【実施例】
【0157】
実施例1:一般的な実験手順
N−Boc−ドラプロインおよびDov−Val−Dil.TFAを前述したように合成した。
1、2試薬および無水溶媒をAcros Organics(Fisher Scientific)、Sigma−Aldrich Chemical Company、およびLancaster Synthesisから購入し、そのまま用いた。ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を水酸化カリウムで再蒸留した。ジベンジルホスファイトを使用前に再蒸留した(0.1mmHgで沸点160℃)。薄層クロマトグラフィーには、Analtech Silia Gel GHLF Uniplateを用い、短波UV照射および過マンガン酸塩溶液の使用、その後の加熱で視覚化した。水溶液の溶媒抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させた。カラムクロマトグラフィーには、E.Merck(ドイツ、ダルムシュタット)からのシリカゲル(230〜400メッシュ ASTM)を用いた。イオン交換クロマトグラフィーのため、Dowex 50W×8−400水素型樹脂(Sigma−Aldrich)を使用前にMeOH、塩酸(1M)、および脱イオンH
2Oで洗浄した。カチオン型の樹脂を対応する塩基の水溶液(1M)、その後の脱イオンH
2Oの溶出により調製した。
【0158】
融点は未修正であり、Fischer−Johns融点装置で測定された。旋光度をPerkin−Elmer241ポラリメーターの使用により測定し、[α]
D値は10
−1deg cm
2 g
−1で表される。
1H、
13Cおよび
31P NMRスペクトルを、重水素化溶媒でVarian Gemini 300ならびにUnity 400および500装置を用いて記録した。
31Pスペクトルは80%リン酸または対応する
1Hスペクトルについて参照された。高分解能質量スペクトルはJoel JMS−LCmate質量分析計で得た。元素分析はGalbraith Laboratories,Inc.により割り出された。
【0159】
N−Boc−Dap−4−ヒドロキシフェネチルアミド(7a)。20℃で撹拌された乾燥DMF(3mL)中のBoc−Dap
1(6、0.49g、1.71mmol)の溶液に、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT、0.37g、2.74mmol)を添加した。ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、0.95mL、5.48mmol)、その後N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)を添加し、反応混合物を10分間撹拌した後、チラミン(0.28g、2.05mmol)を添加した。混合物を20℃で16時間撹拌した後、飽和NaHCO
3溶液(5mL)の添加およびEtOAc(4×5mL)での抽出により反応を停止した。複合有機抽出物を塩水(20mL)で洗浄し、乾燥させた。溶媒の除去は黄色の油(0.89g)をもたらし、これをカラムクロマトグラフィー(溶離液:CH
2Cl
2中2.5〜6.0%のCH
3OH)により分画し、7aを無色の油(0.57g、82%)として生成し、これを1:1CH
2Cl
2−ヘキサンから結晶化した:融点163〜164℃;[α]
23D−30.4(c1.9、CHCl
3);IR(ニート)ν
max3305、2975、2935、1650、1515、1168、755cm
−1;
1H NMR(CD
3OD、300MHz)δ6.92(d、J=8.4Hz、2H)、6.57(d、J=8.4Hz、2H)、3.55(br m、1H)、3.49〜3.33(m、3H)、3.29(s、3H)、3.26〜3.19(m、2H)、3.19〜3.03(m、2H)、2.70〜2.53(m、2H)、2.11(m、1H)、1.81〜1.70(m、2H)、1.61〜1.50(m、2H)、1.40(br s、9H)、1.05(d、J=6.3Hz、3H);
13C NMR(CDCl
3、100.5MHz)(2つの配座異性体が観察された)δ174.7、174.1、155.5、155.3、154.8、154.4、129.5、129.3、115.5、115.4、83.7、82.0、80.1、79.5、60.6、59.1、58.6、46.9、46.5、44.2、43.8、40.9、40.7、34.3、28.5、28.4、25.7、25.1、24.4、24.0、14.3、14.0;HRMS(FAB)m/z407.2565[M+H]
+(C
22H
35N
2O
5の計算値、407.2546)。
【0160】
Dap−4−ヒドロキシフェネチルアミド塩酸塩(7b)。ブロモトリメチルシラン(0.46mL、3.5mmol)を20℃の乾燥CH
2Cl
2中の7a(0.57g、1.4mmol)の撹拌溶液に添加し、撹拌を18時間継続した。水(5mL)を添加し、混合物を30分間激しく撹拌した。水層を除去し、有機相を再度H
2O(5mL)で抽出した。複合水相の凍結乾燥は、臭化水素塩7bを無色の固体(0.54g、99%)としてもたらし、これをさらなる精製なしに用いた。試料をCH
2Cl
2−ヘキサンから結晶化した:融点79〜81℃;IR(ニート)ν
max3275、2980、1640、1515、1235、830cm
−1;
1H NMR(CD
