(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
芳香族化合物に富む留分が、ベンゾチオフェン、ベンゾチオフェンのアルキル化誘導体、ジベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェンのアルキル誘導体、ベンゾナフテノチオフェン、およびベンゾナフテノチオフェンのアルキル誘導体を包含する、請求項1記載の方法。
工程(d)が、流動クラッキング塩基触媒としての流動クラッキング触媒、および触媒添加物を含む、流動クラッキング触媒の混合物を送ることを含む、請求項1記載の方法。
芳香族化合物に乏しい留分の排出口と流体連絡する注入口、および流動接触分解帯の注入口と流体連絡する水素化処理された流出物を排出するための排出口を有する水素化処理反応帯
をさらに含む、請求項12に記載の統合システム。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の記載)
天然石油または原油の組成は、多数の因子、主に地理的要因で大きく変化し、たとえ特定の領域内であってもその組成は変化しうる。実際に、粗製物であるすべての供給源に共通して、ヘテロ原子、例えば硫黄、窒素、ニッケル、バナジウム等が、精製装置にて原油の留分を精製処理するのに影響を及ぼす量で存在する。軽質原油またはコンデンセートは硫黄を0.01重量%(W%)と低い濃度で含有するのに対して、重質原油は5−6W%と高い濃度で含有する。同様に原油の窒素含量は0.001−1.6W%の範囲にある。これらの不純物は、最終製品(例えば、ガソリン、ディーゼル、燃料オイル)に関する、または異性化の改質などのさらなる品質向上のために処理することを必要とする精製途中にあるストリームに関する環境規制に適合するようにその精製の間に除去されなければならない。
【0004】
原油は輸送燃料および石油化学原料を生成するために精製される。典型的には、輸送燃料は、個々の最終用途の仕様を満たすように原油からの蒸留された留分を処理し、ブレンドすることにより生成される。最初の常圧蒸留および/または真空蒸留の後に、留分を種々の触媒接触および/または非触媒接触
方法により生成物に変換する。触媒接触
方法は、一般に、水素反応の有無に基づき分類される。水素を含む
方法(広く、水素化処理と称されることも多い)は、例えば、主に脱硫および脱窒素のための水素化処理すること、および重質化合物を特定の生成物仕様により適する軽質化合物に変換するために水素化分解することを包含する。水素添加を含まない
方法は流動接触分解を包含する。
【0005】
第二モードは、約540℃未満の反応変換温度で、固定床の触媒を含む反応帯を用いて炭化水素原料を添加された水素と触媒接触変換するものである。この第二モードが広く知られているため、固定床水素分解
方法は、石油精製業者による商業的支持を得ているが、この
方法には下記に述べられているようないくつかの不利な点がある。長時間の稼働および操業にて高い信頼性を得ようとするには、固定床水素化分解装置は、触媒の安定性を得るのに、触媒の高いインベントリー、および一般に150kg/cm
2以上で操作される、相対的に高圧の反応帯を必要とする。触媒の固定相上を通る反応体の二相流は、反応帯内で不均一な分布を創り出すことが多く、同時に触媒の非効率的利用および反応体の不完全な変換をもたらす。さらには、一時的な誤操作または電力不足は、触媒の再生または置換のために
方法のシャットダウンを必要とするかもしれない重大な触媒コーキングを引き起こし得る。
【0006】
今日利用される原油の大部分は硫黄の含量が高く、蒸留された留分は性能仕様および/または環境基準を満たす生成物を得るのに脱硫されなければならない。
【0007】
処理の間の硫黄化合物の大気中への排出、および含硫サワー原油から得られる石油生成物の最終使用は健康および環境問題を引き起こす。輸送および他の燃料生成物に適用される厳格な硫黄軽減の仕様は精油業に衝撃をもたらしており、精製業者はガスオイル中の硫黄含量を100万分の10重量部(ppmw)以下に大きく減らすように資本投資する必要がある。米国、日本および欧州連合の国々などの先進工業国にて、精製業者は環境的にクリーンな輸送燃料を生成することが既に要求されている。例えば、2007年に、米環境保護庁は、道路用ディーゼル燃料の硫黄含量を500ppmw(低硫黄ディーゼル)から15ppmw(超低硫黄ディーゼル)に97%減少させることを要求した。欧州連合はさらにより厳格な基準を制定し、2009年に販売されるディーゼルおよびガソリン燃料は硫黄の含量が10ppmwよりも低いことを要求した。他の国々は米国および欧州連合に倣い、精製業者が超低硫黄レベルの輸送燃料を生成することを要求する規制で取り組んでいる。
【0008】
典型的には、炭化水素燃料に含まれる含硫化合物は、脂肪族および芳香族系分子を包含する。脂肪族含硫化合物は、スルフィド、ジスルフィドおよびメルカプタンを包含する。芳香族分子は、チオフェン、ベンゾチオフェンとその長鎖アルキル化誘導体、ジベンゾチオフェンおよび4,6−ジメチル−ジベンゾチオフェンなどのそのアルキル誘導体を包含する。高度に分岐した特定の芳香族分子は硫黄原子の除去を立体的に妨げ、穏やかな水素化脱硫法を用いて脱硫することがいくらかはより困難(
耐熱性(リフラクトリー
))となる。
【0009】
含硫芳香族化合物のうち、チオフェンおよびベンゾチオフェンは、相対的に穏やかな条件下で通常の水素化脱硫を用いて比較的容易に除去される。アルキル基の環化合物への付加は水素化脱硫の困難性を大きくし(すなわち、より高い温度、触媒の必要性等を要求する)、しばしば他の型の硫黄除去技術が開発される。
【0010】
もう一つ別の環をベンゾチオフェンファミリーに付加することで得られるジベンゾチオフェンでは、なおさら脱硫が困難であり、その困難性はそのアルキル置換に従って大きく変化し、ジ−ベータ置換の場合に脱硫が最も困難であり、故にその「
耐熱性(リフラクトリー
)」なる用語を用いることが妥当となる。これらのベータ置換基により、ヘテロ原子が触媒上にある活性部位に曝されることが妨げられる。
【0011】
従って、
耐熱性の含硫化合物の安価な除去はその達成が非常に困難であり、よって炭化水素燃料中の含硫化合物を超低硫黄レベルにまで除去することは現行の水素化処理法では多くの費用を要する。以前の規制で硫黄レベルが500ppmwまで許容されていた時は、従来の水素化脱硫能を超えて脱硫する必要性または動機はほとんどなく、かくして
耐熱性の含硫化合物は標的とされなかった。しかしながら、より厳格な硫黄仕様に合わせるためには、これらの
耐熱性の含硫化合物を炭化水素燃料ストリームからかなり取り除かれなければならない。
【0012】
水素化分解
方法が多数の精油業者にて商業的に使用されている。該
方法は、従来型の水素化分解ユニットで370℃〜520℃の範囲で沸騰し、その他の水素化分解ユニットで520℃以上で沸騰する種々の供給物を処理するのに使用される。一般に、水素化分解
方法は、供給物の分子を、平均揮発度がより高く、より高い経済的価値を有する、より小さな、すなわちより軽質な分子に分割する。加えて、水素化分解
方法は、典型的には、脱硫および脱窒工程として供しうる。
【0013】
穏やかな水素化分解または一段階の貫流型水素化分解の操作が、典型的には、既知の水素化分解の構成のうち最も簡単な操作が、典型的な水素化処理
方法よりも厳密で、典型的な全圧水素化分解
方法よりも厳密でない条件で起こる。この水素化分解
方法は費用対効果がより高いが、典型的には生成物の収率が比較的低く、ヘテロ原子(硫黄および窒素を含む)の含量が高い結果をもたらす。原料および生成物の仕様に応じて、単一または複数の触媒システムが使用され得る。複数の触媒システムは、スタック床の構成として、または複数の反応装置にて配置され得る。穏やかな水素化分解操作は、一般には費用対効果が高いが、全圧水素化分解操作と比べて、典型的には収率が低く、中間蒸留生成物の質の低下をもたらす。
