(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の加熱調理器を、天板上に載置された鍋等の被加熱物を誘導加熱するIHクッキングヒータに適用した実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって、本発明が限定されるものではない。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る加熱調理器の構成を示す斜視図である。
図2は、実施の形態1に係る加熱調理器の内部構成を示すブロック図である。
図1、
図2において、加熱調理器1の本体の上部には、結晶化ガラスなどで構成され、被加熱物(鍋等)が載置される天板2が設けられている。天板2の表面には、被加熱物の載置位置を示す例えば3つの円形状の加熱口3a、3b、8aが印刷等の方法で表示されている。
天板2の下の本体内には、加熱口3a、3b、8aに対応して3つの加熱手段が配置されている。左手前側の加熱口3aおよび右手前側の加熱口3bには、例えば誘導加熱コイルで構成された第1加熱手段6が設けられている。中央奥側の加熱口8aには、例えばラジエンドヒータなど、電力が供給されることにより発熱する発熱体により構成された第2加熱手段8が設けられている。
加熱口3aおよび3cの第1加熱手段6は、供給可能な最大の電力(定格電力)が大きい加熱手段である。後述する電力制限を行わない場合は、例えば最大3kWで加熱する。
加熱口8aの第2加熱手段8は、最大電力値が第1加熱手段6より小さい加熱手段である。後述する電力制限を行わない場合は、例えば最大1.5kWで加熱する。
【0013】
本体内の中央下部には、魚などの被加熱物を出し入れ可能に前面が開口したグリル部8bが設けられている。グリル部8b内には、例えばシーズヒーターなど、電力が供給されることにより発熱する発熱体により構成された第2加熱手段8が設けられている。グリル部8bの第2加熱手段8は、後述する電力制限を行わない場合、例えば最大2kWで加熱する。
【0014】
天板2の前部側には操作表示部4が設けられている。操作表示部4は、例えば、各加熱口にそれぞれ対応して設けられた火力設定操作部と、グリルの加熱を操作するグリル操作部からなっている。操作表示部4は、各加熱口およびグリルへの設定火力(投入電力)の操作入力、および、予め設定された自動調理モードの選択操作の入力等を行う。
また、操作表示部4は、例えば、各加熱口、グリルの火力、および、動作状態をそれぞれ表示する。操作表示部4は、例えば液晶表示パネル、LED等により構成される。
【0015】
制御手段5は、操作表示部4によって設定された火力などに応じて、加熱口3a、3bの第1加熱手段6と、加熱口8aの第2加熱手段8と、グリル部8bの第2加熱手段8(以下「複数の加熱手段」と総称する場合もある)へ入力される電力を制御する。
【0016】
コイル駆動部7は、制御手段5からの制御指令に応じて、当該加熱調理器1に供給される電力を高周波電力に変換して、誘導加熱コイルで構成された第1加熱手段6に供給する。
ヒーター駆動部9は、制御手段5からの制御指令に応じて、当該加熱調理器1に供給される電力を、発熱体で構成された第2加熱手段8に供給する。
【0017】
通信手段10は、当該加熱調理器1以外の外部機器と通信し、後述する状態情報を取得して、制御手段5へ入力する。なお、外部機器との間の通信は、無線または有線の何れでも良いし、通信方式も任意の方式で良い。
制御手段5は、状態情報に基づき、複数の加熱手段へ入力される電力、および、複数の加熱手段の加熱動作の可否の少なくとも一方を制御する。詳細は後述する。
【0018】
なお、操作表示部4は、本発明における「報知手段」、「表示装置」に相当する。
【0019】
図3は、実施の形態1に係る加熱調理器が設置された住宅の電力系統の構成を説明する図である。
図3に示すように、住宅100には、例えば電力会社等の配電線網からの商用の電源である系統電源110が引き込まれている。また、住宅100には、系統電源110とは独立した別の外部電源120が引き込まれている。
系統電源110からの電力および外部電源120からの電力は、切替分電盤130によって選択的に切り替えられて、住宅100内の電気配線(コンセント、照明など)へ供給される。
実施の形態1に係る加熱調理器1は、住宅100内に設置され、切替分電盤130を介して、系統電源110からの電力または外部電源120からの電力が供給される。
【0020】
