(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6161621
(24)【登録日】2017年6月23日
(45)【発行日】2017年7月12日
(54)【発明の名称】真空スイッチおよびその電極アセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01H 33/662 20060101AFI20170703BHJP
【FI】
H01H33/662 J
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-542326(P2014-542326)
(86)(22)【出願日】2012年10月30日
(65)【公表番号】特表2014-533427(P2014-533427A)
(43)【公表日】2014年12月11日
(86)【国際出願番号】US2012062538
(87)【国際公開番号】WO2013074283
(87)【国際公開日】20130523
【審査請求日】2015年7月2日
(31)【優先権主張番号】13/296,503
(32)【優先日】2011年11月15日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390033020
【氏名又は名称】イートン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100104385
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勉
(72)【発明者】
【氏名】リ, ワンペイ
(72)【発明者】
【氏名】ロウゼンカンプ, マーティン
【審査官】
澤崎 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭48−025869(JP,A)
【文献】
特開昭57−017524(JP,A)
【文献】
特開昭59−000820(JP,A)
【文献】
特開昭59−060830(JP,A)
【文献】
実開昭59−175220(JP,U)
【文献】
特開昭61−088414(JP,A)
【文献】
実開昭57−089241(JP,U)
【文献】
特開昭61−013518(JP,A)
【文献】
特開平05−325739(JP,A)
【文献】
米国特許第03263050(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/662
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空スイッチ(2、2’)用の電極アセンブリ(100、200、300)であって、
前記真空スイッチ(2、2’)は、真空エンベロープ(4、4’)と、前記真空エンベロープ(4、4’)内に配置された固定接点(8、8’)を含んでいる固定接点アセンブリ(6、6’)と、前記真空エンベロープ(4、4’)内に配置された可動接点(12、12’)を含み、固定接点(8、8’)に電気的に接触する閉位置と固定接点(8、8’)から離れた開位置との間で移動可能な可動接点アセンブリ(10、10’)とを備えており、前記真空エンベロープ(4、4’)が、第1端部(14、14’)と、該第1端部(14、14’)から離れて反対側に配置された第2端部(16、16’)とを含んでおり、前記電極アセンブリ(100、200、300)は、
個別に分かれた比較的小径の複数の電極(106、108、206、208)を互いに束ねてなり、前記固定接点アセンブリ(6、6’)と前記可動接点アセンブリ(10、10’)との対応する一方と連結されるよう構成された、少なくとも一つの電極束(102、104、202,204)を備えており、
前記電極(106、108、206、208)が、固定接点(8、8’)と可動接点(12、12’)の対応する一方またはその付近から、前記真空エンベロープ(4、4’)の第1端部(14、14’)と前記真空エンベロープ(4、4’)の第2端部(16、16’)との閉じている部分に向かって延びるよう構成されている、電極アセンブリ(100、200、300)。
【請求項2】
前記電極(106)は、前記真空エンベロープ(4)内に完全に配置されるよう構成さている、請求項1に記載の電極アセンブリ(100)。
【請求項3】
前記電極(108)は、前記真空エンベロープ(4)内から、前記真空エンベロープ(4)の第1端部(14)と前記真空エンベロープ(4)の第2端部(16)との対応する一方を貫通して延びるよう構成されている、請求項1に記載の電極アセンブリ(100)。
