特許第6161490号(P6161490)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6161490
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】メトロノームプログラム
(51)【国際特許分類】
   G04F 5/02 20060101AFI20170703BHJP
【FI】
   G04F5/02 D
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-202561(P2013-202561)
(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2015-68710(P2015-68710A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001410
【氏名又は名称】株式会社河合楽器製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】勝田 雅則
【審査官】 藤田 憲二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−101781(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3123769(JP,U)
【文献】 特開2003−316354(JP,A)
【文献】 特開2002−049368(JP,A)
【文献】 特開2001−195067(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0060666(US,A1)
【文献】 特開2006−226718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04F 5/02
G10H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルを備えた情報端末にメトロノームの発音処理を実行させるプログラムであって、
前記タッチパネルに拍子を示すビートインジケータ表示部を表示する処理と、
前記ビートインジケータ表示部上で指をすべらせることで拍子を増減する処理と、
前記ビートインジケータ表示部上に強弱を区別可能にするとともに拍子の数に応じた拍子マークを表示し、各拍子マーク上での上下方向のタッチ操作により拍の種別を変更する処理と、
を前記情報端末に実行させることを特徴とするメトロノームプログラム。
【請求項2】
前記ビートインジケータ表示部上で指をすべらせる移動距離または移動速度に応じて、拍子を一気に増減する処理を前記情報端末に実行させる請求項1記載のメトロノームプログラム。
【請求項3】
前記各拍子マーク上で上方向にドラッグすることで弱拍を強拍に変更し、下方向にドラッグすることで強拍を弱拍に変更する処理を前記情報端末に実行させる請求項1又は請求項2に記載のメトロノームプログラム。
【請求項4】
前記各拍子マーク上で下方向にドラッグすることで弱拍を消音拍に変更し、上方向にドラッグすることで消音拍を弱拍に変更する処理を前記情報端末に実行させる請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のメトロノームプログラム。
【請求項5】
前記拍子マークに拍子番号を表示する処理を前記情報端末に実行させる請求項3又は請求項4に記載のメトロノームプログラム。
【請求項6】
前記ビートインジケータ表示部上で、1拍目を2本指のタップで検知し、その他の拍を1本指のタップで検知することで、テンポと拍子を同時に設定する処理を前記情報端末に実行させる請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のメトロノームプログラム。
【請求項7】
前記ビートインジケータ表示部外で周期的にタップすることでテンポを設定しながら、前記ビートインジケータ表示部内で1拍目のみを同時にタップすることで、テンポと拍子を同時に設定する処理を前記情報端末に実行させる請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のメトロノームプログラム。
【請求項8】
前記タッチパネルにテンポサークルを表示する処理と、
前記テンポサークル内を1本の指で周期的にタップしてテンポを検知し、前記ビートインジケータ表示部内で1拍目だけを別の指でタップして拍子を検知することで、テンポと拍子を同時に設定する処理を前記情報端末に実行させる請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のメトロノームプログラム。
