(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
鉄道車両を制御する遠隔制御システムであって、前記鉄道車両は、当該鉄道車両を進ませるよう当該鉄道車両に牽引力を与えるスロットルと、当該鉄道車両に制動力を与えるブレーキシステムとを有する遠隔制御システムにおいて、
コマンド信号を送信するように構成された遠隔制御装置であり、タッチセンサー技術を含む少なくとも一つのハンドルを有し、前記少なくとも一つのハンドルがユーザと接触した場合を検出するように構成された遠隔制御装置と、
前記鉄道車両に接続され、前記遠隔制御装置と通信する第1のコントローラモジュールであり、
前記鉄道車両の一式の所定機能をモニタし、
前記遠隔制御装置から、前記鉄道車両の前記一式の所定機能を制御するためのコマンド信号を受け取り、かつ、
前記遠隔制御装置に対して、前記鉄道車両の実時間情報を提供する、
ように構成された第1のコントローラモジュールと、
前記遠隔制御装置とは離れたところにある少なくとも一つの携帯安全スイッチであり、前記第1のコントローラモジュールと通信し、停止スイッチを含む、少なくとも一つの携帯安全スイッチと、
を含み、
前記停止スイッチが、実行されると、
前記少なくとも一つの携帯安全スイッチは、前記鉄道車両を停止するために前記第1のコントローラモジュールに対して停止信号を送信し、
前記第1のコントローラモジュールは、前記少なくとも一つの携帯安全スイッチから前記第1のコントローラモジュールへ前記停止信号が送信されたとの通知信号を、離れたところにある前記遠隔制御装置に対して送信する、
システム。
鉄道車両を制御する遠隔制御システムであって、前記鉄道車両は、当該鉄道車両を進ませるよう当該鉄道車両に牽引力を与えるスロットルと、当該鉄道車両に制動力を与えるブレーキシステムとを有する方法において、
前記鉄道車両の一式の所定機能を制御するために、遠隔制御装置から第1のコントローラモジュールに対してコマンド信号を送信するステップであり、
前記遠隔制御装置は、タッチセンサー技術を含む少なくとも一つのハンドルを有し、前記少なくとも一つのハンドルがユーザと接触した場合を検出するように構成されており、
前記遠隔制御装置は、さらに、触知技術を含み、
前記第1のコントローラモジュールは、前記鉄道車両に接続され、前記遠隔制御装置と通信する、ステップと、
前記鉄道車両の前記一式の所定機能を制御するために、前記第1のコントローラモジュールにおける前記遠隔制御装置からコマンド信号を受け取るステップと、
前記第1のコントローラモジュールによって、前記鉄道車両の一式の所定機能をモニタするステップと、
前記第1のコントローラモジュールによって、前記鉄道車両の前記モニタされた一式の所定機能に関する実時間情報を前記遠隔制御装置に対して提供するステップと、
前記実時間情報を前記遠隔制御装置上に表示するステップと、
を含み、
前記遠隔制御装置は、さらに、前記遠隔制御装置とは離れたところにある少なくとも一つの携帯安全スイッチであり、前記第1のコントローラモジュールと通信し、停止スイッチを含む、少なくとも一つの携帯安全スイッチと、
を含み、
前記停止スイッチが、実行されると、
前記少なくとも一つの携帯安全スイッチは、前記鉄道車両を停止するために前記第1のコントローラモジュールに対して停止信号を送信し、
前記第1のコントローラモジュールは、前記少なくとも一つの携帯安全スイッチから前記第1のコントローラモジュールへ前記停止信号が送信されたとの通知信号を、離れたところにある前記遠隔制御装置に対して送信する、
方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、鉄道車両12を制御する遠隔制御システム10に関する。鉄道車両の例には、機関車及び点検用車両等があるが、これらに限定されない。ここで図面、より具体的には
図1を参照して、本発明に従って構成される遠隔制御システム10が示されている。本発明の一実施形態で、遠隔制御システム10は、遠隔制御装置14と、鉄道車両12に搭載されるよう構成される第1のコントローラモジュール16とを有する。本発明の一実施形態で、遠隔制御システム10は、鉄道車両12を停止させるよう第1のコントローラモジュール16に停止信号を送信する携帯型安全スイッチ18を更に有する。
【0010】
遠隔制御装置14は、鉄道車両12によって実行されるべきコマンドを示すユーザからのコマンド信号を受信する入力部20を有する。コマンド信号は、速度コマンド、制動コマンド、方向コマンド、減速コマンド、惰走コマンド等を含む(がそれらに限定されない)有用なコマンドを伝えることができる。遠隔制御装置14は、入力部20と通信してコマンド信号を受け取る処理ユニット22を更に有する。処理ユニット22は、鉄道車両12によって実行されるべきコマンドを無線通信リンク24を介して第1のコントローラモジュール16に伝える信号を送信する。無線通信リンク24は、遠隔制御装置14から第1のコントローラモジュール16へ所望の情報を送信可能である如何なる適切な通信リンクであってもよく、例えば、無線周波数、マイクロ波通信、赤外線通信、衛星リンク等である。
【0011】
本発明の具体的な実施形態において、遠隔制御装置14は、鉄道車両12から遠く離れた操作者によって持ち運ばれるポータブルユニットである。しかし、代替の実施形態で、遠隔制御装置14は、例えば制御塔や操作卓等、鉄道車両12から遠い場所に取り付けられた固定の装置である。
【0012】
第1のコントローラモジュール16は、鉄道車両12に搭載されるのに適している。第1のコントローラモジュール16は、遠隔制御装置14から無線通信リンク24を介して送信された信号を受信する入力部26を有する。第1のコントローラモジュール16は、遠隔制御装置14から送信された信号に基づいて局所制御信号を生成する処理モジュール28を更に有する。本明細書において更により詳細に記載されるように、コマンド信号が特定のコマンド信号について遠隔制御装置14から第1のコントローラモジュール16に送信される場合、処理モジュール28は、遠隔制御装置14が送信した信号によって伝えられるコマンドを鉄道車両12に実行させるために、局所制御信号を制御インターフェース30に発することができる。
【0013】
本開示のために、語「制御インターフェース30」は、広く、第1のコントローラモジュール16によって発せられた様々な局所制御信号を実行するために列車に置かれている様々なアクチュエータの集合をいう。このようなアクチュエータの例には、とりわけ、スロットル及びブレーキを制御するアクチュエータがある。
【0014】
