(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一の携帯端末の測位情報を参照して、連続して測位された複数の測位位置であり、かつ、各測位位置が複数の路線から所定の距離以内に存在する複数の測位位置を判定対象測位位置セットとして特定する判定対象特定手段と、
前記判定対象測位位置セットに含まれる前記複数の測位位置のそれぞれと、前記複数の路線のそれぞれとの組み合わせに対して、当該複数の測位位置のそれぞれから当該複数の路線のそれぞれまでの距離に応じたスコアを決定するスコア決定手段と、
前記決定したスコアに応じて、前記複数の路線のうち、前記複数の測位位置に対応する前記携帯端末のユーザが通過した路線を判定する通過判定手段と
を備え、
前記通過判定手段は、前記判定対象測位位置セットに含まれる前記複数の測位位置の測位時間が、所定の路線の利用時間外の時間帯として予め設定された時間帯に含まれるとき、当該測位時間について当該所定の路線を前記携帯端末のユーザが通過した経路としては判定しないことを特徴とする移動経路判定装置。
前記移動特定手段は、前記測位情報に基づき、移動中に連続して測位されたと判定された複数の測位位置であって、測位された順に結んだ線の長さが第1の閾値以上である当該複数の測位位置を移動測位位置セットとして特定することを特徴とする請求項2に記載の移動経路判定装置。
前記移動特定手段は、前記測位情報に基づき、移動中に連続して測位されたと判定された複数の測位位置であって、連続して測位された2つの測位位置間の全てにおいて、測位位置間の距離が第2の閾値以下である当該複数の測位位置を移動測位位置セットとして特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の移動経路判定装置。
前記通過判定手段は、前記複数の路線の路線変更可否に基づいて、前記複数の測位位置に対応する前記携帯端末のユーザが通過した路線を判定することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の移動経路判定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、GPS衛星等からの信号を用いて測位された測位位置の情報は、誤差を含むことがあるため、測位位置の情報を単純に用いて移動体がどのような経路を移動したかを判定することは困難である場合がある。例えば、移動体のある一つの測位位置から最も近い路線をその移動体が移動した経路として判定する方法が考えられるが、複数の路線が近接して同方向に併走している場合、誤差の程度によっては、測位位置と最も近い路線が、実際に移動した路線とは異なる場合があるため、正確な移動経路の判定を行うことができない。
【0005】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、測位位置の情報を用いて移動経路を精度よく判定する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る移動経路判定装置は、一の携帯端末の測位情報を参照して、連続して測位された複数の測位位置であり、かつ、各測位位置が複数の路線から所定の距離以内に存在する複数の測位位置を判定対象測位位置セットとして特定する判定対象特定手段と、前記判定対象測位位置セットに含まれる前記複数の測位位置のそれぞれと、前記複数の路線のそれぞれとの組み合わせに対して、当該複数の測位位置のそれぞれから当該複数の路線のそれぞれまでの距離に応じたスコアを決定するスコア決定手段と、前記決定したスコアに応じて、前記複数の路線のうち、前記複数の測位位置に対応する前記携帯端末のユーザが通過した路線を判定する通過判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る移動経路判定方法は、制御部を備える情報処理装置で実施される方法あって、前記制御部が、一の携帯端末の測位情報を参照して、連続して測位された複数の測位位置であり、かつ、各測位位置が複数の路線から所定の距離以内に存在する複数の測位位置を判定対象測位位置セットとして特定する判定対象特定ステップと、前記制御部が、前記判定対象測位位置セットに含まれる前記複数の測位位置のそれぞれと、前記複数の路線のそれぞれとの組み合わせに対して、当該複数の測位位置のそれぞれから当該複数の路線のそれぞれまでの距離に応じたスコアを決定するスコア決定ステップと、前記制御部が、前記決定したスコアに応じて、前記複数の路線のうち、前記複数の測位位置に対応する前記携帯端末のユーザが通過した路線を判定する通過判定ステップとを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、一の携帯端末の測位情報を参照して、連続して測位された複数の測位位置であり、かつ、各測位位置が複数の路線から所定の距離以内に存在する複数の測位位置を判定対象測位位置セットとして特定する判定対象特定手段、前記判定対象測位位置セットに含まれる前記複数の測位位置のそれぞれと、前記複数の路線のそれぞれとの組み合わせに対して、当該複数の測位位置のそれぞれから当該複数の路線のそれぞれまでの距離に応じたスコアを決定するスコア決定手段、前記決定したスコアに応じて、前記複数の路線のうち、前記複数の測位位置に対応する前記携帯端末のユーザが通過した路線を判定する通過判定手段として機能させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のプログラムは、CD−ROM等の光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークなどを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、測位位置の情報を用いて移動経路を精度よく判定する技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、発明の範囲をこれらに限定するものではない。
【0013】
図1を参照して、一実施形態に係る移動経路判定システムの構成について説明する。移動経路判定システム1は、移動経路判定装置10及び複数の携帯端末20などの情報処理装置を主に備える。移動経路判定装置10と複数の携帯端末20は、ネットワークNを介して相互に通信することができる。なお、
図1では、3つの携帯端末20が記載されているが、移動経路判定装置10と通信可能な携帯端末20の数は、任意である。
【0014】
ネットワークNは、移動経路判定装置10と携帯端末20との間で情報を送受信するための通信回線である。例えば、インターネット、LAN、専用線、パケット通信網、電話回線、企業内ネットワーク、その他の通信回線、それらの組み合わせ等のいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。
【0015】
移動経路判定装置10は、ハードウェア構成として、制御部11、通信部14、及び記憶部15を主に備える。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)12及びメモリ13を主に備えて構成される。移動経路判定装置10は、専用又は汎用のサーバ・コンピュータなどの情報処理装置を用いて実現することができ、例えば、CPU12がメモリ13等に格納された所定のプログラムを実行することにより、各種の機能実現手段として機能する。なお、移動経路判定装置10は、単一の情報処理装置より構成されるものであっても、ネットワーク上に分散した複数の情報処理装置より構成されるものであってもよい。
【0016】
制御部11では、CPU12は、記憶部15等に記憶されたプログラムをメモリ13に展開して実行することにより、移動経路判定装置10が備える各種構成の動作を制御し、また、各種処理の実行を制御する。制御部11において実行される処理の詳細は後述する。
【0017】
通信部14は、ネットワークNを介して携帯端末20等の各種情報処理装置と通信するための通信インタフェースである。通信部14は、例えば、携帯端末20からの測位情報を受信する。
【0018】
記憶部15は、ハードディスク等の記憶装置によって構成される。記憶部15は、制御部11における処理の実行に必要な各種プログラムや各種の情報、及び処理結果の情報を記憶する。記憶部15に記憶されている情報の具体例については後述する。
【0019】
携帯端末20は、現在位置を所定時間間隔(例えば、5分間隔)で測位した測位情報をアップロードする機能を備える。携帯端末20は、例えば、携帯電話機、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistants)、ナビゲーション装置、パーソナルコンピュータなどの情報端末を適用して構成することができる。携帯端末20は、図示しないが、主制御部、通信部、表示部、操作部、記憶部、測位処理部などの各種機能実現手段を主に備える。
【0020】
図2を参照して、一実施形態に係る移動経路判定装置10の機能構成を説明する。移動経路判定装置10は、主な機能構成として、移動特定部111、判定対象特定部112、スコア決定部113、通過判定部114、及びデータベース120を備える。これらの機能は、例えば、制御部11において、CPU12が、記憶部15等に記憶されたプログラムをメモリ13に展開して実行することにより実現される。
