(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6161420
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】加熱調理器及び炊飯器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20170703BHJP
【FI】
A47J27/00 103R
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-126711(P2013-126711)
(22)【出願日】2013年6月17日
(65)【公開番号】特開2015-229(P2015-229A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2016年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085198
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 久夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098604
【弁理士】
【氏名又は名称】安島 清
(74)【代理人】
【識別番号】100087620
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 範夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125494
【弁理士】
【氏名又は名称】山東 元希
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【弁理士】
【氏名又は名称】小河 卓
(74)【代理人】
【識別番号】100153936
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 健誠
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 元
(72)【発明者】
【氏名】坂田 直也
(72)【発明者】
【氏名】守岩 和秋
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康之
(72)【発明者】
【氏名】村野 元宏
【審査官】
青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−259615(JP,A)
【文献】
特開2012−019868(JP,A)
【文献】
特開2006−000350(JP,A)
【文献】
特開平02−151095(JP,A)
【文献】
特開2012−227343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を加熱する加熱手段と、
前記被調理物の調理条件を入力する入力手段と、
前記入力手段で入力された調理条件に基づいて、前記加熱手段に通電する電力を制御する集積回路からなる第1の制御部と、
前記入力手段で入力された調理条件を表示する表示ユニットと、
前記第1の制御部からの指令で、前記入力手段で入力された調理条件を、前記表示ユニットに表示させる集積回路からなる第2の制御部と、を有し、
前記表示ユニットは、
前記表示ユニットに表示される表示情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された表示情報をデータ変換する集積回路からなる第3の制御部と、
前記第3の制御部でデータ変換された表示情報を表示する表示手段と、を有し、
前記第1の制御部、前記第2の制御部及び前記第3の制御部は、入出力ピンのピッチが、フロー半田に対応できる寸法であり、
前記第3の制御部における入出力ピンのピッチが、前記第1の制御部における入出力ピン及び前記第2の制御部における入出力ピンのピッチ以下である
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
被調理物を加熱する加熱手段と、
前記被調理物の調理条件を入力する入力手段と、
前記入力手段で入力された調理条件に基づいて、前記加熱手段に通電する電力を制御する集積回路からなる第1の制御部と、
前記入力手段で入力された調理条件を表示する表示ユニットと、
前記第1の制御部からの指令で、前記入力手段で入力された調理条件を、前記表示ユニットに表示させる集積回路からなる第2の制御部と、を有し、
前記表示ユニットは、
前記表示ユニットに表示される表示情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段で記憶された表示情報を表示する表示手段と、を有し、
前記第2の制御部は、
前記記憶手段に記憶された表示情報を、前記表示手段に表示できるデータに変換する集積回路からなる第3の制御部を有し、