【請求項4】
前記少なくとも一つの電極束(102)は、第1電極(106)の複数を有する第1電極束(102)と、第2電極(108)の複数を有する第2電極束(104)であり、前記第1電極束(102)は、前記固定接点アセンブリ(6)に配置されるよう構成されており、前記第2電極束(104)は、前記可動接点アセンブリ(10)に配置されるよう構成されている、請求項1に記載の電極アセンブリ(100)。
【請求項5】
前記第1電極(106)は、固定接点(8)と前記真空エンベロープ(4)の第1端部(14)との間に延びるように構成されており、第2電極(108)は、可動接点(12)の近くから前記真空エンベロープ(4)の第2端部(16)を貫通して延びるように構成されている、請求項4に記載の電極アセンブリ(100)。
【請求項6】
前記第1電極束(102)は、同心状に配置された12個の第1電極(106)を備えており、前記第2電極束(104)は、同心状に配置された5個の第2電極(108)を備えている、請求項5に記載の電極アセンブリ(100)。
【請求項7】
真空スイッチ(2、2’)用の電極アセンブリ(300)であって、
前記真空スイッチ(2、2’)は、真空エンベロープ(4、4’)と、前記真空エンベロープ(4、4’)内に配置された固定接点(8、8’)を含んでいる固定接点アセンブリ(6、6’)と、前記真空エンベロープ(4、4’)内に配置された可動接点(12、12’)を含み、固定接点(8、8’)と電気的に接触する閉位置と固定接点(8、8’)から離れた開位置との間で移動可能な可動接点アセンブリ(10、10’)とを備えており、前記真空エンベロープ(4、4’)は、第1端部(14、14’)と、該第1端部(14、14’)から離れて反対側に配置された第2端部(16、16’)とを含んでおり、前記電極アセンブリ(300)は、
前記固定接点アセンブリ(6、6’)と前記可動接点アセンブリ(10、10’)との対応する一方と連結されるよう構成された複数の電極(306、308、310、312)を含んでいる、少なくとも一つの電極束(302)を備えており、
前記電極(306、308、310、312)が、固定接点(8、8’)と可動接点(12、12’)の対応する一方またはその付近から、前記真空エンベロープ(4、4’)の第1端部(14、14’)と前記真空エンベロープ(4、4’)の第2端部(16、16’)との閉じている部分に向かって延びるよう構成されており、
前記電極(306、308、310、312)は、織るかまたは編むことによって配置されている、電極アセンブリ(300)。
【請求項8】
前記電極(306、308、310、312)は、直径(314、316、318、320)を有しており、前記電極(306、308、310、312)のうちの幾つかの直径(314、316、318、320)は、少なくとも幾つかの他の電極(306、308、310、312)の直径(314、316、318、320)と異なっている、請求項1に記載の電極アセンブリ(300)。
【請求項9】
第1端部(14、14’)と、第1端部(14、14’)から離れて対向するよう配置された第2端部(16、16’)とを含んでいる真空エンベロープ(4、4’)と、
前記真空エンベロープ(4、4’)内に配置された固定接点(8、8’)を含んでいる固定接点アセンブリ(6、6’)と、
前記真空エンベロープ(4、4’)内に配置されて、固定接点(8、8’)と電気的に接触する閉位置と固定接点(8、8’)から離れた開位置との間で移動可能な可動接点(12、12’)を含む可動接点アセンブリ(10、10’)と、
個別に分かれた比較的小径の複数の電極(106、108、206、208)を互いに束ねてなり、前記固定接点アセンブリ(6、6’)と前記可動接点アセンブリ(10、10’)との対応する一方に連結されるよう構成された、少なくとも一つの電極束(102、104、202,204)と、
を備えており、
前記電極(106、108、206、208)が、固定接点(8、8’)と可動接点(12、12’)の対応する一方またはその付近から、前記真空エンベロープ(4、4’)の第1端部(14、14’)と前記真空エンベロープ(4、4’)の第2端部(16、16’)との閉じている部分に向かって延びている、真空スイッチ(2、2’)。
【請求項10】
前記電極が、前記真空エンベロープ(4)内に完全に配置されている、請求項9に記載の真空スイッチ(2)。
【請求項11】
前記電極(108)が、前記真空エンベロープ(4)内から、前記真空エンベロープ(4)の第1端部(14)と前記真空エンベロープ(4’)の第2端部(16)との対応する一方を貫通して延びている、請求項9に記載の真空スイッチ(2)。
【請求項12】
前記少なくとも一つの電極束(102)は、第1電極(106)の複数を有する第1電極束(102)と、第2電極(108)の複数を有する第2電極束(104)であり、前記第1電極束(102)は、前記固定接点アセンブリ(6)に配置されており、前記第2電極束(104)は、前記可動接点アセンブリ(10)に配置されている、請求項9に記載の真空スイッチ(2)。
【請求項13】
前記第1電極(106)は、固定接点(8)と前記真空エンベロープ(4)の第1端部(14)との間に延びており、第2電極(108)は、可動接点(12)の近くから前記真空エンベロープ(4)の第2端部(16)を貫通して延びている、請求項12に記載の真空スイッチ(2)。
【請求項14】
前記第1電極束(102)は、同心状に配置された12個の第1電極(106)を備えており、前記第2電極束(104)は、同心状に配置された5個の第2電極(108)を備えている、請求項13に記載の真空スイッチ(2)。
【請求項15】
第1端部(14、14’)と、該第1端部(14、14’)から離れて反対側に配置された第2端部(16、16’)とを含んでいる真空エンベロープ(4、4’)と、
前記真空エンベロープ(4、4’)内に配置された固定接点(8、8’)を含んでいる固定接点アセンブリ(6、6’)と、
前記真空エンベロープ(4、4’)内に配置された可動接点を含み、固定接点(8、8’)に電気的に接触する閉位置と固定接点から離れた開位置との間で移動可能な可動接点アセンブリと(10、10’)と、
前記固定接点アセンブリ(6、6’)と前記可動接点アセンブリ(10、10’)との対応する一方と連結されるよう構成された複数の電極(306、308、310、312)を含んでいる、少なくとも一つの電極束(302)と、
を備えており、
前記電極(306、308、310、312)が、固定接点(8、8’)と可動接点(12、12’)の対応する一方またはその付近から、前記真空エンベロープ(4、4’)の第1端部(14、14’)と前記真空エンベロープ(4、4’)の第2端部(16、16’)との閉じている部分に向かって延びており、
前記電極(306、308、310、312)は、織るかまたは編むことによって配置されている、真空スイッチ(2、2’)。
【請求項16】
前記電極(306、308、310、312)は、直径(314、316、318、320)を有しており、前記電極(306、308、310、312)のうちの幾つかの直径(314、316、318、320)は、少なくとも幾つかの他の電極(306、308、310、312)の直径(314、316、318、320)と異なっている、請求項9に記載の真空スイッチ(2、2’)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示したコンセプトは、例えば真空インターラプト装置(vacuum interrupters)などの真空エンベロープ(vacuum envelope)を含む、例えば真空スイッチ(vacuum switches)など、真空スイッチング装置(vacuum switching apparatus)に関連する。開示したコンセプトはまた、真空インターラプト装置用の電極アセンブリにも関係する。
【背景技術】
【0002】
真空インターラプト装置は、真空チャンバ内に絶縁され気密に配置された分離可能な主接点を含んでいる。真空チャンバは、典型的に、限定するものではなく一例として、部分的な真空を引き出すエンベロープを形成する幾つかの端部部材(例えば、限定するものではないが、金属エンドプレート、金属キャップ、シールカップなどの金属構成部品)が被せられ、電気的に絶縁する幾つかのセラミックの領域(例えば、限定するものではないが、管状のセラミック部分)を含んでいる。セラミックの領域の例は、典型的に円筒形であるが、他の適当な断面形状を用いることができる。2つの端部部材が典型的に採用される。複数のセラミックの領域が存在する場所では、内部中心シールドが一例のセラミックの領域の間に配置される。
【0003】
真空回路インターラプト装置(限定するものではないが、例えば真空回路ブレーカー(vacuum circuit breakers)、真空スイッチ(vacuum switches)、ロードブレイクスイッチ(load breake switches))などの真空電気スイッチング装置は、例えば電流過負荷(current overload)、ショート(short circuits)、および低レベル電圧状態(low level voltage conditions)などの電気的な故障の状態から電気系統を保護する。典型的に、真空回路インターラプト装置は、ばね動力や他の適当な作動機構を含んでおり、異常状態に応答して幾つかの真空インターラプト装置の電気接点を開いて電気系統の導体を通る電流の流れを中断する。
