特許第6161605号(P6161605)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6161605光レセプタクルおよびこれを備えた光モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6161605
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】光レセプタクルおよびこれを備えた光モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20170703BHJP
【FI】
   G02B6/42
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-519832(P2014-519832)
(86)(22)【出願日】2013年6月3日
(86)【国際出願番号】JP2013003480
(87)【国際公開番号】WO2013183273
(87)【国際公開日】20131212
【審査請求日】2016年5月9日
(31)【優先権主張番号】特願2012-127927(P2012-127927)
(32)【優先日】2012年6月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】森岡 心平
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 和孝
(72)【発明者】
【氏名】棚澤 昌弘
【審査官】 里村 利光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−39151(JP,A)
【文献】 特開2004−333590(JP,A)
【文献】 特表2006−520491(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0002284(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/077723(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子および前記発光素子から出射された光をモニタするためのモニタ光を受光する受光素子を有する光電変換装置と、光伝送体との間に配置された状態で、前記発光素子と前記光伝送体とを光学的に結合可能とされた光レセプタクルであって、
前記光電変換装置に対向して配置される透光性の光学プレートと、
前記光学プレートに対して前記光電変換装置の反対側に配置された透光性の光学ブロックと、
前記光学ブロックと前記光学プレートとの間に充填された透光性の充填材と
を備え、
前記光学プレートは、
前記発光素子からの前記光の入射および前記受光素子に向けた前記モニタ光の出射が行われるプレート外表面と、
前記プレート外表面に対して前記光電変換装置の反対側において平行に配置され、前記プレート外表面への入射後の前記発光素子の光および前記プレート外表面からの出射前の前記モニタ光が通過するプレート内表面と、
前記プレート内表面上に配置され、前記光学プレートと前記光学ブロックとを嵌合させるための光学プレート側嵌合部と
を備え、
前記光学ブロックは、
前記プレート内表面の近傍位置に、前記プレート内表面に対向するように配置されたプレート対向面と、
前記プレート対向面上に配置され、前記プレート内表面を通過後の前記発光素子の光が入射する入射面と、
前記入射面の反対側に前記入射面に対して所定の傾斜角を有するように配置され、前記入射面に入射した前記発光素子の光が到達し、この到達した発光素子の光を前記光伝送体側に向けて反射させる反射面と、
前記プレート対向面における前記光伝送体側の位置に、前記プレート内表面側に開口するように凹設され、前記反射面によって反射された前記発光素子の光が通過する凹部と、
前記凹部の前記光伝送体側の内側面を構成するとともに前記入射面に対して所定の傾斜角を有する前記凹部の内斜面上に配置され、前記凹部を通過した前記発光素子の光が到達し、この到達した発光素子の光を、所定の反射率で前記モニタ光として前記プレート内表面に向けて反射させるとともに所定の透過率で前記光伝送体に結合すべき結合光として前記光伝送体側に透過させる反射/透過層と、
前記反射/透過層によって透過された前記結合光が到達し、この到達した結合光を前記光伝送体に向けて出射させる出射面と、
前記プレート対向面における前記光学プレート側嵌合部に対応する位置に配置され、前記光学プレート側嵌合部と嵌合する光学ブロック側嵌合部と
を備え、
前記充填材は、少なくとも、前記凹部内および前記凹部と前記プレート内表面との間に充填されている、
光レセプタクル。
【請求項2】
前記光学ブロックおよび前記充填材のそれぞれの屈折率が、互いの屈折率差が所定値以下となるように選択されている、請求項1に記載の光レセプタクル。
【請求項3】
前記充填材が、前記入射面と前記プレート内表面との間にも充填されており、
前記光学プレートの屈折率が、前記光学ブロックおよび前記充填材との屈折率差が前記所定値以下となるように選択されている、
請求項2に記載の光レセプタクル。
【請求項4】
前記充填材は、紫外線硬化型接着剤からなり、
前記光学プレートおよび前記光学ブロックの少なくとも一方は、紫外線透過性の材料を用いて形成されている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の光レセプタクル。
【請求項5】
前記反射面は、前記発光素子の光が臨界角よりも大きい入射角で入射し、この入射した発光素子の光を前記光伝送体側に向けて全反射させる全反射面である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光レセプタクル。
【請求項6】
前記プレート外表面上における前記発光素子に対応する位置に、前記発光素子の光を前記反射面側に向けて入射させる第1のレンズ面が配置され、