【0014】
連続流式(series-flow)水素化分解
方法にて、第一反応装置からの水素化処理/水素化分解された生成物ストリーム全体、すなわちこのストリームには軽質ガス(例えば、C
1−C
4、H
2S、NH
3)および残りのすべての炭化水素を含んでいるが、このストリームを第二反応装置に送る。2段階構成にて、ヘテロ原子の除去を強化するために、原料は第一反応装置にある水素化処理触媒床を通ることで精製される。流出物は分留装置のカラムを通り、例えば、36℃〜370℃の範囲の温度で沸騰する、軽質ガス、ナフサおよびディーゼル生成物に選別される。重質炭化水素を付加的な分解のために第二反応装置に通す。
【0015】
水素を付加することなく炭化水素を触媒接触変換することは、特定の留分に対する別の型の
法である。この型の最も広く使用される
方法は、一般に、流動接触分解(FCC)
法と称される。原料は、触媒ストリームを循環しながら(しかして「流動」なる用語を用いる)、典型的には約480℃〜約550℃の範囲にて操作する変換帯に導入される。このモードは、相対的に低圧、すなわち50psig以下で操作されるという利点がある。しかしながら、FCC
法のある欠点として、水素添加率が相対的に低く、反応温度が相対的に高く、そのために触媒上のコークス形成を加速しやすく、連続的再生を必要とすることが挙げられる。
【0016】
FCC
法にて、原料は流動式酸性触媒床上で触媒を用いて分解される。かかる
方法からの主たる生成物は、少量ではあるが液化石油ガスまたは分解軽油などの他の生成物もFCC
法を通して生成されるが、通常ガソリンである。触媒上に堆積したコークスは、再生帯にて相対的に高温で空気の存在下で燃やされ、再循環して反応帯に戻される。
【0017】
個々の、かつ別個の水素化分解およびFCC
法は十分に開発され、その意図する目的に適するものであるが、それにも拘わらず、重質原油の留分を高品質の輸送燃料に安価かつ効果的な方法にて高収率で変換する方法に対する要求がまだある。
【発明を実施するための形態】
【0030】
上記した目的、さらなる利点は、選択的水素化分解およびFCC操作を組み合わせて高品質の炭化水素燃料を効果的に生成する装置および
方法により提供される。
【0031】
この略図および記載の簡素化のために、精製を行う際に通例的に使用され、かつ当業者に周知の多くの弁、温度センサー、電気制御装置等は含まれていない。さらには、例えば、空気供給、触媒ホッパーおよび排ガス取り扱い装置などのFCC
法に付随するコンポーネントも図示していない。加えて、例えば、ブリードストリーム(bleed stream)、使用済み触媒を排出するサブシステムおよび触媒を取り替えるサブシステムなどの水素化分解ユニットを含む、従来の精製操作に付随するコンポーネントも図示していない。
【0032】
図1に関して、統合水素化分解およびFCCシステム110の工程系統図を提供する。システム110は、一般に、芳香族化合物分離帯114、水素化分解帯120およびFCC反応・分離帯130を含む。
【0033】
芳香族化合物分離帯114は、一般に、供給物の注入口112、FCC反応・分離帯130と流体連絡している芳香族化合物に乏しい留分の排出口(aromatic-lean outlet)118、および水素化分解帯120と流体連絡している芳香族化合物に富む留分の排出口(aromatic-rich outlet)116を含む。芳香族化合物分離帯114の種々の実施態様を
図5−11と併せて本明細書にてさらに詳細に記載する。
【0034】
水素化分解帯120は、一般に、芳香族化合物に富む留分の排出口116ならびにFCC反応・分離帯からのサイクルオイル排出口136、138と流体連絡している注入口122;水素ガス注入口124;水素化分解生成物の排出口126;および未変換の残油の排出口128を含む。未変換の残油の排出口128は、芳香族および非芳香族化合物をさらに分離するために、芳香族化合物の分離帯114の供給物の注入口112とコンデット127を介して流体連絡している。ある実施態様において、未変換の残油の排出口128もまた、FCC反応帯130の注入口132と任意のコンデット131を介して流体連絡している。
【0035】
一般に、FCC反応・分離帯130は、芳香族化合物に乏しい留分の排出口118(所望により、コンデット131を通る未変換の残油の排出口128であってもよい)と流体連絡する供給物の注入口132を含む。FCC反応・分離帯130は、生成物、一部分解された炭化水素、未反応の炭化水素および副生成物を排出するための複数の排出口を含む。特に、FCC反応装置からの流出物は分留され、水およびガスの排出口133、分解された生成物の排出口134、軽質サイクルオイルストリームの排出口136および重質サイクルオイルストリームの排出口138を介して排出される。軽質サイクルオイルストリームの排出口136および重質サイクルオイルストリームの排出口138は、水素化分解反応帯120での分解反応および/またはヘテロ原子の除去反応のために注入口122と流体連絡している。
【0036】
システム110を操作する間に、炭化水素ストリームは芳香族化合物の分離帯114の注入口112を介して導入され、芳香族化合物に乏しい留分の排出口118を介して排出される芳香族化合物に乏しい留分ストリーム(aromatic-lean stream)と、芳香族化合物に富む留分の排出口116から排出される芳香族化合物に富む留分ストリーム(aromatic-rich stream)とに分けられる。芳香族化合物に富む留分は、一般に、最初の原料中に含まれていた
高い割合を占める芳香族化合物、および最初の原料に含まれる
低い割合を占める非芳香族化合物を含む。芳香族化合物に乏しい留分は、一般に、最初の原料中に含まれる
高い割合を占める非芳香族化合物、および最初の原料に含まれる
低い割合を占める芳香族化合物を含む。
【0037】
典型的な既知の方法と異なり、本発明の
方法は、供給物を、水素化分解の条件に関して異なる反応性を有する異なる種類の化合物を含有する留分に選別する。通常、大抵の方法は原料の異なる留分を別々に処理し、その途中で貯蔵槽等を必要とするか、あるいはまた所望の安価な
方法を得るのに全収率を断念する。
【0038】
芳香族化合物の抽出操作は、典型的には、芳香族および非芳香族化合物の間で明確なカットオフを提供しないため、芳香族化合物に乏しい留分は、最初の供給物に含まれる
高い割合を占める非芳香族含有物、および最初の供給物に含まれる
低い割合を占める芳香族含有物(例えば、最初の供給物に含まれる特定割合のチオフェンおよび短鎖アルキル誘導体)を含有し、芳香族化合物に富む留分は、最初の供給物中に含まれる
高い割合を占める芳香族含有物、および最初の供給物中に含まれる
低い割合を占める非芳香族含有物を含有する。芳香族に富む留分中の非芳香族化合物の量、および芳香族化合物に乏しい留分中の芳香族化合物の量は、抽出の型、(抽出の型が適切であるとして)抽出装置における理論的なプレートの数、溶媒の型および溶媒割合を含む、当業者に明瞭である、種々の構成要素に依存する。
【0039】
