【実施例】
【0025】
実施例1
従来の開始剤であるtert-ブチルぺルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート(アルケマ社から商品名Luperox(登録商標)270で市販)を用いてエチレンの重合を行う。
オートクレーブタイプの435mlの高圧撹拌反応器に、エチレンを圧力が1800バールに達するまで、すなわち約207g注入する。次いで反応器の壁に配置された棒状ヒーターによって反応器壁温度を177℃に固定する。反応器内の反応媒体の温度は2つの熱電対によって測定する。
tert-ブチルぺルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート(14.8mg)を、反応器に入る前に反応が開始しないように、反応器の上流且つ低温(25℃)でヘプタン(1.3g)およびプロパンアルデヒド(0.89g)に希釈する。次いで、この混合物を高圧ポンプを用いて反応器に注入する。過酸化物を177℃(初期温度)の初期温度で注入した時に、重合は開始する。
【0026】
最終温度が初期温度と同じ値レベルに戻るまで反応を続ける(すなわち、テスト時間は約25〜50分)。
反応器の出口では、エチレン/ポリエチレン混合物を3バールまで直接放圧し、分離器に通すことによって未反応エチレンからポリマーを分離する。
重合後に回収されたポリマーの量を秤量し、それによってポリマーへの変換率、過酸化物比消費量およびプロセスの生産性を表すことができる。
生産性は用いる過酸化物開始剤1g当たりの生産されたポリエチレンのグラムで表す。
変換率は導入したエチレンの量に対する生産されたポリエチレンの量で定義される。
結果は以下の通り:
ポリエチレンへの変換率:10.2%
生産された低密度ポリエチレンの量:22.4g
生産性:1510g/g。
従って、従来の過酸化物開始剤では生産性は低くという結論に達する。
【0027】
実施例2
本発明に従って、開始剤として2,2−ジ(tert-アミルペルオキシ)ブタン(アルケマ社から商品名Luperox(登録商標)520M50で市販)を用いてエチレンの重合を行う。
実施例1の操作を繰り返すが、14.8mgのtert-ブチルぺルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエートの代わりに、本発明の10.2mgの2,2−ジ(tert-アミルペルオキシ)ブタンを用いる。
結果は以下の通り:
ポリエチレンへの変換率:13.9%
生産された低密度ポリエチレンの量:30.7g
生産性:3010g/g。
従って、2,2−ジ(tert-アミルペルオキシ)ブタン開始剤を重合中に150〜200℃の温度で用いることよって高い変換率および高い生産性を得ることができる。
【0028】
実施例3
本発明に従って、開始剤として2,2−ジ(tert-アミルペルオキシ)ブタンを用いてエチレンの重合を行う。
実施例2の操作を繰り返すが、初期重合温度(初期温度)を変える。この温度は177℃の代わりに192℃に固定する。実施例2の場合と同様に本発明に従って10.2mgの2,2−ジ(tert-アミルペルオキシ)ブタンを用いて開始する。
結果は以下の通り:
ポリエチレンへの変換率:14.4%
生産された低密度ポリエチレンの量:31.1g
生産性:3100g/g。
従って、2,2−ジ(tert-アミルペルオキシ)ブタン開始剤を重合中に150〜200℃の温度で用いることよって高い変換率および高い生産性を得ることができる。
【0029】
実施例4
2,2−ジ(tert-アミルペルオキシ)ブタン開始剤を用い、本発明方法で用いる温度を超える温度で、従来のエチレンの重合を行う。
すなわち、実施例2の操作を繰り返すが、初期重合温度(初期温度)を177℃ではなく、215℃に固定する。
実施例2の場合と同様に10.2mgの2,2−ジ(tert-アミルペルオキシ)ブタンを用いて開始する。
結果は以下の通り:
ポリエチレンへの変換率:5.7%
生産された低密度ポリエチレンの量:12.1g
生産性:1200g/g。
従って、エチレン重合を200℃以上の温度で行うと、変換率が低くなり且つ生産性が低くなる。