前記第1の制御部、前記第2の制御部及び前記第3の制御部は、入出力ピンのピッチが、フロー半田に対応できる寸法であり、
前記第3の制御部における入出力ピンのピッチが、前記第1の制御部における入出力ピン及び前記第2の制御部における入出力ピンのピッチ以下である
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
上面が開口した本体と、
前記本体に着脱自在に設けられ、被調理物を収容する内鍋と、
前記本体の前記開口に開閉自在に設けられ、一端が前記本体に軸支される蓋体と、
前記内鍋を加熱して、前記内鍋に収容された前記被調理物を加熱する加熱手段と、
前記被調理物の調理条件を入力する入力手段と、
前記入力手段で入力された調理条件に基づいて、前記加熱手段に通電する電力を制御する集積回路からなる第1の制御部と、
前記入力手段で入力された調理条件を表示する表示ユニットと、
前記第1の制御部からの指令で、前記入力手段で入力された調理条件を、前記表示ユニットに表示させる集積回路からなる第2の制御部と、を有し、
前記表示ユニットは、
前記表示ユニットに表示される表示情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された表示情報をデータ変換する集積回路からなる第3の制御部と、
前記第3の制御部でデータ変換された表示情報を表示する表示手段と、を有し、
前記第1の制御部、前記第2の制御部及び前記第3の制御部は、入出力ピンのピッチが、フロー半田に対応できる寸法であり、
前記第3の制御部における入出力ピンのピッチが、前記第1の制御部における入出力ピン及び前記第2の制御部における入出力ピンのピッチ以下である
ことを特徴とする炊飯器。
【請求項4】
上面が開口した本体と、
前記本体に着脱自在に設けられ、被調理物を収容する内鍋と、
前記本体の前記開口に開閉自在に設けられ、一端が前記本体に軸支される蓋体と、
前記内鍋を加熱して、前記内鍋に収容された前記被調理物を加熱する加熱手段と、
前記被調理物の調理条件を入力する入力手段と、
前記入力手段で入力された調理条件に基づいて、前記加熱手段に通電する電力を制御する集積回路からなる第1の制御部と、
前記入力手段で入力された調理条件を表示する表示ユニットと、
前記第1の制御部からの指令で、前記入力手段で入力された調理条件を、前記表示ユニットに表示させる集積回路からなる第2の制御部と、を有し、
前記表示ユニットは、
前記表示ユニットに表示される表示情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段で記憶された表示情報を表示する表示手段と、を有し、
前記第2の制御部は、
前記記憶手段に記憶された表示情報を、前記表示手段に表示できるデータに変換する集積回路からなる第3の制御部を有し、
前記第1の制御部、前記第2の制御部及び前記第3の制御部は、入出力ピンのピッチが、フロー半田に対応できる寸法であり、
前記第3の制御部における入出力ピンのピッチが、前記第1の制御部における入出力ピン及び前記第2の制御部における入出力ピンのピッチ以下である
ことを特徴とする炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示手段を有する加熱調理器及び炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の炊飯器では、調理条件等が表示される表示手段として、例えばセグメント方式の液晶ディスプレイが使用されている。この炊飯器51は、
図6に示すように、マイコン53に、入力手段52からの入力信号が送信されると、このマイコン53からインバータ制御部54a及びヒータ制御部54b、即ち負荷出力部54に駆動信号が送信され、これによって、加熱手段55が駆動される。これに加え、マイコン53には、表示手段56を制御する表示制御部53aが設けられており、入力手段52からの入力信号がマイコン53に送信されると、マイコン53内の表示制御部53aから、表示手段56に信号が送信されて、表示手段56に情報が表示される。
【0003】
一方、炊飯器は、市場での多様なニーズに応えるため、その高機能(多様)化が進んでいる。そして、機能が増えることにより、表示手段に表示させる情報も増加する。従来のセグメント方式の液晶ディスプレイが用いられた炊飯器においては、多様な情報を表示させる手段として、画面サイズを大きくすること又は文字サイズを小さくすることが挙げられる。しかし、画面サイズは、炊飯器の大きさ及びデザインにより制限を受けることがあり、また、セグメントの数も、制御するマイコンのポート数で決まってしまう。また、文字サイズを小さくすると、使用者が視認し難くなり、使い勝手が悪くなる。
【0004】