芳香族化合物に富む留分中に抽出される供給物の部分は、ヘテロ原子を含有する芳香族化合物およびヘテロ原子のない芳香族化合物を包含する。芳香族化合物に富む留分中に抽出されるヘテロ原子含有の芳香族化合物は、一般に、芳香族硫黄化合物および芳香族窒素化合物を包含する。芳香族に富む留分中に抽出される有機硫黄化合物は、供給物から由来のチオフェン、チオフェンの長鎖アルキル化誘導体、ベンゾチオフェン、ベンゾチオフェンのアルキル化誘導体、ジベンゾチオフェン、立体障害の4,6−ジメチルジベンゾチオフェンなどのジベンゾチオフェンのアルキル誘導体、ベンゾナフテノチオフェン、およびベンゾナフテノチオフェンのアルキル誘導体のある部分を包含する。芳香族化合物に富む留分中に抽出される有機窒素化合物は、ピロール、キノリン、アクリジン、カルバゾールおよびその誘導体を包含する。これらの含窒素および含硫黄芳香族化合物は、一般に、抽出溶媒におけるその溶解度によって芳香族化合物の分離工程にて標的とされる。ある実施態様において、含窒素および含硫黄芳香族化合物の選択性は、付加的な段階および/または選択的溶媒の使用によって強化される。最初の供給物、すなわち水素化処理の前に存在してもよい、種々の非芳香族有機硫黄化合物は、メルカプタン、スルフィドおよびジスルフィドを包含する。芳香族化合物の抽出操作の型および/または条件に応じて、好ましくは、非芳香族含窒素および含硫黄化合物の極めて少量の部分が芳香族化合物に富む留分に移動しうる。
【0040】
本明細書にて使用されるように、「
高い割合を占める非芳香族化合物」なる語は、少なくとも50重量%よりも多くの、ある実施態様において少なくとも約85重量%よりも多くの、さらなる実施態様において少なくとも約95重量%よりも多くの非芳香族化合物が抽出帯への供給物に含まれることを意味する。また、本明細書にて使用されるように、「
低い割合を占める非芳香族化合物」なる語は、わずか50重量%の、ある実施態様においてわずか約15重量%の、さらなる実施態様においてわずか約5重量%の非芳香族化合物が抽出帯に含まれることを意味する。
【0041】
本明細書にて使用されるように、「
高い割合を占める芳香族化合物」なる語は、少なくとも50重量%よりも多くの、ある実施態様において少なくとも約85重量%よりも多くの、さらなる実施態様において少なくとも約95重量%よりも多くの芳香族化合物が抽出帯への供給物に含まれることを意味する。また、本明細書にて使用されるように、「
低い割合を占める芳香族化合物」なる語は、わずか50重量%の、ある実施態様においてわずか約15重量%の、さらなる実施態様においてわずか約5重量%の芳香族化合物が抽出帯に含まれることを意味する。
【0042】
芳香族化合物に富む留分を、相対的に高圧で操作する水素化分解反応帯120の注入口122に送り、少なくとも一部の
耐熱性の芳香族有機硫黄および有機窒素化合物を変換し、排出口126を介して、例えば、約36℃〜約180℃の公称沸点範囲を有するナフサおよび約180℃〜約370℃の公称沸点範囲を有するディーゼルを含む水素化分解された生成物のストリームを生成する。排出口126を通る水素化分解された生成物のストリームは有機硫黄および有機窒素化合物を低レベルで含有する。未変換の残油の流出物を排出口128を介して排出する。少なくとも一部の変換されなかった残油の流出物をコンデット127を介して再循環で芳香族化合物の分離帯114の注入口112に戻す。ある実施態様にて、変換されなかった残油の流出物はまた、コンデット131を通り、FCC反応帯130の注入口132に移される。さらには、ブリードストリーム121も、排出口128より排出し得る。
【0043】
芳香族化合物に乏しい留分は、最初の供給物に含まれる
高い割合を占める非芳香族含有物を含有し、不安定な有機硫黄および有機窒素化合物および最初の供給物に含まれる
低い割合を占める芳香族含有物を含有する。芳香族化合物に乏しい留分をFCC反応帯130の注入口132に送り、排出口134を通るFCC分解の生成物のストリームを、排出口136を通る軽質サイクルオイルのストリームを、および排出口138を通る重質サイクルオイルのストリームを生成する。排出口134を通って得られた生成物のガソリンは低レベルの有機硫黄化合物を含有する。
【0044】
ある実施態様において、軽質および重質の両方のサイクルオイルは、任意のブリードストリームを軽質および重質サイクロオイルを合わせたストリームと一緒に単一の排出口を介して排出され得る。ガソリンと、所望によりオレフィンなどの他の生成物は回収され、最終または中間生成物、すなわち下流にてさらに分離および/または処理に供され得る生成物として集められる。
【0045】
FCC反応・分離帯の排出口136からの軽質サイクルオイル、およびFCC反応・分離帯の排出口138からの重質サイクロオイルを含むサイクロオイルを合わせ、水素化分解帯120の注入口122に移す。重質サイクルオイルストリームよりも重く、典型的には触媒粒子を含有するスラリー状オイルストリームであるブリードストリーム139も、FCC反応・分離帯130より排出し得る。
【0046】
付加的な実施態様において、水素化分解反応帯120に導入される原料から分離される原料の供給源を、所望により、例えばコンデット129を通して、FCC反応・分離帯130に送ってもよい。この原料は、水素化分解反応帯120に導入される原料と、その特性において同一でまたは異なり得る。ある実施態様において、コンデット129を介して導入される原料は硫黄および窒素含量の低い処理された真空軽油である。また、蒸気をFCC反応・分離帯130への供給物と統合し、供給物をFCC反応ユニット中に噴霧化または分散させることができる。
【0047】
図2について、本発明に係る統合システム210を図で説明する。一般に、システム210は芳香族化合物分離帯214、水素化分解反応帯220、水素化処理反応帯240およびFCC反応・分離帯230を含む。
【0048】
芳香族化合物分離帯214は供給物注入口212、芳香族化合物に乏しい留分の排出口218および芳香族化合物に富む留分の排出口216を含む。芳香族化合物分離帯214のユニット操作に包含される、種々の実施態様のユニット操作を、
図5−11と併せて本明細書にてさらに詳細に記載する。
【0049】
水素化分解反応帯220は、芳香族化合物に富む留分の排出口216と流体連絡する注入口222、水素ガス注入口224、水素化分解された生成物の排出口226および未変換の残油の排出口(unconverted bottoms outlet)228を含む。未変換の残油の排出口228は供給注入口212と流体連絡しており、芳香族化合物と非芳香族化合物をさらに分離するために、未変換の残油を芳香族化合物の分離帯214にコンデット227を介して再循環させる。ある実施態様において、未変換の残油の排出口228はまた、FCC反応・分離帯230の注入口232と任意のコンデット231を介して流体連絡している。
【0050】
水素化処理反応帯240は芳香族化合物に乏しい留分の排出口218と流体連絡する注入口244、水素ガス注入口246、および水素化処理流出物の排出口242を含む。
【0051】
FCC反応・分離帯230は水素化処理の流出物の排出口242と流体連絡している注入口232を含む(所望により、コンデット231を通る未変換の残油の排出口228を含んでもよい)。FCC反応・分離帯230は生成物、部分的に分解された炭化水素、未反応の炭化水素および副生成物を送り出すための複数の排出口を含む。特に、FCC反応装置からの流出物は分留され、水およびガスの排出口233、FCC分解の生成物の排出口234、軽質サイクルオイルストリームの排出口236および重質サイクルオイルストリームの排出口238を介して送り出される。軽質サイクルオイルストリーム236および重質サイクルオイルストリームの排出口238は、水素化分解反応帯220にてさらなる分解反応および/またはヘテロ原子除去反応のために注入口222と流体連絡している。
【0052】
システム210を操作する間は、炭化水素ストリームは注入口212を介して芳香族化合物の分離帯214に導入され、芳香族化合物に乏しい留分の排出口218を通って排出される芳香族化合物に乏しい留分のストリームと、芳香族化合物に富む留分の排出口216を通って排出される芳香族化合物に富む留分のストリームとに分けられる。芳香族化合物の抽出帯214からの芳香族化合物に富む留分は、一般に、最初の原料に含まれる
