(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
データ取得処理部と、データ集計処理部と、チャート表示処理部と、を備え、取引所における取引対象の値動きをチャート表示するチャート表示装置のチャート表示方法であって、
前記データ取得処理部が、前記取引対象に対して行われた各取引における売買価格、売買高及び取引時刻を含む取引情報を、ネットワークを介して取引所側装置から取得するデータ取得ステップと、
前記データ集計処理部が、前記取引情報中において交互に現れる第1の売買価格及び第2の売買価格よりなる一つ以上の売買価格ペアの夫々について、前記第1の売買価格で行われた取引の全売買高と前記第2の売買価格で行われた取引の全売買高を集計する集計ステップと、
前記チャート表示処理部が、各売買価格ペア毎に、前記第1の売買価格及び前記第2の売買価格に前記全売買高を夫々関連づけたチャートを表示装置に表示する処理を行う表示処理ステップと、
を、有することを特徴とするチャート表示方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
なお、以下の説明では、市場(取引所)において取引される取引対象の例として株式を例にとって説明するが、FXや先物など、その他の金融商品についても適宜適用可能である。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るチャート表示装置を適用が適用される株式等の売買システムの一例を示す図である。
図1に示す売買システムは、株式の取引所(取引所)等に設置された取引所側サーバ装置(取引所側装置)100と、取引所側装置100と例えば専用線ネットワークを介して接続された、証券会社等の株式売買仲介業者が運用する仲介サーバシステム2と、仲介サーバシステム2とインターネットやその他のWANを含むネットワークを介して接続される投資家等の利用者が使用するシステム(利用者システム)1と、を含む。
なお、
図1の表示は一例あり、実際は複数の仲介業者が運用する仲介サーバシステム2、複数の利用者が使用する複数の利用者システム1が含まれる。
図1では、取引所側装置100は単一の装置であるかのように示されているが、売買注文を受け付ける複数の分散サーバ、板情報やティックデータを配信するサーバを含むサーバ群からなっていても良い。
【0011】
取引所側装置100は、仲介サーバシステム2から供給される株式等の売買注文を受け付けて約定処理を行うとともに、取引情報(板情報、ティック(約定)データ)を仲介サーバシステム2に供給する。
ティックデータには、ティック値段(売買価格)とその出来高、約定時刻が含まれている。
【0012】
仲介サーバシステム2は、ネットワークを介して利用者システム1から送信される売買注文を処理して取引所側装置100に供給する売買処理サーバ200と、取引所側装置100から送信される取引情報を保持して利用者システム1に配信する情報受信処理装置201と、を備えている。
なお、情報受信処理装置201は、取引所側装置100から送信された取引情報(板情報、ティックデータ)を、過去データデータベース(DB)に蓄積しておくことが出来る。
取引所側装置100、売買処理サーバ200、情報受信処理サーバ201の構成については詳細な説明を割愛するが、プログラムを実行するCPUと、プログラムや一時データを展開するワークエリアとしてのRAM、プログラムやデータを格納するハードディスクやROM、ネットワークに接続するためのネットワークアダプタを備えた一般的なパーソナル・コンピュータ、サーバ装置を利用できる。
【0013】
また、利用者システム1は、仲介サーバシステム2の情報受信処理装置201から取引情報を受信して値動きをチャート表示するチャート表示装置10と、仲介サーバシステム2の売買処理サーバ200に対して売買注文を送信する注文管理システム(OMS:Order Management System)50と、を備えている。
【0014】
チャート表示装置10は、一般的には同一のローカルネットワークに接続されている(あるいはインターネット等を経由して接続可能な遠隔地に設置された)注文管理システム50と通信が可能である。
従って、本実施形態のチャート表示装置10は、後に詳述するように注文管理システム50から自取引の情報を取得してチャート表示に反映することが可能である。
【0015】
本実施形態のチャート表示装置10の構成について説明する前に、チャート表示装置10が前提とする「オークション方式(ザラバ方式)」の株式取引について概説する。
「オークション取引」では、証券取引所等が仲介業者を介して利用者(投資家)に提供する「板情報」と呼ばれる情報に基づいて取引が行われる。
【0016】
図2は上記「板情報」を説明する図である。
「板情報」は、ある株式銘柄に対する現在の買い注文、売り注文の状況(気配)を示す情報である。
図2に示す「板情報」において、「気配値(板とも呼ぶ)」は、株式銘柄の売り注文や買い注文が出ている値段である。
「売り気配株数」はこの値段(指し値)で売りたいとして「売り注文」が出されている株式の数である。
図2の例では、490円の指値で22510株、491円の指値で7590株、492円で43620株、493円の指値で11070株、494円で21710株の売り注文が出されていることが示されている。これらの売り気配株数は、複数の投資家等取引主体による売り注文の気配数の合計である。
【0017】
それに対し、「買い気配株数」は、この値段(指し値)で買いたいとして「買い注文」が出されている株式の数である。
図2の例では、489円で690株、488円で18690株、487円で11420株、485円で8660株の買い注文が出されていることが示されている。
「オークション取引」においては、最も値段の低い売り注文の指し値(ここでは490円)、最も値の高い買い注文(ここでは490円)を「(最優先)気配値」と呼び、約定が最優先され、売買側夫々の最優先気配値で売買取引が行われる。
【0018】
図2の板情報に示す気配において、500株を490円の指値で買うという新規注文が発生した場合、490円において出来高500株で自動的に約定が成立する。上記のように、490円の売り気配に対する同値段の新規買い注文は最優先気配であり、約定が最優先されるからである。
この時、この銘柄の株価は490円となる。同時に、売り気配株数として示される売り注文の残数は22010株(22510株−500株)になる。
【0019】
その後、500株を489円の指値で売り注文が発生した場合、489円において500株の出来高で自動的に約定が成立する。上記のように、489円の買い気配に対する同値段の新規売り注文は最優先気配であり、約定が最優先されるからである。
その時、この銘柄の株価は489円となる。同時に、買い気配株数として示される買い注文の残数は、190株(690株−500株)となる。
【0020】
489円の買い気配が全て消化された(489円での買気配株数がなくなった)場合には、488円が買い側の次の最優先気配となり、約定を最優先されることになる。
【0021】
このように、「オークション方式」においては、板情報として示される、既に注文されている売り気配、買い気配に対して新たに買い注文、売り注文が行われることで約定が成立し、その都度に株価が決定する。
また「オークション取引」においては、売り気配株数、買い気配株数が消化されていくことにより板情報における売り買い側の最優先気配値が所定刻みの呼値(例えば1円)ごとに推移していく。
【0022】
図3は、売買が約定することで発生するティックデータの一例を説明する図である。
上記したようにティックデータとは、取引所側装置100において板情報に示される売り気配、買い気配に従って売買が行われたときの時刻(約定時刻)、ティック値段及び出来高を記録したデータであり、取引所装置100から随時配信される。
【0023】
図3に例示するティックデータでは、例えば、11時00分01秒において、10(出来高)の対象銘柄株が490円で約定(売買)されたことが示されている。
また、11時00分15秒において、100(出来高)の対象銘柄株が再び490円で売買され、11時03分50秒において、さらに50の対象銘柄株がさらに490円で売買され、11時05分10秒において、5の対象銘柄株が489円で約定(売買)され、11時07分25秒において、30の対象銘柄株が再び489円で売買され、11時08分18秒において、268の対象銘柄株が490円で売買され、11時08分19秒において、10の対象銘柄株が491円で売買され、11時08分25秒において、5の対象銘柄株が490円で売買されたことが示されている。
【0024】
夫々の約定(売買)は「ティック」と呼ばれ、各「ティック」のティック値段を「ティック値段(売買価格)」と呼ぶ。