3OD、300MHz)δ6.95(d、J=8.4Hz、2H)、6.60(d、J=8.4Hz、2H)、3.47(m、1H)、3.41(s、3H)、3.25〜3.02(m、5H)、2.72〜2.62(m、2H)、2.33(m、1H)、1.88〜1.76(m、2H)、1.72〜1.64(m、2H)、1.13(d、J=7.2Hz、3H);
13C NMR(CD
3OD、125.5MHz)δ175.6、157.0、131.0、130.8、116.2、81.6、62.9、61.8、46.5、45.5、41.3、35.2、24.1、23.9、15.5;HRMS(APCI)m/z307.2026[(M−HBr)+H]
+(C
17H
27N
2O
3の計算値、307.2022)。
【0161】
Dov−Val−Dil−Dap−4−ヒドロキシフェネチルアミド(9)。20℃の乾燥DMF(2mL)中で撹拌された8
2(0.78g、1.43mmol)の溶液に、HOBT(0.31g、2.29mmol)を添加した。次にDIEA(0.96mL、5.50mmol)、その後EDCI(0.44g、2.29mmol)を添加し、反応混合物を15分間撹拌した後、DMF(4mL)中の7b(0.50g、1.30mmol)の溶液を添加した。混合物を20℃で6時間撹拌した後、飽和NaHCO
3溶液(10mL)の添加、その後のEtOAc(4×10mL)での混合物の抽出により反応を停止した。複合有機抽出物を塩水(50mL)で洗浄し、乾燥させた。溶媒の除去は粘性で褐色の油(0.83g)をもたらし、これをカラムクロマトグラフィー(溶離液:CH
2Cl
2中5〜10%のMeOH)により分画し、9を粘性で無色の油(0.61g、65%)として得た:[α]
23D−44.0(c2.2、CHCl
3);IR(ニート)ν
max3295、2965、1620、1515、1100、755cm
−1;
1H NMR(CD
3OD、400MHz)δ7.25(m、1H)、7.05〜7.01(m、4H)、6.68(t、J=8.5Hz、4H)、4.74(d、J=8.4Hz、1H)、4.71(d、J=8.4Hz、1H)、4.63(d、J=8.8Hz、1H)、4.15(m、1H)、4.07(m、1H)、3.90〜3.83(m、2H)、3.78(m、1H)、3.68(m、1H)、3.57(m、6H)、3.40〜3.32(m、2H)、3.38(s、3H)、3.36(s、3H)、3.29(s、6H)、3.26(s、3H)、3.13(s、3H)、2.81〜2.68(m、4H)、2.65〜2.62(m、2H)、2.48(d、J=6.6Hz、2H)、2.31(s、6H)、2.29(s、6H)、2.27〜2.19(m、2H)、2.08〜1.86(m、10H)、1.78〜1.63(m、4H)、1.44〜1.35(m、2H)、1.16(t、J=7.1Hz、6H)、1.05〜0.95(m、28H)、0.90〜0.84(m、12H);
13C NMR(CD
3OD、100.5MHz)δ176.5、176.4、175.3、173.3、173.2、171.9、157.0、156.9、136.5、131.2、130.9、130.8、130.7、116.3、116.2、87.2、83.6、79.8、76.0、75.8、62.1、61.4、61.0、60.8、58.6、58.3、57.8、56.2、56.0、45.9、45.7、42.5、42.4、41.8、41.4、38.2、35.3、33.8、33.1、31.8、31.7、28.8、27.0、26.8、25.8、24.5、20.2、20.2、19.9、19.5、19.3、16.3、16.0、15.8、15.1、10.9、10.8;HRMS(FAB)m/z718.5084[M+H]
+(C
39H
68N
5O
7の計算値、718.5119)。
【0162】
Dov−Val−Dil−Dap−4−(ジベンジルホスホリロキシ)フェネチルアミド(10a)。−15℃(氷/塩)の乾燥CH
3CN(4mL)中の9(0.51g、0.70mmol)の溶液に、四塩化炭素(0.34mL、1.02mmol)、その後DIEA(0.26mL、1.50mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(9mg、0.07mmol)を添加した。ジベンジルホスファイト(0.23mL、1.02mmol)を次に、温度を−15〜−18℃で維持しながら、20分間かけて混合物に添加した。添加後、混合物を−20℃まで冷却した後、90分かけて5℃まで温め、反応を飽和NaHCO
3溶液(10mL)の添加により停止した。混合物をEtOAc(3×10mL)で抽出し、複合有機抽出物を塩水(50mL)で洗浄し、乾燥させた。溶媒の除去は粘性で淡黄色の油(0.60g)を生成し、これをカラムクロマトグラフィー(溶離液:CH
2Cl
2中5〜10%のMeOH)により分画し、10aを無色の油(0.34g、49%)として得た;IR(ニート)ν
max3305、2965、1620、1455、1215、1015、955cm
−1;
1H NMR(CD
3OD、500MHz)δ7.36〜7.31(m、20H)、7.21(d、J=6.6Hz、2H)、7.20(d、J=6.6Hz、2H)、7.07(d、J=6.6Hz、2H)、7.03(d、J=6.6Hz、2H)、5.13〜5.10(m、8H)、4.81〜4.71(m、2H)、4.71(d、J=8.0Hz、1H)、4.62(d、J=8.0Hz、1H)、4.14(m、1H)、4.06(m、1H)、3.91〜3.86(m、2H)、3.80(m、1H)、3.69(m、1H)、3.56〜3.47(m、4H)、3.43〜3.32(m、2H)、3.38(s、3H)、3.36(s、3H)、3.28(s、6H)、3.26(s、3H)、3.11(s、3H)、2.86〜2.77(m、4H)、2.65〜2.61(m、3H)、2.51(m、1H)、2.46(d、J=6.5Hz、2H)、2.30(s、6H)、2.29(s、6H)、2.28〜2.18(m、2H)、2.08〜1.86(m、9H)、1.76〜1.64(m、5H)、1.43〜1.36(m、2H)、1.16(d、J=7.5Hz、3H)、1.15(d、J=7.5Hz、3H)、1.02〜0.92(m、28H)、0.87〜0.81(m、12H);