高い割合を占める芳香族化合物および最初の原料に含まれる
低い割合を占める非芳香族化合物を含む。芳香族化合物に乏しい留分は、一般に、最初の原料中に含まれる
高い割合を占める非芳香族化合物および最初の原料中に含まれる
低い割合を占める芳香族化合物を含む。
【0053】
芳香族化合物に富む留分を、相対的に高圧下で操作する水素化分解反応帯220の注入口222に送り、少なくとも一部の
耐熱性の芳香族有機硫黄および有機窒素化合物を変換し、排出口226を介して、例えば、約36℃〜約180℃の公称沸点範囲を有するナフサおよび約180℃〜約370℃の公称沸点範囲を有するディーゼルを含む水素化分解された生成物のストリームを生成する。排出口226を通る水素化分解された生成物のストリームは有機硫黄および有機窒素化合物を低レベルで含有する。未変換の残油の流出物を排出口228を介して排出する。少なくとも一部の未変換の残油の流出物をコンデット227を介して再循環で芳香族化合物の分離帯214の注入口212に戻す。ある実施態様にて、未変換の残油の流出物はまた、コンデット231を通り、FCC反応帯230の注入口232に移される。さらには、ブリードストリーム221はまた、排出口228より排出され得る。
【0054】
芳香族化合物に乏しい留分は、最初の供給物に含まれる
高い割合を占める非芳香族化合物を含有し、不安定な有機硫黄および有機窒素化合物および最初の供給物に含まれる
低い割合を占める芳香族化合物を含有する。芳香族化合物に乏しい留分を、相対的に低圧下で稼働する水素化処理反応帯240の注入口244に送り、芳香族化合物に乏しい留分を脱硫し、排出口242を介して水素化処理の流出物を排出する。
【0055】
水素化処理の流出物をFCC反応帯230の注入口232に送り、FCC分解の生成物ストリームを排出口234を介して、軽質サイクルオイルストリームを排出口136を介して、および重質サイクルオイルストリームを排出口138を介して排出する。排出口244を通って得られる生成物のガソリンは低レベルの有機硫黄化合物を含有する。
【0056】
システム110に関して言及されるように、FCC反応・分離帯の排出口236からの軽質サイクルオイルおよびFCC反応・分離帯の排出口238からの重質サイクロオイルを含む、サイクルオイルを合わせ、水素化分解反応帯220の注入口222に移す。重質サイクルオイルストリームよりも重く、典型的には触媒粒子を含有するスラリー状オイルストリームであるブリードストリーム239も、FCC反応・分離帯230より排出され得る。
【0057】
付加的な実施態様において、水素化分解反応帯220に導入される原料から分離される原料の供給源は、所望により、例えばコンデット229を通して、FCC反応・分離帯230に送られてもよい。この原料は、水素化分解反応帯220に導入される原料と、その特性において同一でまたは異なり得る。ある実施態様において、コンデット229を介して導入される原料は硫黄および窒素含量の低い処理された真空軽油である。加えて、蒸気をFCC反応・分離帯230への供給物と統合し、供給物をFCC反応ユニット中に噴霧化または分散させることができる。
【0058】
上記の装置および
方法にて使用される最初の原料は、種々の供給源より得られる原油またはある程度精製されたオイル生成物であり得る。原料供給源は、原油、合成原油、ビチューメン、油砂、シェールオイル、石炭液化油、または上記した供給源の一を含む組み合わせであり得る。例えば、原料は直留軽油または真空軽油などの他の精製途中のストリーム、溶媒脱アスファルト化
方法より得られる脱アスファルト油および/または脱金属油、コーキング
方法より得られる軽質コーカーまたは重質コーカー軽油、本明細書に記載の統合FCC
法とは別のFCC
法より得られるサイクルオイル、ビスブレーキング
方法より得られる軽油、あるいは上記の原料の組み合わせでもあり得る。特定の実施態様において、真空軽油は統合
的方法のための適切な原料である。適切な原料は、約36℃〜約900℃の沸点を有する炭化水素を含有し、ある実施態様においては、約350℃〜約565℃の範囲にある。
【0059】
適切な水素化分解反応装置は、固定床反応装置、移動床反応装置、沸騰床反応装置、バッフルを備えたスラリー浴反応装置、攪拌床反応装置、回転式管反応装置、スラリー床反応装置、あるいは当業者によって認識される他の適当な反応装置を包含する。ある実施態様にて、特に真空軽油および類似する原料にて、固定床反応装置が利用される。付加的な実施態様にて、特に重質原料および分解が困難である他の原料では、沸騰床反応装置が利用される。
【0060】
一般に、水素化分解反応帯における反応装置の操作条件は:
反応温度が約300℃〜約500℃、特定の実施態様において約330℃〜約420℃であり;
水素分圧が約60kg/cm
2〜約200kg/cm
2、特定の実施態様において約60kg/cm
2〜約140kg/cm
2であり;
水素供給率が、約2500までの、1リットルの炭化水素の供給量に付き標準状態の水素のリットル数(SLt/Lt)、特定の実施態様にて約500〜2500SLt/Lt、さらなる実施態様にて約1000〜1500SLt/Ltである。
【0061】
水素化分解性触媒は、非晶質アルミナ触媒、非晶質シリカアルミナ触媒、ゼオライト性触媒を含む、そのいずれか一つまたはそれらの組み合わせを包含しうる。水素化分解性触媒は、ある実施態様において、Ni、W、MoまたはCoを含む、そのいずれか一つまたはそれらの組み合わせを包含する、活性相材料を有し得る。
【0062】
適切な水素化処理反応装置(例えば、水素化処理の反応帯240にて使用される反応装置)は、固定床反応装置、移動床反応装置、沸騰床反応装置、バッフルを備えたスラリー浴反応装置、攪拌床反応装置、回転式管反応装置、スラリー床反応装置、あるいは当業者によって認識される他の適当な反応装置を包含する。
【0063】
一般に、水素化処理反応帯での反応装置の操作条件は、反応温度を約300℃〜約500℃の、特定の実施態様にて約320℃〜約380℃の範囲とすること;および操作圧を約20バール〜約100バールの、ある実施態様において、約30バール〜約60バールの範囲とすることを包含する。
【0064】
水素化処理帯は、周期律表の元素族VI、VIIまたはVIIIBより選択される1または複数の活性金属成分を有する水素化処理触媒を利用する。ある実施態様において、活性な金属成分は、一の支持体、例えばアルミナ、シリカアルミナまたはゼオライト上に典型的には被覆されているか、さもなければ組み込まれている、一または複数のコバルト、ニッケル、タングステンおよびモリブデンである。ある実施態様において、第一の水素化処理帯で使用される水素化処理触媒、すなわち穏やかな条件下で機能する触媒は、アルミナ基質上に被覆されているコバルトおよびモリブデンの組み合わせを包含する。
【0065】
接触分解反応は、ガソリンまたはオレフィン類の形成を促進し、水素移動反応などのオレフィン消費反応を最小とする条件下のFCC反応帯130または230にて起こる。これらの条件は、一般に、FCCユニットの型および構成に依存する。
【0066】
日本のニッポン・オイル・コーポレーションによって開発されたHS−FCC
法;中国、北京のシノペック・リサーチ・インスチテュート・オブ・ペトロリウム・プロセシングにより開発されたディープ・キャタライティック・クラッキング(DCC−1およびDCC−II)およびキャタライティック・ピロリシス・プロセス;インドのインディアン・オイル・コーポレーションによって開発されたインドマックス・プロセス;米国、テキサス州、アービングのエクソン・モービルおよび米国、テキサス州、ヒューストンのKBRインコーポレイテッドによって開発されたMAXOFIN(登録商標);フィンランド、フォータムのフォータム・コーポレーションにより開発されたNExCC(登録商標);米国、イリノイ州、デスプレーンズのUOP・LLCによって開発されたPetroFCC;米国、ニュージャージ州、ブルームフィールドのABBランムス・グローバル・インコーポレイテッドにより開発されたセレクティブ・コンポーネント・クラッキング;ブラジルのペトロブラスにより開発されたハイ・オレフィンFCC;および米国、マサチューセッツ州、ストートンのストーン&ウェブスター・インコーポレイテッドにより開発されたウルトラ・セレクティブ・クラッキングを含む、オレフィン類およびガソリンの形成を促進する条件下で操作される種々の型のFCC反応装置が知られている。