切替分電盤130は、通信機能を有し、系統電源110からの電力が供給されている状態と、供給が停止している状態(停電)とを識別し、系統電源110からの電力供給の状態を示す情報を送信する。
【0021】
外部電源120は、例えばリチウムイオン蓄電池等に充電された直流電源を住宅100内で使用可能な交流電源に変換して住宅100内に供給するものである。なお、外部電源120は、例えば、太陽光発電、風力発電などで発電された電力、夜間における系統電源110からの電力などによって充電される。
【0022】
また、住宅100内には、加熱調理器1、および住宅100内の他の電気機器と通信を行い、住宅100内のエネルギーマネジメントを行うコントローラ140が設けられている。
コントローラ140は、後述する動作により、加熱調理器1に供給されている電力が、系統電源110からの電力である第1状態と、加熱調理器1に供給されている電力が、外部電源120からの電力である第2状態との何れであるかを示す状態情報を送信する。
【0024】
まず、
図3を用いて加熱調理器1とその周辺機器との関係と動作について説明する。
住宅100には、電力会社からの系統電源110からの電力が供給される経路と、外部電源120(蓄電池)からの電力が供給される経路とが設けられている。
系統電源110から供給される電力と、外部電源120から供給される電力とは、切替分電盤130を経由して、住宅100内の各コンセントおよび電灯線等に供給され、接続された加熱調理器1および他の各電気機器に供給される。
【0025】
切替分電盤130は、住宅100内に供給する電力を切替の条件に応じて系統電源110と外部電源120とを切り替えるように動作する。切替の条件は、系統電源110が遮断状態(停電)の場合、またはタイマーによる切替、あるいは使用者による任意の切替操作などによって行われる。
コントローラ140は、住宅100内の各電気機器の動作状況、および動作管理、それらのエネルギーの収支などの「見える化」を行う。
このコントローラ140は、切替分電盤130、加熱調理器1、およびその他の電気機器との情報のやり取りを通信で行い、情報の取集と各電気機器へ制御情報を伝達する。
【0026】
この情報内容は、各電気機器に応じた内容である。例えば、切替分電盤130へ伝達する情報内容は、系統電源110の状態(正常または停電)、外部電源120の蓄電池の充電状態、系統電源110と外部電源120との切替状態、その他、住宅100内に供給している電力量等の計測値などがある。
住宅100内に設置された加熱調理器1およびその他の電気機器は、コントローラ140との間で通信を行う。
【0027】
次に、実施の形態1に係る加熱調理器1の動作について、
図1、
図2、
図4および
図5を用いて説明する。
【0028】
[使用可能合計電力の制御]
まず、複数の加熱手段のそれぞれに入力される電力の合計が、使用可能合計電力(上限値)以下となるように、複数の加熱手段を制御する動作について説明する。
【0029】
なお、系統電源110からの電力が切替分電盤130へ供給されている状態は、電力会社等からの配電線網を介して、特に制限のない状態で供給されている状態であるため、便宜上「正常」と表現する。
また、系統電源110からの電力が切替分電盤130へ供給されていない状態(遮断されている状態)であり、外部電源120からの電力が供給されている状態を、系統遮断(停電)と表現する。
【0030】
なお、正常の状態は、本発明における「第1状態」に相当する。
また、系統遮断(停電)の状態は、本発明における「第2状態」に相当する。
【0031】
図4は、実施の形態1に係る加熱調理器における使用可能合計電力の設定情報の一例を示す図である。
図4に示すように、制御手段5には、系統電源110が正常状態における使用可能合計電力の値と、系統遮断(停電)における使用可能合計電力の値とが、設定されている。
ここで、系統遮断(停電)における使用可能合計電力の値は、系統電源110が正常状態における使用可能合計電力の値と比較して小さく設定されている。
なお、この設定は、予め制御手段5に設定しても良いし、操作表示部4からの操作入力によって設定しても良い。
【0032】
なお、使用可能合計電力の値は、本発明における「上限値」に相当する。
【0033】
(正常状態)
系統電源110が正常の場合、切替分電盤130は、正常状態を示す内容の通信情報を送信する。コントローラ140は、切替分電盤130からの通信情報を受信し、住宅100内の加熱調理器1およびその他の電気機器へ、系統電源110が正常状態を示す内容の通信情報を送信する。