【請求項9】
前記メトロノームの発音処理中に、拍タイミング及びその後の時間経過に応じて前記拍タイミングの拍子マークの表示態様を変化させる処理を前記情報端末に実行させる請求項3又は請求項4に記載のメトロノームプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報端末を電子式メトロノーム装置として動作させるためのプログラムに関し、特に、情報端末のタッチパネルで拍子情報についての設定を行うメトロノームプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、拍タイミングに応じて発音や発光により電子的に拍を指示するようにした電子式メトロノーム装置は、例えば特許文献1〜特許文献3に示すように、複数種類の構成が提案されている。
【0003】
特許文献1には、ユーザのタッピング動作に応じて入力されるタップ周期を判定し、判定したタップ周期から算出されるテンポ値でテンポ報知する電子式メトロノーム装置の構成が開示されている。
特許文献2には、電子式メトロノーム装置のテンポを設定する方法として、タップ入力用スイッチを操作して設定する手法が開示されている。
特許文献3には、電子式メトロノーム装置が複数の発光ダイオードを備え、テンポに合わせて発音させるとともに、各発光ダイオードがテンポの時間に追従するようにスキャン点滅する構成が開示されている。
【0004】
また、電子式メトロノーム装置において、メトロノームの再生開始(例えば、スキャン点滅及び発音の開始)及び再生終了を行う場合には、装置に設けたスイッチの押圧によるスイッチ操作や、画面上に表示されたボタン窓を指でタッチするタッチ操作で行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−226930号公報
【特許文献2】特開2001−188535号公報
【特許文献3】特開2006−220431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の電子式メトロノーム装置によれば、テンポの表示はディスプレイに表示される数字や、テンポの時間に追従するようにスキャン点滅する複数の発光ダイオードにより行われるが、拍子情報の設定に関してユーザが使用し易いように工夫したものは存在しなかった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みて提案されたもので、情報端末のタッチパネルに表示されたディスプレイ画面におけるタッチ操作で、メトロノームにおける拍子に関する設定を可能とするメトロノームプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明の請求項1に係るメトロノームプログラムは、
タッチパネルを備えた情報端末にメトロノームの発音処理を実行させるプログラムであって、
前記タッチパネルに拍子を示すビートインジケータ表示部を表示する処理と、
前記ビートインジケータ表示部上で指をすべらせることで拍子を増減する処理と、
前記ビートインジケータ表示部上に強弱を区別可能にするとともに拍子の数に応じた拍子マークを表示し、各拍子マーク上での上下方向のタッチ操作により拍の種別を変更する処理と、
を前記情報端末に実行させることを特徴としている。
【0009】
請求項2は、請求項1のメトロノームプログラムにおいて、前記ビートインジケータ表示部上で指をすべらせる移動距離または移動速度に応じて、拍子を一気に増減する処理を前記情報端末に実行させることを特徴としている。
【0010】
請求項3は、請求項1又は請求項2のメトロノームプログラムにおいて、前記各拍子マーク上で上方向にドラッグすることで弱拍を強拍に変更し、下方向にドラッグすることで強拍を弱拍に変更する処理を前記情報端末に実行させることを特徴としている。
【0011】
請求項4は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のメトロノームプログラムにおいて、前記各拍子マーク上で下方向にドラッグすることで弱拍を消音拍に変更し、上方向にドラッグすることで消音拍を弱拍に変更する処理を前記情報端末に実行させることを特徴としている。
【0012】
請求項5は、請求項3又は請求項4のメトロノームプログラムにおいて、前記拍子マークに拍子番号を表示する処理を前記情報端末に実行させることを特徴としている。
【0013】