【0067】
ある実施態様において、適当なHS−FCCユニットの操作は下降流反応装置を含み、高い反応温度、短い接触時間および触媒のオイルに対する高い割合によって特徴付けられる。下降流反応装置は、気化させた供給物により触媒を上昇させる必要がないため、触媒のオイルに対する割合をより高くすることが可能である。反応温度は約550℃〜約650℃の範囲にあり、それは通常のFCC反応温度よりも高い。これらの反応温度下で、二つの競合分解反応、熱分解および接触分解反応が起こる。熱分解は軽質生成物、主に乾燥ガスおよびコークスの形成に寄与し、その一方で接触分解はプロピレンの収量を増大させる。したがって、下降流反応装置にある滞留時間は相対的に短く、例えば約1秒未満であり、ある実施態様においては約0.2−0.7秒であって、熱分解を最小限とする。水素移動反応などの、オレフィンを消費する、望ましくない第二の反応は、滞留時間が極めて短いため、抑制される。その短い滞留時間の間に変換を最大とするために、触媒のオイルに対する高い割合、例えば、20:1より大きな割合で使用され、触媒および原料が該反応装置の注入口で混合かつ分散され、該反応装置の排出口で直ちに分離される。
【0068】
ある実施態様において、オレフィン類の形成を促進し、水素移動反応などのオレフィン消費反応を最小とする条件下で操作する、下降流反応装置で構成されるFCCユニットが提供される。
図3は、下降流反応装置を含み、本発明に係るハイブリッドシステムおよび
方法にて使用され得るFCCユニット330の一般化工程系統図である。FCCユニット330は、反応帯313および分離帯315を有する反応装置/分離装置311を含む。FCCユニット330はまた、使用済み触媒を再生する再生帯317を含む。
【0069】
特に、チャージ319を反応帯に導入し、ある実施態様においては、供給物を噴霧化するための蒸気または他の適当なガスによっても同時に導入される。有効量の加熱された未使用の、または再生帯317からの熱再生固体クラッキング触媒粒子も、例えば下方に移動させるコンデットまたはパイプ321(通常、移動ラインまたは立て管とも称される)を介して、反応帯313の頂部にある取り外し式ウェルまたはホッパー(図示せず)に移される。熱触媒流が反応帯313の混合帯または供給物注入部に均一に流れるようにその流れは典型的には一定に保たれる。
【0070】
分留帯からの残油留分を、単独で、または上記される付加的な供給物と併せて、FCCユニット330へのチャージとして供する。チャージは典型的には再生触媒の反応帯313への導入点に隣接して設けられた供給物の注入用ノズルを通って混合帯に注入される。これらの複数の注入用ノズルは触媒とオイルの完全かつ均一な混合をもたらす。該チャージが熱触媒と接触するとすぐに、分解反応が起こる。炭化水素分解の生成物の反応蒸気、未反応の供給物および触媒の混合物は、残りの反応帯313を通り、反応装置/分離装置311の底部にある迅速分離帯315に速やかに流入する。分解および未分解の炭化水素はコンデットまたはパイプ323を通り、当該分野にて公知の従来型の生成物回収セクションに流れる。
【0071】
温度調節が必要ならば、分離帯315の手前にある反応帯313の底部付近にクエンチングインジェクションが設けられ得る。このクエンチングインジェクションは分解反応を速やかに減速または停止させ、分解の厳格性を制御するのに利用することができ、
方法の柔軟性を加えることを可能とする。
【0072】
反応温度、すなわち下降流反応装置の排出口温度は、再生触媒の再生帯317から反応帯313の頂部への流入を制御する、触媒スライド弁(図示せず)を開閉することにより制御され得る。吸熱分解反応に要する熱は再生触媒より供給される。熱再生触媒の流速を変更することにより、作動厳格性または分解条件は制御され、所望の収量の軽質オレフィン系炭化水素またはガソリンを生成することができる。
【0073】
オイルを触媒より分離し、その触媒を再生帯317に移す、ストリッパー331も提供される。触媒は、分離帯315から、その中に蒸気などの適当な剥離ガスがストリームライン333を介して導入される触媒剥離セクションを含む、ストリッパー331の下部セクションに流れ込む。その剥離セクションには、典型的には、その全体にわたって、下方に流れる触媒が剥離ガスと対向して通るように、数個のバッフルまたは構造化パッキン(図示せず)が設けられている。上方に流れる剥離ガスは、典型的には蒸気であり、触媒の細孔に、または触媒粒子間に残っている付加的な炭化水素を「剥離」または除去するために使用される。
【0074】
剥離または使用済み触媒のストリーム325は、燃焼用空気ストリーム327からの上昇力により、再生帯317のリフトライザーを通って移送される。この使用済み触媒は、付加的な燃焼用空気とも接触することができ、蓄積したコークスの燃焼を調節する。燃焼排ガスはコンデット329を通して再生装置より除去される。再生装置中、副生成物のコークスの燃焼により生成される熱を触媒ストリーム321に移し、反応帯313での吸熱分解反応のための熱を提供するのに必要とされる温度まで昇温させる。
【0075】
一の実施態様にて、本発明にて統合され、オレフィン類の形成を促進し、オレフィン消費反応を最小限にしうる適切なFCCユニット330は、その内容がそのまま本明細書にて引用され、米国特許第6656346号および米国特許公開番号2002/0195373の両方に記載のHS−FCC反応装置と類似しうる、その反応装置を包含する。下降流反応装置の重要な特性として、反応装置の頂部から供給物を下方に流れるように導入すること、ライザー反応装置と比べて滞留時間が短いこと、および触媒のオイルに対する割合が、例えば、約20:1〜約30:1の範囲と高いことが挙げられる。
【0076】
一般に、適当な下降流FCCユニットの反応装置についての操作条件として、
反応温度が、約550℃〜約650℃、特定の実施態様にて約580℃〜約630℃、さらなる実施態様において約590℃〜約620℃であること;
反応圧が約1kg/cm
2〜約20kg/cm
2、特定の実施態様にて約1kg/cm
2〜約10kg/cm
2、さらなる実施態様において約1kg/cm
2〜約3kg/cm
2であること;
(反応装置中の)接触時間が、約0.1秒〜約30秒、特定の実施態様にて約0.1秒〜約10秒、さらなる実施態様において約0.2秒〜約0.7秒であること;および
触媒の供給物に対する割合が、約1:1〜約40:1、特定の実施態様にて約1:1〜約30:1、さらなる実施態様において約10:1〜約30:1であること
が挙げられる。
【0077】
ある実施態様において、オレフィン類の形成を促進し、水素移動反応などのオレフィン消費反応を最小とする条件下で作動する、ライザー反応装置で構成されるFCCユニットが提供される。
図4は、ライザー反応装置を含み、本発明に係るハイブリッドシステムおよび
方法にて使用され得るFCCユニット430の一般化工程系統図である。FCCユニット430は、ライザー部分419、反応帯413および分離帯415を有する反応装置/分離装置411を含む。FCCユニット430はまた、使用済み触媒を再生する再生槽417を含む。
【0078】