【0004】
真空インターラプト装置の主接点は、典型的には高純度の銅で作られた細長い部材である電極ステム(electrode stem)によって、真空回路インターラプト装置により保護されるべき外部回路に電気的に接続されている。一般に、接点の一方は、外部回路と同様に真空チャンバに関連して固定されている。固定接点は、一方の端部部材を通って延びる第1電極の真空エンベロープに取り付けられる。他方の接点は、真空エンベロープに対して可動である。可動接点は、他方の端部部材を通って軸方向に摺動する可動電極に取り付けられている。可動接点は、作動機構によって駆動されると、シールされた金属製のベローズを含むカップリングによって、作動機構の動きが真空エンベロープ内に伝達される。固定接点と可動接点は、真空エンベロープの外側に位置する作動機構に対する可動電極の移動によって開閉する個別の接点の一組を形成する。電極、端部部材、ベローズ、セラミックシェル(単数または複数)、およびもし有るなら内部シールドは、もし有るなら、互いに連結されて、延長された時間、適当なレベルで、部分的な真空を維持することが可能な真空インターラプト装置(VI)を形成する。
【0005】
真空インターラプト装置は、異常な状態において、可動接点が固定接点から開くことによって故障電極電流(fault current)を中断するために積極的に必要とされるだけである。多くのときでは、真空インターラプト装置は閉位置にあり、可動接点が固定接点と電気的に接続しており、定格(すなわち正常の)回路電流を連続して無抵抗で流す。真空インターラプト装置自体の固有電気抵抗により、連続して流れる電流は熱を発生させ、真空インターラプト装置に接続されるバスバーと同様に、真空インターラプト装置の構成部品の温度を上昇させることとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
中電圧開閉装置に真空インターラプト技術が幅広く受け入れられるのに伴って、真空インターラプト装置を使用することがますます必要となってきている。その一例は、定常電流の必要性が常に増加していることである。その結果、電極ステムの直径がますます大きくなっている。しかしながら、例えば直径が2インチよりも大きい電極にとって、交流(AC)抵抗は、実用的には50Hzまたは60Hzの電流では、表皮効果および近接効果のために、直流(DC)抵抗よりもかなり大きい。真空インターラプト装置の大きさは、その内部に合わせることができる電極の直径を制限する。そのため、一定の真空インターラプト装置の大きさで相対的に高い
連続通電性能(continuous current carrying capability)を達成するのは困難である。
【0007】
したがって、真空インターラプト装置のような真空スイッチとその電極アセンブリに改良する余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
必要なことおよびその他のことは、改良された真空スイッチ用の電極アセンブリを示す本発明のコンセプトを開示した実施の形態で触れる。
【0009】
開示したコンセプトのうちの一つのものは、電極アセンブリが真空スイッチに設けられる。真空スイッチは、真空エンベロープと、真空エンベロープ内に配置された固定接点を含んでいる固定接点アセンブリと、真空エンベロープ内に配置された可動接点を含んでおり、固定接点と電気的に接触する閉位置と固定接点から離れた開位置との間で移動可能な可動接点アセンブリとを備えている。真空エンベロープは、第1端部と、該第1端部から離れて対向するように配置された第2端部とを含んでいる。電極アセンブリは、
個別に分かれた比較的小径の複数の電極を互いに束ねてなり、固定接点アセンブリと可動接点アセンブリとの対応する一方
に連結されるよう構成された
、少なくとも一つの電極束を備えている。電極は、固定接点と可動接点の対応する一方またはその付近から、真空エンベロープの第1端部と真空エンベロープの第2端部の閉じている部分に向かって延びるよう構成されている。
【0010】
電極は、真空エンベロープ内に完全に配置されるか、あるいは、真空エンベロープの第1端部と真空エンベロープの第2端部との対応する一方を貫通し、真空エンベロープ内から延びるよう構成することができる。