上記に説明したように、「オークション取引」においては売り側買い側双方の最優先気配値で約定が成立していくため、ティックデータには、最優先気配値が変わるまで連続して現れる「ティック値段ペア(売買価格ペア)」が存在する。
図3に示すティックデータでは、11時00分01秒から11時08分18まで、489円(安値側/買い気配)と490円(高値側/売り気配)の「ティック値段ペア1」で売買が行われたことが行われたことが示されている。
また、11時08分19秒から490円と491円の新たな「ティック値段ペア2」が出現している。これは、上記に説明したように最優先気配値が変化したことに起因する。
【0025】
そして、夫々のティック値段ペアの値段に注目すると、「ティック値段ペア1」の高値(490円)が「ティック値段ペア2」の低値(490円)となっており、「ティック値段ペア2」は、「ティック値段ペア1」に対して相対的に値上がりしていることわかる。
そして、
図3に示すティックデータにおいては、「ティック値段ペア1」において、安値側489円の累計出来高は35、高値側の累計出来高は428である。その後、ティック値段ペアは、より値段の高い「ティック値段ペア2」に移行している。
【0026】
「ティック値段ペア1」の高値側で低値側よりも多くの(大きな出来高)の売買が行われた結果、
図2に示した板情報に示す売り気配が消化されて株価が値上がりし、最優先気配値が全体として値上がりし、「ティック値段ペア2」が出現したと考え得る。
株価の値動きトレンドを把握する上で、最優先気配値に基づく「ティック値段ペア」と、ペア内の高値低値夫々の出来高は好適な手がかりになり得る。
【0027】
本発明のチャート表示装置は、市場取引の進行に応じて変化する「ティック値段ペア」に含まれる夫々の約定の「出来高」に注目して株価の値動きを表現するものである。
詳しくは、ティックデータに現れるティック値段ペアに含まれるティック値段夫々の累計出来高を集計し、夫々のティック値段ごとに「ティック足」と呼ぶボックスを作成・表示する。そして、取引の進行(ティックデータの更新)に従って、「ティック足値段」をリアルタイムに追加する「ティック足チャート」を作成する。
【0028】
この「ティック足チャート」によって取引の進行に応じたティック値段の移り変わり(株価の値動き)とともに、「ティック値段ペア」が変化するのに、何回のティック、いくら出来高を要したのか、「ティック値段ペア」は上昇傾向にあるか下降傾向にあるか、を視覚的に把握することが出来る。
また、ティック値段ペアにおいて、刻々と変化する高値側、安値側の出来高を監視して、その銘柄が短期的に値上がりするのか、値下がりを推測することが出来る。
【0029】
図4は、本実施形態に係るチャート表示装置が表示するチャートを説明する図である。
本実施形態のチャート表示装置10では、上記したように、ティックデータにおいて値動きを繰り返すティック値段ペア(例えば、高値である490円と安値である489円)の累計出来高の組み合わせに着目して、対象銘柄の値動きを「ティック足チャート」として表示する。
【0030】
本実施形態に係るチャート30は、情報表示エリアとしての第1表示エリア30A、第2表示エリア30Bを備えている。
第1表示エリア30Aには、本発明の特徴たる「ティック足チャート」に加えて、「ティック足移動平均線」、「HLバンド」、「ボリンジャーバンド」、「パラボリック」、「一目均衡表」を含む従来周知のテクニカル指標を選択的に表示可能であり、使用者の操作によりどの情報を表示するかを選択できるようになっている。
また、第2表示エリア30Bには、本発明に特徴的なティック値段ペアにおける合計出来高(売買高)及び高値、安値夫々のティック回数(約定回数)に加え、RS1、RS2、RCI、MACDなどの従来周知の情報を選択的に表示可能であり、使用者の操作によりどの情報を表示するかを選択できるようになっている。
【0031】
また、チャート30は、表示内容を設定するための表示設定欄60を備えている。
表示設定欄60は、表示対象銘柄を設定する表示対象銘柄入力欄61と、表示モードを選択するリアルモード選択ボタン62及び過去モード選択ボタン63と、過去モードにおける表示対象期間を設定する対象期間設定欄64と、第1表示エリア30Aに表示する情報を選択する第1表示情報選択欄65と、第2表示エリア30Bに表示する情報を選択する第2表示情報選択欄66を備えている。
なお、これらの選択欄はプルダウンリストとして実装することで使用者に表示情報を容易に選択させることが出来る。
また、表示エリア及びそれに対応する表示情報選択欄の数はこれらに限定することはなく、上記したテクニカル指標や情報を複数、あるいは全て同時に表示可能としてもよい。
【0032】
第1表示情報選択欄65において「ティック足チャート」が選択された場合、第1表示エリア30Aには、上記のティック足からなる「ティック足チャート」を表示するティックチャート表示欄31、ティックデータ内に新たなティック値段(例えば
図3のティックデータの場合、11:08:19の491円)が現れることによって従前のティック値段ペアが終了した時点の時刻を示す終了時刻表示欄32と、ティック値段ペアでの売買が継続(滞留)した期間をティック値段ペア毎に時分又は/及び秒数で表示する滞留時間(継続時間)表示欄33、ティック値段ペアでの滞留時間を視覚的に表すスピードイジケータを表示するインジケータ表示欄34、夫々のティック値段ペアにおける高値、安値を表示するティック値段表示欄35が表示される。
【0033】
以下に、
図4を用いて「ティック足チャート」について詳細に説明する。
図4において、ティック値段及びその累計出来高を表示するボックスを「ティック足」と称し、ティック値段ペアの安値側のティック足をティック足(L)40A、高値側のティック足をティック足(H)40Bと呼ぶ。
また、ティック足(L)40A、ティック足(H)40Bを併せてティック足ペア(ティック足列)40と呼ぶ。
【0034】
なお、
図4において、ティック足ペアに付される(1)、(2)・・の括弧書きは、個々のティック値段ペアを区別して説明するために便宜的に付したものであり、実際の装置においてこのような表示がなされる必要は無い。
ティックチャート表示欄31におけるティック足ペア40(ティック足(L)40A、ティック足(H)40B)は、市場取引の進行によってティックデータが更新され、新たなティック値段ペアが現れる度に新たに作成され、あるいは表示する出来高の数値が更新されていく。
【0035】
例えば
図4に示すティックデータにおいて、ティック値段として新たな値、491円が発生すると、ティック表示装置は、それ以降のティック値段とともにティック値段ペアとして高値、安値夫々の累計出来高を算出し、夫々のティック足(L)40A、ティック足(H)40Bを作成する。
(1)のティック足ペア40では、ティック足(L)40Aのティック値段は489円、出来高は35であり、ティック足(H)40Bのティック値段は490円、出来高は428である。
【0036】
次に現れた(2)のティック足ペア40では、ティック足(L)40Aのティック値段は490円、出来高は983であり、ティック足(H)40Bのティック値段は491円、出来高は71である。
次に現れた(3)のティック足ペア40では、ティック足(L)40Aのティック値段は489円、出来高は57であり、ティック足(H)40Bのティック値段は490円、出来高は1526である。
【0037】
次に現れた(4)のティック足ペア40では、ティック足(L)40Aのティック値段は490円、出来高は25であり、ティック足(H)40Bのティック値段は491円、出来高は563である。
次に現れた(5)のティック足ペア40では、ティック足(L)40Aのティック値段は491円、出来高は18であり、ティック足(H)40Bのティック値段は492円、出来高は1121である。
【0038】
次に現れた(6)のティック足ペア40では、ティック足(L)40Aのティック値段は493円、出来高は238であり、ティック足(H)40Bのティック値段は494円、出来高は283である。
次に現れた(7)のティック足ペア40では、ティック足(L)40Aのティック値段は489円、出来高は288であり、ティック足(H)40Bのティック値段は490円、出来高は35である。
【0039】
次に現れた(8)のティック足ペア40では、ティック足(L)40Aのティック値段は494円、出来高は151であり、ティック足(H)40Bのティック値段は495円、出来高は47である。
次に現れた(9)のティック足ペア40では、ティック足(L)40Aのティック値段は492円、出来高は55であり、ティック足(H)40Bのティック値段は493円、出来高は338である。
【0040】
次に現れた(10)のティック足ペア40では、ティック足(L)40Aのティック値段は493円、出来高は75であり、ティック足(H)40Bのティック値段は494円、出来高は230である。