炭化水素原料はコンデット423を介して送られ、ある実施態様において、供給物を噴霧化し、再生槽417からコンデット421を介して移される加熱された未使用のまたは再生された有効量の固体クラッキング触媒粒子と混合し、密に接触させるため
の蒸気または適当なガスによっても同時に送られる。供給混合物およびクラッキング触媒を懸濁液を形成する条件下で接触させ、それをライザー419中に導入する。
【0079】
連続的
方法にて、クラッキング触媒および炭化水素原料の混合物をライザー419を通して上方に進め、反応帯413中に入れる。ライザー419と反応帯413にて、熱分解触媒粒子は、触媒作用により、炭素−炭素結合の切断により比較的大きな炭化水素分子を分解する。
【0080】
反応の間、FCC操作で一般的であるように、クラッキング触媒はコークスを形成し、そのために活性触媒部位へのアクセスは制限されるか、または存在しない。反応生成物を、例えば反応帯413の上にある反応装置411の頂部に位置する、FCCユニット430中の分離帯415と一般に称される、FCCユニットにて公知のいずれか適当な構造物を用いて、コークス化触媒より分離する。分離帯は、例えばサイクロンなどの当業者に公知のいずれか適当な装置を包含しうる。反応生成物はコンデット425を介して取り出される。
【0081】
炭化水素原料の流体分解からのコークス堆積物を含有する触媒粒子は、コンデット427を通って、分離帯413から再生帯417に入る。再生帯417にて、コークス化された触媒は含酸素ガス、例えば純粋な酸素または空気と接触するようになり、それはコンデット429を介して再生帯417に入る。再生帯417は、典型的なFCC操作において既知の構成にて、および条件下で操作される。例えば、再生帯417は流動床として機能し、燃焼生成物を含む再生排ガスを生成し、それをコンデット431を介して排出する。熱再生触媒は再生帯417からコンデット421を介してライザー419の底部に移り、上記されるように炭化水素原料と混合される。
【0082】
一の実施態様において、オレフィン類の形成を促進し、オレフィン消費反応を最小とする、本発明にて統合され得る適切なFCCユニットは、米国特許第7312370号、第6538169号および第5326465号に記載の反応装置と類似しうるHS−FCC反応装置を包含する。
【0083】
一般に、適切なライザーFCCユニットの反応装置についての操作条件は:
反応温度が、約480℃〜約650℃、特定の実施態様にて約500℃〜約620℃、さらなる実施態様において約500℃〜約600℃であること;
反応圧が約1kg/cm
2〜約20kg/cm
2、特定の実施態様にて約1kg/cm
2〜約10kg/cm
2、さらなる実施態様において約1kg/cm
2〜約3kg/cm
2であること;
(反応装置中の)接触時間が、約0.7秒〜約10秒、特定の実施態様にて約1秒〜約5秒、さらなる実施態様において約1秒〜約2秒であること;および
触媒の供給物に対する割合が、約1:1〜約15:1、特定の実施態様にて約1:1〜約10:1、さらなる実施態様において約8:1〜約20:1であること
を包含する。
【0084】
個々のチャージおよび所望の生成物に適する触媒を、FCC反応・分離帯内の流動接触分解反応装置に送る。ある実施態様において、オレフィン類の形成を促進し、水素移動反応などのオレフィン消費反応を最小にするために、FCCベースの触媒およびFCC触媒添加物を含む、FCC触媒混合物を、該FCC反応・分離帯にて用いる。
【0085】
特に、塩基クラッキング触媒(base cracking catalyst)のマトリックスは、1または複数のY−ゼオライトを含む天然または合成ゼオライト、カオリン、モンモリロナイト、ハロイサイトおよびベントナイトなどのクレイ、および/またはアルミナ、シリカ、ボリア、クロミア、マグネシア、ジルコニア、チタニアおよびシリカ−アルミナなどの1または複数の無機多孔性酸化物を包含する。適当なベースとなるクラッキング触媒は、0.5g/ml〜1.0g/mlの嵩密度、50ミクロン〜90ミクロンの平均粒径、50m
2/g〜350m
2/gの表面積および0.05ml/g〜0.5ml/gの細孔容積を有する。
【0086】
適切な触媒混合物は、塩基クラッキング触媒に加えて、形状選択的ゼオライトを含有する添加物を含有する。本明細書にて言及される形状選択的ゼオライトは、限定された形状を有する炭化水素だけがその細孔を介してゼオライトに入ることができるため、その細孔径がY−型ゼオライトの径よりも小さいゼオライトを意味する。適当な形状選択的ゼオライト成分は、ZSM−5ゼオライト、ゼオライト・オメガ、SAPO−5ゼオライト、SAPO−11ゼオライト、SAPO−34ゼオライト、およびペンタシル型アルミノシリケートを包含する。添加物中の形状選択的ゼオライトの配合量は、一般に、約20W%〜70W%、ある実施態様において約30W%〜60W%の範囲にある。
【0087】
適切な添加剤は、0.5g/ml〜1.0g/mlの嵩密度、50ミクロン〜90ミクロンの平均粒径、10m
2/g〜200m
2/gの表面積および0.01ml/g〜0.3ml/gの細孔容積を有する。
【0088】
触媒混合物中の塩基クラッキング触媒の割合は、60〜95W%の範囲内にあり、触媒混合物中の添加物の百分率は5〜40W%の範囲内にある。塩基クラッキング触媒の百分率が60W%より低いか、または添加物の百分率が40W%よりも高い場合、供給オイルの変換が低いため、軽質留分のオレフィンを高収率で得ることはできない。塩基クラッキング触媒の百分率が95W%より高いか、または添加物の百分率が5W%よりも低い場合、供給オイルの高変換が達成され得るが、軽質留分のオレフィンを高収率で得ることはできない。略図および記載の簡素化のために、流動接触分解の分野の当業者に通例的に使用され、周知である多くの弁、温度センサー、電気制御装置等は図示していない。例えば、ブリードストリーム、使用済み触媒を排出するサブシステムおよび触媒交換サブシステムなどの従来型の炭化水素ユニットにある付随的構成要素も図示していない。さらには、例えば、空気供給、触媒ホッパーおよび排ガス取り扱い装置などの従来のFCCシステムにある付随的構成要素も図示していない。
【0089】
芳香族化合物の分離装置は、一般に、選択的芳香族化合物を抽出することを基礎とする。例えば、芳香族化合物の分離装置は、ほとんどが芳香族化合物に乏しいストリームとほとんどが芳香族化合物に富むストリームに供給物を分配する能力のある適切な溶媒抽出型芳香族化合物分離装置であり得る。種々の確立された芳香族化合物の抽出
方法を含むシステムおよび種々の精製の他の段階にて使用されるユニット操作および他の石油関連の操作は、本明細書に記載の芳香族化合物の分離装置として利用され得る。ある現存する
方法においては、最終生成物、例えば潤滑油、およびある燃料、例えばディーゼル燃料より芳香族化合物を除去することが望ましい。他の
方法においては、芳香族化合物を抽出し、例えば種々の化学
方法にて、ガソリンのオクタンブースターとして用いるための、芳香族化合物に富む生成物を生成する。
【0090】
図5に示されるように、芳香族化合物の分離装置314は、芳香族化合物の溶媒抽出を行い、および該
方法にて再利用するために溶媒を回収するのに適するユニット操作を含み得る。供給物312を芳香族化合物の抽出槽352に送り、そこで芳香族化合物に乏しい留分をラフィネートストリーム354として、抽出ストリーム356としての芳香族化合物に富む留分より分離する。溶媒供給物358を芳香族化合物の抽出槽352に導入する。
【0091】