請求項6は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のメトロノームプログラムにおいて、前記ビートインジケータ表示部上で、1拍目を2本指のタップで検知し、その他の拍を1本指のタップで検知することで、テンポと拍子を同時に設定する処理を前記情報端末に実行させることを特徴としている。
【0014】
請求項7は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のメトロノームプログラムにおいて、前記ビートインジケータ表示部外で周期的にタップすることでテンポを設定しながら、前記ビートインジケータ表示部内で1拍目のみを同時にタップすることで、テンポと拍子を同時に設定する処理を前記情報端末に実行させることを特徴としている。
【0015】
請求項8は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のメトロノームプログラムにおいて、前記タッチパネルにテンポサークルを表示する処理と、前記テンポサークル内を1本の指で周期的にタップしてテンポを検知し、前記ビートインジケータ表示部内で1拍目だけを別の指でタップして拍子を検知することで、テンポと拍子を同時に設定する処理を前記情報端末に実行させることを特徴としている。
【0016】
請求項9は、請求項3又は請求項4のメトロノームプログラムにおいて、前記メトロノームの発音処理中に、拍タイミング及びその後の時間経過に応じて前記拍タイミングの拍子マークの表示態様を変化させる処理を前記情報端末に実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1のメトロノームプログラムによれば、タッチパネルに表示されたビートインジケータ表示部上で指をすべらせるタッチ操作(ドラッグ)により、拍子の増減が可能となるので、直感的で簡単な操作で拍子を設定することができる。
【0018】
請求項2のメトロノームプログラムによれば、タッチ操作(ドラッグ)の移動距離または移動速度に応じてすばやく拍子を設定することができる。
【0019】
請求項3のメトロノームプログラムによれば、拍子マークを上方向または下方向にタッチ操作(ドラッグ)することで、強拍と弱拍との切り換えをすばやく行うことができる。
【0020】
請求項4のメトロノームプログラムによれば、拍子マークを上方向または下方向にタッチ操作(ドラッグ)することで、弱拍と消音との切り換えをすばやく行うことができる。
【0021】
請求項5のメトロノームプログラムによれば、設定した拍子の数を視覚的に解り易くすることができる。
【0022】
請求項6のメトロノームプログラムによれば、2本指のタップか1本指のタップかで1拍目かどうかを区別し、タップの周期により拍のテンポを検知できるので、テンポと拍子を同時に設定することができる。
【0023】
請求項7のメトロノームプログラムによれば、ビートインジケータ表示部内でのタップで1拍目を検知し、ビートインジケータ表示部外でのタップの周期により拍のテンポを検知できるので、テンポと拍子を同時に設定することができる。
【0024】
請求項8のメトロノームプログラムによれば、ビートインジケータ表示部内でのタップで1拍目を検知し、テンポサークル内でのタップの周期により拍のテンポを検知できるので、テンポと拍子を同時に設定することができる。
【0025】
請求項9のメトロノームプログラムによれば、拍タイミングの拍子マークの表示態様を変化させることで、視覚的に拍子のタイミングをとり易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明のメトロノームプログラムが格納された情報端末のハードウエア構成を示すブロック図である。
図2】情報端末に構築されるメトロノーム装置の構成を示すブロック図である。
図3】情報端末のタッチパネルにおけるディスプレイ画面図である。
図4】メトロノーム装置においてダイヤルを縮小表示した場合の一例を示すディスプレイ画面図である。
図5】メトロノーム装置においてダイヤルを移動し傾けて表示した場合の一例を示すディスプレイ画面図である。
図6】メトロノーム装置における発音処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態の一例に係るメトロノームプログラムについて説明する。メトロノームプログラムは、情報端末にインストールされることで、電子式メトロノーム装置を構築する。情報端末としては、iPhone(商品名)等のスマートフォン、iPad(商品名)等のタブレット型端末が使用される。
【0028】
図1は、情報端末に構築された電子式メトロノーム装置の主要なハードウエア構成を示すブロック図であり、バス1に対して、操作部2、CPU3、ROM4、RAM5、HDD6、ネットワークインターフェイス7を接続して構成されている。