携帯型安全スイッチ18は、停止信号を実行する停止スイッチ32と、解除スイッチ34とを有する。携帯型安全スイッチ18は、第1のコントローラモジュール16と通信し、これにより、停止スイッチ32の実行時に、停止信号が携帯型安全スイッチ18から第1のコントローラモジュール16へ無線通信リンク36を介して送信される。当然、無線通信リンク36は、本願で記載される無線通信リンク24と同じように動作する。携帯型安全スイッチ18は、鉄道車両12の遠隔制御の近傍範囲内にいて、何らかの危険な状況が存在するかどうかを決定する者によって持ち運ばれてよく、何らかの危険な状況が存在する場合には、鉄道車両12の遠隔制御の近傍範囲内にいるその者は、携帯型安全スイッチ18の停止スイッチ32を実行することによって停止信号を起動することができる。携帯型安全スイッチ18の解除スイッチ34は、再び遠隔制御装置14を用いて鉄道車両12を制御しても安全であると遠隔制御装置14のユーザに知らせるよう、鉄道車両12の遠隔制御の近傍範囲内にいる者によって実行されてよい。鉄道車両12の遠隔制御の近傍範囲内にいる者によって携帯型安全スイッチ18の停止スイッチ32が実行されると、速やかに鉄道車両12を停止させるべく第1のコントローラモジュール16に信号が送信される。
図1には携帯型安全スイッチ18が1つしか示されていないが、当然に、本発明の遠隔制御システム10は、遠隔制御装置14によって鉄道車両12を安全にモニタするのに望まれるならば携帯型安全スイッチ18を幾つでも有することができる。停止信号は、第1のコントローラモジュール16に送られて、適切なコマンド信号を鉄道車両12に与えるとともに、停止信号が携帯型安全スイッチ18から第1のコントローラモジュール16へ送信されたとの通知を遠隔制御装置14に与える。当然に、携帯型安全スイッチ18によって起動されて第1のコントローラモジュール16へ送信される停止信号は、鉄道車両12を停止(例えば、当業者によって理解される鉄道車両の普通の停止又は緊急停止)させるような如何なるタイプの信号であってもよい。
【0015】
携帯型安全スイッチ18の具体的な実施が
図2に示されている。停止スイッチ32及び解除スイッチ34に加えて、携帯型安全スイッチ18は筐体38と、筐体38に接続されているアンテナ40とを有する。
図2は携帯型安全スイッチ18の具体的な実施を示しているが、当然に、携帯型安全スイッチ18は、停止スイッチ32及び解除スイッチ34を有し、それにより、停止信号が鉄道車両12を停止させるべく第1のコントローラモジュール16に送信されるならば、如何なる態様で実施されてもよい。
【0016】
ここで
図3を参照して、参照符号10aによって表される遠隔制御システムの他の実施形態が示されている。遠隔制御システム10aは、遠隔制御システム10に関して本願で記載された鉄道車両12、遠隔制御装置14、第1のコントローラモジュール16、及び携帯型安全スイッチ18を有する。遠隔制御システム10aは、鉄道車両12、遠隔制御装置14、第1のコントローラモジュール16、及び携帯型安全スイッチ18をモニタするコマンドセンタ44を更に有する。遠隔制御システム10aの鉄道車両12は、鉄道車両12の位置を遠隔制御装置14に、そして、遠隔制御装置14のユーザに提供するようGPS装置46を更に設けられる。GPS装置46は、鉄道車両12に取り付けられ、第1のコントローラモジュール16と通信し、鉄道車両12の位置を遠隔制御装置14へ無線通信リンク24を介して送信する。当然、GPS装置46は、例えば無線通信リンク又はハードウェア通信リンク等の、通信を保つのに適した当該技術で知られる如何なる方法によっても、第1のコントローラモジュール16と通信することができる。本発明の他の実施形態で、遠隔制御システム10aの遠隔制御装置14は、遠隔制御装置14及び/又は遠隔制御装置14のユーザの位置を提供するようGPS装置48を有する。本発明の更なる実施形態で、遠隔制御システム10aの携帯型安全スイッチ18は、携帯型安全スイッチ18の位置及び/又は携帯型安全スイッチ18を持ち運び鉄道車両12をモニタしている者の位置を提供するようGPS装置50を有する。本発明の他の実施形態で、コマンドセンタ44は、遠隔制御システム10aに基準点を提供し、それによって、遠隔制御装置14、携帯型安全スイッチ18、及び鉄道車両12のより信頼できる位置決めを夫々のGPS装置48,50及び46を介して提供するよう、GPS装置51を設けられる。当然、GPS装置46、48、50及び51は、グローバル・ポジショニング・システムのための当該技術で知られる如何なる適切な方法によっても(例えば、米国GPS、グローバル・ナビゲーション・サテライト・システム(ガリレオ)及びグローバル・ナビゲーション・サテライト・システム(ロシアのGLONASS)の衛星を介して)通信することができる。
【0017】
遠隔制御システム10aのコマンドセンタ44は、携帯型安全スイッチ18、遠隔制御装置14、及び鉄道車両12の位置を夫々のGPS装置50、48及び46を介してモニタし追跡する。コマンドセンタ44は、鉄道車両12の遠隔制御に関する様々なタイプの情報を保持し表示することができる。この情報は、遠隔制御装置14、第1のコントローラモジュール16、及び/又は携帯型安全スイッチ18から受信され得る。コマンドセンタ44が保持し表示することができる情報の例には、場所特定転落警報(man down alarm)、鉄道車両維持速度、所望の列車速度、実際の列車速度、メインタンクの油層圧、列車のブレーキ状態、列車のブレーキ圧力、単独のブレーキ状態、単独のブレーキ圧力、列車の電流読取、第1のコントローラモジュールの位置、携帯型安全スイッチの位置、コマンド、普通語診断(plain language diagnostics)等があるが、これらに限られない。コマンドセンタ44は、また、警報状態の場合に警告装置を制御することもできる。典型的な警告装置はベル、ホーン、ライト又はそれらの組合せである。
【0018】
ここで
図4を参照して、参照符号10bによって表される本発明に従う遠隔制御システムの他の実施形態が示されている。遠隔制御システム10bは、遠隔制御システム10について本願で記載された鉄道車両12、遠隔制御装置14、第1のコントローラモジュール16、及び携帯型安全スイッチ18を有する。本実施形態で、鉄道車両12は、鉄道車両12を進ませるよう鉄道車両12に牽引力を与えるスロットル54と、鉄道車両12に制動力を与えるブレーキシステム56とを設けられている。ブレーキシステム56は、測定可能な圧力を有して加圧流体を有する独立したブレーキ58と、測定可能な圧力を有して流体を有する列車ブレーキ60と、独立したブレーキ58及び列車ブレーキ60に流体圧力を与え、やはり測定可能な圧力を有する流体を有するメインタンク容器62とを有する。当然、本願で記載される如何なる列車12も、スロットル54、ブレーキシステム56、独立したブレーキ58、列車ブレーキ60、メインタンク容器62、又はそれらのいずれかの組合せを備えてよい。また、当然、本願で使用される流体は、列車12を停止させるよう加圧される又は加圧されない如何なる液体又はガス(例えば、空気又は水)であってもよい。
【0019】
図4に示される本発明の実施形態で、遠隔制御システム10bは、第1のコントローラモジュール16と同じようにして鉄道車両12に取り付けられた第2のコントローラモジュール64を更に設けられる。本実施形態で、第1のコントローラモジュール16は、鉄道車両12の第1の組の所定機能68をモニタする第1のセンサ66を設けられ、第2のコントローラモジュール64は、鉄道車両12の第2の組の所定機能72をモニタするよう第2のセンサ70を設けられる。鉄道車両12に取り付けられた第1のコントローラモジュール16は、鉄道車両12の安全な操作性を確かにするよう鉄道車両12の第1の組の所定機能68をモニタする。第2のコントローラモジュール64は、鉄道車両12の安全な操作性を更に確かにするよう鉄道車両12の第2の組の所定機能72をモニタする。鉄道車両12に取り付けられた第2のコントローラモジュール64は、鉄道車両12の第1のコントローラモジュール16と同じように動作する。例えば、鉄道車両12に取り付けられた第2のコントローラモジュール64は、別個の無線通信リンク74を介して遠隔制御装置14と通信する。当然、無線通信リンク74は、本願で記載された無線通信リンク24と同じように動作する。
【0020】
鉄道車両12の第1の組の所定機能68及び第2の組の所定機能72は、鉄道車両12を制御するのに必要な鉄道車両12の如何なる機能であってもよい。第1及び第2の組の所定機能68及び72の所定機能の例には、鉄道車両12のメインタンク容器62の圧力、鉄道車両12の独立したブレーキ58の圧力、鉄道車両12の列車ブレーキ60の圧力、鉄道車両12のスロットル54等があるが、これらに限られない。当然、鉄道車両12の第1及び第2の組の所定機能68及び72の所定機能は、鉄道車両12を操作し制御するための、当業者によって知られる如何なる機能であってもよい。
【0021】
本発明の具体的な実施形態で、第1のコントローラモジュール16の第1のセンサ66は、メインタンク容器62に含まれる流体の圧力をモニタし、遠隔制御装置14に送信される第1のセンサ66からの出力を供給する。同様に、第2のコントローラモジュール64の第2のセンサ70は、独立したブレーキ58に含まれる流体の圧力をモニタし、独立したブレーキ58に含まれる流体の圧力を示す、第2のコントローラモジュール64の第2のセンサ70から遠隔制御装置14への出力を供給する。鉄道車両12のスロットル54は、メインタンク容器62に含まれる流体の圧力が所定のメインタンク容器レベルを上回り、且つ、独立したブレーキ58に含まれる流体の圧力が所定の独立ブレーキレベルを下回るまで、起動されず、鉄道車両12に牽引力を与えない。
【0022】
本発明の一実施形態で、メインタンク容器62における圧力が90p.s.i(6.2バール)を下回る場合には、メインタンク容器62の警告が点灯し、ブザーが鳴る。第1のコントローラモジュール16は、メインタンク容器62の圧力が90p.s.i(6.2バール)を下回っている場合に、最初に鉄道車両12の動作を無効とする。動作中、メインタンク容器62の圧力が90p.s.i(6.2バール)を下回るならば、視覚的及び聴覚的な警告が第1のコントローラモジュール16によって自動的に起動され、遠隔制御装置14に送信される。その状態が10秒を越えて続くならば、第1のコントローラモジュール16は、ブレーキシステム56により列車を減速して停止させる。
【0023】
列車ブレーキ60の圧力が85p.s.i(5.86バール)より小さい場合は、列車ブレーキ60のインジケータが点灯する。第1のコントローラモジュール16及び/又は第2のコントローラモジュール64は、列車ブレーキ60における流体の圧力が85p.s.i(5.86バール)より小さい場合に、最初に鉄道車両12の動作を無効とする。しかし、列車ブレーキ60における流体の圧力が45p.s.i(3.1バール)を下回るならば、第1のコントローラモジュール16及び/又は第2のコントローラモジュール64は、ブレーキシステム56により鉄道車両12を減速して停止させる。
【0024】
独立したブレーキ58のインジケータは、独立したブレーキ58における流体の圧力が5p.s.i(0.34バール)より大きいときはいつでも点灯し、ブレーキシステム56の動きが鈍っている可能性を示す。
【0025】
図4に示される本発明の他の実施形態で、遠隔制御システム10bの遠隔制御装置14は、遠隔制御装置14が略水平な位置から所定量傾けられる場合に遠隔制御装置14に警告信号を与える傾き認識装置76と、遠隔制御装置14が略安定な位置から所定量振動する場合に遠隔制御装置14に警告信号を与える振動検出装置78と、遠隔制御装置14が所定の衝撃レベルを上回って衝撃を加えられる場合に遠隔制御装置14に警告信号を与える衝撃検出装置80と、傾き認識装置76、振動検出装置78及び衝撃検出装置80のいずれかの組合せとを更に設けられている。傾き認識装置76は、遠隔制御システム10bが故障状態に入る前に、所定時間、遠隔制御装置14に警告信号を与える。遠隔制御システム10bが故障状態に入る場合、停止信号が、鉄道車両12の安全な停止を開始するように、第1のコントローラモジュール16に送信される。傾き認識装置76によって生成される潜在的な故障状態は、遠隔制御装置14のユーザによる警告信号の取り消しによって、又は略水平な位置に遠隔制御装置14を再配置することによって、回避可能である。本発明の一実施形態で、遠隔制御装置14が少なくとも2秒以上略水平な位置から傾けられると、警告信号は、遠隔制御システム10bが故障状態に入る前に、少なくとも4秒間遠隔制御装置14に与えられる。
【0026】
傾き認識装置76と同じく、振動検出装置78は、遠隔制御システム10bが故障状態に入る前に、所定時間、警告信号を与える。更に、振動検出装置78によって生成される潜在定な故障状態は、遠隔制御装置14のユーザによる警告信号の取り消しによって、又は略安定な状態に遠隔制御装置14を再配置することによって、回避可能である。本発明の一実施形態で、遠隔制御装置14が少なくとも2秒以上略安定な位置から振動すると、警告信号は、遠隔制御システム10bが故障状態に入る前に、少なくとも4秒間遠隔制御装置14に与えられる。
【0027】