13C NMR(CD
3OD、125.5MHz)δ175.2、175.1、171.9、170.6、157.0、149.0(d、J
C−P=7.0Hz)、148.9(d、J
C−P=7.0Hz)、136.6、136.4、129.9、129.8、128.5、128.3、127.9(d、J
C−P=2.6Hz)、119.8(d、J
C−P=4.4Hz)、119.6(d、J
C−P=4.4Hz)、85.7、82.2、78.5、78.4、78.4、74.5、74.4、70.1、70.1、60.7、60.0、59.6、57.3、56.9、54.8、54.6、46.7、44.5、44.3、41.1、41.1、40.0、39.7、36.8、35.6、34.1、32.3、32.2、31.7、30.4、30.3、27.4、25.7、25.5、24.4(d、J
C−P=3.6Hz)、23.1、18.8(d、J
C−P=4.4Hz)、18.5、18.2、18.0、14.9、14.6、14.5、13.7、9.5;
31P NMR(CD
3OD、202.5MHz)δ−6.51、−6.54;HRMS(FAB)m/z978.5811[M+H]
+(C
53H
81N
5O
10Pの計算値、978.5721)。
【0163】
Dov−Val−Dil−Dap−4−(ジヒドロホスホリロキシ)フェネチルアミド(10b)。MeOH(5mL)中のリン酸ジベンジル10a(38mg、0.04mmol)の溶液に、活性炭上のパラジウム(10重量%Pd、10mg)を添加し、水素ガス(風船)を1時間懸濁液に通して泡立てた。混合物をCeliteのプラグでろ過し、フィルターをMeOH(2×5mL)で洗浄した。ろ液からの溶媒の除去は遊離リン酸10bをガラス状の固体(32mg、定量)として生成した:融点168〜170℃;IR(ニート)ν
max3400、2970、1635、1460、1095、910cm
−1;
1H NMR(CD
3OD、500MHz)δ7.20〜7.12(m、8H)、4.77〜4.71(m、2H)、4.67(d、J=8.5Hz、1H)、4.62(d、J=9.0Hz、1H)、4.11(m、1H)、4.05(m、1H)、3.93〜3.89(m、2H)、3.73〜3.68(m、2H)、3.61〜3.48(m、4H)、3.44〜3.33(m、2H)、3.41(s、3H)、3.37(s、3H)、3.29(s、6H)、3.28(s、3H)、3.15(s、3H)、2.90(s、6H)、2.79〜2.73(m、4H)、2.66〜2.49(m、4H)、2.42〜2.26(m、4H)、2.08〜1.64(m、14H)、1.46〜1.38(m、2H)、1.23(d、J=7.0Hz、3H)、1.17(d、J=7.0Hz、3H)、1.07〜1.00(m、20H)、0.97〜0.84(m、20H);
31P NMR(CD
3OD、202.5MHz)δ−4.11。
【0164】
ナトリウムオーリスタチンTP(3b)。遊離酸10b(32mg)の水性NaOHとのイオン交換クロマトグラフィーは、3bを無色の固体(24mg、71%)としてもたらした:融点170〜171℃;IR(ニート)ν
max3305、2965、1625、1510、1105、990cm
−1;
1H NMR(CD
3OD、400MHz)δ7.17〜7.15(m、4H)、7.09(d、J=8.0Hz、4H)、4.78〜4.72(m、2H)、4.72(d、J=8.0Hz、1H)、4.64(d、J=8.4Hz、1H)、4.12(m、1H)、4.07(m、1H)、3.98〜3.94(m、2H)、3.91(dd、J=9.1、2.3Hz、2H)、3.70(m、1H)、3.59(m、1H)、3.51〜3.41(m、4H)、3.39(s、3H)、3.37(s、3H)、3.36〜3.32(m、2H)、3.30(s、6H)、3.27(s、3H)、3.14(s、3H)、2.81〜2.70(m、4H)、2.65(d、J=7.2Hz、1H)、2.63(d、J=7.2Hz、1H)、2.49(d、J=6.4Hz、2H)、2.31(s、6H)、2.29(s、6H)、2.29〜2.22(m、2H)、2.08〜1.87(m、9H)、1.81〜1.68(m、5H)、1.43〜1.36(m、2H)、1.17(t、J=5.3Hz、6H)、1.03〜0.95(m、28H)、0.85(q、J=7.2Hz、12H);
31P NMR(CD
3OD、162.0MHz)δ−3.42。
【0165】
リチウムオーリスタチンTP(3a)。ナトリウム塩3b(12mg、0.014mmol)の水性LiOHとのイオン交換クロマトグラフィーは、3aを無色の固体(11mg、96%)としてもたらした:融点263℃(dec);IR(ニート)ν
max3315、2965、1630、1105、1005、920cm
−1;
1H NMR(CD