操作部2はディスプレイ内にタッチパネルを備え、タッチパネル上における指の動きとしてのタップ、ドラッグ、ピンチイン/ピンチアウト、長押し等のタッチ操作及びタッチパネル内での操作位置を検出可能に構成されている。
【0029】
CPU3は、操作部1へのタッチ操作に応じたメトロノームプログラムの各種処理の実行を制御する。ROM4は、CPU3により実行又は参照される各種プログラムや各種データ等を格納する。RAM5は、CPU3がプログラムを実行する際に発生する各種データを一時的に記憶するワーキングメモリとして使用される。
HDD6には、CPU3でロードされるメトロノームプログラムが、ネットワークインターフェイス7を介して所定のURLからダウンロードされて記憶されている。
【0030】
図2は、メトロノームプログラムをインストールすることで、情報端末に構築された電子式メトロノーム装置の構成を示すブロック図である。
電子式メトロノーム装置は、情報端末のディスプレイとしてのタッチパネル装置10と、タッチパネル装置10におけるタッチ操作を検出するタッチ操作検出部11を備えている。タッチ操作検出部11では、上述したタップ、ドラッグ、ピンチイン/ピンチアウト、長押し等のタッチ操作の種類を検出するとともに、タッチパネル内でのタッチ操作の操作位置を検出する。タッチ操作の種類及び操作位置の検出は、タッチパネル上での指の移動を検知する既存の技術により行われる。
【0031】
タッチ操作検出部11は、拍子情報設定部26、テンポ情報設定部12、メトロノーム再生スイッチ部13に接続され、タッチ操作検出部11で検出されたタッチ操作は、操作内容により、拍子情報設定部26、テンポ情報設定部12、メトロノーム再生スイッチ部13のそれぞれへ出力される。
【0032】
拍子情報設定部26及びテンポ情報設定部12によるメトロノームの拍子・テンポの設定処理について、図3のディスプレイ画面30を参照しながら説明する。タッチパネルを形成するディスプレイ画面30は、下側位置より、ダイヤル表示部30a、ビートインジケータ表示部30b、サークル表示部30cを有している。
【0033】
ダイヤル表示部30aには、メトロノームのテンポを変更するための円盤状のダイヤル31が表示されている。ダイヤル31内には、テンポ値の目盛となる数字が所定値間隔で表示されている。ダイヤル31の中心の内側位置には、三角形のテンポ設定位置マーク32が表示され、テンポ設定位置マーク32が指し示すダイヤル31の目盛り位置に対応する数値がメトロノームのテンポ値として設定される。
ダイヤル31の内側には、ダイヤル中央を円運動の中心とし、テンポ設定位置マーク32を中央としてダイヤル円周上を往復運動する円形の振り子33が表示されている。振り子33は、メトロノーム発音処理中に、設定されたテンポ値に応じた周期で円運動する。
また、ダイヤル31の内側には、振り子33の周期運動の両端位置をカギ括弧で示す振り幅マーク34a,34bが表示されている。
【0034】
ダイヤル31は、ダイヤル31上で指をすべらせる(ドラッグ)ことでダイヤルを回転させ、回転角度に応じた目盛が表示されるようになっている。その結果、ダイヤル31において、テンポ設定位置マーク32が指し示す目盛り位置に対応する数値が変化することで、回転角度に応じたテンポを設定することになる。
また、ダイヤル31に表示される目盛りの数字は、テンポ値が大きくなるほど大きな刻み値で目盛の数字が自動的に表示される。例えば、図3の例では、テンポ値が小さい側で「8」、テンポ値が大きい側で「32」の刻み値となっているが、更にテンポ値が小さい数字の場合、「6」「4」「2」の刻み値で表示される。
【0035】
上述したタッチ操作検出部11では、タッチ操作の種類と操作位置が検出されるが、操作位置には、ダイヤル31上での操作であるかどうか、後述する拍子マーク35、テンポサークル36、リズムサークル37、速度標語サークル38の内側又は外側での操作であるかどうか等の情報も検出する。
【0036】
タッチ操作検出部11で検出されたタッチ操作が、ダイヤル31上でのドラッグ回転である場合、テンポ情報設定部12によりメトロノームのテンポの設定が行われる。
タッチ操作検出部11で検出されたタッチ操作が、ダイヤル31上におけるタップである場合、メトロノーム再生スイッチ部13によりメトロノームの再生スタート(発音開始)又は再生ストップ(発音停止)が行われる。
タッチ操作が、ダイヤル31上における長押しである場合は、画面ロック又は画面ロック解除が行われる。画面ロックの状態では、タッチパネル内でのタッチ操作がロックされる(無効となる)。
【0037】