遠隔制御装置14が所定の衝撃レベルを上回って衝撃を加えられる場合に警告信号を遠隔制御システム10bに与えることに加えて、衝撃検出装置80は、遠隔制御装置14が第2の所定レベルを上回って衝撃を加えられる場合に、更に、第2の警告信号を遠隔制御装置14に与える。遠隔制御装置14が第2の所定の衝撃レベルを上回って衝撃を加えられると、第2の警告信号は、遠隔制御システム10bが故障状態に入る前に、所定時間、遠隔制御装置14に与えられる。潜在的な故障状態は、遠隔制御装置14のユーザによる警告信号の取り消しによって回避可能である。当然、傾き認識装置76、振動検出装置78及び衝撃検出装置80の夫々の警告信号は、例えば音声による警告又は視覚的な警告等、遠隔制御装置14のユーザに通知を与える如何なる信号であってもよい。
【0028】
本発明の他の実施形態で、遠隔制御システム10bは、遠隔制御装置14と第1のコントローラモジュール16(実装されている場合には、更に、第2のコントローラモジュール64)との間の通信が所定時間失われる場合に、故障状態に入る。一実施形態で、遠隔制御システム10bは、遠隔制御装置14と第1のコントローラモジュール16(実装されている場合には、更に、第2のコントローラモジュール64)との間の通信が5秒よりも長い時間失われる場合、故障状態に入る。
【0029】
遠隔制御システム10bが故障状態に入り、鉄道車両12の制御が切られる場合、様々なプロシージャが、鉄道車両12の制御が遠隔制御装置14のユーザに回復される前に、行われる必要がある。鉄道車両12の制御を回復するために用いられる幾つかのプロシージャは遠隔制御装置14で実行されてよく、一方、他のプロシージャは第1のコントローラモジュール16及び/又は鉄道車両12で実行されなければならない。故障状態及び故障状態からの鉄道車両12の回復に関する更なる情報はEN50239(鉄道アプリケーション。貨物輸送用の牽引車の無線遠隔制御システム)で見受けられる。
【0030】
本発明の一実施形態で、遠隔制御装置14は、鉄道車両12から一定距離にある操作者によって持ち運ばれるよう構成されている携帯型の遠隔制御装置14である。遠隔制御装置14の物理的なレイアウトの具体的な限定されない例が、
図5に示されている。
図5に示される遠隔制御装置14は、電気回路を内蔵する筐体81と、電力を供給するバッテリ(図示せず。)と、第1のコントローラモジュール16を介して与えられる鉄道車両12の実時間情報を表示する大型映像ディスプレイ82とを有するポータブルユニットの形態をとる。大型映像ディスプレイ82は、第1のコントローラモジュール16から遠隔制御装置14に与えられた実時間情報を表示可能ならば如何なるタイプのディスプレイであってもよい。このようなディスプレイの例には、陰極線管、双安定ディスプレイ、電子ペーパー、電気泳動ディスプレイ、ニキシー管ディスプレイ、エレクトロルミネセントディスプレイ、プラズマディスプレイパネル、発光ダイオード、液晶ディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ、高性能アドレッシングディスプレイ、薄膜トランジスタディスプレイ、有機発光ダイオードディスプレイ、表面電界ディスプレイ、レーザTVディスプレイ、カーボンナノチューブディスプレイ、及びナノ結晶ディスプレイがあるが、これらに限られない。また、大型映像ディスプレイ82は、実時間情報を遠隔制御装置14のユーザが見ることができるならば如何なる大きさであってもよい。本発明の一実施形態で、大型映像ディスプレイ82は、約2.5インチよりも大きい対角長さを有する。本発明の他の実施形態で、大型映像ディスプレイ82は、約3.5インチよりも大きい対角長さを有する。本発明の更なる実施形態で、大型映像ディスプレイ82は、約5インチよりも大きい対角長さを有する。本発明の他の実施形態で、大型映像ディスプレイ82は、約7インチよりも大きい対角長さを有する。
【0031】
本願で記載されるあらゆる実施形態で、大型映像ディスプレイ82はタッチスクリーンを設けられてよく、鉄道車両12によって実施されるべきコマンドを遠隔制御装置14から第1のコントローラモジュール16へ伝えるために、実行可能なコマンドオプションをユーザに提供する。大型映像ディスプレイ82は、タッチスクリーンとして機能することができるならば如何なるタイプのスクリーンを設けられてもよい。タッチスクリーンの例には、抵抗膜方式のタッチスクリーン、赤外線方式のタッチスクリーン、弾性表面波方式のタッチスクリーン、容量方式のタッチスクリーン、歪みゲージ方式のタッチスクリーン、光学画像方式のタッチスクリーン、分散信号方式のタッチスクリーン、音響パルス認識方式のタッチスクリーン、及びFTIR(frustrated total internal reflection)方式のタッチスクリーンがあるが、これらに限られない。また、大型映像ディスプレイ82は、大型映像ディスプレイ82に表示される情報の視認性を改善するようバックライトを設けられてよい。
【0032】
大型映像ディスプレイ82に加えて、遠隔制御装置14は、大型映像ディスプレイ82の両側に配置されたレバー83a及び83bを設けられる。これらのレバーは、コマンド信号を入力するためにユーザによって操作可能である。具体的に、大型映像ディスプレイ82の左側に配置されたレバー83aを操作することで、ユーザは、鉄道車両12の列車ブレーキ60を適用することができる。制御レバー83aと同じく、制御レバー83bは、大型映像ディスプレイ82の右側に配置され、これにより、ユーザは、鉄道車両12の独立したブレーキ58及びスロットル54を制御することができる。当然、遠隔制御装置14は、レバーを幾つ設けられてもよく、それによって、本願で記載される鉄道車両12に何らかの機能を提供する。遠隔制御装置14は、遠隔制御装置14の様々な他のコマンドを制御する複数の制御装置84を更に設けられる。制御装置84は、信号及び/又はコマンドを起動するための、当該技術で知られる如何なるノブ、ボタン、レバー、トグルスイッチ等であってよい。他のコマンド及び/又は信号の例には、オン/オフコマンド、ベル/ホーン動作、変流器(reverser)スイッチ、リセット安全回路(RSC(Reset Safety Circuit))等があるが、これらに限られない。遠隔制御装置14は、また、速やかに且つ安全に鉄道車両12を完全停止に至らせるよう第1のコントローラモジュール16に緊急停止機能を提供する緊急停止スイッチ86を設けられる。遠隔制御装置14の緊急停止スイッチ86は、ボタン、トグルスイッチ等、遠隔制御装置14のユーザが起動することができるならば如何なるタイプのスイッチであってもよい。
【0033】