【0021】
移動特定部111は、移動経路の判定の対象となるある携帯端末20が移動中の状態にあるときに、連続して測位された複数の測位位置を移動測位位置セットとして特定する。具体的には、移動特定部111は、移動経路の判定の対象となるある携帯端末20の測位情報を参照して、当該携帯端末20のある滞在エリアと、(同一又は他の)滞在エリアとの間を結ぶように存在し、測位時間が連続する複数の測位位置(すなわち、移動中に連続して測位された複数の測位位置)を移動測位位置セットとして特定する。つまり、移動特定部111は、測位情報に基づき、滞在エリアとの間を結ぶように存在し、連続して測位された測位位置を、移動中に連続して測位された複数の測位位置として判定し、当該移動中に連続して測位されたと判定された複数の測位位置を移動測位位置セットとして特定する。携帯端末20の測位情報は、データベース120に記憶されている。
【0022】
ここで、本実施形態においてエリアとは、緯度経度に基づいて地図を分割して得られる複数の分割領域であり、仕様や設計に応じて適宜分割領域の形状やサイズを設定することができる。例えば、メッシュ領域の形状は、四角形、六角形、ひし形等の多角形や、円等の曲線で囲まれた領域とすることができる。また、エリアのサイズは一定でなくてもよい。例えば、都市部のエリアはより小さく(細かく)するようにしてもよい。また、エリアを行政区画の形状及びサイズにしてもよい。また、人口統計情報によって地域毎にエリアのサイズを変えたり(例えば人口が多い地域のエリアは小さくする。)、市区町村の分類、宅地種別、日常圏の情報などに基づいてサイズを設定したりしてもよい。設定されたエリアの情報は、地図情報と共にデータベース120に記憶されている。
【0023】
また、滞在エリアとは、移動経路の判定の対象となる携帯端末20が単なる通過ではなく、所定時間以上滞在したエリアを意味する。滞在エリアの特定は、例えば、移動特定部111によって移動経路の判定の対象となる携帯端末20の測位情報が参照され、携帯端末20が連続して所定の時間以上測位されたエリアが滞在エリアとして特定される。もしくは、測位時間が近接する(すなわち、測位時間差が所定値以内である)複数の測位位置が一定の距離範囲内に存在するときに、当該複数の測位位置が存在するエリアが滞在エリアとして特定される。
【0024】
なお、移動特定部111は、より正確に携帯端末20が移動中の状態にあるときの複数の測位位置(移動測位位置セット)を特定するための処理として、ある滞在エリアに存在する測位位置のうち測位時間が最も遅い測位位置を起点とし、その後の測位時刻で(同一の又は他の)滞在エリアに存在する測位位置のうち測位時間が最も早い測位位置を終点とし、測位時間が連続する複数の測位位置を移動測位位置セットとして特定してもよい。
【0025】
図4を参照して、移動特定部111によって特定される移動測位位置セットの例を説明する。
図4には、ある携帯端末20について連続して測位された測位位置1から15が示されている。当該携帯端末20の滞在エリアAには、測位位置1から4が存在し、滞在エリアAにおいて、測位時間が最も遅い測位位置は測位位置4である。また、当該携帯端末20が滞在エリアAの後に滞在したエリアである滞在エリアBには、測位位置12から15が存在し、滞在エリアBにおいて、測位時間が最も早い測位位置は測位位置12である。このとき、移動特定部111は、測位位置4から12を移動測位位置セットとして特定する。
【0026】
また、移動特定部111は、移動測位位置セットとして特定する複数の測位位置をさらに絞り込むこともできる。例えば、自動車による移動経路の判定を対象とする場合、判定対象特定部112は、測位情報が示す携帯端末20の移動について、徒歩や飛行機による移動に対応する測位位置の情報を判定対象(移動測位位置セット)から除くことができる。
【0027】
具体的には、徒歩による移動における測位位置の情報を移動測位位置セットから除くために、移動特定部111は、携帯端末20の測位情報に基づき、移動中に連続して測位されたと判定された複数の測位位置であって、測位された順に結んだ線の長さが第1の閾値以上である当該複数の測位位置を移動測位位置セットとして特定することができる。ここで、連続して測位された複数の測位位置を測位時間の順に結んだ線は、携帯端末20のユーザの移動の軌跡に近い軌跡を示すことが考えられる。従って、当該線の距離は、ユーザの移動の距離に近い値となると考えられる。また、第1の閾値は、徒歩で移動する場合に想定される距離の上限値として妥当な値(例えば、600m)が設定される。なお、移動中の複数の測位位置を測位時間の順に結んだ線の距離ではなく、滞在エリア(携帯端末20のユーザが滞在したエリア)間の直線距離が第1の閾値以下であるときに、当該滞在エリア間の移動は徒歩であると判定し、当該移動中の複数の測位位置(つまり、当該滞在エリア間を結ぶように存在する測位位置)を、判定対象測位位置セットとして特定される対象から除いてもよい。