【0011】
第1電極束が複数の第1電極を有し、第2電極束が複数の第2電極を有しており、第1電極束が固定接点アセンブリに配置されるように構成されるとともに、第2電極束が可動接点アセンブリに配置されるように構成することができる。
【0012】
開示したコンセプトの他のものとして、真空スイッチが、第1端部と、第1端部から離れて対向するように配置された第2端部とを含んでいる真空エンベロープと、真空エンベロープ内に配置された固定接点を含んでいる固定接点アセンブリと、真空エンベロープ内に配置されて、固定接点に電気的に接触する閉位置と固定接点から離れた開位置との間で移動可能な可動接点を含む可動接点アセンブリとを備えており、また、電極アセンブリが、
個別に分かれた比較的小径の複数の電極を互いに束ねてなり、固定接点アセンブリと可動接点アセンブリとの対応する一方に連結されるよう構成された
、少なくとも一つの電極
束を備えている。電極は、固定接点と可動接点の対応する一方またはその付近から、真空エンベロープの第1端部と真空エンベロープの第2端部の閉じている部分に向かって延びている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明のコンセプトを開示した実施の形態における真空インターラプト装置とその電極アセンブリの等角一部断面図である。
【
図2】
図2は、
図1の電極アセンブリの一部分の等角図である。
【
図3】
図3は、
図1の電極アセンブリの他の部分の等角図である。
【
図4】
図4は、本発明のコンセプトを開示した他の実施の形態における真空インターラプト装置とその電極アセンブリの等角一部断面図である。
【
図5】
図5は、
図4の電極アセンブリの一部分の等角図である。
【
図6】
図6は、本発明のコンセプトを開示した他の実施の形態における真空インターラプト装置とその電極アセンブリの等角一部断面図である。
【
図7】
図7は、
図6の電極アセンブリの一部分の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(関連出願の相互参照)
本願は、本説明に参考として含まれる2011年11月15日出願の米国特許出願第13/296,503の優先権を主張する。
本発明のコンセプトを開示した以下の好ましい実施の形態を図と併せて読めば、本発明のコンセプトの十分な理解を得ることができる。
【0015】
ここで使用した、例えば左、右、上、下、トップ、ボトム、およびその派生後などの方向を示す用語は、図に示した要素の方向に関連しており、ここで明確に列挙しない限り本願発明を制限するものではない。
【0016】
ここで採用した“真空エンべロープ”の用語は、部分的な真空に利用するエンベロープを意味する。
【0017】
ここで採用した“部分的な真空”の用語は、空間(すなわち、真空エンベロープ内)が、適当な機構(すなわち、限定するものではないが、真空炉(vacuum furnace))によって(実行可能な範囲で最も高度に、相対的に高度に、真空スイッチング装置に使用するために適した程度に)部分的に排気されることを意味する。
【0018】
ここで採用した“真空スイッチング装置”または単に“真空スイッチ”の用語は、固定接点、可動接点、および対応する固定接点と可動接点に対して、並びに、これらの接点から電流を送る可動電極を採用している真空エンベロープを意味する。本願を限定するものではないが、真空スイッチング装置は、回路ブレーカー、インターラプト装置、スイッチ、発電機サーキットブレーカー(generator circuit breaker)、ロードブレーカースイッチ(load breaker switch:LBS)、接触子(contactor)、低電圧(LV)スイッチング装置、中電圧(MV)スイッチング装置、高電圧(HV)スイッチング装置、および真空電気スイッチング装置を含む。
【0019】
ここで採用された二つまたはそれ以上の部品が互いに“結合された”状態は、部品が互いに直接連結されるか、または、一つまたはそれ以上の中間部品を介して連結されていることを意味する。
【0020】
ここで採用された“数”の用語は、1または1より大きい整数(すなわち複数)を意味する。
【0021】
図1は、限定するものではないが、開示したコンセプトの一実施の形態において、真空インターラプト装置2など、電極アセンブリ100を採用した真空スイッチを示している。真空スイッチ2は、