次に現れた(11)のティック足ペア40では、ティック足(L)40Aのティック値段は494円、出来高は28であり、ティック足(H)40Bのティック値段は495円、出来高は448である。
【0041】
次に現れた(12)のティック足ペア40では、ティック足(L)40Aのティック値段は495円、出来高は108であり、ティック足(H)40Bのティック値段は496円、出来高は2である。
次に現れた(13)のティック足ペア40では、ティック足(L)40Aのティック値段は493円、出来高は216であり、ティック足(H)40Bのティック値段は494円、出来高は140である。
【0042】
次に現れた(14)のティック足ペア40では、ティック足(L)40Aのティック値段は491円、出来高は419であり、ティック足(H)40Bのティック値段は492円、出来高は133である。
次に現れた(15)のティック足ペア40では、ティック足(L)40Aのティック値段は490円、出来高は1150であり、ティック足(H)40Bのティック値段は491円、出来高は218である。
【0043】
第2表示情報選択欄66において「売買高」の表示が選択されている場合、第2表示エリア30Bには、ティック値段ペア夫々における合計出来高を棒グラフ及び数値で示す合計出来高表示欄36、ティック値段ペアにおいて高値、安値のティックが夫々何回ずつ発生したかを表示するティック回数表示欄37、が表示される。
【0044】
また、チャート30は、チャートの表示期間における始値、現値、安値、現値と、前日比などを示す4本値表示欄38、気配数量を表示した気配数量表示欄39を備えている。
4本値表示欄38に表示する始値はチャート開始直後の株価であり、高値、安値は、チャート表示期間中で最も高い又は安い株価(当然、取引の進行とともに変化する)、現値はチャート表示期間中の最新の株価である。
図4の例では、最新の値動きであるティック値段ペア(15)に示す490円、491円であることが反映されている。
寄り付きからチャート表示を行っている場合は、始値は寄り付きの値段となる。
気配数量表示欄39に表示する気配数量は、取引所側装置100から供給される板情報をそのまま表示したものである。
OMS50及びチャート表示装置10を単一の装置としている場合は、この気配数量表示欄39における気配数量部分をダブルクリック等することにより取引所側装置100に対する発注画面を表示するようにしても良い。
また、気配数量表示欄39における呼値部分を左クリック等することにより、その値段をティックチャート表示欄31の画面中央部に表示するようにしても良い。
図4の例では、491円から497円までの売り呼値の気配(注文)数量、485円から490円までの買い呼値の気配(注文)数量が表示されている。ティック値段ペア(15)に示されているように最優先気配値が490円、491円であるからである。
【0045】
ここで、本実施形態の「ティック足チャート」から読み取れる情報を説明する。
例えば、
図3の表示において、11:08:18まで888秒続いた489円と490円のティック値段ペア(1)では、ティック足(L)40A(489円)の出来高は35、ティック足(H)40B(490円)の出来高は428である。
すなわち、出来高において、高値での約定が安値での約定に対して先行していることが分かる。
その結果、新たに491円というティック値段が出現し、ティック値段は491円という高値と490円という安値の間で変化するようになった。
すなわち、(1)の次のティック値段ペア(2)では、(1)の高値が(2)の安値となり、(2)の高値は新たな値となり、株価は上昇トレンドにあることが分かる。
【0046】
しかし、ティック値段ペア(2)では、低値の出来高が高値の出来高を上回っている。
その結果、次のティック値段ペア(3)の高値が、(2)の低値となり、株価は下降トレンドにある。
ただし、(3)のティック値段ペアでは、高値の出来高が出来高を上回ることで株価は上昇に転じ、ティック値段ペア(4)→(5)→(6)→(7)と株価は上昇トレンドにあることがわかる。
【0047】
また、ティック値段ペア(7)で低値の出来高が高値の出来高を上回った結果、(7)→(8)→(9)と株価は下降に転じ、ティック値段ペア(9)で高値の出来高が低値の出来高を下回った結果、(9)→(10)→(11)→(12)と株価は上昇トレンドにある。
また、ティック値段ペア(12)で高値の出来高が低値の出来高を上回った結果、(12)→(13)→(14)→(15)と株価は下降トレンドにある。
【0048】
このように、ティック値段ペアにおいて、高値の出来高が低値の出来高よりも多い場合、その銘柄株は値段が上昇する傾向にあることが分かる。
また逆に、低値の出来高が高値の出来高よりも多い場合は、その銘柄株は値段が下降する傾向にあることが分かる。
このことを鑑みると、ティック値段ペアの累計出来高を常に算出し、表示することで、その銘柄が高値又は低値のどちらに向かうのかをいち早く推測することが出来る。
【0049】
次に、インジケータ表示欄34に表示するスピードインジケータについて説明する。
上記したように、スピードインジケータは、滞留時間(ティック値段ペア内でティック値段が変化した時間)を示すインジケータである。
滞留時間は、個々のティック値段ペアで値動きが継続(滞留)した期間であり、滞留時間表示欄33に表示される時間である。
このインジケータによって、時間変化のスピードを視覚的にわかりやすく表示できる。
インジケータは、例えば、インジケータ「1」(1秒未満)、インジケータ「2」(1〜2秒未満)、インジケータ「3」(2〜5秒未満)、インジケータ「4」(5〜10秒未満)、インジケータ「5」(10〜15秒未満)、インジケータ「6」(15〜30秒未満)、インジケータ「7」(30〜61秒未満)、インジケータ「8」(1〜2分未満)、インジケータ「9」(2〜5分未満)、インジケータ「10」(5分以上)を含み、インジケータ毎に色を変化させることで、滞留時間をより視覚的に理解し易くなる。
【0050】
図4に基づいて説明をすると、ティック値段ペア(1)、(2)、(3)、(5)、(9)、(10)では、そのティック値段ペアでの約定が888秒、857秒、854秒、436秒、354秒、319秒続いた(停滞した)ことが示されているため、インジケータ表示欄34にはインジケータ10が表示されている。
また、ティック値段ペア(4)では、そのティック値段ペアでの約定が285秒停滞したことが示されているため、インジケータ表示欄34にはインジケータ9が表示されている。
また、ティック値段ペア(7)では、そのティック値段での約定が1秒停滞したことが示されているため、インジケータ表示欄にはインジケータ2が表示されている。
【0051】
ティック値段ペア(12)、(13)、(14)では、そのティック値段ペアでの約定が7秒、5秒、8秒停滞したことが示されているため、インジケータ表示欄34にはインジケータ4が表示されている。
ティック値段ペア(11)、(15)では、そのティック値段ペアでの約定が26秒、29秒停滞したことが示されているため、インジケータ表示欄34には、インジケータ6が表示されている。
【0052】
ティック値段ペア(6)、(8)では、そのティック値段ペアでの約定が113秒、78秒停滞したことが示されているため、インジケータ表示欄34にはインジケータ8が表示されている。
なお、表示設定欄には、第1表示情報選択欄65に付随して、秒数表示切り替え欄65a、インジケータ表示有無切換欄65b、値段表示有無切換欄65等のチェックボックスが設けられている。
秒数表示切り替え欄65aがチェックされている時にのみ、滞留時間表示欄33の秒数を表示する。
また、インジケータ表示有無切換欄65bがチェックされている時にのみ、インジケータ表示欄34にスピードインジケータが表示される。
また、値段表示有無切換欄65cがチェックされている時にのみ、ティック値段表示欄35にティック値段が表示される。
【0053】
図5は、本実施形態に係るチャート表示装置の機能構成を示す図であり、(a)はハードウェア構成を示す機能ブロック図、(b)はソフトウェアによる機能構成を示すブロック図である。
図5(a)に示すように、チャート表示装置10は、装置全体の制御を行う汎用のオペレーティングシステムを実行するともチャート表示処理を実現するプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)11と、CPU11による処理のために各種のプログラムや一時データ、変数が展開されるRAM(Random Access Memory)12と、プログラムやデータが格納されるHDD(Hard Disk Drive)14やROM(Read Only Memory)を備えている。