加熱調理器1の通信手段10は、コントローラ140から送信された通信情報を受信する。なお、通信手段10は、切替分電盤130から送信された通信情報を直接受信しても良い。
【0034】
制御手段5は、通信手段10が受信した通信情報を取得する。通信手段10が受信した通信情報が正常状態である場合、使用可能合計電力の設定情報を参照して、系統電源110が正常状態に対応する使用可能合計電力の値を設定する。
図4の例では、制御手段5は、使用可能合計電力の値を「5800W」に設定する。
【0035】
制御手段5は、通信情報が正常状態である場合、複数の加熱手段のそれぞれに入力される電力の合計が、設定した使用可能合計電力以下となるように、複数の加熱手段を制御する。
【0036】
(遮断状態)
系統電源110が系統遮断(停電)の場合、切替分電盤130は、使用者の指示あるいは停電検知により、住宅100内へ供給する電力を、系統電源110から蓄電池である外部電源120に切り替える。
このとき切替分電盤130は、系統遮断(停電)を示す内容の通信情報を送信する。コントローラ140は、切替分電盤130からの通信情報を受信し、住宅100内の加熱調理器1およびその他の電気機器へ、系統電源110が系統遮断(停電)を示す内容の通信情報を送信する。
加熱調理器1の通信手段10は、コントローラ140から送信された通信情報を受信する。なお、通信手段10は、切替分電盤130から送信された通信情報を直接受信しても良い。
【0037】
制御手段5は、通信手段10が受信した通信情報を取得する。通信手段10が受信した通信情報が系統遮断(停電)である場合、使用可能合計電力の設定情報を参照して、系統電源110が系統遮断(停電)に対応する使用可能合計電力の値を設定する。
図4の例では、制御手段5は、使用可能合計電力の値を「3000W」に設定する。
【0038】
制御手段5は、通信情報が系統遮断(停電)である場合、複数の加熱手段のそれぞれに入力される電力の合計が、設定した使用可能合計電力以下となるように、複数の加熱手段を制御する。
【0039】
[各加熱手段の最大使用電力の制御]
次に、複数の加熱手段のそれぞれに入力される電力が、複数の加熱手段のそれぞれに設定された最大使用可能電力の値以下となるように、複数の加熱手段を制御する動作について説明する。
【0040】
図5は、実施の形態1に係る加熱調理器における各加熱手段の最大使用可能電力の設定情報の一例を示す図である。
図5に示すように、制御手段5には、系統電源110が正常状態における最大使用可能電力の値が、各加熱手段に対応してそれぞれ設定されている。また、系統電源110が系統遮断(停電)における最大使用可能電力の値が、各加熱手段に対応してそれぞれ設定されている。
ここで、系統遮断(停電)における最大使用可能電力の値は、系統電源110が正常状態における最大使用可能電力の値と比較して小さく設定されている。
なお、この設定は、予め制御手段5に設定しても良いし、操作表示部4からの操作入力によって設定しても良い。
【0041】
なお、最大使用可能電力の値は、本発明における「最大電力値」に相当する。
【0042】
(正常状態)
系統電源110が正常の場合、上述したように、通信手段10は、正常状態の通信情報を受信する。制御手段5は、正常状態の通信情報を取得した場合、各加熱手段の最大使用可能電力の設定情報を参照して、各加熱口のそれぞれに対して、正常状態に対応する最大使用可能電力の値を設定する。
この最大使用可能電力の値は、加熱調理器1の各加熱手段の定格の値であり、系統電源110が正常の場合は、各加熱手段に対して特に制限を設けることなく使用が可能になっている状態である。
【0043】
図5の例では、加熱口3aおよび3bの第1加熱手段6の最大使用可能電力の値を「3000W」に設定し、加熱口8aの第2加熱手段8の最大使用可能電力の値を「1500W」に設定し、グリル部8bの第2加熱手段8の最大使用可能電力の値を「2000W」に設定する。
ここで、各加熱手段で使用できる電力の合計が5800Wを超える値となっているが、これは各加熱手段のそれぞれの最大値を示すものであり、加熱調理器1が備える複数の加熱手段の全体としての上限値は、上述した使用可能合計電力(
図4の例では5800W)までで制限されることになる。
【0044】
制御手段5は、通信情報が正常状態である場合、複数の加熱手段のそれぞれに入力される電力が、正常状態に対応する最大使用可能電力以下となるように、複数の加熱手段をそれぞれ制御する。
【0045】
(遮断状態)