前記出射面は、第2のレンズ面である、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の光レセプタクル。
【請求項7】
前記プレート外表面上における前記受光素子に対応する位置に、前記モニタ光を前記受光素子に向けて出射させる第3のレンズ面が配置されている、請求項6に記載の光レセプタクル。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の光レセプタクルと、
請求項1に記載の光電変換装置と、
を備える光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光レセプタクルおよびこれを備えた光モジュールに関する。特に、本発明は、発光素子と光伝送体とを光学的に結合するのに好適な光レセプタクルおよびこれを備えた光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバを用いた光通信には、面発光レーザ(例えば、VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)等の発光素子を備えた光モジュールが用いられていた。
【0003】
この種の光モジュールには、光レセプタクルと称される光モジュール部品が用いられている。この光レセプタクルは、発光素子から出射された通信情報を含む光を光ファイバの端面に結合させることによって、光ファイバを介した光送信に用いられる。
【0004】
また、従来、光モジュールにおいては、温度変化に対する発光素子の出力特性の安定化または光出力の調整を目的として、発光素子から出射された光(強度や光量)をモニタ(監視)するための種々の提案がなされていた。
【0005】
例えば、特許文献1においては、本発明者によってなされた発明として、光レセプタクルの一態様であるレンズアレイを備えた光モジュールの発明が提案されている。特許文献1に記載の発明においては、発光素子から出射されたレーザ光が、まず、第1のレンズ面に入射し、次いで、反射面によって光ファイバ側に向けて反射され、次いで、レンズアレイ本体の凹部内に配置された反射/透過層によって、光ファイバに向かう結合光とモニタ光とに分離される。そして、結合光は、凹部内に配置されたプリズムおよび充填材と、レンズアレイ本体とを順次経た後に、第2のレンズ面から光ファイバの端面に向けて出射される。一方、モニタ光は、レンズアレイ本体を経た後に、第3のレンズ面から受光素子に向けて出射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−133807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の発明によれば、反射/透過層における反射および透過を利用して、結合光の光路を適切に確保しつつモニタ光を簡便かつ確実に取得することができる。
【0008】
本発明者は、このような特許文献1に記載の発明の利点を踏まえた上で、更に、製造容易性の向上を図るべく鋭意研究を行い、本発明をなすに至った。
【0009】
本発明の目的は、発光素子の光の入射およびモニタ光の出射が行われる面と結合光の出射面とを一体的に製造する場合に比べて各光学面を簡便かつ高精度に製造することによって、光学性能を確保しつつ製造容易性を向上させることができる光レセプタクルおよびこれを備えた光モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の光レセプタクルおよび光モジュールに関する。
【0011】
[1]発光素子および前記発光素子から出射された光をモニタするためのモニタ光を受光する受光素子を有する光電変換装置と、光伝送体との間に配置された状態で、前記発光素子と前記光伝送体とを光学的に結合可能とされた光レセプタクルであって、前記光電変換装置に対向して配置される透光性の光学プレートと、前記光学プレートに対して前記光電変換装置の反対側に配置された透光性の光学ブロックと、前記光学ブロックと前記光学プレートとの間に充填された透光性の充填材とを備え、前記光学プレートは、前記発光素子からの前記光の入射および前記受光素子に向けた前記モニタ光の出射が行われるプレート外表面と、前記プレート外表面に対して前記光電変換装置の反対側において平行に配置され、前記プレート外表面への入射後の前記発光素子の光および前記プレート外表面からの出射前の前記モニタ光が通過するプレート内表面と、前記プレート内表面上に配置され、前記光学プレートと前記光学ブロックとを嵌合させるための光学プレート側嵌合部とを備え、前記光学ブロックは、前記プレート内表面の近傍位置に、前記プレート内表面に対向するように配置されたプレート対向面と、前記プレート対向面上に配置され、前記プレート内表面を通過後の前記発光素子の光が入射する入射面と、前記入射面の反対側に前記入射面に対して所定の傾斜角を有するように配置され、前記入射面に入射した前記発光素子の光が到達し、この到達した発光素子の光を前記光伝送体側に向けて反射させる反射面と、前記プレート対向面における前記光伝送体側の位置に、前記プレート内表面側に開口するように凹設され、前記反射面によって反射された前記発光素子の光が通過する凹部と、前記凹部の前記光伝送体側の内側面を構成するとともに前記入射面に対して所定の傾斜角を有する前記凹部の内斜面上に配置され、前記凹部を通過した前記発光素子の光が到達し、この到達した発光素子の光を、所定の反射率で前記モニタ光として前記プレート内表面に向けて反射させるとともに所定の透過率で前記光伝送体に結合すべき結合光として前記光伝送体側に透過させる反射/透過層と、前記反射/透過層によって透過された前記結合光が到達し、この到達した結合光を前記光伝送体に向けて出射させる出射面と、前記プレート対向面における前記光学プレート側嵌合部に対応する位置に配置され、前記光学プレート側嵌合部と嵌合する光学ブロック側嵌合部とを備え、前記充填材は、少なくとも、前記凹部内および前記凹部と前記プレート内表面との間に充填されている、光レセプタクル。