タッチ操作検出部11で検出されたタッチ操作が、ダイヤル31外(ダイヤル31の上側位置)における長押しである場合は、ディスプレイ画面30の編集モードへの切り換えが行われる。
編集モードでは、ダイヤル表示部30aにおけるダイヤル位置の移動、ダイヤル表示の拡大縮小等を行う。ダイヤル位置の移動を行う場合、ダイヤル31をドラッグしながらの移動により行う。また、ダイヤル表示の拡大縮小を行う場合、2本指のタッチ距離の変化(ピンチイン/ピンチアウト)によりダイヤル表示を拡大縮小させる。
その結果、例えば図4及び図5に示すように、ダイヤル表示部30a内において、ダイヤル31を自由に表示させることができる。図4は、図3に対してダイヤル31を縮小して表示させたものである。図5は、ダイヤル31のダイヤル位置を左側へ移動させるとともに、傾けて表示させたものである。
なお、編集モードでは、編集モードになっていることがわかるように、移動可能なコントロール(この場合、ダイヤル31)を例えば上下に周期的に揺動させて表示してもよい。
【0038】
編集モードにおける編集によってダイヤル31の全体がダイヤル表示部(タッチパネル)30a内に収まらない場合であっても、ダイヤル31の外周における円弧の見える範囲の中央付近にテンポ設定位置マーク32を配置するように処理される。
【0039】
また、ダイヤル31の表示は、下限値及び上限値入力画面(図示せず)において、テンポの下限値及び上限値の数値をそれぞれ入力することで、下限値から上限値の範囲に応じた目盛をダイヤル31上に表示させることもできる。
【0040】
ビートインジケータ表示部30bには、拍番号を表示した複数の円形状の拍子マーク35により拍子数(図3の場合は4拍子)が表示されている。拍子マーク35は、拍の強弱を表示可能としている。すなわち、強拍の場合は、拍番号を囲む円を大きく表示(拍番号1に対応する拍子マーク35a)し、弱拍の場合は、拍番号を囲む円を強拍に比べて小さく表示(拍番号2,3,4に対応する拍子マーク35b)する。また、メトロノームの発音処理が行われた場合、各拍子のタイミングで発音する。強拍と弱拍では発音する音が異なり(強拍の方が高い音)、消音拍の場合は発音しない。
また、拍子の発音タイミング(例えば、強拍のタイミング)で、拍子マーク35の外側部分が明るくなるフラッシュ表示35cが行われる。フラッシュ表示35cは、経過時間に対応した半径内の範囲が明るくなる。すなわち、フラッシュ表示35cの半径は、拍の発音タイミングからの時間経過に応じて徐々に小さくなり、次の拍の発音タイミングの直前で最も小さくなる。したがって、時間経過に伴いフラッシュ部分の面積がしだいに小さくなるため、次の拍のタイミングを分かり易くするという効果がある。
【0041】
複数の拍子マークが表示されたビートインジケータ表示部30b内において、左右方向のタッチ操作(ドラッグ)により、拍子数の増減が行われる。右側へのドラッグが拍子数を増加させ、左側へのドラッグが拍子数を減少させる。
また、拍子マーク35についての上方向へのドラッグにより、消音の拍を弱拍に、弱拍の拍を強拍に変化させ、下方向へのドラッグにより、強拍の拍を弱拍に、弱拍の拍を消音に変化させる処理が行われる。
【0042】
また、ビートインジケータ表示部30b内で、タップによるタッチ操作で拍子を設定してもよい。例えば、1拍目を2本指でタップし、他の拍を1本指でタップし、これらのタップを周期的に行うことで、拍子とテンポを同時に設定することが可能となる。
例えば、図3に表示される拍子を設定する場合、1拍目を2本指で、2拍〜4拍を1本指で周期的にタップすればよい。
あるいは、ビートインジケータ表示部30b外で周期的にタップすることでテンポを設定しながら、ビートインジケータ表示部30b内で1拍目のみを同時にタップすることでも、拍子とテンポを同時に設定することが可能となる。
【0043】
サークル表示部30cには、テンポ値を数字で表示するテンポサークル36、リズムを表示するリズムサークル37、速度標語を表示する速度標語サークル38がそれぞれ表示される。各サークルの大きさ及び位置は、編集モードにおいて自由に設定可能とするとともに、互いに重ならない位置に表示されている。
【0044】
テンポサークル36には、テンポ設定位置マーク32が指し示すダイヤル31の目盛り位置に対応する数値が円内にテンポ値として表示される。したがって、ダイヤル31上のドラッグでダイヤルを回転させて(回転角度に応じた)目盛り位置が変化する時には、テンポ設定位置マーク32が指し示す数値も同時に変化し、テンポサークル36内のテンポ値もそれに応じて変化する。
【0045】