この問題を解消するため、特許文献1には、セグメント方式の液晶パネルを2枚重ねることによって、画面サイズ及び文字サイズを変更せずに、表示可能な情報量を増加させようとする加熱調理器が開示されている。この従来技術によって、上記問題はある程度解消される。しかし、液晶パネルには偏光フィルタが貼り付けられており、複数の液晶パネルを重ねる場合、これらの複数の液晶パネルの表示が相互に影響を受け難いように、偏光フィルタの光軸を調整して、液晶パネルを配置する必要がある。このため、表示手段は、複数の液晶パネルのいずれもが良好な表示となる角度、即ち有効視野角が狭くなり、良好に視認できる角度が減って、使い勝手が悪くなる。
【0005】
これに対し、セグメント方式の液晶ディスプレイではなく、ドットマトリクス方式の液晶ディスプレイが用いられた加熱調理器が提案されている。特許文献2には、ドットマトリクス方式の液晶ディスプレイに対応可能な表示手段を備える加熱調理器が開示されている。
図7に示すように、この従来技術は、
図6に示す従来技術の構成に加え、マイコン53に外付けされるか又は内部のメモリに設けられる記憶手段57を有しており、この記憶手段57は、表示手段56である液晶ディスプレイに表示する表示情報を格納するものである。そして、マイコン53に内蔵された表示制御部53aが、記憶手段57に記憶された表示情報を、表示手段56に表示できるデータに変換して、表示手段56に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−145065号公報(請求項1、
図12)
【特許文献2】特開2002−349862号公報(第3頁、
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に開示された加熱調理器において、ドットマトリクス方式の液晶ディスプレイが使用される場合、表示できる情報が増える反面、制御負荷も増大する。しかし、この特許文献2においては、
図6に示す従来技術と同様に、マイコンは、入力手段によって入力される情報に基づいて、複数の負荷出力部を制御しつつ、表示手段にデータを送信しているため、マイコンの負担が大きくなる。従って、複数の処理が重なり、マイコンの処理負荷が増大すると、キー入力及び表示レスポンスが悪くなったり、負荷出力部の制御に影響を及ぼしたりする可能性もある。その結果、加熱調理器の使い勝手が悪化し、また、この加熱調理器が炊飯器である場合、自動調理時の仕上がりに悪影響を及ぼす虞がある。また、集積回路からなるマイコンは、負荷の増大に対処するため、その入出力ピンのピッチを狭くしなければならない。従って、マイコンの実装方法としては、フロー半田では対応できず、リフロー半田を行う必要がある。
【0008】
本発明は、上記のような課題を背景としてなされたもので、集積回路からなるマイコンの負担を減らし、且つマイコンの実装方法がフロー半田に対応できる加熱調理器及び炊飯器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る加熱調理器は、被調理物を加熱する加熱手段と、被調理物の調理条件を入力する入力手段と、入力手段で入力された調理条件に基づいて、加熱手段に通電する電力を制御する集積回路からなる第1の制御部と、入力手段で入力された調理条件を表示する表示ユニットと、第1の制御部からの指令で、入力手段で入力された調理条件を、表示ユニットに表示させる集積回路からなる第2の制御部と、を有し、表示ユニットは、表示ユニットに表示される表示情報を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された表示情報をデータ変換する集積回路からなる第3の制御部と、第3の制御部でデータ変換された表示情報を表示する表示手段と、を有し、第1の制御部、第2の制御部及び第3の制御部は、入出力ピンのピッチが、フロー半田に対応できる寸法であ
り、第3の制御部における入出力ピンのピッチが、第1の制御部における入出力ピン及び第2の制御部における入出力ピンのピッチ以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、表示ユニットの制御を、加熱手段を制御する第1の制御部ではなく、別途設けられた第2の制御部が行うため、第1の制御部の負担を減らすことができる。また、第1の制御部、第2の制御部及び第3の制御部は、入出力ピンのピッチが、フロー半田に対応できる寸法であるため、これらの第1の制御部、第2の制御部及び第3の制御部の実装方法の選択の幅が広がる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係る炊飯器2を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る加熱調理器1を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態1における第3の制御部16bを示す上面図である。
【