【0012】
[2]前記光学ブロックおよび前記充填材のそれぞれの屈折率が、互いの屈折率差が所定値以下となるように選択されている、[1]に記載の光レセプタクル。
【0013】
[3]前記充填材が、前記入射面と前記プレート内表面との間にも充填されており、前記光学プレートの屈折率が、前記光学ブロックおよび前記充填材との屈折率差が前記所定値以下となるように選択されている、[2]に記載の光レセプタクル。
【0014】
[4]前記充填材は、紫外線硬化型接着剤からなり、前記光学プレートおよび前記光学ブロックの少なくとも一方は、紫外線透過性の材料を用いて形成されている、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の光レセプタクル。
【0015】
[5]前記反射面は、前記発光素子の光が臨界角よりも大きい入射角で入射し、この入射した発光素子の光を前記光伝送体側に向けて全反射させる全反射面である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の光レセプタクル。
【0016】
[6]前記プレート外表面上における前記発光素子に対応する位置に、前記発光素子の光を前記反射面側に向けて入射させる第1のレンズ面が配置され、前記出射面は、第2のレンズ面である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の光レセプタクル。
【0017】
[7]前記プレート外表面上における前記受光素子に対応する位置に、前記モニタ光を前記受光素子に向けて出射させる第3のレンズ面が配置されている、[6]に記載の光レセプタクル。
【0018】
[8][1]〜[7]のいずれか1項に記載の光レセプタクルと、[1]に記載の光電変換装置とを備える光モジュール。
【発明の効果】
【0019】
[1]に係る発明によれば、発光素子の光の入射およびモニタ光の出射が行われるプレート外表面を光学プレートに形成し、結合光が出射される出射面を光学ブロックに形成することによって、各光学面を簡便かつ高精度に形成することができる。その上で、光学プレートと光学ブロックとを嵌合部による嵌合によって簡便かつ精度良く組み合わせることができるので、寸法精度が確保された光レセプタクルを容易に製造することができる。
【0020】
[2]に係る発明によれば、反射面と出射面との間の光路をほぼ同一直線上に位置させることができる。このため、製品検査の際に、光伝送体における結合光の結合位置のずれが確認された場合に、これを解消するための寸法調整を要する箇所を少なくすることができ、更なる製造の容易化に寄与することができる。
【0021】
[3]に係る発明によれば、プレート内表面およびプレート対向面におけるフレネル反射を抑制して光の利用効率を向上させることができる。
【0022】
[4]に係る発明によれば、光学プレートと光学ブロックとを安定的かつ効率的に固定することによって、機械的強度および製造効率を向上させることができる。
【0023】
[5]に係る発明によれば、反射面を容易に形成することができるので、部品点数およびコストを抑えることができる。
【0024】
[6]に係る発明によれば、第1のレンズ面を光学プレートに形成し、第2のレンズ面を光学ブロックに形成することによって、各レンズ面を簡便かつ高精度に形成することができる。
【0025】
[7]に係る発明によれば、第1のレンズ面および第3のレンズ面を光学プレートに形成し、第2のレンズ面を光学ブロックに形成することによって、各レンズ面を簡便かつ高精度に形成することができる。
【0026】
[8]に係る発明によれば、寸法精度が確保された光モジュールを容易に製造することができる。
【0027】
このように、本発明によれば、発光素子の光の入射およびモニタ光の出射が行われる面と結合光の出射面とを一体的に製造する場合に比べて各光学面を簡便かつ高精度に製造することによって、光学性能を確保しつつ製造容易性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係る光モジュールの概要を、本発明に係る光レセプタクルとしてのレンズアレイの縦断面図とともに示した概略構成図
図2図1に示すレンズアレイにおける光学プレートの仰観斜視図
図3】光学プレートの下面図
図4】光学プレートの正面図
図5】光学プレートの右側面図
図6図1に示すレンズアレイにおける光学ブロックの仰観斜視図
図7】光学ブロックの正面図
図8】光学ブロックの左側面図
図9】光学ブロックの下面図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る光レセプタクルおよび光モジュールの実施形態について、図1図9を参照して説明する。
【0030】
ここで、図1は、本実施形態における光モジュール1の概要を本実施形態における光レセプタクルとしてのレンズアレイ2の縦断面図とともに示した概略構成図である。
【0031】
また、図2図5は、図1に示すレンズアレイ2における後述する光学プレート3を示したものである。具体的には、図2は光学プレート3の仰観斜視図、図3は光学プレート3の下面図、図4は光学プレート3の正面図、図5図4に示す光学プレート3の右側面図である。
【0032】
さらに、図6図9は、図1に示すレンズアレイ2における後述する光学ブロック4を示したものである。具体的には、図6は光学ブロック4の仰観斜視図、図7は光学ブロック4の正面図、図8図7に示す光学ブロック4の左側面図、図9図7に示す光学ブロック4の下面図である。
【0033】
図1に戻って、本実施形態におけるレンズアレイ2は、光電変換装置7と光伝送体としての光ファイバ8との間に配置される。図1において、光電変換装置7はレンズアレイ2の下側に配置され、光ファイバ8はレンズアレイ2の左側に配置される。
【0034】
[光電変換装置の具体的構成]