遠隔制御システム10、すなわち遠隔制御装置14は、遠隔制御システム10及び遠隔制御装置14が動作可能である複数の周波数を与えられる。本発明の一実施形態で、遠隔制御システム10は、遠隔制御システム10が動作可能である複数の周波数から選択された2つの異なった周波数で動作してよい。例えば、遠隔制御システム10が実装されている鉄道操車場は、特定の周波数を使用するライセンスを有することがあり、鉄道操車場の近くでしかその周波数を使用することができない。鉄道車両12がその所与の領域又は鉄道操車場の外にある場合は、別の周波数が使用されるべきである。本発明は、遠隔制御システム10が、鉄道操車場がライセンスを供与されている特定の周波数で動作し、鉄道操車場の所与の領域の外では別の周波数でシームレスに動作することができるように、構成されてよい。2つの異なった周波数は、本発明に従う遠隔制御システム10を実施する者によって手動で選択されてよい。本発明の他の実施形態で、遠隔制御システム10は、鉄道車両12のGPS装置46及び遠隔制御装置14のGPS装置48によって与えられる遠隔制御システム10の場所によって、遠隔制御システム10が動作可能である複数の周波数から自動で周波数を選択することができる。使用される周波数の例には、419〜480MHz、865.6〜867.6MHz、902〜928MHz、952〜954MHz、2.4〜2.6GHz及びそれらの組合せの範囲での周波数があるが、これらに限られない。当然、遠隔制御システム10及び遠隔制御装置14は、遠隔制御システム10を操作するのに必要な信号を搬送するのに適しているあらゆる周波数で動作するよう構成されてよい。
【0034】
図6A〜6Dで示されるように、遠隔制御装置14の大型映像ディスプレイ82は、多種多様な画面オプションを与えられる。
図6Aは動作制御画面88を示し、
図6BはGPS画面90を示し、
図6Cはピッチ(pitch)画面92を示し、
図6Dはキャッチ(catch)画面94を示す。動作制御画面88は、遠隔制御装置14を使用して、鉄道車両12の移動(又は動作)をモニタし、鉄道車両12の運転を制御するのに必要なあらゆる情報を与えられてよい。遠隔制御装置14の動作制御画面88に与えられる情報の例には、方向情報、速度情報、メインタンク容器の圧力、列車ブレーキの圧力、原動力ブレーキの圧力、鉄道車両12の燃料の量等があるが、これらに限られない。動作制御画面88は、また、ベル(“Bell”)やホーン(“Horn”)、大型映像ディスプレイ82をGPS画面90に切り替える“GPS”、光スイッチ“Light”等の実行可能なタッチスクリーン機能を与えられる。当然、動作制御画面88は、鉄道車両12の移動及び機能を安全に且つ効率的にモニタし制御するように、実行可能なタッチスクリーンボタンを幾つ有してもよい。
【0035】
遠隔制御装置14のGPS画面90は、遠隔制御システム10が実施されている領域の地
図96を表示する。GPS画面90の地
図96は、鉄道車両12、遠隔制御装置14のユーザ、及び本発明のいずれかの所与の実施形態で使用される何らかの携帯型安全スイッチ18の位置を示す。鉄道車両12、遠隔制御装置14、及び携帯型安全スイッチ18は、鉄道車両12のGPS装置46と、遠隔制御装置14及び携帯型安全スイッチ18の夫々のGPS装置48及び50とを介して画面上に示される。GPS画面90は、更に、遠隔制御装置14のユーザによって鉄道車両12の何らかの所望の機能を制御するよう、複数の実行可能なタッチスクリーンボタンを設けられる。GPS画面90は、また、鉄道車両12の移動の速度及び方向を表示する。
【0036】
図6C及び6Dのピッチ画面92及びキャッチ画面94は、鉄道車両12の遠隔制御のピッチ及びキャッチを完了するために使用される。鉄道車両12の移動の速度及び方向は両方とも、ピッチ画面92及びキャッチ画面94に表示される。ピッチ画面92は、目下鉄道車両12を制御しているユーザの遠隔制御装置14で表示される。対照的に、キャッチ画面94は、鉄道車両12の制御待ちをしている他のユーザによって制御される別の遠隔制御装置14で表示される。ピッチ画面92は、鉄道車両12を制御することができる作動中の遠隔制御装置のリスト98と、他の遠隔制御装置14の他のユーザに鉄道車両12の制御を投げるよう遠隔制御装置14のユーザが利用可能なピッチ機能の組100とを与えられる。ピッチ画面92上の動作中の遠隔制御装置のリスト98及びピッチ機能の組100は、大型映像ディスプレイ82上のボタンを押すことによって遠隔制御装置14のユーザによって起動される実行可能なタッチスクリーンボタンである。キャッチ画面94は、鉄道車両12の制御を投げることができる動作中の遠隔制御装置の第2のリスト102と、鉄道車両12の制御を行っている(捕らえている)遠隔制御装置のユーザ実行可能なオプションを提供するキャッチ機能の組104とを与えられる。
【0037】
使用において、ピッチ画面92及びキャッチ画面94は、鉄道車両12の遠隔制御を移すために協働する。鉄道車両12の遠隔制御を有する第1の遠隔制御装置14が選択される。第1の遠隔制御装置14は大型映像ディスプレイ82を設けられ、そのディスプレイ上ではピッチ画面92が選択されており、鉄道車両12の遠隔制御を移されてよい動作中の遠隔制御装置のリスト98を提供する。次いで、鉄道車両12の遠隔制御が移されることを望まれる第2の遠隔制御装置14が、動作中の遠隔制御装置のリスト98から選択される。第2の遠隔制御装置14が選択されると、移動要求が、鉄道車両12の指揮権を有する第1の遠隔制御装置14から、鉄道車両12に取り付けられた第1のコントローラモジュール16(又は第2のコントローラモジュール64)に送信される。移動要求が送信された後、第2の遠隔制御装置14からの移動要求の受理が第1のコントローラモジュール16を介して第1の遠隔制御装置14へ送信される。最終的に、移動の確認が第1の遠隔制御装置14から第2の遠隔制御装置14へ送信され、第2の遠隔制御装置14は、第1の遠隔制御装置14から指揮権を継ぐ。移動の確認が提示された後、第2の遠隔制御装置14は第2の指揮権信号を生成する。この信号は鉄道車両12の第1のコントローラモジュール16によって受信される。
【0038】
本発明の一実施形態で、遠隔制御システム10は、鉄道車両12の所望の速度を保つために使用される。遠隔制御装置14のユーザは、所定の方向において鉄道車両12を進ませるよう鉄道車両12に牽引力を与えるために、第1のコントローラモジュール16に信号を送信する。鉄道車両12に取り付けられたGPS装置46は、鉄道車両12が動き始めた後、鉄道車両12の位置及び速度を決定する。遠隔制御装置14のユーザは、鉄道車両12の速度が所望の速度に達するまで、鉄道車両12の速度をモニタする。鉄道車両12が、鉄道車両12に取り付けられたGPS装置46によって決定されて遠隔制御装置14に送信されるように、遠隔制御装置14のユーザによって望まれる特定の速度に達すると、遠隔制御装置14のユーザは、遠隔制御装置14でクルーズコマンドを実行して、クルーズ(cruise)コマンドが実行された所望の速度に鉄道車両12を保つ。クルーズコマンドは、遠隔制御装置14又は遠隔制御装置14の大型映像ディスプレイ82で使用可能な如何なるタイプのスイッチ又はボタンであってもよい。