図4】実施の形態1に係る加熱調理器1の動作を示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態2に係る加熱調理器1を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
加熱調理器として、炊飯器を例にとり説明する。なお、本発明は、オーブンレンジやIH調理器など、炊飯器以外の電気式加熱調理器についても適用できる。
以下、本発明に係る加熱調理器及び炊飯器の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、
図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る炊飯器2を示す斜視図である。この
図1に基づいて、炊飯器2について説明する。
図1に示すように、炊飯器2は、上面が開口した直方体状の本体3の内部に、有底円筒状の内鍋4が着脱自在に設けられており、この内鍋4は、被調理物を収容するものである。後述する加熱手段15が内鍋4を加熱し、内鍋4に収容される被調理物を加熱する。そして、本体3の開口には、蓋体5が開閉自在に設けられており、この蓋体5は、その一端が本体3に軸支されている。また、本体3の側面には、蓋開閉ボタン6が設けられており、蓋体5が閉じている状態で、この蓋開閉ボタン6が押下されることによって、蓋体5が開くようになっている。また、蓋体5の内部には、円形状の内蓋7が取り付けられており、この内蓋7には、蓋センサ8及びカートリッジ9が設けられている。このうち、蓋センサ8は、内鍋4内の温度を検出するものであり、また、カートリッジ9は、被調理物の加熱時に発生する蒸気を取り込み、蒸気と、蒸気内に含まれるうまみ成分とを分離するものである。
【0014】
次に、炊飯器2に用いられる加熱調理器1について説明する。
図2は、実施の形態1に係る加熱調理器1を示すブロック図である。加熱調理器1には、入力手段11と、第1の制御部12と、第2の制御部13と、負荷出力部14と、加熱手段15と、表示ユニット16とを備えている。このうち、入力手段11は、被調理物の調理条件を入力するものである。入力手段11によって調理条件が入力されると、この調理条件に基づいて、第1の制御部12は、負荷出力部14に駆動信号を送信する。この負荷出力部14は、インバータ制御部14a及びヒータ制御部14bを備えており、これらは、夫々インバータ及びヒータに通電する電力を制御するものである。このように、第1の制御部12によって、負荷出力部14に駆動信号が送信されると、加熱手段15の駆動が開始される。また、第1の制御部12は、入力手段11によって調理条件が入力されると、その情報を第2の制御部13に送信する。そして、この第1の制御部12からの指令で、第2の制御部13は、入力手段11で入力された調理条件を、表示ユニット16に表示させる。即ち、第1の制御部12は、加熱手段15を駆動するメインマイコンであるのに対し、第2の制御部13は、表示ユニット16に調理条件を表示させるサブマイコンである。
【0015】
この表示ユニット16は、記憶手段16aと、第3の制御部16bと、表示手段16cとを備えている。このうち、記憶手段16aは、表示ユニット16に表示される表示情報を記憶するものである。この記憶手段16aによって記憶された表示情報は、第3の制御部16bによってデータ変換され、このデータ変換された表示情報が、表示手段16cによって表示される。このように、第3の制御部16bは、表示手段16cにデータを送信する表示制御部である。なお、表示手段16cは、例えばドットマトリクス方式の液晶ディスプレイで構成される。
【0016】
次に、第1の制御部12、第2の制御部13及び第3の制御部16bについて、詳細に説明する。これらの第1の制御部12、第2の制御部13及び第3の制御部16bは、いずれも集積回路からなり、複数の入出力ピンを備えている。また、このうち、第3の制御部16bは、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)とすることができる。そして、これらの第1の制御部12、第2の制御部13及び第3の制御部16bの入出力ピンのピッチは、いずれも、その実装方法として、フロー半田に対応することができる寸法となっている。
図3は、実施の形態1における第3の制御部16bを示す上面図である。
図3に示すように、第3の制御部16bの入出力ピンのピッチpは、例えば2.54mmである。更に、この第3の制御部16bにおける入出力ピンのピッチpは、第1の制御部12における入出力ピン及び第2の制御部13における入出力ピンのピッチ以下となっている。なお、フロー半田が可能な入出力ピンの最小ピッチは、0.65mm程度である。
【0017】
次に、本実施の形態に係る加熱調理器1の動作について説明する。
図4は、実施の形態1に係る加熱調理器1の動作を示すフローチャートである。