【0030】
本発明のポリエチレンまたはエチレンコポリマーの製造方法(下記のテスト1および2)を、開始剤が2,2−ビス(第3ブチルぺルオキシ)である従来技術の方法〔特許文献1(米国特許第2 650 913号明細書)〕と比較するために、補完テストを行った。
テスト1および2の開始剤のケースのみ、ポリマーへの変換率が13〜25%で、3000g/g以上の生産性を得ることができ、一方、特許文献1(米国特許第2 650 913号明細書)の対象である上記開始剤ではこれらの目標が達成されていない。
【0031】
テスト1
2,2−ジ(tert-アミルペルオキシ)ブタン(本発明)またはLuperox(登録商標)520M50を用いて開始する重合:
2,2−ジ(tert-アミルペルオキシ)ブタン(アルケマ社から商品名Luperox(登録商標)520M50で市販の)を用いて本発明のエチレンの重合を行う。
オートクレーブタイプの435mlの高圧撹拌反応器に、エチレンを圧力が1800バールに達するまで、すなわち約207g注入する。次いで反応器の壁に配置された棒状ヒーターによって反応器壁温度を177℃に固定する。反応器内の反応媒体の温度は2つの熱電対によって測定する。
2,2−ジ(tert-アミルペルオキシ)ブタン(10.2mg)を、反応器に入る前に反応が開始しないように、反応器の上流且つ低温(25℃)でヘプタン(1.3g)およびプロパンアルデヒド(0.89g)に希釈する。次いで、この混合物を高圧ポンプを用いて反応器に注入する。過酸化物を177℃(初期温度)の初期温度で注入した時に重合はを開始する。
【0032】
最終温度が初期温度と同じ値レベルに戻るまで反応を続ける(すなわち、テスト時間は約25〜50分)。
反応器の出口では、エチレン/ポリエチレン混合物を3バールまで直接放圧し、分離器に通すことによって未反応エチレンからポリマーを分離する。
重合後に回収されたポリマーの量を秤量して求め、それによってポリマーへの変換率、過酸化物比消費量およびプロセスの生産性を表すことができる。
生産性は用いる過酸化物開始剤1g当たりの生産されたポリエチレンのグラムで表す。
変換率は導入されるエチレンの量に対する生産されるポリエチレンの量で定義される。
このテストで記録された結果は以下の通り:
ポリエチレンへの変換率:13.9%
生産された低密度ポリエチレンの量:30.7g
生産性:3010g/g
【0033】
テスト2
2,2−ジ(tert-アミルペルオキシ)ブタン(本発明)またはLuperox(登録商標)520M50を用いて開始する重合:
2,2−ジ(tert-アミルペルオキシ)ブタンを用いて本発明に従ってエチレンの重合を行う。
上記のテスト(テスト1)の操作を繰り返すが、初期重合温度(初期温度)を変える。この温度を177℃の代わりに192℃に固定する。上記テスト1の場合と同様に10.2mgの2,2−ジ(tert-アミルペルオキシ)ブタンを用いて開始する。
結果は以下の通り:
ポリエチレンへの変換率:14.4%
生産された低密度ポリエチレンの量:31.1g
生産性:3100g/g。
従って、2,2−ジ(tert-アミルペルオキシ)ブタン開始剤を重合中に150〜200℃の温度で用いることよって、高い変換率および高い生産性(変換率>13%および生産性>3000g/g)を得ることができる。
【0034】
テスト3
2,2−ジ(tert-ブチルペルオキシ)ブタンを用いて開始する重合:
2,2−ジ(tert-ブチルペルオキシ)ブタンを用いてエチレンの従来の重合を本発明に従って行う。
すなわち、テスト1の操作を繰り返すが、2,2−ジ(tert-アミルペルオキシ)ブタン開始剤を、2,2−ジ(tert-ブチルペルオキシ)ブタンに代える。
10.2mgの2,2−ジ(tert-ブチルペルオキシ)ブタンを用いて開始する。
結果は以下の通り:
ポリエチレンへの変換率:11.9%
生産された低密度ポリエチレンの量:24.6g
生産性:2410g/g。
従って、2,2−ジ(tert-ブチルペルオキシ)ブタンでは生産性がより低くなり(<3000g/g)、変換率が13%以下になるという結論に達する。