系統電源110が系統遮断(停電)の場合、上述したように、通信手段10は、系統遮断(停電)の通信情報を受信する。制御手段5は、系統遮断(停電)の通信情報を取得した場合、各加熱手段の最大使用可能電力の設定情報を参照して、各加熱口のそれぞれに対して、系統遮断(停電)に対応する最大使用可能電力の値を設定する。この最大使用可能電力の値は、上述した正常状態と比較して小さい値である。
【0046】
図5の例では、加熱口3aおよび3bの第1加熱手段6の最大使用可能電力の値を「2000W」に設定し、加熱口8aの第2加熱手段8の最大使用可能電力の値を「700W」に設定し、グリル部8bの第2加熱手段8の最大使用可能電力の値を「0W」に設定する。
ここで、各加熱手段で使用できる電力の合計が3000Wを超える値となっているが、これは各加熱手段のそれぞれの最大値を示すものであり、加熱調理器1が備える複数の加熱手段の全体としての上限値は、上述した使用可能合計電力(
図4の例では3000W)までで制限されることになる。
【0047】
制御手段5は、通信情報が系統遮断(停電)である場合、複数の加熱手段のそれぞれに入力される電力が、系統遮断(停電)に対応する最大使用可能電力以下となるように、複数の加熱手段をそれぞれ制御する。
【0048】
なお、上記の説明では制御手段5に設定されている設定情報(
図5)を参照して、最大使用可能電力の値を低減させたが、本発明はこれに限定されない。例えば系統遮断(停電)である場合、最大使用可能電力の値を所定の割合で低減させるようにしても良い。
【0049】
また、系統遮断(停電)において、最大使用可能電力を小さくする割合を、加熱手段の種類に応じて設定しても良い。
即ち、系統遮断(停電)である場合に、第2加熱手段8に設定された最大使用可能電力が正常状態である場合と比較して小さくなる割合が、系統遮断(停電)である場合に、第1加熱手段6に設定された最大使用可能電力が第1状態である場合と比較して小さくなる割合、よりも大きくしても良い。
例えば
図5の例では、系統遮断(停電)における最大使用可能電力の減少割合は、加熱効率が高い誘導加熱コイルで構成した加熱口3a、3bは約
33%であり、加熱効率が低い発熱体で構成した加熱口8aは約
53%である。
このように、加熱手段の種類に応じて減少割合を変更することで、外部電源120を効率よく長時間使用することが可能となり、使用者の使い勝手を向上することができる。
【0050】
なお、制御手段5は、上述した[使用可能合計電力の制御]または[各加熱手段の最大使用電力の制御]の一方の制御のみを行うようにしても良い。
【0051】
以上のように本実施の形態1においては、加熱調理器1で使用可能な電力を、外部機器からの通信によって変更可能なように構成し、第1加熱手段6と第2加熱手段8でそれぞれ割り当てられた使用可能電力を変更できるようにしている。このため、加熱調理器1の外部から加熱調理器1の使用電力を制御および管理することができる。
【0052】
また、加熱調理器1に供給されている電力が、系統電源110からの電力であるか、外部電源120からの電力であるのかを示す状態情報によって、複数の加熱手段へ入力される電力を制御している。このため、制御動作を簡易にするとともに、装置構成およびシステム構成を簡易にすることができる。また、系統電源110からの電力が遮断された後に、コントローラ140などで演算処理を行う必要が無いため、外部電源120からの電力が供給された後、直ちに消費電力を削減する動作に移行することが可能となる。
【0053】
また、外部機器から加熱調理器1に対する通信内容に、系統電源110の状態情報を含む内容としているため、系統電源110の状態に応じて加熱調理器1の使用可能電力を設定することが可能になる。
特に、系統電源110が遮断状態(停電)の場合には、正常状態よりも使用可能電力を小さく設定しているため、限りある容量である外部電源120からの電力供給で、なるべく使用電力を制限するように設定動作させることができ、長時間外部電源による動作が可能になる。
【0054】
なお、本実施の形態1では、コントローラ140から加熱調理器1に対しての通信内容に系統電源110が正常か停電かの状態情報を含める内容で説明したが、本発明はこれに限定されない。状態情報は、住宅100内への電力供給が、系統電源110からの電力か、それ以外の外部電源120からの電力であるかが区別できる情報であればよい。
例えば、切替分電盤130の切替状態が、系統電源110側なのか外部電源120側なのかといった情報でも同様の効果を奏する。
【0055】
実施の形態2.