3OD、400MHz)δ7.20(d、J=8.0Hz、2H)、7.18(d、J=8.0Hz、2H)、7.04(d、J=8.0Hz、4H)、4.74〜4.70(m、2H)、4.72(d、J=8.0Hz、1H)、4.64(d、J=8.8Hz、1H)、4.14〜4.00(m、4H)、3.95(m、1H)、3.91(dd、J=9.0、2.2Hz、1H)、3.71(m、1H)、3.58(m、1H)、3.52〜3.34(m、6H)、3.39(s、3H)、3.38(s、3H)、3.30(s、6H)、3.27(s、6H)、3.13(s、3H)、2.75〜2.68(m、4H)、2.64(d、J=4.8Hz、1H)、2.63(d、J=4.8Hz、1H)、2.51(d、J=6.4Hz、2H)、2.30(s、6H)、2.29(s、6H)、2.27〜2.23(m、2H)、2.07〜1.94(m、9H)、1.82〜1.71(m、5H)、1.45〜1.37(m、2H)、1.18(t、J=6.2Hz、6H)、1.03〜0.95(m、28H)、0.85(q、J=6.9Hz、12H);
31P NMR(CD
3OD、162.0MHz)δ−0.58。
【0166】
カリウムオーリスタチンTP(3c)。酸10bの水性KOHとのイオン交換クロマトグラフィーは、3cを無色の固体(4mg、64%)としてもたらした:融点198℃;IR(ニート)ν
max3230、2965、1620、1100、980、885cm
−1;
1H NMR(CD
3OD、400MHz)δ7.21(d、J=8.2Hz、2H)、7.19(d、J=8.2Hz、2H)、7.04(d、J=8.2Hz、4H)、4.75〜4.72(m、2H)、4.72(d、J=8.0Hz、1H)、4.64(d、J=6.6Hz、1H)、4.14〜4.01(m、4H)、3.95(m、1H)、3.91(dd、J=8.8、2.4Hz、1H)、3.71(m、1H)、3.58(m、1H)、3.52〜3.35(m、6H)、3.39(s、3H)、3.38(s、3H)、3.30(s、6H)、3.26(s、3H)、3.13(s、3H)、2.75〜2.68(m、4H)、2.64(d、J=8.8Hz、1H)、2.63(d、J=9.2Hz、1H)、2.49(d、J=5.6Hz、2H)、2.30(s、6H)、2.29(s、6H)、2.27〜2.23(m、2H)、2.07〜1.94(m、9H)、1.83〜1.72(m、5H)、1.45〜1.37(m、2H)、1.18(t、J=6.2Hz、6H)、1.03〜0.95(m、28H)、0.84(q、J=6.9Hz、12H);
31P NMR(CD
3OD、162.0MHz)δ−0.42。
【0167】
モルホリンオーリスタチンTP(3d)。カリウム塩3cの水性モルホリンとのイオン交換クロマトグラフィーは、3dを無色の固体としてもたらした:融点148〜150℃;IR(ニート)ν
max3295、2965、1620、1455、1105、880cm
−1;
1H NMR(CD
3OD、500MHz)δ7.18〜7.11(m、8H)、4.82〜4.74(m、2H)、4.71(d、J=8.5Hz、1H)、4.65(d、J=8.5Hz、1H)、4.13(m、1H)、4.07(m、1H)、3.97(m、1H)、3.91(dd、J=9.3、2.3Hz、1H)、3.80(br s、16H)、3.71(m、1H)、3.60(m、1H)、3.52(d、J=8.5Hz、1H)、3.49〜3.43(m、3H)、3.40(s、3H)、3.39(s、3H)、3.37〜3.34(m、2H)、3.31(s、6H)、3.28(s、3H)、3.15(s、3H)、3.06(br s、16H)、2.82(m、1H)、2.77(q、J=7.2Hz、4H)、2.69(d、J=8.5Hz、1H)、2.67(m、1H)、2.54(d、J=9.0Hz、1H)、2.50(d、J=6.0Hz、2H)、2.42(s、6H)、2.34(s、6H)、2.32〜2.14(m、2H)、2.13〜1.88(m、9H)、1.81〜1.71(m、5H)、1.46〜1.38(m、2H)、1.20(d、J=6.5Hz、3H)、1.18(d、J=7.5Hz、3H)、1.04〜0.95(m、28H)、0.91〜0.87(m、12H);
31P NMR(CD
3OD、162.0MHz)δ−3.43。
【0168】
3e〜hの合成の一般的な手順。アミンまたはアミノ酸(25.0μmol)を、MeOH(300μL)または脱イオンH
2O(3h)のいずれかの中の酸10b(10mg、12.5μmol)の撹拌溶液に添加し、混合物を15時間撹拌した。溶媒の除去は所望の塩をもたらした。
【0169】
キニンオーリスタチンTP(3e):無色の固体;融点118〜120℃;
1H NMR(CD
3OD、500MHz)δ8.67(d、J=4.8Hz、4H)、7.93(d、J=9.3Hz、4H)、7.72(d、J=4.8Hz、4H)、7.43(d、J=2.3Hz、4H)、7.40(dd、J=9.3、2.3Hz、4H)、7.17(t、J=7.3Hz、4H)、7.03(d、J=7.3Hz、4H)、5.93(s、4H)、5.73(m、4H)、5.05(d、J=17.5Hz、4H)、4.95(d、J=11Hz、4H)、4.82〜4.71(m、2H)、4.72(d、J=8.0Hz、1H)、4.65(d、J=8.5Hz、1H)、4.12(m、1H)、4.07(m、1H)、3.98(s、12H)、3.91(d、J=2.0Hz、1H)、3.89(d、J=2.0Hz、1H)、3.71〜3.65(m、2H)、3.56(m、1H)、3.50(d、J=10.0Hz、1H)、3.45〜3.23(m、12H)、3.39(s、3H)、3.38(s、3H)、3.30(s、3H)、3.29(s、3H)、3.27(s、3H)、3.14(s、3H)、3.00〜2.92(m、8H)、2.71〜2.65(m、6H)、2.56〜2.48(m、8H)、2.34(s、6H)、2.31(s、6H)、2.30〜2.21(m、2H)、2.08〜1.90(m、24H)、1.78〜1.71(m、10H)、1.45〜1.40(m、6H)、1.17(t、J=7.0Hz、6H)、1.04〜0.95(m、28H)、0.98〜0.80(m、12H);