光電変換装置7は、半導体基板9におけるレンズアレイ2側の面(図1における上面)に、この面に対して垂直方向(図1における上方向)にレーザ光Laを出射(発光)する複数の発光素子10を有している。これらの発光素子10は、前述したVCSEL(垂直共振器面発光レーザ)を構成している。なお、図1において、各発光素子10は、図1における紙面垂直方向に沿って配列されている。また、光電変換装置7は、半導体基板9におけるレンズアレイ2側の面であって、各発光素子10に対する図1における左方位置に、各発光素子10からそれぞれ出射されたレーザ光Laの出力(例えば、強度や光量)をモニタするためのモニタ光Lmを受光する発光素子10と同数の複数の受光素子14を有している。なお、受光素子14は、発光素子10と同方向に配列されており、互いに対応する素子10,14同士の間で、整列方向における位置が互いに一致している。すなわち、受光素子14は、発光素子10と同一ピッチで配列されている。この受光素子14は、フォトディテクタであってもよい。また、受光素子14は、少なくとも1つ配置するのであれば、必ずしも発光素子10と同数配置しなくてもよく、発光素子10よりも数を少なくしてもよい。さらに、図示はしないが、光電変換装置7には、受光素子14によって受光されたモニタ光Lmの強度や光量に基づいて発光素子10から発光されるレーザ光Laの出力を制御する制御回路が接続されている。このような光電変換装置7は、例えば、半導体基板9をレンズアレイ2に当接させた状態で、レンズアレイ2に対して対向配置される。そして、この光電変換装置7は、例えば、クランプバネ等の不図示の公知の固定手段によってレンズアレイ2に取付けられることにより、レンズアレイ2とともに光モジュール1を構成する。
【0035】
[光ファイバの具体的構成]
また、本実施形態における光ファイバ8は、発光素子10および受光素子14と同数配設されており、図1における紙面垂直方向に沿って発光素子10と同一ピッチで配列されている。各光ファイバ8は、互いに同寸法の例えばマルチモード方式の光ファイバ8である。各光ファイバ8の端面8a側の部位は、MTコネクタ等の多心一括型の光コネクタ15内に保持されている。このような光ファイバ8は、例えば、光コネクタ15におけるレンズアレイ2側の端面をレンズアレイ2に当接させた状態で、不図示の公知の固定手段(例えば、クランプバネ等)によってレンズアレイ2に取付けられる。
【0036】
そして、レンズアレイ2は、このような光電変換装置7と光ファイバ8との間に配置された状態で、各発光素子10と各光ファイバ8の端面8aとを光学的に結合させる。
【0037】
[レンズアレイの具体的構成]
レンズアレイ2についてさらに詳述すると、図1に示すように、レンズアレイ2は、光電変換装置7に対向して配置された透光性の光学プレート3と、この光学プレート3に対して光電変換装置7の反対側(図1における上側)に配置された透光性の光学ブロック4と、この光学ブロック4と光学プレート3との間に配置された透光性の充填材5とによって構成されている。
【0038】
〔光学プレートの詳細〕
ここで、まず、光学プレート3の詳細を説明すると、図1図5に示すように、光学プレート3は、その外形が、略矩形平板状に形成されている。
【0039】
すなわち、図1図5に示すように、下端面3a、上端面3b、左端面3c、右端面3d、前端面3eおよび後端面3fの各平面によって、光学プレート3の大まかな外形が構成される。
【0040】
上下の端面3a、3b同士、左右の端面3c、3d同士、前後の端面3e、3f同士は、いずれも互いに平行である。また、上下の端面3a、3bと、前後左右の端面3c〜3fとは、互いに垂直である。
【0041】
<プレート外表面について>
このような光学プレート3の下端面3aでは、図3における中央側の殆どの範囲を占める平面視略矩形状の部位3a’が、周縁部3a”よりも図1における上方に凹入された凹入平面に形成されている。この部位3a’は、発光素子10からのレーザ光Laの入射および受光素子14に向けたモニタ光Lmの出射が行われるプレート外表面3a’である。
【0042】
<第1のレンズ面について>
このようなプレート外表面3a’に対するレーザ光Laの入射は、プレート外表面3a’の平面領域を介して行ってもよいが、本実施形態においては、レーザ光Laの光束径の制御により好適な手段を介して行う。
【0043】
すなわち、図1図4に示すように、プレート外表面3a’上であって、発光素子10に対応する図1図4における右端部近傍位置には、発光素子10と同数(12個)の平面視円形状の第1のレンズ面(凸レンズ面)11が形成されている。各第1のレンズ面11は、発光素子10に対応する所定の整列方向(図1図4における紙面垂直方向、図3における縦方向)に整列するように形成されている。さらに、各第1のレンズ面11は、互いに同寸法に形成されているとともに、発光素子10と同一ピッチで形成されている。なお、整列方向において互いに隣位する第1のレンズ面11同士は、それぞれの周端部が互いに接触するように形成されていてもよい。また、図1に示すように、各第1のレンズ面11上の光軸OA(1)は、各第1のレンズ面11にそれぞれ対応する各発光素子10から出射されるレーザ光Laの中心軸に一致することが望ましい。各第1のレンズ面11上の光軸OA(1)は、プレート外表面3a’に対して垂直であることがより好ましい。
【0044】
このような各第1のレンズ面11には、図1に示すように、各第1のレンズ面11に対応する各発光素子10から出射されたレーザ光Laが入射する。そして、各第1のレンズ面11は、入射した各発光素子10からのレーザ光La(所定の広がり角を持った光束)を、収束(屈折)させて光学プレート3の内部へと進行させる。なお、各第1のレンズ面11は、入射した各発光素子10からのレーザ光Laをコリメートしてもよく、または、進行方向に向かってビーム径が漸増するような状態に収束させる(コリメートの場合よりも弱く収束させる)ようにしてもよい。レーザ光Laの収束の態様については、例えば、第1のレンズ面11のパワーや非球面係数等を選択することによって好適な態様を選択すればよい。因みに、第1のレンズ面11においてレーザ光Laをコリメートする場合よりも弱く収束させれば、後述する第2のレンズ面12(図1参照)上に異物の付着や傷の形成が生じた場合においても、この第2のレンズ面12上における光スポットに対する異物/傷の面積占有率を低減することができる。その結果、異物/傷が結合効率に与える影響を有効に緩和することができる。