以上の実施の形態1では、加熱調理器1の複数の加熱手段へ入力される電力を系統電源110の状態情報に応じて変更するように構成した。本実施の形態2では、系統電源110の状態情報に応じて、使用可能な加熱手段(加熱口)の優先順位を変更する動作を説明する。
なお、本実施の形態2に係る加熱調理器1の構成は、実施の形態1に係る加熱調理器1の構成と同様であり、同一の構成には同一の符号を付する。
【0056】
以下、実施の形態2に係る加熱調理器1の動作について、
図1〜
図3、および
図6を用い、上記実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0057】
[加熱手段の優先制御]
図6は、実施の形態2に係る加熱調理器における各加熱手段の使用可否の設定情報の一例を示す図である。
図6に示すように、制御手段5には、系統電源110が正常状態における使用可否(使用可または使用不可)の情報が、各加熱手段に対応してそれぞれ設定されている。また、系統電源110が系統遮断(停電)における使用可否(使用可または使用不可)の情報が、各加熱手段に対応してそれぞれ設定されている。
【0058】
このように、系統遮断(停電)における使用不可の加熱手段(加熱口)の数は、系統電源110が正常状態における使用不可の加熱手段(加熱口)の数と比較して多く設定されている。
また、系統遮断(停電)においては、加熱効率が高い誘導加熱コイルで構成した加熱口3a、3bを使用可に設定し、加熱効率が低い発熱体で構成した加熱口8aおよびグリル部8bは使用不可に設定している。
なお、この設定は、予め制御手段5に設定しても良いし、操作表示部4からの操作入力によって設定しても良い。
【0059】
(正常状態)
系統電源110が正常の場合、上述したように、通信手段10は、正常状態の通信情報を受信する。制御手段5は、正常状態の通信情報を取得した場合、各加熱手段の使用可否の設定情報を参照して、各加熱口のそれぞれに対して、正常状態に対応した使用可または使用不可の何れかを設定する。
図6の例では、加熱口3a、3b、8a、およびグリル部8bの全ての加熱手段について使用可を設定する。
【0060】
制御手段5は、使用可に設定した各加熱手段について、操作表示部4からの操作に基づき加熱動作を行う。
このように、系統電源110が正常状態である場合には、加熱調理器1の複数の加熱手段の加熱動作に制限をかけないようにしている。
【0061】
(遮断状態)
系統電源110が系統遮断(停電)の場合、上述したように、通信手段10は、系統遮断(停電)の通信情報を受信する。制御手段5は、系統遮断(停電)の通信情報を取得した場合、各加熱手段の使用可否の設定情報を参照して、各加熱口のそれぞれに対して、系統遮断(停電)に対応した使用可または使用不可の何れかを設定する。
図6の例では、加熱口3aおよび3bの第1加熱手段6について使用可を設定し、加熱口8aおよびグリル部8bの第2加熱手段8について使用不可を設定する。
【0062】
制御手段5は、使用可に設定した加熱手段については、操作表示部4からの操作に基づき加熱動作を行う。一方、使用不可に設定した加熱手段については、操作表示部4からの操作にかかわらず、加熱動作を禁止する。
つまり、
図6の例では、系統遮断(停電)においては、加熱効率が低い発熱体で構成した加熱口8aおよびグリル部8bの加熱動作を禁止する。
【0063】
以上のように本実施の形態2においては、系統電源110が遮断状態(停電)の場合には、正常状態よりも使用可の加熱手段を少なく設定しているため、限りある容量である外部電源120からの電力供給で、なるべく使用電力を制限するように動作させることができ、長時間外部電源による動作が可能になる。
【0064】
また、系統電源110が遮断状態(停電)の場合には、加熱効率が低い発熱体で構成した加熱手段の加熱動作を禁止し、加熱効率が高い誘導加熱による加熱動作を優先する。このため、外部電源120を効率よく長時間使用することが可能となり、使用者の使い勝手を向上することができる。
【0065】
実施の形態3.