【0039】
また、本発明は、遠隔制御システム10により鉄道車両12を制御する方法を対象とする。一実施形態で、遠隔制御装置14が設けられ、遠隔制御装置14は、鉄道車両12の実時間情報を表示し且つ鉄道車両12のコマンドオプションを提供するよう大型映像ディスプレイ82を有する。更に、鉄道車両12に接続され、遠隔制御装置14と通信する第1のコントローラモジュール16が設けられる。遠隔制御装置14は、遠隔制御装置14から第1のコントローラモジュール16へコマンド信号を送信する。遠隔制御装置14から送信されたコマンド信号は、鉄道車両12の第1の組の所定機能68を制御するよう第1のコントローラモジュール16によって受信される。鉄道車両12の第1の組の所定機能68は、第1のコントローラモジュール16を介して遠隔制御装置14によってモニタされる。最後に、遠隔制御装置14は、第1のコントローラモジュール16から実時間情報を提供され、この実時間情報は遠隔制御装置14の大型映像ディスプレイ82に表示される。
【0040】
本発明の他の実施形態で、特定の速度を保つ方法が提供される。遠隔制御装置14は、鉄道車両12を制御するよう信号を送信するために設けられる。鉄道車両12に接続される第1のコントローラモジュール16は、遠隔制御装置14と通信するよう設けられる。更に、携帯型安全スイッチ18が設けられ、第1のコントローラモジュール16と通信し、第1のコントローラモジュール16へ停止信号を与えて鉄道車両12を停止させる。遠隔制御装置14、第1のコントローラモジュール16及び携帯型安全スイッチ18が設けられる場合、コマンド信号は、鉄道車両12の第1の組の所定機能68を制御するよう、遠隔制御装置14から第1のコントローラモジュール16へ送信される。最後に、鉄道車両12の第1の組の所定機能68は、第1のコントローラモジュール16を介してモニタされる。
【0041】
本発明の他の実施形態で、鉄道車両の特定の速度を保つ方法が提供される。遠隔制御装置14は、鉄道車両12を制御するよう信号を送信するために設けられる。方法は、更に、鉄道車両12に接続され、遠隔制御装置14と通信する第1のコントローラモジュール16を設ける。方法は、また、鉄道車両12の位置及び速度を決定するために、鉄道車両12に取り付けられて第1のコントローラモジュール16と通信するGPS装置46を設ける。遠隔制御装置14、第1のコントローラモジュール16及びGPS装置46が設けられる場合、遠隔制御装置14からの信号は、所定の方向において鉄道車両12を進ませるために、第1のコントローラモジュール16を介してスロットル54に送信される。鉄道車両12が進んだ後、GPS装置46によって決定される鉄道車両12の位置及び速度は、第1のコントローラモジュール16を介して遠隔制御装置14へ送信される。最後に、信号は、GPS装置46によって決定されるように特定の速度が鉄道車両12によって達成されると、鉄道車両12の速度を特定の速度に保つよう遠隔制御装置14から第1のコントローラモジュール16へ送信される。
【0042】
本発明の更なる実施形態で、遠隔制御装置14は、更に、取り外し可能なプログラムボタンを設けられてよい。取り外し可能なプログラムボタンは、遠隔制御システム10のあらゆる所定の動作パラメータに関して遠隔制御装置14のプログラミング及びセットアップを全て記憶することができる。取り外し可能なプログラムボタンは、第1の遠隔制御装置14から取り外されて、第2の遠隔制御装置14に与えられてよく、第2の遠隔制御装置14は、遠隔制御システム10の所定の動作パラメータについてのプログラミング及びセットアップを提供される。
【0043】
当然、遠隔制御システム10、遠隔制御装置14、並びにコントローラモジュール16及び64は、例えばH−Link、USBポート及び/又は大型映像ディスプレイ82等の様々なセットアップインターフェースを用いて、本願で記載される遠隔制御システム10のいずれかの実施形態を実施するのを待っている個人又はエンティティによって、いずれかの好ましい方法で動作するようプログラムされてよい。当然、遠隔制御システム10、遠隔制御装置14、並びにコントローラモジュール16及び64は、EN50125−1(鉄道アプリケーション。設備の環境条件。鉄道車両を提供する設備。)EN50126(鉄道アプリケーション。信頼性、有用性、保全性及び安全性(RAMS)の規定及び証明)EN50128(鉄道アプリケーション。通信、シグナリング及びプロセッシングシステム。鉄道制御及び保護システムのためのソフトウェア)、EN50129(鉄道アプリケーション。通信、シグナリング及びプロセッシングシステム。シグナリングのための安全関連の電子システム)、EN50159−1(鉄道アプリケーション。通信、シグナリング及びプロセッシングシステム。閉じられた送信システムにおける安全関連の通信)、EN50159−2(鉄道アプリケーション。通信、シグナリング及びプロセッシングシステム。開放された送信システムにおける安全関連の通信)、EN50239(鉄道アプリケーション。貨物輸送のための牽引車の無線遠隔制御システム)、EN60870−5−1(遠隔制御設備及びシステム。送信プロトコル。送信フレームフォーマット)、EN61508(電気的/電子的/プログラム可能な電子的な安全関連システム)及びEN50325−4(コントローラ装置インターフェースのためのISO11898に基づく産業通信サブシステム(CAN)。CANオープン)で定義されるあらゆる動作基準も満足するよう構成及び設計されてよい。
【0044】
本発明の他の実施形態で、遠隔制御装置14は、本願で記載されるありとあらゆる他の特徴に加えて、機器フィードバックを提供し、動作ステータス(例えば、成功又は失敗)を提供し、直感的な操作のためのサポートを提供し、環境上邪魔なもの(例えば、ノイズ、グレア等)を軽減するよう触知技術(haptic technology)を設けられてよい。触知技術の例には、プログラム可能なロータリー制御(回転つまみ)、タッチスクリーン、タッチ面、タッチパネル、サムホイール、ジョイスティック制御等があるが、これらに限られない。
【0045】
遠隔制御装置14の物理的なレイアウトの他の具体的な限定されない例が
図7に示されている。