【0045】
<第3のレンズ面について>
また、プレート外表面3a’からのモニタ光Lmの出射は、プレート外表面3a’の平面領域を介して行ってもよいが、本実施形態においては、モニタ光Lmの光束径および出射方向の制御により好適な手段を介して行うようになっている。
【0046】
すなわち、図1図4に示すように、プレート外表面3a’上における受光素子14に対応する左端部近傍位置には、受光素子14と同数の平面視円形状の第3のレンズ面(凸レンズ面)13が形成されている。各第3のレンズ面13は、受光素子14に対応する所定の整列方向すなわち第1のレンズ面11の整列方向と同方向に整列するように形成されている。また、各第3のレンズ面13は、互いに同寸法に形成されているとともに、各受光素子14と同一ピッチで形成されている。なお、整列方向において互いに隣位する第3のレンズ面13同士は、それぞれの周端部が互いに接触するように形成されていてもよい。
【0047】
このような各第3のレンズ面13には、図1に示すように、光学プレート3の内部側から各第3のレンズ面13にそれぞれ対応するモニタ光Lmが入射する。そして、各第3のレンズ面13は、入射した各発光素子10に対応するモニタ光Lmを、収束させて各第3のレンズ面13に対応する各受光素子14に向けてそれぞれ出射させる。
【0048】
<プレート内表面について>
さらに、光学プレート3の上端面3bは、プレート外表面3a’に対して光電変換装置7の反対側(図1における上側)に配置されている。
【0049】
この上端面3bは、プレート外表面3a’上の第1のレンズ面11への入射後の発光素子10からのレーザ光Laおよびプレート外表面3a’上の第3のレンズ面13からの出射前のモニタ光Lが通過するプレート内表面3bとされている。
【0050】
<光学プレート側嵌合部について>
以上のような光学プレート3の光路上に配置された各光学要素11、13、3bに加えて、更に、光学プレート3には、光学ブロック4への組み付けをサポートするための手段が講じられている。
【0051】
すなわち、図1図5に示すように、プレート内表面3b上には、光学プレート3と光学ブロック4とを嵌合させるための光学プレート側嵌合部としての一対の嵌合ピン21が、図1における紙面垂直方向(図3における縦方向)に所定の間隔を設けて凸設されている。これらの嵌合ピン21は、プレート内表面3bに対して垂直に形成されている。また、図1図5に示すように、各嵌合ピン21の基端部には、同心円環状のフランジ部22が形成されている。各嵌合ピン21およびフランジ部22は、光学プレート3と同一の材料によって光学プレート3と一体的に形成されている。
【0052】
また、嵌合ピン21およびフランジ部22は、レーザ光Laの光路上から逸脱するように、第1のレンズ面11の直上(真裏)から図1および図3における左方にずれた位置に配置されている。
【0053】
なお、光学プレート側嵌合部として、嵌合ピン21以外の構成を採用してもよい。例えば、光学ブロック側嵌合部として嵌合穴(有底穴)や嵌合孔(貫通孔)を採用してもよい。
【0054】
〔光学ブロックの詳細〕
次に、光学ブロック4の詳細を説明する。図1図6図9に示すように、光学ブロック4は、光学ブロック本体17を有している。
【0055】
この光学ブロック本体17は、その外形が、直方体の角部から台形柱を切り取ったような形状に形成されている。
【0056】
すなわち、図1図6図9に示すように、下端面17a、最上端水平面17b、上端右傾斜面17c、上端最下水平面17d、左端面17e、右端面17f、前端面17gおよび後端面17hの各平面によって、光学ブロック本体17の大まかな外形が構成される。下端面17a、最上端水平面17bおよび上端最下水平面17dは互いに平行であり、また、左右の端面17e、17f同士、前後の端面17g、17h同士も互いに平行である。さらに、下端面17a、最上端水平面17bおよび上端最下水平面17dと、前後左右の端面17e〜hとは、互いに垂直である。
【0057】
このような光学ブロック4は、光学プレート3を上方(光電変換装置7の反対側)および全側方から囲繞(遮蔽)するようにして収容する。
【0058】
すなわち、図1および図9に示すように、下端面17aの中央位置には、下端面17aに対して光学プレート3の板厚にフランジ部22の厚みを加えた寸法を以て図1の上方に凹入されるとともに、内周が光学プレート3の外周よりも僅かに大きく形成された下面図において略矩形状を呈する光学プレート収容凹部18が凹設されている。
【0059】
そして、図1に示すように、光学プレート3を収容した(組み付けた)状態において、光学プレート収容凹部18の内底面18aには、フランジ部22の上面が内接する。また、このとき、図1に示すように、光学プレート収容凹部18の左内側面18bには、光学プレート3の左端面3cが図1における右方から僅かな間隙を以て臨む。さらに、このとき、図1に示すように、光学プレート収容凹部18の右内側面18cには、光学プレート3の右端面3dが図1における左方から僅かな間隙を以て臨む。さらにまた、このとき、光学プレート収容凹部18の前内側面18dに、光学プレート3の前端面3eが後方から僅かな間隙を以て臨み、また、光学プレート収容凹部18の後内側面18eに、光学プレート3の後端面3fが前方から僅かな間隙を以て臨んでもよい。また、このとき、図1に示すように、光学ブロック本体17の下端面17aは、光学プレート3の周縁部3a”と同一平面上に位置されていてもよい。
【0060】
<プレート対向面について>
このような光学ブロック本体17における光学プレート収容凹部18の内底面18aは、プレート内表面3bの近傍位置にプレート内表面3bに対して平行に対向配置されたプレート対向面18aとなる。
【0061】