31P NMR(CD
3OD、162.0MHz)δ−1.82。
【0170】
TRISオーリスタチンTP(3f):無色の固体;融点122〜123℃;
1H NMR(D
2O、500MHz)δ7.21〜7.12(m、1H)、4.73〜4.64(m、4H)、4.17(m、1H)、4.11(m、1H)、3.92〜3.86(m、2H)、3.74〜3.62(m、2H)、3.67(s、24H)、3.59〜3.38(m、6H)、3.44(s、3H)、3.42(s、3H)、3.33(s、3H)、3.33(s、3H)、3.26(s、3H)、3.18(s、3H)、3.12(d、J=8.5Hz、3H)、3.02(d、J=9.5Hz、1H)、2.87〜2.75(m、2H)、2.67〜2.62(m、2H)、2.58〜2.54(m、2H)、2.52(s、6H)、2.45(s、6H)、2.36〜2.27(m、2H)、2.22〜2.09(m、2H)、2.08〜2.01(m、2H)、1.99〜1.72(m、9H)、1.68〜1.61(m、1H)、1.39〜1.30(m、2H)、1.20(d、J=6.5Hz、3H)、1.16(d、J=7.0Hz、3H)、1.05〜0.97(m、28H)、0.88〜0.84(m、12H);
31P NMR(CD
3OD、162.0MHz)δ−0.01。
【0171】
セリンオーリスタチンTP(3g):無色の固体;融点158℃(dec);
1H NMR(D
2O、500MHz)δ7.26(d、J=8.5Hz、2H)、7.23(d、J=8.5Hz、2H)、7.14(d、J=8.5Hz、2H)、7.09(d、J=8.5Hz、2H)、4.75(d、J=9.5Hz、1H)、4.73〜4.68(m、2H)、4.66(d、J=9.5Hz、1H)、4.18(m、1H)、4.11(m、1H)、4.01〜3.93(m、10H)、3.86〜3.83(m、6H)、3.79(t、J=5.8Hz、2H)、3.74〜3.68(m、2H)、3.62〜3.51(m、4H)、3.47〜3.36(m、4H)、3.44(s、3H)、3.39(s、3H)、3.33(s、3H)、3.32(s、3H)、3.24(s、3H)、3.18(s、3H)、2.97(s、6H)、2.95(s、6H)、2.92〜2.79(m、4H)、2.67〜2.44(m、6H)、2.33(m、1H)、2.24(m、1H)、2.12〜2.02(m、2H)、1.97〜1.66(m、9H)、1.51(m、1H)、1.38〜1.32(m、2H)、1.20(d、J=7.0Hz、3H)、1.14(d、J=7.0Hz、3H)、1.05〜0.95(m、30H)、0.92〜0.82(m、10H);
31P NMR(CD
3OD、162.0MHz)δ−4.07。
【0172】
ニトロアルギニンオーリスタチンTP(3h):無色の固体;融点157〜158℃(dec);IR(ニート)ν
max3295、2965、1625、1360、1270、1095cm
−1;
1H NMR(D
2O、500MHz)δ7.21(d、J=7.8Hz、2H)、7.18(d、J=7.8Hz、2H)、7.10(d、J=7.8Hz、2H)、7.05(d、J=7.8Hz、2H)、4.71(d、J=9.0Hz、1H)、4.70〜4.64(m、2H)、4.62(d、J=8.5Hz、1H)、4.14(m、1H)、4.06(m、1H)、3.81〜3.72(m、4H)、3.74(t、J=6.5Hz、4H)、3.69〜3.63(m、2H)、3.59〜3.45(m、4H)、3.43〜3.33(m、2H)、3.40(s、3H)、3.35(s、3H)、3.30(t、J=6.5Hz、8H)、3.29(s、3H)、3.28(s、3H)、3.20(s、3H)、3.14(s、3H)、2.93(s、6H)、2.90(s、6H)、2.88〜2.75(m、4H)、2.63〜2.48(m、5H)、2.44〜2.39(m、1H)、2.29(m、1H)、2.20(m、1H)、2.08〜1.97(m、2H)、1.95〜1.61(m、25H)、1.47(m、1H)、1.34〜1.27(m、2H)、1.16(d、J=6.5Hz、3H)、1.10(d、J=7.0Hz、3H)、1.01〜0.96(m、18H)、0.93〜0.90(m、12H)、0.86〜0.81(m、10H);
31P NMR(CD
3OD、162.0MHz)δ−3.56。
【0173】
N−Boc−Dap−2−アミノキノリン(11)。CH
2Cl
2(3mL)中のBoc−Dap
1(6、0.172g;0.6mmol)の溶液に、2−アミノキノリン(82.8mg;0.57mmol)を添加し、混合物を撹拌し、アルゴン下0℃まで冷却した。トリエチルアミン(TEA、0.3mL;2.1mmol)およびジエチルシアノホスホネート(DEPC;0.2mL;1.2mmol)を添加し、得られた黄色の溶液を室温まで温め、アルゴン下6時間撹拌した。溶媒の除去は暗橙−褐色の残渣を生成し、これを圧力下シリカゲル上で分画し[溶離液:ヘキサン−アセトン(7:2〜2:3)]、生成物を無色の固体(90.8mg、0.22mmol、出発物質の回収物に対して36.6%)として得た:
1H NMR(CDCl