図1で隠れた構造を部分的に破断して示した真空エンベロープ4を含んでいる。固定接点アセンブリ6は、真空エンベロープ4の中に部分的に位置しており、固定接点8を含んでいる。可動接点アセンブリ10も、真空エンベロープ4の中に部分的に位置しており、固定接点8に電気的に接触する閉位置と、固定接点8から離れた開位置との間で移動可能な(すなわち、
図1の斜視図で昇降する)可動接点12を含んでいる。真空エンベロープ4は、両側の第1および第2端部14、16を含んでいる。
【0022】
図1−3の限定するものではない実施の形態では、電極アセンブリ100は、固定接点アセンブリ6と可動接点アセンブリのうちの一方と対応して連結させるよう構成された複数の電極106、108を含んでいる、少なくとも一つの電極束(図では二つ)102、104を含んでいる。より具体的には、電極106、108は、固定接点8と可動接点12のうちの対応する一方から、または、その付近から、真空エンベロープ4の第1端部14と真空エンベロープ4の第2端部16の閉じている部分(closer)に向かって延びている。言い換えると、従来の技術の真空インターラプト装置(図示していない)は、多数の電極を有し、固定端部に連結された電極が真空エンベロープの可動端部に向かって延びており、或いは、逆に可動接点アセンブリの電極が固定接点の電極の間を移動するようにし、アークを延ばして、これらの多数の電極の間で回転させて、より良くアークを遮断することを意図しているのとは異なり、開示したコンセプトの電極束102、104は、それぞれ、電極アセンブリのAC抵抗を減少させることを意図して、概して、固定接点8または可動接点12と対応する一方の側に設けられている。また、当然のことながら、開示したコンセプトによれば、固定接点アセンブリ6と可動接点アセンブリ10の一方だけ、および/または、その一部または複数の部分だけが電極束(例えば、102、104に限定されることはない)を有していればよい。すなわち、
図1−3に示すとともにこれらの図に基づいて説明した例では、固定接点アセンブリ6と可動接点アセンブリ10の両方が電極束102、104を採用しているが、これは、本件に必須のことではない。
【0023】
さらに、電極、例えば電極106は、真空エンベロープ4の中に完全に配置することができる、と認められる。その代り、電極、例えば電極108は、真空エンベロープ4の第1および第2端部14、16の対応する一方を貫通して、真空エンベロープ4内から延びてもよい。一例として限定するものではないが、
図1の限定ではない例において、電極108は、真空エンベロープ4内で可動接点12からまたはその付近から、真空エンベロープ4の第2端部16を貫通してその外部に延びている。
【0024】
引き続き
図1を参照すると、
図2および
図3にも示されているが、電極アセンブリ100は、複数の第1電極106を有する第1電極束102と、複数の第2電極108を有する第2電極束104とを含んでいる。第1電極束102は、固定接点アセンブリ6に配置されており、第2電極束104は、可動接点アセンブリ10に配置されている。より具体的には、上述したように、第1電極106は、概ね固定接点8と真空エンベロープ4の第1端部14との間に延びており、第2電極108は、可動接点12の近くから真空エンベロープ4の第2端部16を貫通して延びている。
【0025】
図2および
図3に示したように、電極アセンブリ100の一例の第1電極束102は、同心円状のパターン(concentric circular pattern)で配置された12個の第1電極106を含んでおり、第2電極束104は、同様にほぼ同心円状のパターンで配置された5個の第2電極108(全ての第2電極は
図1に示されている)を含んでいる。開示したコンセプトの基本的な特色は、単体の電極の代わりに、電極の単数または複数の領域を小径のサブ電極の一群に置き換えて、渦電流効果を、したがって、電極アセンブリ100全体の交流(AC)抵抗を低減することを意図して、ここでは“電極束”として形成することである、と認められる。しかしながら、一つの電極束(例えば、102、104に限定されない)だけは必要であり、開示したコンセプトから逸脱することがない範囲で、公知のまたは適当な代替の大きさ、数、および/または形状の電極(すなわち、106、108に限定されない)を採用することができる。
【0026】
一例として限定するものではないが、
図4と5は、限定しない他の実施の形態として、開示したコンセプトによる電極アセンブリ200を示したものであり、真空スイッチ2’(
図4)は、長手方向の軸400を有しており、電極206が軸400に対して捻じられている。より具体的には、