図4に示すように、入力手段11から第1の制御部12に入力信号が送信されたか否かが、第1の制御部12によって確認される(ステップS1)。そして、第1の制御部12によって、入力信号が確認されると(ステップS1のYes)、次に、第2の制御部13によって、表示手段16cの画面表示の更新が必要であるか否かが判定される(ステップS2)。このステップS2において、入力手段11からの入力信号に基づく表示が、表示手段16cに既に表示されており、画面表示の更新が必要なければ、ステップS1に戻る(ステップS2のNo)。これに対し、ステップS2において、画面表示の更新が必要である場合は、次のステップS3に進む(ステップS2のYes)。
【0018】
ステップS3では、第3の制御部16bによって、記憶手段16aによって記憶された表示情報が読み出される。そして、この表示情報のデータチェックが行われる(ステップS4)。このデータチェックでは、読み出された表示情報、即ちデータが適切なものであるかがチェックされる。ステップS4において、データチェックがNGである場合は、ステップS3に戻り、再度読み出しを行うリトライ動作が行われる。その際、リトライ動作の回数が、規定回数を上回ると、異常状態であると判断され、異常報知される。一方、ステップS4において、データチェックがOKである場合は、第3の制御部16bは、記憶手段16aによって記憶された表示情報を、表示手段16cに表示することができるデータに変換及び調整する(ステップS5)。その後、この変換されたデータが、液晶ディスプレイ(LCD)である表示手段16cを駆動するLCDドライバに出力される(ステップS6)。これにより、表示手段16cに、表示情報が表示される。
【0019】
一方、ステップS1において、第1の制御部12によって、入力手段11からの入力信号が確認されない場合(ステップS1のNo)、入力手段11以外の表示イベントの指令の有無が、第2の制御部13によって、確認される(ステップS7)。この入力手段11以外の表示イベントとしては、例えば、時計の更新、エラー報知及び炊飯完了の報知等の自動更新がある。このステップS7において、入力手段11以外の表示イベントの指令がある場合(ステップS7のYes)、ステップS2に進み、表示手段16cの表示更新が必要であるか否かが判定される。これに対し、ステップS7において、入力手段11以外の表示イベントの指令がない場合(ステップS7のNo)、次のステップS8に進む。
【0020】
次のステップS8では、表示手段16cにおいて、前回の画面表示の更新作業から一定時間が経過したか否かが判定される。このステップS8において、更新作業時から一定時間が経過していないと判定されると、ステップS1に戻る(ステップS8のNo)。一方、ステップS8において、更新作業時から一定時間が経過したと判定される(ステップS8のYes)と、現在、表示手段16cに表示されている画面情報が、第2の制御手段によって、確認される(ステップS9)。そして、第3の制御部16bによって、記憶手段16aによって記憶された表示情報が読み出される(ステップS10)。その後、この表示情報のデータチェックが行われる(ステップS11)。このステップS11において、データチェックがNGである場合は、ステップS10に戻り、リトライ動作が行われる。このステップS11においても、ステップS4と同様に、リトライ動作の回数が、規定回数を上回ると、異常状態であると判断され、異常報知される。一方、ステップS11において、データチェックがOKである場合は、ステップS5に進み、第3の制御部16bによって、記憶手段16aによって記憶された表示情報が、表示手段16cに表示することができるデータに変換及び調整される。
【0021】
以上説明したように、加熱調理器1及びこれを用いた炊飯器2は、入力手段11と負荷出力部14とが接続された第1の制御部12と、例えばドットマトリクス方式の液晶ディスプレイである表示手段16cを制御する第2の制御部13とを備えている。このように、負荷出力部14の制御と、表示手段16cの制御とを、別個の制御部によって制御しているため、第1の制御部12は、表示手段16cの制御負荷を受けない。このため、第1の制御部12の負担が軽くなり、入力手段11における入力レスポンスが向上し、また、負荷出力部14の制御を適切に行うことができる。また、機種のシリーズ展開を行う場合、第1の制御部12に、加熱調理器1及び炊飯器2の主要な機能を割り当て、第2の制御部13に、機種によって変化する機能を割り当てることによって、第1の制御部12を、各機種で共通化させることができるため、その開発負荷を低減することができる。その上、多様な仕様の機種に、柔軟に対応することもでき、その汎用性は極めて高い。
【0022】
また、従来の炊飯器において、ドットマトリクス方式の液晶ディスプレイを、1個のマイコンで制御しようとすると、負荷が増大するため、操作や表示等のレスポンスが悪化する。また、ドットマトリクス方式の液晶ディスプレイや記憶手段等の周辺回路を接続するため、マイコンの入出力ピンを増やして対応する必要がある。しかし、基板上のスペースが限られている場合、入出力ピンのピッチを狭くして対応しなければならない。これに対し、本実施の形態では、表示手段16cの制御を、加熱手段15の制御を行う第1の制御部12ではなく、第2の制御部13及び第3の制御部16bが負担する。このため、この第1の制御部12、第2の制御部13及び第3の制御部16bにおける入出力ピンのピッチを、従来よりも広げることができる。