3、300MHz)δ8.43(1H、dd、J=8.7、1.5Hz)、8.16(1H、d、J=8.7Hz)、7.83(1H、d、J=8.7Hz)、7.72(1H、d、J=8.4Hz)、7.66(1H、t、J=7.5Hz)、7.44(1H、t、J=7.5Hz)、4.05〜3.92(2H、m、NCH、OCH)、3.53(3H、s、OCH
3)、3.44(2H、br d、J=13Hz、NCH
2)、2.60〜2.80(1H、m、CHCH
3)、1.74〜1.98(4H、m、2×CH
2)、1.52(9H、s、C(CH
3)
3)、1.45(3H、d、J=9.3Hz、CHCH
2);MS(APCI+)m/z414.2373[M+H]
+(C
23H
32N
3O
4の計算値、414.2393)。
【0174】
Dap−2−アミノキノリントリフルオロ酢酸塩(12)。アルゴン下0℃で撹拌されたCH
2Cl
2(4mL)中のN−Boc−Dap−2−AQ(11、68.0mg、0.16mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(TFA、2mL)を添加し、室温まで温めながら撹拌を2時間継続した。溶媒を真空下で除去し、トルエンを用いて残ったTFAとの共沸混合物を形成した。残渣、黄色の油をジエチルエーテル下で1時間放置した。エーテルの除去は黄色っぽい油状の固体をもたらし、これにヘキサンを添加し、一定重量(99.4mg;定量)に達するまで真空下で除去し、この物質を次の反応にすぐに用いた。
【0175】
Dov−Val−Dil−Dap−2−アミノキノリン(オーリスタチン2−AQ、4)。Dap−2−AQ塩12およびDov−Val−Dil.TFA
2(8、87.0mg;0.16mmol)をCH
2Cl
2(5mL)中に溶解し、溶液をアルゴン下で撹拌し、0℃まで冷却した。次に、TEA(0.12mL;0.86mmol)およびDEPC(0.035mL;0.21mmol)を添加し、混合物を室温まで温めながらアルゴン下で7時間撹拌した。溶媒の除去は黄色っぽい油(310mg)を生成し、これを圧力下シリカゲル上で分離し[溶離液:ヘキサン−アセトン(5:2〜3:2)]、生成物を無色のガラス(削った場合粉末)(64mg;0.09mmol)として得た:
1H NMR(CDCl
3、300MHz)δ8.43(1H、dd、J=8.7、1.5Hz)、8.14(1H、d、J=8.7Hz)、7.80〜7.41(4H、m)、6.90(1H、t、J=9.3Hz)、6.73(1H、d、J=9.0Hz)、4.86(1H、m)、4.75(1H、m)、4.26(1H、m)、4.14(1H、m)、4.04(1H、m)、3.51および3.44(3H、s)、3.35および3.32(3H、s)、3.38〜3.19(2H、m)、3.02(3H、s)、2.42(3H、m)、2.23(6H、s)、2.23(1H、m)、2.08〜1.98(5H、m)、1.95〜1.74(1H、m)、1.43〜1.33(2H、m)、0.80〜1.06(22H、m);MS(APCI+)m/z725.4997[M+H]
+(C
40H
65N
6O
6の計算値、725.4966)。
【0176】
N−Boc−Dap−6−アミノキノリン(14)。
方法A:DMF(2mL)およびピリジン(0.1mL)中のBoc−Dap
1(6、87.2mg;0.3mmol)の撹拌溶液に、Boc
2O(0.183g;0.84mmol)を添加した。10分後、6−アミノキノリン(6−AQ;50.4mg;0.35mmol)を溶液に添加し、撹拌を64時間継続し、この時点で出発物質はまだ存在していた。溶媒を混合物から除去し、残渣をヘキサン−アセトン(5:1〜2:1勾配)におけるカラムクロマトグラフィーにより分画した。溶出する第1画分はBoc−6−AQ(35mg)を含有した:
1H NMR(CDCl
3、300MHz)δ8.79(1H、dd、J=4.5、1.5Hz)、8.01〜8.12(3H、m)、7.48(1H、dd、J=9、2.7Hz)、7.36(1H、dd、J=7.1、4.2Hz)、7.03(1H、br s)、1.55(9H、s)。
【0177】
残ったBoc−Dap(6)の溶出後、化合物14(29.7mg、0.07mmol、23%収率、または6−AQの14.9mgの回収物に対して28%)を回収した:
1H NMR(CDCl
3、300MHz)δ8.82(2H、m)、8.45(1H、br s)、8.11(1H、d、J=8.1Hz)、8.04(1H、d、J=9.3Hz)、7.72(1H、br)、7.37(1H、dd、J=8.4、4.2Hz)、4.15〜3.90(2H、m、NCH、OCH)、3.55(3H、s、OCH
3)、3.43(m、1H)、3.27(m、1H)、2.72(1H、m)、2.06〜1.76(4H、m)、1.50(9H、s)、1.39(3H、m);MS(APCI+)m/z414.2408[M+H]
+(C
23H
32N
3O
4の計算値、414.2393)。
【0178】
方法B:中間体酸フッ化物16をまず、アルゴン下0℃で撹拌されたBoc−Dap(6、76.3mg、0.27mmol)の溶液にピリジン(0.05mL)およびフッ化シアヌル(15、0.15mL、1.75mmol)を連続添加し、撹拌を20時間継続し、室温まで温めることにより調製した。次に、CH
2Cl
2(10mL)および氷、その後冷たいH
2Oを添加した。有機相を除去し、水相をCH
2Cl
2でさらに抽出した。複合有機抽出物を冷たいH
2Oで洗浄し、乾燥させ、暗橙色の油状の固体(65.6mg)を得、これはtlcにより生成物16および微量のBoc−Dap(6)を含んでいた。さらなる精製なしに、粗生成物をCH