【0028】
さらに、飛行機による移動における測位位置の情報を移動測位位置セットから除くために、移動特定部111は、携帯端末20の測位情報に基づき、移動中に連続して測位されたと判定された複数の測位位置であって、連続して測位された2つの測位位置間の全てにおいて、測位位置間の距離が第2の閾値以下である当該複数の測位位置を移動測位位置セットとして特定する。ここで、第2の閾値は、飛行機による移動中は携帯端末20の電源がオフになっており、測位ができないことを想定し、飛行場間の距離の下限値として妥当な値(例えば、200km)が設定される。従って、移動中の状態に対応する複数の測位位置において、2つの測位位置間の距離が第2の閾値より大きい測位位置を含むとき、そのような複数の測位位置は、飛行機による移動に対応するものであると判定して、移動測位位置セットには含めないようにすることができる。従って、第2の閾値は、第1の閾値より大きい値に設定される。
【0029】
判定対象特定部112は、移動経路を判定する対象となる携帯端末20の複数の測位位置のうち、後述する通過の判定の対象となる複数の測位位置を判定対象測位位置セットとして特定する。具体的には、判定対象特定部112は、対象となる携帯端末20の測位情報と地図情報とを参照して、連続して測位された複数の測位位置であり、かつ、各測位位置が複数の路線から所定の距離以内(例えば、600m以内)に存在する複数の測位位置を判定対象測位位置セットとして特定する。このとき、判定対象特定部112は、対象となる携帯端末20について、移動特定部111によって特定された移動測位位置セットから、判定対象測位位置セットを特定することができる。このように、移動測位位置セットから、判定対象測位位置セットを特定することによって、ユーザが移動中である時の測位位置に対してのみ、後述する通過判定の処理を行うことができ、ユーザが移動中でない時の測位位置に対して通過判定処理を行うことを回避できる。なお、本実施形態において、路線とは、電車、自動車、船舶、飛行機、自転車、徒歩などにより通る道を示す。
【0030】
図5を参照して、判定対象特定部112により特定される判定対象測位位置セットの例を説明する。
図5の表には、
図4の例において移動測位位置セットとして特定された、連続して測位された測位位置4から12と、測位位置4から12のいずれかから所定の距離以内(600m)に存在する経路1から3とが示されている。また、各測位位置について、各経路からの距離が所定の距離以内である測位位置には、丸印が付けられている。例えば、測位位置7は、経路1からの距離と経路2からの距離とがそれぞれ所定の距離以内であることが丸印で示されている。この例において、判定対象特定部112は、測位時間が連続する複数の測位位置であり、かつ、各測位位置が複数の路線から所定の距離以内に存在する複数の測位位置である測位位置7から10を判定対象測位位置セットとして特定する。なお、測位位置5は、複数の路線(経路1及び3)から所定の距離以内に存在するが、複数の路線から所定の距離以内に存在する他の測位位置と測位時間が連続していないため、判定対象測位位置セットには含まれない。このように、1つの測位位置のみ複数の路線から所定の距離以内に存在する場合、その測位位置は、前後の(測位時間が前及び後の)測位位置で通過したと判定される経路と同じ経路を通過している可能性が高い。従って、そのような測位位置については、後述する通過判定の処理において、前又は後の測位位置で通過したと判定された経路を通過したと判定される。
【0031】
スコア決定部113は、判定対象特定部112により特定された判定対象測位位置セットに含まれる複数の測位位置のそれぞれと、当該複数の測位位置のそれぞれから所定の距離以内に存在する複数の路線のそれぞれとの組み合わせに対して、当該複数の測位位置のそれぞれから当該複数の路線のそれぞれまでの距離に応じたスコアを決定する。
【0032】
図6及び
図7を参照して、