<入射面について>
そして、このようなプレート対向面18a上における各第1のレンズ面11に対応する領域は、入射面19となる。この入射面19には、プレート内表面3bを通過後の各発光素子10からのレーザ光Laが図1における下方から入射する。
【0062】
<反射面について>
このようにして入射面19に入射した各発光素子10からのレーザ光Laは、図1に示すように、光学ブロック本体17の内部を、上方に向かって進行する。
【0063】
ここで、図1を見れば分かるように、入射面19の上方(すなわち、光学ブロック本体17における入射面19の反対側)には、前述した上端右傾斜面17cが配置されている。
【0064】
そして、この上端右傾斜面17cには、図1に示すように、反射面23が形成されている。
【0065】
図1に示すように、反射面23は、上方に向かうにしたがって左方に向かうような入射面19に対して所定の傾斜角を有する傾斜面である。この傾斜角は、入射面19を基準(0°)として図1における時計回りに45°であってもよい。
【0066】
このような反射面23には、図1に示すように、入射面19に入射した後の各発光素子10からのレーザ光Laが、図1における下方から入射(到達)する。
【0067】
そして、反射面23は、入射した各発光素子10からのレーザ光Laを、図1における左方となる光ファイバ8側に向けて反射させる。
【0068】
このような反射面23は、上端右傾斜面17cのみによって構成してもよく、または、上端右傾斜面17c上に、Au、Ag、Al等からなる反射膜をコーティングすることによって構成してもよい。なお、反射面23を上端右傾斜面17cのみによって構成する場合には、反射面23におけるレーザ光Laの反射は全反射となる。この場合に、反射面23に対するレーザ光Laの入射角は、レーザ光Laの波長に応じた光学ブロック本体17の屈折率に対応する臨界角よりも大きな角度となる。
【0069】
<反射/透過層配置用凹部について>
このような反射面23に対してレーザ光Laの反射方向側となる図1および図7における左方位置には、縦断面において上底および下底に垂直な脚を有する台形状を呈する反射/透過層配置用凹部24が配設されている。
【0070】
この反射/透過層配置用凹部24は、プレート対向面18aにおける光ファイバ8側の端部(図1図7における左端部)に連設されているとともに、プレート対向面18aと同一平面上にプレート内表面3b側に向けた開口を有するようにして凹設されている。
【0071】
より具体的には、図1および図7に示すように、反射/透過層配置用凹部24は、光学ブロック本体17の下端面17a上に、光学プレート収容凹部18における光ファイバ8側(左側)の所定範囲の部位から更に深く掘り下げられるようにして、光学プレート収容凹部18と連通された状態で凹設されている。
【0072】
また、図1および図7に示すように、反射/透過層配置用凹部24は、右内側面24aが、入射面19に対して垂直に形成され、また、左内側面24b(光ファイバ8側の内側面)が、上方に向かうにしたがって右方に向かうような入射面19に対して所定の傾斜角を有する傾斜面に形成されている。この左内側面24bは、反射/透過層配置用凹部24の内斜面24bとされている。この内斜面24bの傾斜角は、入射面19を基準(0°)として図1における反時計回りに45°であってもよい。
【0073】
このような反射/透過層配置用凹部24には、図1に示すように、反射面23によって反射された各発光素子10からのレーザ光Laが、右内側面24aから入射する。
【0074】
そして、右内側面24aから入射した各発光素子10からのレーザ光Laは、反射/透過層配置用凹部24内を内斜面24bに向かって通過する。
【0075】
<反射/透過層について>
このような反射/透過層配置用凹部24の内斜面24b上には、図1に示すように、厚みが薄い反射/透過層20が配置されている。
【0076】
この反射/透過層20は、Ni、CrもしくはAl等の単一の金属からなる単層膜または互いに誘電率が異なる複数の誘電体(例えば、TiOとSiO2)を交互に積層することによって得られる誘電体多層膜を、内斜面24b上にコーティングすることによって形成してもよい。この場合に、コーティングには、インコーネル蒸着等の公知のコーティング技術を用いることができる。このようなコーティングを用いる場合には、反射/透過層20を、例えば、1μm以下の極めて薄い厚さに形成することができる。
【0077】
このような反射/透過層20には、図1に示すように、反射/透過層配置用凹部24を通過した各発光素子7からのレーザ光Laが入射する。
【0078】
そして、反射/透過層20は、入射した各発光素子10からのレーザ光Laを、図1に示すように、所定の反射率でモニタ光Lmとしてプレート内表面3b(下方)に向けて反射させるとともに、所定の透過率で光ファイバ8に結合すべきファイバ結合光Lcとして光ファイバ8側(左方)に透過させる。このとき、反射/透過層20の厚みが薄いことによって、反射/透過層20を透過するレーザ光Laの屈折は無視する(直進透過とみなす)ことができる。
【0079】
なお、反射/透過層20の反射率および透過率としては、レーザ光Laの出力をモニタするために十分とみなされる光量のモニタ光Lmを得ることができる限度において、反射/透過層20の材料や厚み等に応じた所望の値を設定することができる。例えば、反射/透過層20を、前述した単層膜によって形成する場合には、その厚みにもよるが、反射/透過層20の反射率を20%、透過率を60%(吸収率20%)とすることもできる。また、例えば、反射/透過層20を、前述した誘電体多層膜によって形成する場合には、その厚みや層数にもよるが、反射/透過層20の反射率を10%、透過率を90%とすることもできる。
【0080】
<第2のレンズ面について>
このような反射/透過層20によって透過された各発光素子10に対応するファイバ結合光Lcは、光学ブロック本体17の内部を左方に進行した後に、光学ブロック本体17の左端面17e上の所定の到達位置に到達する。