2Cl
2中に溶解し、ピリジン(0.1mL)、その後6−AQ(34.8mg、0.24mmol)で処理した。混合物を21時間撹拌した後、CH
2Cl
2(10mL)で抽出した。溶液を10%クエン酸溶液で、その後H
2Oにより洗浄した。Na
2SO
4での乾燥および溶媒の除去は薄褐色の油(52.8mg)を生成し、これをカラムクロマトグラフィーにより分離し[溶離液:トルエン−アセトン(2:1)]、生成物14(30.3mg、0.07mmol、26%)を得た。
【0179】
Dap−6−アミノキノリントリフルオロ酢酸塩(17)。アルゴン下0℃で撹拌させたCH
2Cl
2(2mL)中のN−Boc−Dap−6−AQ(14、49.3mg、0.12mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(TFA、2mL)を添加した。室温まで温めながら、撹拌を3時間継続した。溶媒を真空下で除去し、トルエンを用いて残ったTFAとの共沸混合物を形成し、緑色がかった油状の固体(17;定量)を得、これを次の反応にすぐに用いた。
【0180】
Dov−Val−Dil−Dap−6−アミノキノリン(オーリスタチン6−AQ、5)。Dap−6−AQ塩17(0.12mmol)およびDov−Val−Dil.TFA
2(8、70.0mg;0.13mmol)をCH
2Cl
2(2mL)中に溶解し、溶液をアルゴン下で撹拌し、0℃まで冷却した。次にTEA(0.11mL;0.79mmol)およびDEPC(0.03mL;0.18mmol)を添加し、混合物を室温まで温めながらアルゴン下18時間撹拌した。溶媒の除去および圧力下シリカゲル上での分離[溶離液:ヘキサン−アセトン(5:2〜2:3)]は、粗生成物5(48.6mg)もたらし、このうち19.1mgの試料をCH
2Cl
2−MeOH(19:1)におけるカラムクロマトグラフィーによりさらに精製し、オーリスタチン6−AQ(5)を薄黄色のガラス状の油(削った場合粉末)を得た:
1H NMR(CDCl
3、300MHz)δ9.04(1H、br s)、8.81(1H、br d、J=3Hz)、8.47(1H、s)、8.11(1H、d、J=8.4Hz)、8.02(1H、d、J=9.3Hz)、7.76(1H、br d、J=8.7Hz)、7.36(1H、dd、J=8.4、3.8Hz)、6.96(1H、br)、4.79(2H、m)、4.30〜4.07(3H、m)、3.51(3H、s)、3.50〜3.26(2H、m)、3.35(3H、s)、3.05(s、3H)、2.71(1H、m)、2.54〜2.42(2H、m)、2.32〜2.22(1H、m)、2.28(6H、s)、2.12〜2.05(2H、m)、1.82(2H、m)、1.42〜1.26(5H、m)、1.08〜0.80(21H、m);MS(APCI+)m/z725.4907[M+H]
+(C
40H
65N
6O
6の計算値、725.4966)。
【0181】
実施例2:結果および考察
3の合成をスキーム1に示すように行った。γ−アミノ酸Boc−Dap(6)
1のチラミンとの、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)の存在下での反応は、保護アミド7aをもたらした。Boc基のブロモトリメチルシラン(TMSBr)での除去は、臭化水素塩(7b)を生成し、これをEDCIおよびHOBTの存在下でDov−Val−Dil.TFA(8)
2と縮合させ、親オーリスタチンチラミド(9)を得た。9の
1Hおよび
13C NMRスペクトルにおけるシグナルの倍加は、2つの異性体の存在、ドラスタチン10に類似し、Dil−Dap結合でのシス−トランス異性から得られる配座異性体によるパターンを示した。
2
【0182】
スキーム1
【化14】
【0183】
リン酸ジエステル10aの形成を、クロロリン酸ジベンジルのin situ生成によって、亜リン酸ジベンジルおよび四塩化炭素の反応から達成した後、水素化分解によるベンジルエステル基の除去を行い、遊離リン酸10bを得た。純粋な10bはかなり不安定だが、短期間メタノール溶液(4℃で<0.01M)として保存することができ、一般的には以下のようにすぐに用いられ、化合物3a〜hをもたらした。酸10bをDowexカチオン交換樹脂(Na
+型)に通すことによりナトリウム塩(3b)を得、化合物3a、c、dを同様に適当なDowex樹脂における遊離酸の、またはナトリウムもしくはカリウム塩のイオン交換により生成した。残った塩(3e〜h)を、適当な塩基またはアミノ酸での処理により遊離酸10bから直接調製した。各塩のおよび前駆体9の可溶性を室温の蒸留水において測定した。もっとも可溶なものはナトリウム(3b)およびカリウム(3c)塩だった(表2)
【0184】
【表2】
a23℃の蒸留水中
【0185】
オーリスタチンアミノキノリン修飾体(4、5)の調製、すなわち、Dap−アミノキノリン単位の形成、その後のトリぺプチド8との縮合のため、同様の収束的合成が計画された。スキーム2に示すように、Boc−Dap(6)および2−アミノキノリン(2−AQ)を、ジエチルシアノホスホネート(DEPC)を縮合試薬として用いて縮合し、Boc−Dap−2−AQ(11)を得、その後脱保護によりアミンTFA塩(12)を得た。DEPCの使用による12および8の縮合は、所望のオーリスタチン2−AQ(4)をもたらした。4の
1H NMRスペクトルにおける配座変化によるシグナルの倍加も認められた。
【0186】
スキーム2
【化15】
【0187】