図5の例で判定対象測位位置セットとして特定された測位位置7から10を判定対象測位位置セットの例にして、スコア決定部113による測位位置と路線の組み合わせに対するスコアの決定方法の例を説明する。この例では、路線から測位位置までの距離Mが、M≦50mのときに3点、50m<M≦300mのときに2点、300m<600m≦のとき1点とするスコアを規定するものとするものとする。なお、この例では、スコアを1、2、3の3種類としているがこの例に限定せず、4種類以上のスコアを用いてもよいし、2種類のスコアとしてもよく、路線から測位位置までの距離の程度が示せればどのようなスコアであってもよい。
【0033】
図6には、測位位置7、経路1及び経路2の位置関係が示されている。また、測位位置7と経路1との間の距離は、50m以内であり、測位位置7と経路2との間の距離は、300m〜600mであることが示されている。従って、このとき、スコア決定部113は、測位位置7に関して、経路1のスコアを3、経路2のスコア2を1として決定する。
【0034】
図7には、測位位置7に関する経路1及び経路2に対するスコアに加えて、測位位置8から10に関して、同様の方法により決定した経路1及び経路2に対するスコアが示されている。すなわち、経路1に対して決定した測位位置8から10についてのスコア(すなわち、経路1と測位位置8から10のそれぞれとの組み合わせに対して決定されたスコア)は、それぞれ、3、2、1、3であり、合計で9である。また、経路2に対して決定した測位位置8から10についてのスコア(すなわち、経路2と測位位置8から10のそれぞれとの組み合わせに対して決定されたスコア)は、それぞれ1、2、3、1であり、合計で7である。
【0035】
図2の通過判定部114は、スコア決定部113により決定したスコアに応じて、スコアを決定した複数の路線から、判定対象測位位置セットに含まれる複数の測位位置に対応する携帯端末20のユーザが通過した路線を判定する。すなわち、通過判定部114は、判定対象測位位置セットに含まれる測位位置に対応する携帯端末20のユーザの移動に関して、当該判定対象測位位置セットに含まれる測位位置から所定の距離以内に存在するとして特定された前述の複数の路線のうち、当該ユーザが通過した路線を、スコア決定部113により決定したスコアに応じて決定する。例えば、
図7の例の場合、経路1のスコアは9であり、経路2のスコアは7であり、経路1のスコアの方が経路2のスコアよりも高いため、通過判定部114は、携帯端末20のユーザは、経路1を通過したものとして判定する。
【0036】
さらに、通過判定部114は、他の条件を用いて、携帯端末20のユーザが通過した経路を判定することができる。例えば、通過判定部114は、前述の判定対象測位位置セットに含まれる複数の測位位置の測位時間が、鉄道や有料道路などの所定の路線の利用時間外の時間帯として予め設定された時間帯(例えば、深夜1時から早朝5時まで)に含まれるとき、当該複数の測位位置に対応する移動について、当該所定の路線を携帯端末20のユーザが通過した経路として判定しないことができる。つまり、鉄道や有料道路の利用可能時間外には、携帯端末20のユーザは、鉄道や有料道路により移動し得ないため、そのような路線を利用可能時間外に通過したと判定してしまうことを排除することができる。
【0037】
さらに、通過判定部114は、路線の構造上通過できない路線を携帯端末20のユーザが通過したルートとしては判定しないことができる。すなわち、通過判定部114は、判定対象測位位置セットに含まれる測位位置から所定の距離以内に存在するとして特定された前述の複数の路線について、路線変更可否に基づいて、判定対象測位位置セットに含まれる複数の測位位置に対応するユーザの通過路線を判定することができる。例えば、道路が立体交差しているときに、道路の立体的な構造を無視して、路線間を移動(路線変更)することはできない。従って、通過判定部114は、通過したか否かの判定の対象となる経路の前又は後において、ユーザが移動した経路を考慮して、路線の構造上(路線変更可否に基づいて)通過できない路線を特定し、当該特定された路線については、ユーザが通過したルートとしては判定しないことができる。
【0038】
なお、通過判定部114は、スコア決定部113により決定したスコアに応じて、ユーザが通過した経路を判定しているが、通過した経路の判定方法はこれに限定しない。例えば、ある測位位置から所定の距離以内(例えば、600m以内)に存在する路線が1つしかない場合、ユーザはその路線を通過したと判定することができる。
【0039】
図2のデータベース120は、移動経路判定装置10において実行される上記の処理に必要な情報、及び当該処理により生成された情報など、各種情報を記憶する。データベース120は、例えば、携帯端末20の測位情報及び地図情報を記憶している。
【0040】