【0081】
そして、この到達位置には、出射面としての第2のレンズ面12が配置されている。
【0082】
具体的には、図1図8および図9に示すように、左端面17eは、中央側の所定範囲の平面視略長方形状の部位17e’が、この部位17e’を囲む周辺側の部位17e”に対して図1における右方に凹入されている。第2のレンズ面12は、この凹入された部位17e’上に形成されている。
【0083】
図8に示すように、第2のレンズ面12は、第1のレンズ面11と同数かつ平面視円形状の凸レンズ面に形成されている。また、各第2のレンズ面12は、各光ファイバ8の端面8aの整列方向すなわち第1のレンズ面11の整列方向と同方向に整列するように形成されている。さらに、各第2のレンズ面12は、互いに同寸法に形成されているとともに、第1のレンズ面11と同一ピッチで形成されている。なお、整列方向において互いに隣位する第2のレンズ面12同士は、それぞれの周端部が互いに接触するように形成されていてもよい。また、各第2のレンズ面12上の光軸OA(2)は、各第2のレンズ面12に対応する各光ファイバ8の端面8aの中心軸と同軸上に位置することが望ましい。各第2のレンズ面12上の光軸OA(2)は、左端面17eに対して垂直であることがより好ましい。
【0084】
このような各第2のレンズ面12には、図1に示すように、各発光素子10に対応するファイバ結合光Lcがそれぞれ入射する。このとき、各発光素子10に対応するファイバ結合光Lcの中心軸は、各第2のレンズ面12上の光軸OA(2)と一致することが望ましい。
【0085】
そして、各第2のレンズ面12は、入射した各発光素子10に対応するファイバ結合光Lcを、収束させて各第2のレンズ面12に対応する各光ファイバ8の端面8aに向けてそれぞれ出射させる。
【0086】
<光学ブロック側嵌合部について>
以上のような光学ブロック4の光路上に配置された各光学要素19、23、20、12に加えて、更に、光学ブロック4には、光学プレート3の組み付けをサポートするための手段が講じられている。
【0087】
すなわち、図1図6図9に示すように、プレート対向面18a上における前述した一対の嵌合ピン21に対応する位置には、光学ブロック側嵌合部として、各嵌合ピン21と嵌合する丸穴状の一対の嵌合穴25が凹設されている。各嵌合穴25の内径は、嵌合ピン21の外径よりも僅かに大きく形成されている。また、各嵌合穴25は、プレート対向面18aに対して垂直に形成されている。
【0088】
ただし、光学ブロック側嵌合部として、嵌合穴25以外の構成を採用してもよく、例えば、嵌合ピンを採用してもよい。
【0089】
<光学ブロックのその他の構成について>
更に、その他の構成として、光学ブロック4は、図1図6図9に示すように、光学ブロック本体17の左端面17eにおける周辺側の部位17e”上であって、中央側の部位17e’に対して第2のレンズ面12の整列方向における両外側の位置に、光ファイバ8側に向けて垂直に凸設された一対のファイバ位置決めピン26を有している。
【0090】
これらのファイバ位置決めピン26は、光ファイバ8をレンズアレイ2に取り付ける際に、コネクタ15に形成された不図示の一対のファイバ位置決め穴に挿入されることによって、光ファイバ8の位置決めに用いられる。なお、ファイバ位置決め穴は、F12形多心光ファイバコネクタの規格(IEC 61754-5、JIS C 5981)にしたがった寸法精度を満足するような互いに同寸法の丸ボス穴であることが望ましい。
【0091】
また、図9に示すように、光学ブロック本体17の下端面17a上における光学プレート収容凹部18の外側位置には、下面図において半月状を呈する4カ所の空洞部28が、光学プレート収容凹部18および反射/透過層配置用凹部24と連通された状態で形成されている。
【0092】
これらの空洞部28は、嵌合ピン21と嵌合穴25との嵌合によって仮組みされた状態の光学プレート3と光学ブロック4との間に充填材5を充填させる際の充填材5の注入口または気泡抜き口として用いられる。
【0093】
〔充填材の詳細〕
次に、充填材5の詳細について説明する。図1に示すように、充填材5は、反射/透過層配置用凹部24内に、反射/透過層配置用凹部24の右内側面24aと反射/透過層20との間を隙間無く埋めるように充填されていて、反射/透過層配置用凹部24内における各発光素子10ごとのレーザ光Laの光路を形成する。
【0094】
また、図1に示すように、充填材5は、プレート内表面3bと入射面19との間にも隙間無く充填されていて、プレート内表面3bと入射面19との間における各発光素子10からのレーザ光Laの光路を形成する。
【0095】
さらに、図1に示すように、充填材5は、反射/透過層配置用凹部24とプレート内表面3bとの間、入射面19以外のプレート対向面18aとプレート内表面3bとの間および光学プレート3の前後左右の端面3c〜3fと光学プレート収容凹部18の内側面18b〜eとの間にも充填されている。
【0096】
さらにまた、充填材5は、接着剤からなり、光学プレート3を光学ブロック4内に安定的に接着する。
【0097】
このような充填材5としては、熱硬化型接着剤(換言すれば、熱硬化性樹脂)および紫外線硬化型接着剤(換言すれば、紫外線硬化性樹脂)のいずれを採用してもよい。
【0098】
なお、紫外線硬化型接着剤を採用する場合には、光学プレート3および光学ブロック本体17の少なくとも一方を紫外線透過性の材料(例えば、ポリカーボネート等の樹脂材料)によって形成することが望ましい。このように構成すれば、レンズアレイ2の製造の際(光学プレート3を光学ブロック4に本組みする際)に、仮組み状態(嵌合状態)の光学プレート3と光学ブロック4との間に空洞部28を介して充填させた未硬化の紫外線硬化型接着剤に対して、光学プレート3または光学ブロック4の外部から紫外線を効率的に照射することができるので、紫外線硬化型接着剤を迅速に硬化させることができる。
【0099】
〔光学ブロック、充填材、光学プレートの屈折率〕