以上の実施の形態1では、系統電源110の状態情報に応じて、加熱調理器1の複数の加熱手段へ入力される電力(電力制限)を変更し、実施の形態2では、系統電源110の状態情報に応じて、使用可能な加熱手段(加熱口)の優先順位を変更した。
本実施の形態3では、加熱調理器1の加熱手段に電力制限が加わった場合、または優先順位づけによって使用可能な加熱手段が限定された場合に、使用者にわかりやすく報知する動作について説明する。
なお、本実施の形態3に係る加熱調理器1の構成は、実施の形態1に係る加熱調理器1の構成と同様であり、同一の構成には同一の符号を付する。
【0066】
図7は、実施の形態3に係る加熱調理器の操作表示部の一部を拡大した図である。
この
図7は、
図1における加熱調理器1の左側(加熱口3a側)の第1加熱手段6の操作表示部4に対応する部分の拡大図である。
操作表示部4は、入切スイッチ41、火力スイッチ42、3kWキー43、動作状態表示部44を備えている。
【0067】
入切スイッチ41は、第1加熱手段6を加熱できる状態にするためのスイッチである。
火力スイッチ42は、加熱レベルを入力するスイッチであり、左右キーにて火力の大小を設定する。
3kWキー43は、ワンタッチでこの左側の第1加熱手段6の最大火力に設定するスイッチである。
【0068】
動作状態表示部44は、第1加熱手段6の動作状態を表示する表示部分であり、第1加熱手段6へ入力されている電力(火力)のレベルを示す数字が「1」から「8」まで設けられ、さらに最大火力に対応する「3kW」の表示が設けられている。
動作状態表示部44の表示部分の下部には、発光ダイオードが配置され、後述する火力投入可能範囲および投入火力レベルを発光ダイオードの点灯によって行う構成となっている。発光ダイオードの点灯は、例えば、スタンバイ時に青点灯し、火力投入時には火力投入レベルに応じて赤点灯で表示する構成としている。
【0069】
その他、揚げ物を行うためのメニューキー、およびタイマー用スイッチ等が配置されている。
【0070】
基本的な操作の手順としては、入切スイッチ41を押して第1加熱手段6を加熱スタンバイ状態としたのち、火力スイッチ42によって所望の火力を設定し、もしくは3kWキー43を押して加熱を開始する。加熱を止める場合には、入切スイッチ41を再度押して加熱を停止させる。
【0071】
図8は、実施の形態3に係る加熱調理器における操作表示部の表示状態を説明する図である。
以下、本実施の形態3の表示動作について、
図8を用いて説明する。
【0072】
(正常状態)
系統電源110が正常の場合、上述したように、通信手段10は、正常状態の通信情報を受信する。制御手段5は、正常状態の通信情報を取得した場合には、加熱調理器1に対して電力制限や、各加熱口に対する使用不可の設定(優先順位付け)を行わない。
このため、
図8の「A.系統電源正常」で示すように、入切スイッチ41が押されてスタンバイ状態となると、制御手段5は、動作状態表示部44の「1」〜「8」および「3kW」を青色で点灯させる。
【0073】
スタンバイ状態になったのち、使用者が火力スイッチ42を使用して所望の火力に設定し、加熱する(
図8のAでは火力「6」の状態)。
このときの制御手段5は、動作状態表示部44の火力レベル「1」から「6」までを赤色で点灯させ、火力レベル「7」、「8」、「3kW」を青色で点灯させる。つまり、第1加熱手段6へ入力している電力(火力)レベルまでを赤色で点灯させ、火力設定が可能な残りの範囲を青色で点灯させる。
【0074】
(遮断状態)