図7に示される遠隔制御装置14aは、電子回路を内蔵する筐体81aと、電力を供給するバッテリ(図示せず。)と、第1のコントローラモジュール16を介して与えられる鉄道車両12の実時間情報を表示する大型映像ディスプレイ82aとを有するポータブルユニットの形態をとる。大型映像ディスプレイ82aは、第1のコントローラモジュール16から遠隔制御装置14aに与えられる実時間情報を表示可能ならば、如何なるタイプのディスプレイであってもよい。このようなディスプレイの例には、陰極線管、双安定ディスプレイ、電子ペーパー、電気泳動ディスプレイ、ニキシー管ディスプレイ、エレクトロルミネセントディスプレイ、プラズマディスプレイパネル、発光ダイオード、液晶ディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ、高性能アドレッシングディスプレイ、薄膜トランジスタディスプレイ、有機発光ダイオードディスプレイ、表面電界ディスプレイ、レーザTVディスプレイ、カーボンナノチューブディスプレイ、及びナノ結晶ディスプレイがあるが、これらに限られない。また、大型映像ディスプレイ82aは、実時間情報を遠隔制御装置14aのユーザが見ることができるならば如何なる大きさであってもよい。本発明の一実施形態で、大型映像ディスプレイ82aは、約2.5インチよりも大きい対角長さを有する。本発明の他の実施形態で、大型映像ディスプレイ82aは、約3.5インチよりも大きい対角長さを有する。本発明の更なる実施形態で、大型映像ディスプレイ82aは、約5インチよりも大きい対角長さを有する。本発明の他の実施形態で、大型映像ディスプレイ82aは、約7インチよりも大きい対角長さを有する。
【0046】
本願で記載されるあらゆる実施形態で、遠隔制御装置14aは、何らかの形態の触知技術を設けられてよい。
図7に示される遠隔制御装置14aは、触覚方式のプログラム可能なロータリー制御110及び触覚方式のジョイスティック112を設けられている。
図7には1つずつしかロータリー制御110及び触覚ジョイスティック112が記載及び図示されていないが、当然、本発明は1つずつに限られない。従って、遠隔制御装置14又は14aは、触覚方式のプログラム可能なロータリー制御110及び触覚方式のジョイスティック112を全く有さなくても、あるいは1又はそれ以上の個数有してもよい。鉄道車両12を遠隔制御するために使用される所与のシステムを制御するために必要とされる何らかの機能が、触覚方式のプログラム可能なロータリー制御110及び触覚方式のジョイスティック112にプログラムにより割り当てられてよい。
【0047】
本発明の更なる実施形態で、遠隔制御装置14aのいずれの実施形態も、鉄道車両12の予め選択された機能と関連付けられている遠隔制御装置14aの所定の場所にユーザが触れる場合を検知するタッチセンサ技術を設けられてよい。タッチセンサ技術の例には、メソッドエレクトロニクス(Methode Electronics)社が販売するタッチセンサ技術があるが、これに限られない。当然、遠隔制御装置14aは、遠隔制御装置14aと組み合わせることができるならば、当該技術で知られる如何なるタッチセンサ技術を設けられてもよい。タッチセンサ技術は、遠隔制御装置14aに組み込まれて、遠隔制御装置14aによって制御される機能の長続きする確かな制御を遠隔制御装置14aに提供する。
【0048】
本発明の例となる実施形態で、
図7は、また、ハンドル113a及び113bを設けられた遠隔制御装置14aを示している。ハンドル113a及び/又は113bは、ハンドル113a及び113bのいずれか1つ又はその両方がユーザによって触れられる場合を検出するセンサ技術を設けられてよい。ハンドル113a及び/又は113bにおけるセンサ技術は、ハンドル113a及び/又は113bがユーザに接していない場合に、遠隔制御装置14aが動作することを防ぐ。反対に、センサ技術は、ハンドル113a又は113bの少なくとも1つがユーザによって触れられている(すなわち、保持されている)場合に、遠隔制御装置14aが動作することを可能にする。
【0049】
更に、
図7には本発明の他の実施形態が示されている。遠隔制御装置14aは、カメラ(図示せず。)と通信することができ、遠隔制御装置14aの何らかの画像表示技術においてユーザのコマンドで任意に表示される静止画像又はビデオ画像114を遠隔制御装置14aに提供する。カメラは、鉄道車両12を制御する場合にユーザが望む何らかのビューを得るために、ユーザが必要とする予め選択された場所に位置付けられてよい。これは、所望のコマンドが完了されたとのフィードバックをユーザに与えることができる。カメラは、静止画像及び/又はビデオ画像を提供することができるならば、如何なるタイプのカメラであってもよい。遠隔制御装置14aとカメラとの間の通信は、カメラ情報が遠隔制御装置14aに送信可能であるならば、例えばハードワイヤード通信リンク又は無線通信リンク等、如何なるタイプであってもよい。カメラと遠隔制御装置14aとの間の無線通信リンクは、遠隔制御装置14aとカメラとの間で好ましい情報を送信することができるならば、例えば無線周波数、マイクロ波通信、赤外線通信、衛星リンク等、如何なる適切な通信リンクであってもよい。
【0050】
触知技術及び上述される全てのオプションに加えて、遠隔制御装置14aは、更に、都合の良いユーザ認証及び識別のための確認技術を設けられてよい。確認技術は、ユーザを識別し認証するための、当該技術で知られる如何なるタイプの技術であってもよい。その例には、バイオメトリック検査技術があるが、これに限られない。確認技術は、試行中のユーザの身元が確認されて認証されるかどうかをそのユーザに知らせる照合通知システムを有する。バイオメトリック検査技術を用いる場合、共通する課題がある。バイオメトリック検査技術に関連する課題を解決するために、本発明のバイオメトリック検査技術は、よりロバストで且つ信頼できるバイオメトリック検査技術を提供するようマルチスペクトル・イメージング(MSI)を設けられる。検査されるバイオメトリクスの例には、指紋、声、目等があるが、これらに限られない。
【0051】
図8には、ユーザの指紋を確認するために遠隔制御装置14aに結合されたバイオメトリック検査パネル116を有する遠隔制御装置14aの一部が示されている。バイオメトリック検査パネル116に加えて、遠隔制御装置14aは、試行中のユーザが識別され及び/又は遠隔制御装置14aを使用するのを認められるか否かをそのユーザに通知する照合通知パネル118を有する。当然、特定の指紋バイオメトリック検査が
図8に図示され本願で記載されるが、本発明は指紋バイオメトリック検査に限られず、本願で記載される特定の指紋バイオメトリック検査にも限定されない。当然、あらゆるバイオメトリック検査技術が、当業者によって知られる如何なる方法でも実施されてよい。
【0052】