【0023】
これにより、これらの第1の制御部12、第2の制御部13及び第3の制御部16bを実装する方法として、リフロー半田だけではなく、フロー半田を用いることができる。これらの第1の制御部12、第2の制御部13及び第3の制御部16bといったマイコンが実装された基板には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)及びコンデンサ等が実装されている。しかし、これらのIGBT及びコンデンサ等は、比較的耐熱性が低く、容量の大きなコンデンサや高電圧、大電流を扱う素子等は、リード付きタイプのものが多く使われているため、リフロー半田による実装よりもフロー半田による実装が好まれる。このため、マイコンがフロー半田に対応せず、リフロー半田で基板に実装される場合、その基板の裏面に、IGBT及びコンデンサ等がフロー半田で実装されて、両面実装基板となるが、この両面実装基板はコストが高い。これに対し、本実施の形態では、第1の制御部12、第2の制御部13及び第3の制御部16bにおける入出力ピンのピッチが、フロー半田に対応することができる寸法となっている。このため、第1の制御部12、第2の制御部13又は第3の制御部16bと、IGBT及びコンデンサ等とのいずれも、基板の片面に、フロー半田で実装することができる。従って、本実施の形態は、従来のような両面実装基板よりも、低コスト化を図ることができる。
【0024】
なお、第3の制御部16bにおける入出力ピンのピッチは、第1の制御部12における入出力ピン及び第2の制御部13における入出力ピンのピッチ以下となっている。例えば、ドットマトリクス方式の液晶ディスプレイや記憶手段等の周辺回路を接続する入出力を確保しつつ基板スペースが限られる場合、素子サイズを小さくする必要がある。この場合、ピンピッチが細かくなるが、機能を表示制御に限定することで、第3の制御部16bのピンが出る方向を2面(第3の制御部16bが平面視で四角形の形状の場合に、ピンの出る辺を上下の辺又は左右の辺のような対向する2辺の側面)に抑えることができる。このように、第3の制御部16bの入出力ピンのピッチを細かくしても、ピンの出る方向を2面に抑え、フロー半田上に第3の制御部16bを流す方向を、ピンが出る側面に沿った方向とすることで、隣接するピンに跨って半田がブリッジされて付くことが抑制され、フロー半田に対応し易くできるので、ドットマトリクス方式の液晶ディスプレイであっても、これを適切に制御することができる。また、第3の制御部16bをASICとする場合、ASICは、小型及び安価で、且つ消費電力が低く、また動作速度も速い。このため、ASICとした第3の制御部16bは、部品配置のスペースが制約された炊飯器2、省エネルギ性が要求される炊飯器2及びデザイン性が要求される炊飯器2等に対し、極めて有効に適用することができる。
【0025】
実施の形態2.
次に、実施の形態2に係る加熱調理器1について説明する。
図5は、実施の形態2に係る加熱調理器1を示すブロック図である。本実施の形態は、第3の制御部16bが、第2の制御部13に内蔵されている点で、実施の形態1と相違する。本実施の形態では、実施の形態1と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0026】
本実施の形態では、
図5に示すように、第2の制御部13に、第3の制御部16bが内蔵されている。このように、第3の制御部16bを、第2の制御部13に内蔵させる場合、第2の制御部13のサイズは、若干大きくなる。しかし、この第2の制御部13を、第1の制御部12と同じ大きさのマイコンにすることによって、部品の共通化が図れる。第2の制御部13が大きくなっても、部品の共通化が図れるため、コストの上昇は僅かである。その上、第2の制御部13に第3の制御部16bを内蔵させることによって、第3の制御部16bという別個のマイコンが不要となるため、コストダウンすることができる。このように、本実施の形態は、実施の形態1で得られる効果に加え、コストを削減するという効果を奏する。
【符号の説明】
【0027】
1 加熱調理器、2 炊飯器、3 本体、4 内鍋、5 蓋体、6 蓋開閉ボタン、7 内蓋、8 蓋センサ、9 カートリッジ、11 入力手段、12 第1の制御部、13 第2の制御部、14 負荷出力部、14a インバータ制御部、14b ヒータ制御部、15 加熱手段、16 表示ユニット、16a 記憶手段、16b 第3の制御部、16c 表示手段、51 炊飯器、52 入力手段、53 マイコン、53a 表示制御部、54 負荷出力部、54a インバータ制御部、54b ヒータ制御部、55 加熱手段、56 表示手段、57 記憶手段。