また、テンポサークル36に表示される数字は、テンポサークル36へのタッチ操作により変更可能になっている。例えば、右ドラッグにより「表示されているテンポ値+1の数字」に、左ドラッグにより「表示されているテンポ値−1の数字」に、上ドラッグにより「表示されているテンポ値×2の数字(倍速)」に、下ドラッグにより「表示されているテンポ値÷2の数字(半分速)」にそれぞれ変更される。
上下ドラッグにより倍速、1/2倍速のテンポ切換を可能とすることで、原曲のテンポの1/2倍〜2倍にして楽器の練習(例えば、ドラムの練習)をしたい時、瞬時且つ容易にテンポの設定を切り換えることができる。
【0046】
また、テンポサークル36の円内を長押しすることで、ディスプレイ画面30のサークル表示部30cの下方にテンキー入力画面(図示せず)を表示させ、テンキーにより数字を入力することで、テンポサークル36のテンポ値を直接変更することができる。
更には、テンポサークル36の円内を周期的にタップすることで、周期に応じたテンポ(タップテンポ)が設定可能になっている。
また、テンポサークル36内を1本の指で周期的にタップすることでテンポを設定しながら、同時にビートインジケータ表示部30b内で1拍目だけを別の指でタップすることで、拍子とテンポを同時に設定してもよい。
【0047】
リズムサークル37は、円内に4分、8分、16分、3連等のリズムを表示する。リズムサークル37に表示されるリズムは、リズムサークル37へのタッチ操作により変更可能になっている。例えば、左右ドラッグにより、4分音符、8分音符、16分音符、3連符等の順に表示させてリズムの切り換えを行う。
【0048】
速度標語サークル38は、円内に速度標語を表示し、速度標語サークル38への左右ドラッグ(タッチ操作)により、Largamente/Grave/Kargo/Lento/Adagio/Larghetto/Agadietto/Andante/Andantino/Maestoso/Moderato/Allegetto/Animato/Allegro/Vivace/Presto/Vivacissimo/Presto/Vivacissimo/Prestissimo等の順に表示させて速度標語の切り換えを行う。
【0049】
また、上述したダイヤル31外の長押しによる編集モードでは、サークル表示部30cにおけるテンポサークル36、リズムサークル37、速度標語サークル38の位置の移動、表示の拡大縮小も行うことができる。各サークル位置の移動やサークル表示の拡大縮小を行う場合、各サークルをドラッグしながらの移動によりサークル位置を移動させ、また、2本指のタッチ距離の変化(ピンチイン/ピンチアウト)によりサークル表示を拡大縮小させることができる。また、このような移動処理又は拡大縮小処理を行った場合、全てのサークルが他のサークルと重なることなくサークル表示部30c内に収まるように、自動的に各サークルについてのレイアウト処理が行われる。
【0050】
テンポ情報設定部12でのテンポ設定に関する情報は、テンポ情報記憶部16に記憶される。また、拍子情報設定部26での拍子設定に関する情報は、拍子情報記憶部27に記憶される。
ビートインジケータ画像生成部28では、拍子情報記憶部27に記憶された拍子設定情報を基に、ディスプレイ画面30のビートインジケータ表示部30bにおける拍子マーク35の画像が作成され、表示装置19を介してタッチパネルに表示される。
【0051】
サウンド生成部17では、メトロノーム再生スイッチ部13からの再生スタート(発音開始)の信号を受けて、テンポ情報記憶部16に記憶されたテンポの設定に関する情報と、拍子情報記憶部27に記憶された拍子の設定に関する情報からメトロノーム再生時のサウンド情報を生成する。サウンド生成部17で生成されたサウンド情報は、サウンド再生部24を介してサウンド出力装置25で発音される。
【0052】
また、サウンド生成部17で生成されたサウンド情報(テンポ設定情報及び拍子設定情報)を基に、フラッシュ画像生成部29において各拍子マーク35に対応するフラッシュ表示35cの画像が生成され、表示装置19を介してタッチパネルに表示される。フラッシュ画像生成部29では、拍子マーク35の周囲において、経過時間に対応した半径(時間経過に伴い小さくなる)内の範囲が明るくなる画像が生成される。
【0053】
次に、上述した電子式メトロノーム装置における発音処理の手順について、図6のフローチャート図を参照して説明する。
先ず、メトロノーム装置のタッチパネルにおけるタッチ操作を検出する(ステップ51)。
次に、検出したタッチ操作がビートインジケータ表示部30b内(または拍子マーク35)のドラッグであるかどうかを検出する(ステップ72)。
【0054】