RAM12には、情報受信処理サーバ201から取得したティックデータ、板情報のデータが記憶されるとともに、例えば、ティックデータに含まれるペアとなるティック値段を格納する変数である変数Tick1、変数Tick2と、各ティック値段での約定回数をカウントするためのTick1カウンタC1、Tick2カウンタ2等の変数がセットされる。
【0054】
また、チャート表示装置10は、ネットワークに接続するためのイーサネット(登録商標)アダプタなどのネットワークI/F15と、液晶モニタ等の表示装置13と、キーボードやマウス等の入力装置16と、を備えている。以下に説明する本実施形態に係るチャート表示装置10は、上記した液晶モニタに表示するチャートの表現方法に特徴を有するものである。
【0055】
図5(b)に示すように、CPU11は、表示設定処理部21と、データ取得処理部22と、データ集計処理部23と、滞留時間(継続時間)演算処理部24と、テクニカル指標演算処理部25と、四本値演算処理部26と、表示処理部27と、を実行する。
また、表示処理部27は、板情報表示処理部27aと、チャート表示処理部27bと、滞留時間(継続時間)表示処理部27cと、インジケータ表示処理部27dと、テクニカル指標表示処理部27eと、四本値表示処理部27fと、合計出来高表示処理部27g、終了時刻表示処理部27hと、ティック回数表示処理部27iとを含む。
【0056】
表示設定処理部21は、入力装置6を用いて行われる、表示装置13に表示するチャートを含む各種情報の表示設定を受けつけて設定する処理部である。
データ取得処理部22は、取引所側装置100が提供する、都度の売買(ティック)における約定情報(ティックデータ)や板情報を、仲介サーバシステム2を介して取得する処理部である。
【0057】
また、
図1に示すように、本実施形態のチャート表示装置は、OMS50とLANを介して接続されており、データ取得処理部22は、OMS50によって行った注文の約定通知、及びその出来高(約定数)を受け取ることが可能である。
ただし、OMS50及びチャート表示装置10を単一の装置とし、チャート表示装置10によって、売買処理サーバ200に対する売買注文、注文履歴の管理、チャート表示を行うようにしても良い。
データ集計処理部23は、データ取得処理部22が取得したティックデータを集計し、チャートとして表示装置13に表示すべきチャートデータを生成する処理部である。
より具体的には、データ集計処理部23は、データ取得処理部22によって順次取得されるティックデータに基づいて隣接する低値のティック値段(第1の売買価格)と高値のティック値段(第2の売買価格)の組み合わせ(ティック値段ペア/売買価格ペア)が繰り返して発生している間の夫々のティック値段の累計出来高を集計する。
【0058】
上記に説明したように、本実施形態のチャート表示装置が準拠する「オークション取引」の特性として、最優先気配の隣接した値段の間で約定が複数回繰り返して続くことが多いからである。
【0059】
また、滞留時間演算処理部24は、滞留時間(同一のティック値段ペア内でティック値段が変化した時間)を集計する。
滞留時間表示処理部27cは、滞留時間演算処理部24が演算した滞留時間を、滞留時間表示欄33に表示する処理を行う。
また、インジケータ表示処理部27dは、滞留時間演算処理部24が演算した滞留時間に基づいて、スピードインジケータの表示色を変えてインジケータ表示欄34に表示する処理を行う。これにより、値段変化のスピードを視覚的に捉えやすくすることが出来る。
合計出来高表示処理部27gは、ティック値段ペアごとに合計出来高を合計出来高表示欄36に表示する処理を行う。
終了時刻表示処理部27hは、ティック値段ペアが終了した時刻を終了時刻表示欄32に表示する処理を行う。
ティック回数表示処理部27iは、安値、高値のティック回数をティック回数表示欄37に表示する処理を行う。
【0060】
また、テクニカル指標演算処理部25は、各ボックスの終値をベースとしてHLバンド、ボリンジャーバンド、パラボリック、一目均衡表、合計出来高(売買高)、RS1、RS2、RCI、MACDといったテクニカル指標を算出する。
また、テクニカル指標算出処理部27eは、テクニカル指標演算処理部25が算出したテクニカル指標を、第2表示エリア30Bに適宜表示する処理を行う。
【0061】
四本値演算処理部26は、データ取得処理部22が取得した板情報に基づいて、四本値表示欄38に表示すべき四本値を演算する。上記したように、四本値は、始値、現値、高値、安値の4つの値である。
また、四本値表示処理部27fは、四本値演算処理部26によって演算された四本値を四本値表示欄38に表示する処理を行う。
【0062】
図6は、本実施形態に係る表示設定処理部による表示設定処理を説明するフローチャートである。
表示設定処理部21は、表示対対象銘柄入力欄61にキーボード等の入力装置16によって銘柄コード(四桁の証券コード)又は銘柄名の入力があったか否かを判断する(ステップS101)。
銘柄コード又は銘柄名の入力があったと判断した場合(ステップS101でYes)、表示設定処理部21は、入力された銘柄コード又は銘柄名を取得して、RAM12に格納し、表示対象銘柄として設定する(ステップS102)。
【0063】
また、表示設定処理部21は、動作モード選択欄に入力があるか否かを判断する(ステップS103)。
入力がある場合(ステップS103でYes)、表示設定処理部11は入力された動作モードを取得し(ステップS104)、その動作モードがリアルモードであるか、過去モードであるか、を判断する(ステップS105)。
なお、上記したようにリアルモード選択ボタン62がONされているときにリアルモードが選択され、過去モード選択ボタンがONされているときは、過去モードが選択されていることになる。
【0064】
ここで、本実施形態のチャート表示装置の動作モードについて説明する。
本実施形態のチャート表示装置が使用可能なティックデータには、リアルデータと過去データの2種類がある。
リアルデータは、文字通り、実際の市場取引に応じてリアルタイムに更新され、取引所装置10から供給されるティックデータである。そして、このリアルデータを基にチャートを表示するモードを本実施形態ではリアルモードと呼ぶ。
【0065】
取引所における前場・後場の取引開始から取引終了まで常にティックデータを取得し続けるのであれば、リアルデータのみで問題がないが、実際はそのような場合のみとは限らず、過去の値動きを特に参照したい場合もある。
過去の所定期間におけるティックデータに基づいてティック足チャートを表示したい場合、チャート表示装置10は情報受信処理装置201が有するキャッシュデータを取得する。
ただし、チャート表示装置10は、自身が保持するキャッシュデータを使用しても良い。
このようなティックデータを過去データと呼び、この過去データを基にチャートを表示するモードを本実施形態では過去モードと呼ぶ。
【0066】
なお、リアルモードが選択されている場合であっても、
図4に示す「寄付」指定ボタン62aが選択されている場合は、RAM12上にキャッシュされているティックデータあるいは情報受信処理装置201が有するキャッシュデータを取得して当日寄付からのティックデータを読み集計表示することが出来る。これは上記過去モードと同様の処理となり、その後上記リアルモードに切り替えて集計表示を続行することが出来る。
【0067】
また、「直近」指定ラジオボタン62bが選択されている場合で、表示開始設定欄62cに設定値が入力されている場合は、RAM12上にキャッシュされているティックデータあるいは情報受信処理装置201が有するNN分前からのキャッシュデータを取得して集計表示することが出来る。これも、上記過去モードと同様の処理となり、その後リアルモードに切り替えて集計表示を続行することが出来る。
【0068】
リアルモードが設定されていると判断した場合(ステップS105でYes)、表示設定処理部21は、動作モードをリアルモードに設定する(ステップS106)。なお、この例では「寄付」指定ボタン62a、「直近」指定ボタン62bが選択されていないものとする。
リアルモードではない、すなわち過去モードであると判断した場合(ステップS105)、表示設定処理部21は、動作モードを過去モードに設定する(ステップS107)。
またこの場合、表示設定処理部21は、過去データを取得する対象期間設定欄64に入力があるか否かを判断し(ステップS108)、入力があれば(ステップS108でYes)、入力された期間を取得して表示対象期間として設定する(ステップS109)。
【0069】
また、表示設定処理部21は、表示情報選択欄65に入力があるか否かを判断する(ステップS110)。
なお、「表示情報選択欄65に入力がある」とはプルダウンリストに含まれる有効なアイテムが選択されている状態をいう。