系統電源110が系統遮断(停電)の場合、上述したように、通信手段10は、系統遮断(停電)の通信情報を受信する。制御手段5は、系統遮断(停電)の通信情報を取得した場合、実施の形態1で説明した加熱手段へ入力される電力の制御、または、実施の形態2で説明した加熱手段の使用可否の制御を実施する。
【0075】
加熱手段へ入力される電力を制限する動作を行う場合、
図8の「B.系統電源遮断(停電)」に示すように、入切スイッチ41が押されてスタンバイ状態となると、制御手段5は、動作状態表示部44の制限された投入可能範囲である火力レベル「1」から「5」までを青色で点灯させる。
【0076】
スタンバイ状態になったのち、使用者が火力スイッチ42を使用して所望の火力に設定し、加熱する(
図8のBでは火力「3」の状態)。
このときの制御手段5は、動作状態表示部44の火力レベル「1」から「3」までを赤色で点灯させ、火力レベル「4」、「5」を青色で点灯させる。つまり、第1加熱手段6へ入力している電力(火力)レベルまでを赤色で点灯させ、火力設定が可能な残りの範囲を青色で点灯させる。そして、電力制限により投入できない火力レベルは消灯状態にする。
【0077】
このように、制御手段5は、加熱開始前の待機状態(スタンバイ状態)においては、加熱手段へ入力できる電力の範囲を操作表示部4に表示させ、加熱動作開始後においては、加熱手段へ入力されている電力の大きさと、加熱手段へ入力できる電力の範囲とを操作表示部4に表示させる。
【0078】
また、加熱手段を使用不可に設定した場合、使用不可に設定された加熱手段に対応する操作表示部4において、入切スイッチ41の操作によりスタンバイ状態に移行させる操作がなされたとしても、制御手段5は、動作状態表示部44を青色に点灯させず、消灯状態のままとする。これにより、使用者に使用できないことを報知することが可能となる。
なお、表示とあわせて、使用不可に設定された加熱手段の入切スイッチ41の操作が行われたときに、音声による報知を付加することでより一層わかりやすく報知することが可能となる。
【0079】
以上のように本実施の形態3においては、通信手段10で受信した系統電源110の状態もしくは加熱調理器1に供給されている供給電源の状態(系統電源110か外部電源120か)によって、投入可能な電力範囲が変化する場合に、実際に投入可能な電力範囲を表示するようにしているので、正常時とは異なり、電力制限がかかっていることを使用者は容易に認識することが可能であり、使用中に混乱を生じることが無い。
【0080】
また、投入可能範囲と実際に投入されている火力レベルを合わせて表示するようにしているので、電力制限がかかった状態で加熱動作している場合でも、投入可能な範囲を示すことが可能であるので、スタンバイ時だけでなく常に電力制限がかかっていることを認識可能である。
【0081】
なお、本実施の形態3では、動作状態表示部44に青、赤の2色の発光ダイオードを用いたもので説明したが、投入可能範囲と実際の投入火力レベルが表現できれば良い。例えば、
図8のBで示す停電時の場合、投入可能範囲を示す「5」の表示を赤点滅させ、実際に投入されている火力レベル「1」から「3」までを点灯表示とすると、赤一色の発光ダイオードで構成することも可能であり、より低コスト、少ない部品で構成することが可能である。
【0082】
さらに、本実施の形態3では発光ダイオードを使用して使用者へ電力制限範囲の報知を行う構成で説明したが、これに音声を付加して報知してよく、たとえば『スタンバイ時に投入可能範囲は火力レベル「5」までです。』と言った音声報知をすることでより一層使用者は電力制限を認識することが可能になる。
またこの音声報知は電力制限がかかっている場合のみの発声とすることで、注意喚起することも可能である。