解を促進させることができるようになる。
また、混ぜ合わせる手段としては、専用のかき混ぜ機械、バックホーやスタビライザー等の機械、人力等を使用すればよい。
【符号の説明】
【0016】
S1 籾殻投入ステップ、S2 混練りステップ。
図1