本実施形態においては、光学ブロック本体17および充填材5のそれぞれの屈折率が、互いの屈折率差が所定値以下となるように選択されている。この所定値(屈折率差)は、例えば、0.01であってもよい。この場合には、例えば、光学ブロック本体17を、SD−1414(ポリカーボネート;帝人化成株式会社)を用いて射出成形し、また、充填材5として、光路結合用エポキシ系接着剤(紫外線光型接着剤(紫外線硬化性樹脂);NTTアドバンステクノロジ株式会社)を採用してもよい。このようにすれば、光学ブロック本体17の屈折率(波長850nm)を1.59とし、充填材5の屈折率(波長850nm)を1.59とすることができ、互いの屈折率差を0.01以下にすることができる。
【0100】
このような構成によれば、充填材5への入射時におけるレーザ光Laの屈折および内斜面24bへの入射時におけるファイバ結合光Lcの屈折を殆ど無くすことができる。
【0101】
この結果、反射/透過層配置用凹部24の右内側面24aおよび内斜面24bの角度によらず、反射面23以後のレーザ光La(Lc)の光路をほぼ同一直線上に位置させることができる。
【0102】
このように屈折率を選択することで、光路設計が容易になる。また、製品検査の際に、光ファイバ8の端面8aにおけるファイバ結合光Lcの結合位置のずれが確認された場合に、これを解消するための寸法調整を要する箇所を少なくすること(例えば、反射面23の角度調整のみで済ませること)もできる。ひいては、更なる製造の容易化に寄与することもできる。
【0103】
また、本実施形態においては、光学プレート3の屈折率が、光学ブロック本体17および充填材5との屈折率差が前述した所定値(例えば、0.01)以下となるように選択されている。光学プレート3は、光学ブロック本体17と同一の材料によって形成してもよい。
【0104】
このような構成によれば、プレート内表面3bおよびプレート対向面18aにおけるフレネル反射を抑制することができるので、光の利用効率を向上させることができる。また、第1のレンズ面11と反射面23との間の光路の直線性が確保されることが望ましいのは、反射面23以後の光路の場合と同様である。本実施形態においては、プレート内表面3bおよびプレート対向面18aにレーザ光Laが垂直入射するように設計されているため、第1のレンズ面11と反射面23との間の光路の直線性を確保することが可能である。しかし、本実施形態のように光学プレート3の屈折率を選択すれば、かかる垂直入射に誤差が生じた場合であっても、直線性を安定的に確保することができる。
【0105】
〔レンズアレイおよび光モジュールの主たる作用効果〕
上記構成によれば、各第1のレンズ面11に入射した各発光素子10からのレーザ光Laを、プレート内表面3b、充填材5およびプレート対向面18aを順次透過させ、次いで、反射面23において反射させ、次いで、反射/透過層配置用凹部24内の充填材5を透過させた後に、反射/透過層20によって各第2のレンズ面12側および各第3のレンズ面13側にそれぞれ分離することができる。そして、第3のレンズ面13側に分離されたモニタ光Lmを、充填材5およびプレート内表面3bを順次経た後に第3のレンズ面13によって受光素子14側に出射させることができる。また、このとき、第2のレンズ面12側に分離されたファイバ結合光Lcを、光学ブロック本体17の内部を経た後に、第2のレンズ面12によって光ファイバ8の端面8a側に出射させることができる。このようにして、ファイバ結合光Lcの光路を適切に確保しつつモニタ光Lmを確実に得ることができる。
【0106】
また、上記構成によれば、第1のレンズ面11および第3のレンズ面13を光学プレート3側に形成し、第2のレンズ面12を光学ブロック4側に形成することによって、形成面が異なる第1、第3のレンズ面11、13と第2のレンズ面12とを単一のレンズアレイ本体上に配置する場合に比べて、各レンズ面11、12、13のそれぞれを簡便かつ高精度に形成することができる。
【0107】
特に、光学プレート3については、概ね平坦な板状であるので寸法精度を出すことが容易であるとともに、射出成形する場合における金型形状も簡単な形状で済む。その上、嵌合ピン21とレンズ面11、13との相対的な位置関係を、光軸OA(1)方向からの透過(投影)によって容易に確認することができるので、嵌合ピン21の位置精度の評価およびこれに基づく必要に応じた金型の微調整を簡便に行うことができる。
【0108】
そして、このように個々のレンズ面11、12、13や嵌合ピン21を簡便かつ高精度に形成した上で、光学プレート3と光学ブロック4とを嵌合ピン21および嵌合穴25による嵌合によって簡便かつ精度良く組み合わせる。このため、寸法精度が確保されたレンズアレイ2を容易に製造することができる。
【0109】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更してもよい。
【0110】
例えば、前述した実施形態においては、光レセプタクルとしてレンズアレイ2を説明したが、レンズ面11、12、13、光ファイバ8、発光素子10および受光素子14をいずれも単数ずつ備えるようにしてもよい。
【0111】
また、本発明は、光導波路等の光ファイバ8以外の光伝送体を適用してもよい。
【0112】
本出願は、2012年6月5日出願の特願2012−127927に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明に係る光レセプタクルおよび光モジュールは、例えば光ファイバを用いた光通信に有用である。
【符号の説明】
【0114】
1 光モジュール
2 レンズアレイ
3 光学プレート
3a’ プレート外表面
3b プレート内表面
4 光学ブロック
5 充填材
7 光電変換装置
8 光ファイバ
10 発光素子
14 受光素子
18a プレート対向面
19 入射面
20 反射/透過層
21 嵌合ピン
23 反射面
24 反射/透過層配置用凹部
25 嵌合穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9