上記から、本発明が目的を達成し且つ本願で記載される利点及び本発明に固有の利点を得るよう適合されることは明らかである。本発明の目下好ましい実施形態が本開示のために記載されてきたが、当然、多数の変形が行われてよく、この変形は当業者に容易に想到可能であり、開示され請求されている本発明の技術的範囲内で達成される。
【0053】
[関連発明の相互参照]
本願は、2008年3月27日に出願された米国特許出願第12/056827号明細書の一部継続出願である。かかる米国特許出願の内容は、その全文を参照により本願に援用される。
【0054】
上記の実施形態につき以下の付記を残しておく。
(付記1)
鉄道車両を制御する遠隔制御システムであって、前記鉄道車両は、当該鉄道車両を進ませるよう当該鉄道車両に牽引力を与えるスロットルと、当該鉄道車両に制動力を与えるブレーキシステムとを有する遠隔制御システムにおいて、
信号を送信する、触知技術を設けられた遠隔制御装置と、
前記鉄道車両に接続され、前記遠隔制御装置と通信する第1のコントローラモジュールとを有し、
前記第1のコントローラモジュールは、前記鉄道車両の所定機能の組をモニタし、前記遠隔制御装置からコマンドを受け取って前記鉄道車両の前記所定機能の組を制御し、前記遠隔制御装置に実時間情報を提供する、遠隔制御システム。
(付記2)
前記遠隔制御装置は、前記鉄道車両の前記実時間情報を表示する大型映像ディスプレイを更に設けられ、
前記大型映像ディスプレイは、陰極線管、双安定ディスプレイ、電子ペーパー、電気泳動ディスプレイ、ニキシー管ディスプレイ、エレクトロルミネセントディスプレイ、プラズマディスプレイパネル、発光ダイオード、液晶ディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ、高性能アドレッシングディスプレイ、薄膜トランジスタディスプレイ、有機発光ダイオードディスプレイ、表面電界ディスプレイ、及びレーザTVディスプレイを含むグループから選択されるタイプの映像ディスプレイである、
付記1に記載の遠隔制御システム。
(付記3)
前記大型映像ディスプレイは、約2.5インチよりも大きい対角長さを有する、
付記2に記載の遠隔制御システム。
(付記4)
前記触知技術は、少なくとも1つのプラグラム可能なロータリー制御である、
付記1に記載の遠隔制御システム。
(付記5)
前記触知技術は、少なくとも1つのタッチスクリーンである、
付記1に記載の遠隔制御システム。
(付記6)
前記触知技術は、少なくとも1つのジョイスティック制御である、
付記1に記載の遠隔制御システム。
(付記7)
前記大型映像ディスプレイは、前記鉄道車両に係る実行可能なコマンドオプションを与えるタッチスクリーンを有する、
付記2に記載の遠隔制御システム。
(付記8)
前記遠隔制御装置は、バイオメトリック検査技術を更に有する、
付記1に記載の遠隔制御システム。
(付記9)
前記バイオメトリック検査技術は、ユーザの指紋を確認するために設けられる、
付記8に記載の遠隔制御システム。
(付記10)
前記遠隔制御装置と通信するカメラを更に有し、
前記カメラは、ユーザによって、予め選択された場所に位置付けられる、
付記1に記載の遠隔制御システム。
(付記11)
前記カメラは、静止画像及びビデオ画像のグループから選択される画像を提供する、
付記10に記載の遠隔制御システム。
(付記12)
前記遠隔制御装置は、タッチセンサ技術を更に設けられる、
付記1に記載の遠隔制御システム。
(付記13)
前記遠隔制御装置は、少なくとも1つのハンドルを更に設けられ、該少なくとも1つのハンドルは、ユーザが前記少なくとも1つのハンドルに触れている場合を検出するセンサ技術を有する、
付記1に記載の遠隔制御システム。
(付記14)
鉄道車両を制御する方法であって、前記鉄道車両は、当該鉄道車両を進ませるよう当該鉄道車両に牽引力を与えるスロットルと、当該鉄道車両に制動力を与えるブレーキシステムとを有する方法において、
触知技術を設けられた遠隔制御装置を設ける段階と、
前記鉄道車両に接続され、前記遠隔制御装置と通信する第1のコントローラモジュールを設ける段階と、
前記遠隔制御装置から前記第1のコントローラモジュールへコマンド信号を送信する段階と、
前記鉄道車両の所定機能の組を制御するよう前記遠隔制御装置からコマンドを受け取る段階と、
前記第1のコントローラモジュールを介して前記鉄道車両の前記所定機能の組をモニタする段階と、
前記第1のコントローラモジュールから前記遠隔制御装置へ実時間情報を与える段階と、
前記遠隔制御装置で前記実時間情報を表示する段階と
を有する方法。
(付記15)
前記遠隔制御装置は、前記鉄道車両の前記実時間情報を表示する大型映像ディスプレイを更に設けられ、
前記大型映像ディスプレイは、陰極線管、双安定ディスプレイ、電子ペーパー、電気泳動ディスプレイ、ニキシー管ディスプレイ、エレクトロルミネセントディスプレイ、プラズマディスプレイパネル、発光ダイオード、液晶ディスプレイ、真空蛍光ディスプレイ、高性能アドレッシングディスプレイ、薄膜トランジスタディスプレイ、有機発光ダイオードディスプレイ、表面電界ディスプレイ、及びレーザTVディスプレイを含むグループから選択されるタイプの映像ディスプレイである、
付記14に記載の方法。
(付記16)
前記大型映像ディスプレイは、約2.5インチよりも大きい対角長さを有する、
付記15に記載の方法。
(付記17)
前記触知技術は、少なくとも1つのプラグラム可能なロータリー制御である、
付記14に記載の方法。
(付記18)
前記触知技術は、少なくとも1つのタッチスクリーンである、
付記14に記載の方法。
(付記19)
前記触知技術は、少なくとも1つのジョイスティック制御である、
付記14に記載の方法。
(付記20)
前記大型映像ディスプレイは、前記鉄道車両に係る実行可能なコマンドオプションを与えるタッチスクリーンを有する、
付記15に記載の方法。
(付記21)
前記遠隔制御装置は、バイオメトリック検査技術を更に有する、
付記14に記載の方法。
(付記22)
前記バイオメトリック検査技術は、ユーザの指紋を確認するために設けられる、
付記21に記載の方法。
(付記23)
前記遠隔制御装置と通信するカメラを更に有し、
前記カメラは、ユーザによって、予め選択された場所に位置付けられる、
付記14に記載の方法。
(付記24)
前記カメラは、静止画像及びビデオ画像のグループから選択される画像を提供する、
付記23に記載の方法。
(付記25)
前記遠隔制御装置は、タッチセンサ技術を更に設けられる、
付記14に記載の方法。
(付記26)
前記遠隔制御装置は、少なくとも1つのハンドルを更に設けられ、該少なくとも1つのハンドルは、ユーザが前記少なくとも1つのハンドルに触れている場合を検出するセンサ技術を有する、
付記14に記載の方法。