本実施形態のチャート表示装置は特徴的なティック足チャートのみならず、その他のテクニカル指標やローソクチャートを表示可能であり、ステップS108では、どの情報を表示するように入力がされているか否かを判断する。
表示設定処理部21は、入力されている表示情報を取得して設定する(ステップS111)。
【0070】
図7は、本実施形態のチャート表示装置(データ取得処理部、データ集計処理部、表示処理部)によるチャート集計・表示処理を説明するフローチャートである。
データ取得処理部22は、まず、
図6の処理においてリアルモードが設定されているか否かを判断する(ステップS200)。
リアルモードと判断した場合(ステップS200でYes)、RAM12にセットされている変数Tick1、変数Tick2に格納されるTick値段、出来高、カウンタC1、C2をデータ集計処理部22がクリアした後(ステップS201)、データ取得処理部23は、チャート表示可能期間中であるか否かを判断する(ステップS201)。
ステップS200でリアルモードではないと判断した場合、ステップS224に進み過去モードの処理を行う。
【0071】
このチャート表示期間は任意に設定可能であるが、例えば市場において取引が行われている時間(ティックデータが取引所側装置100、情報受信処理装置201から提供される時間)内であるか否かを判断する(ステップS202)。
チャート表示可能期間内であれば(ステップS202でYes)、データ取得処理部22は、
図3の表示設定処理によって設定された銘柄コード又は銘柄名に係るティックデータを、仲介サーバシステム200に含まれる情報受信処理装置201に問い合わせる(ステップS203)。
問い合わせの結果、新規あるいは更新されたティックデータがある場合は(ステップS204でYes)、データ取得処理部22は、ティックデータを情報受信処理装置201から取得する(ステップS205)。
【0072】
データ集計処理部23は、データ集計処理部23は、今回取得したティックデータに含まれるティック値段が変数Tick1に格納されるティック値段と等しいか否かを判断する(ステップS206)。
ステップS205で取得したティック値段が変数Tick1に格納されるティック値段と等しいと判断した場合(ステップS206でYes)、データ集計処理部23は、取得したティックデータに含まれる出来高を変数Tick1の出来高に加算する(ステップS207)。
チャート表示処理部27bが最新のティック足(L)40Aの出来高表示を更新する(ステップS208)。
そして、データ集計処理部23は、Tick1カウンタC1を1カウントアップし(ステップS209)、ステップS202に処理を戻す。
ステップ205で取得したティック値段が変数Tick1に格納されるティック値段と等しくないと判断した場合(ステップS206でNo)、RAM12にセットされている変数Tick1がクリア状態か否かを判断する(ステップS210)。
【0073】
変数Tick1がクリア状態である場合(ステップS210でYes)、データ集計処理部23は、取得したティックデータ中のティック値段(安値)を、変数Tick1に(新たに)格納する(ステップS211)。
チャート表示処理部27bは、ティック足チャート内に新規ティック足列を追加してティック値段に該当する位置にティック足(L)40Aを作成し、その中に今回取得したティックデータに含まれる出来高を表示する(ステップS212)。また、チャート表示処理部27bは、ティック値段表示欄35ティック値段を表示する。
データ集計処理部23は、Tick1カウンタC1に1を代入し(ステップS213)、ステップS202に処理を戻す。
変数Tick1がクリア状態ではない場合(ステップS210でNo)、データ集計処理部23は、取得したティック値段が変数Tick1とペアとなる変数Tick2に格納されるティック値段と等しいか否かを判断する(ステップS214)。
ステップS205で取得したティック値段が変数Tick2に格納されるティック値段と等しい場合(ステップS214でYes)、データ集計処理部23は、取得したティックデータに含まれる出来高を変数Tick2に含まれる出来高に加算する(ステップS215)。
【0074】
チャート表示処理部27bは、最新のティック足(H)40Bの出来高表示を更新する(ステップS216)
データ集計処理部23は、Tick2カウンタC2を1カウントアップし(ステップS217)、ステップS202に処理を戻す。
【0075】
ステップS205で取得したティック値段が変数Tick2に格納されるティック値段と等しくない場合(ステップS214でNo)、データ集計処理部23は、変数Tick2がクリア状態であるか否かを判断する(ステップS218)。
【0076】
変数Tick2がクリア状態である場合(ステップS218でYes)、データ集計処理部23は、ステップS205で取得したティックデータ中のティック値段(高値)を変数Tick2に格納する(ステップS219)。
そして、チャート表示処理部27bは、ティック足チャート内の最新のティック足(L)40Aと同じ列にティック足(H)40Bを作成し、その中にティックデータに含まれる出来高を表示する(ステップS220)。
【0077】
次いで、データ集計処理部23は、Tick2カウンタC2に1を代入し(ステップS221)、ステップS202に処理を戻す。
変数Tick2がクリア状態ではない場合(ステップS218でNo)、新たなティック値段ペアが出現したことになる。
従って、データ集計処理部23は、現在のTickペア値段の滞留時間が終了したと判断し、変数Tick2内のティック値段の約定時刻をティックデータから取得し、現在更新中のティック足列と関連付けてRAM12に格納する(ステップS222)。
さらに、データ集計処理部23は、変数Tick1、変数Tick2にそれぞれ格納されるティック値段、出来高、Tick1カウンタC1、Tick2カウンタC2をクリアし(ステップS223)、ステップS206に処理を戻す。
この場合、ステップS223の処理により変数Tick1は常にクリアされており、且つ取得したティック値段が変数Tick1に格納されるティック値段と等しくもならないため、チャート表示処理部27bは、必ずステップS206でNo且つステップS207でYesとなり、ティックチャート表示欄31の新規列に新たなティック足(L)40Aを作成することになる。
図7で処理される最初のティックデータについても同様で、変数Tick1は常にクリアされており、且つ取得したティック値段が変数Tick1に格納されるティック値段と等しくもならないため、チャート表示処理部27bは、必ずステップS206でNo、且つステップS207でYesとなり、ティックチャート表示欄31の新規列に新たなティック足(L)40Aを作成する。
【0078】
合計出来高表示処理部27gは、データ集計処理部23がステップS207、ステップS211、ステップS207、ステップS219において更新した変数Tick1、変数Tick内の出来高の合計値に基づいて、合計出来高を数字や棒グラフにて合計出来高表示欄36に表示する。
また、終了時刻表示処理部27hは、データ集計処理部23がステップS222においてRAM12に格納した時刻を、終了時刻表示欄32に表示する。
【0079】
また、滞留時間演算処理部24は、データ集計処理部23がステップS222において格納した時刻の差分に基づいて、ティック値段ペアごとの滞留時間を演算する。
演算された滞留時間を用いて、滞留時間表示処理部27cは、ティック値段ペアごとの滞留時間を滞留時間表示欄33に表示する。
インジケータ表示処理部27dは、滞留時間演算処理部24が演算した滞留時間に基づいてインジケータ表示欄34にティック値段ペア(ティック足ペア40)毎のスピードインジケータを表示する。スピードインジケータの態様は上記したとおりである。
なお、
図7の説明では、ティックデータを1つずつ情報受信処理サーバ201より取得する処理の流れになっているが、データ取得のタイミングにより複数エントリを含む新規/更新ティックデータがサーバ上に存在することが考えられる。
その場合、ステップS205において取得可能なティックデータを全て取得し、全てのティックデータについて処理を終えてからステップS203の問い合わせを行うようにしても良い。その場合には、ステップS209、ステップS213、ステップS217、ステップS221の処理後にはステップS206に処理を戻すことになる。
【0080】
図8は、本実施形態に係るチャート表示装置における過去モードのチャート表示処理を説明するフローチャートである。
上記したように、過去モードは、
図4において過去モード選択ボタン63が選択された場合、あるいはリアルモード選択ボタンが選択されていても、「寄付」選択ボタン62a、「直近」選択ボタン62bが選択されている場合に行われる。