他のアミノキノリン異性体からのオーリスタチンの調製はより困難であることが証明された。まず、5−アミノキノリン(5−AQ)の化合物6との縮合を試みたが、DEPCの使用は所望の生成物をもたらすことができなかった。縮合剤PyBropを次に標準的な条件下で用いたが、100時間後、出発物質(6および5−AQ)のみが検出された。アミノキノリンの活性はアミノ基の位置で異なり、
3、4それらは一般的には不十分な求核剤である。従って、我々はアミノ酸から予備形成された活性化中間体を含む経路を検討した。Pozdnev
5aは、ピリジンの存在下、二炭酸ジ−tert−ブチル(Boc無水物、Boc
2O)を用い、多数の保護アミノ酸誘導体の活性化エステルを形成し、これを次に6−アミノキノリン(6−AQ)とうまく縮合させた。5−AQおよび化合物6を縮合させるこの方法の使用は機能せず、さらには追求せず、6−アミノキノリン(6−AQ)の6との、混合無水物13による縮合(スキーム3)を次に試みた。
【0188】
スキーム3
【化16】
【0189】
ピリジンおよびジメチルホルムアミド(DMF)中のBoc
2Oおよび6の混合物を10分間撹拌し、6−AQを次に添加した。
5a生成物の分離後、反応はBoc−6−AQとともに所望のBoc−Dap−6−AQ(14)をもたらしたことが見出された(6−AQの少なくとも半分がこの生成物の形成に用いられた)。6およびBoc
2Oを塩基中で1時間撹拌し、(CO
2の放出とともに)エステル13の形成を6−AQの添加前に完了することができた場合、
5bBoc−6−AQの形成は回避され、所望の生成物の分離において、クエン酸洗浄が未反応アミノキノリンの除去に有用であることが見出された。しかしながら、生成物の収率は25%と依然としてかなり低く、別の方法が求められた。
【0190】
一般的な活性中間体のうちもっとも反応性が高いものはアミノ酸フッ化物であり、
6これはペプチド結合形成に非常に効率的な試薬であることが示された。
7Boc−Dap−6−AQ(14)の試料を比較のために保持しつつ、6の酸フッ化物の6−AQとの縮合を次に試みた(スキーム4)。Boc−Dap−C(O)F(16)をもたらすフッ化シアヌル(15)のBoc−Dap(6)との反応を穏やかな条件下で行い、粗生成物を、ピリジンの存在下での6−AQとの縮合反応にすぐに用いた。反応は完了せず(6時間〜20時間後、未反応化合物の量の検出可能な低減はなく)、所望のBoc−Dap−6−AQ(14)を26%収率で分離した。化合物14を次にTFAで処理し、Dap−6−AQ.TFA塩(17)を得、これをDov−Val−Dil.TFA(8)と縮合させ、オーリスタチン−6−AQ(5)を得た。
【0191】
酸フッ化物16の合成の繰り返しにおいて、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を塩基として用い、16の精製をシリカゲル上で行った後、DIEAの存在下で6−AQとの縮合を行い、Boc−Dap−6−AQ(14)を得た。反応は遅く、32時間後の混合物と比較して、44時間後に明らかな変化はなかった。分離した無色の油は、生成物14および未反応16の両方を含有した(tlcによる)。文献によると、Fmocアミノ酸フッ化物のアミンとの反応は非常に遅いことが多く、塩基には依存しない
7b、c(塩基の存在は反応速度を増加させることができるが、その非存在はよりクリーンな反応をもたらすことができる)。Boc−Dap−6−AQ(5)を合成する2つの方法のうち、活性中間体13を形成するBoc
2Oの使用は一貫して約24%の収率をもたらしたが、Boc−Dap−C(O)F(16)方法からの収率は26%(ピリジン使用)〜6.6%(DIEA使用、中間体の精製)と変化した。
【0192】
化合物3b、3c、4、5および9はマウスP388リンパ球性白血病細胞株に対して評価され、顕著な活性を示した;オーリスタチン3b、4および5は我々の研究室においてヒト癌細胞株のミニパネルに対しても試験され、とくに化合物3bおよび5からの、同様に強い活性が明らかとなった。これらのin vitroデータはドラスタチン10(1)およびオーリスタチンPE(2a)のものにかなり近く、そのそれぞれはヒト細胞株の同様のミニパネルに対して10
−5〜10
−6μg/mL(10
−2〜10
−3nM)のGI
50値を有した。
8a、b、9
【0193】
【表3】
aナノモル値である細胞毒性濃度を括弧に示す。
b癌細胞株は順に:マウスリンパ球性白血病(P388);肺(NCI−H460);結腸(KM20L2);前立腺(DU−145);膵臓(BXPC−3);乳(MCF−7);CNS(SF−268)。
【0194】
表2に示すように、リン酸ナトリウム3bであるオーリスタチンTP(GI
50 10
−2〜10
−4μg/mL)、オーリスタチン2−AQ(4、GI
50 10
−2〜10
−3μg/mL)、およびオーリスタチン6−AQ(5、GI
50 10
−4μg/mL)は、優れた癌細胞成長阻害特性を示した。
【0195】
[方法および背景に用いられた参考文献]
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【0196】
本発明を説明および例示するため、特定の物質、製剤、操作手順、プロセスパラメーター、および最終生成物について記載したが、それらは限定を意図しない。むしろ、当業者であれば、開示は例のみであり、本発明の範囲内でさまざまな他の代替、適応、および変更を行うことができることに留意すべきである。従って、本発明は本明細書に例示された特定の実施形態には限定されず、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。