ビートインジケータ表示部30b内(拍子マーク35)のドラッグである場合、拍子情報の更新が行われる(ステップ77)。
具体的には、タッチ操作が右側へのドラッグの場合、拍子数を「1」増加させ、左側へのドラッグの場合、拍子数を「1」減少させる。そして、ビートインジケータ表示部30b上でのドラッグにおいて、指をすべらせる移動距離が所定値以上の場合は、移動距離に応じて、拍子を一気に増減させるようにする。この場合、移動距離に代えて移動速度により判断するようにしても良い。
また、拍子マーク35についてのタッチ操作が上方向のドラッグである場合、消音の拍を弱拍に、弱拍の拍を強拍に変化させ、下方向のドラッグである場合、強拍の拍子を弱拍に、弱拍の拍子を消音に変化させる処理が行われる。
【0055】
ステップ72において、ビートインジケータ表示部30b内(拍子マーク35)のドラッグでない場合、ビートインジケータ表示部30b内(または拍子マーク35)のタップであるかどうかを検出する(ステップ73)。
ビートインジケータ表示部30b内(または拍子マーク35)のタップである場合、タップが2本指及び1本指で行われたかどうか(拍子の検出)を判断し(ステップ74)、タップが2本指及び1本指で行われて拍子数が検出できる場合は、拍子情報(拍子数)の更新が行われる(ステップ77)。
拍子が検出できない場合は、タップが周期的に行われたどうか(テンポの検出)を判断し(ステップ75)、タップが周期的に行われてテンポが検出される場合は、テンポ情報の更新が行われる(ステップ76)。
【0056】
ステップ73において、ビートインジケータ表示部30b内(拍子マーク35)のタップでない場合、タッチ操作がダイヤル31上でのタップであるかどうかを検出する(ステップ68)。
タッチ操作がダイヤル31上でのタップである場合、メトロノームの発音処理中(再生中)であるかを判断する(ステップ69)。
再生中である場合、再生停止を行い(ステップ70)、再生中でなければ、再生開始を行う(ステップ71)。
タッチ操作がダイヤル31上でのタップでない場合、タッチパネルでのビートインジケータ描画を行う(ステップ81)。
ステップ75においてテンポが検出できない場合、ステップ76でテンポ情報の更新が行われた場合、ステップ77で拍子情報の更新が行われた場合も、タッチパネルでのビートインジケータ描画を行う(ステップ81)。
【0057】
ビートインジケータ描画を行う処理では、メトロノームの発音処理中(再生中)であるかを判断し(ステップ81)、再生中でない場合は、ステップ51へ戻る。
再生中である場合、メトロノームのサウンド再生を行い(ステップ82)、拍子マーク35の周囲が明るく表示されるフラッシュ描画を行う(ステップ79)。
アプリケーションが終了であるかどうかを判断し(ステップ84)、アプリ終了でない場合は、ステップ51へ戻る。
【0058】
上述した電子式メトロノーム装置によれば、拍子マーク35に対する左右方向のタッチ操作(ドラッグ)により拍子の数が増減されるので、直感的で簡単な操作で拍子の数を設定することができる。
また、拍子マーク35に対する上下方向のタッチ操作(ドラッグ)により拍子の強弱、消音が設定されるので、直感的で簡単な操作で拍子情報を設定することができる。
【0059】
ビートインジケータ表示部30b内のタップについて、2本指か1本指かを検知することで、2本指のタップか1本指のタップかで1拍目かどうかを区別し、タップの周期により拍のテンポを検知できるので、タッチパネルに対するタッチ操作でテンポと拍子(拍子の数)を同時に設定することができる。
また、テンポサークル36内を1本の指で周期的にタップすることでテンポを設定しながら、同時にビートインジケータ表示部30b内で1拍目だけを別の指でタップすることで、拍子とテンポを同時に設定することができる。
【符号の説明】
【0060】
10…タッチパネル装置10、 11…タッチ操作検出部、 12…テンポ情報設定部、 13…メトロノーム再生スイッチ部、 15…レイアウト編集モードスイッチ部、 16…テンポ情報記憶部、 22…レイアウト情報記憶部、 26…拍子情報設定部、 27…拍子情報記憶部、 28…インジケータ画像生成部、 29…フラッシュ画像生成部、 30…ディスプレイ画面、 30a…ダイヤル表示部、 30b…ビートインジケータ表示部、 30c…サークル表示部、 31…ダイヤル、 32…テンポ設定位置マーク、 33…振り子、 34a,34b…振り幅マーク、 35…拍子マーク、 35c…フラッシュ表示、 36…テンポサークル、 37…リズムサークル、 38…速度標語サークル。
図1
図2
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図6