まず、データ集計処理部22が、RAM12にセットされた変数Tick1、変数Tick2に格納されるTick値段、出来高、カウンタC1、C2をクリアし(ステップS300)、データ取得処理部22は、ステップS109(
図6)において設定されたデータ取得期間の過去ティックデータ、あるいは「寄付」からの現在までの、直近NN分前から現在までの過去ティックデータを受信情報処理サーバ201より取得する(ステップS301)。
【0081】
次に、データ集計処理部23は全ての過去ティックデータについて集計を完了したか否かを判断する(ステップS302)。
集計を完了したと判断した場合(ステップS302でYes)、データ集計処理部23は処理を終了する。
まだ集計をしていないティックデータがあると判断した場合(ステップS302でNo)、データ集計処理部23は、今回取得したティックデータに含まれるティック値段がRAM12にセットされている変数Tick1に格納されるティック値段と等しいか否かを判断する(ステップS303)。
取得したティック値段が変数Tick1に格納されるティック値段と等しいと判断した場合(ステップS303でYes)、データ集計処理部23は、取得したティックデータに含まれる出来高を変数Tick1の出来高に加算する(ステップS304)。
チャート表示処理部27bは、最新のティック足(L)40Aの出来高表示を更新する(ステップS305)。
データ集計処理部23は、Tick1カウンタC1を1カウントアップし(ステップS306)、ステップS302に処理を戻す。
ステップS301で取得したティック値段が変数Tick1に格納されるティック値段と等しくないと判断した場合(ステップS303でNo)、データ集計処理部23は、RAM12にセットされている変数Tick1がクリア状態か否かを判断する(ステップS307)。
【0082】
変数Tick1がクリア状態である場合(ステップS307でYes)、データ集計処理部23は、取得したティックデータ中のティック値段(売買価格)を、変数Tick1に格納する(ステップS308)。
チャート表示処理部27bは、ティック足チャート31内に新規ティック足列を追加して、ティック値段に該当する位置にティック足(L)40Aを作成し、その中に今回取得したティックデータに含まれる出来高を表示する(ステップS309)。
データ集計処理部23は、Tick1カウンタC1に1を代入し(ステップS310)、ステップS302に処理を戻す。
【0083】
変数Tick1がクリア状態ではない場合(ステップS307でNo)、データ集計処理部23は、取得したティック値段が変数Tick1とペアとなる変数Tick2に格納されるティック値段と等しいか否かを判断する(ステップS311)。
取得したティック値段が変数Tick2に格納されるティック値段と等しい場合(ステップS311でYes)、データ集計処理部23は、取得したティックデータに含まれる出来高を変数Tick2に含まれる出来高に加算する(ステップS312)。
【0084】
チャート表示処理部27bは、最新のティック足の出来高表示を更新する(ステップS313)
そして、データ集計処理部23は、Tick2カウンタC2を1カウントアップし(ステップS314)、ステップS302に処理を戻す。
ステップS301で取得したティック値段が変数Tick2に格納されるティック値段と等しくない場合(ステップS315でNo)、データ集計処理部23は、変数Tick2がクリア状態であるか否かを判断する(ステップS315)。
【0085】
変数Tick2がクリア状態である場合(ステップS315でYes)、データ集計処理部23は、取得したティックデータ中のティック値段を変数Tick2に格納する(ステップS316)。
チャート表示処理部27bは、ティック足チャート内の最新のティック足(L)40Aと同じ列にティック足(H)40Bを作成し、その中にティックデータに含まれる出来高を表示し(ステップS317)
データ集計処理部23は、Tick2カウンタC2に1を代入し(ステップS318)、ステップS302に処理を戻す。
【0086】
変数Tick2がクリア状態ではない場合(ステップS315でNo)、新たなティック値段が出現したことになる。
従って、データ集計処理部23は、現在のTickペア値段の滞留時間が終了したと判断し、変数Tick2内のティック値段の約定時刻をティックデータから取得し、現在更新中のティック足列と関連付けてRAM12に格納する(ステップS319)。
【0087】
変数Tick1、変数Tick2に格納されるティック値段、出来高、Tick1カウンタC1、Tick2カウンタC2をクリアし(ステップS320)、ステップS303に処理を戻す。
この場合、変数Tick1は常にクリアされており、且つ取得したティック値段が変数Tick1に格納されるティック値段と等しくもならないため、チャート表示処理部27bは、必ずステップS303でNo、ステップS307でYesとなり、ティックチャート表示欄31の新規列に新たなティック足(L)40Aを作成することになる。
図8で処理される最初のティックデータについても同様で、変数Tick1は常にクリアされており、且つ取得したティック値段が変数Tick1に格納されるティック値段と等しくもならないため、チャート表示処理部27bは、必ずステップS303でNo、ステップS307でYesとなり、ティックチャート表示欄31の新規列に新たなティック足(L)40Aを作成する。
なお、この過去モードに用いる過去ティックデータは、情報受信処理サーバ201から受信するのではなく、チャート表示装置10自身が有する、リアルモードでのチャート表示時に情報受信処理サーバ201から取得したキャッシュデータを用いても良い。
【0088】
[第2の実施形態]
図9は、本実施形態の第2の実施形態に係るチャート表示装置が表示するチャートを示した図である。
図9に示すチャートは、基本的には第1の実施形態に係る
図4に示すチャートと同様であるが、本実施形態のチャート表示装置の使用者自身の売り注文、買い注文の出来高をティック足に反映可能とした点において異なる。
【0089】
図10は、第2の実施形態に係るチャート表示装置におけるチャート表示処理を説明するフローチャートである。ただし、
図7に示すフローチャートとの相違点のみを説明し、共通部分には共通する符号を付して説明は省略する。
第2の実施形態は、第1の実施形態のチャート表示装置を執行分析に用いるものである。
図10に示す処理において、データ取得処理部22は、ステップS205でティックデータを情報受信処理サーバから取得した後に、注文管理システム(OMS)50から注文管理情報を取得する(ステップS205A)。
上記したように、注文管理システム50はクライアントシステム1に属しており、仲介サーバシステム2に属する売買処理サーバ200に対して売り注文、買い注文を実行可能な専用端末である。従って、どの時刻にいくらで、何株の売り注文、買い注文を行ったかという注文管理情報を注文管理情報データベースに保持している。
【0090】
チャート表示装置(データ取得処理部22)は、この注文管理情報を注文管理システム50から取得する。
この注文管理情報を用いることで、仲介サーバシステム2内の情報受信処理サーバ201から取得したティックデータに含まれる各ティック情報が自注文か、他社による注文なのかを判断することが出来る。
【0091】
データ集計処理部23は、ステップS207乃至ステップS209、ステップ211乃至ステップS213、ステップS215乃至ステップS217、ステップS219乃至ステップS221において、ティック足内に出来高の表示・更新を行った後に、変数Tick1、変数Tick2内の出来高が、自注文によるものであるかを判断する(ステップS209A、ステップS213A、ステップS217A、ステップS221A)。
その結果、出来高が自注文によるものであると判断した時は、ステップS208、ステップS212、ステップS208、ステップS220で表示したトータルの出来高に併せて、自注文の出来高を表示する。
このように構成したことで、自注文が相場の変動にどのような影響を与えたかを視覚的にわかりやすく表示することが出来る。
ただし、過去モード時には自注文の注文数量の表示(
図9、
図10)は行わないようにしてもよい。
上記に説明したように、オークション取引においては、買い側、売り側双方の最優先気配値での売り買いを繰り返しながら、上昇または下降トレンドが形成される。
また、形成されたトレンドには、スピードが速い(滞留期間が短い)もの、スピードが遅い(滞留時間が長い)ものがあり、このような価格形成の特徴を理解して取引を行うことが重要である。
本発明のティック足チャートを利用することにより、従来のローソク足チャートではローソク足中に隠蔽され、表現出来なかった価格の推移をリアルタイムに表現でき、素早く短期トレンドの方向性を読み取ることが出来る。