図3は、データベース120に記憶された携帯端末20の測位情報の例を示している。この例では、測位情報は、携帯端末20が測位された時刻である測位時刻、携帯端末20の識別情報である携帯端末ID、携帯端末20が測位された位置である測位位置(緯度、及び経度)の情報を含む。
【0041】
以上のように、本実施形態によれば、判定対象特定部112は、ある携帯端末20の測位位置が複数の経路と所定の距離以内である(すなわち、測位位置が複数の経路と近接している)複数の測位位置を判定対象測位位置セットとして特定する。スコア決定部113は、判定対象測位位置セットに含まれる測位位置のそれぞれについて、経路との距離に応じて、複数の経路のそれぞれに対するスコアを決定する。通過判定部114は、決定されたスコアに応じて、携帯端末20のユーザが通過した経路を判定する。その結果、移動経路判定装置10は、複数の測位位置と経路との間の距離に応じて決定したスコアを用いて判定を行うため、測位位置間を単に直線で結んだ線を携帯端末の移動経路として判定する方法と比較して、測位位置の情報を用いた移動経路の判定を精度良く行うことができる。また、複数の測位位置と経路との間の距離に応じて決定したスコアを用いて判定を行うため、測位位置の情報に多少誤差が含まれている場合であっても、測位位置の情報を用いた移動経路の判定を精度良く行うことができる。
【0042】
次に、
図8を参照して、移動経路判定装置10において実行される処理のフローを説明する。なお、以下に説明する処理フローに含まれる各処理ステップは、処理内容に矛盾を生じない範囲で、任意に順番を変更して又は並列に実行することができるとともに、各処理ステップ間に他のステップを追加してもよい。また、便宜上1ステップとして記載されているステップは、複数ステップに分けて実行することができる一方、便宜上複数ステップに分けて記載されているものは、1ステップとして把握することができる。また、各ステップの処理の実行は、制御部11の制御により行われる。なお、各ステップにおける処理の詳細は、既に説明しているため、ここでは省略する。
【0043】
まず、ステップS11において、移動特定部111は、データベース120に記憶された情報のうち、移動経路の判定の対象となる携帯端末20の測位情報を参照して、当該携帯端末20が移動中の状態にあるときに、連続して測位された複数の測位位置を移動測位位置セットとして特定する。
【0044】
ステップS12において、判定対象特定部112は、対象となる携帯端末20の測位情報と地図情報とを参照して、ステップS11で特定された移動測位位置セットを構成する測位位置のうち、連続して測位された複数の測位位置であり、かつ、各測位位置が複数の路線から所定の距離以内(例えば、600m以内)に存在する複数の測位位置を判定対象測位位置セットとして特定する。
【0045】
ステップS13において、スコア決定部113は、ステップS12で特定された判定対象測位位置セットに含まれる複数の測位位置のそれぞれと、当該複数の測位位置のそれぞれから所定の距離以内に存在する複数の路線のそれぞれとの組み合わせに対して、当該複数の測位位置のそれぞれから当該複数の路線のそれぞれまでの距離に応じたスコアを決定する。
【0046】
ステップS14において、通過判定部114は、ステップS13で決定したスコアに応じて、複数の路線のうち、判定対象測位位置セットに含まれる複数の測位位置に対応する携帯端末20のユーザが通過した路線を判定する。
【0047】
以上のように、本実施形態によれば、判定対象特定部112は、ある携帯端末20の測位位置が複数の経路と所定の距離以内である(すなわち、測位位置が複数の経路と近接している)複数の測位位置を判定対象測位位置セットとして特定する。スコア決定部113は、判定対象測位位置セットに含まれる測位位置のそれぞれについて、経路との距離に応じて、複数の経路のそれぞれに対するスコアを決定する。通過判定部114は、決定されたスコアに応じて、携帯端末20のユーザが通過した経路を判定する。その結果、移動経路判定装置10は、複数の測位位置と経路との間の距離に応じて決定したスコアを用いて判定を行うため、測位位置間を単に直線で結んだ線を携帯端末の移動経路として判定する方法と比較して、測位位置の情報を用いた移動経路の判定を精度良く行うことができる。また、複数の測位位置と経路との間の距離に応じて決定したスコアを用いて判定を行うため、測位位置の情報に多少誤差が含まれている場合であっても、測位位置の情報を用いた移動経路の判定を精度良く行うことができる。
【0048】
本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。