図1−3でそれぞれ上述した真空スイッチ2のように、真空スイッチ2’は真空エンベロープ4’を含んでおり、固定接点アセンブリ6’は真空エンベロープ4’内に配置された固定接点を含んでおり、可動接点アセンブリ10’は、真空エンベロープ4’内に配置されて固定接点8’と電気的に接触する閉位置と固定接点8’から離れた開位置との間で移動可能な可動接点12’を含んでいる。真空エンベロープ4’はさらに、両側の第1および第2端部14’、16’を含んでいる。
【0027】
図4および5に示した実施の形態では、固定接点アセンブリ6’はさらに、ステム18’、第1平面部材20’、および第2平面部材22’を含んでおり、第2平面部材は、第1平面部材20’から離れて対向するように配置されている。上述したように、電極206は、長手方向の軸400に対して捻じられている。各電極206は、第1平面部材20’と結合される第1端部210と、第2平面部材22’と結合される第2端部212とを含んでいる。各電極206の第2端部212は、
図5に最も良く示しているように、電極206の第1端部210に対してオフセットしている。言い換えると、電極206は、渦電流効果とAC抵抗を低減するように捻じられている。
【0028】
図6および7は、さらに限定しない電極アセンブリ300の他の実施の形態を示したもので、電極束302はさらに、スリーブ350を含んでおり、電極306、308、310、312(
図7)がスリーブ350の中に配置されている。電極306、308、310、312は、電極における交流電流の表皮効果(skin effect)と近接効果(proximity effect)を、したがって電気抵抗を低減するために、限定するものではないが、リッツ線パターン(Litz Wire pattern)など、所定のパターンに織るか編む(woven or braided)ことができる。いずれにしろ、スリーブ(例えばスリーブ350)の中に電極が配置されているが、このスリーブは必須ではない。
図7も、限定するものではない開示したコンセプトを示している。開示したコンセプトでは、どのような公知の電極または適当な電極の束(例えば、限定するものではないが、302)は、いろいろな直径を有することができる。
図7において、スリーブ350内に織るか編んだ4つの異なる直径の電極が採用されている。具体的には、10個の第1電極306がスリーブ350の内側の外周にほぼ環状に配置されている。第2電極308は、第1電極306の内側であって、第1電極306と中心電極310との間に配置されている。最後に、電極306の外側のほとんどの列の間には、図に示したように、第4電極312が分散している。全ての電極306、308、310、312は、どのような公知のまたは適当な直径を有することができる。一例であり限定するものではないが、例えば第1電極306は第1直径314を有しており、第2電極308は第2直径316を有しており、第3電極310は第3直径318を有しており、第4電極312の例は第4直径320を有しており、全ての直径が異なっている。
【0029】
さらに、開示したコンセプトの限定しない他のものでは、電極束の電極の一つ以上、例えば限定するものではないが、
図7で中心電極310を、機械的強度が大きい材料(例えば、限定するものではないが、ステンレス鋼)によって作成することによって、導電性を低下させることなく、機械的な強度を改良し、そしてさらに電極アセンブリ(例えば、300)の導電性を犠牲にすることがないようにしている。
【0030】
電極アセンブリ(例えば、限定するものではないが、100、200、300)を備えている開示したコンセプトによれば、他の利点として、従来の単一の比較的大きいな直径の電極を、複数の比較的小さい直径の電極を一緒に束ねたものに代えることによって、真空インターラプト装置(例えば、限定するものではないが、2と2’)の連続通電容量(continuous current carrying capability)を増加させるよう構成して、比較的高い定常電流(high continuous currents)を流すことができる。
【0031】
開示したコンセプトの実施の形態を詳細に説明してきたが、本発明に関連する技術に熟知した者であれば、全ての開示した教示を考慮してこれらの詳細を開発し、様々に変形したり代替させることができることを、認めることができるであろう。よって、開示した配置は、図示しただけにすぎず、添付した特許請求の範囲とその全ての相当物として与えられるべき開示したコンセプトの趣旨として制限されることはないことを意味する。