また、出来高の累計を組み込んで表示することで、トレンドの発生・反転ポイント、及び価格抵抗体における特徴的な出来高の刻みを確認することが出来る。
また、本発明のチャートのティック足ペアは時間の概念と直接結びついておらず、ティック値段ペアの発生時間帯における約定値段と売買注文との位置関係、及び約定値段の妥当性と当該売買注文によるマーケットインパクトの有無を明確に表現することができる。
従って、本発明のチャート表示装置は、新しい形の執行分析ツールとしても利用することも出来る。
【0092】
なお、本発明のチャート表示装置においては、ティック足(L)40A、ティック足(H)40Bのマウスポイント操作で、テクニカル数値をポップアップするようにしても良い。
また、OMS50及びチャート表示装置10を単一の装置としている場合は、ティック足(L)40A、ティック足(H)40Bをダブルクリック等することにより、注文発注画面を表示するようにしても良い。
専用チャート表示中の日足、分足を例えば右クリックすることにより、当該ローソク足の過去「ティック足チャート」、「ティックデータ」を表示するようにしても良い。
【0093】
[その他のテクニカル指標]
以下に、第1表示エリア30Aに表示可能な「ティック足移動平均線」、「HLバンド」、「ボリンジャーバンド」、「パラボリック」、「一目均衡表」等のテクニカル指標、第2表示エリア30Bに表示可能な、RS1、RS2、RCI、MACDなどの情報について概説する。
なお、移動平均等の各テクニカル指標の計算は、ティック値段ペアの終値(
図3のティックデータにおけるティック値段ペア1では490円)から算出し、算出式及び描画は既存チャートと同様である。
「ティック足移動平均線」は、過去n回分におけるティック値段ペアの終値を平均した数値を線グラフで表したテクニカル指標である。
【0094】
「HLバンド」は、過去の所定期間における高値・安値同士を線で結んだテクニカル指標である。高値同士を結んだ線を「H(High)バンド」、安値同士を結んだ線を「L(Low)バンド」呼ぶ。
「ボリンジャーバンド」は、株価移動平均線と、その上下に値動きの幅を示す線を加えた指標である。より詳しくは、株価移動平均線とその標準偏差(±1σ、±2σ、±3σ)をチャートに重ねて描き、各ラインにかかる株価の分布状況から、株価が反転するタイミングを測るテクニカル指標である。
「パラボリック」は、ティック足チャート上のSAR(Stop And Reverse)という2本の線を結んだ放物線である。
ローソク足がSARを上抜けると「買いサイン」、下抜けると「売りサイン」と見なすことが出来る。
【0095】
「一目均衡表」とは、異なる日数から計算した線(転換線、基準線、先行スパン1、先行スパン2、遅行スパン)からなるテクニカル指標である。
転換線=(当日を含めた過去9日間の最高値+最安値)÷2
基準線=(当日を含めた過去26日間の最高値+最安値)÷2
先行スパン1={(転換値+基準値)÷2}を26日先行させて表示する線
先行スパン2={(当日を含めた過去52日間の最高値+最安値)÷2}を26日先行させて表示する線
遅行スパン=当日の終値を26日遅行させて表示する線
【0096】
MACD(Moving Average Convergence and Divergence)は、移動平均収束発散法を意味する。
通常12日と26日の2本の平滑平均(単純平均とは異なる)を使用して、その差を「MACD」と呼ぶ(MACD=12日EMA−26日EMA)。
また、MACD自体の移動平均線(通常9日間を使用)を「シグナル」と呼び、「MACD」と「シグナル」の2本の線のクロスの仕方や水準を読む。
【0097】
RSI(Relative Strength index)は相対力指数を意味する。過去の値動きに対する上昇幅の割合によって相対的に今の相場が強弱どちらに傾いているのか(過熱性)を表した指標である。
「RSI」=(一定期間の上げ幅の合計)/(一定期間の上げ幅の合計+一定期間の下げ幅)×100(%)
特に「RSI1」は、当日を含まない過去n日間の平均値上り率と平均値下り率を求め、最後に当日の値上り・値下りを加味した平均値をもとに数値が算出される。
【0098】
また「RSI2」は、当日を含む過去n日間の終値の前日比から値上り分と値下り分の合計を求め、日数で割った数値から算出される。
RCI(Rank Correlation Index)は順位相関指数を意味し、日付と価格夫々に順位をつけて両者にどれだけの相関関係があるのかを数値化するものである。
【0099】
上記したが、本発明のチャート表示装置は、ティック足チャートのみならず、従来のローソクチャートやテクニカル指標を表示することが出来る。
図11は、本発明のチャート表示装置において、従来のローソクチャート、テクニカル指標を表示した態様を示す図である。
テクニカル指標としては、「移動平均線」、「HLバンド」、「ボリンジャーバンド」、「パラボリック」、「一目均衡表」等を表示可能である。
なお、ここでは、チャート表示装置10が表示するチャート30は、情報表示エリアとして、第1表示エリア30A、第2表示エリア30B、第3表示エリア30Cを備えているものとする。
【0100】
図11において、第1表示エリア30Aに、ローソクチャートを含む従来のテクニカル指標が表示されている。また、第2表示エリア30Bには出来高チャート、第3表示エリア30Cには、上述のMACDが表示されている。
上記したように、これらのチャート、指標は相場における株価の時系列的な価格変化を示している。
【0101】
図12は、
図11に示すチャートの枠線部分Xの時間帯に対応したティック足チャートを示す図である。
図11に示す各チャート、指標は時間の経過に伴う株価の推移を示しており、投資家等はこれらに示される情報を用いて株価トレンドの移り変わりを中長期的に予測することが可能である。
それに対し、
図12に示すティックチャートでは、売買側夫々の最優先気配値に基づいて繰り返し現れるティック値段ペアに含まれるティック値段について、夫々の出現回数をブロックチャートの形式で表示している。
【0102】
ティック値段ペアの変化は、極めて短期のスパンで発生するものである。
高値側安値側それぞれで行われた個別の取引の出来高を集計した値、加えて、ティック値段ペアが変化するまでの時間の長短を観察することで、高値側、安値側どちらの値段での取引が活発かを知り得、その結果、相場の超短期的なトレンドを見極めることが出来る。
【0103】
図11に示すチャートでは、
図12に示されるティックチャートで示される超短期的且つ膨大な情報を表現することが出来ない。
従来のチャート、特にローソクチャートは、所定の単位期間における始値、終値、高値、安値が表現される。
これらの値は、すなわち、「結果」であり、その結果が表れる原因、あるいは過程となった期間内の細かな値動きについては、なんら表現をしていない。
いち早く相場をつかみ、値上がり、値下がりの兆候に基づいて売買を行う必要がる昨今の高速取引では、そのようなスピード感では対応しきれないのも事実である。
【0104】
本発明のティックチャートは、上記のように、めまぐるしく変化するティック値段ペアにおける高値側、安値側の出来高を集計することで、従来の分足ローソクチャート、秒足ローソクチャートでは表現しきれない、超短期的なトレンドや値動き、値上がり、値下がりの兆候を表現するのに著しい効果を有する。
【0105】
なお、上記に説明したように、本発明のチャート表示装置10は、チャート30に表示するローソク足から本発明に特徴的なティック足チャートを表示することが出来る。
[第1の表示変更処理(ローソク足→ティック足チャート)]
図13は、本発明に係る第1の表示変更処理を説明するフローチャートである。
第1の表示変更処理は、本発明のチャート表示装置において、ローソクチャートの表示からティックチャート、ティックデータを表示する処理である。
図4等に示される第1表示情報選択欄65において、ローソク足チャートが選択されることで、第1表示エリア30Aにはローソク足チャートが表示される。
これは、データ集計処理部23が、表示設定処理部によって設定された表示銘柄について情報受信処理サーバ201から取得されたティックデータを基に、ある特定期間内における始値、終値、高値、安値を集計し、チャート表示処理部27bがローソク足としてチャート30内に表示することで実現される。
【0106】
この状態で、チャート30内のローソク足が、チャート表示装置10が備える入力装置16としてのマウスによって右クリックされると(ステップS301)、表示処理部27に含まれる図示しない右クリックメニュー表示部がポップアップメニューを表示する(ステップS302)。
このポップアップメニューは、右クリックされたローソク足にかかる「ティック足チャート」、「ティックデータ」の何れを表示するかをユーザに選択させるものである。