抽出溶媒の一部は、ストリーム354中にも、例えば約0W%〜約15W%(ストリーム354の全量に基づくW%)の範囲にて存在し、ある実施態様において約8W%未満にて存在しうる。ストリーム354中に存在する溶媒が所望の量または所定の量を超えている場合の操作にて、溶媒を、例えばフラッシングまたはストリッピングユニット360あるいは他の適当な装置を用いて、炭化水素生成物より除去し得る。フラッシングユニット360からの溶媒362は、例えばサージドラム364を介して芳香族化合物の抽出槽352に再循環し得る。最初の溶媒供給物または追加溶媒はストリーム370を介して導入し得る。芳香族化合物に乏しいストリーム318はフラッシングユニット360より排出される。
【0092】
また、抽出溶媒の一部はまた、ストリーム356中にも、例えば約70W%〜約98W%(ストリーム358の全量に基づくW%)の範囲にて存在し、ある実施態様において約85W%未満にて存在しうる。ストリーム356中に存在する溶媒が所望の量または所定の量を超えている場合の実施態様にて、溶媒を、例えばフラッシングまたはストリッピングユニット366あるいは他の適当な装置を用いて、炭化水素生成物より除去し得る。フラッシングユニット366からの溶媒368は、例えばサージドラム364を介して芳香族化合物の抽出槽352に再循環し得る。芳香族化合物に富むストリーム316はフラッシングユニット366より排出される。
【0093】
溶媒、操作条件、および溶媒と供給源312の接触機構の選択は芳香族化合物の抽出レベルの制御を可能とする。例えば、適当な溶媒として、フルフラル、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、フェノール、ニトロベンゼン、スルホラン、アセトニトリル、フルフラルまたはグリコールが挙げられ、溶媒のオイルに対する割合が約20:1、ある実施態様において約4:1、さらなる実施態様において約1:1にて提供され得る。適当なグリコールは、ジエチレングリコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、およびジプロピレングリコールを包含する。抽出溶媒は、純粋なグリコールまたは約2〜10W%水で希釈されたグリコールであり得る。適当なスルホランは、炭化水素置換のスルホラン(例、3−メチルスルホラン)、ヒドロキシスルホラン(例、3−スルホラノールおよび3−メチル−4−スルホラノール)、スルホラニルエーテル(例、メチル−3−スルホラニルエーテル)およびスルホラニルエステル(例、3−スルホラニルアセテート)を包含する。
【0094】
芳香族化合物分離装置は、約20℃〜約200℃、ある実施態様において約40℃〜約80℃の範囲の温度で操作可能である。該芳香族化合物分離装置の操作圧は、約1バール〜約10バール、ある実施態様において約1バール〜3バールの範囲であり得る。本発明の芳香族化合物分離装置として有用な型の装置は、段階型抽出装置または差動式抽出装置を包含する。
【0095】
段階型抽出装置の一例が、
図6に図式化して示される、ミキサー−セツラー装置414である。ミキサー−セツラー装置414は、タービンまたはプロペラ攪拌機482および一または複数のバッフル484を組み込んだ垂直式タンク480を包含する。チャージ注入口486、488を、タンク480の頂部に設け、排出口490をタンク480の底部に設ける。抽出される原料を注入口486を介して槽480に充填し、適量の溶媒を注入口488を介して添加する。攪拌機482を溶媒と充填原料を密に混合させるのに十分な時間作動させ、混合サイクルの終わりに、攪拌を止め、バルブ492を調節することで、内容物の少なくとも一部を排出し、セツラー494に移す。セツラー494にて相を分離し、芳香族化合物に乏しい炭化水素の混合物を含有するラフィネート相および芳香族化合物に富む混合物を含有する抽出相を、各々、排出口496および498を介して取り出す。一般に、一のミキサー−セツラー装置をバッチモードにて使用するか、または複数のミキサー−セツラー装置を連続モードで段階的に操作し得る。
【0096】
もう一つ別の段階型抽出装置が遠心分離式接触装置である。遠心分離式接触装置は相対的に短い滞留時間により特徴付けられる高速回転機である。遠心分離装置中のステージの数は、通常は、一つであるが、複数ステージの遠心分離式接触装置も使用され得る。遠心分離式接触装置は、混合物を攪拌して、界面面積を増やし、かつ物質移動抵抗を減らすための機械装置を利用する。
【0097】
本発明の帯114または214における芳香族化合物抽出装置として使用するのにも適する種々の型の差動式抽出装置(「連続接触抽出装置」としても知られている)は、限定されないが、遠心分離式接触装置および接触カラム、例えばトレイカラム、スプレーカラム、充填塔、回転式円盤接触装置およびパルスカラムを包含する。
【0098】
接触カラムは種々の液−液抽出操作に適している。充填、トレイ、スプレーまたは他の液滴形成の機械または他の装置が、2つの液相(すなわち、溶媒相と炭化水素相)が接触する表面積を増加させるのに使用され、それはまた、流路の効果的な長さを増加させる。カラム抽出装置にて、密度の低い方の相が典型的には連続相として選択され、芳香族化合物の抽出装置の場合には、それは溶媒相である。ある実施態様において、流速の速い方の相がより大きな界面面積および乱流を作り出すことができる。このことは所望の湿式特性を有する適切な構成材料を選択することにより達成される。一般に、水相が金属表面を湿らせ、有機相が非金属表面を湿らせる。接触装置の長さに伴う流れおよび物理特性の変化もまた、抽出装置の型、および/または特異的配置、材料または構成、および充填材料の種類および特性(すなわち、粒径、形状、密度、表面積等)を選択するにおいて考慮され得る。
【0099】
トレイカラム514が
図7に図式化して示される。カラム514の底部にある軽質液体注入口588は液体炭化水素を受け入れ、カラム514の頂部にある重質液体注入口590は溶媒を受け入れる。カラム514は複数のトレイ580およびそれを結ぶ下降管582を含む。頂部にあるバッフル584は、流入する溶媒を液体炭化水素から物理的に分離し、そのことはカラム514にて抽出段階に入る前に供される。トレイカラム514は多段階式向流接触装置である。連続溶媒相の軸方向混合はトレイ580間の領域586で起こり、各トレイ580にて分散が生じ、溶質の溶媒相への効果的な物質移動がもたらされる。トレイ580は約1.5〜4.5mmの範囲にある径の穿孔を有するシーブプレートとすることができ、約150〜600mmの間隔を空けて設けることができる。
【0100】
軽質炭化水素液は各トレイ580の穿孔を通り、微細液滴の形態にて出る。細かい炭化水素の液滴は連続溶媒相を介して上昇し、界面相596と融合し、上方にあるトレイ580を介して再び分散する。溶媒は各プレートを通り抜け、上方にあるトレイ580から下方にあるトレイ580に下降管582を通って下方に流れる。プリンシプルな界面はカラム514の頂部に維持される。芳香族化合物に乏しい炭化水素液はカラム514の頂部にある排出口592より取り出され、芳香族化合物に富む溶媒をカラム514の底部にある排出口594を介して排出する。トレイカラムは効率的な溶媒移動装置であり、特に低界面張力のシステムについて、望ましい液体処理能および抽出効能を有する。
【0101】
炭化水素供給物より芳香族化合物を抽出するのに適するユニット操作の付加的な型は充填床カラムである。
図8は炭化水素注入口690および溶媒注入口692を有する充填床カラム614を図式化して示す。充填領域688を支持プレート686の上に設ける。充填領域688は、ポールリング、ラシヒリング、カスケードリング、インタロックスサドル、バールサドル、超インタロックスサドル、超バールサドル、デミスターパッド、ミストエリミネーター、テレレット(telerette)、カーボングラファイトランダムパッキング、他の型のサドル等を含むが、これらに限定されない、適当な充填材料(これら充材料の1または複数の組み合わせを含む)を含む。連続溶媒相により完全に湿らされるように充填材料を選択する。充填領域688の頂部よりも上のレベルにある注入口692を介して導入される溶媒は下に流れ、充填材料を湿らせ、充填領域688の隙間の大部分を満たす。残りの隙間は炭化水素液の液滴で満たされ、それは連続溶媒相を通って上昇し、融合して充填床カラム614の頂部で液−液接触面698を形成する。芳香族化合物に乏しい炭化水素液はカラム614の頂部にある排出口694より取り出され、芳香族化合物に富む溶媒液をカラム614の底部にある排出口696を介して排出する。充填材料は相接触のための大きな界面面積を提供し、そこで液滴を融合して復元させる。充填物質は連続相の再循環を低下させるため、充填塔における物質移送率は相対的に高くなり得る。