ポップアップメニューに対する選択操作として、「ティック足チャート」を表示する旨が選択された場合(ステップS303でYes)、データ取得処理部22は、現在表示されているローソク足について設定されている銘柄を、情報受信処理サーバ201からのデータ取得対象銘柄とし、そのローソク足の日付、ローソク足の開始時刻から終了時そのローソク足の日付、ローソク足の開始時刻から終了時刻までの期間をデータ取得期間に設定する(ステップS304)。
【0107】
そして、ステップS305において、データ取得処理部22、データ集計処理部23は、
図8に示した「過去モード」の処理を行う。
これによって、ある日付のある時間までの取引をもとに集計・表示されたローソク足から、それに対応したティック足チャートを表示することが出来る。
【0108】
なお、ローソク足チャートからのティック足チャートは、ローソク足チャートに替えて第1表示エリア30Aに表示しても良いし、ポップアップウィンドウ等の形式で表示されても良い。
上記のように、過去モードに用いる過去ティックデータは、情報受信処理サーバ201から受信するのではなく、チャート表示装置10自身が有する、リアルモードでのチャート表示時に情報受信処理サーバ201から取得したキャッシュデータを用いても良い。
【0109】
ステップS303において、「ティック足チャート」の表示選択処理がなされず(ステップS303でNo)、ステップS306で「ティックデータ」の表示選択処理がなされた場合(ステップS306でYes)、データ取得処理部22は、現在表示されているローソク足について設定されている銘柄を、情報受信処理サーバ201からのデータ取得対象銘柄とし、そのローソク足の日付、ローソク足の開始時刻から終了時までの期間をデータ取得期間に設定する(ステップS307)。
【0110】
そして、データ取得処理部22は、ステップ307の設定に従って、情報受信処理サーバ201からティックデータを取得する(ステップS308)。
表示処理部27に含まれる図示しないティックデータ表示処理部は、データ取得処理部22が取得したティックデータをチャート30内に表示する(ステップS309)。
ティックデータは、ポップアップウィンドウ等の形式で表示されても良い。
ステップS306において「ティックデータ」の表示選択処理が選択されない場合(ステップS306でNo)、チャート表示装置10は、第1の表示変更処理を終了する。
【0111】
また、本発明のチャート表示装置は、ティック足からティックデータを表示することも可能である。
[第2の表示変更処理]
図14は、本発明に係る第2の表示変更処理を説明するフローチャートである。
第2の表示変更処理は、本発明のチャート表示装置において、ティック足からティックデータを表示する処理である。
図7、
図8の処理によって、既に、チャート30内にティック足チャート40が表示されているものとする。
【0112】
この状態で、チャート30内のティック足が、チャート表示装置10が備える入力装置16としてのマウスによって右クリックされると(ステップS351でYes)、表示処理部27に含まれる図示しない右クリックメニュー表示部がポップアップメニューを表示する(ステップS352)。
このポップアップメニューは、右クリックされたティック足にかかる「ティックデータ」を表示するか否か(「ティックデータ」表示選択処理を行うか否か)をユーザに選択させるものである。
【0113】
この状態で、「ティックデータ」表示選択処理がなされると、データ取得処理部22は、現在表示されているティック足について設定されている銘柄を、情報受信処理サーバ201からのデータ取得対象銘柄とし、そのティック足の日付、ティック足の開始時刻から終了時刻までの期間をデータ取得期間に設定する(ステップS354)。
そして、データ取得処理部22は、ステップ354の設定に従って、情報受信処理サーバ201からティックデータを取得する(ステップS355)。
【0114】
表示処理部27に含まれる図示しないティックデータ表示処理部は、データ取得処理部22が取得したティックデータをチャート30内に表示する(ステップS356)。
ティックデータは、ポップアップウィンドウ等の形式で表示されても良い。
ステップS353において「ティックデータ」の表示選択処理が選択されない場合(ステップS353でNo)、チャート表示装置10は、第2の表示変更処理を終了する。
以上の特徴に加え、本発明のチャート表示装置は、第1表示エリア30Aに表示中のローソク足について、日足、分足との間で自由に表示を変更することが出来る。
【0115】
[第1の発明]
取引対象に対して行われた各取引における売買価格、売買高及び取引時刻を含む取引情報を、ネットワークNWを介して取引所側装置100から取得するデータ取得処理部22と、取引情報中において交互に現れる第1の売買価格及び第2の売買価格よりなる一つ以上の売買価格ペアの夫々について、第1の売買価格で行われた取引の全売買高と第2の売買価格で行われた取引の全売買高を集計するデータ集計処理部23と、各売買価格ペア毎に、第1の売買価格及び第2の取引価格に全売買高を夫々関連づけたチャート30を表示装置13に表示する処理を行うチャート表示処理部27bと、を備えるチャート表示装置を特徴とする。
本発明によれば、従来のチャート(特にローソクチャート)では隠蔽され表現出来なかった短期的な価格の推移をリアルタイムに表現可能であるとともに、短期的なトレンドの方向性を読み取ることが可能なチャートを表示できる。
【0116】
[第2の発明]
取引対象は、取引所側装置から供給される板情報に基づいて売買される株式であり、売買価格ペアにおいて、第1の売買価格は板情報に含まれる売り注文のうち最も優先される売り気配値に基づく売買価格であり、第2の売買価格は板情報に含まれる買い注文のうち最も優先される買い気配値に基づく売買価格であり、売買価格ペアは、売り注文又は買い注文の消化に伴って変化するチャート表示装置を特徴とする。
本発明によれば、従来のチャート(特にローソクチャート)では隠蔽され表現出来なかった短期的な株価の推移をリアルタイムに表現可能であるとともに、株価の短期トレンドの方向性を読み取ることが可能なチャートを表示できる。
【0117】
[第3の発明]
チャート30において、時間軸を一方の軸とし、売買価格を他方の軸とし、売買価格ペアに含まれる取引時刻に基づいて各売買価格ペアを表す領域を一方の軸に沿って並べて表示し、且つ各売買価格を示す領域を他方の軸に沿って並べて表示するチャート表示装置を特徴とする。
[第4の発明]
各売買価格ペアにおける最終の取引時刻間の時間に基づいて一つの売買価格ペアによる取引が継続した継続期間を演算する継続期間演算手段27cと、売買価格ペアごとに継続期間に基づく取引速度を視覚的に示すインジケータをチャートとともに表示するインジケータ表示処理部と、を備えるチャート表示装置を特徴とする。
これにより、値段変化のスピードを視覚的に捉えやすくすることが出来る。
【0118】
[第5の発明]
データ取得処理部22は、取引所側の装置に対して行った取引対象に対する売買注文における売買価格、取引時刻を含む履歴情報を保持可能な注文管理装置から履歴情報を取得し、チャート表示処理部27bは、取引情報に含まれる取引が履歴情報に含まれる売買注文と一致すると判断した場合、該取引にかかる売買高を第1の売買価格又は第2の取引価格の全売買高と併せて表示するチャート表示装置を特徴とする。
このように構成したことで、自注文が相場の変動にどのような影響を与えたかを視覚的にわかりやすく表示することが出来る。
【0119】
[第6の発明]
データ取得処理部22と、データ集計処理部23と、チャート表示処理部27bと、を備え、取引所における取引対象の値動きをチャート表示するチャート表示装置のチャート表示方法であって、データ取得処理部22が、取引対象に対して行われた各取引における売買価格、売買高及び取引時刻を含む取引情報を、ネットワークを介して取引所側装置から取得するデータ取得ステップと、データ集計処理部23が、取引情報中において交互に現れる第1の売買価格及び第2の売買価格よりなる一つ以上の売買価格ペアの夫々について、第1の売買価格で行われた取引の全売買高と第2の売買価格で行われた取引の全売買高を集計する集計ステップと、チャート表示処理部27bが、各売買価格ペア毎に、第1の売買価格及び第2の取引価格に全売買高を夫々関連づけたチャートを表示装置に表示する処理を行う表示処理ステップと、を、有するチャート表示方法を特徴とする。
本発明によれば、従来のチャート(特にローソクチャート)では隠蔽され表現出来なかった短期的な価格の推移をリアルタイムに表現可能であるとともに、短期的なトレンドの方向性を読み取ることが可能なチャートを表示できる。
[第7の発明]
第6の発明のチャート表示方法をコンピュータに実行させるためのチャート表示プログラムを特徴とする。