【0102】
本発明のシステムおよび方法における芳香族化合物の抽出に適するさらなる型の装置は回転式円盤接触装置を包含する。
図9は、米国、ニュージャージ州、パラマスのコッホ・モジュラー・プロセス・システム・LLCより市販されているシェイエベル(Scheiebel)(登録商標)カラムとして知られる回転式円盤接触装置714を図式化して示す。当業者であれば、限定されないが、オールドシュー−ラッシュトンカラムおよびクーニー抽出装置を含む、他の型の回転式円盤接触装置も、本発明のシステムおよび方法に含まれる芳香族化合物の抽出ユニットとして利用されうることを認識する。回転式円盤接触装置は機械攪拌される対向流式抽出装置である。攪拌は回転式円盤装置により提供され、典型的には、
図6に関して記載されるようなタービン型インペラよりもずっと高速で作動する。
【0103】
回転式円盤接触装置714は、カラムの底部に面して炭化水素注入口790およびカラムの頂部付近に溶媒注入口792を含み、一連の内側固定リング782および外側固定リング784により形成されるコンポーネントの数に分割される。各コンポーネントは、回転式シャフト788と連結した、中心に位置する、水平回転円盤786を有し、それによりカラムの内側で大きな乱流が形成される。回転ディスク786の径は内側固定リング782の開口部よりもわずかに小さい。典型的には、ディスク径はカラム径の33−66%である。該ディスクは液体を分散させ、液体を外方向に槽壁798に流れさせ、そこで外側固定リング784が2つの相が分離しうる、静止帯を形成する。芳香族化合物に乏しい炭化水素液をカラム714の頂部にある排出口794より取り出し、芳香族化合物に富む溶媒液をカラム714の底部にある排出口796より排出する。回転式円盤接触装置は、有利には、効率および性能が相対的に高く、操作費が相対的に低い。
【0104】
本発明のシステムおよび方法における芳香族化合物の抽出に適する付加的な型の装置はパルスカラムである。
図10は、複数の充填またはシーブプレート888、軽質相、すなわち、溶媒、注入口890、重質相、すなわち炭化水素供給物、注入口892、軽質相排出口894および重質相排出口896を有するカラムを含む、パルスカラムシステム814を図式化して示す。
【0105】
一般に、パルスカラムシステム814は、下降管を欠く、多数のシーブプレート888を設けた縦型カラムである。シーブプレート888にある穿孔は、典型的には、非パルス式カラムの穿孔よりも、例えば径にて約1.5mm〜約3.0mm小さい。
【0106】
往復ポンプなどの、パルス生成装置898は、頻繁に一定間隔にて、カラムの中身をパルス放出する。相対的に短い振幅の迅速な往復運動を液相の通常の流れに重ね合わせる。被覆されたスチール(例えば、ポリテトラフルオロエチレンで被覆されたスチール)で形成されたベローズまたはダイヤフラム、あるいは他の往復パルス発生機を使用し得る。100−260サイクル/分の周波数の5−25mmのパルス振幅が一般に推奨される。パルセーションは上方へのストロークで軽質液(溶媒)を重質相(オイル)中に分散させ、下方へのストロークで重質液相を軽質相に噴出させる。該カラムには移動部がなく、その軸方向混合が小さく、抽出効率が高い。
【0107】
パルスカラムは、典型的には、非パルス式カラムと比べて、理論段階の数の三分の一未満を必要とする。特定の型の往復機器を、
図11に示される、カール・カラムにて使用する。
【0108】
芳香族化合物分離帯を含めることは、水素化分解およびFCCを合わせ、異なる種類の含硫黄化合物を分割させ、それにより水素化分解、水素化処理およびFCCユニットの操作を最適化かつ節約する、融合システムおよび
方法に含められる。
耐熱性の含硫黄化合物を含有する最初の原料の芳香族化合物に富む留分だけを高圧下で操作する水素化分解帯に付し、そうして高圧水素化分解帯を通る体積/質量流量を減少させる。結果として、必要とされる装置の能力、従って主たる装置の費用および操作費用は最小となる。
【0109】
有利には、本発明は、最初の原料を、特に重質原油を、超低含硫黄輸送燃料に完全に変換する。最初の原料を芳香族化合物に富む留分および芳香族化合物に乏しい留分に分離することにより、本発明は、芳香族化合物に富む留分を高圧下で水素化分解することで硫黄レベルが低いナフサおよびディーゼルを、FCCにて芳香族化合物に乏しい留分を分解することにより硫黄レベルが低いガソリンを生成する。
【0110】
さらには、ある実施態様において、ヘテロ原子を含まない芳香族化合物(例えば、ベンゼン、トルエンおよびその誘導体)が芳香族化合物に富む留分に移動し、水素化分解帯にて水素添加および水素化分解に供され、軽質蒸留液を生成する。ヘテロ原子を含まない芳香族化合物より誘導される生成物仕様を満たすこれら軽質蒸留液の収率は、水素化分解帯に焦点を当てて標的とするため、従来の水素化分解操作での収率よりもずっと大きい。
【0111】
実施例
Arab軽質原油より由来の真空軽油(VGO)のサンプルを抽出装置にて抽出した。抽出溶媒としてフルフラルを用いた。60℃、大気圧、および溶媒の供給物に対する割合を1.1:1で抽出装置を操作した。2つの留分:芳香族化合物に富む留分および芳香族化合物に乏しい留分を得た。芳香族化合物に乏しい留分の収率は52.7W%であり、0.43W%の硫黄および5W%の芳香族化合物を含有した。芳香族化合物に富む留分の収率は47.3W%であり、95W%の芳香族化合物および2.3W%の硫黄を含有した。VGO、芳香族化合物に富む留分および芳香族化合物に乏しい留分の特性を表1に示す。
【表1】
【0112】
芳香族化合物に富む留分を、水素化分解触媒としてNi−Mo/シリカ・アルミナを含有する固定床水素化分解ユニットにて、150kg/cm
2の水素分圧で、400℃で、1.0h
−1の液体時間空間速度で、および1,000SLt/Ltの水素供給率で水素化分解に付した。Ni−Mo/アルミナ触媒を用い、原料中に最初に含有された有意な量の窒素含有物を含む、芳香族化合物に富む留分を脱硫した。
【0113】
芳香族化合物に乏しい留分を、水素化処理触媒としてNi−Mo/シリカ・アルミナを含有する固定床水素化処理ユニットにて、70kg/cm
2の水素分圧で、370℃で、1.0h
−1の液体時間空間速度で、および1000SLt/Ltの水素供給率で水素化処理に付した。水素化分解および水素化処理反応帯より得られる生成物の収率を以下に示す。
【表2】
【0114】
水素化分解および水素化処理反応帯からの未変換の残油を合わせ、FCCユニットのライザー反応装置に送り、さらに分解に供した。FCC触媒は、比表面積が131m
2/gであり、細孔比容積が0.1878cm
3/gであって、金属(すなわち、NiまたはV)含量が504ppmwであった。518℃の温度で、触媒のオイルに対する割合を5:1で、接触時間を2秒間で反応させた。式:変換率=(原料−LCO−HCO)/原料より計算される総変換率は70W%であった。FCC生成物の収率を表3に要約する。
【表3】
【0115】
本発明の方法およびシステムは、上記にて、および添付した図面にて記載されているが、修飾は当業者に明らかであり、本発明の保護の範囲は以下に記載の特許請求の範囲により決定される。